トップ :: G 物理学 :: G04 時計

【発明の名称】 多機能同軸型修正器
【発明者】 【氏名】ヴィンセント・ラウセラ

【氏名】エリック・ゴエラー

【要約】 【課題】いくつかの時間に関係した又は関係しない機能を時計の胴に設けられた1つの制御体によって発揮させ、および/又は変更させることが出来る時計用修正器を提供する。

【解決手段】本発明にかかる修正器はプッシュア10を含む単一の外部制御手段を有する。プッシュア10の頭部11と管部13は制御ボタン15を構成する。この制御ボタン15はラック35を作動させる。ラック35の一端に枢着されたレバー45の駆動アーム49はプッシュアの管部13と係合し、被駆動アーム51はレバー45の回動によって決められた修正部材9aと対向する事ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴3に設けた単一外部制御部1によって決定した機能を選択および/又は変更する時計用多機能同軸補正器であって、この同軸補正器は、
頭部11と管部13を有するプッシュア10と、
底部21に設けた円形凹み19を具備し、竜頭17を有する制御ボタン15と、
上記制御ボタン15に固定された制御ステム25と、上記制御ステム25にその端部27を介して直接的又は間接的に固定された歯29aを有する駆動ピニオン29と、
上記駆動ピニオン29と歯合する歯37を有するラック35と、
上記駆動アーム49と被駆動アーム51を有し、上記ラック35上に枢着点47を有するレバー45と
を具備し、
上記制御ボタン15を回動することによって、上記ラック35を移動させ、これによって上記レバー45の被駆動レバー51の端部を機能補正部材9に対向させ、そして上記プッシュア10上に1回又は複数回加圧力を与えることにより選択された機能を実行および/又は変更することを特徴とする同軸補正器。
【請求項2】
頭部11と管部13はプッシュア10を構成する2つの部材であり、制御ボタン15の凹み19の底部21部材であり、制御ボタン15の凹み10の底部21に形成した孔22を貫通する連結用突起12によって、上記制御ボタン15に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項3】
円筒状管部23は凹み19の底部21に固定され、これによって制御ステム25との接続手段を形成していることを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項4】
駆動ピニオン29は制御ステム25上で回転出来るように取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項5】
制御ステムの一端には断面矩形部、他端には溝部28を形成しており、またこの制御ステム上で自由に回転するように取付けた駆動ピニオン29はレバーを介して溝32を有するスライディングピニオン30の対応する歯34bと歯合できる環状歯29bを有することを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項6】
スライディングピニオン30は、押圧力が制御ボタン15に加わった時に、巻取り用、時間設定用或いは他の機能を実行するホイールと係合するための第2のブルゲ歯34aを有することを特徴とする請求項5記載の同軸修正器。
【請求項7】
ラック35は長く延びたプレート36の形状をしており、このプレート36の移動範囲は底板に又はプレート36の孔41に係合する2つの螺子39によって制御されることを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項8】
ラック35は更にノッチ43を具備し、シャンパバネ38の端部40がこのノッチと係合することにより、これによって制御ボタン15によって選択された位置にラック35を保持することを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項9】
レバー45はU字型であり、このレバー45の駆動アーム49はプッシュア10の管部13の肩部と接合するものであり、またレバー45は外側に彎曲した端部52を有する被駆動アーム51を有することを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項10】
胴3は制御ボタン17に設けた矢印7と対向する表示機能表記印5を有することを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項11】
制御ボタンで選択された修正内容は手動で制御ボタンを動かすことによって、制御ステム25又はラック35によって機械的接続を行い文字盤上の孔内に表示されることを特徴とする請求項1記載の同軸修正器。
【請求項12】
請求項1乃至11に記載の修正器機構を具備したことを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば時計において、単一制御手段を用いて文字板上に表示される情報を選択および/または変更するための多機能同軸型修正器に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、腕時計で代表されるような時計は、その使用者に時刻を知らせる機械であり、この表示された時刻の変更は竜頭を所定の位置にまで引っ張ってこれを回動する手法でおこなわれる。
【0003】
腕時計では、例えば日付表示機能、午前午後の時間帯、クロノグラフ等のような現在の時刻から派生する機能を表示、変更あるいはこの機能をスタートさせることが出来る。このようなことを腕時計で行うには、複数のプッシュボタンが腕時計に設けられるのが通常である。
【0004】
たとえば、EP特許第1085384号明細書に開示されたクロノグラフ時計を例にとれば、2ヶのプッシュボタンと3つの位置をとることのできる巻取ステムを有する。
【0005】
このような構成であると、時計の心臓部である防水ムーブメントを収容するケースを制作するデザイナーに多大の問題を提供することになる。例えば、プッシュボタンが多数存在すると時計の外観を損なうという欠点がある。
【0006】
米国特許第5299177号に開示された時計の1つは単一の外部制御体を含む目覚まし時計である。そして、この外部制御体上には目覚まし音が発生する時刻を修正したり、また目覚まし状態をチェック又は変更するための多数の異なる複数な手段が胴(midle part)に設けられる。この目覚まし時計には電子制御回路が組込まれ、上記の複雑な手段は時計にとって欠点となっている。時計の使用者が優れた記憶力を有しない限り、その時々に時計に与える指示に関する事項を常に準備持参しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は前述したような従来の欠点を除去することにあり、この課題を解決するために、本発明はいくつかの時間に関係した機能あるいは時間に関係しない機能を時計の胴に設けられた1つの制御体によって発揮(activate)させ、および/又は変更させることが出来る時計用修正器を提供するものである。この場合、当然のことながら、時計の使用者のために、選択された機能を明瞭に表示するものである。この修正器は機械的ムーブメント用として考案されたものであるが、電気機械或いは電子ムーブメント用としても何等困難なく、適用できるものである。
【0008】
それ故、本発明によれば、胴に設けた単一の外部制御手段によって、予め決めた機能を選択したり、そして/又は変更したりする時計用の多機能同軸型修正器に関するものである。この場合、上記単一の外部制御手段は時計ケース内の修正機構に働き掛ける手段である。本発明に係る修正器は、基本的には頭部と管部とで形成されたプッシュアで構成され、この管部は2つの位置間で回動することができる制御ボタン上に組立てられる。
【0009】
制御ボタンは制御ステムを駆動する。このステムの一端にはラックの歯と歯合する。駆動ピニオンを具備しており、このラックの終端にはレバーが存在し、このレバーの駆動アームは上記プッシュアの管部の肩部と係合し且つ被駆動アームはラックによって位置づけられる。
【0010】
それ故、機能が選択されると、この選択の内容は胴上のマークから認識されるか或いは時計の文字板上に表示される。また、プッシュア頭部に一回又はそれ以上の回数に亘って圧力を加えると既に選択されている機能が修正される。
【0011】
より複雑な実施の形態によれば、駆動ピニオンとラック歯部との接続はスライディング・ピニオンを介して完成させる。このピニオンは制御ボタンに圧力が仰加されるとプル・アウト片とレバーとによって公知の方法で移動することができる。このようにすることで、胴上に他の制御部材を設けることなく、機械ムーブメントのバレル・スプリングは巻き上げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は現時間を表示するたとえば腕時計のような時計の胴(middlepart)3の一部を示す。もちろん、時計は時刻の表示のみならず、時間の経緯に関連する他の情報をも表示するようにしてもよい。図からも明らかなように胴3は単一の外部制御部材1を有している。この制御部材1はプッシュア(pusher)10と制御ボタン15とから構成され、且つこの制御部材1はりゅうず17によって回転させられる。これらプッシュア10と制御ボタン15は同軸関係に組立てられる。本実施の形態において、制御ボタン15は指示印7を有し、この指示印7は胴3上の案内印5を指して、時計の使用者に彼が選択した機能は何であるかを知らせる。これら案内印5は胴3上に付した簡単なマークであってもよいし、あるいは選択した機能の内容を示す絵あるいはシンボルであってもよい。これら案内印の1つ5aは何の機能も選択されてない所謂中正位置を示す。そして、この時にはプッシュア10に誤って力が加わっても予測しない修正は行われない。図に示すように、この実施の形態では、時間設定、日付の補正あるいはクロノグラフ機能の選択という3つの機能を選択できるようにしている。3つの機能に限定することなく、時計のデザイン或いは時計に要求する機能の数に応じて選択できる機能の数が変化することは明らかである。
【0013】
図面には示していないが、選択される機能ついての表示は、文字板上に設けた孔を介してこの孔の内側を移動できる機能を記載した表示手段でおこなうことが出来る。なお、この表示手段は後述する機構のラックと歯合するピニオンによって直接または間接に駆動される。
【0014】
この文字板上の孔を介しての機能表示は制御ステム(25)またはラック(36)と連結する他の表示手段を使用してもできることは勿論である。
【0015】
図2,3,6および7には、本発明の第1の実施の形態が詳細に示してある。図2は溝付きりゅうず17を使用した制御ボタン15を回動することによって希望する修正部材9aが選択されたときの状態の正面図である。制御ボタン15を回動すると制御ステム25が駆動され、駆動ピニオン25は歯28と係合し、プレート36で形成されたラック35の歯37と噛み合う。ラック35の両端位置間での移動は2つの長方形の孔41で制御される。この2つの孔41内には2つの螺子39が貫通しており、これら螺子は底板に螺合している。
【0016】
ラック35の歯37の範囲はラックの移動範囲を可変するもので、これによって文字盤上に選択した機能を直接に表示するためにピニオンの駆動範囲を拡げる。このピニオンの駆動歯はラック35の他の場所に設けてもよい。
【0017】
レバー45はプレート36に固定した裸子48によってラック35の一端に枢着している。
レバー45は駆動アーム49と被駆動アーム51を有しており、これらアーム間にはピボット・ポイント47が存在する。この実施の形態によれば、レバー45はU字型を構成している。このレバー45はこのU字型以外の型をとることも可能である。駆動アーム49は図示しないスプリングによってプッシュア10の内方肩部14に当接している。
前記のスプリングは、例えば、レバー45の螺子48に取り付けた螺せん状スプリングであってもよい。被駆動アーム51の先端には外側に曲がった端部52を有しており、この端部52はラック37の歯が形成された側面の反対側面上に形成したノッチ43によって選択し修正部材9aと対向する。またジャンパ・スプリング38は先端40を有し、この先端はノッチ43と係合する。勿論ラック35の他の変形も当然考えることが出来る。
【0018】
機能が選択されると、プッシュアに圧力を印加して、図3に示すように、レバー45の枢軸駆動によって被駆動アーム51を移動させ、これによって上記機能を発揮させる。
【0019】
他の図面に示す部品と同一の部品には同一の参照番号を付した図6の拡大斜示図は、本発明に係る装置の組立をより良く理解するのに好適である。この図6は、特に図1および図2に示した外部制御部材1およびこの部材1と接続するラック35との機械的関係を示している。
【0020】
プッシュア10は2つの分離したエレメント、すなわち頭部11と管体13とから構成され、これら2つのエレメントである頭部11と管体13は連結用突起12によって機械的に組立てられる。この2つのエレメントの組立は他の手法によって完成させてもよい。図7はこれら2つのエレメントが取付けられる前に、組立られた状態を示す。
【0021】
2つのエレメント11,13の組立を可能にするため、頭部11を嵌入するため底部21を有する円形凹み19をボタン15に形成して、頭部11への圧力によってプッシュアのラジアル方向の移動を可能にする。
【0022】
上記円形凹み19の底部には、前記連結用突起12が貫通する2ヶの弧状孔22が設けてある。
これら弧状孔22の弧状曲り具合(曲り角度)と連結用突起12は、制御用ボタン15がプッシュア10に働きかけることなくラック35をその両端間で移動するように回動することが出来るように設定されている。これらの弧状曲り具合(曲り角度)は制御用ボタン15が約40度の角度偏位(回転)が出来るように決められている。
【0023】
プッシュ・ボタン15は更にプッシュア管13に軸方向の位置づけと制御ステム25の端部26に回転しない状態で連結するための連結体23を具備する。この連結は例えば接着剤を塗布したねじ組立体によって実現することが出来る。駆動ピニオン29は同様な手法で他端27上に設けられる。この実施の形態にあっては、制御ステム25は連結体23と一体に形成してあることが理解できる。
【0024】
図6において、レバー45のアーム49,51は厚さの厚い部分49a,51aを有していることは明らかである。このようにすることにより、プッシュア10の肩部14と修正部材9とが確実に接触するようになる。
【0025】
図4,5および8は本発明の第2の実施の実態を示すものであるが、前記の第1の実施の形態と異なる点は、ラック35と制御部1の間を接続したことである。
【0026】
この接続とは竜頭を引っ張って回動することにより滑動ピニオン30によって公知の巻上げ/時間設定ステム機構を形成することである。この場合、制御ステム25はラック35に向かって形成された部分27、断面が正方形の部分27a、環状溝部分そして他端26とから構成され、この環状溝部分28には図示しないプル・アウト・ピース(pull-out piece)のアームが係合する。
【0027】
駆動ピニオン29は、断面が正方形の部分27aと制御ボタン15との接続部を形成する部分26との間に形成される円筒状部分の上で自由に回転できるように取り付けられる。
【0028】
駆動ピニオン29は前述したように歯部29aと更にスライディング・ピニオン30の歯34bと噛合する環状歯29bを有する。
【0029】
スライディング・ピニオン30は公知のように、図示しないレバーのアームと歯合する環状溝32を有すると共に、ムーブメントの他の歯車群を駆動するための歯34aを具備する。
【0030】
「機能選択」位置では、ピニオン29はスライディング・ピニオン30によって間接的に駆動され、組立体はレバー45のバネによってかみ合い保持される。
制御ボタン15に引張り力が与えられると、歯29bと34bの歯合が外れ、スライディング・ピニオン30を移動することによって、レバー/プル・アウト・ピース装置は歯34aを、例えば時間の設定若しくは他の機能をセットするために、機械的ムーブメントの香箱スプリングを巻き上げるために他の歯車と噛合させる。
【0031】
以上、2つの実施の形態を用いて時計の多機能同軸型修正器を説明した。プッシュア10を介して制御ボタン15と制御ステム25との間の機械的接続の手法はこの開示した形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る修正器の一部省略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における「機能選択」位置にある修正器の正面図である。
【図3】本発明の第2図に実施の形態における「機能作動」位置を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態として、他の機能作動を行う第3図に示す機構の平面図である。
【図5】図4を上から見た上面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における制御装置の分解斜視図である。
【図7】組立てられたプッシュ・ボタンの斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における制御装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
胴・・・3,プッシュア・・・10,頭部・・・11,管部・・・1,制御ボタン・・・15,ラック・・・35,レバー・・・45,駆動アーム・・・49,被駆動アーム・・・51,修正部材・・・9,9a
【出願人】 【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
【出願日】 平成19年12月28日(2007.12.28)
【代理人】 【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹

【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹


【公開番号】 特開2008−164616(P2008−164616A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2007−340032(P2007−340032)