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【発明の名称】 移動ロボット
【発明者】 【氏名】阿部 幸司

【要約】 【課題】ガイドに沿って走行し、マーカ検出で自己位置を修正する移動ロボットにおいて、走行経路中の段差等による誤動作を防止する。

【構成】段差等のため磁気ガイドが読み取れない可能性のある特定走行区間を登録する。通常は磁気ガイドとマーカを検出して走行するが、特定走行区間内では磁気ガイドのみを検出して走行し、マーカの検出は行わない。移動ロボットが段差を越える際に磁気ガイドを検出できずにマーカを誤認して自己の位置を誤って判断する不都合は発生しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に配設された経路指示手段に沿って走行する移動ロボットであって、
現在の自己位置を検出する自己位置検出部と、
前記走行経路に予め設定された特定区間の位置を記憶する記憶部と、
前記経路指示手段および前記走行経路上の複数位置に配設される地点指示手段を検出して出力する指示手段検出部と、
前記指示手段検出部の出力に基づき前記経路指示手段と地点指示手段の有無を判定する処理を実行して、前記経路指示手段の存在を判定すると該経路指示手段に沿うように走行制御し、前記地点指示手段の存在を判定すると所定の制御動作を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、
自己位置が前記特定区間にあるときは、前記地点指示手段の判定処理を実行することなく、前記経路指示手段の判定処理を実行することを特徴とした移動ロボット。
【請求項2】
更に、前記記憶部は、前記地点指示手段毎に配設された位置の情報を予め記憶し、
前記制御部は、
前記地点指示手段の存在を判定したときの前記自己位置と前記記憶部に記憶された当該地点指示手段の位置の情報とを比較して、両者の差が所定距離以内であれば当該地点指示手段の位置の情報により前記自己位置を補正し、両者の差が所定距離より大きければ異常出力する請求項1記載の移動ロボット。
【請求項3】
更に、前記記憶部は、前記走行経路の情報を予め記憶し、
前記制御部は、
前記自己位置が前記特定区間にあるときに前記経路指示手段がないと判定すると、前記記憶部に記憶された走行経路の情報に従って走行制御し、
前記自己位置が前記特定走行区間にないときに前記経路指示手段および前記地点指示手段がないと判定すると異常出力する請求項1又は2に記載の移動ロボット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に設置された走行ガイドに沿って走行し、走行ガイド沿いに配置されるマーカを検出した場合には自己位置を修正する機能を備えた移動ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行経路に設置された走行ガイドに沿って移動手段により走行するロボットが下記特許文献1などにより知られている。特許文献1に記載されたロボットは、例えば路面に設置した磁気ガイドをロボット下部に取り付けた磁気センサで検出しながら走行し、ガイドの離間部分をいわゆるマーカとして検出し、マーカを検出するとマーカの位置情報から自己位置を判定するロボットである。この、特許文献1のロボットは、磁気ガイド上に所定間隔ごとに固定間隔で破断した箇所(ガイドの空白部分)を設けておき、その箇所をマーカとして認識する。
【特許文献1】特開平07-306716 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図7は、上述した特許文献1のロボットの走行経路に沿って設置された走行ガイドと、この走行ガイドに沿って配置されて走行経路を複数の走行区間に区分するマーカを示す平面図であり、例えばマーカn−1からマーカn+2の如く走行ガイドの要所に所定長さの破断部分を設けてロボットが位置を認識するためのマーカとしてある。そしてロボットの下面には磁気センサが設けられており、ロボットはこの磁気センサで走行ガイドである磁気テープを認識しつつ走行し、マーカを検知してマーカの位置情報から自己位置を判定する。
【0004】
しかしながら、図7に示すように、ロボットの走行経路中のマーカnとマーカn+1の間の区間において、破線A−A’で示す路面上の位置に段差(例えば道路と歩道の間の段差等)がある場合には、ロボットがこの段差を越える時、ロボットの下面にある磁気センサが地面から離間し、一時的に磁気ガイドが検出できなくなり、ガイドの破断すなわちマーカであると誤認識してしまうことがある。
また、特許文献1のガイドの破断部分をマーカとして検出するロボットに限らず、例えば経路上に白色矩形などの標識を配設して、この標識をマーカとして検出するようなロボットであっても、経路中の特定場所で照明や落ち葉、悪戯などによりマーカを誤認識するおそれがある。
【0005】
このようにマーカを誤認識した場合、自己位置が誤った位置に判定されてしまい、正常に走行できなくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、走行経路中にある段差等のためにマーカを誤認識してしまう状況であっても、これをマーカと誤認識することなく、誤った自己位置修正を行うこともない移動ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された移動ロボットは、走行経路に配設された経路指示手段に沿って走行する移動ロボットであって、
現在の自己位置を検出する自己位置検出部と、
前記走行経路に予め設定された特定区間の位置を記憶する記憶部と、
前記経路指示手段および前記走行経路上の複数位置に配設される地点指示手段を検出して出力する指示手段検出部と、
前記指示手段検出部の出力に基づき前記経路指示手段と地点指示手段の有無を判定する処理を実行して、前記経路指示手段の存在を判定すると該経路指示手段に沿うように走行制御し、前記地点指示手段の存在を判定すると所定の制御動作を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、
自己位置が前記特定区間にあるときは、前記地点指示手段の判定処理を実行することなく、前記経路指示手段の判定処理を実行することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された移動ロボットは、請求項1記載の移動ロボットにおいて、
更に、前記記憶部は、前記地点指示手段毎に配設された位置の情報を予め記憶し、
前記制御部は、
前記地点指示手段の存在を判定したときの前記自己位置と前記記憶部に記憶された当該地点指示手段の位置の情報とを比較して、両者の差が所定距離以内であれば当該地点指示手段の位置の情報により前記自己位置を補正し、両者の差が所定距離より大きければ異常出力することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された移動ロボットは、請求項1又は2に記載の移動ロボットにおいて、
更に、前記記憶部は、前記走行経路の情報を予め記憶し、
前記制御部は、
前記自己位置が前記特定区間にあるときに前記経路指示手段がないと判定すると、前記記憶部に記憶された走行経路の情報に従って走行制御し、
前記自己位置が前記特定走行区間にないときに前記経路指示手段および前記地点指示手段がないと判定すると異常出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された移動ロボットによれば、現在位置が地点指示手段を誤認する可能性のある特定区間である場合において、指示手段検出部によって地点指示手段の検出を行わずに経路指示手段に沿って走行するように制御することができるので、当該区間で段差等のために地点指示手段と思われる部分を検出してもこれをマーカと誤認することなく、走行ガイドに沿った安定した走行を続行することができる。
【0011】
請求項2に記載された移動ロボットによれば、現在位置が地点指示手段を誤認する可能性のある特定区間以外である場合には、検出された地点指示手段に対応して記憶した位置と自己位置が所定距離よりも近い場合には地点指示手段の位置情報に基づいて自己位置を正確に補正することができ、また検出された地点指示手段に対応して記憶した位置と自己位置が所定距離よりも離れている場合には異常と判定し、次善の対策をとることで移動ロボットの走行制御をより円滑に進めることができる。
【0012】
請求項3に記載された移動ロボットによれば、現在位置が地点指示手段を誤認する可能性のある特定区間において、経路指示手段が検出できなくても、異常と判定することなく、自己位置検出部と予め記憶した経路情報に従い走行経路に沿って走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.全体の構成(図1)
図1は、本発明の一実施形態に係る移動ロボット1が利用される環境である監視区域の平面図と、同移動ロボット1の外観を示す斜視図である。
この移動ロボット1は、例えば警備目的のために使用される自律移動型のロボットであり、監視区域内の所定経路を巡回しながら図示しない異常判定用のセンサや撮像ユニット7、レーザセンサ2にて監視区域内の異常の検出を行うものである。
【0014】
図1(a)において、建物の周囲が、予め設定された移動ロボット1が巡回する移動経路とされており、その移動経路の全長にわたり、経路指示手段として帯状の磁気ガイド3が固定的に設けられている。監視区域は、建物と、この建物の周囲を一周するように設定された磁気ガイド3を含む所定面積の範囲とされている。
【0015】
この磁気ガイド3は、図1(a),(b)に示し、先述した図7にも示した例と同様に、複数の箇所で、それぞれ所定長さにわたって破断した部分(例えば10cm程度の空白部分)を有している。これらの一定の長さの破断部分は、移動経路上に設定された走行区間の境界に設けられており、移動経路上に設定された走行区間や移動経路上の位置(座標)を移動ロボット1に指示する地点指示手段としてのマーカとして機能する。すなわち、移動ロボットが路面上を移動する際、移動ロボットに搭載された後述する指示手段検出手段としての磁気センサが磁気ガイド3を検知し、マーカ(前記破断部分)を認識した場合には当該位置の位置情報を得ることができるようになっている。
【0016】
なお、本実施形態の移動ロボットは、経路指示手段としては例示した前記磁気ガイド3を有しているが、この他、経路指示手段として走行路面上に白線テープを設け、指示手段検出手段としての撮像手段によって白線テープを検知するものでもよい。この場合には、撮像手段によって検知されるマーカは白線テープの要所に所定長さで設けた破断部分でもよいし、白線テープの近傍に別途設けた白色矩形のマークであってもよい。
【0017】
また、磁気ガイド3の中途には、移動ロボット1による監視巡回行動の1サイクルにおける開始地点(出発点)及び終了地点(到着点)となり、ロボット不使用時の格納庫であるとともに、さらに移動ロボット1のバッテリーを充電する充電装置を備えたロボットボックスが配置されている。
【0018】
なお、図1(a)には示さないが、例えば前記建物内のセキュリティー関連部署等には監視センタが設置されている。この監視センタには、本例の移動ロボット1及びこれに関連するシステムを運用するための管制装置等が配置されており、係員がその運用に当たる。
【0019】
図1(b)にその外観を示すように、移動ロボット1は、移動手段である左右の車輪6で前記磁気ガイド3に沿って走行しつつ、本体の正面側に装備した障害物検知手段としてのレーザーセンサ2により、移動方向前方の監視区域を図示一点鎖線で示すように走査する。本体の上部には、全周囲を撮像できる撮像ユニット7が装備されており、レーザーセンサ2等によって異常を発見した場合やその他必要な場合に周囲の必要な位置の画像を撮像できるようになっている。
【0020】
そして、この移動ロボット1は、監視巡回行動中に監視区域内で異常を検出すると、遠隔の前記監視センタに撮像画像とともに異常信号を送出する。監視センタでは、異常信号を受信すると、受信した撮像画像を表示して異常の確認を行い、移動ロボット1を遠隔操作して異常対処を行う。
【0021】
2.移動ロボット1の構成(図1〜図3)
図2は、本例の移動ロボット1の具体的な構成を示す機能ブロック図である。
この移動ロボット1は、移動手段6,8、ガイド検出部10、移動制御部9、自己位置検出部13、障害物検知部16、記憶部17、障害物判定部18、撮像ユニット7、通信部20及びこれら各部を制御する制御部21、各部に電力を供給する電源部22を有している。以下に各部ごとに説明する。
【0022】
(1) 移動手段
移動ロボット1は図1(b)及び図2に示すように4つの車輪6を有しており、それらのうち右前輪6、左前輪6の2つが駆動輪(制御輪)として機能し、左右の後輪は従輪(キャスター)となる。移動手段は、右前輪6,左前輪6と左右各前輪6を独立に駆動する2つのモータ8で構成されており、左右各前輪6の回転速度により直進走行速度、旋回走行速度が制御され、旋回方向も制御される。この左右各前輪6の回転速度は移動制御部9により制御される。なお、左右前輪6を独立に制御する代わりに、舵角を制御して旋回速度を制御する方式でもよいし、車輪駆動でなく、左右のクローラを独立に制御する方式でもよい。
【0023】
(2) 指示手段検出部
指示手段検出部10は、移動経路上の経路指示手段である前述した磁気ガイド3を検出する。
指示手段検出部10は、磁気センサ11と路面情報抽出部12とから成る。磁気センサ11は、図3に示すように、路面を検知可能な様に移動ロボット1の底面に設置されている。磁気センサ11は、例えば多数のホール素子を進行方向(図中矢印「前方」と同方向)に直交する方向に沿って所定間隔で並べた2つのセンサ群を、前輪の車軸の前後の2位置に互いに平行に配置したものであり、両センサ群からの信号により磁気ガイド3上における磁気センサ11の左右の位置を検出し、車体の中心を磁気ガイド3に一致させて、車体が磁気ガイド3に平行となるように制御することができる。
【0024】
路面情報抽出部12は、磁気センサ11の出力信号から、移動ロボット1の経路を誘導すべき磁気ガイド3及びマーカ4を検出して制御部21に出力する。
【0025】
なお、指示手段検出部10は、磁気センサの他、経路指示手段や地点指示手段の種類に応じて前述した撮像手段(カメラ)や電磁誘導センサなどで構成されても良く、それぞれ移動経路に設置された経路指示手段としての白線テープ、電磁誘導ガイドを検出するようにすることもできる。経路指示手段及び指示手段検出部は設置する環境により選択できるようにすることが好ましい。
【0026】
(3) 移動制御部
移動制御部9は、移動手段の車輪6を駆動するモータ8を制御するための手段である。移動制御部9は、指示手段検出部10による磁気ガイド3の検知出力に応じて、例えば周知のPID制御などにより、移動ロボット1が磁気ガイド3に沿って移動するようモータ8を制御する。また、移動制御部9は、後述する自己位置算出手段としての位置算出部15による走行区間の検出に応じて、予め設定された経路情報に基づき移動速度を制御し、位置算出部15による特定地点の検出に応じて走行停止する。
【0027】
(4) 自己位置検出部
自己位置検出部13は、前記移動手段の各モータ8にそれぞれ設置された回転量検出部としてのレゾルバ14と、各レゾルバ14にそれぞれ接続された自己位置算出手段としての位置算出部15からなる。レゾルバ14はモータ8の回転軸の絶対位置をそれぞれ検出する。位置算出部15はレゾルバ14の出力から得られるモータ8の回転軸の回転量から左右各前輪輪6それぞれの回転量を算出し、左右各前輪6それぞれの回転量と車輪半径から算出された左右各前輪6の走行距離の平均から移動ロボット1の走行距離を算出する。
【0028】
本例では移動ロボット1の巡回経路は固定されているため、走行距離をもって自己位置とすることができる。走行距離として記録するのは、開始地点からの総距離としてもよいし、各マーカ4の位置からの距離として記録してもよい。なお、位置算出部15は左右各前輪それぞれの回転量の差と車輪間隔から移動ロボットの姿勢(向き)の変化を算出して左右各前輪による走行距離と姿勢変化からデッドレコニングにより自己位置を算出してもよい。
【0029】
また、後述する制御部21は、指示手段検出部10によるマーカ4の検知出力に応じて、マーカ4に対応して記憶している経路情報に基づき現在の走行区間を検出するとともに、自己位置検出部13が算出している自己位置の補正などを行う。
【0030】
(5) 障害物検出部
障害物検出部16は、移動ロボット1の前方を走査して路面の状態、路面上の異物その他の被検出対象を検出するための手段である。図1(b)及び図3(b)に示すように、障害物検出部16は移動ロボット1の本体の前面側に、進行方向の前方下方に向けて設置された測距センサとしてのレーザセンサ2を有している。レーザセンサ2は、レーザ発振器よりレーザ光を照射するとともに、レーザ光の光路上にある物体にて反射した際の反射光を受けて検知信号を出力する投受波部を備えている。レーザセンサ2は、レーザ光の走査手段である走査鏡と、この走査鏡を回転駆動する手段とを有しており、前記レーザ発振器から発射されるレーザ光の照射方向(照射角度)を制御して、移動ロボット1の前方を含む所定の範囲を所定周期(例えば33ms)で空間走査している。
【0031】
そして、障害物検出部16はレーザ光の照射から反射光検出までの時間により算出される障害物検出部16とレーザ光を反射した物体(測定点)との距離と、回転駆動される走査鏡の角度とにより、レーザ光を反射した物体、即ちレーザ光を反射した測定点の相対位置を算出する。相対位置は、移動ロボット1を基準とした測定点の位置である。
【0032】
障害物検出部16は障害物判定部18を備えており、障害物センサ2の出力が障害物によるものか否かを判定する。障害物と判定されると、後述する通信部20より必要に応じて異常信号が出力され、また、移動制御部9が移動ロボット1の停止や減速などの予め定められた処理を行う。
【0033】
なお、障害物検出部16の障害物センサ2は、レーザセンサ以外のセンサで構成されてもよい。例えば、障害物検出部16は赤外線タイプのセンサで構成されてもよく、ミリ波レーダタイプのセンサや超音波センサで構成されてもよい。
【0034】
(6) 記憶部
記憶手段としての記憶部17は、移動ロボット1の各種処理に使用される情報を記憶している。記憶部17が記憶する情報には、以下1),2) が含まれる。
1)移動経路の情報を示した経路情報
2)位置算出部により算出された移動ロボット1の位置情報
【0035】
1)の経路情報は、本例の移動ロボット1が、例えば図7に示すような走行経路を走行する場合に必要となるコースに関する種々の制御情報である。図7に示す走行経路は、磁気ガイド3が、マーカn−1からマーカn+2のような複数のマーカにより複数の走行区間に区分されたものである。そして、図7に示すように、ロボットの走行経路中のマーカnとマーカn+1の間の区間には、破線A−A’で示したような位置に段差(例えば道路と歩道の間の段差等)があるものとし、かかる区間を特定走行区間と呼ぶものとする。
【0036】
図6は、図7に示すような走行経路に関する経路情報の内容を概念的に示した図である。経路情報には、経路の始点、経路の終点、及び各マーカの位置情報(XY座標)と、隣接する2つのマーカの間ごとに区切られた走行経路中の各区間(あるマーカ4から次のマーカ4までの区間)に関するデータが含まれる。各区間のデータには、当該区間の走行経路が直線又はカーブ(半径R)の別と、当該区間において磁気センサ11が磁気ガイド3を検出できる(「ガイド検出可能」)か又は検出できない可能性がある(「ガイド未検出可能性あり」)かの別が含まれる。「ガイド未検出可能性あり」走行区間は、段差などにより、ガイドやマーカを誤検出する可能性のある場所やグレーチング(側溝の蓋)で止む無くガイドが途切れたり設置できないような場所を走行する場合に設定され、この区間が「特定走行区間」となる。
【0037】
また、経路情報には、実際に設置されたマーカの位置座標だけでなく、マーカが設置されていない場所であっても、ロボットの行動が変化する場所の位置座標を記憶し、記憶した位置座標と、デッドレコニングで検出される自己位置を比較しながら走行するようにしてもよい。記憶する位置座標は、例えば、速度の変化する地点、カーブが始まる地点、旋回する地点などであり、これらの地点の位置座標を経路情報に記憶しておく。図6に示した経路情報はマーカ間の区間ごとに記憶されているが、上述のように設定された位置座標の経路としてデータを記憶してもよい。
また、経路情報には、各マーカを検出したときの制御命令が記憶されてよく、例えば、撮像ユニット7により、画像センシングを行う命令や、経路上の分岐点の進行方向を指定する命令などが、マーカに対応して記憶される。
【0038】
2)の位置情報は、自己位置検出部13の位置算出部15によって算出された移動ロボット1の自己位置情報である。
【0039】
(7) 撮像ユニット
撮像ユニット7は、移動ロボット1の本体上面に搭載されて移動ロボット1の周囲を撮像する手段である。本例では、複数のカメラを周方向に外向きに並べて全周をカバーするようにしている。
【0040】
(8) 通信部
通信部20は、遠隔の監視センタと信号を送受信する無線通信手段である。通信部20は、移動ロボット1が監視領域内で障害物等の異常を検知した場合、遠隔の監視センタに無線等で異常信号を出力する。また、通信部20は、撮像ユニット7が撮像した画像と自己位置検出部13が算出した移動ロボット1の位置を遠隔の監視センタに送信し、監視センタから送信された制御コマンドの信号を受信して後述する制御部21に入力する。
【0041】
(9) 制御部
制御部21は、移動ロボット1の各構成部分を統括的に制御する手段であり、CPU等を備えたコンピュータで構成される。本例では、磁気ガイド3を検出しつつ、これに沿って移動しながら、レーザセンサ2によって進行方向の前方を監視するとともに、撮像ユニット7で周囲の状況を観察しており、さらにマーカ4の検出により自己位置を適宜補正しているが、このような制御は本制御部21によって行っている。
【0042】
なお、上述した各部の構成で、その機能がコンピュータ処理によって実現可能なものは、同コンピュータで実現されてよい。例えば、路面情報抽出部12、位置算出部15、移動制御部9、障害物判定部18などは同コンピュータで実現されてよい。また、記憶部17は、同コンピュータのメモリおよび外部記憶装置などで実現されてよい。
【0043】
3.移動ロボットの制御系における情報処理の手順及びこれによる動作
以下、本例の移動ロボット1の走行時における制御手段21による制御動作を説明するが、まず本例の移動ロボット1が磁気ガイド3とマーカ4を検出して行う全体的な移動時の制御手順を説明し(図4)、次に図4の手順において、段差等の存在のために磁気ガイド3が検出されない可能性がある区間(前記特定走行区間)を走行する場合の走行制御の手順を説明する(図5)。各フローチャートを用いた以下の説明では、Sで始まる連続番号により制御手順の各ステップを示すものとする。
【0044】
(1) 磁気ガイド3とマーカ4を検出して行う移動時の制御手順(図4)
S01:走行開始後、記憶部17の経路情報(図6参照)から最初の走行区間の始点となるマーカ座標と当該区間の終点となるマーカ座標、及び最初の走行区間がガイド未検出の可能性がある特定走行区間であるか否かなどの経路情報を取得する。
S02:現在の走行区間が特定走行区間であるか否かが判断され、YESである場合はS20へ進み、図5のフローに示す特定走行区間における制御を行う。現在の走行区間が磁気ガイド3を検出可能な走行区間である場合(S02、NO)である場合はS03に進む。
【0045】
S03:移動ロボット1は、ガイドに沿って走行中、磁気センサ11が磁気ガイド3を検出しているか否かを判断して、検出されている場合はS04に進む。
S04:自己位置検出部13で算出した移動ロボット1の現在の自己位置(以下「現在位置」)が、区間の終点となるマーカ4の位置座標から予め定められた所定距離(例えば+50cm)過ぎているか否かが判定され、過ぎていない場合(S04、NO)はS03へ戻り、S03、S04の処理をくり返す。
S05:移動ロボット1の現在位置が、現在の走行区間の終点となるマーカ4の位置座標から予め定められた所定距離(例えば+50cm)以上過ぎている場合、マーカ位置を通り過ぎたと判定する(S04においてYES)。この場合、本来検出すべき位置でマーカを検出していないということであるから、何らかの画策によりマーカ4が消失した(例えばマーカ位置に磁石等が置かれた)ものと判断し、異常停止して(S14)監視センタに異常信号を出力する。
【0046】
S06:特定走行区間以外の区間において磁気ガイド3が検出されない場合(S03でNO)は、検出されない時間と移動ロボット1の走行速度から磁気ガイド3が検出されない空白部分の長さを算出しマーカ4に相当する所定長さ(例えばマーカ長±1cm)であるか否かが判断される。空白部分が所定長より短い場合又は長い場合のいずれかであればマーカ4でないとしてS07に進む。なお、ここでは、空白部分の長さが上述の所定長を越えると判断された時点で空白部分の全長を求めることなくS07へ進む。
S07:S06で磁気ガイド3が検出されない空白部分がマーカ4でないと判定された場合(S06,NO)、その空白部分がマーカ4の長さよりも長いか否かが判断される。
S08:空白部分がマーカ4の長さよりも長いと判断した場合(S07、YES)には、空白部分はマーカ4でなくマーカ4よりも長く続いているのでガイド消失と判断し、異常停止して(S14)監視センタに異常信号を出力する。これは例えば移動ロボットが走行経路から逸脱した場合や、ガイド上に物が置かれた場合に相当する。他方、空白部分がマーカ4の長さよりも短いと判断した場合(S07、NO)には、前述したS04に進む。この場合、現在位置が、現在の走行区間の終点となるマーカ4を通り過ぎていないときは、単なる誤検出と判断してS03へ戻るが、マーカ4の位置を通り過ぎているときは本来検出すべき位置でマーカを検出していないということであるからS05でマーカ消失と判断する。
【0047】
S09:S06でマーカ4に相当する空白部分が検出された場合(S06、YES)において、移動ロボット1の現在位置が現在の走行区間の終点となるマーカ4の位置座標から予め定められた所定距離(例えば±50cm)範囲内にあるか否かが判定される。
S10:移動ロボット1の現在位置がマーカ4の位置から予め定められた所定距離範囲外であると判定された場合(S09、NO)には、マーカ4を誤検知(画策)と判断する。これは、特定走行区間外(ガイド未検出の可能性なし)において、本来マーカ4が検出されるべき位置以外でマーカ相当の空白部分が検出されたということであるから悪意者による画策行為である可能性ありとして、異常停止して(S14)監視センタに異常信号を出力する。
【0048】
S11:移動ロボット1の現在位置がマーカ4の位置から予め定められた所定距離範囲内であると判定された場合(S09、YES)には、マーカ4が正しく検知されたものと判断して自己位置の補正を行う。すなわち、このマーカ4の位置情報(座標)により移動ロボット1の現在位置情報を書き換える。
【0049】
S12:そして、S11でマーカ4の検知を確認したことにより、移動ロボットは次の走行区間に入るので、当該次の走行区間の経路情報を記憶部17から読み出して現在の情報として更新する。
【0050】
S13:移動ロボット1が走行経路全体の終点まで到達したか否かが判断され、終点まで来ていない場合は(S13、NO)、S02に戻って上述した制御を繰り返す。
【0051】
(2) 特定走行区間における制御(図5)
S20:走行開始後、記憶部17の経路情報(図6参照)から取得した経路情報により、現在の走行区間が特定走行区間であると判断した場合(S02、YES)には、経路中の段差等をマーカと誤認識するなどの不都合を避けつつ経路に沿った走行を行うべく、特定走行区間における制御を開始する。
【0052】
S21:まず、制御部21は、特定走行区間の開始点の位置座標から終了点の位置座標までの間に仮想追従点を算出する。すなわち、図8に示すように、2つのマーカ4,4で区分される特定走行区間について、記憶部17の経路情報から両マーカ4の位置情報(XY座標)と、当該区間が直線であるか又は曲線(半径Rの情報も含む)であるかについての情報を読み出し、これらの情報に基づいて当該区間内のコース上に適当な間隔で位置する複数の仮想的な点の各位置を計算し、これらによって移動ロボット1が当該区間内で移動に際して追従すべき仮想追従点列を算出する。この仮想追従点は、路面に配設された磁気ガイド3が検出できない場合に、当該区間内を走行するために通過していく地点の位置座標として算出される情報である。図8において(a)は特定走行区間が直線の場合、同図(b)は半径Rの曲線の場合を示す。
【0053】
S22:磁気ガイド3が検出された場合は、S23に進み、検出されない場合はS26に進む。
【0054】
S23:移動ロボット1が走行中、磁気ガイド3が検出されている場合(S22,YES)は、先に計算した仮想追従点列は無視し、移動ロボット1は検出された磁気ガイド3に従って追従走行する。
S24:磁気ガイド3が検出されたときの現在位置の座標、角度から、先に算出した仮想追従点の各位置を補正する。すなわち、図9(a)に示すように、移動ロボット1が磁気ガイド3に沿って走行している際、そのコースが先に計算した仮想追従点列とずれている場合は、同図(b)に示すように、先に算出した仮想追従点の各位置を回転乃至平行移動の処理により検出した磁気ガイド3上の各位置に来るように補正する。すなわち、特定走行区間では、磁気ガイド3が検出されている間は、仮想追従点は使用しないで走行し、実際に検出された磁気ガイド3の位置情報に従って仮想追従点をより正確なものに補正する処理を行う。
【0055】
S25:磁気ガイド3が検出されない場合(S22、NO)は、先に算出しておいた仮想追従点に従って、自己位置検出部13で算出する現在位置を仮想追従点に近づけるように走行する。本手順によれば、当該特定走行区間中に存在する段差等によって移動ロボット1が磁気ガイド3を一時的に見失っても、移動ロボット1はこの磁気ガイド3の空白をマーカ4と判断することなく、記憶部17の経路情報から予め計算しておいた仮想追従点に従った走行を続行することができる。
【0056】
S26:S24及びS25による走行の結果、移動ロボット1が特定走行区間の終点に到達したか否かを判断する。この特定走行区間の終点は、実際にマーカが配設された地点より所定距離手前に設定されている。すなわち、自己位置検出部13で算出した移動ロボット1の現在位置と当該特定走行区間の最後のマーカ4の所定距離手前にある終点の位置情報とを読み出し、移動ロボット1が当該終点に達したか否かを判断する。到達していれば、本フローによる制御は終了して前述した図4のフローにおけるS03に戻る。移動ロボット1が特定走行区間の終了点に到達していない場合(S25、NO)には、S22に戻って上述した手順による制御を繰り返す。
【0057】
以上説明したように、本例によれば、走行経路に沿って設置された磁気ガイド3と磁気ガイド3の破断部分であるマーカ4を共通の検出手段である磁気センサ11で検出し、マーカ4の位置情報に基づいて自己位置を補正する移動ロボット1において、走行経路中に磁気ガイド3の読み取りができない段差等がある区間を予め特定走行区間として登録しておき、走行ロボット1は当該区間ではマーカによる判断をしないこととした。このため、特定走行区間において移動ロボット1が段差等を越える際に磁気ガイド3を検出できなくなっても、これをマーカ4と誤認して自己の位置を誤って判断するといった不都合が発生するおそれはなくなり、仮想追従点に沿ったデッドレコニングや磁気ガイド3に沿った走行制御により、所定のコースに沿った高い位置精度の走行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る移動ロボット1が利用される環境である監視区域の平面図と、同移動ロボット1の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本例の移動ロボット1の具体的な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、本例の移動ロボット1を示す底面図及び側面図である。
【図4】図4は、本例の移動ロボット1において磁気ガイド及びマーカを検知して行う走行制御のフローチャートである。
【図5】図5は、本例の移動ロボット1の走行制御において、特定走行区間における処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本例の移動ロボット1の記憶部に記憶されている経路情報を概念的に示す図である。
【図7】図7は、本例の移動ロボットの走行経路に沿って設置された磁気ガイド(走行ガイド)と、この磁気ガイドに沿って配置されて走行経路を複数の走行区間に区分するマーカを示す平面図である。
【図8】図8は、本例の移動ロボットの走行制御において、特定走行区間の開始座標から終了座標までの間に算出・設定した仮想追従点列を模式的に示す図である。
【図9】図9は、本例の移動ロボットの走行制御において、検出された磁気ガイドの座標・角度から先に算出した仮想追従点の各位置を補正する操作を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…移動ロボット
10…指示手段検出部
21…制御部
【出願人】 【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光

【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行


【公開番号】 特開2008−9930(P2008−9930A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182380(P2006−182380)