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【発明の名称】 計時器用ゼロリセット装置
【発明者】 【氏名】カール フリートリッヒ ショイフェル

【要約】 【課題】全体の寸法を減じ、針を正確にゼロにリセットすることができる計時器用のゼロリセット装置を提供する。

【構成】計時器のゼロリセット装置、より具体的にはクロノグラフは、手動制御部品(2)と、手動制御部品(2)によって作動されることができる第二制御部品(4)と、一つ又はそれ以上のゼロリセットカム(6)と、それぞれゼロリセットカム(6)と協動することができるように、第二制御部品(4)によって作動される一つ又はそれ以上のハンマー(5)と、を含む。装置は、第二制御部品(4)が並進移動可能であり、ハンマー(5)が、第二制御部品(4)とは無関係である、それぞれのピボット(17)を中心に回動し、且つ第二制御部品(4)の並進移動によってピボット(17)を中心に回動させることができるように、第二制御部品(4)にヒンジ連結されている、ことを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動制御部品(2)と、手動制御部品(2)によって作動される第二制御部品(4)と、一つまたはそれ以上のゼロリセットカム(6)と、それぞれゼロリセットカム(6)と協動することができるように、第二制御部品(4)によって作動される一つまたはそれ以上のハンマー(5)と、を含む計時器用ゼロリセット装置において、
第二制御部品(4)は、並進移動可能であり、ハンマー(5)は、第二制御部品(4)とは無関係である、それぞれのピボット(17)を中心に回動し、且つ第二制御部品(4)の並進移動によってピボット(17)を中心に回動させることができるように、第二制御部品(4)にヒンジ連結されている、
ことを特徴とする計時器用ゼロリセット装置。
【請求項2】
複数のゼロリセットカム(6)と、複数のそれぞれのハンマー(5)と、を含む、
請求項1に記載のゼロリセット装置。
【請求項3】
カム(6)は、ハート形状をなしている、
請求項1又は2に記載のゼロリセット装置。
【請求項4】
手動制御部品(2)は、プッシュボタンである、
請求項1から3のいずれか1項に記載のゼロリセット装置。
【請求項5】
ハンマー(5)において、第二制御部品(4)とのヒンジ点(21)とピボット(17)との間の距離(d1)は、対応するカム(6)と協動するようになった面(22)とピボット(17)との間の距離(d2)より短い、
請求項1から4のいずれか1項に記載のゼロリセット装置。
【請求項6】
ハンマー(5)は、弾性アーム(19)を含み、その一端が、対応するカム(6)と協動するようになったハンマー(5)の面(22)を画成する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のゼロリセット装置。
【請求項7】
ハンマー(5)または各ハンマー(5)は、剛性の他のアーム(20)を含み、弾性アーム(19)の前記端(22,26)は、ハンマー(5)が対応するカム(6)と協動している間、弾性アーム(19)の変形を制限するために、前記他のアーム(20)の端(25)に静止することができる、
請求項6に記載のゼロリセット装置。
【請求項8】
手動制御部品(2)と第二制御部品(4)との間の中間に制御部品(3)を更に含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載のゼロリセット装置。
【請求項9】
クロノグラフの開始、停止、及びゼロリセットのための装置であって、
カップリング装置(30)と、
請求項8に記載のゼロリセット装置(1)と、を含み、
ゼロリセット装置(1)の中間制御部品(3)は、その軌跡の第一セグメントの間クロノグラフを停止させることができるようにカップリング装置(30)を制御し、第一セグメントに続く軌跡の第二セグメントの間ハンマー(5)を作動させるための第二制御部品(4)の並進移動を制御するようになっている、
ことを特徴とするクロノグラフの開始、停止、及びゼロリセットのための装置。
【請求項10】
カップリング装置(30)は、クランプ(32,33)を含む垂直カップリング装置であり、中間制御部品(3)は、軌跡の第一セグメントの間クランプ(32,33)の閉鎖を制御するようになっている、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
中間制御部品(3)は、第一端で、第二制御部品(4)の一端(10)が遊びをもって間に挿入される第一ピン(8)及び第二ピン(9)と、第二端で、クランプ(32,33)のうちの一方(32)と協動する第三ピン(37)と、を含み、前記一方は、クランプ(32,33)の他方(33)を制御する、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
中間制御部品(3)は、レバーである、
請求項8から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の装置を含むことを特徴とするクロノグラフ。
【請求項14】
ゼロリセットカム(6)は、秒カウンター針、分カウンター針、及び時カウンター針をゼロリセットするためのカムを含む、
請求項13に記載のクロノグラフ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器、より具体的にはクロノグラフ用のゼロリセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクロノグラフでは、秒、分、及び時のカウンター針のゼロリセットは、作動されるとき、針の心棒に取り付けられたハート形状のゼロリセットカムを打つハンマーを含む一体部品を運動状態にセットするプッシュボタンを介して成し遂げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのゼロリセット装置は、いくつかの不都合を有する。特に、ゼロリセット装置は、一体部品の軌跡が、ハンマーが、ゼロリセット作用中カムを押し、静止しているときカムの邪魔にならない程十分大きくなくてはならないので、比較的かさばる。さらに、製造公差のために、ハンマーは、完全に正確なやり方でこれらのカムを打つことができないので、分針及び/又は時針のゼロリセットは、一般的に、正確さを欠く。最後に、ハンマーは、ゼロリセットカムに非常に高い圧力を加え、おそらくは、針の心棒を損傷させたり破損すらさせたりする。
【0004】
本発明は、今述べた不利益を少なくとも部分的に軽減することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、添付の請求項1に記載された計時器用ゼロリセット装置、請求項9に記載されたクロノグラフの開始、停止、及びゼロリセットのための装置、及び請求項13に記載されたクロノグラフを提供する。本発明の特定の実施形態が、従属請求項2乃至8、10乃至12、及び14に記載される。
【0006】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の特定の実施形態によるゼロリセット装置を表す添付図面を参照して提供される次の詳細な説明を読むことにより明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図を参照すると、本発明によるクロノグラフ用のゼロリセット装置1は、使用者によって作動される、2で概略的に表されるプッシュボタンと、プッシュボタン2によって制御されるレバー3と、レバー3によって制御されるスライド制御部品4と、スライド部品4によって制御される枢動ハンマー5と、ハンマー5によって作動されるハート形状のゼロリセットカム6と、を含む。
【0008】
プッシュボタン2の位置に応じて、レバー3は、点線で示される静止位置、及び実線で示されるゼロリセット位置をとることができる。レバー3は、プッシュボタン2の作用に対抗する、戻りばね7の作用を受ける。レバー3は、その一端に、二つのピン8,9を含み、スライド部品4の一端10が、ある量の遊びをもってピン8と9の間に挿入される。レバー3の静止位置では、ピン9は、スライド部品4の端10に隣接する。
【0009】
スライド部品4は、固定ガイドピン12と協動する長孔11を含み、固定ガイドピン12により、部品4を、点線として示される静止位置と、実線として示されるゼロリセット位置との間で長孔11の方向に並進スライドさせる。スライド部品4は、ゼロリセットジャンパーと呼ばれる、絶対的なばね13の作用を受ける。このゼロリセットジャンパー13の端14は、スライド部品14が静止位置にあるとき、スライド部品4の縁部によって画成されるコーナー15に当接しているが、スライド部品4がゼロリセット位置にあるとき前記縁部の傾斜面16を押す。しかしながら、変形例として、前記ジャンパー13は、省略されてもよい。
【0010】
従来のやり方では、ゼロリセットカム6は、ハート形状をなし、クロノグラフの針、即ち秒カウンターの針、分カウンターの針、及び時カウンターの針(図示せず)のそれぞれの心棒に取り付けられる。
【0011】
ハンマー5の軸またはピボット17は、レバー3のピボット18及びピン12のように、香箱真のようなクロノグラフの固定部品に取り付けられている。かくして、ハンマー5のピボット17は、スライド部品4と無関係である、即ち、ピボット17は、スライド部品4が一方向にまたは他方向に移動される間、固定されたままである。各ハンマー5は、ピボット17の一方の側に第一アーム18と、枢軸17の他方の側に第二アーム19及び第3アーム20と、を含む。第一アーム18及び第三アーム20は、剛体である。第二アーム19は、弾性的である。
【0012】
第一アーム18は、その端がこれに打ち込まれ、且つスライド部品4に作られたより大きな寸法の穴と協動するピン21の手段によって、スライド部品4にヒンジ連結されている。もちろん、ピン21がスライド部品4に打ち込まれ、アーム18に作られたより大きな寸法の穴と協動する、逆の構造も可能である。第一アーム18とスライド部品4のこのヒンジ連結により、スライド部品4は、ハンマー5を、該ハンマーが対応するカム6の邪魔にならない静止位置と、22で指示されるハンマーの打撃面が、カム6の肩部23を押すゼロリセット位置との間で、ピボット17を中心に回動させることができる。
【0013】
対応するカム6と協動するようになった各ハンマー5の打撃面22は、第二アーム19の剛性端によって画成される。既知のやり方で、前記面22は、ハンマー5及びカム6が、面22がカム6の肩部23を押しているゼロリセット位置にある間、ハンマー5及びカム6の対応する枢軸17,24を通る線に対して傾けられる。
【0014】
第三アーム20の端25は、自由である。この端は、ストップとして役立ち、打撃面22と反対側である第二アーム19の端の面26が、特にハンマー5のゼロリセット動作中、打撃面22がカム6の先端27と接触する状況で、第二アーム19の曲がりを制限するためにこのストップに当接する。
【0015】
各ハンマー5について、ピボット17とスライド部品4とのヒンジ点との間、より正確には、ピボット17の中心とヒンジピン21の中心との間の距離またはモーメントアームd1は、ピボット17と打撃面22との間、より正確には、ピボット17の中心と打撃面22の中心との間の距離またはモーメントアームd2より短い。
【0016】
その上、本発明によるゼロリセット装置1は、クロノグラフの垂直連結装置30、即ちそれ自体が知られた方法で、プッシュボタン2とは異なる第二プッシュボタン(図示せず)の作用で、クロノグラフの開始または停止を可能にする装置と協動する。前記連結装置30は、第二プッシュボタンによって作動されるコラム歯車31と、一方32が他方33を制御し、かぎ34を介してコラム歯車31と協動する二つのクランプ32,33と、クランプ32,33が協動する円錐体(図示せず)によって分離された下歯車35及び上歯車36と呼ばれる二つの重ね合わされた歯車と、を含み、下歯車35は、クロノグラフムーブメント、より正確にはムーブメントの秒車によって連続的に駆動され、上歯車36は、秒カウンター、分カウンター、及び時カウンターの針に連結されたクロノグラフ車と噛み合う。クランプ32,33は、戻りばね(図示せず)の作用を受け、かぎ34が歯車31の二つのコラムの間の空間にある間、開位置をとり、かぎ34が歯車31のコラムの一つを押している間、閉位置をとる。クランプ32,33の開位置では、上歯車36は、下歯車35に対して静止し、したがってクロノグラフの針を駆動する。クランプ32,33の閉位置では、円錐体は、上歯車36を下歯車35から外す上位置にあり、かくしてクロノグラフは、停止される。
【0017】
本発明では、かぎ34を含むクランプ32は、コラム歯車31によってばかりでなく、レバー3によっても制御される。そのために、二つのピン8,9を備えた以外のレバー3の端が、第三ピン37を備え、クランプ32は、凹部38及びかぎ39を有する。レバー3の静止位置では、ピン37は、凹部38の壁に近くで凹部38内にあり、コラム歯車31によって制御されるクランプ32,33のあり得る運動を妨げない。プッシュボタン2を作動すると、ピン37は、コラム歯車31に対するかぎ34の位置に応じて、クランプ32,33を漸次閉じるように凹部38の壁のセグメント40とかぎ39と連続的に協動し、またはクランプ32,33を閉じた状態に保つようにかぎ39と直接協動する。
【0018】
本発明による装置によるゼロリセットは、次のように起こる。使用者によって押されると、プッシュボタン2は、レバー3を静止位置(点線)からゼロリセット位置(実線)に回動させる。レバー3の軌跡の第一部分中、スライド部品4は、ピン8とスライド部品4の端10との間に存在する遊びのためにその静止位置のままであり、レバー3のピン37は、もしクランプ32,33がかぎ34とコラム歯車31の間の協動によってすでに閉じられていなければ、これらを漸次閉じるように、クランプ32の凹部38の壁40の一部分の上をスライドし、かくしてクロノグラフを停止させる。ピン8がスライド部品4の端10と接触する時点から始めて、レバー3の軌跡の第二部分は、ピン8が、ハンマー5が点線で示される静止位置からカム6に向かって回動する方向にスライド部品4を押すところで始まる。しかしながら、レバー3の軌跡のこの第二部分は、ある力、即ちゼロリセットジャンパー13の作用に打ち勝つのに十分大きい力がプッシュボタン2に及ぼされたときにのみ起こる。前記ジャンパー13の作用に打ち勝つと、ハンマー5は、カム6をすぐに打ち、実線で示されるように、ハンマー5の打撃面22がカム6の肩部23を押すまで、カム6を回転させる。同時に、ピン37は、かぎ39に到達するまで凹部38の壁に沿ってスライドし続けながら、クランプ32,33を閉じた状態に保持する。ハンマー5の打撃面22がカム6の肩部23を押し、ピン37がかぎ39を押している最終位置では、クロノグラフ針は、ゼロになる。プッシュボタン2が解放されると、レバー3は、戻りばね7によって静止位置に戻される。この運動中、ピン37は、凹部38内の初期位置に戻り、これは、かぎ34のコラム歯車31に対する位置に応じて、クロノグラフを自動的に再開し、または第二プッシュボタンの手段によってその再開を可能にし、レバー3のピン9は、スライド部品4およびそのハンマー5を、静止位置に戻すように、スライド部品4の端10を押す。
【0019】
ハンマー5をピボット17を中心に回動させるスライド制御部品4によって、本発明によるゼロリセット装置は、異なる要素、特にハンマーの構造を選択するにあたって大きな柔軟性を提供し、かくしてムーブメントまたは追加の機構への組み込みを容易にし、全体の寸法を減ずることができることに気づくであろう。本発明によるゼロリセット装置の寸法を、特に、ハンマー5のモーメントアームを適合することによって、即ち、図示した例におけるように、モーメントアームd2よりも小さいモーメントアームd1を選択することにより、かなり大きなやり方で減ずることができる。この方法では、実際、スライド部品4の小さい軌跡は、ハンマー5の静止位置で、打撃面22がカム6の邪魔にならないのに十分大きい、ハンマー5の打撃面22の軌跡を得るのに十分である。
【0020】
その上、製造公差は、ハンマー5のアーム19の弾力性、即ち、三つの針を正確にゼロにリセットすることができる弾力性によって補償される。アーム19のこの弾力性は、また、針の心棒24がゼロにリセットされる間受ける力を減少させるのに役立つ。
【0021】
最後に、クロノグラフの針をゼロにリセットする前に止めることにより、本発明による装置は、ゼロリセット後前記針の正確な再開を可能にし、カップリング30の摩擦作用によりギヤの遊びを埋め合わせることによって、ムーブメントの秒車がゼロリセット中、クロノグラフの秒針をゼロリセット後、前方にジャンプさせる、後戻りを回避する。
【0022】
本発明は、特にクロノグラフ針のゼロリセットに適応可能であるが、そのような適応に限定されない。本発明は、実際に、一つまたは複数の針をゼロに戻してリセットすることができることを望む全ての計時器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるクロノグラフ用のゼロリセット装置を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ゼロリセット装置
2 プッシュボタン
3 レバー
4 スライド制御部品
5 ハンマー
6 ゼロリセットカム
8,9 ピン
17 ピボット
19 第二アーム
20 第三アーム
22 打撃面
30 カップリング装置
32,33 クランプ
37 第三ピン
【出願人】 【識別番号】503108849
【氏名又は名称】ショパール マニュファクチュール ソシエテ アノニム
【出願日】 平成19年8月15日(2007.8.15)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭

【識別番号】100065189
【弁理士】
【氏名又は名称】宍戸 嘉一

【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健

【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里


【公開番号】 特開2008−46128(P2008−46128A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−211787(P2007−211787)