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【発明の名称】 携帯型電子機器
【発明者】 【氏名】小林 稔

【氏名】浦野 信之

【要約】 【課題】ソーラーセルや圧力センサに代表される電子素子を、これらの電子素子に固着したフレキシブルプリント基板を用いて回路基板と導通させる場合、サイズが異なる複数種類のムーブメントに、これらの電子素子を共通使用する。

【構成】フレキシブルプリント基板120の長さを大径サイズのムーブメントに合わせて設計した。さらに、ムーブメントの構成要素保持部材である回路支持台110に、フレキシブルプリント基板120の剰余部を収納するための収納部110dを形成し、フレキシブルプリント基板120の剰余部を曲げて収納部110dに収納する構造とする。これによって、従来技術ではサイズ違いのムーブメントにおいて、一品一様の長さ設定で新設していたフレキシブルプリント基板120を共用化し、電子素子の汎用化を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気素子と、該電気素子からの信号を入力する回路基板と、該回路基板を保持する保持部材と、前記電気素子と前記回路基板とを電気的に接続するとともに可撓性を有するフレキシブルプリント基板を備える携帯型電子機器において、
前記フレキシブルプリント基板は、前記電気素子を固定するとともに電気的に接続する素子接続部と、前記回路基板と電気的に接続する回路接続部と、前記素子接続部と反対側の端部を備え、
前記回路接続部は前記回路基板との接続位置を変更可能な接続位置調節手段を有し、
前記保持部材は前記フレキシブルプリント基板の端部を収納する収納部を有することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記保持部材は絶縁性を有し、
前記収納部は、貫通穴または凹部であることを特徴とする請求項1記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記電気素子は、ソーラーセル、センサ、およびアンテナから選択される1つであることを特徴とする請求項1記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記ソーラーセルは、帯状を有するとともに発電面が前記携帯型電子機器の情報表示面に対してほぼ垂直に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
前記保持部材は雌ねじを設け、
前記雌ねじに螺合する雄ねじによって前記フレキシブルプリント基板を前記保持部材に固定することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
前記雄ねじにより前記保持部材に固定する前記フレキシブルプリント基板の位置が前記素子接続部側にあるときは、前記ソーラーセルの長さ方向の両端部は重なっていることを特徴とする請求項5に記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記接続位置調節手段は、長穴、または複数の開口であることを特徴とする請求項1記載の携帯型電子機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は携帯型電子機器に関し、とくに携帯型電子機器における電子素子と回路基板とを電気的に接続する接点構造に関する。
【背景技術】
【0002】
時計は、時刻の表示形態として、2本または3本の指針によって時刻を表示するアナログ表示方式と、液晶や発光ダイオードに代表される電子光学的表示装置によって時刻を表示するデジタル表示方式と、アナログ表示方式とデジタル表示方式とを組み合わせたコンビネーション方式に大別できる。また、このうちアナログ表示方式の時計においては、たとえば秒針や、カレンダーの有無や、さらにはタイマー機能や、クロノグラフ機能や、アラーム機能や、月齢表示機能等に代表される従属的な計時機能の有無を、ユーザがそれぞれの好みに合わせて選択できる。また、完成時計の大きさについても、ブレスレットタイプの小型のものから、男性用の大型の時計まで、種々のサイズの製品が提供されており、ユーザがそれぞれの好みに応じて選択可能となっている。
【0003】
また、これらの時計は、その動力源として、ぜんまいの巻上げによって駆動力を得る機械式と、一次電池または二次電池などの電気的なエネルギによってモータまたは電子光学的表示装置を駆動する電子式とに大別できる。
【0004】
クオーツタイプの腕時計ムーブメントは、半導体集積回路装置(以下、ICと略記する)と水晶振動子を基板に実装する回路ブロックを有し、水晶振動子を時間基準源として時計を駆動する構成が一般的である。
また、近年になって、たとえば水深計や高度計などのセンサ類や、電波時計のアンテナや、ソーラーセルなどの電子素子を搭載した時計ムーブメントも、数多くの種類の製品が実用化されている。
【0005】
このうち、ソーラーセルを時計ムーブメントに配置するクオーツ時計は、電池交換の必要がないことから、広く一般的に普及してきており、通常の秒針分針時針を有する3針タイプの時計だけでなく、クロノグラフ機能や標準電波を受信する自動時刻修正機能付などの付加機能を搭載した製品が実用化されている。
ソーラーセルを搭載する時計は、文字板を光半透過性の材料で形成し、この文字板とムーブメントの間に、板状のソーラーセルを配設する構造が一般的である。
【0006】
しかし、この配置構造の場合、文字板を光半透過性の材料で形成する必要があることから、文字板のデザインに制約が生じる問題点がある。
ソーラーセル表面は、暗褐色を呈している。この暗褐色を目立たなくするために、文字板をソーラーセルの光入射面側に配置する必要がある。
【0007】
しかしながら、文字板はソーラーセルの暗褐色を遮蔽すると同時に、ある所定量の光は透過させ光発電を行う必要があるため、色調制約のない美しい文字板を時計に搭載することは困難である。ソーラーセルの発電効率を向上させるために、光透過率が高い材料で文字板を構成すると、発電効率は向上するが、ソーラーセルの暗褐色が文字板を透過して見えてしまうため、白色文字板の場合、白色と暗褐色が混色して、ややくすんだ白色文字板になってしまう。
これとは逆に、光透過率が低い材料で文字板を構成すると、前述の混色は発生せず、完成時計としての外観品質は向上するが、発電効率が低下してしまうため、結果として、二次電池への充電不足で時計は停止してしまう。
【0008】
そこで、前述の文字板への制約、およびデザイン制約のない、美しい文字板を搭載可能なソーラーセル付時計の一例として、特許文献1がある。特許文献1では、ソーラーセルを、文字板外周部近傍で、文字板表面に対してほぼ垂直に配置している。
この特許文献1によれば、ソーラーセルの受光面側に文字板を重ねて配置する必要がないため、文字板を光半透過性材料で形成する必要がなくなり、結果として、文字板素材は高質感を具備する金属素材で構成することが可能となっている。
【0009】
ソーラーセルを備える携帯型電子機器においては、ソーラーセルと電子機器内の回路ブロックを、導通手段によって電気的に接続して、光照射によってソーラーセルに生じる発電起電力を回路ブロックに伝導する必要がある。回路ブロックとソーラーセルなどの電子素子の接続構造については、従来から各種の構造が工夫され、実用化されている。
【0010】
回路ブロックとソーラーセルの電気的接続手段について、以下、特許文献1の図6と図8を用いて説明する。
ソーラーセル2に可撓性を有するフレキシブルプリント基板4を熱圧着によって固着することにより、完成ソーラーセル1を形成している。フレキシブルプリント基板4には、正極負極一対の電極2b、2cを設ける。時計ムーブメント5を時計ケース6に収納保持する部品である中枠9の内側に配置する。また、ソーラーセル2は、発電部が時計中心を向くように中枠9に固定する。
【0011】
フレキシブルプリント基板4は、中枠9に配設する穴部9cを通って裏蓋16側の上側に延伸する構造となっている。延伸したフレキシブルプリント基板4は、回路基板11の上で時計中心方向に曲げる。そして、フレキシブルプリント基板4に設ける長穴4bを、時計ムーブメント5に配設した位置決めチューブ15に位置合わせして、ねじ12を用いて絶縁シート13と押え板14を介して、フレキシブルプリント基板4を回路基板11に固定している。
すなわち、回路基板11とフレキシブルプリント基板4は、ねじ12を位置決めチューブ15に螺合することによって所定の押圧力で密着させ、フレキシブルプリント基板4と回路基板11に形成するパターンどうしが密着することにより電気的な導通を行なっている。
【0012】
押え板14は、金属材料からなる平板状の部材であり、ねじ12の螺合による押圧力が加わる面積を大きくとるとともに、経時変化によるねじ12の緩みに起因する押圧力が低下することを防ぐ、いわゆるワッシャの役割を有する。
【0013】
なお、本明細書の以下の記載では、時計中心を通過する軸線方向を断面方向と定義し、軸線の法平面を平面方向と定義し、断面方向のうち、裏蓋側を上方向(上面側)、時刻視認部であるガラス側を下方向(下面側)と定義して説明する。
【0014】
特許文献1におけるフレキシブルプリント基板4は、ポリエステルフィルムに熱硬化性樹脂系カーボンからなる導電パターンを形成して電極2b、2cとし、熱可塑性の接着剤を塗布するヒートシールコネクターであり、ソーラーセル2との接合は熱圧着によって行う。
フレキシブルプリント基板4の他の例としては、ポリエステルシートに銅箔をパターン形成する、いわゆるFPC基板が挙げられ、電波時計のアンテナや圧力センサなどとの接続部は、ハンダによって電気的接続が行われている。
【0015】
つぎに、この完成ソーラーセル1を、完成時計サイズが小さい別種類のムーブメントに組込む場合について説明する。
フレキシブルプリント基板4には、長穴4bを設けているため、ムーブメントの大きさが異なる場合でも、この完成ソーラーセル1は共用可能である。ただし、完成時計サイズは小さくなるため、時計ムーブメント5における中枠9の外周長さが短くなる。したがって、位置決めチューブ15の位置が共通の場合は、フレキシブルプリント基板4が余ってしまう。
【0016】
特許文献1では、この特許文献1における図8に示すように、回路基板11を時計ムーブメント5に固定するための金属板状からなる保持部品である回路支持板17と、余ったフレキシブルプリント基板4の間に絶縁シート18を配設することによって、フレキシブルプリント基板4に形成された電極2b、2cが回路支持板17と短絡することを防止している。
【0017】
特許文献1では、フレキシブルプリント基板4をソーラーセル2に熱圧着固定した完成ソーラーセル1をムーブメントに組込み、そしてフレキシブルプリント基板4の端部をねじ12によって固定する構造を採用している。
フレキシブルプリント基板4を使用しないで、ソーラーセル2と時計ムーブメントの電気的接続を行なう構造としては、特許文献2の例が挙げられる。
【0018】
特許文献2における回路基板とソーラーセルの接続構造を、特許文献2の図1と図4を用いて説明する。
この特許文献2は、回路基板10と導通する一対のソーラーセル接続ばね9の先端部9bによって、ソーラーセル1に形成した電極1b、1cを外周方向に押圧して導通をとる構造を採用している。ソーラーセル接続ばね9は、時計ムーブメント3に固定している。この構造によれば、特許文献1におけるフレキシブルプリント基板を使用することなく、ソーラーセル1と回路基板10とを確実に導通させることが可能となる。
【0019】
【特許文献1】国際公開第2004/066042号パンフレット(第6頁第31行から第7頁第4行目、および図6と図8)
【特許文献2】特開2003−130974号(段落0006から0011、および図1と図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1では、ねじ12の締付力によって回路基板11と完成ソーラーセル1の電気的導通を確保する構造を採用している。この電気的接続構造は、特許文献1記載の完成ソーラーセル1と回路基板11との接続構造だけでなく、電波修正時計用のアンテナや、圧力センサなどの各種センサの電子素子と時計ムーブメントを電気的に接続する構造として、時計をはじめ携帯型電子機器に幅広く採用されている構造である。この構造は、ねじ12と押え板14の部品は必要となるが、簡便かつ確実に回路基板11と完成ソーラーセル1との電気的導通を確保できる構造である。
また、フレキシブルプリント基板4は、可撓性を有することから、各構成部品の断面方向における加工精度ばらつきの影響を受けにくい構造であり、また、組立が簡単であるという利点を具備する。
【0021】
しかしながら、特許文献1の接続構造には、以下に記載する問題点が存在する。
第1に、時計ムーブメント5に対して、フレキシブルプリント基板4の接点部の平面的な位置精度が出にくいという問題点が挙げられる。すなわち、フレキシブルプリント基板4のパターン精度と外形加工精度は、時計製品で使用される部品の精度より、10倍から100倍粗い。このため、フレキシブルプリント基板4とソーラーセル2とを安定して固着するには、公差干渉によって互いの部品が干渉して固着不可能となることがないように
、両部品の固着部に所定の余裕寸法を設定する必要がある。
したがって、固着時には、ソーラーセル2に対して、フレキシブルプリント基板4はこの余裕寸法の分だけ、いわゆる「遊び」を有するため、固着後の完成ソーラーセル1でも平面位置精度が狂いやすくなる。
【0022】
このように、平面位置精度が狂いやすいフレキシブルプリント基板4を、回路基板11にねじ締め固定する場合、つぎに記すような設計上の制約が生じる。
すなわち、位置精度が狂った状態でもフレキシブルプリント基板4に配設する電極パターン2b、2cが、回路基板11側のパターンと短絡しないように、フレキシブルプリント基板4と回路基板11とが平面的に重なる領域には、回路基板11側にパターンを形成していない。このように、回路基板11側にパターンを形成できない領域が生じるため、回路基板11上のパターン配置効率が悪くなり、結果として、時計ムーブメント5の小型化を阻害する要因となってしまう。
【0023】
第2に、特許文献1では、フレキシブルプリント基板4を、サイズが異なる複数種類の時計ムーブメントに共通使用する場合、部品点数が増えてしまうという問題点が挙げられる。
すなわち、前述のように、この完成ソーラーセル1を小型サイズの時計ムーブメントに使用する際には、フレキシブルプリント基板4が長すぎて余ってしまう。このことから、フレキシブルプリント基板4と回路支持板17との短絡を防止するため、絶縁シート18を新規に追加する必要がある。絶縁シート18を所定位置で位置決めするためには、絶縁シート18の位置決め部材を追加して設ける必要があり、そのため時計ムーブメント5は厚くなってしまう問題点がある。
【0024】
この短絡を防ぐために、回路支持板17と回路基板11の間に延伸する、ねじ12による固定部以外のフレキシブルプリント基板4に、ポリエステルなどの絶縁材で形成する絶縁シートを配設する構造が考えられる。しかしながら、ねじ締めによる押圧により電気的接続を行う2つの部品の近傍に、その両部品を絶縁するための絶縁シートを配設することは、この絶縁シートの厚さ分に相当する断面隙が生じるため、電気的接続安定性が低下する危険性がある。
また、絶縁シートを追加することによる部品点数増大によるコストアップの要因にもなる。
【0025】
また、フレキシブルプリント基板4におけるねじ12固定部より末端側の端部は、固定されていない。このため、フレキシブルプリント基板4の端部が、裏蓋16を時計ケース6に固定する際に捲くれあがる現象が発生して、時計ムーブメント5を時計ケース6に組み込む作業性が悪くなるという問題点も挙げられる。
【0026】
したがって、単にフレキシブルプリント基板4に長穴4bを形成しただけでは、完成ソーラーセル1としての汎用性は低いといえる。
これは、前述のように、新規に絶縁シート18が必要となるために、部品点数が増える問題点が発生して、結果的には、フレキシブルプリント基板4を要求時計サイズごとに新設するほうが時計ムーブメントの構造としては、単純であることに起因している。
【0027】
つまり、ほとんど同一仕様で、完成時計サイズが異なる複数種類の時計ムーブメントを設計する場合、多くの場合、完成時計サイズごとにフレキシブル基板の長さ違いの電子素子を新設し、サイズごとに使用する必要があるため、部品の共通使用によるコストダウンが図りにくい構造であると言える。
【0028】
これに対して、特許文献2にて提案されているように、フレキシブルプリント基板を使
用せずに、板状のソーラーセル接続ばね9によってソーラーセル1と回路基板10の電気接点を確保する構造においては、ソーラーセル接続ばね9が常に回路支持台5を押圧している状態で、ソーラーセル1を押込みながら組込む必要がある。
ソーラーセル1は、硬く脆いシリコン薄膜を積層して形成している。このため、ソーラーセル1にソーラーセル接続ばね9を組込の際に、ソーラーセル1には傷の発生や破損が生じる問題点があり、その結果、ソーラーセル1の光発電機能を発揮できない。また、ソーラーセル接続ばね9を逃がしながらソーラーセル1を組み込むのは、非常に組立作業性が悪い。
【0029】
さらに、完成時計状態でソーラーセル1は常に見えることから、ソーラーセル接続ばね9を完成時計で見えない場所に配設するためには、ソーラーセル1の電極部を文字板より上側であるムーブメント3の内部まで延伸させる必要がある。
特許文献2におけるソーラーセル1は、図1と図2のように、矩形形状の発電部から電極のみが突出した異形形状となっており、ソーラーセル1の加工が難しい形状であるという問題点がある。また、ソーラーセルは、通常、一枚の大判の基板上に発電部と電極部を形成し、最終的に、この大判基板からプレス加工によって外形を抜き落とすことにより形成している。しかし、ソーラーセルが異形形状であると、電極部の部分だけ外形の幅が広くなるため、一枚の大判基板から得られるソーラーセルの取り個数が減ってしまい、完成ソーラーセルのコストアップ要因となってしまう問題点もある。
【0030】
また、この特許文献2のように、プレス加工と曲げ加工によって形成するソーラーセル接続ばね9を使用する場合は、時計ムーブメント3の内部でソーラーセル接続ばね9が、ある一定の面積(体積)を占有するため、時計ムーブメント3の小型化に対する阻害要因になりやすいという問題点もある。
【0031】
本発明は、これらの事情を考慮してなされるものであり、上記課題を解決することにより、簡便な構造によって、部品点数と部品種類の増加なしで、完成時計のサイズが異なる複数種類の時計ムーブメントにおいても共通使用が可能で、なおかつ短絡の危険性が少ない、回路ブロックと電子素子の接点構造を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するために本発明の携帯型電子機器は、下記記載の手段を採用する。
【0033】
本発明における携帯型電子機器は、電気素子と、該電気素子からの信号を入力する回路基板と、該回路基板を保持する保持部材と、前記電気素子と前記回路基板とを電気的に接続するとともに可撓性を有するフレキシブルプリント基板を備える携帯型電子機器において、前記フレキシブルプリント基板は、前記電気素子を固定するとともに電気的に接続する素子接続部と、前記回路基板と電気的に接続する回路接続部と、前記素子接続部と反対側の端部を備え、前記回路接続部は前記回路基板との接続位置を変更可能な接続位置調節手段を有し、前記保持部材は前記フレキシブルプリント基板の端部を収納する収納部を有することを特徴とする。
【0034】
本発明の携帯型電子機器における前記保持部材は絶縁性を有し、前記収納部は、貫通穴または凹部であることを特徴とする。
【0035】
本発明の携帯型電子機器における前記電気素子は、ソーラーセル、センサ、およびアンテナから選択される1つであることを特徴とする。
【0036】
本発明の携帯型電子機器における前記ソーラーセルは、帯状を有するとともに発電面が前記携帯型電子機器の情報表示面に対してほぼ垂直に配置されていることを特徴とする。
【0037】
本発明の携帯型電子機器における前記保持部材は雌ねじを設け、前記雌ねじに螺合する雄ねじによって前記フレキシブルプリント基板を前記保持部材に固定することを特徴とする。
【0038】
本発明の携帯型電子機器における前記雄ねじにより前記保持部材に固定する前記フレキシブルプリント基板の位置が前記素子接続部側にあるときは、前記ソーラーセルの長さ方向の両端部は重なっていることを特徴とする。
【0039】
本発明の携帯型電子機器における前記接続位置調節手段は、長穴、または複数の開口であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の携帯型電子機器においては、可撓性を有するフレキシブルプリント基板を固着した電子素子を、部品点数を増加させることなく、大きさが異なる複数種類の時計ムーブメントにおいて共通使用することが可能な構造を提案する。
【0041】
第1の実施形態は、情報表示面である文字板の外周部に、文字板表面に対してほぼ垂直に完成ソーラーセルを配置するソーラーセル付電子時計に本発明を適用する実施形態である。
具体的には、ソーラーセルを素子接続部にて固定するフレキシブルプリント基板の長さを、大きなサイズの第1の時計ムーブメントに合わせてあらかじめ設定し、この完成ソーラーセルを小さなサイズの第2の時計ムーブメントに共通使用する場合は、必然的に長さが余るフレキシブルプリント基板の端部を、時計ムーブメントの保持部材に形成する収納部に収納する構造を提案する。また、完成ソーラーセル自体の長さも余るため、その剰余部は一部を重ねて配置する。
【0042】
この構造によって、見切サイズが異なる複数種類の時計ムーブメントにおいて、ソーラーセルにフレキシブルプリント基板を固定してなる完成ソーラーセルを共通で使用することが可能となり、複数種類の時計ムーブメントにおける部品の汎用化を図ることが可能となる。
ここで見切サイズとは、時計ムーブメントを風防ガラス側から視認したとき、視認可能な情報表示面の大きさを意味しており、見返しリングの内径寸法、あるいはこの見返しリングがない場合は時計ケース胴における風防ガラス固定鍔部の内径寸法のことである。
【0043】
この構造は、ソーラーセルと回路基板を接続する部材が、可撓性を有するフレキシブルプリント基板であるからこそ可能な構造である。また、この構造によって、フレキシブルプリント基板と回路基板の平面重なり部の面積を、最低限必要な面積、すなわち両部品の電気接点を確保するのに必要最低限な面積まで少なくすることが可能となる。
これによって、フレキシブルプリント基板のソーラーセルへの固定時の位置精度誤差を吸収可能とするとともに、平面重なり部が少なくなった領域には、回路基板のパターンや、他の部品を配設可能となり、時計ムーブメントの小型化および高密度設計が実現可能となる。また、絶縁シートなどの部品を追加することなくソーラーセルの共通化が可能であることから、本発明の効果は製品コストの面からも大きいと言える。
【0044】
また、第2の実施形態は、水深計や高度計などのセンサ付の多機能時計に本発明を適用する実施形態である。
水深センサや圧力センサを付加する時計において、センサは、基本的に完成時計の最外周部に配設する必要がある。このことから、従来は、センサと回路基板の汎用化は難しかった。しかしながら、本発明の第2の実施形態を適用すれば、時計ムーブメントの回路基
板とステップモータに代表される大多数のムーブメント構成要素は共通のままで、なおかつフレキシブルプリント基板をセンサに固着してなるセンサユニットも共通使用でき、サイズが異なる複数種類のセンサ付時計ムーブメントにおいて、これらの部品を共通使用することが可能となる。これにより、ユーザの種々の要求や、嗜好に合わせた複数サイズの時計製品を提供することが可能となる。
【0045】
本発明では、その実施形態として、ソーラーセルを文字板外周部に文字板表面に対してほぼ垂直に配置するソーラーセル付時計と、センサ付多機能時計を例に挙げて説明するが、本発明の接点構造はこの実施形態に限定されるものではなく、携帯型電子機器に広く実施可能である。
時計ムーブメント本体に配置する回路基板と電気的に接続する必要がある電子素子、たとえば電波修正時計のアンテナなどを有し、なおかつ電子素子と回路基板を、可撓性を有するフレキシブルプリント基板で接続しているすべての時計ムーブメントに本発明は応用可能であり、その適用範囲は広く、その効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態における携帯型電子機器の構造について、図面を用いて詳しく説明する。なお、以下の本発明の実施形態における説明においては、携帯型電子機器として時計を用いて説明する。
【0047】
〔第1の実施形態の説明:図1乃至図5〕
はじめに本発明の第1の実施形態を、図1乃至図5を用いて詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における第1のソーラーセル付アナログ時計ムーブメントを示す断面図である。図2は、図1に示すソーラーセル付アナログ時計ムーブメントを上面側から見た平面図である。図3は、図1に示すソーラーセル付アナログ時計を下面側から見た平面図である。図4は、本発明の第1の実施形態におけるソーラーセルブロックを示す図面である。図5は、本発明の第1の実施形態における第1のソーラーセル付アナログ時計ムーブメントと完成時計サイズが異なる第2のソーラーセル付アナログ時計ムーブメントを示す断面図である。以下、図1乃至図5を交互に参照して、第1の実施形態におけるソーラーセル付アナログ時計の構造を詳しく説明する。
【0048】
時計ムーブメントの基材であり、しかも輪列機構や回路基板などの時計ムーブメントの構成要素を保持する部材である地板101と輪列受109との間に、分針を駆動する輪列である中心車102を軸支する。中心車102は、図示しない分針を押込固定する。
地板101には、時間基準源となる水晶振動子113を保持する。水晶振動子113の振動を回路基板111に実装するIC112によって分周して、ステップモータを構成するコイルブロック103に、所定周期たとえば1秒周期の信号として与え、ロータ106を所定周期で回転させる。ロータ106の回転は、減速輪列である四番車107および三番車108を介して中心車102に伝達し、中心車102は1時間で1回転する。中心車102の回転は、減速輪列である日の裏車105を介して筒車104に伝達し、筒車104は12時間または24時間で1回転する。筒車104には、図示しない時針を押込固定する。
【0049】
光照射によって光起電力を発生する完成ソーラーセル115は、保持部材である回路支持台110のソーラーセル保持壁部110aの内壁に沿うように、かつ情報表示面である文字板117表面に対してほぼ垂直に配置する。完成ソーラーセル115の光起電力は、二次電池118に蓄電する。完成ソーラーセル115の発電部である受光面側には、見返しリング116を配設する。
さらに回路基板111を地板101と回路支持台110で挟持保持するとともに、二次電池118のプラス(+)極と導通して、二次電池118の蓄電電力を回路基板111に
伝達する回路押さえ114を設ける。この回路押さえ114は、薄板状の金属材料から形成する。さらに、時刻修正手段として巻真119を設ける。
【0050】
また、完成ソーラーセル115は、文字板117外周端部の外側に、その発電部が時計中心部を向き、かつ発電部が文字板117の表面に対してほぼ垂直になるように時計ムーブメントに配置する。
完成ソーラーセル115の発電部側には、環状の見返しリング116を配設する。この見返しリング116は、光を透過しやすい無色透明のポリカーボネート材で形成する。したがって、文字板117側から入射する光は、見返しリング116を透過して完成ソーラーセル115の発電面へと入射し、ソーラーセル121に光起電力が発生する。このように文字板117端部の外側領域に、文字板117表面に対してほぼ垂直に完成ソーラーセル115を配設する構造にすることにより、文字板117は光半透過性材料で形成する必要がなくなる。
【0051】
このため文字板117は、たとえば光を全く透過しない金属材料から構成でき、さらに文字板117表面に複雑な装飾を施すことも可能となり、デザイン上および材料上の制約がまったくない、高級感あふれる美しいソーラーセル付電子時計を実現することが可能となる。
【0052】
完成ソーラーセル115を、この第1の実施形態のように、文字板117外周端部で文字板117表面にほぼ垂直に配置する場合、完成ソーラーセル115を文字板117下に平面的に重さなるように配置する従来のソーラーセル付時計と異なり、時計ムーブメントの消費電力を賄うに足る充分な発電電力を得るためには、ある程度、完成ソーラーセル115における断面方向の寸法が必要となる。
このため、従来のソーラーセル付電子時計と比較して、文字板117表面から風防ガラス内面までの距離が長くなることに起因して、いわゆる奥目感が出やすい問題がある。第1の実施形態の場合、ソーラーセル121の断面方向の寸法、すなわち文字板117下面から完成ソーラーセル115上端までの距離は約1.5mmである。このため、断面形状が平板状の文字板117を採用すると、前述の奥目感が目立ち、デザイン的に不満足なソーラーセル付電子時計となってしまう。
【0053】
これに対して第1の実施形態では、文字板117の断面形状を、見返しリング116を保持する外周部側を薄肉に、時計中心部を厚肉にしている。これにより、時計中心部では、文字板117と風防ガラスの間隙寸法を小さくし、その間に図示しない時針分針をバランスよく配置することにより、前述の奥目感を解消することを可能としている。
また、このように文字板117周辺部を薄肉とする構造により、中央部の厚肉部を有効活用して文字板117に装飾を加えることができる。これにより、文字板117は、装飾自由度が高くなり、従来の電子時計では不可能であった美しい文字板117を有するソーラーセル付電子時計を実現している。
【0054】
なお、第1の実施形態は文字板117中央部の肉厚部を平板状の断面形状としているが、これに限定されず、文字板117の中央部は一体感のある曲面形状としても良いし、あるいは装飾用の彫刻や型押し加工によって凹凸面を形成してもよい。
【0055】
また、この時計ムーブメントは、中心車102や、三番車108に代表される減速輪列や、コイルブロック103や、巻真119による図示しない手動時刻修正機能である裏回り機構などの時計ムーブメントの構成要素は、すべて地板101に組込まれて保持されており、ここまでで基礎ムーブメント100を構成している。
回路支持台110は、その中心部に基礎ムーブメント100を収納するための収納穴を有しており、基礎ムーブメント100を組み立てた状態で、回路支持台110に基礎ムー
ブメント100を上方向から押込挿入固定して、その後に回路基板111や回路押さえ114を組み立てる構造としている。このような構造により、既存のムーブメントおよびその構成部品を最大限に使用して、必要最低限の新規部品でこのソーラーセル付時計ムーブメントを設計可能な構造となっている。
【0056】
つぎに図4を用いて、時計ムーブメントに組込む完成ソーラーセル115の構造を詳しく説明する。
完成ソーラーセル115は、細長い帯状のソーラーセル121と、フレキシブルプリント基板120から構成する。ソーラーセル121は、光照射によって光起電力を発生する発電部121aの裏面側に、陽極と陰極の2つの電極121b、121cを設ける。ソーラーセル121は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエーテルニトリル(PEN)からなる樹脂基板上に、導電型が異なるアモルファスシリコン層を積層して構成している。樹脂材料からなる基板の特性上、特性を損なうことなく、ソーラーセル121は自由に丸めたり曲げたりすることができる。
【0057】
ソーラーセル121で発生する光起電力の取り出し電極として使用するフレキシブルプリント基板120は、英語文字のほぼT字型の平面形状をしている。そして、T字型の横棒部分のフレキシブルプリント基板120における素子接続部と、ソーラーセル121を接合している。
フレキシブルプリント基板120を、前述のような外形形状とすることにより、ソーラーセル121との重なり領域を最大限に広くとり、ソーラーセル121とフレキシブルプリント基板120との接合面積を大きくすることができ、結果として、必要充分な接合固定力を得ることが可能となる。
【0058】
フレキシブルプリント基板120表面には、回路基板111と電気的に接続する回路接続部として陰極と陽極の一対の電極120a、120bを設ける。電極120a、120bは、ソーラーセル121の裏面に形成する陰極と陽極の一対の電極121b、121cと平面的に対向する位置まで延伸するように構成する。
また、フレキシブルプリント基板120には、ソーラーセル121との電気的接続と機械的接続を行なう素子接続部と反対側には、回路基板111とフレキシブルプリント基板120との固定手段として、長穴120cを設ける。この長穴120cが、回路基板111との接続位置を変更可能な接続位置調節手段を構成する。
【0059】
長穴120cの両脇の電極120a、120bは、長穴120cの長手方向とほぼ並行に、フレキシブルプリント基板120の端部120d近傍まで延伸するようにパターン形成する。
ただし、電極120a、120bは、図4に示すように、端部120dまで形成しない。すなわち、端部120d周辺部は、導電部材である電極120a、120bをパターン形成しない。
【0060】
フレキシブルプリント基板120は、絶縁性材料であるポリエステル基材で形成されており、その基材表面には前述のように電極120a、120bパターンを形成する。ポリエステル基材は可撓性を具備しており、非常に柔らかく曲げやすい性質を持っており、フレキシブルプリント基板120は時計ムーブメント内で自由に曲げることができる。
【0061】
また、フレキシブルプリント基板120のソーラーセル121との重なり領域である素子接続部には、異方性導電接着剤を塗布する。この異方性導電接着剤は、導電粒と接着剤からなり、接着剤は熱可塑性の性質を持っており、フレキシブルプリント基板120とソーラーセル121は、熱圧着接合によって固定できる。
フレキシブルプリント基板120は、ポリエステル基材に限定されず、ポリイミド基材
を用いてもよい。またフレキシブルプリント基板120とソーラーセル121とは、異方性導電接着剤を用いた熱圧着接合のほかに、はんだなどの低融点金属接合、または導電性接着剤を用いても電気的接続と機械的な固定とを行なうことができる。
【0062】
なお、完成ソーラーセル115は、完成時計状態では、図1に示すように、見返しリング116を介して、文字板117側から見える。
しかし、フレキシブルプリント基板120とソーラーセル121との固定は、可視側である発電部に対して裏面側、すなわち完成時計では外周側に配置されているため、文字板117側から見えず、接合部は完成時計の外観に何ら影響を及ぼさない。
【0063】
つぎに、この完成ソーラーセル115の時計ムーブメントへの組込む構造について説明する。
回路支持台110には、最外周部のほぼ全周にわたって、下方向に向かってソーラーセル保持壁部110aを設ける。完成ソーラーセル115は、図4に示すように、時計ムーブメントに組み込まれていない状態では平板の細長い帯状をしている。そして、図3に示すように、丸めて時計ムーブメントに組み込むため、平板状に戻ろうとする反力で回路支持台110のソーラーセル保持壁部110aを押圧する。この押圧力によって、完成ソーラーセル115は、ソーラーセル保持壁部110aから脱落することなく回路支持台110に保持できる。
【0064】
また、回路支持台110の外周部付近には、フレキシブルプリント基板120における端部120dと対向する位置に、貫通穴を設けている。端部120dは、この貫通穴を通してムーブメント上面側に引き出し、さらに直角に曲げて回路基板111表面と平行にするとともに、回路基板111の上面に当接させる。この際、回路基板111には、長穴120cと対向する位置に、ねじ締め穴111aを配設している。
そして、回路支持台110のねじ締め穴には、ねじ締め用チューブ110cを圧入固定する。
【0065】
端部120dは、押さえ板122を介して、ねじ123をねじ締め用チューブ110cに螺合することによって回路基板111に押圧固定できる。
前述のように、回路基板111上には、フレキシブルプリント基板120の陰極陽極の一対の電極パターン120a、120bに対向する位置にパターンを形成しているため、ねじ123によって双方のパターンが押圧され、これによって両パターンは密着することにより電気的に導通する。このような構造によって、ソーラーセル121の発電部121aに生じる光起電力は、ソーラーセル電極121b、121cから、フレキシブルプリント基板120上の電極パターン120a、120bを介して回路基板111に導かれる。
【0066】
前述したように、この完成ソーラーセル115と回路基板111を、サイズが異なる複数種類の時計ムーブメントで共通使用しようとした場合、フレキシブルプリント基板120におけるソーラーセルの陽極と陰極の電極121b、121cから端部120dまでの距離は、大径サイズのムーブメントにも組み込めるような長さで設定しておく必要がある。
この完成ソーラーセル115を、図1に示す小径サイズのムーブメントに組み込むと、端部120dは時計中心方向に延伸してしまう。そのため、端部120dと回路基板111との平面重なり領域124に、電極パターン120a、120bとの短絡を防止する手段を形成することは、さきに説明したように、別部品である絶縁シートを追加しない限りは不可能である。
【0067】
これに対して本発明では、回路支持台110の貫通穴の近傍領域、具体的にはねじ123による導通部より時計中心側に、回路基板111にねじ締め穴111aを形成するとと
もに、このねじ締め穴111aと平面的に重なる位置の回路支持台110に、端部120dを収納するための収納部110dを設ける。
この収納部110dは、回路支持台110に設ける貫通穴であり、フレキシブルプリント基板120の端部120dを、余裕を持って収納可能なように、図1における開口幅(図1紙面の水平方向の開口大きさ)を端部120dの厚さより充分大きくする。フレキシブルプリント基板120の端部120dは、図1に示すように、下面側から回路支持台110の貫通穴を通して上面側に延伸させ、最外周で回路基板111表面と並行になるように曲げたのち、収納部110dにて、さらに下方向に曲げられて収納部110d内に収納する。なお、収納部110dは、文字板117と平面的に重なる領域に配置されているため、完成時計の文字板117側から収納部110dが視認されることはない。
【0068】
また、金属材料からなる文字板117を使用しても、フレキシブルプリント基板120の端部120dには、図4に示すように、電極120a、120bをパターン形成していないことから、電極120aと電極120bとが金属材料からなる文字板117を介して短絡することは発生しない。
【0069】
また、この場合、ソーラーセル121の長さは、大径サイズのムーブメントにおけるソーラーセル保持壁部110aの内壁長さとほぼ同じ長さにしておく必要がある。すなわち、完成ソーラーセル115は、ソーラーセル121と、フレキシブルプリント基板120とも、大径サイズの時計ムーブメントのソーラーセル保持壁部110aに合致する長さに設計した寸法設定とする。
大径サイズの時計ムーブメントに合致させた長さを有する完成ソーラーセル115を、図1に示す小径サイズのムーブメントに組込む場合は、完成ソーラーセル115の長さがソーラーセル保持壁部110aの長さより長くなる。
【0070】
このため図3に示すように、ソーラーセル121は、完成ソーラーセル115の長さとソーラーセル保持壁部110aの長さの差に相当する長さがセルの重なり領域125付近で重なる状態となっている。
すなわち、ねじ123によって保持部材である回路支持台110に固定されるフレキシブルプリント基板120の位置が、端部120d側でなく、素子接続部側である電極121b、121c側に近い場所にあるときは、ソーラーセル121における長さ方向の両端部は重なっている。
【0071】
つぎに、この完成ソーラーセル115を、大径サイズの別種類の時計ムーブメントに組込んで使用した場合を図5に示す。
図5に示す時計ムーブメントは、図1に示す小径サイズの時計ムーブメントに対して、回路支持台110と、文字板117と、見返しリング116のみ新設し、基礎ムーブメント100と、回路基板111と、回路押さえ114と、完成ソーラーセル115とは、図1に示す小径サイズの時計ムーブメントと共通の部品を使用している。図5に示す回路基板111は、小径サイズの時計ムーブメントと大径サイズの時計ムーブメントで共通であることから、時計中心からねじ123までの距離は、図1に示す小径サイズの時計ムーブメントと同一である。
【0072】
この図5に示す大径サイズの時計ムーブメントの場合も、回路支持台110に収納部110dを設ける。大径サイズの時計ムーブメントに完成ソーラーセル115を組み込むと、図5に示すように、時計外周からねじ123までの距離が長くなるため、収納部110dに収納されるフレキシブルプリント基板120の端部120dの長さは、図1に示す小径サイズの時計ムーブメントに完成ソーラーセル115を組み込んだ場合より短くなる。
また、ソーラーセル121は、前述のように大径サイズの図5に示す時計ムーブメントのソーラーセル保持壁部110aに合わせた長さに設定してあるため、ソーラーセル12
1はセルの重なり領域125がない状態となっている。
【0073】
このように、ソーラーセル121のみならず、フレキシブルプリント基板120も大径サイズの時計ムーブメントに合致する長さで設計し、小径サイズの時計ムーブメントに組込んで使用する場合は、ソーラーセル121における大径サイズの時計ムーブメントと小径サイズの時計ムーブメントとの長さの差分をセルの重なり領域125で重ねて使用する。
さらに、完成ソーラーセル115の端部120dを収納部110dに収納することによって、フレキシブルプリント基板120における、回路基板111と、回路押さえ114の短絡を、特許文献1のように絶縁シートを新たに追加することなく防止することが可能となる。したがって、従来はムーブメントごとに新規設定していたソーラーセル121とフレキシブル基板120を、サイズが異なる複数種類の時計ムーブメントで共通使用が可能となる。
【0074】
ここで留意すべき点は、セルの重なり領域125において、外周側に配置されているソーラーセル121は、発電部121aの内側にソーラーセル121の他端が配置されることになるため、光が入射することがない。
つまり、セルの重なり領域125において、外周側の発電部121aは実質的には発電部として機能しないということである。ソーラーセル121は、時計ムーブメントの消費電力とソーラーセル121の発電能力から必要な発電部121aの面積が決まる。小径サイズの時計ムーブメントと大径サイズの時計ムーブメントを共用するためには、小径サイズの時計ムーブメントにおける発電能力に基づいて、ソーラーセル121のサイズを決定する必要がある。つまり、小径サイズの時計ムーブメントにおける消費電力と光発電起電力を勘案して、ソーラーセル121の発電部121aの面積を決定すればよい。
【0075】
この完成ソーラーセル115を大径サイズの時計ムーブメントに組込んだときは、セルの重なり領域125がなく、発電部121aの全域で光発電可能であるため、完成ソーラーセル115に光が入射することで発生する光発電起電力は小径サイズの時計ムーブメントに完成ソーラーセル115を組み込んだ場合より、増加することになる。
このように、小径サイズの時計ムーブメントを基準にして、ソーラーセル121の光発電起電力を設定していることから、光発電起電力不足に起因する時計ムーブメントが停止する問題点は発生しない。
【0076】
なお、第1の実施形態では、フレキシブルプリント基板120の端部120dを収納する収納部110dは、回路支持台110に形成する貫通穴からなり、貫通穴の下面側は文字板117で覆われている構造となっている。
したがって、この完成ソーラーセル115を共通使用可能なムーブメントの大きさは、時計ムーブメントの厚さ、具体的には回路基板111の上面から文字板117の下面までの収納部110dの深さ寸法に回路基板111の厚さ寸法を加算する距離で決まる。第1の実施形態の場合、回路基板111上面から文字板117下面までの寸法はおよそ2mmであることから、図1〜図3に示す時計ムーブメントを基準とすると、この時計ムーブメントに対して片側2mm、すなわち直径で4mm程度大きい時計ムーブメントサイズまでは、この完成ソーラーセル115を共通使用することが可能である。直径で4mmのサイズ差は、一般的には女性向けの時計と小ぶりな男性向け時計のサイズ差に相当するため、この完成ソーラーセル115を、かなり広範囲の商品群に共通使用することが可能であるといえる。
【0077】
〔第2の実施形態の説明:図6乃至図9〕
つぎに、本発明の第2の実施形態について、図面を用いて説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態における小型のセンサ付コンビネーション時計を示す
断面図である。図7は、本発明の第2の実施形態におけるセンサ付コンビネーション時計を示す平面図である。図8は、本発明の第2の実施形態におけるセンサ付コンビネーション時計に搭載するセンサを示す図面である。図9は、図6および図7に示すセンサ付コンビネーション時計と回路やセンサなどの構成要素は共通で、完成時計サイズが異なるセンサ付コンビネーション時計を示す断面図である。なお、第2の実施形態の図面においては、第1の実施形態と同一構成要素には、同一符号を付して、その詳細説明を省略または簡略化する。
【0078】
図6と図7に示す時計は、時刻表示用として図示しない時針と分針と秒針の指針を有し、さらに機能表示用として液晶表示部200を有する、いわゆるコンビネーション時計である。この液晶表示部200は、液晶セル支持枠204によって保持されている。
このコンビネーション時計では、通常時刻は3本の指針で行い、図示しないプッシュボタンの押圧操作によって液晶表示部200の表示モードを切り替え、タイマーやクロノグラフなどの付加機能を表示させて使用するものである。また、このコンビネーション時計は、圧力センサユニット201を有し、コンビネーション時計を携帯して水中に潜水することにより、その潜水深度や潜水時間などの情報を液晶表示部200に表示する機能を有する。
【0079】
つぎに図8を用いて圧力センサユニット201の構成を説明する。
圧力センサユニット201は、圧力センサ201aと、この圧力センサ201aに固着するフレキシブルプリント基板201bから構成する。フレキシブルプリント基板201bにおける圧力センサ201aと反対側の端部201cには、第1の実施形態と同じように、長穴201dを設ける。第1の実施形態と同じように、ねじ123を用いて押さえ板122を介して回路基板111に長穴201dを押圧することによって、フレキシブルプリント基板201bと回路基板111に形成するパターンとの電気的導通を確保する。
【0080】
図6および図7に示すセンサ付コンビネーション多機能時計は、図1〜5に示す第1の実施形態のソーラーセル付時計と異なり、液晶表示部200と圧力センサユニット201などの付加機能を追加している。これにともない、時計ムーブメントとしての消費電力が大きくなるため、図6に示すように、電池202は大型のコイン電池を使用しており、基礎ムーブメントの上に、この基礎ムーブメントと平面的に重なる位置に電池202を配置している。
したがって、図7に示すように、フレキシブルプリント基板201bと回路基板111の接点であるねじ123と電池202の平面距離が近く、配置スペースに大きな制約が生じる。
【0081】
これに対して、第2の実施形態では、回路支持台110に、収納部110dを配設し、フレキシブルプリント基板201bの端部201cを収納部110dの中に収納している。
この構成により、フレキシブルプリント基板201bと回路基板111の平面重なり領域203の部分を有効活用できる。たとえば、回路基板111の表面に検査用のパターン、または、その他の配線パターンを形成することが可能となり、時計ムーブメントの小型化に寄与することが可能となる。
【0082】
また、完成時計サイズの大型な別種類の時計ムーブメントに圧力センサユニット201を搭載した場合の構造を図9に示す。この場合、図6の小型の時計ムーブメントと比較して、収納部110dに収納するフレキシブルプリント基板201bの端部201cの長さは短くなる。
第1の実施形態と同じように、収納部110dの深さ寸法分だけはフレキシブルプリント基板201bの端部201cを剰余分として、収納部110dに収納可能であることか
ら、収納部110dの深さ寸法に回路基板111の厚さ寸法を加算した寸法に相当する寸法だけ、圧力センサユニット201を外周側に配置することが可能となる。したがって、収納部110dの深さに回路基板111の厚さ寸法を加算した寸法に相当する長さ分だけ異なる時計サイズの時計ムーブメントに、圧力センサユニット201を共通使用することが可能となり、部品の汎用化を達成できる。
【0083】
以上のように、圧力センサユニット201はその性質上、常に時計ケースの最外周部に、その圧力センサ201aを露出させた状態で配設する必要がある。このため、従来は時計サイズごとにフレキシブルプリント基板201bを新設して一品一様のユニットとする必要があり、共通使用が難しい部品であった。
しかしながら、このような多機能時計にも本発明の第2の実施形態を適用することによって、図6に示すような小径サイズのセンサ付コンビネーション時計と、図9に示す大径サイズのセンサ付コンビネーション時計において、圧力センサユニット201を共通使用可能となり、部品の汎用化が実現できる。
【0084】
以上の実施形態の説明において、フレキシブルプリント基板120、201bに設ける回路基板111との接続位置を変更可能な接続位置調節手段として、長穴120c、201dを適用する実施形態で説明したが、複数の開口をフレキシブルプリント基板120、201bに形成して接続位置調節手段として適用してもよい。
【0085】
収納部110dとして、貫通穴を回路支持台110に形成する実施形態で以上説明したが、回路支持台を貫通しない凹部を収納部として適用してもよい。
【0086】
以上の実施形態の説明においては、携帯型電子機器として時計を例にして説明したが、PDA(Personal Digital Assistants)にも、本発明は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるソーラーセル付時計ムーブメントを示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるソーラーセル付時計ムーブメントを上面側から見た状態を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施実施形態におけるソーラーセル付時計ムーブメントを下面側から見た状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるソーラーセル付時計ムーブメントに搭載する完成ソーラーセルを示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるソーラーセル付時計ムーブメントに搭載する完成ソーラーセルを、サイズが異なる第2のソーラーセル付時計ムーブメントに搭載する状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるセンサ付コンビネーション多機能時計を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施実施形態におけるセンサ付コンビネーション多機能時計を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるセンサ付コンビネーション多機能時計に搭載するセンサを示す図面である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるセンサ付コンビネーション多機能時計に搭載するセンサを、時計サイズが異なる第2のセンサ付コンビネーション多機能時計に搭載する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
101 地板
109 輪列受
110 回路支持台
110d 収納部
111 回路基板
115 完成ソーラーセル
116 見返しリング
117 文字板
120 フレキシブルプリント基板
121 ソーラーセル
【出願人】 【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−39716(P2008−39716A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217809(P2006−217809)