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【発明の名称】 時計構造
【発明者】 【氏名】今村 和也

【要約】 【課題】日付や時刻などの表示部材を駆動し指針軸に嵌合する車の組み立てを容易に保ちつつ、車に嵌合される針の針振れを減少させることである。

【構成】指針軸に嵌合する軸部3dと軸部3dに直角な平板部3aを有し時針7が嵌合する筒車3と、日付や時刻などを表示する表示部材5と、筒車3の回転を表示部材5に伝えるための伝達車4を備え、伝達車4に駆動を伝えるための送り歯3cを筒車3の平板部3aに凸形状にて形成すると共に、筒車3を軸部3dの軸方向に押圧するばね部材3eを一体的に形成した構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針軸に嵌合する軸部と該軸部に直角な平板部と該平板部の周囲に歯車部とを有する車と、日付や時刻などの表示を行う為の表示部材と、前記車の回転を前記表示部材に伝えるための伝達車とを備える時計構造において、
前記伝達車に駆動を伝えるための送り歯を前記車の平板部に凸形状にて形成すると共に、前記車を前記軸部の軸方向に押圧するばね部材を前記車に一体的に形成したことを特徴とする時計構造。
【請求項2】
前記車は前記軸部に時針を嵌合させる筒車であり、前記表示部材は日付などのカレンダーを表示する為のカレンダー表示板であることを特徴とする請求項1に記載の時計構造。
【請求項3】
前記車は前記軸部に時針を嵌合させる筒車であり、前記表示部材は24時間を表示する為の24時間針であることを特徴とする請求項1に記載の時計構造。
【請求項4】
前記ばね部材は、前記送り歯の上面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の時計構造。
【請求項5】
前記ばね部材は少なくとも3箇所に同角度をもって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の時計構造。
【請求項6】
前記送り歯はその先端部が前記車の平板部に凸形状にて形成されると共に、前記送り歯と前記軸部の間の前記平板部に前記軸部の軸方向に押圧するばね部材を前記車に一体に形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の時計構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、日付や時刻などを表示する表示部材を駆動するための送り歯を有した指針軸に嵌合する車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日付や時刻などを表示する表示部材を駆動させるために、指針軸に嵌合した車の平板部に凸形状の送り歯を形成する構造が用いられている。この指針軸に嵌合した車には針が嵌合されて時刻表示を行う役割を有している。このような指針軸に嵌合した車は他の車を駆動させる負荷などによって軸のガタの範囲で傾けられてしまう。近年の薄型の時計構造においては車の傾きを規正するための軸の長さを十分に確保することが難しく、車の傾きが大きくなり、車に嵌合された針の振れが大きくなりやすく、そのため時計としての品質が低下してしまう。
【0003】
そこで、従来は特許文献1の第2図に示すように、針座と言われるばね性を有する部材で車を一方向に押圧する構造をとっているが、従来の針座は薄く小さい為に、取り扱い性が非常に悪く自動組み立てで組み立てることは困難であった。或いは、特許文献1の第4図に示すように、車の平板部にばね性を有した部分を一体で形成し、車を一方向に押圧する構成をとっている。このような構成は、車の平板部上に何も形成されていなければそれなりに有効である。
【0004】
図8及び図9に、筒車に日送り車を駆動させる送り歯を形成したカレンダー送り機構を示す。図8はカレンダー送り機構の平面図、図9はカレンダー送り機構の主要断面図を示す。
1は地板で時計基盤となる部材であり、本願では中心軸と一体の構成をいう。2は日の裏車であり、歯車部2aとかな部2bを有している。13は筒車であり、平板部13aと平板部13aに形成された歯車部13bと、平板部13aに凸形状で形成された送り歯13cと、時針が嵌合される軸部13dを有している。4は日送り車であり、筒車13の歯車部13bと噛み合う歯部4aと後述の日車を駆動させる日送り爪部4bを有している。5は日車であり、日付などのカレンダー表示を行う部材である。7は時針であり、筒車13の軸部13dに嵌合され時刻表示の時表示を行う部材である。
【0005】
日の裏車2の歯車部2aは図示しないローターからの動力の伝達により駆動されており、日の裏車2のかな部2bが筒車13の歯車部13bと噛み合うことにより筒車13を駆動させている。筒車13の軸部13dには時針7が嵌合しており、筒車13と一体で回転することで時表示を行っている。また、筒車13の送り歯13cは日送り車4の歯部4aと噛み合い日送り車4を駆動しており、日送り車4の歯部4aのうち、1歯だけ長く形成された送り爪部4bのみが日車5と噛み合うことによりカレンダー表示部材である日車5を駆動させている。日送り車4は筒車13からの駆動を1/2に減速することで1日に1回転しており、1日に1回のみカレンダー表示部材である日車5が駆動され、カレンダー表示の切り替えを行っている。また、筒車13、日送り車4、日車5はそれぞれ日車押さえ6によって高さ方向のガタを規制されている。
【0006】
【特許文献1】実開昭55−94585号公報(第2図、第4図、2頁〜4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の針座では取り扱い性が悪い為に自動組み立てが出来ず、手作業においても組み立てに時間が掛かかるという問題点があった。また、車の平板部上に何も形成されていない構成であれば特許文献1の第4図のような構成が取れるが、車の平板部上に何か他の工夫を施そうとする時は大きな障害になってしまう。従って、上記のような車の平板部に凸形状の送り歯が形成されていると平板部内に面積が確保出来ず、ばねのような形状を付加することが出来ないという欠点を有していた。
【0008】
更に、上記図8や図9のような構造の場合、針座なし構造の時計では、筒車の傾きは筒車の中を通る軸で規正することになるが、薄型化された近年の時計構造においては、筒車の傾きを規正する軸の長さを十分にとることが出来ず、筒車の傾きが大きくなり、筒車に嵌合される時針の針振れが大きくなっていた。
【0009】
本発明の目的は、日付などの表示を行う時計構造において、指針軸に嵌合する車は組み立てが容易でありながら、この車に嵌合される針の針振れを減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に記載の時計構造は、指針軸に嵌合する軸部と該軸部に直角な平板部と該平板部の周囲に歯車部を有する車と、日付や時刻などの表示を行う為の表示部材と、前記車の回転を前記表示部材に伝えるための伝達車とを備える時計構造において、前記伝達車に駆動を伝えるための送り歯を前記車の平板部に凸形状にて形成すると共に、前記車を前記軸部の軸方向に押圧するばね部材を前記車に一体に形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の時計構造は、請求項1の構成において、前記車は前記軸部に時針を嵌合させる筒車であり、前記表示部材は日付などのカレンダーを表示する為のカレンダー表示板であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に記載の時計構造は、請求項1の構成において、前記車は前記軸部に時針を嵌合させる筒車であり、前記表示部材は24時間を表示する為の24時間針であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の時計構造は、請求項1の構成において、前記ばね部材は前記送り歯の上面に形成したことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に記載の時計構造は、請求項1又は請求項4の構成において、前記ばね部材は少なくとも3箇所に同角度をもって形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に記載の時計構造は、請求項1から請求項3の構成において、前記送り歯はその先端部が前記車の平板部に凸形状にて形成されると共に、前記送り歯と前記軸部の間の前記平板部に前記軸部の軸方向に押圧するばね部材を前記車に一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の時計構造によれば、指針軸に嵌合する車と、前記車の回転を表示部材に伝えるための伝達車とを備え、伝達車に駆動を伝えるための送り歯を車の平板部に凸形状にて形成すると共に、前記の車を軸方向に押圧するばね部を設ける構造により、前記車は組み立
てが容易な部品形状でありながら前記車に嵌合する針の振れを低減させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
日付を表示する表示部材である日車と、日車を駆動させるための日送り車と、時針を嵌合させる軸部と軸部に直角な平板部を有する筒車とを備える時計構造で、前記筒車の平板部に凸形状にて形成された、前記日送り車を駆動させるための送り歯の上面内に、前記筒車を地板又は日車押さえの方向に押圧するばね部材を前記筒車に一体的に形成する。
【実施例1】
【0018】
以下の全ての実施例において、指針軸に嵌合する軸部を有する車として、時針を嵌合する筒車を例にとり説明する。まず、本発明の実施例1について図面を用いて説明する。
図1は筒車の部品図で、(a)は筒車の上面図、(b)は図(a)のA−A断面図、(c)は図(a)のB−B断面図、(d)は筒車の一部を上面から見た斜視図である。また、図2はカレンダー送り機構の概略を説明する平面図、図3はその主要部を説明する断面図である。尚、筒車を除く日の裏車から日車までの駆動機構については従来例と同様であるので同じ符号を用いて詳細説明は省略する。
【0019】
図1において、3は筒車であり、時針が嵌合される軸部3dと、軸部3dに垂直な平板部3aと、平板部3aに形成された歯車部3bと、平板部3aに凸形状で形成された送り歯3cとを有している。送り歯3cの上面3f上にばね部3eを形成し、ばね部3eの先端に半球状の凸形状のばね摺動部3jが形成されている。
【0020】
ばね部3eを形成する送り歯3cの下面には空間を作る凹形状3kが形成され、ばね部3eの厚さを薄くすることでばね部3eに弾性を持たせている。また、ばね部3eの下面3gと送り歯3cの上面3fの高さを同一高さとすることで、下面の凹形状3kを形成する下金型と、ばね部3eや送り歯3cを形成する上金型がこの高さで突き当てられるようにしている。これにより、ばね部3eを送り歯3cから分離するためのスリット3hを成型する部分の金型の肉厚を細くつくる必要がなくなるばかりでなく、スリット3hの幅を細くすることが出来るようになり、送り歯3cの上面3f内の限られたスペースの中にバネ性を充分確保できるばね部3eを形成することが可能となった。このようにばね性を有するばね部3eを筒車3に一体的に形成することが出来たので、筒車3は容易に組み立てることが可能である。
【0021】
図2及び図3において、筒車3に形成されたばね部3eの先端に形成されたばね摺動部3jは筒車3の押さえ部材である日車押さえ6に若干干渉する高さ設定であり、ばね部3eは下方向に多少たわんだ状態で駆動する構造となっている。筒車3はばね部3eが日車押さえ6によってたわんでおり、常に下方向に押圧された状態で駆動している。これにより筒車3は時計基板である地板1側へ常に押圧され、地板1に対して筒車3の軸部3dは常に垂直を保とうとし、伝達車である日送り車4、日を表示するための表示部材である日車5などの駆動負荷により筒車3が傾くことを防ぐことが出来、筒車3の軸部3dに嵌合される時針7の振れを低減させることが出来る。
【0022】
また、ばね部分3eを筒車3の平板部3aの下面側に配置し、その先端の下面方向へばね摺動部3jを凸形状で形成し、地板1によってばね部分3eが上方向へたわみ、筒車3を日車押さえ6方向に押圧する構造としても同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0023】
次に本発明の実施例2について図面を用いて説明する。図4は筒車部品図で、(a)は
筒車の上面図、(b)は図(a)のC−C断面図、(c)は筒車を下面から見た斜視図である。また、図5はカレンダー送り機構の概略を説明する平面図、図6はその主要部を説明する断面図である。尚、筒車を除く日の裏車から日車までの駆動機構については従来例と同様であるので同じ符号を用いて詳細説明は省略する。
【0024】
図4において、8は筒車であり、時針が嵌合される軸部8dと、軸部8dに垂直な平板部8aと、平板部8aに形成された歯車部8bと、平板部8aに凸形状で形成された送り歯8cとを有している。送り歯8cは日送り車4を駆動させるのに必要な部分が送り歯の先端部のみとなるように設計され、平板部8aに凸形状で形成されている。これにより送り歯8cと軸部8dの間の平板部8a上に平面部が確保されるので、ばね部8eを形成することが可能となった。ばね部8eの先端下面にはばね摺動部8jが半球形状で形成されている。このようにばね性を有するばね部8eを筒車8に一体的に形成することが出来たので、筒車8は容易に組み立てることが可能である。
【0025】
図5及び図6において、筒車8に形成されたばね部8eの先端に形成されたばね摺動部8jは、筒車8が押さえ部材である日車押さえ6によって押さえられた時に地板1と若干干渉する高さ設定であり、ばね部8eは上方向にたわんだ状態となっている。筒車8はばね部8eがたわんでいることによって、常に上方向に押圧された状態で駆動している。これにより筒車8は押さえ部材である日車押さえ6側に常に押圧され、日車押さえ6に対して筒車8の軸部8dは常に垂直を保とうとし、日送り車4、日車5などの駆動負荷により筒車8が傾くことを防ぐことが出来、筒車8の軸部8dに嵌合される時針7の振れを低減させることが出来る。
【0026】
また、ばね部8eを筒車8の平板部8aの上面側に配置し、その先端の上面方向へばね摺動部8jを凸形状で形成し、日車押さえ6によってばね部分8eが下方向へたわみ、筒車8を地板1側に押圧する構造としても同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0027】
次に本発明の実施例3について図面を用いて説明する。図7は24時間表示針送り機構の概略を説明する平面図である。
【0028】
図7において、9は筒車であり、平板部に垂直な軸9dと、副針中間車10を駆動させるために凸形状にて形成された送り歯9cと、送り歯9cの上面内に形成されたばね部9eとを有している。10は副針中間車であり、筒車9の送り歯9c,副針車11の歯車11aと噛み合う歯車部10aを有している。11は副針車であり、副針中間車10の歯車10aと噛み合う歯車部11aと、後述の24時間表示針が嵌合される軸11bを有している。12は24時間表示針であり、副針車11の軸部11bと嵌合し一体で回転することで24時間表示を行っている。
【0029】
筒車9の送り歯9cは、伝達車である副針中間車10の歯車部10aと噛み合い副針中間車10を駆動し、副針中間車10の歯車部10aが副針車11の歯車部11aと噛み合い副針車11を駆動させている。この時、表示部材である副針車11は筒車9からの駆動を1/2に減速することで24時間に1回転しており、副針車11の軸11bに24時間表示針12を嵌合することで24時間表示を行っている。
【0030】
ここで筒車9に形成されたばね部9eは筒車9の押さえ部材である日車押さえ6により、下方向にたわんだ状態で駆動する構造となっている。これにより筒車9は時計基盤である地板1側へ常に押圧され、地板1に対して筒車9の軸部9dは常に垂直を保とうとし、筒車9が傾くことを防ぐことが出来、筒車9の軸部9dに嵌合される時針7の振れを低減
させることが出来る。
【0031】
また、ばね部分9eを筒車9の平板部の下面側に配置し、地板1によってばね部分9eが上方向へたわみ、筒車9を日車押さえ6方向に押圧する構造としても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1の筒車構造を説明する筒車部品図である。
【図2】本発明の実施例1のカレンダー送り機構を説明する時計平面図である。
【図3】本発明の実施例1のカレンダー送り機構を説明する時計断面図である。
【図4】本発明の実施例2の筒車構造を説明する筒車部品図である。
【図5】本発明の実施例2のカレンダー送り機構を説明する時計平面図である。
【図6】本発明の実施例2のカレンダー送り機構を説明する時計断面図である。
【図7】本発明の実施例3の24時間針送り機構を説明する時計平面図である。
【図8】従来構造のカレンダー送り機構を説明する時計平面図である。
【図9】従来構造のカレンダー送り機構を説明する時計断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 地板
2 日の裏車
2a 日の裏車歯車
2b 日の裏車かな
3 実施例1の筒車
3a 実施例1の筒車の平板部
3b 実施例1の筒車の歯車
3c 実施例1の筒車の送り歯
3d 実施例1の筒車の軸
3e 実施例1の筒車のばね部
3f 実施例1の筒車の送り歯上面
3g 実施例1の筒車のばね部下面
3h 実施例1の筒車のスリット部
3j 実施例1の筒車のばね摺動部
3k 実施例1の筒車の下面側凹形状
4 日送り車
4a 日送り車の歯車
4b 日送り車の日送り爪
5 日車
6 日車押さえ
7 時針
8 実施例2の筒車
8a 実施例2の筒車の平板部
8b 実施例2の筒車の歯車
8c 実施例2の筒車の送り歯
8d 実施例2の筒車の軸
8e 実施例2の筒車のばね部
8j 実施例2の筒車のばね摺動部
9 実施例3の筒車
9c 実施例3の筒車の送り歯
9d 実施例3の筒車の軸
9e 実施例3の筒車のばね部
10 実施例3の副針中間車
10a実施例3の副針中間車の歯車
11 実施例3の副針車
11a実施例3の副針車の歯車
11b実施例3の副針車の軸
12 実施例3の24時間表示針
【出願人】 【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−2868(P2008−2868A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170932(P2006−170932)