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【発明の名称】 時計用ステップモータのロータ
【発明者】 【氏名】養田 将一

【氏名】指田 栄吉

【要約】 【課題】ロータ磁石の回転方向の固定力が不安定である。

【構成】ロータカナ1aと径大部1bを有するロータ軸1と、ロータ軸1に装着されるリング状のロータ磁石2と、ロータ磁石2を保持するためにロータ軸1に装着したロータ座3とを有するロータで、ロータ座3がロータ磁石2と当接する側に平面部3bを有し、平面部3bの周縁にリング状の凸部3cを形成する。ロータ軸1にロータ磁石2を挿入し、凸部3cがロータ磁石2に当接して塑性変形するまでロータ座3押込むことにより、ロータ軸1の径大部1bとロータ座3でロータ磁石2を挟持・固着する。ロータ軸1の径大部1bは、ロータ磁石が当接する側の軸部の周囲に凹部1dを形成し、径大部1bの周縁部1eでロータ磁石2に当接するようにする。ロータカナと径大部は一体でも良い。ロータ座の凸部は平面部の周縁に点在して設けても良い。そうすることによりロータ磁石の回転方向の固定力が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径大部を有するロータ軸と、該ロータ軸に装着されるリング状のロータ磁石と、該ロータ磁石を保持するために前記ロータ軸に装着したロータ座とを有する時計用ステップモータのロータにおいて、
前記ロータ座が前記ロータ磁石と当接する側に凸部を有し、前記ロータ軸に前記ロータ磁石を挿入し、前記凸部が前記ロータ磁石に当接して塑性変形するまで前記ロータ座を押込むことにより、前記ロータ軸の前記径大部と前記ロータ座で前記ロータ磁石を挟持して固着したことを特徴とする時計用ステップモータのロータ。
【請求項2】
前記凸部は、リング状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の時計用ステップモータのロータ。
【請求項3】
前記凸部は、点在して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の時計用ステップモータのロータ。
【請求項4】
前記凸部は、前記ロータ磁石と当接する側の周縁に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の時計用ステップモータのロータ。
【請求項5】
前記凸部は、前記ロータ磁石と当接する側の平面部の周縁に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の時計用ステップモータのロータ。
【請求項6】
前記径大部は、前記ロータ磁石が当接する側の軸部の周囲に凹部を有し、前記ロータ磁石が前記径大部の周縁と当接するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の時計用ステップモータのロータ。
【請求項7】
前記径大部がカナ部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の時計用ステップモータのロータ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用ステップモータのロータに係わり、詳しくは、ロータ軸にロータ磁石を固着する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、時計用ステップモータのロータは、ロータ軸と、該ロータ軸に装着されるリング状のロータ磁石と、ロータ軸と径方向で係合すると共に、ロータ磁石をロータ軸の軸方向に保持する板状のロータ座で構成される時計用ステップモータのロータが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2005−249433号(第2〜3頁、図1〜図2) 図5〜図7は、上記した特許文献1に開示されている時計用ステップモータのロータを示す断面図である。図5において、11は、ロータカナ11aと両端にホゾ11bを有し回転軸を構成するロータ軸、12は、前記ロータ軸11に装着されるリング状のロータ磁石、13は、円板状のロータ座であり、該ロータ座13は前記ロータ軸11と径方向で係合する軸穴部13aと、ロータ軸11の軸方向でロータ磁石12と当接する側に、ロータ磁石12に当接して支持する支持部13bで構成されている。
【0003】
前記従来技術の時計用ステップモータのロータにおいて、ロータ軸11にロータ磁石12を挿入後、ロータ軸11にロータ座13の軸穴部13aを挿入する。この状態で、ロータ座13の軸穴部13aをロータ軸11の軸方向の押し込むことにより、ロータ軸11とロータ座13の支持部13bとは径嵌合によって係止され、これによりロータ磁石12はロータ軸11のロータカナ11aとロータ座13の支持部13bとにより挟持され、ロータ軸11上に固着される。しかしながら、前記ロータ軸11の軸径とロータ座13の軸穴部13aのそれぞれの径方向のバラツキ、ロータ軸11の軸方向の長さバラツキ、ロータ座13の厚さバラツキなどにより、ロータ軸11にロータ座13を押し込む際に、ロータ座13を押し込み過ぎると、ロータ磁石12に割れを生じたり、また、ロータ磁石12の割れを気にして押し込みが弱いと、ロータ磁石12は確実に固定されず固定力が不足する。という課題があった。
【0004】
そこで、上記課題を解決するための、他の従来技術として、図6、図7に示す時計用ステップモータのロータが提案された。図6において、上述した構成と異なるところは、ロータ座の形状で、該ロータ座14は、前記ロータ軸11と径方向で係合する軸穴部14aと、ロータ軸11の軸方向でロータ磁石12をリング状に支持する支持部14bと、前記軸穴14aと支持部14bとを接続するダイヤフラム部14cとから構成されている。
【0005】
図7に示すように、ロータ座14の軸穴部14aをロータ軸11の軸方向に押し込むことにより、ダイヤフラム部14cを塑性変形させる。この結果、ロータ軸11のカナ部11aとロータ座14の支持部14bと軸穴部14aとによってロータ磁石12は挟持され、ロータ軸11上に固着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、前記ロータ座14のダイヤフラム部14cが変形し、更に、ロータ座14を強く押すことにより、ダイヤフラム部14cが塑性変形するので、ロータ磁石12に当接する支持部14bの固定力が弱くなることである。また、従来の構造ではロータ座14の軸穴部14aとロータ軸11との接触面が少なく、ロータ磁石12の固定力が低下するなど問題があった。
【0007】
本発明は、上述した欠点を解消するもので、その目的は、ロータ軸にロータ磁石を確実に挟持・固着する固定力の強い時計用ステップモータのロータの構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明における時計用ステップモータのロータは、径大部を有するロータ軸と、該ロータ軸に装着されるリング状のロータ磁石と、該ロータ磁石を保持するために前記ロータ軸に装着したロータ座とを有する時計用ステップモータのロータにおいて、
前記ロータ座が前記ロータ磁石と当接する側に凸部を有し、前記ロータ軸に前記ロータ磁石を挿入し、前記凸部が前記ロータ磁石に当接して塑性変形するまで前記ロータ座を押込むことにより、前記ロータ軸の前記径大部と前記ロータ座で前記ロータ磁石を挟持して固着したことを特徴とするものである。
【0009】
また、前記凸部は、リング状に設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記凸部は、点在して設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記凸部は、前記ロータ磁石と当接する側の周縁に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記凸部は、前記ロータ磁石と当接する側の平面部の周縁に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記径大部は、前記ロータ磁石が当接する側の軸部の周囲に凹部を有し、前記ロータ磁石が前記径大部の周縁と当接するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、前記径大部がカナ部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の時計用ステップモータのロータにおいては、ロータ座がロータ磁石と当接する側に凸部が形成され、凸部がロータ磁石に当接して塑性変形するまでロータ座を押し込むことにより、ロータ軸及びロータ座の軸穴部のバラツキの影響による当接力の変化を、凸部の塑性変形量の多少で吸収することができると同時に、ロータ座がロータ軸と係合する接触面が充分に確保される。また、前記ロータ座が塑性変形している状態を目視で観察することにより、ロータ座がロータ磁石に対して確実に当接していることを確認できる。更に、ロータ軸の径大部には、ロータ磁石と当接する側の軸部の周囲に凹部が形成され、ロータ磁石は径大部の周縁と当接するので、ロータ磁石はロータ軸の径大部周縁とロータ座で挟持されて、ロータ磁石の回転方向の固定力が向上する。よって、ロータ磁石の割れの解消と同時に、ロータ磁石の固定力に優れた時計用ステップモータのロータを提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の時計用ステップモータのロータについて、図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0017】
図1〜図4は、本発明の一実施例に係り、図1は、時計用ステップモータのロータの要部切欠き断面図、図2(a)は、図1のA部の拡大断面図、図2(b)は、図1のB部の拡大断面図、図3は、図1のロータ座の部分断面図、図4は、図3のロータ座の斜視図であ
る。
【0018】
図1〜図4に基づき、本発明の実施例における時計用ステップモータのロータの構成について説明する。
【0019】
図1において、ロータ軸1は、ロータカナ1aと径大部1bを有し、両端にホゾ1cを備えている。ロータ磁石2は、前記ロータ軸1に装着されるリング状をした希土類磁石より構成されている。ロータ座3は、前記ロータ磁石2を保持するために前記ロータ軸1に装着されている。
【0020】
図3、図4において、前記ロータ座3は、前記ロータ軸1と軸方向で係合する軸穴部3aと、前記ロータ磁石2と当接する側に設けた平面部3bと、該平面部3bの周縁に形成されたリング状の凸部3cとからなっている。前記ロータ座3はロータ軸1と係合する軸穴部3aの接触面が充分に確保され、ロータ座3の剛性を確保することができる。本実施例では、凸部3cを平面部3bの周縁にリング状に形成したが、連続したリングを部分的に切り欠いて、平面部3bの周縁に凸部3cを複数個均等に点在させても良い。
【0021】
図1及び図2において、前記ロータ軸1の径大部1bは、ロータ磁石2が当接する側の軸部において、軸芯に向かって傾斜するように凹部1dを有し、該凹部1dによって前記ロータ磁石2が前記径大部1bの周縁部1eと当接するように構成されている。本実施例では、ロータカナ1aと径大部1bとを分離したが、径大部1bとロータカナ1aを一体に形成しても良い。
【0022】
以上述べた時計用ステップモータのロータを構成する部材の組立て方法について説明する。先ず、図1に示すように、ロータ軸1の径大部1bにロータ磁石2が当接するまで挿入した後、ロータ軸1にロータ座3の軸穴部3aを挿入し、ロータ座3のリング状の凸部3cがロータ磁石2に当接して塑性変形するまで押し込む。ロータ磁石2は、ロータ軸1の径大部1bとロータ座3に挟持され固着される。
【0023】
上記構成の時計用ステップモータのロータの作用・効果について説明する。前記ロータ座3のリング状をした凸部3cがロータ磁石2に当接して塑性変形するまでロータ座3を押し込むことにより、ロータ軸及びロータ座の軸孔部のバラツキの影響による当接力の変化を、凸部の塑性変形量の多少で吸収することができると同時に、ロータ座がロータ軸と係合する接触面が充分に確保される。また、ロータ座3の軸穴部3aの厚みを充分に確保できるので、ロータ座3の剛性が確保され、ロータ軸1と係合する接触面を充分に確保することができる。またロータ座3の凸部3cが塑性変形している状態を目視で観察することにより、ロータ座3がロータ磁石2に対して確実に当接していることを確認できる。更に、ロータ軸1の径大部1bがロータ磁石2と当接する側において、従来は、径大部1bの当接面で軸部周縁が盛り上がっていると、軸部周縁で当接することになり、ロータ磁石の回転方向の固定力を弱めていたが、本実施例の場合は、軸部の周囲に凹部1dが形成されていて、ロータ磁石2は径大部1bの周縁部1eで確実に当接するので、ロータ軸1の径大部1bとロータ座3でロータ磁石2の回転方向の固定力を向上させることができる。以上のようにロータ磁石2の割れの解消と同時に、ロータ磁石2の固定力が向上する優れた時計用ステップモータのロータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】時計用ステップモータのロータの要部切欠き断面図である。
【図2】図2(a)は、図1のA部の拡大断面図、図2(b)は、図1のB部の拡大断面図である。
【図3】図1のロータ座の部分断面図である。
【図4】図3のロータ座の斜視図である。
【図5】従来技術の時計用ステップモータのロータの断面図である。
【図6】他の従来技術の時計用ステップモータのロータのロータ軸にロータ磁石とロータ座を挿入した状態の断面図である。
【図7】図6の状態でロータ座を塑性変形させた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ロータ軸
1a ロータカナ
1b 径大部
1c ホゾ
1d 凹部
1e 周縁部
2 ロータ磁石
3 ロータ座
3a 軸穴部
3b 平面部
3c 凸部
【出願人】 【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−58220(P2008−58220A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−237475(P2006−237475)