トップ :: G 物理学 :: G04 時計

【発明の名称】 回転可能なケースを有する腕時計
【発明者】 【氏名】ジェローム シェバリエ

【氏名】ドミニク ルジエロ

【要約】 【課題】回転可能なケースとリストバンドとを有する腕時計を提供する。

【解決手段】リストバンドの各端部ストランドは、挿入部材30を有し、軸方向トラニオン32を介して、腕時計10のケース12に回転且つスライド可能に搭載される。挿入部材30は、2個の回転位置決め位置と2個の軸方向位置とを採り、回転位置決め位置は、ケース12の2つの位置に対応し、軸方向静止位置において、挿入部材30は、雌型要素38に適合した雄型要素36により回転が阻止される。雄型要素36は、ケース12に配置され、雌型要素38は、挿入部材30に配置され、軸方向位置の軸方向回転位置において、挿入部材30は、ケース12に対し軸方向外側に移動し、自由に回転する。各軸方向トラニオン32は、第1の第1位置決め要素48を有し、第1位置決め要素48は、ケース12に配置された第2位置決め要素64、66と共働し、挿入部材30を位置決めする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なケース(12)とリストバンド(14)とを有する腕時計(10)において、
前記ケース(12)は、時計ムーブメントを有し、
前記リストバンド(14)の各端部ストランド(26、28)は、挿入部材(30)を有し、
前記挿入部材(30)は、リストバンド(14)の方向(A1)に沿って軸方向トラニオン(32)を介して、前記ケース(12)に回転且つスライド可能に搭載され、
前記挿入部材(30)は、ケース(12)に対し、少なくとも2個の回転位置決め位置(P1、P2)と少なくとも2個の軸方向位置(Pr、Pp)とを採り、
前記回転位置決め位置(P1、P2)は、ケース(12)の使用の2つの位置に対応し、
前記少なくとも2個の軸方向位置の内の軸方向静止位置(Pr)においては、前記挿入部材(30)は、雌型要素(38)に適合した雄型要素(36)により、回転が阻止され、
前記雄型要素(36)は、前記ケース(12)に配置され、前記雌型要素(38)は、挿入部材(30)に配置され、
前記少なくとも2個の軸方向位置の内の軸方向回転位置(Pp)においては、前記挿入部材(30)は、ケース(12)に対し軸方向外側に移動し、前記挿入部材(30)は、ケース(12)に対し自由に回転し、
前記各軸方向トラニオン(32)は、第1の第1位置決め要素(48)を有し、
前記第1位置決め要素(48)は、ケース(12)に配置された第2位置決め要素(64、66)と共働し、前記挿入部材(30)を軸方向静止位置(Pr)と軸方向回転位置(Pp)に対し、位置決めする
ことを特徴とする腕時計。
【請求項2】
前記軸方向トラニオン(32)は、
(i) 固定部分(52)と、
(ii) 円筒状位置決め部分と
を有し、
前記固定部分(52)は、前記挿入部材(30)に固定され、
前記円筒状位置決め部分は、前記ケース(12)の内側を軸方向に伸びて、軸方向に移動する第1と第2のノッチ(56、58)を有し、
前記ノッチは、ケース(12)内に固定された少なくとも1個の弾性変形可能なストリップ(64、66)に入り込み、前記挿入部材(30)を軸方向静止位置(Pr)と軸方向回転位置(Pp)に位置決めする
ことを特徴とする請求項1記載の腕時計。
【請求項3】
前記ケース(12)は、弾性変形可能なプレート(60)を有し、
前記プレート(60)は、前記軸(A1)に直交する横方向面に伸びて、
前記プレート(60)は、前記ケース(12)に、横方向端部で固定され、
前記プレート(60)は、横方向スロット(62)を有し、
前記横方向スロット(62)は、第1と第2の変形可能なストリップ(64、66)を規定し、
前記ストリップ(64、66)の少なくとも一方は、挿入部材(30)が位置決め位置を占有した時に、2個のノッチ(56、58)の一方内に収納される
ことを特徴とする請求項1,2のいずれかに記載の腕時計。
【請求項4】
前記第1位置決め要素(48)は、軸方向位置(Pr、Pp)に対し、上部ノッチ(56、58)と下部ノッチ(56、58)とを有し、
前記ノッチは、半径方向反対側に配置され、前記挿入部材(30)が軸方向位置(Pr、Pp)を占有する時に、前記ストリップ(64、66)を収納する
ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の腕時計。
【請求項5】
前記プレート(60)は、前記ケース(12)の中間部品(16)の内側軸方向壁(18)に形成された内側溝(70)内に固定される
ことを特徴とする請求項3,4記載の腕時計。
【請求項6】
前記雄型要素(36)は、前記ケース(12)と一体に形成される
ことを特徴とする請求項1−5のいずれかに記載の腕時計。
【請求項7】
前記雄型要素(36)は、前記ケース(12)の外側周辺軸方向壁(20)に形成されたリブ(36)であり、
前記雌型要素(38)は、前記ケース(12)の対向側に配置される挿入部材(30)の湾曲内側面(34)に形成された溝(38)である
ことを特徴とする請求項1−6のいずれかに記載の腕時計。
【請求項8】
前記リブ(36)の断面は、矩形である
ことを特徴とする請求項1−7のいずれかに記載の腕時計。
【請求項9】
前記ケース(12)は、軸方向ガイド管(47)を有し、
前記軸方向ガイド管(47)の直径は、軸方向トラニオン(32)の外径に等しく、軸方向トラニオン(32)の軸方向のスライドをガイドする
ことを特徴とする請求項1−8のいずれかに記載の腕時計。
【請求項10】
前記軸方向トラニオン(32)は、円筒状ガイド部分(72)を有し、
前記円筒状ガイド部分(72)は、前記挿入部材(30)がどの軸方向位置(Pr、Pp)を占有するかに関わらず、少なくとも部分的に軸方向ガイド管(47)の内側に伸びる
ことを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の腕時計。
【請求項11】
前記軸方向トラニオン(32)は、シール用ガスケット(74)を有し、
前記シール用ガスケット(74)は、円筒状ガイド部分(72)と第1位置決め要素(48)の間に形成される環状周辺溝(76)内に搭載される
ことを特徴とする請求項1−10のいずれかに記載の腕時計。
【請求項12】
前記軸方向ガイド管(47)は、雄型要素(36)を貫通して伸びる
ことを特徴とする請求項9−11のいずれかに記載の腕時計。
【請求項13】
前記リストバンド(14)のストランド(26、28)は、前記挿入部材(30)に固定される2個のホーン(35、37)を有する
ことを特徴とする請求項1−12のいずれかに記載の腕時計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能なケースを有する腕時計に関する。
【0002】
本発明は、特に、回転可能なケースとリストバンドとを有する腕時計に関する。前記ケースは、時計ムーブメントを有し、前記リストバンドの各端部ストランドは、挿入部材を有し、前記挿入部材は、リストバンドの方向に沿って軸方向トラニオンを介して、前記ケースに回転且つスライド可能に搭載され、前記挿入部材は、ケースに対し、少なくとも2個の回転位置決め位置と少なくとも2個の軸方向位置とを採り、前記回転位置決め位置は、ケースの使用の2つの位置に対応する。前記少なくとも2個の軸方向位置の内の軸方向静止位置においては、前記挿入部材は、雌型要素に適合した雄型要素により、回転が阻止され、前記雄型要素は、前記ケースに配置され、前記雌型要素は、挿入部材に配置され、前記少なくとも2個の軸方向位置の内の軸方向回転位置においては、前記挿入部材は、ケースに対し軸方向外側に移動し、前記挿入部材は、ケースに対し自由に回転する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、この種の時計を開示する。同文献においては、雄型要素は、ケースのホーンに固定される円筒状ピンで形成される。一方、雌型要素は、挿入部材の内側面を形成する凹状円筒状溝から形成される。この挿入部材は、円筒状ピンにネジ部材で組み立てられる。このネジ部材は、円筒状ピンのネジ穴にねじ込まれて、リストバンドに対しケースの相対的回転を可能とするトラニオンを形成する。復帰スプリングが、ネジ部材のヘッドと挿入部材の外側表面との間に挿入されて、挿入部材をその静止位置の方向に引き寄せる。かくして、回転位置を通過するためには、軸方向の力をスプリングの復帰力に抗して外側にかけなければならない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,597,138号明細書
【0005】
上記の特許文献の静止位置ロックシステムは、完全には満足できるものではない。その理由は、このシステムは、スプリングの復帰力に頼っているからである。その結果、スプリングが十分な強さを有しない時には、ロックが不完全となる。この構成では、特に時計のユーザが腕を急激に動かした後、偶発的に回転する危険性がある。
【0006】
さらに、静止位置と回転位置とを正確には決定できない。その理由は、ケース方向を向いた静止位置は、円筒状ピンあるいはシースに当たる挿入部材によってのみ決まり、時計のケースの外側に向いた回転位置は、スプリングの全圧縮力によってのみ決まるからである。従って、ケースを回転しようとして、腕時計を操作するユーザは、部品の組み立てに不正確さ(がた)を感じる。この不正確さは、部品の摩耗により組み立て部品に遊びが生ずるにつれてさらに悪くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の欠点を解決する簡単且つ経済的な時計ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明は、前述した種類の腕時計を提案する。この腕時計においては、各軸方向トラニオンは、第1の第1位置決め要素を有し、前記第1位置決め要素は、ケースに配置された第2位置決め要素と共働し、前記挿入部材を軸方向静止位置と軸方向回転位置に対し、位置決めする。
【0009】
この特徴により、ケースをリストバンドに対し回転させる機能は、信頼性が更にあがる。さらに、ケースを回転する為に腕時計を操作する際、ユーザが感じる製造品質と組み立て品質が改善される。その理由は、挿入部材のケースに対する2つの軸方向位置が両方向とも正確に決定されるからである。
【0010】
本発明の好ましい実施例によれば、前記軸方向トラニオンは、(i)固定部分と、(ii)円筒状位置決め部分とを有し、前記固定部分は、前記挿入部材に固定され、前記円筒状位置決め部分は、前記ケースの内側を軸方向に伸びて、軸方向に移動する第1と第2のノッチを有し、前記ノッチは、ケース内に固定された少なくとも1個の弾性変形可能なストリップに入り込み、前記挿入部材を軸方向静止位置と軸方向回転位置に位置決めする。前記ケースは、弾性変形可能なプレートを有し、前記プレートは、前記軸に直交する横方向面に伸びて、前記プレートは、前記ケースに、横方向端部で固定され、前記プレートは、横方向スロットを有し、前記横方向スロットは、第1と第2の変形可能なストリップを規定し、前記ストリップの少なくとも一方は、挿入部材が位置決め位置を占有した時に、2個のノッチの一方内に収納される。この実施例のケースは、特にコンパクトで組み立てを簡単にする利点がある。さらに、ノッチは、ケースの使用位置に対応する回転位置を決定する機能を有する。
【0011】
好ましくは、前記第1位置決め要素は、軸方向位置に対し、上部ノッチと下部ノッチとを有し、前記ノッチは、半径方向反対側に配置され、前記挿入部材が軸方向位置を占有する時に、前記ストリップを収納する。より正確な位置決定は、トラニオンがその上部部品と下部部品に決定され、これにより組立体の遊び量(がた)を制限するからである。
【0012】
本発明の好ましい特徴によると、前記プレートは、前記ケースの中間部品の内側軸方向壁に形成された内側溝内に固定される。ケースを回転し位置決めするヒンジ機能の小型化が改善される。その理由は、ケース側では、すべての構成要素は、周辺の横方向壁の厚み方向に収納されるからである。
【0013】
本発明の別の特徴によると、前記雄型要素は、前記ケースと一体に形成される。この構成により、部品点数が減り、回転ブロックの品質を改善され、腕時計の製造が容易になる。
【0014】
好ましくは、前記雄型要素は、前記ケースの外側周辺軸方向壁に形成されたリブであり、前記雌型要素は、前記ケースの対向側に配置される挿入部材の湾曲内側面に形成された溝である。この構成により、小型化に悪影響を及ぼすことなく信頼性のあるロック(係合)が提供でき、さらに、ケースと挿入部材内に埋め込まれる適合要素を一体化できる。
【0015】
好ましくは、前記ケースは、軸方向ガイド管を有し、前記軸方向ガイド管の直径は、軸方向トラニオンの外径に等しく、軸方向トラニオンの軸方向のスライドをガイドする。さらに、前記軸方向トラニオンは、円筒状ガイド部分を有し、前記円筒状ガイド部分は、前記挿入部材がどの軸方向位置を占有するかに関わらず、少なくとも部分的に軸方向ガイド管の内側に伸びる。これらの特徴により、腕時計の構成要素の組み立て品質とケースを回転させるヒンジ装置の信頼性を改善できる。好ましくは、前記軸方向トラニオンは、シール用ガスケットを有し、前記シール用ガスケットは、円筒状ガイド部分と第1位置決め要素の間に形成される環状周辺溝内に搭載される。
【0016】
好ましくは、前記軸方向ガイド管は、雄型要素を貫通して伸びる。これにより、ケース上の同一の場所に複数の機能を分けることにより、ヒンジ装置の小型化をさらに促す。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、前記リストバンドのストランドは、前記挿入部材に固定される2個のホーンを有する。これにより、従来の外観を有する時計を提供でき、ヒンジ装置を隠すことができる。
【実施例】
【0018】
以下の説明において、垂直方向をV、長手方向をL、横方向をTと定義する。
【0019】
図1−6は、本発明の回転可能なケース12を有する腕時計10を表す。ケース12は、少なくとも1個の時計ムーブメント(図示せず)と関連する表示手段(図示せず)とを有する。ケース12は、リストバンド14に対し軸方向回転軸A1を中心に回転可能である。この長手方向Lが、リストバンド14の方向に対応する。
【0020】
以下の説明において、構成要素は、ケース12に対する方向によって、内側と外側に分けられる。
【0021】
図に示すように、ケース12は、垂直軸A2を有する全体的に円筒形状をした中間部品16から形成される。この中間部品16は、内側軸方向壁18と外側周辺軸方向壁20とを有する。中間部品16は、軸方向端(図1の上部)で、腕時計10の表側F1の第1カバー22で閉鎖され、他の軸方向端部(図1の下側)で、腕時計10の裏側F2の第2カバー24で閉鎖される。
【0022】
各カバー22、24は、例えば透明な保護ガラスの形態で形成され、時計の装着者はケース12内を、特に表示手段により表示された時刻等を見ることができる。カバー22、24の一方は、他方とは異なった材料で製造すること、特に金属製のバックカバーで形成することもできる。
【0023】
リストバンド14は、ケース12に端部ストランド26、28で固定される。この端部ストランド26、28は、回転軸A1に沿ってケース12の軸A2の両側に配置される。端部ストランド26、28は、挿入部材30を有する。この挿入部材30は、ケース12に、回転可能且つスライド可能に軸方向トラニオン32により搭載される。リストバンド14は、例えば挿入部材30に固定(例えば接着)されたレザー製あるいはゴム製のストラップの形態、又は挿入部材30にヒンジで係合された金属製リンクのチェーンの形態である。
【0024】
図に示した実施例によれば、各挿入部材30は、ケース12の側に、湾曲した内側面34を有する平行なパイプ形状をしている。この湾曲内側面34は、ケース12の対向して配置された凸型の外側周辺軸方向壁20に適合する。
【0025】
図面を単純化しその理解を容易にするために、図2−7は、ケース12の中間部品16と挿入部材30を1個のみを示し、リストバンド14を描いていない。
【0026】
リストバンド14の各端部ストランド26、28は、2個のホーン35、37を有する。これらは挿入部材30に固定され、従来の時計の外観を呈する。
【0027】
各挿入部材30は、その回転軸A1の周囲に、ケース12に対する2個の位置決定された回転位置を有する。この回転位置は、ケース12の使用時の2つの位置に対応する。すなわち、表側F1が上方向を向いた通常位置P1と、裏側F2が上方向を向いた反転位置P2である(図1)。
【0028】
各挿入部材30は、その回転軸A1に沿って、軸方向静止位置Prと軸方向回転位置Ppとを有する。この軸方向静止位置Pr(図3,4)では、挿入部材30は雌型要素38の内側に嵌る雄型要素36により回転が阻止される。この軸方向回転位置Pp(図5,6)においては、挿入部材30は、ケース12に対し軸方向に移動し、挿入部材30は、ケース12に対し自由に回転する。
【0029】
この実施例によれば、雄型要素36は、ケース12と一体に形成され、ケース12の外側周辺軸方向壁20に配置された軸方向断面が矩形のリブ36の形態を採る。このリブ36は、ケース12の外側周辺軸方向壁20の湾曲の半径に沿って付加された厚いストリップを形成する。雌型要素38は、挿入部材30の湾曲内側面34に形成される溝38の形態を採り、この溝38内に、リブ36が嵌る。
【0030】
図1、3、4に示す静止位置Prにおいて、溝38の上部横方向エッジ40は、リブ36の上部横方向面42に隣接し、溝38の下部横方向エッジ44は、リブ36の下部横方向面46に隣接する。これにより、挿入部材30のケース12に対する回転を阻止する。
【0031】
図5−7に示す回転位置Ppにおいては、挿入部材30は、外側方向に軸方向に移動し、雄型要素であるリブ36は雌型要素である溝38から離れ、これにより、挿入部材30のケース12に対する回転が可能となる。
【0032】
軸方向トラニオン32は、リブ36を貫通して軸方向ガイド管47内に入る。軸方向ガイド管47は、一方の側で中間部品16の内側軸方向壁18内に、他方の側でリブ36の外部横方向面49内に、カラー51を介して、開口している。
【0033】
本発明によれば、各軸方向トラニオン32は、第1位置決め要素48を有する。この第1位置決め要素48は、ケース12に配置された第2位置決め要素50と共働して、挿入部材30を、静止位置Prと回転位置Ppに位置決めする。
【0034】
次に、挿入部材30が静止位置Pr(図3,4)にある場合、トラニオン32について説明する。
【0035】
本発明の一実施例によれば、トラニオン32は、その外側端部に、挿入部材30に固定される固定部分52を有する。固定部分52は、軸方向のネジ切りピンで形成される。この固定部分であるネジ部52は、挿入部材30に形成されたネジ穴54にねじ込まれる。トラニオン32は、その内側端部に、円筒状の第1位置決め要素48を有する。この第1位置決め要素48は、ケース12の内側を軸方向に伸びる。第1位置決め要素48は、2個の内側横方向ノッチ56と2個の外側横方向ノッチ58とを有する。この内側横方向ノッチ56は、回転軸A1に対し垂直方向に平行且つ直径方向に反対側に形成される。外側横方向ノッチ58は、回転軸A1に対し垂直方向に平行且つ直径方向に反対側に形成される。内側横方向ノッチ56は、外側横方向ノッチ58に対し軸方向にずれている。
【0036】
弾性変形可能なプレート60が、ケース12の内側の中間部品16に固定される。このプレート60は、軸方向A1に直交する横方向面に伸びる。プレート60は、横方向スロット62を有し、このスロット62で、上部ストリップ64と下部ストリップ66とが規定される。スロット62は、挿入部材30が静止位置Prと回転位置Ppを占有した時に、第1位置決め要素48のノッチ58、56にそれぞれ嵌る。ストリップ64、66は、ケース12の第2位置決め要素50を形成する。静止位置Prにおいて(図3,4)は、ストリップ64、66は外側横方向ノッチ58に係合し、回転位置Ppにおいて(図5,6)は、ストリップ64、66は内側横方向ノッチ56に係合する。ストリップ64、66は、横方向スロット62の側に横軸エッジ65、67を有する。この横軸エッジ65、67は、静止位置Prと回転位置Ppにある時に、ノッチ58、56の平坦な底部に当たる。
【0037】
横方向スロット62は、トラニオン32の第1位置決め要素48が静止位置Prと回転位置Ppの間で軸方向にスライドする時に、拡がる。プレート60は、弾性変形し、上部ストリップ64と下部ストリップ66が互いに離れることができる。
【0038】
プレート60は、ケース12に、横方向端部で、この実施例では2個の固定用ネジ部材68により固定される。プレート60は、内側溝70の底部に固定される。この内側溝70は、中間部品16の内側軸方向壁18内に形成され、プレート60用のハウジングを形成する。
【0039】
トラニオン32は、円筒状ガイド部分72を有する。この円筒状ガイド部分72は、少なくとも部分的に軸方向ガイド管47内を、挿入部材30がどの位置を占めようとも、伸びて、第1位置決め要素48と固定部分52との間に挿入される。さらにまた、トラニオン32は、Oリングであるシール用ガスケット74を有する。このシール用ガスケット74は、環状周辺溝76内に搭載される。この環状周辺溝76は、軸方向で第1位置決め要素48と円筒状ガイド部分72との間に形成される。
【0040】
第1位置決め要素48の外径と円筒状ガイド部分72の外径は、軸方向ガイド管47の内径にほぼ等しく、これによりトラニオン32が軸方向にスライドするのをガイドする。
【0041】
ここに示した実施例によれば、停止ネジ部材78は、トラニオン32の内側軸方向端部にねじ込まれる。停止ネジ部材78のヘッドの外側面80は、内側横方向ノッチ56の一方の側を規定する。停止ネジ部材78のヘッドの外径は、トラニオン32の外径よりも大きい。そのため、停止ネジ部材78は、トラニオン32が回転位置Ppを超えて外側に軸方向に移動するのを阻止する。
【0042】
次に、本発明の腕時計10の動作方法を述べる。図1、3、4に示す静止位置Prから、ユーザは、ケース12を持ちながら、挿入部材30を軸方向に引いて、トラニオン32をその軸方向ガイド管47内にスライドさせる。トラニオン32がストリップ64、66に掛ける軸方向の力により、ストリップ64、66は、弾性変形して拡がり、その後内側横方向ノッチ56に係合して初期位置に戻る(縮まる)。これは、図5、6の回転位置Ppに対応する。
【0043】
第1位置決め要素48のノッチ56、58は、ノッチ56、58の反対側に傾斜壁82、84を有する。この傾斜壁82、84は、ストリップ64、66の変形を容易にするような制御表面を形成する。
【0044】
回転位置Ppにおいて、溝38はリブ36から解放され、挿入部材30は回転がブロックされず、これにより、ユーザは回転軸A1の周囲にケース12を、半回転(通常位置P1から反転位置P2に)させ、ケース12の2つの面F1、F2を逆にし、裏側F2を上側に向ける。回転時、ストリップ64、66は、スロット62が内側横方向ノッチ56を出る時に、弾性変形し、最大変形は1/4回転時である。その後それらは、内側横方向ノッチ56内に再び係合して、初期状態に戻る。通常位置P1と反転位置P2の間の中間回転位置を図7に示す。
【0045】
半回転すると、ユーザは、挿入部材30をケース12に当てて押し戻し、トラニオン32を軸方向内側に軸方向ガイド管47内にスライドさせる。これは、ストリップ64、66が、外側横方向ノッチ58内に入り、リブ36が溝38に係合して、挿入部材30の静止位置Prになるまで、行われる。
【0046】
回転は両方向に可能で、反転位置P2から通常位置P1への回転(移動)も前述したのと同様に行われる。
【0047】
トラニオン32の第1位置決め要素48とプレート60に起因する軸方向の位置決めは、溝38内のリブ36に入り込んだ適合に起因して得られる回転停止とは独立している。かくして、ケース12と挿入部材30の操作が単純化され、挿入部材30のケース12に対する相対移動がより正確且つ信頼性高くなる。その理由は、これらは、第1位置決め要素48とプレート60との共働により限定されるからである。
【0048】
軸方向の位置決めに加えて、第1位置決め要素48とプレート60との共働は、回転位置決めを提供する。挿入部材30のケース12に対する相対回転の間、通常位置P1と反転位置P2の一方からの中間回転位置の通過は、図7に示すように、ユーザにより知覚される。その理由は、ストリップ64、66の弾性変形により、トラニオン32と挿入部材30を安定した回転位置、すなわち通常位置P1の方向あるいは反転位置P2の方向に戻す傾向にあるからである。
【0049】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の回転可能なケースを有する腕時計の側面図。
【図2】図1の腕時計に適合する回転装置と決定装置を表す展開斜視図。
【図3】腕時計のケースと静止位置にある挿入部材を表す上面図。
【図4】回転装置と決定装置が静止位置にある、図3の線4−4に沿った軸方向部分断面図。
【図5】腕時計のケースと回転位置にある挿入部材を表す上面図。
【図6】回転装置と決定装置が回転位置にある、図5の線6−6に沿った軸方向部分断面図。
【図7】挿入部材が腕時計のケースに対し回転している中間位置にある挿入部材の斜視図。
【符号の説明】
【0051】
10 腕時計
12 ケース
14 リストバンド
16 中間部品
18 内側軸方向壁
20 外側周辺軸方向壁
22,24 カバー
22 第1カバー
24 第2カバー
26,28 端部ストランド
30 挿入部材
32 軸方向トラニオン
34 湾曲内側面
35,37 ホーン
36 リブ/リブ
38 溝/溝
40 上部横方向エッジ
42 上部横方向面
44 下部横方向エッジ
46 下部横方向面
47 軸方向ガイド管
48 第1位置決め要素
49 外部横方向面
50 第2位置決め要素
51 カラー
52 固定部分
54 ネジ穴
56 内側横方向ノッチ
57 横軸エッジ
58 外側横方向ノッチ
56,58 ノッチ
60 プレート
62 横方向スロット
64 上部ストリップ
66 下部ストリップ
64,66 ストリップ
65 横軸エッジ
68 固定ネジ部材
70 内側溝
72 円筒状ガイド部分
74 シール用ガスケット
76 環状周辺溝
78 停止ネジ部材
80 外側面
82,84 傾斜壁
A1 回転軸
P1 通常位置
P2 反転位置
F1 表側
F2 裏側
Pr 静止位置
Pp 回転位置
【出願人】 【識別番号】505264107
【氏名又は名称】モントレ ブレゲ エスエー
【出願日】 平成19年9月14日(2007.9.14)
【代理人】 【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文


【公開番号】 特開2008−76392(P2008−76392A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2007−239212(P2007−239212)