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標準電波受信回路 - 特開2008−20291 | j-tokkyo
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【発明の名称】 標準電波受信回路
【発明者】 【氏名】藤沢 照彦

【氏名】小山 充良

【氏名】若色 宏幸

【要約】 【課題】標準電波を適切に復調できる標準電波受信回路を提供すること。

【構成】標準電波を復調する受信手段3と、受信手段を制御する制御信号を出力する制御手段4とを備えた標準電波受信回路1であって、受信手段3には、標準電波に係る受信信号を増幅する信号増幅部32と、増幅された受信信号を整流する整流部35と、整流された受信信号をろ波するフィルタ部35と、ろ波された受信信号と基準電圧とから二値化した二値化信号を出力する比較部37と、比較部にそれぞれ異なる基準電圧を出力可能に構成され、制御信号に基づいて、出力する基準電圧を切り替える基準電圧切替部38とが設けられ、標準電波に応じた基準電圧の切替状態を示す切替状態情報を記憶する記憶手段42を備え、制御手段4は、切替状態情報に基づいて制御信号を出力する。これにより、基準電圧切替部38が、受信した標準電波に適した基準電圧を比較部37に出力できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準電波を復調する受信手段と、前記受信手段を制御する制御信号を出力する制御手段とを備えた標準電波受信回路であって、
前記受信手段には、
受信した標準電波に係る受信信号を増幅する信号増幅部と、
増幅された前記受信信号を整流する整流部と、
整流された前記受信信号をろ波するフィルタ部と、
ろ波された前記受信信号と基準電圧とから二値化した二値化信号を出力する比較部と、
前記比較部にそれぞれ異なる前記基準電圧を出力可能に構成され、前記制御信号に基づいて、出力する前記基準電圧を切り替える基準電圧切替部とが設けられ、
前記標準電波に応じた前記基準電圧の切替状態を示す切替状態情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記切替状態情報に基づいて、前記制御信号を出力することを特徴とする標準電波受信回路。
【請求項2】
請求項1に記載の標準電波受信回路において、
前記基準電圧切替部は、
所定の電流を出力する電源部と、
前記電源部から出力された電流の経路上に設けられた少なくとも1つの抵抗と、
前記抵抗を挟む位置と、前記比較部とをそれぞれ接続する複数の経路上にそれぞれ設けられ、前記制御信号に応じて導通状態が切り替わる複数のスイッチング素子とを備えることを特徴とする標準電波受信回路。
【請求項3】
請求項2に記載の標準電波受信回路において、
当該標準電波受信回路には、
前記制御手段から入力する前記制御信号をデコードするデコード部と、
前記デコード部と前記複数のスイッチング素子とをそれぞれ個別に接続する複数の信号線とが設けられ、
前記デコード部は、前記制御信号に基づいて、前記複数のスイッチング素子の導通状態を切り替える信号を、それぞれ個別に出力することを特徴とする標準電波受信回路。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の標準電波受信回路において、
前記切替状態情報には、予め測定された前記各基準電圧の実測電圧値に基づく、前記標準電波の種類ごとの前記各スイッチング素子の導通状態が設定され、
前記制御手段は、
前記切替状態情報に基づいて、前記各スイッチング素子の導通状態を切り替える制御信号を出力することを特徴とする標準電波受信回路。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の標準電波受信回路において、
前記受信手段は、複数種類の前記標準電波のうち予め受信設定された標準電波を受信可能に構成され、
前記記憶手段は、前記受信手段により受信される前記標準電波の種類を示す受信電波情報を記憶し、
前記制御手段は、
前記受信電波情報および前記切替状態情報に基づいて、前記制御信号を出力することを特徴とする標準電波受信回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の標準電波受信回路において、
前記受信手段と、前記制御手段とを接続するシリアル通信線を備え、
前記制御手段は、前記シリアル通信線を介して、前記受信手段に前記制御信号をシリアル出力することを特徴とする標準電波受信回路。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した長波標準電波を復調する標準電波受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長波標準電波に含まれる時刻情報に基づいて内部時刻を自動的に修正して表示する電波修正時計が知られている。このような電波修正時計には、標準電波を受信して、時刻情報を出力する受信回路が設けられている。このような受信回路として、アンテナで受信した標準電波に係る受信信号を増幅および復調し、所定の基準電圧と二値化して得られる時刻情報を出力する受信回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の受信回路(RF受信部)では、まず、アンテナと同調キャパシタとを標準電波に同調させて標準電波を選択受信し、当該受信信号をプリアンプに出力して増幅する。そして、可変ゲインアンプにより、増幅された受信信号を一定レベルの振幅となるように増幅し、バンドパスフィルタにより、受信信号から必要帯域外成分を除去する。この後、包絡線検波回路により、受信信号の包絡線検波が行われ、比較器により、受信信号と基準電圧との比較(二値化)が行われる。この際、比較器は、受信信号の電圧が、基準電圧よりも高い場合にはHレベル(ハイレベル)の信号を出力し、基準電圧よりも低い場合にはLレベル(ローレベル)の信号を出力する。これにより、標準電波を復調することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−60849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、受信回路にて出力される基準電圧の電圧値は、当該受信回路の製造時においてばらつきが生じやすいため、受信した標準電波を適切に復調できない場合がある。
すなわち、比較器に入力する受信信号には、ノイズ等の影響により他の高周波成分が少なからず含まれる。ここで、基準電圧が、受信信号におけるピーク時(高電圧時)およびボトム時(低電圧時)の中間値に設定されている場合には、受信信号が当該高周波成分の影響により基準電圧を下回ったり上回ったりする頻度が低くなるので、標準電波に対する復調された信号の誤り率は小さくなる。しかしながら、基準電圧が、受信信号におけるピーク時およびボトム時の中間値よりも一方側に偏って設定されている場合には、高周波成分の影響を受けて、本来の標準電波に係る信号とは異なって、部分的にHレベルまたはLレベルの信号が出力されてしまう場合がある。このような場合、適切に受信信号を復調できないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、適切に標準電波を復調することができる標準電波受信回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の標準電波受信回路は、標準電波を復調する受信手段と、前記受信手段を制御する制御信号を出力する制御手段とを備えた標準電波受信回路であって、前記受信手段には、受信した標準電波に係る受信信号を増幅する信号増幅部と、増幅された前記受信信号を整流する整流部と、整流された前記受信信号をろ波するフィルタ部と、ろ波された前記受信信号と基準電圧とから二値化した二値化信号を出力する比較部と、前記比較部にそれぞれ異なる前記基準電圧を出力可能に構成され、前記制御信号に基づいて、出力する前記基準電圧を切り替える基準電圧切替部とが設けられ、前記標準電波に応じた前記基準電圧の切替状態を示す切替状態情報を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記切替状態情報に基づいて、前記制御信号を出力することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、基準電圧切替部は、制御手段が出力する制御信号に基づく基準電圧を、当該基準電圧切替部が出力可能な複数の基準電圧から選択して比較部に出力する。これによれば、基準電圧切替部が、受信する標準電波に応じた基準電圧を出力することができるので、標準電波を適切に復調することができる。
【0009】
ここで、前述のように、標準電波受信回路の製造時のばらつき等に起因する個体差から、比較部に出力される基準電圧が、設計時の電圧とは異なってしまう場合がある。このような場合、基準電圧切替部が1つの基準電圧しか出力できないと、当該基準電圧切替部から出力される基準電圧が、受信された標準電波に係る受信信号のピーク時またはボトム時の電圧に近い場合に、比較部により出力される二値化信号と、標準電波に係る信号とが一致しない場合がある。
これに対し、本発明では、基準電圧切替部が、制御手段から入力する制御信号に基づいて、出力可能な複数の基準電圧のうちのいずれかを出力する。この際、基準電圧切替部が出力可能な複数の基準電圧の電圧値を、それぞれ予め測定し、当該電圧値に基づいて、複数の基準電圧のうち受信する標準電波に適した基準電圧の切替状態を切替状態情報として記憶手段に記憶させておき、当該切替状態情報に基づいて、制御手段が制御信号を出力する。これにより、当該制御信号に応じて、基準電圧切替部が、受信される標準電波に適した基準電圧を出力することができる。従って、製造時のばらつき等により、出力される基準電圧が設計時の電圧値と異なる場合でも、基準電圧切替部が、受信設定された標準電波に適した基準電圧を比較部に出力することができるので、標準電波を適切に復調することができる。
【0010】
本発明では、前記基準電圧切替部は、所定の電流を出力する電源部と、前記電源部から出力された電流の経路上に設けられた少なくとも1つの抵抗と、前記抵抗を挟む位置と、前記比較部とをそれぞれ接続する複数の経路上にそれぞれ設けられ、前記制御信号に応じて導通状態が切り替わる複数のスイッチング素子とを備えることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、制御手段から入力する制御信号に基づいて、基準電圧切替部を構成する複数のスイッチング素子の導通状態が切り替わることで、基準電圧を切り替えて比較部に入力させることができる。
例えば、電源部から出力される電流の経路上に設けられたある抵抗の前後と、比較部とを接続する2つの経路上にそれぞれスイッチング素子が設けられている場合、抵抗の前段側(電源部に近い側)の経路上のスイッチング素子を導通状態とし、後段側の経路上のスイッチング素子を非導通状態とすれば、電源部から出力された電流と抵抗とにより変化された電圧は、当該前段側のスイッチング素子を介して比較部に、基準電圧として入力する。この場合、当該基準電圧は、電源部から出力された電流の電圧値と同じ電圧値となる。一方、前段側のスイッチング素子を非導通状態とし、後段側のスイッチング素子を導通状態とすれば、電源部から出力された電流は、抵抗を介して前述の場合より低い電圧を生成し、後段側のスイッチング素子を導通して比較部に入力することとなり、当該比較部に入力する基準電圧は、前述の場合より低い電圧値となる。
これによれば、簡易な構成で、確実に複数種類の基準電圧を生成して、当該それぞれの基準電圧を比較部に入力させることができる。従って、標準電波受信回路の構成を簡略化することができる。
【0012】
本発明では、当該標準電波受信回路には、前記制御手段から入力する前記制御信号をデコードするデコード部と、前記デコード部と前記複数のスイッチング素子とをそれぞれ個別に接続する複数の信号線とが設けられ、前記デコード部は、前記制御信号に基づいて、前記複数のスイッチング素子の導通状態を切り替える信号を、それぞれ個別に出力することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、デコード部が、入力する制御信号をデコードし、当該デコードされた制御信号に基づいて、各スイッチング素子の導通状態を切り替える信号を出力することにより、各スイッチング素子の導通状態を独立して切り替える。これによれば、複数種類の基準電圧から、制御信号に応じた基準電圧を比較部に、適切かつ確実に生成出力することができる。また、デコード部が、制御信号をデコードするので、制御手段から出力される制御信号を簡易な信号に設定することができ、通信される信号の信頼性を向上することができる。
【0014】
本発明では、前記切替状態情報には、予め測定された前記各基準電圧の実測電圧値に基づく、前記標準電波の種類ごとの前記各スイッチング素子の導通状態が設定され、前記制御手段は、前記切替状態情報に基づいて、前記各スイッチング素子の導通状態を切り替える制御信号を出力することが好ましい。
【0015】
本発明によれば、記憶手段には、基準電圧切替部が出力可能な基準電圧の実測電圧値に基づいて、受信される標準電波の種類ごとに適切な各スイッチング素子の導通状態が切替状態情報として記憶されている。そして、制御手段が、当該切替状態情報に基づいて、各スイッチング素子の導通状態を切り替える制御信号を出力することにより、当該標準電波受信回路にて受信される標準電波に対して適切な基準電圧を、基準電圧切替部が出力することができる。従って、受信される標準電波を一層適切に復調することができる。
【0016】
本発明では、前記受信手段は、複数種類の前記標準電波のうち予め受信設定された標準電波を受信可能に構成され、前記記憶手段は、前記受信手段により受信される前記標準電波の種類を示す受信電波情報を記憶し、前記制御手段は、前記受信電波情報および前記切替状態情報に基づいて、前記制御信号を出力することが好ましい。
【0017】
本発明によれば、受信手段によって受信される標準電波の種類を示す受信電波情報と、前述の切替状態情報に基づいて、制御手段が、受信手段に制御信号を出力する。これによれば、当該制御信号により、基準電圧切替部が、受信設定された標準電波に応じた基準電圧を確実に出力することができるので、受信された標準電波を一層適切に復調することができる。また、受信電波情報に他の標準電波の種類を設定することにより、当該他の標準電波を受信する標準電波受信回路を構成することができる。従って、標準電波受信回路の汎用性を向上することができる。
【0018】
本発明では、前記受信手段と、前記制御手段とを接続するシリアル通信線を備え、前記制御手段は、前記シリアル通信線を介して、前記受信手段に前記制御信号をシリアル出力することが好ましい。
本発明によれば、受信手段と、当該受信手段に対して制御信号を出力する制御手段とが、シリアル通信線により接続されているので、これら受信手段と制御手段との接続に要する通信線の数を削減することができ、標準電波受信回路の構成を簡略化することができる。また、制御手段が、制御信号をシリアル出力することにより、通信速度の高速化および信号誤りの抑制を図ることができる。従って、基準電圧出力の応答性および信頼性を向上することができる。
【0019】
また、基準電圧切替部が、前述の複数のスイッチング素子を備えて構成され、当該各スイッチング素子の導通状態を切り替える制御信号が複数ビットの信号で形成されている場合で、制御手段と受信手段とがパラレル通信線により接続されている場合には、当該スイッチング素子の数に応じて、パラレル通信線のうちのデータ線数が増加することとなり、標準電波受信回路の構成が複雑化する。これに対し、本発明では、制御手段と受信手段とがシリアル通信線により接続されているので、スイッチング素子の数に依らずに少なくとも1つのデータ線により、これら制御手段と受信手段とを接続することができる。従って、このような場合に、標準電波受信回路の構成を一層簡略化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の標準電波受信回路によれば、基準電圧切替部が、出力可能な複数の基準電圧のうち、制御手段から入力する制御信号に応じた基準電圧を比較部に出力することができる。従って、基準電圧切替部が、受信する標準電波に適した基準電圧を比較部に出力することができ、標準電波を適切に復調することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)受信回路1の構成
図1は、本実施形態に係る受信回路1の構成を示すブロック図である。
受信回路1は、長波標準電波(以下、「標準電波」と略す場合がある)を受信し、当該標準電波に含まれるTCO(Time Code Out)を復調して、外部に出力する標準電波受信回路である。この受信回路1は、図1に示すように、標準電波を受信して、当該標準電波に応じた受信信号を出力するアンテナ2と、アンテナ2から入力する受信信号を処理する受信手段3と、受信手段3を制御する制御手段4とを備えて構成されている。
【0022】
(2)受信手段3の構成
図2は、受信手段3の構成を示す回路図である。
受信手段3は、図1および図2に示すように、同調回路31と、第1増幅回路32と、バンドパスフィルタ(Band-pass filter,以下、「BPF」と略す場合がある)33と、第2増幅回路34と、包絡線検波回路35と、AGC(Auto Gain Control)回路36と、復調回路37と、VREF切替回路38と、デコード回路39とを備えて構成されている。
同調回路31は、コンデンサを備えて構成され、当該同調回路31とアンテナ2とにより並列共振回路が構成される。この同調回路31は、特定の周波数の電波をアンテナ2で受信させる。この同調回路31により、アンテナ2で受信された標準電波が電圧信号に変換され、第1増幅回路32に出力される。なお、本実施形態の受信手段3では、日本の標準電波「JJY」を受信可能に構成されている。
【0023】
第1増幅回路32は、本発明の信号増幅部に相当し、後述するAGC回路36から入力する信号に応じてゲインを調整し、同調回路31から入力する受信信号を一定の振幅としてBPF33に入力するように増幅する。すなわち、第1増幅回路32は、AGC回路36から入力する信号に応じて、振幅が大きい場合にはゲインを低くし、振幅が小さい場合にはゲインを高くして、受信信号を一定の振幅となるように増幅する。
【0024】
BPF33は、所望の周波数帯の信号を抽出するフィルタである。すなわち、BPF33を介することにより、第1増幅回路32から入力した受信信号から搬送波成分以外が除去される。このようなBPF33は、並列接続された3つの水晶フィルタ331と、これらにそれぞれ接続される3つのスイッチ332とを備えて構成されており、スイッチ332の断続によって所望の信号の周波数を選択するように構成されている。
このうち、3つの水晶フィルタ331は、それぞれ40kHz、60kHz、77.5kHzの周波数の信号をろ波する。これら水晶フィルタ331は、第1増幅回路32の正相出力端子に接続され、第2増幅回路34の入力端子に接続される。
なお、本実施形態では、BPF33は、水晶フィルタ331を備えて構成したが、アクティブフィルタで構成することも可能である。
【0025】
第2増幅回路34は、BPF33から入力する受信信号を、固定のゲインでさらに増幅する。この第2増幅回路34は、図2に示すように、アンプ341と、入力抵抗RINとを備え、当該入力抵抗RINの抵抗値は可変となっている。即ち、電源PWとアンプ341との間に挿入された入力抵抗RINは、互いに異なる抵抗値を有する複数の抵抗とこれら抵抗のそれぞれに設けられたスイッチ回路とから構成され、スイッチ回路は外部から制御できるように構成されている。
【0026】
包絡線検波回路35は、整流部としての整流器351と、フィルタ部としてのローパスフィルタ(Low-Pass Filter,LPF)352とを備えて構成され、第2増幅回路34から入力した受信信号を整流およびろ波し、ろ波して得られた包絡線信号を、AGC回路36および復調回路37に出力する。
AGC回路36は、包絡線検波回路35から入力した受信信号に基づいて、第1増幅回路32にて受信信号を増幅する際のゲインを決定する信号を出力する。
【0027】
図3は、復調回路37およびVREF切替回路38の構成を示す回路図である。
復調回路37は、本発明の比較部に相当し、図3に示すように、二値化コンパレータで構成され、2つの入力端子のうち、一方の入力端子は、包絡線検波回路35に接続され、他方の入力端子は、VREF切替回路38に接続されている。そして、復調回路37は、包絡線検波回路35から入力する包絡線信号、および、VREF切替回路38から入力する所定電圧を有する基準電圧に基づいて、二値化信号すなわちTCO信号を出力する。
【0028】
具体的に、復調回路37は、包絡線信号の電圧が基準電圧を上回っている場合にはHレベル(ハイレベル)の電圧を有する信号を、また、包絡線信号の電圧が基準電圧を下回っている場合には、Hレベルの信号より電圧値の低いLレベル(ローレベル)の信号を、TCO信号として、制御手段4のTCOデコード部41に出力する。なお、包絡線信号の電圧が基準電圧を上回っている場合にはLレベルを、包絡線信号の電圧が基準電圧を下回っている場合にはHレベルの信号を、TCO信号として、制御手段4のTCOデコード回路41に出力するように構成することも可能である。
【0029】
VREF切替回路38は、本発明の基準電圧切替部に相当し、定電圧源381から出力された電源電圧VDDから基準電圧VREF1〜VREF4を生成して、当該基準電圧を復調回路37に出力する。このVREF切替回路38は、定電圧源381と、当該定電圧源381およびグランドGNDの間に配置される4つの抵抗R1〜R4と、これら4つの抵抗R1〜R4の間およびR4とグランドGNDとの間と、復調回路37との間に配置される4つのスイッチSW1〜SW4と、抵抗R4とグランドGNDとの間に配置される定電流源382とを備えて構成されている。すなわち、定電圧源381および定電流源382は、本発明の電源部に相当する。
【0030】
このうち、各スイッチSW1〜SW4は、アナログスイッチで構成され、スイッチSW1は、抵抗R1,R2の間と復調回路37との間、スイッチSW2は、抵抗R2,R3の間と復調回路37との間、スイッチSW3は、抵抗R3,R4の間と復調回路37との間、また、スイッチSW4は、抵抗R4とグランドGNDとの間と、復調回路37との間に、それぞれ配置されている。これら各スイッチSW1〜SW4は、デコード回路39と、選択線SEL1〜SEL4を介して、それぞれ独立して接続されており、当該デコード回路39から入力する信号に応じて、オン/オフ状態が切り替わるように構成されている。そして、これらスイッチSW1〜SW4のうち、いずれか1つがオン状態(導通状態)となり、他のスイッチがオフ状態(非導通状態)となることにより、定電圧源381から出力された電源電圧VDDは、定電流源382から出力された電流ISおよび抵抗Rにより電圧変化され、基準電圧VREFとなって復調回路37に入力する。
【0031】
このようなVREF切替回路38は、スイッチSW1のみがオン状態である場合に、最も高い電圧の基準電圧VREF1を復調回路37に出力する。そして、VREF切替回路38は、スイッチSW2のみがオン状態である場合に、2番目に高い電圧の基準電圧VREF2を出力し、また、スイッチSW3のみがオン状態である場合に、3番目に高い電圧の基準電圧VREF3を出力する。さらに、VREF切替回路38は、スイッチSW4のみがオン状態である場合に、最も低い電圧の基準電圧VREF4を出力する。
【0032】
デコード回路39は、後述する制御手段4と、シリアル通信線SLを介して接続されている。そして、このデコード回路39は、制御手段4から入力する制御信号をデコードし、当該制御信号に含まれるコードに基づいて、スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を設定する信号を、各選択線SEL1〜SEL4に出力する。
【0033】
(3)制御手段4の構成
制御手段4は、前述のように、受信手段3の動作を制御するものであり、具体的に、受信手段3のデコード回路39に対して、基準電圧VREFを切り替える制御信号を出力するほか、復調回路37から入力するTCO信号をデコードして外部に出力するものである。この制御手段4は、図1に示すように、TCOデコード部41と、記憶部42と、制御部43と、クロックを生成する水晶発振回路44とを備えて構成されている。
TCOデコード部41は、受信手段3の復調回路37から入力するTCO信号をデコードして、当該TCO信号に含まれる日付情報および時刻情報等を抽出する。そして、TCOデコード部41は、抽出した日付情報および時刻情報を制御部43に出力する。
【0034】
図4は、記憶部42の記憶内容を示す図である。具体的に、図4は、記憶部42に記憶されたコードの内容を示すテーブルである。
記憶部42は、制御手段4による受信手段3の制御等に必要な各種データやプログラム等を記憶する不揮発性メモリであり、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)で構成された記憶手段である。このような記憶部42は、受信回路1の製造時に設定され、受信手段3で受信する標準電波の種類を受信電波情報として記憶している。また、当該記憶部42は、前述のVREF切替回路38から出力される基準電圧VREFの実測電圧値、および、標準電波の種類に基づいて設定されたコードのテーブル(図4)を記憶している。
【0035】
具体的に、このテーブルは、図4に示すように、標準電波の種類ごとに、前述のデコード回路39に出力する切替状態情報としてのコードが設定されている。この標準電波の種類ごとのコードは、VREF切替回路38の各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を切り替えた後に出力される基準電圧VREFの電圧値に基づいて設定されている。
例えば、受信する標準電波が日本の標準電波「JJY」である場合に対しては、2ビットのコードの各桁のうち上1桁目(VR1)が「1」であり、下1桁目(VR2)が「0」である「10」という値が設定されている。同様にして、受信する標準電波がイギリスの標準電波「MSF」、ドイツの標準電波「DCF77」およびアメリカの標準電波「WWVB」である場合に対しては、それぞれ「11」、「01」および「00」というコードが設定されている。
【0036】
これらコードの設定に際しては、VREF切替回路38から、スイッチSW1のみをオン状態とした場合に出力される基準電圧VREF1の電圧値と、スイッチSW2のみをオン状態とした場合に出力される基準電圧VREF2の電圧値と、スイッチSW3のみをオン状態とした場合に出力される基準電圧VREF3の電圧値と、スイッチSW4のみをオン状態とした場合に出力される基準電圧VREF4の電圧値とを予め測定しておく。そして、各基準電圧VREF1〜VREF4の実測電圧値から、各標準電波を受信した際に復調回路37に入力する受信信号におけるピーク時電圧とボトム時電圧との略中間値となる実測電圧値を選択する。
【0037】
この後、選択された実測電圧値を出力する際の各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を示すコードを、当該実測電圧値に対応する標準電波として設定する。このため、それぞれのコードを、受信手段3のデコード回路39に出力することにより、当該コードに対応する選択信号に応じて各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態が切り替わり、受信された標準電波に係る受信信号に適した電圧を有する基準電圧VREFが、VREF切替回路38から復調回路37に出力される。このような基準電圧VREFに基づいて、復調回路37により、当該コードに対応する標準電波の復調が適切に行われることとなる。
【0038】
ここで、VREF切替回路38が復調回路37に適切な電圧の基準電圧VREFを出力することの重要性について説明する。
図5は、元の波形から基準電圧VREFに応じて二値化された二値化信号を示す図である。具体的に、図5(A)は、二値化信号に係る元の波形を示し、図5(B)は、図5(A)の包絡線検波後の波形であり、図5(C)〜(E)は、図5(B)の信号と、基準電圧VREF−A,VREF−B,VREF−Cとによって二値化された二値化信号の波形である。
図5(A)に示すようなTCO信号が含まれた標準電波を受信し、前述の受信手段3で包絡線検波を行った場合、図5(B)に示す波形のように、標準電波に含まれる搬送波成分等により、正確にTCO信号を復調することはできない。このため、復調回路37により、包絡線検波後の信号と、所定電圧の基準電圧VREFとを比較して二値化するが、当該包絡線検波後の信号と、図5(B)に破線で示した電圧を有する基準電圧VREF−A、すなわち、包絡線検波後の信号におけるピーク時とボトム時との中間より高い電圧を有する基準電圧VREF−Aとを比較して二値化された二値化信号には、図5(C)中矢印で示すように、図5(A)で示した元の波形と一致しない箇所が現れる。
【0039】
一方、包絡線検波後の信号と、図5(B)に破線で示した電圧を有する基準電圧VREF−B、すなわち、包絡線検波後の信号におけるピーク時とボトム時との中間より低い電圧を有する基準電圧VREF−Bとを比較して二値化された二値化信号には、図5(D)中矢印で示すように、図5(A)で示した元の波形と一致しない箇所が現れる。
これに対し、包絡線検波後の信号と、図5(B)に一点鎖線で示した電圧を有する基準電圧VREF−C、すなわち、包絡線検波後の信号におけるピーク時とボトム時との中間の電圧を有する基準電圧VREF−Cとを比較して二値化された二値化信号の波形は、図5(E)に示すように、図5(A)で示した元の波形と略一致する。
このように、包絡線検波後の信号と、適切な電圧を有する基準電圧とで二値化することにより、標準電波を適切に復調することができる。
【0040】
図6は、基準電圧と復調されたTCO信号のビット誤り率を示すグラフである。
また、このような標準電波に適した基準電圧VREFは、当該標準電波の各入力信号レベルにおいても適した基準電圧VREFとなる。
すなわち、受信手段3が、ある標準電波を受信して、当該標準電波に係るTCO信号を復調する際に、基準電圧VREF1〜VREF4のうち、最も高い電圧を有する基準電圧VREF1が復調回路37に入力した場合には、図6に示すように、どの入力信号レベルにおいても、元のTCO信号(受信される標準電波のTCO信号)に対するビット誤り率は、他の基準電圧VREF2〜VREF4が入力した場合に比べて最高となる。一方、3番目に高い電圧の基準電圧VREF3が復調回路37に入力した場合には、どの入力信号レベルにおいても、ビット誤り率は最低となる。よって、この場合、基準電圧VREF3が、当該標準電波に対して最も適した基準電圧となる。
従って、受信対象の標準電波ごとに、VREF切替回路38から出力され、復調回路37に入力する基準電圧を設定しておくことにより、復調されるTCO信号のビット誤り率を低くすることができ、標準電波の復調を適切に行うことができる。
【0041】
図7〜図9は、基準電波に係るTCO信号の振幅を示す図である。具体的に、図7は、日本の標準電波「JJY」に係るTCO信号の振幅を示す図であり、図8は、イギリスの標準電波「MSF」に係るTCO信号の振幅を示す図であり、また、図9は、ドイツの標準電波「DCF77」に係るTCO信号の振幅を示す図である。
このようにして復調されるTCO信号においては、ピーク時とボトム時との電圧の差は、図7〜図9に示すように、各標準電波によって異なる。
【0042】
具体的に、ピーク時の電圧値を100%とした場合、ボトム時の電圧値は、日本の標準電波「JJY」では10%であり(図7参照)、イギリスの標準電波「MSF」では0%であり(図8参照)、ドイツの標準電波「DCF77」では25%である(図9参照)。
このため、各標準信号を受信して復調する際に、VREF切替回路38が、それぞれ同じ電圧を有する基準電圧VREFを復調回路37に出力してしまうと、前述の場合と同様に、搬送波成分等のノイズによって、適切にTCO信号を取得することができなくなる可能性がある。
【0043】
従って、標準電波を復調する際には、受信する標準電波の種類に応じて、適切な電圧レベルの基準電圧を、VREF切替回路38から復調回路37に入力させる必要がある。このような理由から、記憶部42には、受信する標準電波の種類に応じた適切な基準電圧VREFを出力させるために、当該基準電圧VREFを出力するVREF切替回路38の各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を示す2ビットのコードを記憶している。
なお、本実施形態では、記憶部42は、EEPROMで構成したが、フラッシュメモリおよびRAM等の書き換えが可能な半導体メモリやヒューズ等で構成してもよい。
【0044】
図1に戻り、制御部43は、水晶発振回路44から入力する駆動周波数に基づいて駆動し、受信手段3を制御するとともに、TCOデコード部41から入力する日付情報や時刻情報を外部に出力する。具体的に、制御部43は、記憶部42を参照して、受信手段3により受信する標準電波の種類と、当該標準電波の種類に応じた2ビットのコードとを取得し、当該コードを受信手段3のデコード回路39に出力する。なお、制御部43と、デコード回路39とは、前述のように、シリアル通信線SLにより接続され、当該コードは、シリアル通信線SLを介してデコード回路39に入力する。これにより、受信する標準電波の種類に応じた基準電圧VREFを、デコード回路39を介して、VREF切替回路38に出力させることができる。
【0045】
ここで、制御部43と受信手段3とのシリアル通信においては、制御部43と受信手段3との間で双方向通信が可能な2線の同期式インターフェースを用いて、それぞれによる双方向のシリアル通信を行うようにしてもよい。このような場合、制御部43から受信手段3に制御信号を出力した後、当該受信手段3が、受信および認識した制御信号を制御部43に再度転送し、制御部43にて出力した制御信号と入力した制御信号とのデータの差異を確認することで、より信頼性の高いシリアル通信を行うことができる。
【0046】
(4)基準電圧VREFの設定
ここで、前述の基準電圧VREFの設定について説明する。
図10は、基準電圧VREFを示すコードの設定処理の処理フローを示す図である。
受信回路1の製造時には、所定の基準電圧VREFを示す前述のコードが記憶部42に書き込まれて記憶される。この基準電圧VREFのコードは、前述のように、標準電波に適した基準電圧VREFに対応するコードである。従って、受信回路1の製造時には、受信回路1が受信可能な標準電波のうち、各標準電波に応じた基準電圧VREFを示すコードを記憶部42に記憶させるコード設定処理を実行する。
【0047】
このコード設定処理では、図10に示すように、まず、VREF切替回路38から出力される各基準電圧VREF1〜VREF4の電圧値を測定する(ステップS11)。この後、測定された各電圧値に基づいて、基準電圧VREF1〜VREF4のうち、各標準電波に最も適する基準電圧VREFを決定する(ステップS12)。そして、標準電波ごとに決定された基準電圧VREFを示すコードを、記憶部42のEEPROMに書き込んで記憶させる(ステップS13)。これにより、各標準電波に適した基準電圧VREFを示すコードが、記憶部42に記憶される。
【0048】
なお、本実施形態では、各基準電圧VREF1〜VREF4の実測電圧値に基づいて、各標準電波に適した基準電圧VREFを決定したが、他の方法により、標準電波に応じた基準電圧VREFを決定してもよい。例えば、実際に標準電波を受信し、VREF切替回路38に各基準電圧VREF1〜VREF4を出力させて復調されたTCO信号のそれぞれのビット誤り率に基づいて、標準電波に応じた基準電圧VREFを決定してもよい。
【0049】
(5)標準電波受信時処理
次に、標準電波受信時に、受信回路1にて実行される標準電波受信時処理について説明する。
図11は、標準電波受信時処理の処理フローを示す図である。
標準電波受信時処理は、受信回路1が受信設定された標準電波を受信する際に実行され、当該標準電波に応じた基準電圧VREFを復調回路37に出力するように設定した上で、当該標準電波を受信する処理である。
この標準電波受信時処理においては、図11に示すように、制御手段4の制御部43が、記憶部42を参照し、受信設定された標準電波の種類を読込む(ステップS21)。この後、制御部43は、再び記憶部42を参照し、取得した標準電波の種類に対応するコードを読込む。例えば、受信設定され、ステップS21で取得された標準電波が、日本の標準電波「JJY」である場合には、ステップS22にて「10」というコードが読込まれる。そして、制御部43は、取得したコードを、シリアル通信線SLを介して受信手段3のデコード回路39に出力する(ステップS23)。
【0050】
一方、受信手段3のデコード回路39は、シリアル通信線SLを介して入力するコードをデコードする(ステップS24)。そして、デコード回路39は、当該デコードしたコードの内容に応じて、VREF切替回路38の各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態(導通状態)を切り替える信号を出力する。これにより、各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態がそれぞれ設定され、VREF切替岐路38が、受信設定された標準電波に応じた基準電圧VREFの出力が可能な状態に切り替えられる(ステップS25)。そして、同調回路31により、当該受信設定された標準電波に応じたアンテナ2の同調が行われ、当該アンテナ2により、当該標準電波の受信が行われる(ステップS26)。
【0051】
この状態では、定電圧源381から出力された電源電圧VDDは、定電流源382の電流ISおよび抵抗R1〜R4により、スイッチSW1〜SW4のうち、選択されてオン状態(導通状態)に切り替えられたスイッチSWとを導通する過程で、所定の電圧に変換される。そして、当該所定の電圧は、基準電圧VREFとして復調回路37に入力し、当該復調回路37により、基準電圧VREFと、受信した標準電波に係る受信信号との二値化が行われる。これにより、TCO信号が復調される。
なお、復調回路37で復調されたTCO信号は、制御手段4のTCOデコード部41に出力されてデコードされる。このTCOデコード部41は、入力したTCO信号から日付情報および時刻情報等を抽出し、これらを制御部43に出力する。そして、制御部43は、入力した時刻情報等を受信回路1の外部に出力する。
【0052】
(6)実施形態の効果
以上のような本実施形態の受信回路1によれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、受信回路1の受信手段3を構成するVREF切替部38は、復調回路37での標準電波に含まれるTCO信号の復調に利用される基準電圧VREFを、当該復調回路37に出力する。このVREF切替回路38は、出力可能な基準電圧VREFのうち、制御手段4の制御部43からデコード回路39を介して入力する信号に応じた電圧の基準電圧VREFを出力する。
これによれば、VREF切替回路38が、受信する標準電波の種類に応じた電圧の基準電圧VREFを出力することができるので、受信した標準電波に含まれるTCO信号を適切に復調することができる。
【0053】
また、単一周波数の標準電波の受信においても、日本の標準電波「JJY」(図7参照)に比べて、イギリスおよびドイツの各標準電波「MSF」(図8参照)および「DCF77」(図9参照)は、同じ「1」を示す信号のパルス幅が、それぞれ300msecしか相違しない。このため、受信する標準電波ごとに適切な基準電圧VREFが設定されておらず、1つの基準電圧VREFのみが設定されている場合には、誤った二値化が行われてしまい、当該標準電波を適切に復調することができない。
さらに、イギリスの標準電波「MSF」の「1」および「0」を示す信号におけるピーク時およびボトム時のパルス幅と、ドイツの標準電波「DCF77」の「1」および「0」を示す信号におけるピーク時およびボトム時のパルス幅とは、それぞれで同じであり、また、各標準電波「MSF」および「DCF77」において、「1」を示す信号のピーク時およびボトム時のパルス幅と、「0」を示す信号のピーク時およびボトム時のパルス幅とは、それぞれ100msecしか相違しない。このため、適切な基準電圧VREFが設定されていない場合には、これら標準電波を適切に復調することができず、これにより、ビット誤り率が高くなってしまう。
【0054】
これに対し、受信回路1では、記憶部42に記憶された切替状態情報としてのコードに基づいて、制御部43が制御信号を出力し、当該制御信号に基づいて、VREF切替回路38が、受信設定された標準電波に応じた基準電圧VREFを復調回路37に出力するので、当該受信設定された標準電波を適切に復調することができ、元の波形に対する復調された信号(TCO信号)のビット誤り率を低くすることができる。従って、パルス幅の差の小さい標準電波を一層適切に復調することができる。
【0055】
また、VREF切替回路38は、所定電圧の電源電圧VDDを出力する定電圧源381と、当該電圧の経路上に配置された複数の抵抗R1〜R4と、当該抵抗R1,R2の間、抵抗R2,R3の間、抵抗R3,R4の間および抵抗R4とグランドGNDとの間と、復調回路37との間に配置される複数のスイッチSW1〜SW4と、抵抗R4とグランドGNDとの間に配置された定電流源382とを備えて構成されている。そして、各スイッチSW1〜SW4は、デコード回路39と選択線SEL1〜SEL4を介して接続され、デコード回路39から入力する信号に応じて、各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態が切り替わるように構成されている。
これによれば、各スイッチSW1〜SW4のうちの1つをオン状態とし、他のスイッチをオフ状態とすることにより、抵抗R1〜R4の少なくともいずれかを導通し、所定の電圧に変換された基準電圧VREFを復調回路37に出力することができる。従って、複数種類の基準電圧VREFを切り替えて出力するVREF切替回路38を簡易に構成することができる。
【0056】
また、制御部43から受信手段3に入力した制御信号は、デコード回路39でデコードされる。このデコード回路39は、デコードした制御信号に含まれる切替状態情報としてのコードに基づいて、各選択線SEL1〜SEL4に信号を出力し、VREF切替回路38の各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を切り替える。
これによれば、各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を個別に切り替えることができるので、VREF切替部38が、受信する標準電波に適した電圧の基準電圧VREFを、適切かつ確実に生成出力することができる。
また、制御手段4の制御部43からデコード回路39に入力する切替状態情報としてのコードは、2ビットのコードであり、当該コードに基づいてデコード回路39が、各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を切り替えるので、当該コードを簡略化することができるとともに、制御手段4と受信手段3との間の通信量を削減することができる。
【0057】
また、制御手段4の記憶部42に記憶され、受信設定された標準電波の種類に応じたコードは、各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態の切り替えによりVREF切替回路38から出力される各基準電圧の実測値に基づいて設定されている。すなわち、標準電波の種類に応じて適切な基準電圧が出力されるように各スイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態を切り替えるように設定されている。
これによれば、制御部43が、標準電波の種類に応じて、VREF切替回路38から出力可能な各基準電圧の実測電圧値に基づいて設定されたコードを、受信手段3のデコード回路39に出力することにより、VREF切替回路38が、受信する標準電波に対して適切な基準電圧を出力することができる。従って、標準電波に含まれるTCO信号を適切に復調することができる。
さらに、VREF切替回路38が出力可能な基準電圧VREF1〜VREF4の各実測電圧値に基づいて、標準電波ごとにコードが設定されているので、受信回路1の製造時の個々のばらつきを補正することができる。従って、標準電波の受信特性を一層向上することができる。
【0058】
また、記憶部42は、受信回路1が受信する標準電波の種類を受信電波情報として記憶し、制御部43は、当該受信電波情報に応じたコードを取得して、受信手段3のデコード手段39に出力する。さらに、記憶部42には、1つの標準電波に対応するコードだけでなく、複数の標準電波に対応したコードが記憶されている。
これによれば、受信する標準電波として記憶部42に記憶された受信電波情報を変更することにより、他の標準電波の復調を行うことができる。従って、受信回路1の汎用性を向上することができる。
【0059】
また、制御手段4と受信手段3との間は、シリアル通信線SLにより互いに接続され、当該制御手段4の制御部43は、受信手段3のデコード回路39に対して、前述のコードをシリアル出力する。これによれば、コードが2ビットで設定されているのに対し、通信線のうちのデータ線を1つで済ませることができるので、ビット数ごとにデータ線を確保するパラレル通信を行う場合に比べ、データ線の本数を削減することができる。
【0060】
(7)実施形態の変形
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、VREF切替回路38は、4種の基準電圧を出力可能に構成されているが、本発明はこれに限らない。すなわち、VREF切替回路が出力可能な基準電圧の数および種類は、適宜設定してよい。
【0061】
前記実施形態では、切替状態情報としてのコードを記憶する記憶部43は、EEPROMで構成されるとしたが、本発明はこれに限らず、フラッシュメモリおよびヒューズ等の他の不揮発性メモリ、並びに、RAM等の揮発性メモリで構成してもよい。すなわち、切替状態情報を記憶する記憶手段としての記憶部の形態は問わない。例えば、記憶部が、揮発性メモリで構成されている場合には、当該揮発性メモリに記憶された切替状態情報に基づいて、制御部43が制御信号を出力するようにすればよい。
【0062】
前記実施形態では、VREF切替回路38の各スイッチSW1〜SW4は、アナログスイッチで構成され、デコード回路39から選択線SEL1〜SEL4を介して入力する信号に応じてオン/オフ状態が切り替わるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、所定電圧の印加によってオン/オフ状態が切り替わる他のスイッチング素子で構成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、受信回路1は、日本の標準電波「JJY」を受信可能に構成したが、他の標準電波を受信可能に構成してもよい。例えば、イギリス、ドイツおよびアメリカの各標準電波「MSF」、「DCF77」および「WWVB」を受信可能としてもよく、これら以外の標準電波を受信可能に構成してもよい。
【0064】
前記実施形態では、受信回路1は、周波数の変換を行わないストレート方式の受信回路として構成したが、本発明はこれに限らず、スーパーヘテロダイン方式の受信回路として構成してもよい。このような場合、受信周波数の切り替えは、バンドパスフィルタの切り替えではなく、VCO(Voltage Controlled Oscillator)の発振周波数または分周比の切り替えにて行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る受信回路の構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における受信手段の構成を示す回路図。
【図3】前記実施形態における復調回路およびVREF切替回路の構成を示す回路図。
【図4】前記実施形態における記憶部の記憶内容を示す図。
【図5】(A)二値化信号に係る元の波形を示す図。(B)二値化信号に係る包絡線検波後の波形を示す図。(C)包絡線検波後の波形に係る信号と、基準電圧とによる二値化信号の波形を示す図。(D)包絡線検波後の波形に係る信号と、基準電圧とによる二値化信号の波形を示す図。(E)包絡線検波後の波形に係る信号と、基準電圧とによる二値化信号の波形を示す図。
【図6】前記実施形態における基準電圧と復調されたTCO信号のビット誤り率を示すグラフ。
【図7】日本の標準電波「JJY」に係るTCO信号の振幅を示す図。
【図8】イギリスの標準電波「MSF」に係るTCO信号の振幅を示す図。
【図9】ドイツの標準電波「DCF77」に係るTCO信号の振幅を示す図。
【図10】前記実施形態におけるコードの設定処理の処理フローを示す図。
【図11】前記実施形態における標準電波受信時処理の処理フローを示す図。
【符号の説明】
【0066】
1…受信回路、3…受信手段、4…制御手段、32…第1増幅回路(増幅回路)、37…復調回路(比較部)、38…VREF切替回路(基準電圧切替部)、39…デコード回路(デコード部)、42…記憶部(記憶手段)、351…整流器(整流部)、352…LPF(フィルタ部)、381…定電圧源(電源部)、382…定電流源(電源部)、R1〜R4…抵抗、SL…シリアル通信線、SW1〜SW4…スイッチ(スイッチング素子)、SEL1〜SEL4…選択線(信号線)。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所

【識別番号】100079083
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 實三

【識別番号】100094075
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 寛二

【識別番号】100106390
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 剛


【公開番号】 特開2008−20291(P2008−20291A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191679(P2006−191679)