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【発明の名称】 不良診断機能を有する制御回路
【発明者】 【氏名】速水 健一

【要約】 【課題】診断手段によりどのリレーが故障しているかを認識できるようにすることで、回路の信頼性の向上を確保した上で、リレーの故障にも迅速に対処することができる制御回路を提供する。

【構成】直列配置された少なくとも2つの開閉器7、8を有する駆動回路を備え、前段側の開閉器8が通電されてから所定時間経過後にこの前段側の開閉器8直後に配置された後段側の開閉器7が通電されることによって駆動部材Mを駆動制御するように構成された制御回路において、前記複数の開閉器7、8の中から故障した開閉器を特定するための診断手段10が設けられている。診断手段10は、各開閉器7、8側から当該診断手段10に入力される電流値もしくは電圧値などに基づいて、故障した開閉器を特定するようになされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列配置された少なくとも2つの開閉器を有する駆動回路を備え、前段側の開閉器が通電されてから所定時間経過後にこの前段側の開閉器直後に配置された後段側の開閉器が通電されることによって駆動部材を駆動制御するように構成された制御回路において、
前記複数の開閉器の中から故障した開閉器を特定するための診断手段が設けられたことを特徴とする不良診断機能を有する制御回路。
【請求項2】
前記診断手段は、前記各開閉器側から当該診断手段に入力される電流値もしくは電圧値、又は温度センサから診断手段に入力される各開閉器の検出温度に基づいて、故障した開閉器を特定するようになされたことを特徴とする請求項1記載の不良診断機能を有する制御回路。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作動機器の作動を制御するための制御回路、例えば駆動モータを駆動制御するモータ駆動回路などにおける不良診断機能を有する制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する制御回路の先行技術としては、荷台に荷受台が昇降手段により昇降自在に設けられた荷受台昇降装置に適用されているものがある。具体的には、モータ駆動回路により駆動モータを作動制御することで油圧発生装置(油圧ポンプ)を通じて荷受台の昇降動作を制御するように構成していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、上述したようなモータ駆動回路では、機械式の有接点リレーを使用した場合にこの有接点リレーの溶着等による作動不良に伴って駆動モータに焼付け不良が生じる危険が大きいことから、例えば上記有接点リレーと無接点リレーとしての電界効果トランジスタ(FET)とを直列に配置し、前段側となる有接点リレーを通電させてから所定時間経過後に後段側となる無接点リレーを通電させて上記モータ駆動回路を開閉制御することで回路の信頼性の向上を図っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第3110526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のものでは、何れかのリレーが故障した場合に、これを判断する機能、並びにどちらのリレーが故障したか判断する機能がない。このため、何れかのリレーが故障している場合でもこれを認識することができずにそのまま使用していることがあり、安全性の低下を招いていた。また、故障していることが認識できたとしてもどちらのリレーが故障しているかが迅速に判断できず、どちらのリレーが故障しているか調べて修理するまでに時間を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、診断手段によりどのリレーが故障しているかを認識できるようにすることで、回路の信頼性の向上を確保した上で、リレーの故障にも迅速に対処することができる制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明の不良診断機能を有する制御回路は、直列配置された少なくとも2つの開閉器を有する駆動回路を備え、前段側の開閉器が通電されてから所定時間経過後にこの前段側の開閉器直後に配置された後段側の開閉器が通電されることによって駆動部材を駆動制御するように構成された制御回路において、前記複数の開閉器の中から故障した開閉器を特定するための診断手段が設けられたものである。
【0007】
請求項2に係る発明の不良診断機能を有する制御回路は、前記診断手段が、前記各開閉器側から当該診断手段に入力される電流値もしくは電圧値、又は温度センサから診断手段に入力される各開閉器の検出温度に基づいて、故障した開閉器を特定するようになされたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、診断装置によって入力される電流値もしくは電圧値などに基づいて故障したリレーを特定することができるので、故障に対する修理等の処理を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
まず、本発明の制御回路を説明するにあたって、この制御回路を適用する装置として、荷受台昇降装置を例にとって当該荷受台昇降装置を図2乃至図4を参照しながら説明する。
【0011】
図2は、格納式の荷受台昇降装置の概略構成を示している。
【0012】
図2において、1は車輌の車枠11上に搭載された荷台で、この荷台1の後端下方に格納式の荷受台昇降装置2が設けられている。
【0013】
この荷受台昇降装置2は、車枠11に設けられた取付部材3と、この取付部材3にリンク機構4を介して設けられた荷受台5とを備えている。
【0014】
取付部材3は、前記車枠11の後端部に前後方向に配設されたスライドレール12に沿って前後方向にスライド自在に設けられている。
【0015】
具体的には、スライドレール12は例えばI形鋼からなり、その途中のウエブを垂直にして配置され、このスライドレール12にスライド部材3が図示しないスライド機構を介してスライド自在に設けられている。スライド機構としては、例えばスライドレール12の上下フランジを上下から挟んだ状態で摺接するスライドパッドと、スライドレール12のウエブの外側面をスライド方向に転動するローラなどで構成されており、例えばスライドシリンダ等の作動手段や、又は手動によって取付部材3をスライドレール12に沿ってスライドさせるようにしている。
【0016】
この取付部材3には、駆動軸6が水平に軸支されている。駆動軸6には駆動アーム61の基端部が一体に固設され、この駆動アーム61の先端部に同じく取付部材3に設けられたリフトシリンダ62の伸縮ロッド62aの先端が連結されている。
【0017】
また、駆動軸6には回動ブラケット63の基端部が一体に設けられており、回動ブラケット63の途中部に後述するリフトリンク41の基端部が枢支されている。
【0018】
前記リンク機構4は、リフトリンク41と連結リンク42とで構成されている。
【0019】
リフトリンク41は、その基端部が前記回動ブラケット63の途中部に枢軸41aにより枢支されている。
【0020】
このリフトリンク41の基端部寄りの下面には、前記回動ブラケット63の先端部に設けられた当接ボルト64が当接可能に構成されており、当接ボルト64がリフトリンク41の基端部寄りの部位に下方から当接することで、前記リフトシリンダ62の伸縮動作を前記駆動アーム61、駆動軸6を介して回動ブラケット63の回動動作としてリフトリンク41に伝達することができ、これによりリフトリンク41が上下に回動する。
【0021】
連結リンク42は、その基端部が前記取付部材3に枢軸42aにより枢支されている。
【0022】
上述したスライドレール12、取付部材3、リンク機構4、駆動軸6等の各部材は車枠11の両側に左右一対設けられており、左右の取付部材3はスライドレール12を同調してスライドするように連結部材3aによって連結されている。
【0023】
前記荷受台5は、先端側部材51と基端側部材52とで構成されており、これら先端側部材51と基端側部材52とはヒンジ53によって該先端側部材51が基端側部材52の上面に2つ折り自在になされている。
【0024】
基端側部材52の基端部左右両側には、ブラケット54を介してその上部に前記左右の連結リンク42の先端部が枢軸42bにより枢支され、その下部に前記左右のリフトリンク41の先端部が枢軸41bにより枢支されている。
【0025】
また、先端側部材51の先端は楔状に形成されており、荷受台5が地上に達した際に図2の一点鎖線で示すように傾動することで、この先端が地上に段差なく接地するようになされている。
【0026】
次に、このように構成された格納式の荷受台昇降装置の動作について説明する。
【0027】
荷受台昇降装置2の基本的な動作としては、この荷受台昇降装置2が、前述した作動手段等により、荷受台5を折り畳んだ状態で取付部材3をスライドレール12の前端部にスライドさせて格納する格納位置A(図3参照)と、取付部材3をスライドレール12の後端部にスライドさせて折り畳んだ荷受台5を先端側部材51と基端側部材52とが水平状態になるように展開するとともに、その展開した荷受台5の折り畳みを行う展開・折り畳み位置B(図4参照)と、荷受台5を展開した状態で取付部材3をスライドレール12の途中位置にスライドさせてこの荷受台5を地上と荷台1の床面との間で昇降作動させる昇降作業位置C(図2参照)とに配置可能になされている。
【0028】
そして、まず、図3に示すように格納位置Aに配置された荷受台昇降装置2により荷物の積降ろし作業を行う場合は、この状態で取付部材3をスライドレール12の前端部から後端部にスライドさせることで、荷受台5を折り畳んだ状態で荷受台昇降装置2を図4に示す展開・折り畳み位置Bに配置させる。
【0029】
このようにして荷受台昇降装置2が展開・折り畳み位置Bに配置されると、折り畳まれた荷受台5の先端側部材51を後方に回動させて基端側部材52と先端側部材51とが水平になるように展開する。この荷受台5の展開は、当該荷受台5全体を荷台1及び車枠11の後方に引き出した状態で行っているため、荷受台5が荷台1及び車枠11に干渉することがない。
【0030】
そして、この状態で荷受台昇降装置2を上記展開・折り畳み位置Bから昇降作業位置C側にスライドさせて取付部材3が昇降作業位置Cに達すると図示しない位置決め手段によって荷受台昇降装置2を当該昇降作業位置Cで位置決めする。
【0031】
これにより、荷受台5はリフトシリンダ62の伸縮動作により地上と荷台1の床面との間で昇降可能な状態になり、この昇降動作によって荷受台5を通じて地上と荷台1との間で荷物の積降ろし作業を行う。
【0032】
次に、荷物の積降ろし作業が終了して荷受台昇降装置2を格納する場合には、荷受台昇降装置2を昇降作業位置Cから一旦、展開・折り畳み位置Bに配置し、この位置において荷受台5の先端側部材51を折り畳む。この荷受台5の折り畳みは、前述した荷受台5の展開と同様に荷受台5全体を荷台1及び車枠11の後方に引き出した状態で行なっており、このため荷受台5が荷台1及び車枠11と干渉することはない。
【0033】
そして、このように荷受台5を折り畳んだ状態で荷受台昇降装置2を展開・折り畳み位置Bから格納位置A側にスライドさせて格納位置に配置する。
【0034】
ところで、上述のようにして荷受台5の昇降動作を行うリフトシリンダ62の伸縮動作は、格納式荷受台昇降装置2の制御回路によって制御されている。具体的には、制御回路に組み込まれたモータ駆動回路により図示しない油圧回路の駆動モータM(図1参照)を駆動制御することで、油圧ポンプの作動を制御するとともに、当該制御回路にモータ駆動回路と共に組み込まれた各リレー等によって油圧回路に設けられた各電磁制御弁を切り換え、これによってリフトシリンダ62への圧油の給排経路を切り換えることでリフトシリンダ62の伸縮動作を制御している。
【0035】
図1は、上述したモータ駆動回路の具体的な構成を示している。
【0036】
図1において、Mは前記油圧ポンプを駆動させるための駆動部材としての駆動モータであって、直列的に配置された開閉器としての無接点リレー7と有接点リレー8との開閉によって駆動が制御されるように構成されている。
【0037】
なお、ここでは上記無接点リレー7として例えば電界効果トランジスタ(FET)が用いられており、また上記有接点リレー8として機械式リレー(コンタクタ)が用いられている。
【0038】
具体的な回路構成は、メインスイッチSW1と操作スイッチSW2とのON/OFF操作に基づいて無接点リレー7と有接点リレー8の両者の開閉を制御する制御部9を設けている。
【0039】
従って、メインスイッチSW1と操作スイッチSW2の両者がON操作された場合に制御部9によって、まず有接点リレー8を閉じた後に、所定時間(例えば0.2秒)経過後に無接点リレー7を閉じ、これによって駆動モータMを駆動させる。
【0040】
このように駆動モータMを駆動させるとともに、制御回路に組み込まれている各種リレーやセンサなどによって各電磁切換弁のソレノイドを作動制御することで、当該電磁切換弁を切換えてリフトシリンダ62への圧油の給排経路を変更し、これによってリフトシリンダ62を伸縮作動させて荷受台5を前述したように昇降作動させる。
【0041】
また、操作スイッチSW2をOFF操作することで制御部9によって、まず無接点リレー7を開き、これによって駆動モータMを停止させる。その後、所定時間(例えば0.2秒)経過後に有接点リレー8を開く。
【0042】
このように制御部9によって無接点リレー7もしくは有接点リレー8を遅延させながら両者の開閉制御を行うことで、無接点リレー7と有接点リレー8との両者が同時に作動不良を起こさない限り、駆動モータMの駆動停止を確実に行うことができ、このような二重の安全対策を施したことで、駆動モータMの焼き付けを防止する上で十分な信頼性を確保することができる。
【0043】
そして、このように構成された制御回路には、診断手段としての診断装置10が設けられている。
【0044】
この診断装置10には、有接点リレー8の出力側から、並びに無接点リレー7の出力側から電流値もしくは電圧値がそれぞれ入力されており、このようにして検出する電流値もしくは電圧値に基づいて無接点リレー7及び有接点リレー8の故障を判断するように構成している。
【0045】
具体的には、有接点リレー8が故障して閉じた状態となっている場合では、診断装置10には有接点リレー8の出力側から常に電流値もしくは電圧値が入力されるようになっており、これによって有接点リレー8が故障していると判断する。
【0046】
一方、無接点リレー7が故障して閉じた状態となっている場合では、スイッチ操作によって有接点リレー8が閉じると正常時のような所定時間経過した後ではなく、有接点リレー8が閉じると同時に診断装置10には無接点リレー7の出力側から電流値もしくは電圧値が入力されることになり、これによって有接点リレー8が故障していると判断する。
【0047】
そして、このようにして診断装置10で故障を判断すると、当該診断装置10では警報手段10Aに作動信号を出力して当該警報手段10Aを作動させる。
【0048】
警報手段10Aとしては、ブザーやランプなどが用いられ、これらを作動させることで作業者に無接点リレー7や有接点リレー8が故障したことを知らせるようにしている。
【0049】
このように診断装置10によって入力される電流値もしくは電圧値に基づいて故障したリレーを特定することができ、また、これとともに故障したことを警報手段10Aによって作業者に知らせることができるので、故障に対する修理等の処理を迅速に行うことができる。
【0050】
図5は、各リレー7、8の温度を検出する温度センサ10Bを当該各リレー7、8にそれぞれ設け、診断装置10ではこの温度センサ10Bによる温度検出に基づいて無接点リレー7もしくは有接点リレー8が故障したものと判断するようにしている。
【0051】
即ち、無接点リレー7や有接点リレー8が故障して閉じた状態になると、故障した無接点リレー7や有接点リレー8が高温になることから、これを各温度センサ10Bで検出して診断装置10に出力することで、当該診断装置10によって無接点リレー7及び有接点リレー8の故障を特定して判断するようにしている。
【0052】
これによっても前述したと同様に故障に対する修理等の処理を迅速に行うことができる。
【0053】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々設計変更可能である。
【0054】
例えば、本発明の制御回路を適用するのは荷受台昇降装置だけに限るものではなく、各種の装置に適宜に適用することができる。
【0055】
また、開閉器としては、無接点や有接点のリレーの他、IGBTやトランジスタなども含む。そして、前述したような無接点リレー7と有接点リレー8との組み合わせだけに限らず、無接点リレー同士や有接点リレー同士の組み合わせでもよく、これらの開閉器が少なくとも2個直列に配置されているものであればよい。
【0056】
さらに、駆動部材としては、駆動モータMに限らず、開閉器の開閉動作によって駆動するソレノイドやランプなどの部材も含む。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の不良診断機能を有する制御回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の不良診断機能を有する制御回路を適用する一例として作業位置に配置している荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図3】本発明の不良診断機能を有する制御回路を適用する一例として格納位置に配置している荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図4】本発明の不良診断機能を有する制御回路を適用する一例として展開・折り畳み位置に配置している荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図5】本発明の不良診断機能を有する制御回路の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
7 無接点リレー
8 有接点リレー
10 診断装置(診断手段)
10B 温度センサ
M 駆動モータ(駆動部材)
【出願人】 【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗


【公開番号】 特開2008−3814(P2008−3814A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171896(P2006−171896)