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【発明の名称】 異常検知装置及び異常検知プログラム
【発明者】 【氏名】新山 俊彦

【氏名】盛田 隆

【氏名】久保 善信

【要約】 【課題】複数のセンサからの信号に基づいて異常事態発生の有無を判定する場合であって、これらセンサからの信号の信頼性に差がある場合に、この信頼性の差を考慮して異常事態発生の有無を判定することができる異常検知装置を提供する。

【構成】異常事態を検知する複数のセンサ1〜6から信号値を受ける入力手段14と、入力手段14が受けた複数の信号値のうち1つ以上を変化させることで、変化させた信号値の変化度合いが、他の変化させた又は変化させない信号値の変化度合いと異なったものとなるように、複数の信号値に重み付けをする重み付け手段15と、重み付けされた複数の信号値に基づいて、総合的な異常指標値を算出する演算手段16aと、異常指標値を所定の基準値と比較することで前記異常指標値が異常を示しているかを判定し、異常を示していると判定した場合にはその旨を示す信号を出力する判定手段17aと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常事態を検知する複数のセンサから信号値を受ける入力手段と、
該入力手段が受けた前記複数の信号値のうち1つ以上を変化させることで、変化させた前記信号値の変化度合いが、他の変化させた又は変化させない前記信号値の変化度合いと異なったものとなるように、前記複数の信号値に重み付けをする重み付け手段と、
前記重み付けされた複数の信号値に基づいて、総合的な異常指標値を算出する演算手段と、
前記異常指標値を所定の基準値と比較することで前記異常指標値が異常を示しているかを判定し、異常を示していると判定した場合には所定の信号を出力する判定手段と、を備えることを特徴とする異常検知装置。
【請求項2】
前記重み付け手段は、前記複数のセンサの位置関係又は前記複数のセンサの種類に応じて前記重み付けを行う、ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知装置。
【請求項3】
異常事態を検知した時に異常を示す信号を出力する複数の第1グループセンサ及び1つ以上の第2グループセンサからの信号を受ける入力手段と、
該入力手段が受けた前記複数の第1グループセンサからの複数の信号のうち所定数以上が異常を示している場合には、異常を示す信号を出力する第1判定手段と、
前記入力手段が受けた前記第2グループセンサからの信号及び前記第1判定手段の出力信号のうち2以上の所定数以上が異常を示している場合には、所定の信号を出力する第2判定手段と、を有することを特徴とする異常検知装置。
【請求項4】
異常事態を検知する複数のセンサから信号値を受ける入力処理と、
該入力処理により受けた前記複数の信号値のうち1つ以上を変化させることで、変化させた前記信号値の変化度合いが、他の変化させた又は変化させない前記信号値の変化度合いと異なったものとなるように、前記複数の信号値に重み付けをする重み付け処理と、
前記重み付けされた複数の信号値に基づいて、総合的な異常指標値を算出する演算処理と、
前記異常指標値を所定の基準値と比較することで前記異常指標値が異常を示しているかを判定し、異常を示していると判定した場合には所定の信号を出力する判定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラム。
【請求項5】
異常事態を検知した時に異常を示す信号を出力する複数の第1グループセンサ及び1つ以上の第2グループセンサからの信号を受ける入力処理と、
該入力処理により受けた前記複数の第1グループセンサからの複数の信号のうち所定数以上が異常を示している場合には、異常を示す信号を出力する第1判定処理と、
前記入力処理により受けた前記第2グループセンサからの信号及び前記第1判定処理による出力信号のうち2以上の所定数以上が異常を示している場合には、所定の信号を出力する第2判定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスターミナル、石油化学プラント、浮遊式石油生産システムなどに配置された複数のセンサからの信号に基づいて火災やガス漏れなどの異常事態を検知する異常検知装置及び異常検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスターミナルや石油化学プラントなどにおいて、火災やガス漏れを検知するセンサを複数の箇所に配置しこれらセンサからの信号に基づいて所定の機器の動作を緊急停止する制御を行っている。このような場合に、これらセンサからの複数の信号を処理することが必要とされる。そのための信号処理表記方法として、例えば、標準規格「API RP 14C」が使用されている。この標準規格について図9の場合を例にとって説明する。
【0003】
図9のようなガスターミナルにおいてガス漏れが発生する場合を想定する。図9において、緊急停止対象機器であるガス設備46、47の周囲に、ガス検知器であるセンサ41〜44が複数配置されている。また、制御装置49は、センサ41〜44からの信号を処理し、異常事態が発生し緊急停止が必要と判断した場合に、ガス設備46、47に動作停止信号を出力する。
【0004】
制御装置49の信号処理方法は、上記標準規格に倣って例えば図10のマトリックスのように表わすことができる。
このマトリックス表記に従って、制御装置49は、ガス設備46の列で○印が付けられているセンサ41〜44のうち1つ以上からガス漏れを示す信号を受信すると、ガス設備46に動作停止信号を出力する。その一方、制御装置49は、ガス設備47の列で○印が付けられているセンサ41、42のうち1つ以上からガス漏れを示す信号を受信すると、ガス設備47に動作停止信号を出力する。即ち、このマトリックス表記は、センサ41〜44のうち1つ以上がガス漏れを検知した場合に、ガス設備46の動作を停止し、センサ41、42のうち1つ以上がガス漏れを検知した場合に、ガス設備47の動作を停止する信号処理を表わしている。
【0005】
上述の代わりに、次のように規定することもできる。制御装置49は、図10のマトリックス表記においてガス設備46の列で○印が付けられているセンサのうち2つ以上からガス漏れを示す信号を受信すると、ガス設備46に動作停止信号を出力する。また同様に、制御装置49は、マトリックス表記においてガス設備47の列で○印が付けられているセンサのうち2つ以上(両方)からガス漏れを示す信号を受信すると、ガス設備47に動作停止信号を出力する。
【0006】
このように、標準規格「API RP 14C」を用いると、複数の信号に基づいてどのガス設備の動作を停止させるかを、マトリックスにより簡単に表現できる。
【0007】
ところで、複数の信号を処理することに関連する先行技術文献として、例えば下記特許文献1がある。
この特許文献1には、複数の信号を論理ANDゲートを通して単一の信号に変換することで、信号の後続処理を簡単にする信号処理の技術が記載されている。従って、論理ANDゲートを用いた特許文献1の信号処理を図10の場合に当てはめると、特許文献1による信号処理は、ガス設備46又は47の各列において○印が付けられているセンサのすべてがガス漏れを検知するとガス設備46又は47の動作が停止されるようにする信号処理に相当する。
【0008】
【特許文献1】特開2004−227575号公報 「安全性関連プロセス情報の単一信号送信」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、風や空気の流れ等の環境条件や、緊急停止対象機器及び複数のセンサの位置関係や、センサの種類の違いなどにより、センサの出力信号の信頼性に差がある場合がある。上述の標準規格「API RP 14C」は、基本的にこのような信頼性の差を考慮した表記を目的としていない。従って、この従来の表記方法による信号処理では、センサの信頼性の差を考慮して異常事態発生の有無を判定することができない。
【0010】
例えば、図11に示すように、緊急停止対象機器35と各センサ31〜34との距離が異なっている位置関係がある場合に、センサ31〜34のいずれか1つがガス漏れを検知しても、機器35の運転にはおそらく影響はないが、全く影響がないとは言えない。そこで、複数のセンサ31〜34の2つ以上がガス漏れを検知した場合に、機器35の付近で異常事態が発生したと判断して機器35の動作を停止することが考えられる。しかし、そうした場合には、位置関係を十分に考慮した緊急停止制御となっていない。なぜなら、機器35の緊急停止判断においては、機器35から遠い位置にあるセンサほど、その出力信号の信頼性は低くなるからである。
【0011】
そこで、本発明は上記課題を解決するために創案されたものである。即ち、本発明の目的は、複数のセンサからの信号に基づいて異常事態発生の有無を判定する場合であって、これらセンサからの信号の信頼性に差がある場合に、この信頼性の差を考慮して異常事態発生の有無を判定することができる異常検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、上記目的を達成するため、異常事態を検知する複数のセンサから信号値を受ける入力手段と、該入力手段が受けた前記複数の信号値のうち1つ以上を変化させることで、変化させた前記信号値の変化度合いが、他の変化させた又は変化させない前記信号値の変化度合いと異なったものとなるように、前記複数の信号値に重み付けをする重み付け手段と、前記重み付けされた複数の信号値に基づいて、総合的な異常指標値を算出する演算手段と、前記異常指標値を所定の基準値と比較することで前記異常指標値が異常を示しているかを判定し、異常を示していると判定した場合には所定の信号を出力する判定手段と、を備えることを特徴とする異常検知装置が提供される。
また、本発明によると、上記目的を達成するため、異常事態を検知する複数のセンサから信号値を受ける入力処理と、該入力処理により受けた前記複数の信号値のうち1つ以上を変化させることで、変化させた前記信号値の変化度合いが、他の変化させた又は変化させない前記信号値の変化度合いと異なったものとなるように、前記複数の信号値に重み付けをする重み付け処理と、前記重み付けされた複数の信号値に基づいて、総合的な異常指標値を算出する演算処理と、前記異常指標値を所定の基準値と比較することで前記異常指標値が異常を示しているかを判定し、異常を示していると判定した場合には所定の信号を出力する判定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラムが提供される。
【0013】
上記異常検知装置及び異常検知プログラムでは、変化度合いに差がつくように複数のセンサからの複数の信号値に重み付けを行い、これら重み付けされた信号値に基づいて総合的な異常指標値を算出し、この異常指標値を所定の基準値と比較することで、異常事態発生の有無を判定することができる。従って、信号の信頼性の差に応じて上記変化度合いに差をつけることができるので、この信頼性の差を考慮した異常事態発生有無の判定が可能となる。
このように、環境条件、センサの位置関係又はセンサの種類によってセンサからの信号に信頼性の差が生じる場合でも、この点を考慮して異常事態発生の有無を判定できる。また、これにより、異常事態発生の誤検知によって機器を緊急停止させてしまう可能性を減らすことができ、プラント等の稼働率を上げることも可能になる。
なお、上記判定手段又は判定処理による判定は異常事態発生有無の最終的な判定であってもよいし、そうでなくてもよい。上記判定手段又は判定処理による判定が最終的な判定である場合には、上記判定手段又は判定処理により出力された所定の信号は、例えば、機器の緊急停止信号、警報器の作動信号などであってよい。一方、上記判定手段又は判定処理による判定が最終的な判定でない場合には、上記判定手段又は判定処理により出力された所定の信号と他の信号(例えば、他の1つ又は複数のセンサからの信号)とに基づいて、異常事態発生有無に関するさらなる判定を行ってよい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、上記装置において、前記重み付け手段は、前記複数のセンサの位置関係又は前記複数のセンサの種類に応じて前記重み付けを行う。
【0015】
このように、複数のセンサの位置関係又は複数のセンサの種類に応じて重み付けを行うので、センサの位置関係又は種類を考慮して異常事態発生の有無を判定できる。
【0016】
また、本発明によると、上記目的を達成するため、異常事態を検知した時に異常を示す信号を出力する複数の第1グループセンサ及び1つ以上の第2グループセンサからの信号を受ける入力手段と、該入力手段が受けた前記複数の第1グループセンサからの複数の信号のうち所定数以上が異常を示している場合には、異常を示す信号を出力する第1判定手段と、前記入力手段が受けた前記第2グループセンサからの信号及び前記第1判定手段の出力信号のうち2以上の所定数以上が異常を示している場合には、所定の信号を出力する第2判定手段と、を有することを特徴とする異常検知装置が提供される。
さらに、本発明によると、上記目的を達成するため、異常事態を検知した時に異常を示す信号を出力する複数の第1グループセンサ及び1つ以上の第2グループセンサからの信号を受ける入力処理と、該入力処理により受けた前記複数の第1グループセンサからの複数の信号のうち所定数以上が異常を示している場合には、異常を示す信号を出力する第1判定処理と、前記入力処理により受けた前記第2グループセンサからの信号及び前記第1判定処理による出力信号のうち2以上の所定数以上が異常を示している場合には、所定の信号を出力する第2判定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする異常検知プログラムが提供される。
【0017】
上記異常検知装置及び異常検知プログラムでは、第1グループセンサからの複数の信号のうち所定数が異常を示している場合には、異常を示す信号を出力し、この信号及び第2グループセンサからの信号のうち所定数以上が異常を示している場合に、異常事態が発生したと判定することができる。従って、出力信号の信頼性が低いセンサを第1グループセンサとし、出力信号の信頼性が高いセンサを第2グループセンサとすることで、信頼性の差を考慮した異常事態発生有無の判定が可能となる。
また、第1判定手段又は第1判定処理における信号処理、及び、第2判定手段又は第2判定処理の各々は、上述の「API RP 14C」に従った信号処理である。従って、本発明は既存の表記方法を応用したものとなるので、本発明を実施する場合でも、既存の表記方法を利用することができる。
なお、上記第2判定手段又は第2判定処理による判定は異常事態発生有無の最終的な判定であってもよいし、そうでなくてもよい。上記第2判定手段又は第2判定処理による判定が最終的な判定である場合には、上記第2判定手段又は第2判定処理により出力された所定の信号は、例えば、機器の緊急停止信号、警報器の作動信号などであってよい。一方、上記第2判定手段又は第2判定処理による判定が最終的な判定でない場合には、上記第2判定手段又は第2判定処理により出力された所定の信号と他の信号(例えば、他の1つ又は複数のセンサからの信号)とに基づいて、異常事態発生有無に関するさらなる判定を行ってよい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明によると、複数のセンサからの信号に基づいて異常事態発生の有無を判定する場合であって、これらセンサからの信号の信頼性に差がある場合に、この信頼性の差を考慮して異常事態発生の有無を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による異常検知装置を、図1に示す配置を例に説明する。図1において機器11、12の周囲に火災を検知するセンサ1〜9を配置する。センサ1〜3及び7〜9は光学式火災探知機であり、センサ4〜6は煙式火災探知機であり、光学式火災探知機の信頼性は煙式火災探知機よりも高いものとする。異常検知装置は、これらセンサ1〜9からの信号に基づいて、機器11、12の緊急動作停止制御を行う。
【0021】
第1実施形態による異常検知装置の構成を図2に基づいて説明する。図2は、異常検知装置10の構成を示す図である。なお、センサ1〜9は、異常事態を検知していない時も含めて、常時、その出力信号を異常検知装置10へ送信している。以下の説明において、センサ1〜9は、火災を探知した時には、その値が1の信号を出力し、火災を探知していない時にはその値が0の検知信号を出力するものとする。
【0022】
図2に示すように、異常検知装置10は、入力手段14と、重み付け手段15と、演算手段16a、16bと、判定手段17a、17bとを有する。
入力手段14は、複数のセンサ1〜9から信号値を受ける。重み付け手段15は、入力手段14が受けた複数の信号値のうち1つ以上を変化させることで、変化させた信号値の変化度合いが、他の変化させた又は変化させない信号値の変化度合いと異なったものとなるように、複数の信号値に重み付けをする。演算手段16a、16bは、重み付けされた複数の信号値に基づいて、総合的な異常事態発生度を示す異常指標値を算出する。判定手段17a、17bは、異常指標値を所定の基準値(図2の例では、2)と比較することで異常指標値が異常を示しているかを判定し、異常を示していると判定した場合には所定の信号(図2の例では、機器11、12への動作停止信号)を出力する。
なお、異常検知装置10の上記各手段は電子回路により構成することができる。
【0023】
次に、上述の構成を有する異常検知装置10による処理動作を図3に基づいて説明する。図3は、異常検知装置10による処理動作を示すフローチャートである。
本実施形態による異常検知装置10は、センサ1〜9からの信号を処理することで、機器11、12に対して動作停止信号を出力するか否かを判定する。
【0024】
まず最初に、機器11に対する処理動作について説明する。
ステップS1において、入力手段14はセンサ1〜6から信号を受ける。
ステップS2において、重み付け手段15は、センサ1〜3からの信号値を1倍する一方で、センサ4〜6からの信号値を0.5倍して重み付けをする。
ステップS3において、重み付けされた各信号値は演算手段16aに入力され、演算手段16aは、これら信号値の和を異常指標値として算出し、これを判定手段17aへ出力する。
ステップS4において、判定手段17aは、入力された異常指標値を所定値(図3の例では、2)と比較し、異常指標値がこの所定値以上であれば、機器11又はその付近で異常事態が発生したと判定し、ステップS5へ進む。一方、判定手段17aは、異常指標値がこの所定値より小さければ、機器11又はその付近で異常事態は発生していないと判定し、ステップS1へ戻る。
ステップS5において、判定手段17aは機器11へ動作停止信号を出力し機器11の動作を緊急停止させる。
【0025】
次に、機器12に対する処理動作を同様に図3に基づいてついて説明する。機器12の動作停止制御も、以下のように、機器11に対する処理動作と同様に行うことができる。
ステップS1において、入力手段14はセンサ5〜9から信号を受ける。
ステップS2において、重み付け手段15は、センサ7〜9からの信号値を1倍する一方で、センサ5、6からの信号値を0.5倍して重み付けをする。
ステップS3において、重み付けされた各信号値は演算手段16bに入力され、演算手段16bは、これら信号値の和を異常指標値として算出し、これを判定手段17bへ出力する。
ステップS4において、判定手段17bは、入力された異常指標値を所定値(図3の例では、2)と比較し、異常指標値がこの所定値以上であれば、機器12又はその付近で異常事態が発生したと判定し、ステップS5へ進む。一方、判定手段17bは、異常指標値がこの所定値より小さければ、機器12又はその付近で異常事態は発生していないと判定し、ステップS1へ戻る。
ステップS5において、判定手段17bは機器12へ動作停止信号を出力し機器12の動作を緊急停止させる。
【0026】
第1実施形態では、信頼性の高い光学式のセンサ1〜3、7〜9からの検知信号に大きな重み付けをし、信頼性が低い煙式のセンサ4〜6からの検知信号には小さな重み付けをするので、センサ1〜9の信頼性の差を考慮した異常事態発生有無の判定が可能となる。
【0027】
また、上述の動作停止制御を図4のようにマトリックス表記することができる。図4において、火災を探知したセンサのみを計算対象として、機器11の列において数値の合計が2以上となった場合に、機器11へ動作停止信号を出力し、同様に、機器12の列の数値の合計が2以上となった場合に、機器12へ動作停止信号を出力する。このように、マトリックス表記した場合にも、分かりやすく表わすことができ、第1実施形態による信号処理法は安全関連システムの設計段階においても有利である。
【0028】
次に、緊急停止対象の機器及び複数のセンサの位置関係を考慮した第1実施形態による異常検知装置10の別の例を説明する。
図11において、センサ31〜34は同じ種類のガス漏れを検知するガス検知器であるが、緊急停止対象の機器35からの距離が異なる。従って、機器35の位置における異常事態の判断要素としての、各センサ31〜34からの信号は、上記距離が異なる分だけ信頼性が異なる。なお、センサ31〜34は、ガス漏れを検知した時には、その値が1の信号を出力し、ガス漏れを検知していない時にはその値が0の検知信号を出力するものとする。
上記位置関係を考慮して、第1実施形態による異常検知装置10を適用すると、例えば図5のような構成を取ることができる。
【0029】
図5に示すように、重み付け手段15は、センサ31からの信号値を1.3倍する一方で、センサ32〜34からの信号値を0.7倍して重み付けをする。
重み付けされた各信号値は演算手段16aに入力され、演算手段16aは、これら信号値の和を異常指標値として算出し、これを判定手段17aへ出力する。判定手段17aは、入力された異常指標値を所定値(図5の例では、2)と比較し、この所定値以上であれば、機器35又はその付近で異常事態が発生したと判断し、機器35へ動作停止信号を出力する。
【0030】
このようにして、動作停止対象の機器35からの距離に応じて各センサ31〜34からの信号の値に対する重み付けを行うことにより、機器及びセンサの位置関係を考慮して、機器35又はその付近における異常事態発生、即ち、機器35の緊急停止の必要性の有無を判定できる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態による異常検知装置20について説明する。第1実施形態と同様に図1に示す配置を想定するが、異常事態と判定することになる事象が第1実施形態と異なる。
【0032】
図6は第2実施形態による異常検知装置20の構成図である。第2実施形態による異常検知装置20は、入力手段14と、複数の判定手段21a、21b、22a、22b(図6の例では、第1判定手段21a、21bと第2判定手段22a、22b)とを有する。なお、図6の第1判定手段21a、21bと第2判定手段22a、22bにおけるマーク「MooN」は、N個の入力信号のうちM個以上が異常を示している場合には、異常を示す信号又は動作停止信号を出力することを示している。
入力手段14は、異常事態(この例では、火災)を検知した時は異常を示す信号を出力する複数の第1グループセンサ4〜6及び1つ以上の第2グループセンサ1〜3、7〜9からの信号を受ける。図6に示すように、第1判定手段21a、21bは、それぞれ所定数(図6の例では、1つ)以上の第1グループセンサ4、5、6から異常を示す信号を受けた場合に、異常を示す信号を出力する。図6に示すように、第2判定手段22a、22bは、第1判定手段21a、21b及び第2グループセンサ1〜3、7〜9から信号を受け、第1判定手段21a、21b及び第2グループセンサ1〜3、7〜9のうち2以上の所定数(図6の例では、2つ)以上から異常を示す信号を受けた場合には、所定の信号(図6の例では、機器11、12への動作停止信号)を出力する。
なお、異常検知装置20の上記各手段は電子回路により構成することができる。
【0033】
次に、上述の構成を有する異常検知装置20による処理動作を図7に基づいて説明する。図7は、異常検知装置20による処理動作を示すフローチャートである。
本実施形態による異常検知装置20は、第1グループセンサ4〜6及び第2グループセンサ1〜3、7〜9からの信号を処理することで、機器11、12に対して動作停止信号を出力するか否かを判定する。
【0034】
まず最初に、機器11に対する処理動作について説明する。
ステップS1において、入力手段14は第1グループセンサ4〜6及び第2グループセンサ1〜3から信号を受ける。
ステップS2において、第1判定手段21aは、第1グループセンサ4〜6からの信号のうち所定数(図7の例では、1つ)以上が異常を示している場合には異常を示す信号を出力し、そうでない場合には別の信号を出力する。
ステップS3において、第2判定手段22aは、第2グループセンサ1〜3からの信号及び第1判定手段21aの出力信号のうち所定数(図7の例では、2つ)以上が異常を示している場合には、機器11又はその付近で異常事態が発生したと判定し、ステップS4へ進む。一方、第2判定手段22aは、第2グループセンサ1〜3からの信号及び第1判定手段21aの出力信号のうち所定数(図7の例では、2つ)以上が異常を示していない場合には、機器11又はその付近で異常事態が発生していない判定し、ステップS1へ戻る。
ステップS4において、第2判定手段22aは、機器11へ動作停止信号を出力し機器11の動作を緊急停止させる。
【0035】
次に、機器12に対する処理動作を同様に図7に基づいて説明する。機器12の動作停止制御も、以下のように、機器11に対する処理動作と同様に行うことができる。
ステップS1において、入力手段14は第1グループセンサ5、6及び第2グループセンサ7〜9から信号を受ける。
ステップS2において、第1判定手段21bは、第1グループセンサ5、6からの信号のうち所定数(図7の例では、1つ)以上が異常を示している場合には異常を示す信号を出力し、そうでない場合には別の信号を出力する。
ステップS3において、第2判定手段22bは、第2グループセンサ7〜9からの信号及び第1判定手段21bの出力信号のうち所定数(図7の例では、2つ)以上が異常を示している場合には、機器12又はその付近で異常事態が発生したと判定し、ステップS4へ進む。一方、第2判定手段22bは、第2グループセンサ7〜9からの信号及び第1判定手段21bの出力信号のうち所定数(図7の例では、2つ)以上が異常を示していない場合には、機器12又はその付近で異常事態が発生していない判定し、ステップS1へ戻る。
ステップS4において、第2判定手段22bは、機器12へ動作停止信号を出力し機器12の動作を緊急停止させる。
【0036】
第2実施形態では、信頼性の高い光学式のセンサ1〜3、7〜9を重要度の高い第2グループセンサとし、信頼性が低い煙式のセンサ4〜6を重要度の低い第1グループセンサとすることで、センサ1〜9の信頼性の差を考慮した異常事態発生有無の判定が可能となる。
【0037】
また、上述の動作停止制御を図8のようにマトリックス表記することができる。
図8において、機器11については、機器11の列において、印Xが付いたセンサ1〜3のうち2つ以上が異常を示す信号を出力する場合、又は、印Xが付いたセンサ1〜3のうち1つ及び印Aが付いたセンサ4〜6のうち1つ以上が異常を示す信号を出力する場合に、機器11の動作を停止する。
図8において、機器12については、機器12の列において、印Xが付いたセンサ7〜9のうち2つ以上が異常を示す信号を出力する場合、又は、印Xが付いたセンサ7〜9のうち1つ及び印Aが付いたセンサ5、6のうち1つ以上が異常を示す信号を出力する場合に、機器12に動作停止信号を出力する。このように、マトリックス表記した場合にも、分かりやすく表わすことができ、第2実施形態による信号処理法は安全関連システムの設計段階においても有利である。
【0038】
[プログラム]
第1実施形態及び第2実施形態による異常検知装置10、20の処理動作を行うプログラムは、本発明の異常検知プログラムに相当するものであり、このプログラムを半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録したり、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
また、上記異常検知プログラムを記憶する記憶装置を異常検知装置10、20に設けることができ、異常検知装置10、20をコンピュータとして構成することができる。
【0039】
[他の実施形態]
本発明は上述した実施の形態に限定されず、次のように本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加えることができる。
【0040】
上述した実施形態では、センサ1〜9、31〜34は火災探知器、ガス検知器であったが、他の異常事態を検知するセンサであってもよい。
また、異常検知装置10、20は、異常事態が発生したと判定した場合には、その旨の信号として動作停止信号を出力したが、他の信号を出力してもよい。例えば、警報器を作動させるための信号など、異常事態を知らせるための信号を出力してもよい。
【0041】
上述した実施形態による異常検知装置10、20は、ガスターミナルや石油化学プラント等の様々な工場や設備に適用できる。
例えば、本発明は、浮遊式石油生産システム(FPSO: floating production, storage and off-loading)にも適用することができる。このFPSOは、洋上に浮遊し海底から原油をくみ上げ貯蔵する設備であって、浮体に設けられた処理設備、貯油タンク、積出設備などを備える。処理設備、貯油タンクなどの周囲に配置された複数のセンサからの信号に基づいて、特定箇所の異常事態発生の判定をその環境等に応じて行うことができる。
【0042】
上述の第1実施形態では、重み付け手段15は、入力信号値に係数を乗算して重み付けを行ったが、入力信号にある値を加算して入力信号値を増減させてもよい。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、重み付けを行うとは、入力値に1を乗算することも含む。
【0043】
上述の第1及び第2実施形態では、判定手段17a、17b、第2判定手段22a、22bの各々によって、機器11、12又はその付近における異常事態発生有無の最終的な判定をしたが、本発明はこれに限定されない。即ち、判定手段17a、17b、第2判定手段22a、22bの各々からの所定の信号と他の信号(例えば、図示されない他の1つ又は複数のセンサからの信号)とに基づいて、機器11、12又はその付近などにおける異常事態発生有無に関する判定を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態による異常検知装置を適用するセンサ及び機器の配置例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による異常検知装置の構成図である。
【図3】図2の異常検知装置による処理動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態による信号処理を表わすマトリックス表記である。
【図5】本発明の第1実施形態による異常検知装置の別の構成図である。
【図6】本発明の第2実施形態による異常検知装置の構成図である。
【図7】図6の異常検知装置による処理動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態による信号処理を表わすマトリックス表記である。
【図9】ガス設備とセンサの配置例を示す図である。
【図10】従来の信号処理を表わすマトリックス表記である。
【図11】機器とセンサの配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1〜9 センサ、10、20 異常検知装置
11、12 機器、14 入力手段、15 重み付け手段
16a、16b 演算手段、17a、17b 判定手段
21a、21b 第1判定手段、22a、22b 第2判定手段
31〜34 センサ、35 機器
【出願人】 【識別番号】502422351
【氏名又は名称】株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実


【公開番号】 特開2008−15862(P2008−15862A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−187636(P2006−187636)