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【発明の名称】 時計
【発明者】 【氏名】平沼 春樹

【氏名】小庄司 秀昭

【要約】 【課題】ガラスが固定された縁部材と胴の間のパッキンの交換性及び縁部材へのガラスの固定手段の選択性を損なわずに、縁部材の細縁化を促進できる時計を提供する。

【構成】文字板16付き時計ムーブメント14が内蔵された外装ケース21の胴22に、胴内側に突出して嵌合孔24を形成する内周凸部23を設ける。胴22の表側に重ねられかつガラス32が固定された環状の縁部材35に、嵌合孔24に嵌合される筒状の嵌合部36と、文字板16の周部表面を覆う文字板カバー部位37を設ける。弾性材料製の環状シールパッキン26を、嵌合孔24より外側において縁部材35と胴22との間に挟持する。複数のねじ穴38を内周凸部23と嵌合部36にわたって形成し、シールパッキン26の裏側への投影領域に各ねじ穴38の夫々の一部が含まれるようにする。ねじ軸状の結合部材39を、各ねじ穴38の夫々に内周凸部23及び嵌合部36の裏側から取外し可能にねじ込んで、胴22に縁部材35を保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴内側に突出するとともに周方向に連続して嵌合孔を形成した内周凸部を有する胴を備え、かつ、文字板付きの時計ムーブメントが内蔵された外装ケースと、
前記嵌合孔に嵌合された筒状の嵌合部、及びこの嵌合部より胴内側に前記文字板の周部表面を覆った文字板カバー部位を有して、前記胴の表側に重ねられ、かつ、ガラスが固定された環状の縁部材と、
前記嵌合孔より外側に設けられて前記縁部材と前記胴との間に挟持された弾性材料からなる環状のシールパッキンと、
このパッキンの裏側に位置して前記内周凸部と嵌合部にわたって形成された複数のねじ穴であって、これらねじ穴の夫々の一部が前記裏側への前記シールパッキンの投影領域に含まれた前記ねじ穴と、
これらねじ穴の夫々に前記内周凸部及び嵌合部の裏側から取外し可能にねじ込まれて前記縁部材を前記胴に保持するねじ軸状の結合部材と、
を具備した時計。
【請求項2】
前記シールパッキンの内周面を前記嵌合部の外周面に接するように設けるとともに、前記ねじ穴の内で前記内周凸部に形成された半分のねじ穴部分を前記裏側への前記シールパッキンの投影領域に含ませた請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記縁部材が接する胴の表面と前記内周凸部の内周面とにわたって開放するパッキン収容溝を前記胴に形成し、この収容溝に前記シールパッキンを取付けた請求項2に記載の時計。
【請求項4】
時計の厚み方向に沿う前記嵌合部の長さが時計の厚み方向に沿う前記内周凸部の長さより短く、前記結合部材に前記内周凸部の裏面に接する頭部を設けた請求項1から3の内のいずれか一項に記載の時計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば腕時計のような携帯時計等に係り、特に、ガラスが取付けられた縁部材を胴の表側に保持させる構造を改善した時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスが取付けられた環形の縁部材の幅、つまり、縁部材の内径と外径との寸法差に相当する寸法を小さくする(これを縁部材の細縁化と称する。)ために、時計ムーブメントを収納する胴に挿入されてガラス縁(縁部材)にねじ込まれることにより、胴にガラス縁を固定するねじを、胴とガラス縁との間の防水を確保してこれらの間に設けられたパッキンより内側に配置するという技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来技術を図7に示す。図7中符号1は胴1aと裏蓋部1bとが一体に成形されたワンピース構造の外装ケース、符号2は中枠3に保持されて外装ケース1に収容された時計ムーブメントを夫々示している。時計ムーブメント2には文字板4及び時計針5が取付けられている。図7中符号6はガラス7が固定されたガラス縁、符号8はパッキン、符号9はねじを夫々示している。又、図7中符号6aはガラス縁6の裏側に一体に形成されるとともに胴1aにその表面側から嵌合された雌ねじ部を示し、この雌ねじ部6aにねじ9が裏側からねじ込まれている。更に、図7中符号6bはガラス縁6の内周部をなして形成された文字板カバー部位を示している。
【0004】
この従来技術は、ねじ9で胴1aとガラス縁6とを連結してこれらの間にパッキン8を挟持したので、パッキン8の交換が適宜可能である。それだけではなく、ねじ9の締め付けに伴う応力でガラス縁6のガラス固定部6cが変形する恐れがない。このため、ガラス7のガラス縁6への固定を、接着剤を用いて行っても、或いは弾性変形による締め代を有する取付けリングをガラス固定部6cの内周に配置して、このリングの内側にガラス7を圧入して固定することも可能であり、ガラス7を固定する選択肢が増える点で好ましい。
【特許文献1】特開2002−189084号公報(段落0008−0010,0013−0019、図1−図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ガラス縁6に設けた雌ねじ部6aにねじ9が螺合される構成であるので、この雌ねじ部6aはねじ穴6dを有している。このねじ穴6dを確保するためには、ねじ穴6dをある程度以上の厚みを持って囲む部位によって、雌ねじ部6dを形成する必要がある。このような雌ねじ部6dをガラス縁6が備えているので、このガラス縁6の細縁化は十分ではなく、更なる改善の余地がある。
【0006】
具体的には、図7に示したガラス縁6の幅T1、つまり、ガラス縁6の内径及び文字板4の見切り寸法Eを規定する文字板カバー部位6bからガラス縁6の外径までの寸法T1は、ガラス縁6の各部位の半径方向に沿う寸法A〜D及びZを合計した値で示される。
【0007】
寸法Aは文字板カバー部位6bの寸法、寸法Bは雄ねじ部6aの内周からねじ穴6dの中心線までの部位の寸法、寸法Cはパッキン8に接した部位の寸法、寸法Dはパッキン8の外周からガラス縁6の外周までの部位の寸法、寸法Zはパッキン8の内周からねじ穴6dの中心線までの部位の寸法であって、この寸法Zによりねじ9の配置をパッキン8の内側にずらしている。
【0008】
このような寸法A〜D及びZの合計により形成されガラス縁6の幅T1は、ねじ9がパッキン8の外側に配置された構成に比較して小さい。しかし、パッキン8の内側にねじ9を配置するための寸法Zを必要としているので、ガラス縁6の幅T1をより小さくして細縁化するには適していない。
【0009】
本発明の目的は、ガラスが固定された縁部材と胴との間のパッキンの交換性及び縁部材に対するガラスの固定手段の選択性を損なわずに、縁部材の細縁化を促進できる時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、胴内側に突出するとともに周方向に連続して嵌合孔を形成した内周凸部を有する胴を備え、かつ、文字板付きの時計ムーブメントが内蔵された外装ケースと、前記嵌合孔に嵌合された筒状の嵌合部、及びこの嵌合部より胴内側に前記文字板の周部表面を覆った文字板カバー部位を有して、前記胴の表側に重ねられ、かつ、ガラスが固定された環状の縁部材と、前記嵌合孔より外側に設けられて前記縁部材と前記胴との間に挟持された弾性材料からなる環状のシールパッキンと、このパッキンの裏側に位置して前記内周凸部と嵌合部にわたって形成されるとともに前記裏側への前記シールパッキンの投影領域に一部が含まれる複数のねじ穴と、これらねじ穴の夫々に前記内周凸部及び嵌合部の裏側から取外し可能にねじ込まれて前記縁部材を前記胴に保持するねじ軸状の結合部材と、を具備している。
【0011】
本発明は、腕時計や懐中時計等の携帯時計、及び置き時計や壁掛け時計等に適用できる。本発明で、外装ケースは、厚み方向(表裏方向)両面が開口された胴と、この胴の裏面開口を閉じて胴に着脱可能に取付けられた裏蓋を備えたもの、又は、胴と裏蓋が一体に形成されて正面側のみが開口されたワンピース構造のものであってもよい。本発明で、シールパッキンは、胴又は縁部材のいずれか一方にパッキン収容溝を形成して、この溝に収容して胴と縁部材間に配置できる。本発明で、シールパッキンの裏側とは、シールパッキンを基準にして外装ケースの裏蓋が位置する側を指しており、シールパッキンの投影領域とは、時計を正面側(表側)から見てシールパッキンが投影される領域を指している。
【0012】
本発明では、ねじ軸状の結合部材を、胴の内周凸部と縁部材の嵌合部とにわたって設けたねじ穴に、胴と縁部材との裏側からねじ込んで、胴と縁部材とを結合したので、結合部材の一部がシールパッキンの裏側への投影領域に含まれる配置に結合部材を設けることができる。これにより、ねじ穴の全てを嵌合部に設けることがなくなるに伴い、結合部材をシールパッキンの内側にずらして配置するための寸法を縁部材に確保させる必要がなくなるから、縁部材の細縁化を促進できる。
【0013】
又、既述のようにねじ軸状の結合部材で胴と縁部材とをこれらの裏側から結合したので、この結合に伴う応力が縁部材のガラスを固定している部分に及ぶことがない。そのため、接着止め又は取付けリングの締め代を利用してガラスを縁部材に固定可能であり、縁部材に対するガラスの固定手段の選択性が損なわれることがない。更に、結合部材はそのねじ込みを外す方向に回転させて取外せるので、シールパッキンを単独交換するメンテナンスが可能である。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記シールパッキンの内周面を前記嵌合部の外周面に接するように設けるとともに、前記ねじ穴の内で前記内周凸部に形成された半分のねじ穴部分を前記裏側への前記シールパッキンの投影領域に含ませている。
【0015】
この発明の形態では、胴と縁部材を結合して連結する機能の低下をもたらすことなく、ねじ穴及び結合部材の丁度半径分に相当する寸法だけ、縁部材の細縁化を促進できる。
【0016】
又、本発明の好ましい形態では、前記縁部材が接する胴の表面と前記内周凸部の内周面とにわたって開放するパッキン収容溝を前記胴に形成し、この収容溝に前記シールパッキンを取付けている。
【0017】
この発明の形態では、胴にパッキン収容溝を設けたので、縁部材の裏面にパッキン収容溝を設ける場合の溝加工よりも、簡単にパッキン収容溝を加工できる。これとともに、嵌合部の外周面に接するシールパッキンと結合部材との距離が最小となるに伴い、シールパッキンの弾性反発力による予圧でねじ穴と結合部材との噛み合い隙間を消失させて、結合部材が不用意に弛まないようにできる。
【0018】
更に、本発明の好ましい形態では、時計の厚み方向に沿う前記嵌合部の長さが時計の厚み方向に沿う前記内周凸部の長さより短く、前記結合部材に前記内周凸部の裏面に接する頭部を設けている。
【0019】
この発明の形態では、ねじ頭に相当する頭部を結合部材が有しているから、結合部材を回転操作するための工具が係合される工具係合部を大きくできるに伴い、結合部材の回転操作がし易くなる。これとともに、時計の厚み方向に沿う嵌合部と内周凸部の長さの差により、組立て時に嵌合部の裏面と結合部材の頭部との間に形成されるギャップを、減少又は消失させるように結合部材をねじ込んで、胴と縁部材とが結合されるに伴い、縁部材を裏側に引き寄せて、この縁部材と胴との間に配置されたシールパッキンをより強く挟むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、胴と縁部材とを結合するねじ軸状の結合部材がねじ込まれるねじ穴の全てを、縁部材の嵌合部に設けなくてよいので、縁部材の細縁化を促進できるとともに、結合部材が胴と縁部材とを結合し、かつ、取外し可能であるので、ガラスが固定された縁部材と胴との間のパッキンの交換性及び縁部材に対するガラスの固定手段の選択性を損なわない時計を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0022】
図1中符号11は時計例えば腕時計を示している。この腕時計11は、時計外装組立12を備え、この時計外装組立12に図3に示すようにムーブメント保持部材である中枠13を介して時計ムーブメント14等が内蔵されている。なお、図1中符号15は時計バンド等の取付け部材を示しており、この取付け部材15によって人体の腕に腕時計11が取付けられる。
【0023】
図3に示すように時計ムーブメント14は、文字板16と時計針17とを有している。
ムーブメント本体14は、小型電池やぜんまいを動力にしたもの、回転錘を有した自動巻きのもの、若しくはクォーツ発振モジュールにより文字板16上で時刻等をデジタル表示するデジタル時計対応のもの、或いはデジタル時計対応のものとそれ以外のものとを併用したもの等のいずれであってもよい。
【0024】
図3〜図5に示すように時計外装組立12は、外装ケース21とこれに装着された外装カバー31とを備えている。
【0025】
外装ケース21は、好ましくは金属製の胴22と、裏蓋29とを備えている。胴22は、例えば円環形状であって、その厚み方向の両端は夫々開口されている。胴22はその表側端部に胴内側に一体に突出された内周凸部23を有している。この内周凸部23は胴22の周方向に連続して環状に設けられていて、胴22の表側開口を狭めて嵌合孔24(図5参照)を形成している。ここに、内周凸部23が「環状」であるとは、円環状、例えば四角環状等の多角形環状、又はこれらを組み合わせた形状を含んでいる。
【0026】
胴22の表側端部には周方向に連続した環状のパッキン収容溝25が形成されている。パッキン収容溝25は胴22の表面22aと内周凸部23の内周面とにわたって開放されている。パッキン収容溝25に環状のシールパッキン26が収容されている。シールパッキン26は弾性変形が可能な材料からなる。自由状態でのシールパッキン26の厚みは、パッキン収容溝25の深さ寸法より少し厚めである。
【0027】
胴22の裏側端部にも周方向に連続した環状のパッキン収容溝27が形成されている。パッキン収容溝27は胴22の裏面22bと胴の裏側端部内周面とにわたって開放されている。パッキン収容溝27に環状のシールパッキン28が収容されている。シールパッキン28は弾性変形が可能な材料からなる。自由状態でのシールパッキン28の厚みは、パッキン収容溝27の深さ寸法より少し厚めである。
【0028】
裏蓋29は、胴22の裏面開口を閉じて胴22の裏側端部に取付けられている。この取付けによって、シールパッキン28が、その厚み方向に加圧されて圧縮状態に弾性変形され、胴22と裏蓋29との間の防水を担っている。
【0029】
外装カバー31は、例えば円形のガラス32と、このガラス32が固定された環状の縁部材35を備えている。
【0030】
縁部材35はその表側内周部に周方向に連続するガラス固定溝35aを有していて、このガラス固定溝35aにガラス32の周縁部が例えば取付けリング33を介して固定されている。取付けリング33は、弾性変形が可能なプラスチックパッキンからなり、ガラス固定溝35aに固定されている。取付けリング33の内側にガラス32を圧入することにより、取付けリング33を弾性変形させて得られる締め代を利用して、ガラス固定溝35aにガラス32が固定されている。こうした取付けリング33を用いることなく、接着剤を用いて縁部材35に嵌合されるガラス32をガラス固定溝27に固定することもできる。
【0031】
縁部材35の内周部に、裏側方向に一体に突出して嵌合部36及び文字板カバー部位37が設けられている。
【0032】
嵌合部36は縁部材35の周方向に連続した筒状をなしている。嵌合部36は嵌合孔24に嵌合される部位である。この嵌合部36の突出高さ(言い換えれば、腕時計11の厚み方向に沿う嵌合部36の寸法)は、内周凸部23の厚み(言い換えれば、腕時計11の厚み方向に沿う内周凸部23の寸法)と略同じに設定されている。
【0033】
文字板カバー部位37は、嵌合部36の裏面36a(図4及び図5参照)より表側、言い換えれば、ガラス32側でかつ胴内側に突出されている。この文字板カバー部位37は、縁部材35の内径E(図4参照)を規定している。
【0034】
縁部材35は胴カバー部35bを有している。胴カバー部35bは、その裏面を胴22の表面22aに接して、この表面22aを覆う部位である。この胴カバー部35bは縁部材35の外径F(図4参照)を規定している。なお、図示例の胴カバー部35bは胴22の外側面22cよりはみ出した形状となっているが、はみ出さなくてもよく、その外周面形状は任意に設計可能である。
【0035】
胴22の内周凸部23と縁部材35の嵌合部35とにわたって、これらの裏面に開放する複数のねじ穴38が設けられている。これらのねじ穴38は図2に示すように周方向に沿って等間隔に設けられている。各ねじ穴38は、嵌合孔24に縁部材35を嵌合させた状態で、内周凸部23及び嵌合部35の裏側からタップを切ることによって設けられている。
【0036】
そのため、図5に示すように内周凸部23の内周面に開放する半分のねじ穴部分38aと、嵌合部35の外周面に開放する半分のねじ穴部分38bとが合わさって形成されている。この場合、好ましい例として、ねじ穴部分38aとねじ穴部分38bを同じ大きさとして、内周凸部23と嵌合部35との接合面によってねじ穴38が二分された構成としてあるが、ねじ穴38を胴内側又は胴外側にずらして、ねじ穴部分38aとねじ穴部分38bの一方を他方より大きく形成することも可能である。
【0037】
内周凸部23に形成されたねじ穴部分38aはパッキン収容溝25の裏側に位置されている。これにより、シールパッキン28を裏側方向に見たときのシールパッキン28の投影領域に、ねじ穴38の半分をなしたねじ穴部分38aが位置されている。
【0038】
各ねじ穴38の夫々にねじ込まれた結合部材39によって胴22と縁部材35とが結合されている。結合部材29は、ねじ軸状であって、内周凸部23及び嵌合部35の裏面側からガラス32側に向けてねじ込まれている。このねじ込みと逆方向に結合部材29を回転させることによって、結合部材29を取外すことができる。こうしたねじ込みとその取外しを可能とするために結合部材29は工具係合部として例えばすり割り溝39aを有している。
【0039】
前記腕時計11の組立手順は次の通りである。まず、胴22のパッキン収容溝25にシールパッキン26を嵌合させた後に、既に組立てられた外装カバー31を用意して、この縁部材35の嵌合部36を胴22の嵌合孔24に嵌合させるとともに、縁部材35の胴カバー部35bを胴22の表面22aに被せる。
【0040】
次に、対応するねじ穴部分38a,38bを正しく合致させてねじ穴38を形成するとともに、胴カバー部35bの裏面を胴22の表面22aに接触させて、シールパッキン26を圧縮させた状態に保持する。この状態で、各ねじ穴38に結合部材39を夫々ねじ込んで、内周凸部23と嵌合部36とを結合することによって、胴22に外装カバー31の縁部材35を連結する。
【0041】
この場合、結合部材39のねじ込みに拘わらず、このねじ込みに伴う力はシールパッキン26には加わらない。しかし、シールパッキン26は、既に胴22と縁部材35との間に挟まれて圧縮された状態にあるので、胴22と縁部材35との間の防水ができる。しかも、圧縮状態にあるシールパッキン26の弾性反発力が、正面側に向けて縁部材35に対して胴22から離れる方向に作用し、それによる予圧でねじ穴38と結合部材39との噛み合い隙間が消失されるので、結合部材39が不用意に弛まないように保持できる。
【0042】
この後、中枠13に支持された時計ムーブメント14を胴22の裏面開口に通して胴22の内部に組込んで、中枠13を胴22に固定する。これにより、時計ムーブメント14の文字板16の周部表面が縁部材35の文字板カバー部位37で覆われる。
【0043】
次いで、胴22のパッキン収容溝27にシールパッキン28を嵌合させた後に、胴22の裏面開口を塞いで裏蓋29を胴22に連結する。これにより、裏蓋29と胴22とでシールパッキン28が圧縮状態に挟まれるので、胴22と裏蓋29との間の防水ができる。
【0044】
以上により腕時計11の組立が完了する。又、シールパッキン26の単品交換を行う場合等に腕時計11を分解するには、前記組立ての手順とは逆の手順で実施すればよい。その際、結合部材39はそのねじ込みを外す方向に回転操作されることにより、ねじ穴38から取外されて、胴22と縁部材35との結合が解除される。
【0045】
腕時計11が組立てられた状態は図3及び図4に示されている。この状態で、胴22と縁部材35とを連結した各結合部材39の夫々の一部は、シールパッキン26の裏側への投影領域に含まれている。これにより、ねじ穴38の全てを嵌合部36に設けることがなくなる。それに伴い、結合部材39をシールパッキン26の内側にずらして配置するための寸法を縁部材35に確保させる必要がなくなるから、縁部材35の内径及び文字板15の見切り寸法Eを規定する文字板カバー部位37から縁部材35の外径までの寸法、つまり、図4中符号Tで示した縁部材35の幅を狭くできる。
【0046】
詳しくは、幅Tは腕時計11の半径方向に沿う縁部材35の各部の寸法A〜Dを合計した値である。寸法Aは文字板カバー部位37の寸法、寸法Bは嵌合部36の内周からねじ穴38の中心線までの部位の寸法、寸法Cはねじ穴38の中心線からシールパッキン26に接した部位の寸法、寸法Dはシールパッキン26の外周から縁部材35の外周までの部位の寸法を指している。これらの寸法A〜Dの大きさは、従来技術に係る腕時計を示した図7中の寸法A〜Dに夫々対応している。
【0047】
ねじ穴38が嵌合部36と内周凸部23にわたって設けられていることで、図7中寸法Zに相当する分が、腕時計11を正面から見てシールパッキン26にラップした構成となっている。このため、前記寸法Zが縁部材35の幅Tに反映することがなくなり、その分、縁部材35を細幅化できる。そして、図4中寸法Cは従来技術に係る腕時計を示した図7中の寸法C,Zの合計寸法の相当している。
【0048】
しかも、本実施形態では、シールパッキン26がその内周面を嵌合部36の外周面に接するように設けられていて、このシールパッキン26の裏側への投影領域(この領域の幅は前記寸法Cで示される。)に、ねじ穴38の内で内周凸部23に形成された半分のねじ穴部分38aが位置されている。このため、ねじ穴38及び結合部材39の丁度半径分に相当する寸法分だけ縁部材35の細縁化できる。これとともに、嵌合部36のねじ穴部分38bに対する結合部材39の引っ掛かりは、結合部材39の半周で確保されるので、胴22に対する縁部材35の保持作用が大きく低下することはない。
【0049】
その上、既述のようにシールパッキン26の内周面が嵌合部36の外周面に接するように設けられているから、シールパッキン26と結合部材39との距離が最小となる。それに伴い、シールパッキン26の弾性反発力による予圧でねじ穴38と結合部材39との噛み合い隙間を消失させて、結合部材39が不用意に弛まないようにできる。なお、この実現のために内周凸部23の内周面に開放するパッキン収容溝25を胴22に設けたので、縁部材35の胴カバー部35bの裏面にパッキン収容溝27を設ける場合の溝加工よりも、簡単にパッキン収容溝27を加工できる。
【0050】
又、既述の縁部材35の細幅化により、縁部材35を構成する金属材料の使用量が減り、腕時計11を軽量にできる他に、視覚的印象がすっきりとしたデザインの腕時計11とすることができる。
【0051】
すなわち、縁部材35の細幅化に伴って縁部材35の露出した部位、言い換えれば胴カバー部35bの幅、つまり、寸法C、Dを合計した幅が狭くなるので、腕時計11がごつく重い印象を与える感じ(ボリューム感)に視認されることが軽減される。更に、ねじ穴38及び結合部材39の中心線から縁部材35の外径までの幅である寸法C、Dを合計した幅が狭くなるので、腕時計11の外径が従来と同じであるとすれば、文字板カバー部位37の位置が外径方向にずらされる。このため、見切り径Eが大きく確保されて、文字板16の表示部を拡大できるに伴い、表示の視認性を向上できる。この逆に、見切り径Eが従来と同じであるとすれば、前記細幅化に応じた分だけ縁部材35を小径にでき、縁部材11の視覚上のボリューム感を減らすことができる。
【0052】
又、既述のようにねじ軸状の結合部材39で胴22と縁部材35とをこれらの裏側から結合したので、この結合に伴う応力が縁部材22のガラス固定溝35aの周囲部分に及んで、この周囲部分が変形される恐れがない。そのため、ガラス固定溝35aにガラス32の周縁部が接着剤で固定されていても、胴22と縁部材35との結合に伴ってガラス32の剥がれを誘発しないようにできる。同様に、図に例示したように取付けリング33を用いてガラス32をガラス固定溝35aに固定した構成であっても、このガラス固定部分が胴22と縁部材35との結合に伴って変形する恐れがないので、ガラス32の固定の信頼性を確保できる。したがって、以上のように接着止め又は取付けリング33の締め代を利用してガラス32を縁部材35に固定可能であるので、縁部材35に対するガラス33の固定手段の選択性が得ることができる。
【0053】
なお、取付けリング33を用いることに代えて接着剤でガラス32をガラス固定溝35aに固定した場合には、縁部材35等は円形であることに制約されず、デザイン上で要請される各種の環形形状の腕時計を構成できる。更に、接着剤でガラス32をガラス固定溝35aに固定した場合には、取付けリング33を用いた場合のように、ガラス32の保持を確実にするために、ガラス固定溝35aを深くする結果として縁部材35が厚くなることがない。これとともに、ガラス32の圧入に伴うガラス固定溝35a周りの変形を防止するために、その部分の肉厚を厚くする結果として縁部材35の幅が増えるということもない。
【0054】
図6は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態は、以下説明する事項以外は図6に示されていない事項を含めて第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
第2実施形態では、嵌合部36の突出高さ(言い換えれば、腕時計11の厚み方向に沿う嵌合部36の寸法)が、内周凸部23の厚み(言い換えれば、腕時計11の厚み方向に沿う内周凸部23の寸法)より短く設定されている。これとともに、結合部材39にはすり割溝39aを有する頭部39bが設けられている。頭部39bは、結合部材39がねじ穴38に適正にねじ込まれた状態で、内周凸部23の裏面23a及び嵌合部36の裏面36a(図5参照)の内の少なくとも内周凸部23の裏面23aに接するようになっている。
【0056】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じであるから、第2実施形態は第1実施形態と説明したのと同様な作用を得て、第1実施形態と同様に本発明の課題を解決できる。簡単に述べれば、胴22と縁部材35とを結合するねじ軸状の結合部材39がねじ込まれるねじ穴38の全てを、縁部材35の嵌合部36に設けなくてよいので、縁部材35の細縁化を促進できるとともに、結合部材39が胴22と縁部材35とをこれらの裏側から結合し、かつ、取外し可能であるので、ガラス32が固定された縁部材35と胴22との間のシールパッキン26の交換性及び縁部材35に対するガラス32の固定手段の選択性を損なわない腕時計11を提供できる。
【0057】
しかも、第2実施形態の腕時計11は以下の点で第1実施形態より有利である。
【0058】
すなわち、第1実施形態で説明した手順で胴22に縁部材35を連結する際、ねじ穴38への結合部材39をねじ込むと、その最後の段階で、頭部39bが内周凸部23の裏面に当たる。この時点では、内周凸部23と嵌合部36の高さ寸法の差等に応じて図6に示すように内周凸部23の裏面23aに対して嵌合部36の裏面36aが表側(ガラス32側)にずれていて、嵌合部36の裏面36aと頭部39bとの間にギャップgが形成される。
【0059】
そして、引き続き結合部材39のねじ込みが進行されることによって、ギャップgが減少ないしは消失されるようになるので、胴22と縁部材35とが結合されるに伴い、ギャップg相当分に応じて縁部材35が裏側に引き寄せられる。このため、縁部材35と胴22との間に配置されたシールパッキン26がより強く挟まれて、その防水性能をより確実に発揮させることができる。
【0060】
又、ねじ頭に相当する頭部39bを結合部材39が有しているから、結合部材39を回転操作するための工具が係合されるすり割り溝39aを大きくできる。そのため、結合部材39の回転操作がし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係る腕時計を示す平面図。
【図2】図1の腕時計の時計外装組立をその裏蓋を外した状態で示す裏面図。
【図3】図1中F3−F3線に沿って示す断面図。
【図4】図1の腕時計の一部を示す断面図。
【図5】図4に示された一部を分解して示す断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る腕時計の一部を示す断面図。
【図7】従来技術に係る腕時計の一部を示す断面図。
【符号の説明】
【0062】
11…腕時計(時計)
12…時計外装組立
14…時計ムーブメント
16…文字板
21…外装ケース
22…胴
22a…胴の表面
23…内周凸部
23a…内周凸部の裏面
24…嵌合孔
25…パッキン収容溝
26…シールパッキン
31…外装カバー
32…ガラス
33…取付けリング
35…縁部材
35a…縁部材のガラス固定溝
35b…縁部材の胴カバー部
36…嵌合部
36a…嵌合部の裏面
37…文字板カバー部位
38…ねじ穴
38a…内周凸部に形成されたねじ穴部分
38b…嵌合部に形成されたねじ穴部分
39…結合部材
39b…結合部材の頭部
T…縁部材の幅
【出願人】 【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100079212
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 義治


【公開番号】 特開2008−32418(P2008−32418A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203192(P2006−203192)