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【発明の名称】 振り子装置
【発明者】 【氏名】村田 俊之

【要約】 【課題】より合理的に構成された振り子装置を得ること。

【構成】振り子100と、支持体200と、振り子駆動手段300とを備えた振り子装置において、振り子は、支持体に支持される第1振り子部材110と、第1振り子部材の下部に連結される第2振り子部材120とを備え、第1振り子部材及び第2振り子部材の一方にはフック部122を設けるとともに、それらの他方にはフック部を係止する係止部114を設け、更に、第1振り子部材には第2振り子部材を挟む一対の突片115を設け、一対の突片は、第2振り子部材を振り子の揺動方向に挟むものとし、第2振り子部材は、一対の突片の間に圧入するものとし、一対の突片が弾性変形して第2振り子部材に圧接することにより、第1振り子部材に対する第2振り子部材の位置が振り子の揺動方向に移動しないようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振り子と、前記振り子を揺動可能に支持した支持体と、前記振り子を揺動する振り子駆動手段とを備えた振り子装置において、
前記振り子は、前記支持体に支持される第1振り子部材と、前記第1振り子部材の下部に連結される第2振り子部材とを備え、
前記第1振り子部材及び前記第2振り子部材の一方にはフック部を設けるとともに、それらの他方には前記フック部を係止する係止部を設け、
更に、前記第1振り子部材には前記第2振り子部材を挟む一対の突片を設け、
前記一対の突片は、前記第2振り子部材を前記振り子の揺動方向に挟むものとし、
前記第2振り子部材は、前記一対の突片の間に圧入するものとし、
前記一対の突片が弾性変形して前記第2振り子部材に圧接することにより、前記第1振り子部材に対する前記第2振り子部材の位置が前記振り子の揺動方向に移動しないようにしたことを特徴とする振り子装置。
【請求項2】
前記第2振り子部材の質量をmとし、前記フック部と前記係止部との当接部から前記第2振り子部材の重心までの距離をrとし、前記第2振り子に対する前記突片の荷重によるモーメントをMとするとき、これらは、mr<M
の関係にあることを特徴とする請求項1記載の振り子装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、時計の装飾等に利用される振り子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壁掛け時計や置き時計としては、装飾用の振り子装置を備えたものが知られている。振り子装置は、磁石を設けた振り子を支持体に支持するとともに、磁石に作用する振り子駆動手段を振り子の外部に配置して構成されている。この種の振り子装置は、特許文献1にも開示されている。特許文献1に開示された振り子装置は、複数の部材を組付けてなる振り子を用いてなるものであり、組付け部材の上下位置を反転させることにより、周期の設定の自由度を高めることができるものとなっている。
【特許文献1】特開2005−140543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて近年、時計のデザインはますます多様化される傾向にあり、前述した振り子装置についても、装飾性に優れるとともに、より安定した駆動を得られるものが望まれている。この点、前述したように複数の部材を組付けてなる振り子の場合は、各部材間の微妙なガタツキが振り子の揺動に乱れをもたらす原因となることがある。例えば、駆動中に何らかの衝撃により位置ずれを生じると、それが原因で駆動が停止してしまう可能性もある。特に、振り子の揺動周期は、振り子の支点と重心との距離によって異なるが、このような不都合は、揺動周期が比較的長いもの(ゆっくり揺れるもの)において顕著となる。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より合理的に構成された振り子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願第1請求項に記載した発明は、振り子と、前記振り子を揺動可能に支持した支持体と、前記振り子を揺動する振り子駆動手段とを備えた振り子装置において、前記振り子は、前記支持体に支持される第1振り子部材と、前記第1振り子部材の下部に連結される第2振り子部材とを備え、前記第1振り子部材及び前記第2振り子部材の一方にはフック部を設けるとともに、それらの他方には前記フック部を係止する係止部を設け、更に、前記第1振り子部材には前記第2振り子部材を挟む一対の突片を設け、前記一対の突片は、前記第2振り子部材を前記振り子の揺動方向に挟むものとし、前記第2振り子部材は、前記一対の突片の間に圧入するものとし、前記一対の突片が弾性変形して前記第2振り子部材に圧接することにより、前記第1振り子部材に対する前記第2振り子部材の位置が前記振り子の揺動方向に移動しないようにした構成の振り子装置である。
【0005】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、前記第2振り子部材の質量をmとし、前記フック部と前記係止部との当接部から前記第2振り子部材の重心までの距離をrとし、前記第2振り子に対する前記突片の荷重によるモーメントをMとするとき、これらは、mr<M
の関係にある構成の振り子装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より合理的に構成された振り子装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1乃至図5に示す振り子装置1は、時計の筐体内部に組み込まれ、その時計を装飾するものである。この振り子装置1は、振り子100と、振り子100を揺動可能に支持したプレート状の支持体200と、振り子を揺動する振り子駆動手段300とを備えている。時計の筐体に対しては、支持体200を装着するする構成となっている。また、支持体200には、時計の指針を駆動するムーブメント400が設けられている。
【0008】
振り子100は、支持体に設けられたナイフエッジ状の軸部210に支持されて、この軸部210を中心に揺動する。振り子駆動手段300は、磁気的作用にて振り子100を揺動するものであり、支持体200の要所に設けられている。具体的には、振り子100に設けられた磁石111がその近傍を通過する際に検出コイルに誘起電圧を発生し、検出コイルに誘起電圧が発生すると駆動コイルに電流が流れ、駆動コイルが磁石111を反発することにより振り子100を加勢する構成となっている。
【0009】
この振り子100は、支持体200に支持される第1振り子部材110と、第1振り子部材110の下部に連結される第2振り子部材120とを組付けてなるものである。第1振り子部材110及び第2振り子部材120は、金型成形された合成樹脂製の部材からなるものである。第1振り子部材110には、前述した磁石111と、軸部210を挿通する孔部112と、所定の重量の重り113が設けられている。第2振り子部材120には、振り玉121が設けられている。
【0010】
次に、第1振り子部材110と第2振り子部材120とを連結する機構について説明する。本例の場合、第1振り子部材110及び第2振り子部材120の一方にはフック部122を設けるとともに、それらの他方にはフック部122を係止する係止部114を設けている。図例の振り子100は、フック部122を第2振り子部材120の上部に設け、係止部114を第1振り子部材110の下部に設けたものである。係止部114には、フック部122の幅に対応する径を上から下に向って減少するテーパーが設けられており、フック部122は、テーパーに導かれて所定の位置に係止される構成となっている。尚、フック部122を第1振り子部材110の下部に設け、係止部114を第2振り子部材120の上部に設けることも可能である。第2振り子部材120は、フック部122を係止部114に係止することにより、第1振り子部材110に吊り下げられた状態となる。
【0011】
更に本例の場合、第1振り子部材110には、第2振り子部材120を挟む一対の突片115が設けられている。一対の突片115は、第2振り子部材120の上部近傍を振り子100の揺動方向に挟むものとなっている。第2振り子部材120は、フック部122を係止部114に係止するとともに、一対の突片115の間に圧入するものとなっている。かかる一対の突片115は、第1振り子部材110の金型成形において一体成形された部位であり、弾性変形して第2振り子部材に圧接する。
【0012】
このように、一対の突片115が弾性変形して第2振り子部材120に圧接するので、第1振り子部材110に対する第2振り子部材120の位置が振り子100の揺動方向に移動することはない。従って、振り子100の揺動が確実に安定化するという顕著な効果を達成することができる。
【0013】
また、本例においては、第2振り子部材120の質量をmとし、フック部122と係止部114との当接部から第2振り子部材120の重心までの距離をrとし、第2振り子に対する突片115の荷重によるモーメントをMとするとき、これらは、mr<M
の関係が成り立つように設定している。mrは、すなわち第1振り子部材110に対する第2振り子部材120のモーメントである。第2振り子部材120がグラグラと動かないように固定するには、突片115の荷重によるモーメントMが第2振り子部材120のモーメントよりも大きいことが望ましく、mr<M
の関係によれば、第1振り子部材110に対し第2振り子部材120が堅固に固定され、振り子100の揺動が一層安定化する訳である。
【0014】
以上説明したように、本例の振り子装置は、振り子の揺動が確実に安定化するという顕著な効果を達成してなるものであり、時計を装飾するものとして好適に利用することができる。また、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の振り子装置は、置き時計や壁掛け時計を装飾するものとして好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係り、振り子装置を示す透視正面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、振り子装置を示す透視側面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、振り子を示す透視正面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、振り子を示す透視側面図である。
【図5】本発明の実施例に係り、(a)は振り子の要部を示す透視正面図であり、(b)は振り子の要部を示す透視側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 振り子装置
100 振り子
110 第1振り子部材
111 磁石
112 孔部
113 重り
114 係止部
115 突片
120 第2振り子部材
121 振り玉
122 フック部
200 支持体
210 軸部
300 振り子駆動手段
400 ムーブメント
【出願人】 【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム時計工業株式会社
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100082784
【弁理士】
【氏名又は名称】森 正澄


【公開番号】 特開2008−64511(P2008−64511A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−240660(P2006−240660)