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【発明の名称】 時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法
【発明者】 【氏名】浦野 治

【氏名】藤沢 照彦

【氏名】本田 克行

【氏名】松▲崎▼ 淳

【要約】 【課題】超低電力が要求されるときでも、消費電力が高くならず、且つ、高精度な時刻修正が可能な時刻修正装置等を提供すること。

【構成】測位部と、時刻修正情報格納部52と、時刻情報修正部33と、を有し、時刻修正情報を生成するための基礎情報である3モードの時刻修正基礎情報42a等を格納する時刻修正基礎情報格納部と、時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部32と、を有し、3モードの時刻修正基礎情報を選択して実行するための選択情報41を有する時刻修正装置10。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球を周回する位置情報衛星からの信号を受信して測位を行う測位部と、
時刻情報を生成する時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する時刻修正情報を格納する時刻修正情報格納部と、
前記時刻修正情報に基づいて前記時刻情報を修正する時刻情報修正部と、を有する時刻修正装置であって、
前記時刻修正情報を生成するための基礎情報である時刻修正基礎情報を格納する時刻修正基礎情報格納部と、
前記時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部と、を有し、
前記時刻修正基礎情報には、
複数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報と、
前記複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる測位情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報と、
前記単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる時刻誤差情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの前記信号のうち時刻に関する信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報と、が含まれ、
前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正基礎情報のうちの前記複数衛星基準時刻修正基礎情報、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報及び前記部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報を、選択して実行するための選択情報を格納するための選択情報格納部が備えられていることを特徴とする時刻修正装置。
【請求項2】
前記複数の位置情報衛星が、4個のGPS(Global Positioning System)衛星であって、
前記複数衛星基準時刻修正基礎情報は、前記4個のGPS衛星から発信された信号が受信されるまでの実際に測定した伝搬遅延時間を基準として、計算により求めた前記時刻修正装置の位置情報及び真の前記伝搬遅延時間と、
前記時刻情報生成部が計測した測定値である前記伝搬遅延時間と、を生成するための前記基礎情報となっており、
前記時刻修正情報が、前記真の伝搬遅延時間と前記測定値である伝搬遅延時間との差分情報であることを特徴とする請求項1に記載の時刻修正装置。
【請求項3】
前記単数衛星基準時刻修正基礎情報は、前記測位情報である前記時刻修正装置の位置情報を擬似現在位置として利用し、この擬似現在位置と前記GPS衛星の軌道情報から特定される前記GPS衛星の位置情報とで特定される衛星距離に基づき計算により求められた真の前記伝搬遅延時間と、
前記時刻情報生成部が計測した測定値である前記伝搬遅延時間と、を生成するための前記基礎情報となっていることを特徴とする請求項2に記載の時刻修正装置。
【請求項4】
前記部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報の前記時刻誤差信号は、少なくとも、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報が前記時刻修正情報生成部によって実行された際に得られる前記伝搬遅延時間の平均情報と、前記差分情報の平均情報と、を含み、
前記時刻に関する信号は、前記GPS衛星のGPS時刻情報であり、
このGPS時刻情報、前記伝搬遅延時間の平均情報及び前記差分情報の平均情報が、前記時刻修正情報の前記基礎情報となっていることを特徴とする請求項3に記載の時刻修正装置。
【請求項5】
地球を周回する位置情報衛星からの信号を受信して測位を行う測位部と、
時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
前記時刻情報を修正する時刻修正情報を格納する時刻修正情報格納部と、
前記時刻修正情報に基づいて前記時刻情報を修正する時刻情報修正部と、を有する時刻修正装置付き計時装置であって、
前記時刻修正情報を生成するための基礎情報である時刻修正基礎情報を格納する時刻修正基礎情報格納部と、
前記時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部と、を有し、
前記時刻修正基礎情報には、
複数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報と、
前記複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる測位情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記修正情報を生成するための前記基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報と、
前記単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる時刻誤差情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの前記信号のうち時刻に関する信号に基づいて前記修正情報を生成するための前記基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報と、が含まれ、
前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正基礎情報のうちの前記複数衛星基準時刻修正基礎情報、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報及び前記部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報を、選択して実行するための選択情報を格納するための選択情報格納部が備えられていることを特徴とする時刻修正装置付き計時装置。
【請求項6】
時刻修正情報に基づき、時刻情報を生成する時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する時刻修正方法であって、
地球を周回する複数の位置情報衛星から測位部が受信した信号から前記時刻修正情報を生成するための基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する第1の時刻修正情報生成工程と、
前記第1の時刻修正情報生成工程で生成された前記時刻修正情報に基づき、時刻情報修正部が前記時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する第1の時刻情報修正工程と、
前記第1の時刻修正情報生成工程で得られた前記測位部による測位情報を利用して、単数の位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する第2の時刻修正情報生成工程と、
前記第2の時刻修正情報生成工程で生成された前記時刻修正情報に基づき、前記時刻修正部が前記時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する第2の時刻情報修正工程と、
前記第2の時刻修正情報工程で得られた時刻誤差情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの前記信号のうち時刻に関する信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する第3の時刻修正情報生成工程と、
前記第3の時刻修正情報生成工程で生成された前記時刻修正情報に基づき、前記時刻修正部が前記時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する第3の時刻情報修正工程と、を有することを特徴とする時刻修正方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばGPS衛星等からの信号に基づいて時刻修正を行う時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己位置を測位するためのシステムであるGPS(Global Positioning System)システムでは、地球を周回する軌道を有するGPS衛星が用いられており、このGPS衛星には、原子時計が備えられ、極めて正確な時間を計測している。
このため、従来より、GPS衛星の原子時計のデータを用いて高精度な時計の時刻修正を行う提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3512068号公報(段落「0001」等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、GPS衛星から原子時計のデータを取得するためには、GPS衛星を補足し、GPS衛星の信号と同期等させる必要がある。
また、GPS衛星は常に移動しており、その補足のためには、GPS衛星の軌道データからGPS衛星の位置を予測して補足する必要がある。
さらに、正確な時刻データを取得するには、最低4つのGPS衛星を補足する必要がある。
このように移動する4つのGPS衛星を補足するには通常時間がかかるが、これに加えて、使用者と共に常に移動する時計等にGPS衛星の信号の受信機が備わっている場合は、受信機も移動するため、GPS衛星の補足がさらに困難となり、4個のGPS衛星を補足するのに長時間を要することとなる。
これでは、GPS衛星の補足のために長時間、電力を消費することとなり、時計等のように超低電力が要求される機器に搭載することは困難となっていた。そのため、現実には、時計等で高精度な時刻修正を行うことはできないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、超低電力が要求されるときでも、消費電力が高くならず、且つ、高精度な時刻修正が可能な時刻修正装置、時刻修正装置付き計時装置及び時刻修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、本発明によれば、地球を周回する位置情報衛星からの信号を受信して測位を行う測位部と、時刻情報を生成する時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する時刻修正情報を格納する時刻修正情報格納部と、前記時刻修正情報に基づいて前記時刻情報を修正する時刻情報修正部と、を有する時刻修正装置であって、前記時刻修正情報を生成するための基礎情報である時刻修正基礎情報を格納する時刻修正基礎情報格納部と、前記時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部と、を有し、前記時刻修正基礎情報には、複数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報と、前記複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる測位情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報と、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる時刻誤差情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの前記信号のうち時刻に関する信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報と、が含まれ、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正基礎情報のうちの前記複数衛星基準時刻修正基礎情報、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報及び前記部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報を、選択して実行するための選択情報を格納するための選択情報格納部が備えられていることを特徴とする時刻修正装置により達成される。
【0006】
前記構成によれば、時刻情報を生成する時刻情報生成部の時刻情報を修正する時刻修正情報を格納する時刻修正情報格納部を有している。また、時刻修正情報に基づいて時刻情報を修正する時刻情報修正部を有している。
さらに、時刻修正情報を生成するための基礎情報である時刻修正基礎情報を格納する時刻修正基礎情報格納部と、時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部と、を有している。
すなわち、前記構成では、時刻基礎情報に基づき時刻修正情報が生成され、この時刻修正情報に基づき時計等の時刻情報生成部の時刻が修正される構成となっている。
【0007】
また、時刻基礎情報として、位置情報衛星からの信号に基づいて時刻修正情報を生成するための基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報を有している。
この複数衛星基準時刻修正基礎情報は、位置情報衛星である例えば、GPS衛星からの信号に基づいて測位をすることで、GPS衛星に搭載されている原子時計等の時刻と対比でき、高精度な時刻修正が可能となっている。
このため、この複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて時刻修正情報を生成すれば、高精度な時刻修正が可能となる。
一方で、このように複数の衛星を補足し、測位するときは、時刻修正装置の消費電力が大となるという問題が生じる。
【0008】
その点、前記構成では、時刻基礎情報として、上述の複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報生成部が時刻修正情報を生成する際に得られる測位情報を利用して、単数の位置情報衛星からの信号に基づいて時刻修正情報を生成するための基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報を有している。
この単数衛星基準時刻修正基礎情報は、上述の複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて時刻修正情報が生成されたとき、上述のように測位が行われており、時刻修正装置の位置が既知となっていることに着眼し、この既知となった位置情報を利用するものである。
すなわち、複数のGPS衛星等を用いるのは、受信側である時刻修正装置の位置が不知であり、その位置を計算により明らかにするために必要だからである。
また、GPS衛星等に搭載されている原子時計等と時計等の時刻情報生成部との誤差等を把握するには、GPS衛星と時刻修正装置双方の位置を知る必要がある。この点からも時刻修正装置の位置を知ることは必須となる。
しかし、単数衛星基準時刻修正基礎情報では、その前段階で行われた複数衛星基準時刻修正基礎情報で取得した時刻修正装置の自己位置は既知となっている。
このため、GPS衛星の原子時計等との誤差を把握するには、単数のGPS衛星を補足し、その位置(軌道位置)を把握すればよいことになる。
そこで、単数衛星基準時刻修正基礎情報を用いる場合は、複数衛星基準時刻修正基礎情報と異なり、単数の衛星を把握すればよいので、消費電力が小なる。
【0009】
このように、複数衛星基準時刻修正基礎情報と単数衛星基準時刻修正基礎情報を組み合わせて使用することで、時刻修正を高精度に維持しつつ、消費電力を軽減することができることになる。
【0010】
また、前記構成では、時刻基礎情報として、単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報生成部が時刻修正情報を生成する際に得られる時刻誤差情報を利用して、単数の位置情報衛星からの信号のうち時刻に関する信号に基づいて時刻修正情報を生成するための基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報を有している。
この部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報は、上述の単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて時刻修正情報が生成されたときに得られる時刻誤差情報を利用するものである。
すなわち、単数のGPS衛星等から信号を受信することで、例えば、信号の伝搬遅延時間(衛星から時刻修正装置まで信号が伝搬する時間)やGPS衛星等の原子時計等と時刻情報生成部の時刻とを比較したときの時間の誤差等の時刻誤差情報は取得済みである。
そこで、かかる取得済みの時刻誤差情報を利用しようとするものである。
【0011】
すなわち、部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報では、GPS衛星等を補足し、その軌道上の位置を把握することをせず、単に、GPS衛星等のGPS時刻(例えば、TOW、Time of Week)等の時刻に関する信号を取得するにとどまる。
このように、部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報では、GPS衛星等の軌道上の位置が不知なため、GPS衛星等の原子時計等のデータと時計等の時刻情報生成部の時間を対比し、その誤差を把握することはできないが、GPS衛星等のGPS時刻は把握することができる。
そこで、このようなGPS時刻等の時刻に関する信号のデータに上述の時刻誤差情報(例えば、伝搬遅延時間、時刻情報生成部の誤差時間情報等)を付加することで、時刻情報生成部の誤差が把握でき、時刻情報生成部を、高精度で修正することができることになる。
しかも、部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報では、GPS衛星等から受信する信号が少ないため、上述の単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報生成部が時刻修正情報を生成する場合より更に消費電力が小となる。
【0012】
また、前記構成では、上述の3つのモード、すなわち、複数衛星基準時刻修正基礎情報、単数衛星基準時刻修正基礎情報及び部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報を、選択して実行するための選択情報を有している。このため、この選択情報にしたがい、これらの基礎(モード)を使い分けることで、高精度な時刻の修正を維持しつつ、消費電力を大幅に低減させることができる、
したがって、超低電力が要求される時計等の機器にも搭載可能な時刻修正装置となる。
【0013】
好ましくは、前記複数の位置情報衛星が、4個のGPS(Global Positioning System)衛星であって、前記複数衛星基準時刻修正基礎情報は、前記4個のGPS衛星から発信された信号が受信されるまでの実際に測定した伝搬遅延時間を基準として、計算により求めた前記時刻修正装置の位置情報及び真の前記伝搬遅延時間と、前記時刻情報生成部が計測した測定値である前記伝搬遅延時間と、を生成するための前記基礎情報となっており、前記時刻修正情報が、前記真の伝搬遅延時間と前記測定値である伝搬遅延時間との差分情報であることを特徴とする時刻修正装置である。
【0014】
前記構成によれば、高精度な時刻修正情報を生成することができる。
【0015】
好ましくは、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報は、前記測位情報である前記時刻修正装置の位置情報を擬似現在位置として利用し、この擬似現在位置と前記GPS衛星の軌道情報から特定される前記GPS衛星の位置情報とで特定される衛星距離に基づき計算により求められた真の前記伝搬遅延時間と、前記時刻情報生成部が計測した測定値である前記伝搬遅延時間と、を生成するための前記基礎情報となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0016】
前記構成によれば、測位情報である時刻修正装置の位置情報を擬似現在位置として利用するので、高精度な時刻修正情報を生成しつつ、かつ、複数の衛星を補足する必要がないため、消費電力を低減させることができる。
【0017】
好ましくは、前記部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報の前記時刻誤差信号は、少なくとも、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報が前記時刻修正情報生成部によって実行された際に得られる前記伝搬遅延時間の平均情報と、前記差分情報の平均情報と、を含み、前記時刻に関する信号は、前記GPS衛星のGPS時刻情報であり、このGPS時刻情報、前記伝搬遅延時間の平均情報及び前記差分情報の平均情報が、前記時刻修正情報の前記基礎情報となっていることを特徴とする時刻修正装置である。
【0018】
前記構成によれば、単数衛星基準時刻修正基礎情報が時刻修正情報生成部によって実行された際に得られる伝搬遅延時間の平均情報と、差分情報の平均情報と、を含むため、高精度な時刻修正が可能となる。
【0019】
前記課題は、本発明によれば、地球を周回する位置情報衛星からの信号を受信して測位を行う測位部と、時刻情報を生成する時刻情報生成部と、前記時刻情報を修正する時刻修正情報を格納する時刻修正情報格納部と、前記時刻修正情報に基づいて前記時刻情報を修正する時刻情報修正部と、を有する時刻修正装置付き計時装置であって、前記時刻修正情報を生成するための基礎情報である時刻修正基礎情報を格納する時刻修正基礎情報格納部と、前記時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部と、を有し、前記時刻修正基礎情報には、複数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報と、前記複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる測位情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの信号に基づいて前記修正情報を生成するための前記基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報と、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する際に得られる時刻誤差情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの前記信号のうち時刻に関する信号に基づいて前記修正情報を生成するための前記基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報と、が含まれ、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正基礎情報のうちの前記複数衛星基準時刻修正基礎情報、前記単数衛星基準時刻修正基礎情報及び前記部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報を、選択して実行するための選択情報を格納するための選択情報格納部が備えられていることを特徴とする時刻修正装置付き計時装置により達成される。
【0020】
前記構成によれば、超低電力が求められる時計等の計時装置において、低消費電力で高精度な時刻修正が可能となる。
【0021】
前記課題は、本発明によれば、時刻修正情報に基づき、時刻情報を生成する時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する時刻修正方法であって、地球を周回する複数の位置情報衛星から測位部が受信した信号から前記時刻修正情報を生成するための基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する第1の時刻修正情報生成工程と、前記第1の時刻修正情報生成工程で生成された前記時刻修正情報に基づき、時刻情報修正部が前記時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する第1の時刻情報修正工程と、前記第1の時刻修正情報生成工程で得られた前記測位部による測位情報を利用して、単数の位置情報衛星からの信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する第2の時刻修正情報生成工程と、前記第2の時刻修正情報生成工程で生成された前記時刻修正情報に基づき、前記時刻修正部が前記時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する第2の時刻情報修正工程と、前記第2の時刻修正情報工程で得られた時刻誤差情報を利用して、単数の前記位置情報衛星からの前記信号のうち時刻に関する信号に基づいて前記時刻修正情報を生成するための前記基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報に基づいて、前記時刻修正情報生成部が前記時刻修正情報を生成する第3の時刻修正情報生成工程と、前記第3の時刻修正情報生成工程で生成された前記時刻修正情報に基づき、前記時刻修正部が前記時刻情報生成部の前記時刻情報を修正する第3の時刻情報修正工程と、を有することを特徴とする時刻修正方法により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明に係る時刻修正装置付き計時装置である例えば、GPS時刻修正装置付き腕時計10(以下「GPS付き腕時計」という)を示す概略図であり、図2は、図1の
GPS付き腕時計10の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、GPS付き腕時計10は、その表面に文字盤12、長針、短針等の針13等が配置されると共に、各種メッセージが表示されるLED、文字盤12等からなるディスプレイ14が形成されている。なお、ディスプレイ14は、LEDの他、LCD、アナログ表示等でも構わない。
【0024】
また、図1に示すように、GPS付き時計10は、アンテナ11を有しており、このアンテナ11は、地球の上空を所定の軌道で周回しているGPS衛星15a乃至15dからの信号を受信する構成となっている。
なお、GPS衛星15a乃至15cは、位置情報衛星の一例となっている。
【0025】
また、図2に示すように、GPS付き腕時計10は、その内部に時計機構、GPS機構を備え、コンピュータとしての機能も発揮する構成となっている。
つまり、本実施の形態における時計機構は、いわゆる電子時計となっている。
以下、図2に示す各構成について説明する。
図2に示すように、GPS付き腕時計10は、バス16を備え、バス16には、CPU(Central Processing Unit)17、RAM(Random Access Memory)18、ROM(Read Only Memory)19
等が接続されている。
また、バス16には、測位部である例えば、GPS機構も接続されている。すなわち、アンテナ11,フィルタ(SAW)20、RF21、ベースバンド22等が接続されている。
すなわち、図1のGPS衛星15a等から受信した信号は、アンテナ11からフィルタ20やRF21を介してベースバンド22で信号として取り出される構成となっている。
GPS衛星15a等から受信する信号についての詳細は、後述する。
【0026】
また、バス16には、時計機構も接続されている。すなわち、リアルタイムクロック(RTC)23や温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)24等が接続されている。
さらに、バス16には、図1に示すディスプレイ14等も接続されている。
このように、バス16は、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスやデータパスを有する内部バスである。RAM18は、所定のプログラムの処理を行う他、バス16に接続されたROM等19を制御している。ROM19は、各種プログラムや各種情報等を格納している。
【0027】
なお、RTC23は、時刻情報を生成する時刻情報生成部の一例となっている。
【0028】
図3乃至図5は、GPS付き腕時計10の主なソフトウエア構成等を示す概略図であり、図3は全体図である。
図3に示すように、GPS付き腕時計10は、制御部25を有し、制御部25は、図3に示す各種プログラム格納部30内の各種プログラム、第1の各種データ記憶部40内の各種データ及び第2の各種データ記憶部50内の各種データを処理する構成となっている。
また、図3には、各種プログラム格納部30、第1の各種データ記憶部40及び第2の各種データ記憶部50と分けて示してあるが、実際に、このようにデータが分けて格納されているわけではなく、説明上の便宜のために分けて記載したものである。
なお、図3の第1の各種データ記憶部40には、主に予め格納されているデータをまとめて示した。また、第2の各種データ記憶部50には、第1の各種データ記憶部40内のデータ等を各種プログラム格納部30内のプログラムで処理した後のデータ等を主に示した。
図4は、図3の各種プログラム格納部30内のデータを示す概略図であり、図5は、図3の第1の各種データ記憶部40内のデータを示す概略図である。また、図6は、図3の第2の各種データ記憶部50内のデータを示す概略図である。
図7及び図8は、本実施の形態にかかるGPS付き腕時計10の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【0029】
以下、図7及び図8のフローチャートにしたがって本実施の形態に係るGPS付き腕時計10の動作等を説明しつつ、その関連で図4乃至図5の各種プログラムや各種データを説明する。
先ず、図1のGPS付き腕時計10の購入者等が、時計機構、すなわち、リアルタイムクロック23の時刻修正を行いたい場合は、GPS付き腕時計10に図7のST1に示すように初期化動作を行わせる。
すると、図4の時刻修正モード選択プログラム31が動作する。時刻修正モード選択プログラム31は、図5に示す時刻修正モード選択基準データ格納部41内のデータを参照して、図5の時刻修正モードデータ格納部42内のデータを選択する。
具体的には、図5の4衛星時刻修正モード選択基準データ41aは、RTC23が初期化状態のときは、4衛星時刻修正モードを選択する旨のデータとなっている。
そのため、時刻修正モード選択プログラム31は、図5の4衛星時刻修正モード42aを選択する。
【0030】
なお、時刻修正モード実行プログラム32は、時刻修正基礎情報(例えば、4衛星時刻修正モードデータ42a等)に基づいて、後述する時刻修正情報を生成する時刻修正情報生成部の一例である。
また、時刻修正モードデータ格納部42は、後述する時刻修正情報を生成するための基礎情報である時刻修正基礎情報(例えば、4衛星時刻修正モードデータ42a等)を格納する時刻修正基礎情報格納部の一例である。
【0031】
次に、図7のST2へ進む。ST2では、4衛星時刻修正モードが実行される。具体的には、図4の時刻修正モード実行プログラム32が動作し、図5の4衛星時刻修正モードデータ42aが実行される。
【0032】
図9は、図2のST2の「4衛星時刻修正モード実行」内容を示す概略フローチャートである。
以下、図9を用いて、4衛星時刻修正モードについて説明する。
先ず、図9のST21に示すようにGPS衛星15a等をスキャンする。具体的には、図2のGPS機構が動作し、アンテナ11からGPS信号を受信し、捕捉可能なGPS衛星15a等をサーチする。
次に、ST22で、4個以上のGPS衛星15a等を捕捉することができたときは、ST23に進み。捕捉できなかったときは、屋内等のGPS衛星15a等を捕捉できない環境であるとして、4衛星時刻修正モードを終了する。
【0033】
ST23では、捕捉した各GPS衛星15a等からの信号を受信する。以下、各GPS衛星15a等から送信される信号について説明する。図10は、GPS衛星信号を示す概略説明図である。
各GPS衛星15a等からは、図10(a)に示すように、1フレーム(30秒)単位で信号が送信されて来る。この1フレームは、5個のサブフレーム(1サブフレームは6秒)を有している。各サブフレームは、10ワード(1ワードは0.6秒)を有している。
また、各サブフレームの先頭のワードには、TLM(Telemetry word)データが格納されたTLMワードとなり、このTLMワード内には、図10(b)に示すように、その先頭にプリアンブルデータが格納されている。
また、TLMに続くワードは、HOW(handover)データが格納されたHOWワードとなり、その先頭には、TOW(Time of week)というGPS衛星のGPS時刻情報が格納されている。
GPS時刻は毎週日曜日の0時から経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。そして、この1週間についてはGPSの週番号が付されているので、週番号と経過時間(秒)のデータを取得することで、受信側はGPS時刻を取得できる構成となっている。このGPS時刻の起点となるのが、UTC(世界協定時)となっている。
【0034】
また、このようなGPS衛星15a等のフレームデータ等を取得するには、受信側がGPS衛星15a等の信号と同期させる必要があるが、特に1ms単位の同期のためにC/Aコード(1023chip(1ms))が用いられる。
【0035】
GPS衛星15a等からの信号は以上のように送信されてくるため、本実施の形態では、図9のST23に示すように、各GPS衛星15a等からのC/Aコードと位相同期させ、図10(b)に示す、TLMワードのプリアンブル及びHOWワードのTOWと同期させる。そして、図10(a)に示すように、各サブフレームのデータ、例えば、エフェメリス(各GPS衛星15a等毎の詳細な軌道情報)、アルマナック(全GPS衛星15a等の概略軌道情報)、UTCデータ(世界協定時と各地域との時差情報等)を取得する。
【0036】
次に、ST24で、GPS付き腕時計10は、4個のGPS衛星15a等のエフェメリスを取得し、これらのGPS衛星15a等からの信号の伝搬遅延遅延時間(GPS衛星からGPS付き腕時計10に到達するまでの時間)を、自己のRTC23等を用いて計測し、光速データに基づき、GPS衛星15a等とGPS付き腕時計10との擬似衛星距離を算出する。
次に、4個のGPS衛星15a等からに擬似衛星距離に基づき、GPS付き腕時計10の位置(X、Y)、高度(Z)、真の伝搬遅延時間(T)を4連立方程式で算出し、GPS付き腕時計10の位置及び高度情報(X、Y、Z)と真の伝搬遅延時間(T)を算出する。
これにより、ST24で、真の伝搬遅延時間と実際にRTC23等で計測した伝搬遅延時間を取得することができる。
【0037】
このように4衛星時刻修正モードデータ42aでは、4個のGPS衛星15a等から発信された信号が受信されるまでの時間を実際に測定した伝搬遅延時間を基準として、計算により求めたGPS付き腕時計10の位置情報及び真の伝搬遅延時間と、RTC23が計測した測定値である伝搬遅延時間と、を生成する構成となっている。
【0038】
次に、ST25で、測位位置は、測位データ51aとして、図6の測位データ格納部51に格納される。また、ST24で計算により求めた真の伝搬遅延時間とRTC23が実際に計測した伝搬遅延時間との差分データは、修正用時刻データ52aとして修正用時刻データ格納部52に格納される。
【0039】
次に、ST26で、図4に示す、RTCのオフセットプログラム33が動作し、図6の修正用時刻データ52aに基づき、RTC時刻データ格納部53のRTC時刻データをオフセット(修正)する。
【0040】
このように、修正用時刻データ格納部52は、RTCの時刻情報(例えば、RTC時刻データ53a)を修正する時刻修正情報(例えば、修正用時刻データ52a)を格納する時刻修正情報格納部の一例である。
そして、修正用時刻データ52aは、上述のように真の伝搬遅延時間とRTC23の測定値である伝搬遅延時間との差分情報となっている。
また、RTCのオフセットプログラム33は、図6の修正用時刻データ52aに基づいてRTC時刻データ53aを修正する時刻情報修正部の一例となっている。
【0041】
次に、ST27に示すように、文字盤14上の表示は、GPS衛星15a等から取得したUTCデータ等が含まれている図6のRTC時計表示用データ53bに基づいて修正される。
したがって、例えば、時差を考慮した日本時間が表示される。
【0042】
以上で、4衛星時刻修正モードが終了するが、このモードでは、原子時計を有するGPS衛星15a等の時刻情報に合わせて、GPS付き腕時計10のRTC23のRTC時刻データ53aを修正することができるので、GPS付き腕時計10の時刻を高精度で修正することができる。
【0043】
このように、図5の4衛星時刻修正モードデータ42aは、複数のGPS衛星15a等からの信号に基づいて修正用時刻データ52aを生成するための基礎情報である複数衛星基準時刻修正基礎情報の一例である。
また、図7のST2は、第1の時刻修正情報生成工程及び第1の時刻情報修正工程の一例となっている。
【0044】
以上で図7のST2が終了する。次にST3で、時刻修正モード実行プログラム32が、4衛星時刻修正モードデータ42aが正常に終了したか否かを判断する。
そして、正常に終了しなかった場合は、ST4でマニュアル操作による時刻補正をすべき旨が表示される。
具体的には、図4のマニュアル表示プログラム34が動作して、マニュアル操作による時刻補正をすべき旨、図1及び図2のディスプレイ14に表示される。
【0045】
次に、ST5へ進む。ST5では、時刻修正モード実行プログラム32が、OLE_LINK14衛星時刻修正モードデータ42aの実行が終了したOLE_LINK1時刻を、4衛星時刻修正モード実行時刻データ54aとして、4衛星時刻修正モード実行時刻データ格納部54に格納する。
そして、時刻修正モード実行プログラム32は、RTC23に、4衛星時刻修正モードデータ42aの実行終了後、経過時間を測定させる。
【0046】
次に、図4の時刻修正モード選択プログラム31が動作し、図5の1衛星時刻修正モード選択基準データ41bを参照する。1衛星時刻修正モード選択基準データ41bには、4衛星時刻修正モード終了後、24時間経過後に1衛星時刻修正モードデータ42b(図5参照)を実行する旨、指示されている。
このため、時刻修正モード選択プログラム31は、ST6で、24時間経過したか否かを判断し、24時間経過したときは、ST7へ進む。
ST7では、図4の時刻修正モード実行プログラム32が、図5の時刻修正モードデータ格納部42内に格納されている1衛星時刻修正モードデータ42bに基づき、同モードを実行する。
【0047】
図11は、図7の「1衛星時刻修正モード実行」の内容を示す概略フローチャートである。
以下、図11等を示しながら、1衛星時刻修正モードの内容を説明する。
先ず、ST71で、図2のGPS機構が動作し、GPS衛星15a等をスキャンし、ST72で、1個以上のGPS衛星15a等の捕捉に成功したか否かを判断し、ST73で、捕捉したGPS衛星15a等からのC/Aコードを同期させ、図10(b)のプリアンブルやTOWを同期させ、当該GPS衛星15a等のエフェメリスデータを取得する。
【0048】
次に、ST74で、エフェメリスデータから当該捕捉したGPS衛星15a等の軌道上の位置情報を取得し、図6の測位データ51aから図7のST2の4衛星時刻修正モードで測位した測位結果であるGPS付き腕時計10の自己位置を取得する。
そして、GPS衛星15a等からの信号の真の伝搬遅延時間(衛星距離)を計算で求める。一方で、実際にGPS衛星15a等から受信した信号の伝搬遅延時間をRTC23を用いて取得する。
これで、実際の伝搬遅延時間と真の伝搬遅延時間を取得することができる。
【0049】
次に、ST75で、時刻修正モード実行プログラム32が、ST74で取得した真の伝搬遅延時間とRTC23が計測した実際の伝搬遅延時間との差分データを修正用時刻データ52aとして、図6の修正用時刻データ格納部52に格納される。
【0050】
その後、ST76及びST77では、上述の図9のST26及びST27と同様に、RTCのオフセットプログラム33が修正用時刻データ52aに基づきRTC23時刻をオフセット(修正)する。そして、図1のGPS付き腕時計10の文字盤12の表示は、衛星から取得したUTCデータ等を含むRTC時計表示用データ53bに基づいて修正する。
以上で、1衛星時刻修正モードが終了する。
【0051】
通常、GPS付き腕時計10等のRTC23は、時間の経過と共に誤差が生じるため、常に正確な時間で使用するには、24時間程度経過した後、その時刻の誤差修正を行う必要がある。
この時刻の誤差修正を毎回、図7のST2のように4衛星時刻修正モードで行うと、毎回、4個のGPS衛星15a等を捕捉し、データを受信しなければならず、消費電力が大となり、特に、腕時計等のように超低電力が求められる機器では大変な負担となる。
そこで、本実施の形態では、一度、ST2で4衛星時刻修正モードを実行した後は、既に、GPS付き腕時計10の位置は既知であることに注目し、その位置情報(図6の測位データ51a)を利用することで、4個のGPS衛星15a等を捕捉せず、1個のGPS衛星15a等のみで時刻修正を行おうとするものである。
すなわち、GPS衛星15a等とGPS付き腕時計10との間の信号の伝搬遅延時間(信号がGPS付き腕時計10に到達するまでの時間)を正確に計算するには、GPS衛星15a等の位置が分かっているだけでなく、GPS付き腕時計10の位置も分かっている必要がある。そこで、ST2では4個のGPS衛星15a等を使用してGPS付き腕時計10の位置を測位することになる。
【0052】
しかし、ST7の1衛星時刻修正モードでは、既にGPS付き腕時計10の位置が分かっているため、1個のGPS衛星15a等の位置が分かり、信号やデータを受信できれば、当該GPS衛星15a等とGPS付き腕時計10との間の真の伝搬遅延時間は計算できる。また、RTC23も時刻情報(TOW)を受信することで実際に測定した伝搬遅延時間を取得することができ、その差分データを修正用時刻データ52aとすることで、上述のST2の4衛星時刻修正モードと同様の高精度な時刻修正をすることができることになる。
しかも、1衛星時刻修正モードでは、1個のGPS衛星15a等を捕捉し、データを受信すればよいので、4個のGPS衛星15a等を捕捉する場合に比べ、大幅な消費電力の低減が可能となる。
このように、本実施の形態のように、4衛星時刻修正モードと1衛星時刻修正モードを組み合わせて使用することで、時刻修正を高精度に維持しつつ、消費電力を軽減させることが可能となっている。
【0053】
なお、図5のOLE_LINK21衛星時刻修正モードデータ42bは、OLE_LINK24衛星時刻修正モードデータ42aに基づいて、時刻修正モード実行プログラム32が修正用時刻データ52aを生成する際に得られる測位データ51aを利用して、単数(1個)のGPS衛星15a等からの信号に基づいて修正用時刻データ52aを生成するための基礎情報である単数衛星基準時刻修正基礎情報の一例となっている。
また、上述のように、1衛星時刻修正モードデータ42bは、測位情報であるGPS付き腕時計10の測位データ51aを擬似現在位置として利用し、この擬似現在位置とGPS衛星15a等の軌道情報(エフェメリス)から特定されるGPS衛星15a等の位置情報とで特定される衛星距離に基づき計算により求められた真の伝搬遅延時間と、RTC23が計測した測定値である伝搬遅延時間と、を生成するための基礎情報の一例となっている。
また、上述のST7は、第2の時刻修正情報生成工程及び第2の時刻情報修正工程の一例ともなっている。
【0054】
このようにして、図7のST7が終了すると、ST8に進む。ST8では、1衛星時刻修正モードデータ42bに基づき正常にST7が終了したか否かを判断し、正常に終了しなかったときは、図7に示すように、ST2の4衛星時刻修正モードが実行される。
これにより、高精度な時刻修正が担保される。
一方、ST8で、1衛星時刻修正モードが正常に実行されたと判断されたときは、ST9へ進む。
ST9では、先ず、時刻修正モード実行プログラム32が、1衛星時刻修正モードが終了すると、その回数を1衛星測位回数データ55aとして、図6の1衛星測位回数データ格納部55に格納する。
そして、図4の1衛星測位回数積算プログラム35が、前回迄の積算データである1衛星測位回数積算データ56a(1衛星測位回数積算データ格納部56に格納)に、1衛星測位回数データ55aを積算し、積算結果を1衛星測位回数積算データ56aとして更新登録する。
また、時刻修正モード実行プログラム32が、ST7の1衛星時刻修正モードで取得した上述の真の伝搬遅延時間(計算値)を図6の1衛星時刻修正モード伝搬遅延時間データ57aとして、1衛星時刻修正モード伝搬遅延時間データ格納部57に格納する。
【0055】
次に、ST10へ進む。ST10では、時刻修正モード選択プログラム31が、図5の1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ選択基準データ41cを参照する。
1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ選択基準データ41cには、同モードが実行される条件が定められており、例えば、1衛星測位回数積算データ56aが4回以上のときと定められている。
このため、ST10では、時刻修正モード選択プログラム31が、図6の1衛星測位回数積算データ56aを参照し、4回以上であるか否かを判断する。
4回以上でないときは、図7に示すように、再び1衛星時刻修正モードが実行され、高精度な時刻修正が担保されている。
【0056】
一方、ST10で、4回以上実行されたと判断されたときは、図8のST11へ進む。
ST11では、図4の1衛星時刻修正モード伝搬遅延時間データ平均プログラム36が、図6の1衛星時刻修正モード伝搬遅延時間データ格納部57内に格納されている直近の4回分のデータの平均値を算出し、1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58aとして、1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ格納部58に格納される。
また、図4の1衛星時刻修正モード時刻修正用データ平均プログラム37が動作し、図6の修正用時刻データ格納部52に格納されている直近の4回分の修正用時刻データ52aの平均値を算出し、1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aとして、1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ格納部59に格納される。
【0057】
次に、ST12に進み、1衛星の簡易方式時刻修正モードが実行される。すなわち、図4の時刻修正モード実行プログラム32が、図5の時刻修正モードデータ格納部42内の1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ42cを参照して、同モードを実行する。
図12は、図8のST12の「1衛星の簡易方式時刻修正モード実行」の内容を示す概略フローチャートである。
以下、図12等を用いて、1衛星の簡易方式時刻モードを説明する。
先ず、図12のST121及びST122に示すように、図1のGPS機構がGPS衛星15a等をスキャンし、1のGPS衛星15a等の捕捉に成功したか否かを判断する。
GPS衛星15a等の捕捉に成功すると、ST123に進み、当該捕捉したGPS衛星15a等からのC/Aコードを同期させ、図10(b)のプリアンブル及びTOWを同期させる。
次に、ST124に進む。ST124では、受信した図10(b)のTOWからGPS時刻を取得し、図10(a)に当該GPS衛星15a等のエフェメリスデータは取得しない。
【0058】
このため、1衛星の簡易方式時刻修正モードでは、GPS衛星15a等から信号を受信する時間が、図7のST7の1衛星時刻修正モードより短いため、さらに消費電力を軽減することができるモードとなっている。
一方、本モードでは、捕捉したGPS衛星15a等の軌道上の位置がわからないため、GPS衛星15a等とGPS付き腕時計10との間の衛星距離がわからず、真の伝搬遅延時間も計算することができない。
そこで、本モードでは、以下のデータを利用する。先ず、捕捉したGPS衛星15a等の軌道上での時間であるGPS時刻は、TOWから取得することができる。
このGPS時刻をGPS付き腕時計10の時間とするために足りない情報は、GPS衛星15a等からGPS付き腕時計10まで信号が伝搬するための伝搬遅延時間と、GPS付き腕時計10のRTC23の誤差時間である。
【0059】
そこで、本モードでは、伝搬遅延時間として、図6の1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58aを使用する。このデータは、直近の4回の真の伝搬遅延時間の平均値であるため、その信憑性が高い。
また、RTC23の誤差時間として、図6の1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aを使用する。このデータも直近の4回のRTC23の誤差時間(オフセット時間)であるため、その信憑性が高い。
そのため、ST124では、時刻修正モード実行プログラム32が、捕捉したGPS衛星15a等から取得したGPS時刻に、1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58aと1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aを加算し、その結果を図6の簡易方式時刻修正モード用時刻データ61aとして、簡易方式時刻修正モード用時刻データ格納部61に格納する。
【0060】
次に、ST125に進む。ST125では、図4のRTCのオフセットプログラム33が動作し、図6の簡易方式時刻修正モード用時刻データ61aに基づきRTC時刻データ53aを修正する。
次に、ST126で、文字盤12上の表示は図6のRTC時刻表示用データ53bに基づき修正される。
以上で、1衛星の簡易方式時刻修正モードが終了する。
【0061】
以上のように、1衛星の簡易方式時刻修正モードでは、1個のGPS衛星15a等を捕捉しても、エフェメリスデータまで受信しないため、受信時間が短く、1衛星時刻補正モードより、更に消費電力を低減することができる。
一方で、GPS衛星15a等のTOWからGPS時刻を取得し、それに信憑性の高い1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58a及び1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aを加えて、簡易方式時刻修正モード用時刻データ61aを生成し、このデータ61aに基づきRTC時刻データ53aを修正するため、1衛星時刻修正モード42bと同様の精度の高い時刻修正が可能な構成となっている。
【0062】
なお、図6の1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58a及び1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aは、時刻誤差情報の一例であり、TOWから得られるGPS時刻は、単数のGPS衛星15a等からの信号のうち時刻に関する信号の一例である。また、簡易方式時刻修正モード用時刻データ61aは、時刻修正情報の一例となっている。
また、図5の1衛星簡易方式時刻修正モードデータ42cは、単数衛星基準時刻修正基礎情報(1衛星時刻補正モードデータ42b)に基づいて、時刻修正情報生成部(時刻修正モード実行プログラム32)が時刻修正情報(修正用時刻データ52a)を生成する際に得られる時刻誤差情報(1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58a等)を利用して、単数の位置情報衛星(GPS衛星15a等)からの信号のうち時刻に関する信号(GPS時刻)に基づいて時刻修正情報(簡易方式時刻修正モード用時刻データ61a)を生成するための基礎情報である部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報の一例となっている。
また、図5の時刻修正モード選択基準データ格納部41に格納されている4衛星時刻修正モード選択基準データ41a、1衛星時刻修正モード選択基準データ41b、1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ選択基準41cは、時刻修正情報生成部(時刻修正モード実行プログラム32)が、時刻修正基礎情報のうちの複数衛星基準時刻修正基礎情報(4衛星時刻修正モードデータ42a)、単数衛星基準時刻修正基礎情報(1衛星時刻修正モードデータ)及び部分的衛星信号基準時刻修正基礎情報(1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ42c)を選択して実行するための選択情報の一例である。
【0063】
さらに、図6の1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58a及び1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aは、単数衛星基準時刻修正基礎情報(1衛星時刻修正モードデータ42b)が時刻修正情報生成部(時刻修正モード実行プログラム32)によって実行された際に得られる伝搬遅延時間の平均情報と、差分情報の平均情報の一例となっている。
そして、TOWから取得したGPS時刻情報、1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58a及び1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aが時刻修正情報(簡易方式時刻修正モード用時刻データ61a)の基礎情報の一例となっている。
また、図8のST12は、第3の時刻修正情報生成工程と第3の時刻情報修正工程の一例となっている。
【0064】
ところで、以上で、図8のST12が終了するため、ST13で、1衛星の簡易方式時刻修正モードが正常に終了したか否かが判断される。そして、正常に終了しない場合は、1衛星時刻修正モードが再び実行され、高精度な時刻修正が担保されている。一方、正常に終了した場合は、ST14へ進む。
ST14では、図6の1衛星測位回数積算データ56a、1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ58a及び1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ59aをリセットし、ST2の4衛星時刻修正モードが実行される。
【0065】
本実施の形態では、最初に4衛星時刻修正モードを実行し、精度の高い時刻修正を行う。次に、24時間経過後、1衛星時刻修正モードが実行される。このとき、捕捉するGPS衛星15a等が減るため、GPS付き腕時計10の消費電力を減少させることができる。
1衛星時刻修正モードでは4衛星時刻修正モードで取得したデータを利用するため、精度の高い時刻修正を維持することができる。
この1衛星時刻修正モードを4回連続して行うと、次に、1衛星の簡易方式時刻修正モードが実行される。このモードでは、GPS衛星15a等から信号を受信する時間がさらに減るため、よりGPS付き腕時計10の消費電力を減少させることができる。
しかし、このモードでは、1衛星時刻修正モードで取得したデータを利用するため、依然として高精度な時刻修正が可能となる。
このように、上述の3つのモードを組み合わせることで、時刻修正の精度は高く維持したまま、GPS付き腕時計10の消費電力を大幅に減少させることができるので、超低電力が求められる腕時計にとって最も適した装置となっている。
【0066】
本発明は、上述の実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る時刻修正装置付き計時装置である例えば、GPS時刻修正装置付き腕時計を示す概略図である。
【図2】図1のGPS付き腕時計の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
【図3】GPS付き腕時計の主なソフトウエア構成等を示す概略全体図である。
【図4】図3の各種プログラム格納部内のデータを示す概略図である。
【図5】図3の第1の各種データ記憶部内のデータを示す概略図である。
【図6】図3の第2の各種データ記憶部内のデータを示す概略図である。
【図7】本実施の形態にかかるGPS付き腕時計の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【図8】本実施の形態にかかるGPS付き腕時計の主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図9】図7のST2の「4衛星時刻修正モード実行」内容を示す概略フローチャートである。
【図10】GPS衛星信号を示す概略説明図である。
【図11】図7のST7の「1衛星時刻修正モード実行」の内容を示す概略フローチャートである。
【図12】図8のST12の「1衛星の簡易方式時刻修正モード実行」の内容を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10・・・GPS時刻修正装置付き腕時計、15a乃至15d・・・GPS衛星、23・・・リアルタイムクロック(RTC)、30・・・各種プログラム格納部、31・・・時刻修正モード選択プログラム、32・・・時刻修正モード実行プログラム、33・・・RTCのオフセットプログラム、34・・・マニュアル表示プログラム、35・・・1衛星測位回数積算プログラム、36・・・1衛星時刻修正モード伝搬遅延時間データ平均プログラム、37・・・1衛星時刻修正モード時刻修正用データ平均プログラム、40・・・第1の各種データ記憶部、41・・・時刻修正モード選択基準データ格納部、41a・・4衛星時刻修正モード選択基準データ・、41b・・・1衛星時刻修正モード選択基準データ、41c・・・1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ選択基準データ、42・・・時刻修正モードデータ格納部、42a・・・4衛星時刻修正モードデータ、42b・・・1衛星時刻修正モードデータ、42c・・・1衛星の簡易方式時刻修正モードデータ、50・・・第2の各種データ記憶部、51a・・・測位データ、52a・・・修正用時刻データ、53a・・・RTC時刻データ、54a・・・4衛星時刻修正モード実行時刻データ、55a・・・1衛星測位回数データ、56a・・・1衛星測位回数積算データ、57a・・・1衛星時刻修正モード伝搬遅延時間データ、58a・・・1衛星時刻修正モード平均伝搬遅延時間データ、59a・・・1衛星時刻修正モード平均修正用時刻データ、61a・・・簡易方式時刻修正モード用時刻データ
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎

【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全


【公開番号】 特開2008−32636(P2008−32636A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208592(P2006−208592)