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【発明の名称】 ソーラーセル付き電子時計
【発明者】 【氏名】齋藤 雅紀

【要約】 【課題】従来のソーラーセル付き電子時計は、文字板の見返し部に沿ってソーラーセルを湾曲させて貼り付けるが、この湾曲歪みに起因して、ソーラーセルの上部電極に亀裂や断線が発生し、この結果、ソーラーセルの光起電力を得られなくなってしまうという問題があった。

【解決手段】ソーラーセルを湾曲させて、文字板に対して略垂直に配置したソーラーセル付き電子時計において、樹脂基板と、上部電極と下部電極とで挟持される光電変換層と、前記上部電極を被覆して設けられる保護膜と、当該保護膜に被着して設けられた樹脂製のフィルムと、を備える構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーセルを湾曲させて、文字板に対して略垂直に配置したソーラーセル付き電子時計において、
前記ソーラーセルは、樹脂基板と、上部電極と下部電極とで挟持される光電変換層と、前記上部電極を被覆して設けられる保護膜と、当該保護膜に被着して設けられた、セルを湾曲させたときに伸びたり縮んだりしない湾曲の中心部の位置を、素子の厚み方向にシフトさせる樹脂製のフィルムと、を有する
ことを特徴とするソーラーセル付き電子時計。
【請求項2】
前記ソーラーセルは、単セル構造である
ことを特徴とする請求項1に記載のソーラーセル付き電子時計。
【請求項3】
前記上部電極は、前記光電変換層側から、アルミニウム層とチタン層を積層して構成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のソーラーセル付き電子時計。
【請求項4】
前記文字板の外周形状は、矩形形状である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のソーラーセル付き電子時計。
【請求項5】
前記ソーラーセルは、所定幅で帯状に形成されたセルである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のソーラーセル付き電子時計。
【請求項6】
前記下部電極は、前記ソーラーセルの片方の端部で表面が露出する様に形成されてなり、
前記片方の端部で露出する前記下部電極と前記上部電極とから光起電力を取り出せる構成とした
ことを特徴とする請求項5に記載のソーラーセル付き電子時計。
【請求項7】
前記光起電力を取り出すための、前記上部電極と前記下部電極以外の領域を、前記保護膜で被覆してなる
ことを特徴とする請求項5または6に記載のソーラーセル付き電子時計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーセルにより発生する光起電力を動力源とするソーラーセル付き電子時計に関するものであり、この電子時計の見返し部にソーラーセルを配置したソーラーセルの構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年は、電子時計の低消費電力化と、ソーラーセルで発電した電力を効率よく充放電できる電子回路の改良により、小面積のソーラーセルで電子時計を駆動できるソーラーセル付き電子時計が数多く提供されている。
【0003】
従来の、ソーラーセル付き電子時計は、細長い帯状ソーラーセルを風防ガラスと文字板間の内周壁、すなわち、見返し部に、文字板に対して略垂直に湾曲配置した構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、特許文献1に記載された従来のソーラーセル付き電子時計を図面に基づいて説明する。
図15は従来のソーラーセル付き電子時計の外観正面図である。図16は従来のソーラーセル付き電子時計の部分断面図であり、図15におけるD−D’の部分断面を示している。
【0005】
図15、図16において、800は円形文字板のソーラーセル付き電子時計、80はソーラーセルブロックである。81はソーラーセル、82は透光性の樹脂製見返しリング、83は風防ガラス、84は指針、85は文字板、87はムーブメント、88はケースである。
【0006】
図15、図16に示すように、従来のソーラーセル付き電子時計は、ケース88内に文字板85と指針84を載せたムーブメント87を収容し、ケース88上面を風防ガラス83で覆っている。そして、見返しリング82の外周、つまり、文字板85と風防ガラス83の間隙の文字板外周に、ソーラーセルブロック80を配置している。このソーラーセルブロック80は、見返しリング82の外周に帯状のソーラーセル81を貼り付けてある。外部からの光は、風防ガラス83と見返しリング82を透過して、ソーラーセル81に到達し、光エネルギーを電気エネルギーに変換して、電子時計を駆動する。
【0007】
上記構成のソーラーセル付き電子時計800とすれば、不透明な文字板を使用することができるようになり、自由な時計のデザイン設計が可能となる。
【0008】
また、上記ソーラーセル付き電子時計800に搭載可能なソーラーセルとして、透明な樹脂基板上に透明電極材料の下部電極と、非晶質シリコン層からなる光電変換層と、上部電極を形成する金属層を順次積層したソーラーセルの構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
以下、特許文献2に記載された従来のソーラーセルの構造を図面に基づいて説明する。図17は従来のソーラーセルの断面図である。
【0010】
図17において、81はソーラーセルである。91aは樹脂製の透明基板、91bは下部電極、91cは光電変換層、91dは上部電極、91gは保護膜である。
【0011】
ソーラーセル81は、透明基板91aの表面に透明で導通性のあるSnOの下部電極91bと、内部にPIN接合(I型真性半導体:Intrinsic semiconductorのシリコン膜をP型、N型のシリコン膜ではさんだ接合)を含む非晶質半導体の光電変換層91cと、アルミニウムおよびチタンの金属層からなる上部電極91dを積層形成して、最上層を保護膜91gで覆ってある。
【0012】
透明基板91a側から入射した光は、透明な下部電極91bを透過して、光電変換層91cで電気エネルギーに変換され、下部電極91bと上部電極91dを経て外部に取り出される。
【0013】
【特許文献1】特開2003−270366号公報(第3−5頁、第1−5図)
【特許文献2】特開平7−79007号公報(第2−5頁、第4−9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前述の特許文献2に記載のソーラーセル81を特許文献1に記載のソーラーセル付き電子時計800に搭載した場合に、比較的大きなサイズの男性向け円形文字板のソーラーセル付き電子時計(26〜30φ)では特に問題を生じないが、文字板サイズが小さい女性向けソーラーセル付き電子時計(16〜20φ)に搭載した場合には、以下の問題が生じていた。
【0015】
前述の文献1の説明における図15、図16に示すように、円形形状の文字板85のソーラーセル付き電子時計800では、ソーラーセル81を見返しリング82の外周に沿って湾曲させて貼り付けている。従って、文字板外形を小さくした場合は、必然的にこのソーラーセル81の曲率が大きくなり、ソーラーセル81には大きな曲げ応力が掛かり、歪んだ状態となる。この際、ソーラーセル81の内部には、伸びたり縮んだりしない湾曲の中心部が存在し、この湾曲の中心部の位置が透明基板91aになる。そのため、透明基板91aより外側となる上部電極91dの曲率が大きくなり、伸びる方向に応力がかかることとなる。それに伴い、上部電極91dに亀裂や断線が発生してしまう場合がある。その結果、ソーラーセル81で発生する光起電力を得られなくなってしまうという不具合が生じる。
【0016】
さらに、ソーラーセル81における樹脂製の透明基板91aの熱膨張係数は大きく、対する上部電極91dを構成する金属層のヤング率は大きく、かつ熱膨張係数は小さい。従って、ソーラーセル81の外部環境条件が、常温環境から高温高湿環境に変わると、樹脂製の透明基板91aは膨張伸縮することで、歪みの加わった上部電極91dである金属層に亀裂が生ずる。特に、この様な温度履歴を繰り返すことで、この亀裂は拡大して上部電極91dが断線してしまう場合があり、その結果、ソーラーセル81で発生する光起電力を得られなくなってしまうという不具合が生じる。この様な現象は、ソーラーセルを単セル構造とした場合に、特に顕著となる。
【0017】
この様に、従来のソーラーセル付き電子時計800は、文字板85の見返しリング82に沿ってソーラーセル81を湾曲させて貼り付けるが、この湾曲による歪みに起因して、ソーラーセル81の上部電極91dに亀裂や断線が発生し、この結果、ソーラーセル81の光起電力を得られなくなってしまうという問題があった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ソーラーセルを大きく湾曲させて様々な環境下にあっても、常に安定して所望の光電変換量を得ることができるソーラーセル付き電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のソーラーセル付き電子時計は、基本的には下記記載の構成要件を採用するものである。
まず、本発明のソーラーセル付き電子時計は、ソーラーセルを湾曲させて、文字板に対して略垂直に配置したソーラーセル付き電子時計において、このソーラーセルが、樹脂基板と、上部電極と下部電極とで挟持される光電変換層と、上部電極を被覆して設けられる保護膜と、当該保護膜に被着して設けられた、セルを湾曲させたときに伸びたり縮んだりしない湾曲の中心部の位置を、素子の厚み方向にシフトさせる樹脂製のフィルムとを有することを特徴とする。
【0020】
この様に構成することで、本発明のソーラーセル付き電子時計は、ソーラーセルを大きく湾曲させて歪みが生じ、さらに、温度ストレスが加わったとしても、上記樹脂製のフィルムが、ソーラーセル内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらす様に作用するので、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、湾曲箇所に亀裂や断線が生じることを防ぐことができる。これにより、金属層の断線によりソーラーセルの機能が損なわれることは無い。
【0021】
また、本発明のソーラーセル付き電子時計は、上記ソーラーセルが、単セル構造であることを特徴とする。
【0022】
この様に構成することで、本発明のソーラーセル付き電子時計は、複数のセルを接続するに要する接続領域の面積も有効受光面積とすることができて、受光効率が向上する。さらに、後述のように、単セル構造であるが故に、取り出し電極をソーラーセルの片方の端部に集約できる。
【0023】
また、本発明のソーラーセル付き電子時計は、上記上部電極における金属層が、光電変換層側から、アルミニウム層とチタン層を積層して構成されることを特徴とする。
【0024】
この様に構成することで、上部電極は、導通機能とアルミニウム層による光反射による光電変換効率向上に加えて、チタン層が、後に詳述するレジスト膜剥離工程でアルミニウム層が浸食されることを防ぎ、所望のパターンを容易に得ることが出来る。
【0025】
また、本発明のソーラーセル付き電子時計は、前述の時計文字板の外周形状が、矩形形状であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明のソーラーセル付き電子時計は、前述のソーラーセルが、所定幅で帯状に形成されたセルであることを特徴とする。
【0027】
この様に構成することで、細長い帯状のソーラーセルを大きく湾曲させても上部電極の断線が起きにくい構造となる。従って、文字板外周形状が矩形形状で、極端に曲率が大きなコーナー部を有する角形電子時計用ソーラーセルで真価を発揮する。
【0028】
また、本発明のソーラーセル付き電子時計は、前述の下部電極が、ソーラーセルの片方の端部で表面が露出する様に形成されてなり、この片方の端部で露出する下部電極と上部電極とから光起電力を取り出せる構成としたことを特徴とする。
【0029】
また、本発明のソーラーセル付き電子時計は、上記ソーラーセルが、光起電力を取り出すための、上部電極と下部電極以外の領域を、保護膜と樹脂製のフィルムで被覆してなることを特徴とする。
【0030】
すなわち、本発明のソーラーセル付き電子時計では、下部電極と上部電極の取り出し電極部をソーラーセルの片方の端部の上面に集約形成するので、ソーラーセルの一領域から接続基板により外部に、ソーラーセルで発生する光起電力の導出が可能となり、ソーラーセルとムーブメントとの接続形態が簡略化される。さらに、上記集約形成した取り出し部以外の領域を保護膜と樹脂製のフィルムで被覆する構造であるため、ソーラーセルの大半が覆われる構造となり、耐湿性の効果は非常に大きい。
【発明の効果】
【0031】
以上に述べたように、本発明のソーラーセル付き電子時計では、ソーラーセルの保護膜表面側から、ソーラーセル全体を覆うように樹脂製のフィルムを貼り付ける構成としてある。従って、ソーラーセルを大きく湾曲させて歪みが生じ、さらに、ソーラーセルの外部環境条件が、常温環境から高温高湿環境に変える温度履歴や、この温度履歴を繰り返して行う際に発生する温度ストレスが加わったとしても、保護膜表面に被着して設けた樹脂製のフィルムが、ソーラーセル内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらす作用を有しているので、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、湾曲箇所に亀裂や断線が生じることを防ぐことができる。そのため、この金属層の断線によりソーラーセルの機能が損なわれることは無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明のソーラーセル付き電子時計の最大の特徴は、大きな曲率で湾曲させて電子時計に装着できる信頼性の高いソーラーセルの構造にあるが、本発明のソーラーセル付き電子時計の基本的な構造および外観は、従来技術の説明で図15、図16に基づいて示した従来のソーラーセル付き電子時計と略同じである。以下に、本発明のソーラーセル付き電子時計の構成およびそれに搭載されるソーラーセルの構成例を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0033】
まず、本発明のソーラーセル付き電子時計の第1の実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明のソーラーセル付き電子時計の部分断面図である。図2は、本発明のソーラーセル付き電子時計の分解斜視図である。ここで、図1の本発明のソーラーセル付き電子時計の部分断面図は、図15に示した従来のソーラーセル付き電子時計の外観正面図におけるD−D’に対応する部分断面を示している。
【0034】
図1において、100は円形文字板のソーラーセル付き電子時計であり、10はソーラーセルブロックである。また、図1、図2に示す様に、11はソーラーセル、12は透光性の見返しリング、13は風防ガラス、14は指針、15は文字板、17はムーブメント、18はケースである。
【0035】
図1および図2に示すように、本発明のソーラーセル付き電子時計100は、ケース18内に文字板15と指針14を載せたムーブメント17を収容し、ケース18上面を風防ガラス13で覆っている。そして、このソーラーセルブロック10は、見返し部、つまり、文字板15と風防ガラス13の間隙の文字板外周に配置している。
【0036】
また、このソーラーセルブロック10については後に詳述するが、透光性の見返しリング12の外周に細長い帯状のソーラーセル11を貼り付けてあり、文字板15に対して略垂直に配置されている。そして、外部からの光は、風防ガラス13と見返しリング12を透過してソーラーセル11に到達し、光エネルギーを電気エネルギーに変換して、ムーブメント17に内蔵される二次電池(図示せず)にこの電気エネルギーを蓄える。そして、ここで蓄えられた電気エネルギーにより、電子時計を駆動する。
【0037】
この様に、見返し部にソーラーセル11を配置する利点は、表面が褐色のソーラーセル11が目立たず、文字板15の材質やデザインの制約がなくなり、かつ、明るい色の文字板も採用できることである。また、文字板15外周に透光性の見返しリング12を配置して、この見返しリング12の外周に細長い帯状ソーラーセル11を貼り付けることで、表面が褐色のソーラーセル11が直接見え難くなるため、さらに時計デザインの自由度が向上する。
【0038】
次に、図1に示した本発明のソーラーセル付き電子時計100におけるソーラーセルブロック10の詳細を図面に基づいて説明する。図3は、図1に示した本発明のソーラーセルブロック10の斜視図である。
【0039】
図3に示すように、取り出し電極21c、21dは、ソーラーセル11で発生する光起電力を取り出す端子である。また、見返しリング12は、光透過性の樹脂製材料により成型されてなる。そして、ソーラーセル11は、帯状に形成された樹脂製の透明基板上に電極と非晶質シリコン層等を積層した単セル構造となっている。
【0040】
また、ソーラーセル11は、透明樹脂を基板とする可撓性のフレキシブルソーラーセルであって、見返しリング12の外周の曲率に倣って湾曲させて光学接着することにより、ソーラーセルブロック10を形成している。この様にして光エネルギーを、見返しリング12を透過してソーラーセル11に取り込むのである。
【0041】
次に、本発明のソーラーセル付き電子時計100におけるソーラーセル11の全体像を図面に基づいて説明する。図4は、本発明に係るソーラーセルの平面図である。図4(a)は、本発明に係るソーラーセルの第1の形状例を、図4(b)は、本発明に係るソーラーセルの第2の形状例である。
【0042】
図4(a)に示す第1の形状例において、11はソーラーセルである。21aは帯状のソーラーセルを構成する透明基板、21bは透明基板21a上に形成する光電領域である。21c、21dはソーラーセル11の片方の端部に集約した取り出し電極である。
【0043】
このソーラーセル11は、図3に示すように、見返しリング12の外周の曲率に倣って湾曲させて接着する。そして、取り出し電極21c、21dの部分が帯状のソーラーセル11の端部で突出して、時計のムーブメントの電源供給端子に接続固定する。
【0044】
同様に、図4(b)に示す第2の形状例において、11aはソーラーセルである。24aは帯状のソーラーセルを構成する透明基板、24bは透明基板24a上に形成する光電領域である。24c、24dはソーラーセル11aの片方の端部に集約した取り出し電極である。
【0045】
このソーラーセル11aは、透明基板24aと取り出し電極24c、24dの部分が同じ巾であることから、複数個の帯状のソーラーセルを同時に製造するにあたって、これら複数個の帯状のソーラーセル11aを同一基板上に並べて形成し、個々のソーラーセルを帯状に分割する製法に適している。このソーラーセル11aの具体的な形状寸法例を挙げると、長辺L=64mm、巾W=1.85mm、厚みt=250μm程度である。
【0046】
次に、図4(b)で説明したソーラーセルの第2の形状例における、取り出し電極24c、24dと時計のムーブメントの電源供給端子に接続固定する方法を説明する。図5はソーラーセル11aと接続基板25の部分平面図である。
【0047】
図5において、11aはソーラーセル、25は接続基板である。また、25c、25d
は接続電極、25eは位置決め穴である。接続電極25c、25dは、図4(b)における取り出し電極24c、24dと対応する位置にある。位置決め穴25eは、時計のムーブメントとの接続固定用である。
【0048】
本図に示す接続基板25は、導電箔配線を施したフレキシブルプリント基板であって、図示していないが、ソーラーセル11aの取り出し電極24cと24dに接続する2つのランドと配線が施してある。
【0049】
この様に、ソーラーセル11aの取り出し電極24c、24dに接続電極25c、25dを対応させて接続するとともに、位置決め穴25eでこの接続基板25が固定配置されて、接続基板25を介してムーブメント17にソーラーセル11aで発生する光起電力を蓄えることができる。
【0050】
次に、本発明のソーラーセル付き電子時計におけるソーラーセルの積層構造を詳細に説明する。図6は本発明に係るソーラーセルの断面図である。この断面図の図6は、図4(a)に示したソーラーセル11のA1−A1’ 断面、あるいは、図4(b)に示したソーラーセル11aのA2−A2’断面に対応している。なお、ソーラーセル11、11aは類型であるから、以下ソーラーセルの説明は、ソーラーセル11として説明する。
【0051】
図6において、31aはソーラーセルを形成する透明基板、31bは透明な下部電極、31cは光電変換層、31dはアルミニウム層、31eはチタン層である。このアルミニウム層31d、チタン層31eとで金属層を構成する。31fは保護膜、31gは樹脂製のフィルムである。
【0052】
図6に示すように、本発明に係るソーラーセル11は、透明基板31aの表面に、下部電極31bと、非晶質半導体からなる光電変換層31cとを有する。そして、この光電変換層31cの上層には、アルミニウム層31dとチタン層31eからなる金属層を順に積層形成した上部電極を有し、これら積層部分全体を保護膜31fで覆っている。さらに、樹脂製のフィルム31gは上記ソーラーセル11の保護膜31f表面側から、ソーラーセル11全体を覆うように貼り付けている。ここで、樹脂製のフィルム31gは、後述するように、本発明のソーラーセル付き電子時計におけるソーラーセル11の最も特徴的な部位である。
【0053】
すなわち、本発明では、ソーラーセル11の上部電極を、光電変換層31c側からの光反射性を有するアルミニウム層31d、その上のチタン層31e、積層部全体を覆う保護膜31f、その保護膜31f表面側から、ソーラーセル11全体を覆うように、樹脂製のフィルム31gを貼り付ける構造としてある。なお、この樹脂製のフィルム31gは、湾曲の中心部の位置を、透明基板31aの厚み方向にシフトさせる機能を有し、具体的には、引張応力が加わっても透明基板31aとほぼ同等、もしくは透明基板31aより伸びにくい機能を有するものである。さらに、柔軟かつ丈夫という機能を有するものである。ここに示した「湾曲の中心部の位置」とは、セルを湾曲させたときに、セル内において伸びたり縮んだりしない部位のことを指している。
【0054】
従って、ソーラーセル11を大きく湾曲させて、さらに、ソーラーセルの外部環境条件が、常温環境から高温高湿環境に変える温度履歴や、この温度履歴を繰り返して行う際に発生する温度ストレスが印加されたとしても、ソーラーセル11内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらすことで、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、上記金属層を構成する、アルミニウム層31dとチタン層31eに亀裂や断線を防ぐことができる。そのため、この断線に起因して発生していた、ソーラーセル11の機能損失を極力抑えることができる。
【0055】
次に、図6に基づいて説明した本発明のソーラーセル付き電子時計におけるソーラーセル11の製造プロセスを詳述する。
図7は、本発明に係るソーラーセル11の製造工程図である。なお、図7(a)は、下部電極形成工程を示しており、図7(b)は、図7(a)で形成した構造体に光電変換層と上部電極を積層形成する工程を示している。また、図7(c)と図7(d)は、光電変換層と上部電極層と下部電極層のパターン形成工程を示しており、図7(e)図7(f)は、下部電極のパターン形成工程を示している。
【0056】
まず、図7(a)に示すように、樹脂製の透明基板31a上に透明な下部電極31bを形成する。透明基板31aはこの基板上に光電変換層を含む各層を形成する土台となる基板で、後工程で行う成膜工程やエッチング工程に耐えるように、耐熱性、耐化学薬品、機械的強度に優れた、透光性のPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用している。なお、透明基板31a上に形成する下部電極31bは、透明性と導電性に優れたITO(インジュウム錫酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)等で形成するが、ここでは、ITO膜をスパッタリング法で形成している。
【0057】
次に、図7(b)に示す様に、透明な下部電極31b上に、PIN接合で構成された非晶質シリコン層からなる光電変換層31cと、上部電極層を順次形成する。この光電変換層31cは、下部基板31b表面に直接プラズマCVD法で形成する。また、上部電極層は、光電変換層側から、アルミニウム層31dとチタン層31eをスパッタリング法で順次積層形成する。
【0058】
次に、図7(c)に示す様に、図7(b)で得た構造体の表面にレジスト膜をスピンナーで塗布し、写真露光と現像処理によりパターン化されたレジスト膜33を形成する。次いで、エッチングによりこのレジスト膜33で覆われていない部位の光電変換層31cとアルミニウム層31dとチタン層31eを共にエッチング除去し、最後にレジスト膜33を除去して、図7(d)に示す構造体を得る。なお、図7(d)に示す構造体は、図の右側に示す部位のチタン層31e、アルミニウム層31d、および光電変換層31cが除去されて、下部電極31bが表面に露出した形態となっている。
【0059】
次に、図7(e)に示す様に、図7(c)で示した工程と同様に、レジスト膜をスピンナーで塗布し、写真露光と現像処理によりパターン化されたレジスト膜34を形成する。次いで、エッチングによりこのレジスト膜34から露出する透明電極31bをエッチング除去し、最後にレジスト膜34を除去して、図7(f)に示す構造体を得る。本図面に示す構造体は、透明電極31bにおける図の右端部が除去され、透明基板31aが表面に露出した形態を示している。
【0060】
なお、上述の上部電極を構成するアルミニウム層31dは、透明基板31aを通して光電変換層31cに入射した光の内、光電変換層31cで光電変換されずに通過した光を、高反射率のアルミニウム層31dにより再度光電変換層31cに反射させるために必要な金属層である。ここで、レジスト膜33、あるいはレジスト膜34を除去するエッチャント液が強アルカリであるため、この金属層をアルミニウム層31でのみで構成すると、このアルミニウム層31dが浸食されてしまう。そこで、本発明においては、アルミニウム層31dを保護するために、チタン層31eをアルミニウム層31dの表面に形成している。
【0061】
次に、前述した、本発明のソーラーセル付き電子時計におけるソーラーセル11で発電する光エネルギーを、ソーラーセル11から取り出すための取り出し電極の詳細構造を説明する。
図8は、本発明に係るソーラーセルの取り出し電極部の断面図である。なお、図8は、図4(a)で示した本発明に係るソーラーセル11の第1の形状例における取り出し電極部B1−B1’の断面、あるいは図4(b)で示した本発明に係るソーラーセル11aの第2の形状例における取り出し電極部B2−B2’の断面を示している。以下の説明では、ソーラーセルは、符号11として説明する。
【0062】
図8に示す、41hは下部電極31bからの取り出し電極であり、41iは上部電極からの取り出し電極である。この様に、本発明に係るソーラーセル11は、帯状に形成されたソーラーセルの片方の端部上面にふたつの取り出し電極41h、41iを隣接して集約形成して構成されている。また、ソーラーセル11の上部は、取り出し電極41h、41i以外の領域を保護膜31fおよび樹脂製のフィルム31gで覆い、ソーラーセル11の耐環境性を図ってある。
【0063】
次に、図8に基づいて説明した本発明のソーラーセル付き電子時計におけるソーラーセルの取り出し電極の製造プロセスを図9を用いて詳述する。
図9は、本発明に係るソーラーセルの取り出し電極の形成プロセスを示す工程図である。この取り出し電極の形成プロセスは、図7(f)に続けて行う工程であり、図9(g)は、保護膜31fを形成する工程を示しており、図9(h)は、取り出し電極42i、42hを形成する工程を示している。また、図9(i)は、樹脂製のフィルム31gを形成する工程を示している。なお、図9において、42h’、42i’は取り出し電極形成領域である。
【0064】
まず、図9(g)に示す様に、前工程の図7(f)で形成されたチタン層31eの表面に、取り出し電極形成領域42h’および42i’を除く全面に、エポキシ系樹脂からなる保護膜31fをスクリーン印刷法で形成する。
【0065】
次に、図9(h)に示す様に、前工程である図9(g)で保護膜31fを形成しなかった取り出し電極形成領域42h’および42i’に、導電ペーストを印刷して取り出し電極42hおよび42iを形成する。なお、ここで用いる取り出し電極用の導電ペーストは、伸縮性に強固なポリエステル系樹脂にカーボンを含有する導電ペーストを使用している。
【0066】
次に、図9(i)に示すように前工程である図9(h)の取り出し電極42hおよび42iを除いたソーラーセル11の全面に樹脂製のフィルム31gを貼り付ける。ここで、樹脂製のフィルムにはPET(ポリエチレンテレフタレート)、接着面にはEVA(エチレンビニルアルコール)の糊がついており、例えば150℃のアイロンを用いソーラーセル11に熱圧着することで目的のソーラーセル11が完成する。
【0067】
ここで、樹脂製のフィルム31gにPETを用いた理由は、先に示した様に、引張応力が加わっても透明基板31aとほぼ同等の伸びにくさ、柔軟さ、そして、前述した、文字板のサイズが16〜20φ程度であれば湾曲させても破断しないという機能を有するからである。そして、この様な部材を樹脂製のフィルム31gに用いて保護膜表面に被着することで、この樹脂製のフィルム31gが無かった従来のソーラーセル(図17参照)を湾曲させたときの湾曲の中心部の位置を、透明基板31aの厚み方向にシフトさせる。これにより、従来のソーラーセルを湾曲させたときに頻発していた上部電極の断線の現象を、極力抑える構成とすることができるのである。
【0068】
次に、本発明に係るソーラーセルを備えたソーラーセル付き電子時計の優れた効果を、従来のソーラーセルを搭載した、同形態のソーラーセル付き電子時計で起こり得る現象と対比して、図面に基づいて説明する。
図10は、本発明の円形形状のソーラーセルブロックを備えたソーラーセル付き電子時計の特性を説明するための図である。図10(a)は、従来のソーラーセルを備えた円形形状のソーラーセルブロック80の断面であり、図10(b)は、本発明に係るソーラーセルを備えた円形形状のソーラーセルブロック10の断面である。いずれも、円形文字板のソーラーセル付き電子時計に搭載して、前述した大きな曲げ応力による歪みと、温度ストレスが要因で上部電極に亀裂が生じたソーラーセルブロックの状態を示している。
【0069】
円形形状のソーラーセルブロックの断面である図10(a)において、ソーラーセルブロック80の符号58a、58b、58cは亀裂である。この様に、従来のソーラーセル81を、見返しリング82の大きな曲率の円形外周に沿って湾曲させて接着することで、アルミニウム層およびチタン層が積層された金属層からなる上部電極91dに歪みが生じ、上記温度ストレスに起因して、金属層に亀裂58a、58b、58cが出来て断線状態になっているのが見て取れる。この様に、上部電極である金属層に亀裂58a、58b、58cが発生した従来のソーラーセル81では、ソーラーセル81で発生した所望の起電力を得ることができないことは、容易に理解できよう。
【0070】
一方、本発明に係るソーラーセル11を搭載したソーラーセル付き電子時計は、上述した不具合が生じることはない。その理由について以下に説明する。
【0071】
本発明に係る円形形状のソーラーセルブロックの断面である図10(b)において、本発明は樹脂製のフィルム31gを保護膜31fの表面に貼り付け、ソーラーセル11内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらしている。これにより、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、ソーラーセル11の歪みと温度ストレスによって湾曲箇所に生じる金属層の亀裂53a、53b、53cを防ぐことができるようになり、ソーラーセル11の機能が保たれる。
【0072】
この様にして、本発明の構成によれば、ソーラーセル11の保護膜表面の全体に、樹脂製のフィルム31gを貼り付け、ソーラーセル11内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらしているので、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、ソーラーセル11の曲げ歪みに起因する上部電極の断線を極力防いた、信頼性の高いソーラーセル付き電子時計100を提供することができる。
【実施例2】
【0073】
次に、本発明のソーラーセル付き電子時計の第2の実施形態について、詳細に説明する。本発明の第2の実施形態は、ソーラーセルに対して、最も厳しい使用条件の角形文字板のソーラーセル付き電子時計への適用例である。
【0074】
角形文字板を用いた電子時計にあっては、文字板のコーナー部の曲率は円形文字板を用いたソーラーセル付き電子時計の比ではなく、特に、単セル構造のソーラーセルでは、積層形成された光電領域の上部電極がコーナー部で断線する確率が非常に高くなり、角形文字板を用いたソーラーセル付き電子時計の実用化は困難とされていた。
【0075】
以下、本発明のソーラーセル付き電子時計の第2の実施形態について、詳細に説明する。
図11は、本実施形態における角形文字板を用いたソーラーセル付き電子時計600の外観正面図である。図12は、ソーラーセル付き電子時計600の部分断面図である。図13は、ソーラーセル付き電子時計の分解斜視図である。
【0076】
図11、図12、図13において、600は角形文字板を用いたソーラーセル付き電子時計である。60は角形ソーラーセルブロック、11はソーラーセル、62は透光性の見
返し枠体、63は風防ガラス、64は指針、65は文字板、67はムーブメント、68はケースである。ここで、図12は、図11のC−C’の部分断面を示している。なお、ソーラーセル11は、図6〜図9に基づいて説明したソーラーセル11の構造と同じである。
【0077】
図11〜図13に示すように、本発明による角形文字板65を用いたソーラーセル付き電子時計600は、ケース68内に文字板65と指針64を載せたムーブメント67を収容し、ケース68上面を風防ガラス63で覆っている。そして、見返しリング62の外周、つまり、文字板65と風防ガラス63の間隙の文字板外周に角形のソーラーセルブロック60を配置している。このソーラーセルブロック60は、見返しリング62の外周に帯状のソーラーセル11を貼り付けてある。外部からの光は、実施例1で示した形態と同様に、風防ガラス63と見返しリング62を透過して、ソーラーセル11に到達し、光エネルギーを電気エネルギーに変換し、電子時計を駆動する。
【0078】
そして、上述の角形文字板のソーラーセル付き電子時計600は、矩形形状(図では四角形)の文字板仕様であるから、図11においては符号60jで示すコーナー部、および、図13においては符号61j、62j、63jで示すコーナー部を4隅に有する。
【0079】
従って、図12、図13に示すように、角形の見返し枠体62の外周に沿ってソーラーセル11を貼り付けると、ソーラーセル11は、図13に示したコーナー部61jで略直角に折れ曲がる。この結果、ソーラーセル11のコーナー部61jの金属層に亀裂や断線が生じ易く、角形文字板のソーラーセル付き電子時計の提供を難しくしていた。
【0080】
しかるに、前述のように本発明においては、樹脂製のフィルム31gを貼り付け、ソーラーセル11内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらすことで、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、ソーラーセル11の歪みと温度ストレスによって湾曲箇所に生じる金属層の亀裂を防ぐことができる。そのため、ソーラーセル11の機能が損なわれることは無く、信頼性の高い角形文字板のソーラーセル付き電子時計600を提供できるのである。
【0081】
ここで本発明に係るソーラーセル11を搭載したソーラーセル付き電子時計の優れた効果を、従来のソーラーセル81を搭載した同じ形態のソーラーセル付き電子時計と対比して、図面に基づいて説明する。
図14は、本実施例の角形文字板を用いたソーラーセル付き電子時計におけるソーラーセルの作用を説明するための図である。図14(a)は、従来のソーラーセルを備えた角形のソーラーセルブロック90の部分断面である。また、図14(b)は、本発明に係るソーラーセルを備えた角形のソーラーセルブロック60の部分断面である。いずれも、図11〜図13に示した角形文字板を用いたソーラーセル付き電子時計600に、ソーラーセルを搭載して、大きな曲げ応力による歪みと、温度ストレスが要因で上部電極に亀裂が生じたソーラーセルブロックの状態を示している。
【0082】
角形のソーラーセルブロックの部分断面である図14(a)において、90はソーラーセルブロックである。81は従来のソーラーセル、92は見返し枠体である。従来のソーラーセル81は、背景技術欄で説明した様に、透明基板91aの上に、透明な下部電極91b、光電変換層91c、上部電極91dを形成する金属層を積層構成し、最上層を保護膜91gで覆ってある。なお、78は亀裂である。
【0083】
この様に、図11および図13に示した様に、従来のソーラーセル81を見返し枠体92に沿って接着すると、ソーラーセル81は符号61jで示すコーナー部でほぼ直角に折り曲がることになる。この結果、ソーラーセル81の金属層からなる上部電極91dは、
上記温度ストレスに起因して、コーナー部61jにある上部電極91dに亀裂が出来て断線状態になる。したがって、上部電極91dに亀裂78が発生した従来のソーラーセル81では、ソーラーセル81で発生した所望の起電力を得ることができないことは、容易に理解できよう。
【0084】
一方、本発明に係るソーラーセル11を搭載したソーラーセル付き電子時計は、上述した不具合が生じることはない。その理由について以下に説明する。
本発明の角形ソーラーセルブロックの断面を示す図14(b)の様に構成すれば、樹脂製のフィルム31gを保護膜31fの表面に貼り付け、ソーラーセル11内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらしている。これにより、金属層に与える応力や温度ストレスを緩和し、このソーラーセル11の歪みと温度ストレスによって湾曲箇所に発生する金属層の亀裂73を防ぐことができるため、ソーラーセルの機能が保たれる。
【0085】
すなわち、従来のソーラーセル81を備えたソーラーセル付き電子時計は、ソーラーセル81の金属層からなる上部電極に亀裂が生じることでソーラーセル81の発電機能が消失してしまうが、本発明に係るソーラーセル11を備えたソーラーセル付き電子時計では、金属層に亀裂が生じることや上部電極が断線することを防ぐため、ソーラーセル11の機能は維持される。
【0086】
以上、本発明のソーラーセル付き電子時計の第1の実施形態で説明した、円形文字板のソーラーセル付き電子時計もさることながら、第2の実施形態で説明した、角形文字板の電子時計にあっては、文字板65のコーナー部60jの曲率は、円形文字板の電子時計の比ではない。この様な形態において、本発明の構成では、ソーラーセルの保護膜表面側から、ソーラーセル全体を樹脂製のフィルムで覆うことによって、ソーラーセル11内の湾曲の中心部の位置を上部電極である金属層近傍にずらし、湾曲による歪みや温度ストレスを緩和することで、ソーラーセル11の曲げ歪みに起因する上部電極の亀裂や断線を防ぎ、信頼性の高いソーラーセル付き電子時計600を提供できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のソーラーセル付き電子時計の構成例を示す部分断面図である。
【図2】本発明のソーラーセル付き電子時計の分解斜視図である。
【図3】本発明のソーラーセルブロックの斜視図である。
【図4】本発明に係るソーラーセルの平面図である。
【図5】本発明に係るソーラーセルと接続基板の部分平面図である。
【図6】本発明に係るソーラーセルの断面図である。
【図7】本発明に係るソーラーセルの製造工程を示す図である。
【図8】本発明に係るソーラーセルの取り出し電極の構成を示す断面図である。
【図9】図7の続きの製造工程を示す図である。
【図10】本発明のソーラーセル付き電子時計と従来のソーラーセル付き電子時計との特性を比較説明するための図である。
【図11】本発明のソーラーセル付き電子時計の他の構成例を示す外観正面図である。
【図12】本発明の他の構成例におけるソーラーセル付き電子時計の部分断面図である。
【図13】本発明の他の構成例におけるソーラーセル付き電子時計の分解斜視図である。
【図14】本発明のソーラーセル付き電子時計と従来のソーラーセル付き電子時計との特性を比較説明するための図である。
【図15】従来のソーラーセル付き電子時計の外観正面図である。
【図16】従来のソーラーセル付き電子時計の部分断面図である。
【図17】従来のソーラーセルの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
100 ソーラーセル付き電子時計
10、60 ソーラーセルブロック
11、11a ソーラーセル
12 見返しリング
13、63 風防ガラス
14、64 指針
15、65 文字板
17、67 ムーブメント
18、68 ケース
21a、24a、31a 透明基板
21b、24b 光電領域
21c、21d、24c、24d、41h、41i、42h、42i 取り出し電極
25 接続基板
25c、25d 接続電極
25e 位置決め穴
31a 透明基板
31b 下部電極
31c 光電変換層
31d アルミニウム層
31e チタン層
31f 保護膜
31g 樹脂製のフィルム
33、34 レジスト膜
42h’、42i’ 取り出し電極形成領域
53a、53b、53c、73 亀裂
600 ソーラーセル付き電子時計
62 見返し枠体
61j コーナー部
【出願人】 【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
【出願日】 平成19年2月20日(2007.2.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−203062(P2008−203062A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−38844(P2007−38844)