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【発明の名称】 時計
【発明者】 【氏名】石井 潤一郎

【氏名】赤羽 学

【要約】 【課題】電気泳動表示パネルの駆動回路部における端子数を大幅に少なくでき、かつ計時情報の表示デザインの自由度を向上させることができる時計を提供する。

【構成】電子時計が備える表示パネル30は、計時情報の内容をそれぞれ表す数字シンボルがデザインされた形に形成された各シンボル電極50を有し、これらのシンボル電極50は、計時情報に応じて適宜選択され、その選択されたシンボル電極50が設けられた領域に該当のシンボルが表示される。このようにシンボル自体の形状に電極を形成したので、多数のシンボルを表示する場合であっても、従来と比べて大幅に端子数を減らすことができ、ドライバの出力端子数を有効活用してより多くの電極を使用する複雑な画像表現を実現できる。このように端子数が少ない構成でありながら、外観意匠性を大きく向上させることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動粒子を間に挟んで対向配置される2つの基板を含んで構成される表示パネルと、
前記基板間に電界を印加する表示駆動部、および計時情報を取得する計時部を有する駆動回路部とを備え、
前記一方の基板には、前記計時情報の内容をそれぞれ表す複数種類のシンボルがそれぞれデザインされた形で形成された複数の第1電極が設けられ、
前記他方の基板には、前記第1電極との間に電圧が印加される第2電極が設けられていることを特徴とする時計。
【請求項2】
請求項1に記載の時計において、
前記第1電極は、前記シンボルの種類ごとに複数設けられ、
前記一方の基板には、同種のシンボルに対応する各第1電極が、基板表面の異なる位置にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする時計。
【請求項3】
請求項2に記載の時計において、
前記同種のシンボルに対応する各第1電極は、互いに導通されている
ことを特徴とする時計。
【請求項4】
請求項1に記載の時計において、
前記駆動回路部により、
前記計時情報に応じて選択されたシンボルを前記表示パネルにおけるシンボル以外の背景表示部に対して所定のコントラストで表示する計時情報表示処理と、
前記選択されたシンボル以外の他のシンボルを、前記背景表示部に対して前記所定のコントラストよりも低いコントラストで表示する中間色表示処理とを行う
ことを特徴とする時計。
【請求項5】
請求項1に記載の時計において、
前記各第1電極の少なくともいずれかは、対応するシンボルが他の1つ以上のシンボルと部分的に重なるように形成され、これらの第1電極は、前記シンボルが重なる重複領域を形成する重複電極部と、前記重複電極部以外の非重複電極部とに分かれて形成されている
ことを特徴とする時計。
【請求項6】
請求項5に記載の時計において、
前記非重複電極部は前記重複電極部により分断され、この分断された各非重複電極部は互いに導通されている
ことを特徴とする時計。
【請求項7】
請求項5または6に記載の時計において、
前記重複電極部は、一のシンボルと他のシンボルとが複数箇所で重なることで複数形成され、
前記各重複電極部において、重なったシンボルが同じ組み合わせのもの同士は互いに導通されている
ことを特徴とする時計。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の時計において、
前記各基板は、可撓性を有する部材で構成され、
前記表示パネルは、略リング状に湾曲されている
ことを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示パネルを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気泳動現象、すなわち、液体中に分散した帯電粒子が電界印可により泳動する現象を利用した電気泳動表示パネルおよびこれを備える表示装置が開発されている。このような電気泳動表示パネルは、帯電粒子およびその分散液が表側の基板と裏側の基板との間に封入されて構成されており、フレキシブル基板の使用によって可撓性を持たせることができる。このため、この電気泳動表示パネルなどの表示パネルをリング状のブレスレット状ケースの外周部に沿って設けた腕時計が提案されている(特許文献1)。
【0003】
ここで、このような電気泳動表示パネルにおける表示に際しては、時刻等を示す1つ1つの文字ごとに複数の表示単位(セグメント)が規定されており、一方の基板にこれらのセグメントに対応してそれぞれ設けられた各セグメント電極と、他方の基板に設けられた電極との間に電圧が印加される(特許文献2)。例えば、時刻に関する「0」〜「9」の数字を表示する場合は、数字の「8」が7個や13個の略矩形状のセグメントに分割されてセグメント数と同数のセグメント電極が設けられる。そして、これらのセグメント電極が計時情報に応じて使い分けられることで、これらセグメント電極が設けられた時刻表示領域における表示が時間経過により更新される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−250442号公報(明細書段落「0022」)
【特許文献2】特開昭54−151056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のようなセグメント表示方式では、1文字ごとに7個や13個などのセグメント電極が必要となる。近年、可撓性を有する電気泳動表示パネルが開発され、前述したようにリング状のケースの外周部に沿って表示パネルが設けられるなど以前と比べて表示パネルが格段に大画面化しており、このような大画面を活かし、前述のような7個や13個のセグメントで構成される文字を数多く並べてより多くの情報、図柄等を表示する場合、端子の数が大幅に増加してしまう。このような表示は、表示パネルの駆動回路部の出力端子数の制限から、実現が困難であり、また、配線も複雑となる。つまり、表示パネルの大画面化が求められている中、従来のセグメント表示方式では限界があった。
また、従来のセグメント表示では、各数字を7個や13個のセグメントの組合せで表示するため、表示される数字等が画一的な表現となり、表示デザインに制約がある。
【0006】
このような問題に鑑みて、本発明の目的は、電気泳動表示パネルに必要となる端子数を大幅に少なくでき、かつ計時情報の表示デザインの自由度を向上させることができる時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の時計は、電気泳動粒子を間に挟んで対向配置される2つの基板を含んで構成される表示パネルと、前記基板間に電界を印加する表示駆動部、および計時情報を取得する計時部を有する駆動回路部とを備え、前記基板の一方には、前記計時情報の内容をそれぞれ表す複数種類のシンボルがそれぞれデザインされた形で形成された複数の第1電極が設けられ、前記基板の他方には、前記第1電極との間に電圧が印加される第2電極が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、第1電極そのものの形状を、計時情報の内容をそれぞれ表すシンボル、例えば「時」ならば「1」〜「12」などの数字がそれぞれデザインされた形状とし、計時部により計時された計時情報に応じて例えば3時のときは「3」というシンボル(数字)がデザインされた形状の第1電極が選択され、この第1電極と第2電極との間に駆動回路部によって電圧が印加される。これにより基板間に電界が印加され、電気泳動粒子が表示パネル前面側に設けられた基板に向かって泳動した際に、その電気泳動粒子の色を表示色として、当該第1電極が設けられた領域に「3」の数字シンボルが表示される。
【0009】
すなわち、本発明では、シンボル自体の形状に電極を形成したので、多数のシンボルを表示する場合であっても、従来と比べて大幅に端子数を減らすことができる。このように、端子数を大幅に少なくできるから、表示パネル全体における端子数は表示パネルの駆動回路部の出力端子数の制限内としたまま、より多くの電極を表示パネルに配置できる。これにより、複雑な画像表現も可能となる。
さらに、各シンボルに対応する第1電極の形状を自由に決めることができ、かつ、各シンボルの配置位置も自由に決めることができるため、各第1電極への配線の取り回しの自由度を従来のセグメント表示方式の場合に比べて高くでき、設計や製造を容易化できる。
【0010】
また、前述のような端子数の減少に加えて、第1電極の形状自体をシンボルを自由にデザインした形状にすることができるため、従来のセグメント表示技術の場合のような表示デザインの制約をなくすことができ、意匠性に優れた時刻表示を行うことができる。例えば、数字シンボルの「1」を表示するための第1電極は、「1」と認識できる形状であれば様々な形状にデザインすることができる。従って、同じシンボルである「1」を表示する第1電極同士でも、形状を異ならせることができる。すなわち、第1電極の形状に関する外観意匠設計の自由度を高くできるため、第1電極の形状を意匠性良好にデザインでき、表示パネルにおける時刻表示デザインを自由に設計できるため、時計の時刻表示部の意匠の向上に大きく貢献できる。
【0011】
さらに、本発明では、シンボルの形状とされた第1電極が表示パネルに複数設けられているため、計時情報が表示される位置が各第1電極のそれぞれの領域に時間経過に伴い順々に移るという斬新な構成を実現できる。つまり、従来の画一的なセグメント方式では、表示パネルの特定の領域で「0」〜「9」までの数字によって計時情報を表示し、計時情報が表示される位置は時刻に関わらず固定されていたが、本発明では、計時情報の内容を時刻に応じて個々に表示する複数の第1電極のレイアウトもデザイン要素の一つとなり得る。例えば「0」〜「12」(あるいは「0」〜「24」)の数字によって計時情報を表示する場合、個々の数字を表示パネルの領域内の様々な位置に配置することで、時刻を表示する数字が順次切り替わる際に、その表示位置も変化するという従来にない斬新な時刻表示を行うことができ、これによって時計の時刻表示の意匠性を大きく向上させることができる。
以上により、計時情報の表示デザインの自由度を向上させつつも、電気泳動表示パネルに必要となる端子数を大幅に少なくできる。
【0012】
また、表示パネルの表示色は、各電気泳動粒子の色のほか、電気泳動粒子が分散された溶液の色にも依存する。これらの電気泳動粒子および溶液の色については、計時情報の視認性や外観デザインが良好となるように適宜決められる。
【0013】
本発明の時計では、前記第1電極は、前記シンボルの種類ごとに複数設けられ、前記一方の基板には、同種のシンボルに対応する各第1電極が、基板表面の異なる位置にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、計時情報の内容に応じたシンボルを表示パネルの複数の位置で視認可能となるため、計時情報の視認性を向上させることができる。特に、表示パネルがリング状などに湾曲されている場合には、様々な方向から計時情報を確認でき、利便性を向上させることができる。
【0015】
本発明の時計では、前記同種のシンボルに対応する各第1電極は、互いに導通されていることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、同種のシンボルに対応する各第1電極同士が導通されて同電位とされることにより、端子数をより少なくできる。これらの第1電極は、駆動回路部により、同時に選択され、同時に表示される。
【0017】
本発明の時計では、前記駆動回路部により、前記計時情報に応じて選択されたシンボルを前記表示パネルにおけるシンボル以外の背景表示部に対して所定のコントラストで表示する計時情報表示処理と、前記選択されたシンボル以外の他のシンボルを、前記背景表示部に対して前記所定のコントラストよりも低いコントラストで表示する中間色表示処理とを行うことが好ましい。
【0018】
この発明によれば、所定のコントラストで表示される計時情報表示に加えて、それよりもコントラストの低い中間色表示が行われることによってデザイン要素が増えるので、画面デザインをより一層向上させることができる。例えば、中間色表示を計時情報に応じて選択されたシンボルの背景模様として構成することにより、計時情報の視認性とデザイン性とを両立できる。
さらに、中間色表示により、計時情報表示が表す時刻以外についての各シンボルも視認可能となり、各シンボルの位置を自然と覚えることができるので、計時情報の把握に関して取扱性を向上できる。
なお、中間色表示において、計時情報表示として表示された情報とは異なる情報を表示しても良い。例えば、計時情報表示では「時」や「分」や「秒」を表示し、中間色表示では「日」などの暦を示すことなどが考えられる。
【0019】
本発明の時計では、前記各第1電極の少なくともいずれかは、対応するシンボルが他の1つ以上のシンボルと部分的に重なるように形成され、これらの第1電極は、前記シンボルが重なる重複領域を形成する重複電極部と、前記重複電極部以外の非重複電極部とに分かれて形成されていることが好ましい。
【0020】
この発明によれば、重複電極部を設けることで、シンボル同士が重なり合うような複雑なデザインを実現できるので、デザイン性の高い画像表現が可能となる。
なお、重複電極部は、1つの第1電極によるシンボルの表示を行う際と、他の第1電極によるシンボルの表示を行う際とで共用され、表示するシンボルに対応する非重複電極部と同調動作されることにより、このような重なり合う各シンボルそれぞれの表示が可能となる。
【0021】
本発明の時計では、前記非重複電極部は前記重複電極部により分断され、この分断された各非重複電極部は互いに導通されていることが好ましい。
【0022】
この発明によれば、非重複電極部が互いに導通されて同電位とされるため、端子の数をより少なくできる。これにより、駆動回路部の出力端子数をさらに有効に活用できる。
【0023】
本発明の時計では、前記重複電極部は、一のシンボルと他のシンボルとが複数箇所で重なることで複数形成され、前記各重複電極部において、重なったシンボルが同じ組み合わせのもの同士は互いに導通されていることが好ましい。
【0024】
この発明によれば、重なったシンボルが同じ組み合わせの重複電極部同士が導通されて同電位とされるため、端子の数をより一層少なくできる。
【0025】
本発明の時計では、前記各基板は、可撓性を有する部材で構成され、前記表示パネルは、略リング状に湾曲されていることが好ましい。
【0026】
この発明によれば、表示パネルが略リング状に湾曲することにより、当該リングの周方向に表示パネルの表示領域が拡大する。このような広い表示領域の実現により、時計の外観をより良好にできるとともに、表示領域の広さに対して端子数が少ないため、一層有利な構成とできる。
ここで、前記の同種のシンボルに対応する各第1電極が基板表面の異なる位置にそれぞれ設けられている場合は、これら同種のシンボルにより、表示パネルに対する複数の方向から計時情報を視認可能となるため、利便性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上の本発明によれば、電気泳動表示パネルに必要となる端子数を大幅に少なくでき、かつ計時情報の表示デザインの自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
[1.全体構成]
図1は、本実施形態の電子時計1の斜視図である。この時計1は、円環状のケース2の外周面に沿って電気泳動表示パネル30が設けられ、腕などに装着されるブレスレット・ウォッチであり、電気泳動表示パネル30には、時刻情報を示す数字シンボルが表示されている。
【0029】
図2は、時計1の横断面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図である。なお、図2では断面を示すハッチの図示は省略した。
時計1は、ケース2と、電気泳動表示パネル30を有する表示モジュール3とを備えている。ケース2は、図3に示すように、厚み方向の両端縁にケース2の径方向に突出するリブ21がそれぞれ形成されたボビン形状とされ、リブ21の間に表示モジュール3が組み込まれている。また、ケース2は、表示モジュール3を覆うカバーガラス22と、当該ケース2内周側の裏蓋23とを有する。裏蓋23はリブ21にネジ24で固定される。
【0030】
表示モジュール3は、電気泳動表示パネル30と、この表示パネル30を駆動する駆動回路部40とを有して構成されている。
図4は、表示モジュール3における電気泳動表示パネル30および回路基板42の平面図であり、図5は、表示パネル30の断面図である。なお、図5では、分かり易くするために、電気泳動ディスプレイを平面的(湾曲されていない状態)に表した。
図4に示すように、回路基板42と、表示パネル30とは個別に製造され、異方性導電膜(ACF;Anisotropic Condactive Film)などによる配線部材412で接続されている。また、図5に示すように、表示パネル30は、接着剤AD1によってケース2に接着されている。なお、接着剤AD1の他に両面テープなどを用いてもよい。
【0031】
[2.表示パネルの構成]
表示パネル30は、ケース2の外周面略全体に亘り帯状に設けられ、図5に示すように、表示基板31と、透明基板32と、表示基板31および透明基板32の間に設けられた電気泳動層33とを含んで構成されている。表示パネル30に表示される計時情報は、表側に配置される透明基板32を通して視認される。これらの透明基板32および表示基板31はポリイミドやポリエステル等の可撓性を有する樹脂から形成されている。
このような表示パネル30は、図2に示すように、略360°の円形状に湾曲されその両端が互いに継ぎ合わせられている。図2中、34は、この継ぎ目を隠す外装部材である。
【0032】
表示基板31は、ポリイミドやポリエステルなどの可撓性を有する樹脂から形成されたフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuit)であり、図5に示すように、透明基板32に比べて相対的に薄く形成され、上面には表示を制御するためのセグメント電極と呼ばれる複数のシンボル電極(第1電極)50が設けられている。
【0033】
表示基板31の上面には、シンボル電極50を挟んで長手方向の一端部に第1共通電極駆動用電極321が設けられ、他端部には第2共通電極駆動用電極322が設けられている。また、シンボル電極50の上部には、接着剤(接着層)AD2が設けられ、これによりシンボル電極50の上部には複数のマイクロカプセル330が接着されている。マイクロカプセル330の中には、電気泳動分散液が封入されている。電気泳動分散液には、プラスに帯電した黒色粒子、およびマイナスに帯電した白色粒子が混合されている。そして、この複数のマイクロカプセル330により電気泳動層33が構成されている。
【0034】
シンボル電極50および第1、第2共通電極駆動用電極321は、図5に示すように、表示基板31の表面(透明基板32との対向面)に形成され、表示基板31の裏面には、これらの電極を配線部材412(図2、図4)を介して回路基板42に導通する配線312が形成されている。各配線312とシンボル電極50などの各電極との間は、表示基板31を厚み方向に貫通するビア314によって接続されている。すなわち、表示パネル30における各電極は、表示パネル30の厚み方向に配線されている。
【0035】
一方、透明基板32の裏面(表示基板31との対向面)には、ITO(Indium Tin Oxide)などによる透明な共通電極(第2電極)320が設けられている。この共通電極320は、透明基板32の表示基板31との対向面の略全体に亘って設けられ、各シンボル電極50との間でそれぞれ電圧が印加される各シンボル電極50共通の電極とされている。この共通電極320と、第1共通電極駆動用電極321との間には、導通部材321Aが介装され、共通電極320と、第2共通電極駆動用電極322との間には、導通部材322Aが介装されている。これらの導通部材321A,322Aは、導電性の接着剤等から構成され、共通電極320および共通電極駆動用電極321,322と導電接着剤等で接着されて共通電極320と共通電極駆動用電極321,322とを導通している。
【0036】
また、透明基板32の上面側に設けられた耐湿シート30A、および表示基板31の下面側に設けられた耐湿シート30Bにより、透明基板32、電気泳動層33、および表示基板31等は密封され、電気泳動層33への水分の浸入が防がれている。詳述すると、これらの耐湿シート30A,30Bの内側には、接着層としてホットメルト材が塗布され、真空ラミネータ等で耐湿シート30A,30Bの端部同士を接着させ、また、耐湿シート30A,30Bを表示基板31並びに透明基板32に接着させることにより、基板端面並びに表裏面において、透明基板32、電気泳動層33、および表示基板31等を密封している。
【0037】
図6は、電気泳動表示パネル30の平面図である。この図に示すように、表示パネル30の略全体に亘り、互いに重なり合うように配置された複数の数字シンボル1つ1つに対応して、数字がデザインされた形で形成されたシンボル電極(第1電極)50がそれぞれ配置されている。シンボル電極50の中には、表裏反転した数字シンボルをデザインしたものも含まれているとともに、シンボル電極50の向きは様々にレイアウトされている。本実施形態における特徴の一つは、このようなシンボル電極50のそれぞれの領域において「時」が表示されることにあり、表示パネル30は、重なり合った数字シンボルにより躍動的で斬新なデザインとなっている。
【0038】
ここで、シンボル電極50は、本実施形態では「時」を示す「1」〜「12」の12種類の数字シンボルがデザインされた形に形成されたもので、シンボル1種類につき、少なくとも3つ以上ずつ、設けられている。例えば、「9」のシンボルにそれぞれ対応して3つのシンボル電極591〜593が設けられている。このように少なくとも3つずつ設けられる同種のシンボルに対応する各シンボル電極50は、表示パネル30が湾曲した状態の周方向において、互いに離れた位置に配置されている。
【0039】
なお、シンボル電極50の種類は複数あるが、区別が必要ない場合、これらをシンボル電極50と総称する。これらのシンボル電極50のうち計時情報に応じて選択された1つ以上の領域に「時」が表示される。
【0040】
ここで、時刻の「分」については、表示パネル30の一端部に、分表示部30Mが配置されている。この分表示部30Mは、十の位の数字を示す十位表示部30M1と、一の位の数字を示す一位表示部30M2とを有する。十位表示部30M1は、コロン表示部30MCを有する。これらの十位表示部30M1および一位表示部30M2においても、数字がデザインされた形状のシンボル電極がそれぞれ配置されているが、これらについては「時」を示すシンボル電極50について説明することによってその構成および作用効果を理解できるため、その説明を省略する。
また、表示パネル30は、表示パネル30全体の矩形領域からすべてのシンボル電極50および分表示部30Mを除いた領域である背景表示部の表示を行うため、図示しない2つの駆動電極を有する。
【0041】
[3.駆動回路部の構成]
図4に戻り、回路基板42は、基板31,32と同様に、ポリイミドやポリエステルなどの可撓性を有する樹脂から形成されたフレキシブル基板である。回路基板42上には、可撓性を有するリチウムポリマー電池などから構成されて各部に電力を供給する電源429と、時計1全体を制御する制御用コントローラ426と、ドライバICから構成されて表示パネル30の表示制御を実行する表示駆動回路素子425と、タッチセンサ427とがそれぞれ互いに重なることなく実装されている。なお、各タッチセンサ427用の操作ボタン43がそれぞれケース2に設けられている。
また、駆動回路425と配線部材412とは、詳しい図示を省略するが、互いに接続されている。
【0042】
図7は、駆動回路部40の電気的構成を示す。駆動回路部40は、制御用コントローラ426に実装される駆動制御部61と、表示駆動回路素子425に実装された表示駆動部62とを有する。
駆動制御部61は、表示駆動部62に対する入出力を行う入出力部611と、計時情報を取得する計時部612と、電源429から各回路素子425〜427に電力を供給する電圧制御部613と、操作ボタン43の操作検出を行う操作検出部614と、これらの各部611〜614の動作を制御する制御部615とを有する。
【0043】
計時部612は、図示しない発振回路の発振パルスをカウントすることにより時刻を計時するものであり、この計時部612は、入出力部611を介して表示駆動部62と接続されている。
また、表示駆動部62は、表示パネル30の表示基板31および透明基板32間に電圧を印加する駆動信号を表示パネル30に供給する。ここで、表示駆動部62は、計時部612により取得された計時情報に基いて、各シンボル電極50のうち、所定電位の駆動信号を供給するものを選択する。
なお、本実施形態の表示駆動部62は、昇圧回路を内蔵し、電源429から供給される電圧(例えば3V)を昇圧して例えば+15Vとすることが可能となっている。
【0044】
[4.電気泳動による表示]
次に、表示パネル30における電気泳動について説明する。
図8は、電気泳動層33を示す模式図である。電気泳動層33は、多数のマイクロカプセル330が密集して配置されることによって形成され、各マイクロカプセル330には、多数の帯電粒子が分散した電気泳動粒子分散液331がそれぞれ封入されている。電気泳動粒子分散液331では、黒色の電気泳動粒子(以下、黒粒子という)331Aと、白色の電気泳動粒子(以下、白粒子という)331Bとが混合されて、二色の粉体流体方式の電気泳動層が構成されている。これら黒粒子331Aおよび白粒子331Bは、互いに異なる極性に帯電しており、本実施形態では、黒粒子331Aがプラス(正)に帯電し、白粒子331Bがマイナス(負)に帯電している。
【0045】
すなわち、シンボル電極50がローレベル電位(L電位)であり、共通電極320がハイレベル電位(H電位)の場合、共通電極320からシンボル電極50に向かう電界が発生し、正に帯電した黒粒子331Aがシンボル電極50側に移動するとともに、負に帯電した白粒子331Bが共通電極320側に移動する。このとき、図1におけるシンボル「12」のように、表示パネル30における表示は白色となる。
【0046】
この白色表示の場合とは逆に、シンボル電極50をハイレベル電位(H電位)とし、共通電極320をローレベル電位(L電位)に切り替えた場合、電界が反転し、表示パネル30における表示は黒色に切り替わる。
【0047】
また、黒粒子331A、白粒子331Bの移動量を電圧の印加時間や印加電圧などに応じて調整することにより、黒と白との間の色階調の中間色表示も可能であり、図1におけるシンボル「12」以外のシンボル「1」〜「11」は、この中間色で表示されている。
なお、電界印加が停止されると、黒粒子331A,白粒子331Bの移動は生じないため、表示色は変化せずに以前の表示色が保持される。
【0048】
[5.シンボル電極の構成]
以上において、本実施形態の主な特徴は、数字がデザインされた形状のシンボル電極50の構成にあることから、これについてさらに詳細に説明する。
図6で見たように、表示パネル30に表示されるシンボルには、互いに重なり合うものが含まれている。この互いに重なるシンボルに係る重複シンボル電極50、例えば、図9に示すように、「9」および「4」にそれぞれ係るシンボル電極591,541は、3つの重複領域R1〜R3でそれぞれ互いに重なっている。
【0049】
これらのシンボル電極591,541を含めて、表示パネル30において互いに1箇所でも重なるシンボルについての重複シンボル電極50はすべて、その重複領域と同じ形状の重複電極部と、その他の非重複電極部とに分けて形成されている。具体的には、シンボル「9」に係るシンボル電極591は、シンボル「9」とシンボル「4」とが重なる3つの重複電極部94A〜94Cと、「9」の表示領域が重複電極部94A〜94Cにより分断されて形成された3つの非重複電極部591A〜591Cとに分けて形成されている。
また、シンボル「4」に係るシンボル電極541は、重複電極部94A〜94Cと、「4」の表示領域が重複電極部94A〜94Cにより分断されて形成された3つの非重複電極部541A〜541Cとに分けて形成されている。「4」または「9」が表示される際に重複電極部94A〜94Cをそれぞれ非重複電極部591A〜591Cまたは非重複電極部541A〜541Cと同調して動作させることで、「4」または「9」のシンボル表示が可能となる。
【0050】
ここで、重複電極部94A〜94Cは、それぞれビア314(図5)を通じて表示基板31の裏側に導通されるが、これら重複電極部94A〜94Cは、これらのビア314を繋ぐ1つの共通の配線312によって互いに導通され、配線部材412を介して表示駆動回路素子425の同じ端子に接続されている。
また、「9」に係る非重複電極部591A〜591Cや、「4」に係る非重複電極部541A〜541Cについても同様であり、これらはそれぞれのビア314を通じて表示基板31の裏側に導通されるが、これらのビア314を繋ぐ配線312によって表示駆動回路素子425の同じ端子に接続されている。
つまり、同調動作させる各電極については、端子を共通化することにより、表示パネル30全体で必要とされる端子数を表示駆動回路素子425の出力端子数以下に収めている。
【0051】
なお、表示パネル30において互いに重なり合う他のシンボルの組み合わせについても同様に配線され、端子が共通化されている。
【0052】
[6.表示パネルにおける画像表現]
ここで、表示パネル30における画像表現について説明する。図10は、通常表示モードにおける表示パネル30を示し、表示パネル30には、計時情報に応じて特定される該当時刻(本実施形態では「時」)の数字シンボル「4」に係るシンボル電極541の領域が白色で表示されている。このような計時情報表示DSP1は、現在の「時」が4時であることを意味する。本実施形態では、同じ数字について複数設けられる同種シンボル電極のそれぞれの領域に、シンボルを順次白色で表示しており、図10のように4時代(4時0分以降5時0分より前)のとき、4つ設けられた同種シンボル電極541〜544のそれぞれの領域に、「4」が順次白色で表示される。なお、表示される順序は問わず、交互に表示したり、いくつかの同種シンボルを同時に表示したりすることも適宜決めてよい。
また、十位表示部30M1には「5」が白色で表示され、一位表示部30M2には「9」が表示されていることから、現在時刻は「4時59分」であることが読み取れる。
【0053】
さらに、表示パネル30には、シンボル電極541以外のシンボル電極50の領域が白黒よりも低いコントラストで表示されており、このような中間色表示DSP2により、表示パネル30における画像表現のデザイン性が高められている。
そして、計時情報表示DSP1にも、中間色表示DSP2にも用いられないシンボル電極50の各領域、および背景表示電極(図示せず)の領域は、表示パネル30における背景表示DSP3を構成し、黒色で表示されている。
【0054】
図11は、現在「時」が5時のときの表示パネル30を示す。ここでは、計時情報に応じて特定されるシンボルは「5」となり、表示パネル30に6つ設けられた「5」に係るシンボル電極552の領域が白色で表示されている。このように「時」が5時のときは、6つ設けられた同種シンボル電極551〜556のそれぞれの領域に、「5」が順次白色で表示される。
【0055】
図12は、デザイン表示モードにおける表示パネル30の表示を示す。図12(A)および(B)においても、計時情報表示DSP1、中間色表示DSP2、および背景表示DSP3がそれぞれ表示されているが、中間色表示DSP2は、図12(A)および(B)に示すように、中間色で表示される領域が表示パネル30の長手方向一端側から他端側へと向かって波状に流れるように表示され、動きのある画像表現となっている。
【0056】
また、図13は、白黒反転表示モードにおける表示パネル30の表示を示す。このモードでは、表示パネル30の背景色が白色、「時」を示すシンボルの表示は黒色となっており、駆動制御部61により、共通電極320における電位と「時」を示すシンボル電極541〜544における電位とが逆にされている。
なお、その他のモードとして、時刻修正モードや、電源投入時に表示パネル30の全画面を白黒に切り替えるフラッシュモードなどがあるが、これらについての説明は省略する。通常表示モードやデザイン表示モード、白黒反転表示モードの切替えは、操作ボタン43(図3、図7)などで行う。あるいは、午前、午後などの時間帯などに応じて表示モードを切り替えたり、アラームに応じて表示モードを切り替えることなども検討できる。
【0057】
[7.表示パネルにおける描画処理]
次に、表示パネル30における描画処理について概略を説明する。
本実施形態では、駆動制御部61がシンボル電極50ごとに現在の描画レベル(以下、現在レベルという)を管理するとともに、シンボル電極50ごとに目標の描画レベル(以下、目標レベル)を設定し、現在レベルと目標レベルとを比較し、現在レベルが目標レベルと一致するように描画処理を行っている。
[7−1.表示の色階調]
この描画レベルには、図14に示すように、黒レベル1〜8と白レベル1〜8の計16種類のレベルが設定され、表示パネル30の階調範囲(反射率並びにコントラスト値の範囲に相当)が黒レベル1〜4と白レベル1〜4の8階調に相当し、この階調範囲を超えるレベル(黒レベル5〜8、白レベル5〜8)は、前記階調最大レベル(黒レベル4、白レベル4)に一定時間保持された場合に、保持時間に応じて設定されるレベルとされている(後述の現在レベル更新処理)。
【0058】
なお、前記の黒レベル1〜3および白レベル1〜3は黒と白との間の中間色(グレースケール)の範囲に相当しており、中間色を表示する場合は、中間色の描画レベルを目標レベルに設定し、そのレベルに応じたパルス数の駆動信号(後述する駆動信号COM)により描画処理を行うこととしている。すなわち、例えば、白レベル4から中間色として黒レベル1に表示変化を行う場合においては、目標レベルを黒レベル1とし、後述する駆動方式に従ってパルス信号を4回印加することになる。一方、白レベル4(白色)から黒レベル4(黒色)に表示変化を行う場合はパルス信号を7回印加することになる(詳細な説明は後述)。このように白レベル4(白色)から黒レベル4(黒色)に到達させるための7回よりも少ない、4回というパルス数の駆動信号を印加することによって、マイクロカプセル330内の白粒子331B並びに黒粒子331Aの移動量(移動距離)を少なくし、その位置関係を任意に制御することによって本実施形態においては中間色を実現している。
【0059】
[7−2.駆動信号による書換動作]
図15は、表示パネル30の駆動信号の波形の一例を示し、この図を参照して表示パネル30の各電極における表示色が同時に変更されること、および色階調変化について説明する。なお、図15では、図10(4時)から図11(5時)に変化する際に生じる「4」に係るシンボル電極541の領域における白色から黒色への変化、および「5」に係るシンボル電極551の領域における黒色から白色への変化を例に取る。
また、この図において、共通電極320に供給される駆動信号をCOM、黒から白に切り替えるシンボル「5」に対応するシンボル電極551への駆動信号をSEG1(L電位)、白から黒に切り替えるシンボル「4」に対応するシンボル電極541への駆動信号をSEG2(H電位)と表記している。以下、駆動信号SEG1,SEG2を特に区別する必要のないときは単に駆動信号SEGと表記する。
【0060】
同図に示すように、駆動制御部61から表示駆動部62への表示切替信号(ドライバデータ)の出力が開始されたタイミング(タイミングM1A)から書換が終了するタイミング(M1B)までが書換期間Taに設定され、この書換期間Taは、表示駆動部62が共通電極320および各シンボル電極50に対して駆動信号COM,SEGを供給して各シンボル電極50の表示色を切り替え、時刻表示等を変更する期間である。また、休止期間Tbは、表示駆動部62が時刻表示等の切り替え後に、次の表示切替信号が入力されるまで待機する期間であり、この休止期間Tbにおいては、表示駆動部62はその動作モードを省電力モードとする。また、休止期間Tbにおいては、表示駆動部62はその動作モードを省電力モードとする出力端がハイインピーダンス状態となる。したがって、休止期間Tbにおいては、共通電極320と各シンボル電極50との間に電位差が生じることがないため、各シンボル電極50の表示色が書換期間Taにおいて変化した色に維持される。
【0061】
この書換期間Taにおいて、本実施形態では、白から黒への表示色の切り替えと、黒から白への表示色の切り替えとを同時に行うこととしている。具体的には、表示駆動部62は、各シンボル電極50に対して、白あるいは黒に対応する電圧を印加する駆動信号SEGを出力し、共通電極320に対して、電圧が時系列的に表示色のそれぞれに対応した電圧に変化する駆動信号COMを出力する。このような駆動信号COMとして、本実施形態では、表示切替信号(ドライバデータ)に応じて電圧値がH電位(+15V)とL電位(0V)との間で変化するパルス信号が用いられている。このとき、駆動信号COMの1パルスのパルス幅は、図示しない発信回路から出力される信号を分周して生成可能な周期(本例では125ms)に設定されており、この分周信号に基いて駆動信号COMを生成可能としている。本例では、L電位の期間とH電位の期間とが125msで切り替わる。この駆動信号COMのパルス数は表示切替信号の出力回数に対応し、このパルス数が適宜調整されることで、シンボル電極50の表示色の階調が調整される。
【0062】
この結果、書換期間Taにおいて、駆動信号COMの電圧がL電位の間、共通電極320(L電位)とシンボル電極541(駆動信号SEG2;H電位)との間に電界が発生し、マイクロカプセル330の中の黒粒子331Aが共通電極320側に移動すると共に、白粒子331Bがシンボル電極541側に移動することで1階調分、シンボル電極541の表示色が黒に変化する。続いて、駆動信号COMの電圧がH電位の間は、共通電極320(H電位)とシンボル電極551(駆動信号SEG1;L電位)との間に電界が発生し、マイクロカプセル330の中の白粒子331Bが共通電極320側に移動すると共に、黒粒子331Aがシンボル電極541側に移動することで1階調分、シンボル電極551の表示色が白に変化する。以降同様にして、駆動信号COMの電圧の時系列的変化に応じて黒粒子331Aおよび白粒子331Bが共通電極320およびシンボル電極551,541との間で少しずつ順次移動することで、各シンボル電極551,541の表示色が段階的に変化し、この書換期間Taの経過時には、シンボル電極551の表示色が白になると共に、シンボル電極541の表示色が黒になり、表示パネル30に白色で表示される「時」表示がシンボル電極541の領域からシンボル電極551の領域へと移る。
【0063】
[7−3.描画処理における基本動作]
次に、図16のフローチャートに沿って、表示パネル30における描画処理の手順を説明する。この描画処理は、時刻更新(本例ではシンボル電極50については原則的に1時間間隔で更新(該当「時」の同種シンボル電極については適宜更新)、分表示部30Mについては1分間隔で更新)や、操作ボタン43への接触等による表示更新指令によって表示パネル30の表示の更新が生じた場合をトリガとして実行される処理である。
【0064】
図10(4時59分)および図11(5時00分)に示したように、計時情報等に応じて、各種の電極における表示が変更される。図16には、図10で黒色の「5」に係るシンボル電極551、図10で中間色の「5」に係るシンボル電極552、図10で白色の「4」に係るシンボル電極541、図10で黒色の「9」に係るシンボル電極592、および図10で(図11でも)黒色の「2」に係るシンボル電極521の5つの電極についてそれぞれ示した。
これら5つのシンボル電極551,552,541,592,521における現在レベルはそれぞれ、黒レベル4、黒レベル2、白レベル4、黒レベル4、黒レベル4であり、これらのうち更新すべき4つのシンボル電極551,552,541,592をそれぞれ、白レベル4、白レベル4、黒レベル4、黒レベル2に変更する場合を例に説明する。ここでは、シンボル電極521における表示色は黒レベル4で不変とする。また、中間色は黒レベル2としたが、これに限らず、中間色は黒レベル3〜白レベル3の範囲で適宜設定できるし、中間色とされる電極ごとに階調を変えてグラデーションを表現することも検討できる。
【0065】
図16に示すように、初期状態では、目標レベルは現在レベルと一致するものとする。
ここで、駆動制御部61は、表示更新指令により、更新すべきシンボル電極551,552,541,592の各目標レベルを更新し(ステップS1)、EPD描画トリガをONに設定する(ステップS2)。EPD描画トリガをONに設定すると、駆動制御部61は、表示駆動部62への表示切替信号(ドライバデータ)の出力を開始する。実際には、駆動制御部61は、各シンボル電極50、余白電極(図示せず)、および分表示部30Mにおける各電極すべての現在レベルと目標レベルとを比較し、これらの各電極のうち現在レベルと目標レベルとが異なる電極を特定すると共に、白黒のいずれに変化させるかを特定し、この特定結果に基き、白または黒への表示切り替えを各電極ごとに指示する表示切替信号を表示駆動部62に出力する(ステップS3)。
【0066】
この表示切替信号の入力を受けて表示駆動部62は、白色へ表示切替する電極については駆動信号SEG1(L電位)を、黒色へ表示切替する電極については駆動信号SEG2(H電位)を出力するとともに、共通電極320に駆動信号COMを、駆動信号COMの1パルス分、出力する。これにより、共通電極320にL電位およびH電位が125msずつ供給され、この1パルスにより、シンボル電極551,552,592における表示色が黒色から白色へと1階調分変更されるとともに、シンボル電極541における表示色が白色から黒色へと1階調分変更される。
【0067】
これにより、駆動制御部61は、シンボル電極551,552,541,592の現在レベルを、1階調分、更新するとともに(ステップS4)、更新後の現在レベルが目標レベルとすべて一致したか否かを判定し(ステップS5)、一致していない場合は(ステップS5:NO)、ステップS3の処理に移行する。
従って、駆動制御部61は、各電極における現在レベルと目標レベルとが一致するまで、表示切替信号を表示駆動部62に間欠的に出力し、また、表示切替信号を出力する毎に現在レベルを1ずつ変更する処理を実行する。この際、現在レベルと目標レベルとの差に応じたパルス数だけ、図15に示したように電圧レベルが切り替わる駆動信号COMが共通電極320に供給される。そして、L電位に保持されたシンボル電極551,552等の表示色が目標レベルと一致する白レベル4の表示色に変更されるのと並行して、H電位に保持されたシンボル電極541等の表示色が目標レベルと一致する黒レベル4の表示色に変更される。
そして、駆動制御部61は、シンボル電極551,552,541,592等における現在レベルと目標レベルとが一致すると(ステップS5:YES)、EPD描画トリガをOFFに設定する(ステップS6)。以上が描画処理における基本動作である。
【0068】
[7−4.画面リフレッシュ処理]
ところで、本実施形態では、表示パネル30における各電極のうち、表示色が中間色ではなく黒色および白色とされるものに対し(以降、白黒表示電極という)、一定時間毎に、表示色の階調を更新する画面リフレッシュ処理を実行している。
具体的に、駆動制御部61は、図17に示すように、予め定められた更新周期(リフレッシュ周期)に至ると、各白黒表示電極の現在レベルを参照し、現在レベルが黒レベル4以上(黒レベル)4〜8の電極に対して、黒を書き込む描画処理を行うと共に、現在レベルが白レベル4以上(白レベル4〜8)の電極に対して、白を書き込む描画処理を行う(画面リフレッシュ処理(ステップS10))。すなわち、駆動制御部61は、図15で例示したように、黒レベル4以上の電極に対して黒への表示切替信号を出力して表示駆動部62により表示色を1階調分ずつ変更させる(黒書き込み)と共に、白レベル4以上の電極に対して白への表示切替信号を出力して表示駆動部62により表示色を1階調分ずつ変更させる(白書き込み)。
これによって、黒レベル4以上白レベル4以上の電極、つまり、表示パネル30の最大黒レベルおよび最大白レベルとされた電極の表示色が、時間の経過等により中間色レベルにずれてしまい、そのままの状態が継続されてしまう事態を回避することができ、階調(反射率およびコントラスト)ずれを解消することができる。
【0069】
[7−5.現在レベル更新処理]
また、本実施形態では、前記画面リフレッシュ処理に続いて、白黒表示電極における黒および白の連続表示時間に応じて現在レベルのレベル値を更新する現在レベル更新処理を実行している。
すなわち、駆動制御部61は、現在レベルが黒レベル4以上(黒レベル4〜8)および白レベル4以上(白レベル4〜8)の電極の現在レベルのレベル値を1ずつ増やし、具体的には、黒レベル4は黒レベル5へ、・・・、黒レベル7は黒レベル8へ、・・・白レベル4は白レベル5へ、・・・、白レベル7は白レベル8へと更新する(現在レベル更新処理(ステップS11))。この場合、黒レベルおよび白レベルが描画レベル(図14参照)の最大レベルのものについては(黒レベル8、白レベル8)、現在レベルをそのレベルに維持する。なお、画面リフレッシュ処理の度に現在レベル更新処理を行うことに限らず、画面リフレッシュ処理を複数回(例えば10回)実行したら現在レベル更新処理を実行するようにしてもよい。
【0070】
このように、本実施形態では、表示色が中間色でない白黒表示電極については、その表示色の連続表示時間に比例して現在レベルをレベル値が高くなるように更新するので、かかる白黒表示電極における表示色を切り替える場合、切替前の表示色の連続表示時間が長いほど、目標レベルと現在レベルとの差が大きくなる。つまり、表示切替時(描画所理事)に供給される駆動信号COMのパルス数が増える。
このような現在レベル更新処理は、表示パネル30において表示変化のない状態が長時間継続すると、電気泳動層33における電気泳動粒子の泳動が遅くなるという泳動特性のために行われている。すなわち、表示色の連続表示時間が長いほど、電気泳動粒子の移動量(移動距離)に対する駆動信号COMのパルス数が増え、駆動力(ここでは電圧印加時間)が大きくなるので、泳動特性の変化に対応して表示色を黒色または白色に確実に切り替えることができる。この結果、泳動特性の変化に起因する色の不均一表示が回避され、表示品質(デザイン性、見た目、見易さ)が向上する。本実施形態では、表示色の連続表示時間に応じて駆動信号COMのパルス数を段階的に増やすことで、必要十分な駆動力を実現し、低消費電力化を図っている。
【0071】
[8.本実施形態による効果]
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)電子時計1が備える電気泳動表示パネル30は、計時情報の内容をそれぞれ表す数字シンボルがデザインされた形状の各シンボル電極50を有し、これらのシンボル電極50は、計時情報に応じて適宜選択され、その選択されたシンボル電極50が設けられた領域に該当のシンボルが表示される。このようにシンボル自体の形状にシンボル電極50を形成したので、多数のシンボルを表示する場合であっても、従来と比べて大幅に端子数を減らすことができる。このように端子数を大幅に少なくできるから、表示パネル30にある全電極に必要な端子数が表示駆動回路素子425の限りある出力端子数の範囲内に十分に収まる。
【0072】
(2)加えて、シンボル電極50の形状自体が自由であり、各シンボル電極50それぞれについて曲線を多用して個々にデザインすることが可能となる。また、各シンボル電極50の表示パネル30におけるレイアウトも自由にできる。これによって今までにはないデザインの時計1を実現できる。
【0073】
(3)さらに、時計1により、計時情報表示DSP1が行われる位置が1時、2時・・・11時、12時などの時間経過によって各シンボル電極50の領域を移り変わるという斬新な構成を実現できる。
【0074】
(4)可撓性を有する表示パネル30の採用により、表示パネル30が略リング状に湾曲されるので、腕に沿って広範囲に亘る表示領域が確保される。これにより、表示パネル30を大画面化できる。このように大画面化されていても、表示パネル30の異なる位置に同種のシンボル(「4」に係るシンボル電極541〜544など)が順次表示され、表示パネル30に対する複数方向から当該シンボルを視認可能となるため、計時情報の視認性を向上させることができる。
また、前述のように端子数が少ないながら、このような広い領域での表示が可能となるので、前述した端子数減少の効果をより大きいものにできる。このような広い画面によって時計の外観をより向上できる。
【0075】
(5)表示パネル30では計時情報表示DSP1に加えて、中間色表示DSP2が行われており、これによってデザイン要素が増えるので、表示パネル30の画面デザインをより一層向上させることができる。中間色表示DSP2の背景表示DSP3に対するコントラストは計時情報表示DSP1の背景表示DSP3に対するコントラストよりも低いことから、計時情報の視認性とデザイン性とを両立できる。
さらに、中間色表示DSP2により、計時情報に応じて特定されたシンボル(図10では「4」)が表す時刻以外についての各シンボルも視認可能となり、各シンボルの位置を自然と覚えることができるので、計時情報の把握に関して取扱性を向上できる。
【0076】
(6)さらに、表示パネル30における数字シンボルは互いに重なり合い、重複領域R1,R2,R3などに係るシンボル電極591,541などは、重複電極部94A〜94Cと、それ以外の非重複電極部591A〜591C、541A〜541Cとに分けて形成されている。このように重複電極部94A〜94Cを設けることで、シンボル同士が重なり合うような複雑なデザインを実現でき、デザイン性を向上できる。
【0077】
(7)また、シンボル同士の複数箇所での重なり合いによって生じる重複領域R1,R2,R3にそれぞれ対応する重複電極部94A〜94Cなどに関し、これら重なったシンボルが同じ組み合わせであるもの同士を互いに導通させて端子の共通化を図ったことから、端子数をより少なくできる。つまり、駆動経路素子425の出力端子数の制限内で効率的により多くのシンボル電極50を配置することが可能となるから、一層デザイン性の高い画像表現が可能となる。
【0078】
(8)さらに、複数の非重複電極部591A〜591C、541A〜541Cなども同一の端子に接続されることから、端子数をより一層少なくできる。
【0079】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、同種のシンボルに対応する各電極が互いに導通されている点が第1実施形態と相違する。
なお、本実施形態では、中間色表示DSP2(図10等)は行わないものとする。
【0080】
図18は、本実施形態の時計の斜視図であり、図19は、この時計が備える表示パネル80の平面図である。これらの図は、現在の「時」が5時であることを示し、「5」に係るシンボル電極50のすべてが同時に白色で表示されている。なお、「5」以外の他の数字シンボルについても、時に応じて同様に表示される。つまり、シンボル電極50は、同じ数字の同種のシンボルごとに互いに導通されており、「5」の場合では、同種シンボル電極551〜556が互いに導通されている。これらの導通態様は、前述したように、各シンボル電極50直下のビア314(図5)によって表示基板31の裏側に電位を取り出し、互いに同電位とするもの同士のビア314を繋ぐように、配線312を形成するというものである。配線312は配線部材412を介して回路基板42の表示駆動回路素子425に接続される。
なお、シンボル電極556は、図6に示すようにシンボル電極593と重なり合うことで重複電極部と非重複電極部とに分かれており、重複電極部については他のシンボル電極551〜555と同調しないことから、シンボル電極556の非重複電極部を他のシンボル電極551〜555と導通させる。
【0081】
本実施形態によれば、シンボル電極551〜556などの同種シンボル電極同士が導通されることにより、端子数をより少なくできる。また、第1実施形態と略同様の効果を奏する。
【0082】
〔本発明の変形例〕
以上、本発明の実施態様について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。
【0083】
例えば、前記実施形態では、黒粒子331Aおよび白粒子331Bによる白黒二粒子系の電気泳動表示が行われていたが、これに限らず、青白等の一粒子系の電気泳動表示を行っても良く、また、白黒以外の組み合わせでも構わない。
また、前記実施形態では、2つのシンボル同士が重なり合う例について示したが、これに限らず、3つのシンボルが互いに重なり合う場合も前述と略同様の構成および作用効果となる。
なお、表示パネルに表示する計時情報の内容を表すシンボルとしては、前記各実施形態のようなアラビア数字のシンボルに限らず、アルファベットや記号、ギリシア数字、漢数字などを適宜使用できる。
【0084】
また、表示パネルにおける互いに近接しない離間位置に、各シンボル電極が同じ数字の組み合わせで重なる領域が複数ある場合、配線パターンの取り回しにもよるが、これら離れた位置の重複領域における各電極も同じ端子に接続することが好ましい。このような配線に際しては、例えば、表示基板の裏面(透明基板とは反対側の面)にフレキシブル基板を積層することなどが有効である。ここで、図6を参照して互いに導通する電極の具体例を挙げると、例えば、シンボル「7」および「8」は、表示パネル30における2箇所で重なり合っており、シンボル電極571と581とは3つの重複電極部781A〜781Cを、シンボル電極572と582とは、重複電極部782A〜782Cをそれぞれ有するが、これらの重複電極部781A〜781Cおよび782A〜782Cを互いに導通してもよい。
【0085】
さらに、前記実施形態におけるケース2は円環状であったが、ケースの形状は楕円形状、多角形状などであってもよい。また、前記実施形態では、略360°に湾曲した大画面の表示パネル30を示したが、これに限らず、湾曲しない平面状の表示パネルにバンド部材が設けられたウォッチとしてもよい。
ここで、本発明の時計は、腕時計に限らず、懐中時計、置時計、掛時計などにも適用可能である。また、時計機能を有する各種電子機器にも広く適用でき、このような機器としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)や、携帯電話、メモリカード、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、プリンタ、パーソナルコンピュータなどを例示できる。
【0086】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態における電子時計の外観斜視図。
【図2】前記実施形態における電子時計の横断面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】前記実施形態における表示パネルおよび回路基板の平面図。
【図5】前記実施形態における表示パネルの断面図。
【図6】前記実施形態における電気泳動表示パネルの平面図
【図7】前記実施形態における表示モジュールの電気的構成を示すブロック図。
【図8】前記実施形態における電気泳動層を示す模式図。
【図9】図6の部分拡大図。
【図10】前記実施形態における表示パネルの画像表現を示す図(通常表示モード)。
【図11】前記実施形態における表示パネルの画像表現を示す図(通常表示モード)。
【図12】前記実施形態における表示パネルの画像表現を示す図(デザイン表示モード)。
【図13】前記実施形態における表示パネルの画像表現を示す図(白黒反転表示モード)。
【図14】前記実施形態の表示パネルにおける表示の色階調を示す図。
【図15】前記実施形態における表示パネルの駆動信号の波形の一例を示す図。
【図16】前記実施形態における表示パネルの描画処理における基本動作を示すフローチャート。
【図17】前記実施形態における表示パネルの画面リフレッシュ処理を示すフローチャート。
【図18】本発明の第2実施形態における電子時計の外観斜視図。
【図19】前記実施形態における電気泳動表示パネルの平面図
【符号の説明】
【0088】
1・・・時計(電子機器)、30,80・・・表示パネル、31・・・表示基板(第1基板)、32・・・透明基板(第2基板)、40・・・駆動回路部、50・・・シンボル電極(第1電極)、62・・・表示駆動部、320・・・共通電極(第2電極)、331A・・・黒粒子(電気泳動粒子)、331B・・・白粒子(電気泳動粒子)、541〜544,551〜556・・・同種シンボル電極、541A〜541C,591A〜591C・・・非重複電極部、94A〜94C・・・重複電極部、612・・・計時部、DSP1・・・計時情報表示、DSP2・・・中間色表示、DSP3・・・背景表示部、R1〜R3・・・重複領域。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所

【識別番号】100079083
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 實三

【識別番号】100094075
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 寛二

【識別番号】100106390
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 剛


【公開番号】 特開2008−8832(P2008−8832A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181393(P2006−181393)