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【発明の名称】 記録装置、位相変調装置
【発明者】 【氏名】福本 敦

【氏名】杉木 美喜雄

【氏名】田中 健二

【氏名】原 雅明

【氏名】広岡 和幸

【要約】 【課題】例えばコアキシャル方式によるホログラム記録再生方式が採られる場合において用いられる位相マスクの作製の自由度の拡大、製造容易化を図る。

【解決手段】位相マスクにおいて参照光が照射される参照光領域には参照光に離散的な位相構造を与えるための位相マスクパターンを形成し、信号光が照射される信号光領域には信号光に連続的な位相構造を与えるための位相マスクパターンを形成する。これによって信号光領域に形成すべき位相マスクパターンは、空間光変調器のピクセル単位で一致させる必要がなくなり、その作製の自由度の拡大、及び製造の容易化を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム記録媒体に対する少なくとも記録を行う記録装置であって、
所定位置にセットされた上記ホログラム記録媒体に対して照射されるべき光を発光する発光手段と、
入射光について画素単位による光強度変調を施すことで、上記ホログラム記録媒体に照射されるべき参照光と信号光とを生成可能に構成された空間光変調手段と、
上記空間光変調手段からの上記参照光が入射されるべき参照光領域に対しては上記参照光に離散的な位相構造を与える位相マスクパターンが形成され、上記信号光が入射されるべき信号光領域に対しては上記信号光に連続的な位相構造を与える位相マスクパターンが形成されて、上記空間光変調手段からの出射光に対し位相変調を与える位相変調手段と、
上記発光手段により発光された光を上記空間光変調手段と上記位相変調手段とを介して上記ホログラム記録媒体に対して導くように構成された光学系と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
少なくとも入射光について画素単位による光強度変調を施すことで、ホログラム記録媒体に照射されるべき参照光と信号光とを生成可能に構成された空間光変調手段を備えて、上記ホログラム記録媒体に対する少なくとも記録を行う記録装置において、上記空間光変調手段からの出射光に対し位相変調を与えるための位相変調装置であって、
上記空間光変調手段からの上記参照光が入射されるべき参照光領域に対しては上記参照光に離散的な位相構造を与える位相マスクパターンが形成され、上記信号光が入射されるべき信号光領域に対しては上記信号光に連続的な位相構造を与える位相マスクパターンが形成されている、
ことを特徴とする位相変調装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録媒体に対する少なくとも記録が可能な記録装置と、このような記録装置に用いられて好適な位相変調装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラム記録再生方式において、特に光ストレージ系の分野におけるホログラム記録再生方式の場合などでは、光強度変調として例えば液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)などのSLM(空間光変調器)が使用され、信号光にbit1(例えば光強度=強)、bit0(例えば光強度=弱)のパターン配列が得られるような強度変調をかけるようにされる。
このとき、SLMにおいては、例えば図2に示されるようにしてその中心部において記録データに応じて光強度変調を受けた信号光と、その周りに円状となるように透過させた参照光とを生成するようにされている。そして、記録データに応じて変調された信号光は、上記参照光と共にホログラム記録媒体に対して照射され、これにより、これら信号光と参照光との干渉縞がデータとしてホログラム記録媒体に記録される。
【0003】
また、データの再生時においては、SLMにおいて上記参照光のみを生成してこれをホログラム記録媒体に対して照射することで、上記干渉縞に応じた回折光を得るようにされ、この回折光に応じた像を例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサ上に結像させ、画像検出を行う。このように検出される画像データに基づき、再生データを得るようにされる。
【0004】
このようにして信号光と参照光とを同一光軸上で照射するホログラム記録再生方式は、コアキシャル方式(或いはコリニア方式)として知られている。
そして、従来において、このようなコアキシャル方式が採られる場合には、下記特許文献1に記載されるように、SLMにおける空間光変調が与えられた後の光について、その実像面にさらに位相マスクによる位相変調を与えるということが行われている。
【0005】
このような位相マスクによる位相変調は、信号光と参照光との双方に対して行われる。参照光に対して位相変調を与えるのは、特許文献1にも記載されるように、ホログラム記録媒体への多重記録が可能となるようにするためである。すなわち、或る位相構造を有する参照光を用いて記録した信号光(データ)は、再生時において同一の位相構造による参照光を照射することによってのみ読み出すことができるので、これを応用し、記録時にそれぞれ異なる位相構造による参照光を用いてそれぞれデータを記録し、再生時にはそれらの位相構造による参照光を択一的に照射することで、多重記録されたデータを選択的に読み出すことができるといったものである。
【0006】
また、信号光に対し位相変調を与えるのは、ホログラム記録媒体内での信号光の干渉制御や、DC成分の抑制を図り、高記録密度化を図るためである。
【0007】
下記特許文献1に記載の発明は、信号光に与える位相構造と、参照光に与える位相構造とをそれぞれ異なるパターンとしたことで、信号光と参照光とにそれぞれ最適な位相変調を施そうとするものである。
【0008】
【特許文献1】特開2006−107663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のようにしてSLM変調後の光に位相マスクによる位相変調を与えるにあたり、従来では、上記特許文献1に記載されるように、信号光と参照光との位相構造を共に離散的な位相構造とすることを前提としていた。すなわち、例えば図5に示されるようにして、SLMのピクセル単位で「0」か「1」の2値による位相構造を与えることを前提としていた。
【0010】
ここで、参照光については、上述のようにして記録・再生時にその位相構造が同一でなければデータの記録再生を適切に行うことができなくなることから、記録/再生時ごと、及び各装置間で、それぞれ位相構造がピクセル単位で一致したものにしなければ記録再生の互換性が得られなくなってしまう。
このことから参照光の位相構造としては、上述のようにピクセル単位で2値に変化するような離散的な位相構造とすることが必須であると考えられる。
【0011】
しかしながら、信号光の位相構造は、信号光の干渉制御やDC成分の抑圧が図られればよく、必ずしもピクセル単位での一致を要する離散的な位相構造とする必要はない。
むしろ、このような離散的な位相構造とする場合は、位相マスクパターンとSLMの各ピクセルとの対応位置関係が予め定められたものから少しでもずれてしまったときに、信号光の劣化が生じてしまうので、位相マスクパターンとSLMの各ピクセルとの位置関係を精度よく一致させる必要がでてきてしまう。
このように離散的な位相構造とする場合には、位相マスクパターンの形成にあたってピクセルサイズレベルでの比較的高い位置精度が要求され、歩留まりの悪化、製造効率の低下などを招く虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、記録装置として以下のように構成することとした。
つまり、本発明の記録装置は、ホログラム記録媒体に対する少なくとも記録を行う記録装置であって、先ず、所定位置にセットされた上記ホログラム記録媒体に対して照射されるべき光を発光する発光手段を備える。
また、入射光について画素単位による光強度変調を施すことで、上記ホログラム記録媒体に照射されるべき参照光と信号光とを生成可能に構成された空間光変調手段を備える。
また、上記空間光変調手段からの上記参照光が入射されるべき参照光領域に対しては上記参照光に離散的な位相構造を与える位相マスクパターンが形成され、上記信号光が入射されるべき信号光領域に対しては上記信号光に連続的な位相構造を与える位相マスクパターンが形成されて、上記空間光変調手段からの出射光に対し位相変調を与える位相変調手段を備える。
さらに、上記発光手段により発光された光を上記空間光変調手段と上記位相変調手段とを介して上記ホログラム記録媒体に対して導くように構成された光学系を備えるようにしたものである。
【0013】
上記のようにして本発明では、信号光と参照光とに位相変調を与えるための位相変調手段(位相変調装置)として、参照光領域は従来どおり離散的な位相構造を与えるための位相マスクパターンが形成されることで、従来どおり記録/再生ごとや各装置間で参照光の位相構造を一致させることができ、これによって記録/再生、及び装置間での互換性を確保することができる。
また、信号光領域については連続的な位相構造を与える位相マスクパターンとしたことで、形成された位相マスクパターンと空間光変調手段の各ピクセルとの位置関係が予め定められた位置関係からずれた場合にも、離散的な位相構造とする場合のような信号光の品質劣化が生じないようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、参照光領域については離散的な位相構造を与える位相マスクパターンとすることで従来どおり記録/再生ごとや装置間での互換性を確保することができ、その上で信号光領域は連続的な位相構造を与える位相マスクパターンとすることで、空間光変調手段の各ピクセルとの位置関係を考慮せずに位相マスクパターンを設定することができる。
ここで、コアキシャル方式の場合、参照光のみが同一位相構造で変調されたものでありさえすれば、如何なる位相構造により変調された信号光によって記録されたデータも適正に再生することができる。このため、上記のようにして信号光の品質劣化防止のために各ピクセルとの位置関係を考慮する必要がなくなる本発明によれば、信号光領域の位相マスクパターンは、本来の目的(例えば信号光の干渉制御、DC成分の抑制など)が達成されるものであれば自由に設定することができる。
【0015】
このことから上記本発明によれば、位相変調手段(装置)における信号光領域の位相マスクパターンの作製の自由度を広げることができると共に、上述のようなピクセル単位での位置合わせが不要となることによる作製精度の緩和、及びこれに伴う製造プロセスの簡略化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
図1は、本発明の記録装置の一実施形態としての、記録再生装置1の内部構成について示したブロック図である。なお、図1では主に記録再生装置1の光学系の構成のみを抽出して示しており、他の部分については省略している。
【0017】
先ず、本実施の形態では、ホログラム記録再生方式として、信号光と参照光とを同一軸上に配置し、それらを同時にホログラム記録媒体5に照射して干渉縞によりデータ記録を行い、また再生時には参照光のみをホログラム記録媒体5に対して照射することで干渉縞により記録されたデータの再生を行う、いわゆるコアキシャル方式を採用している。
【0018】
このための構成として、記録再生装置1には、先ず図示するレーザダイオードLDが備えられる。このレーザダイオードLDは、記録再生のためのレーザ光を得るための光源であり、この場合は所謂シングルモードレーザとして、所定の1種の波長によるレーザ光を出力する。
【0019】
レーザダイオードLDからの出射光はコリメータレンズ2を透過して平行光に変換されてSLM(空間光変調器)3に導かれる。このSLM3としては、例えば透過型の液晶パネルを備えたものとされる。
そして、本実施の形態の場合、SLM3により空間光変調の施された光は、リレーレンズRL-1,RL-2によりSLM3の実像面に配置された位相マスク4に入射し、ここにおいて所定の位相変調が施される。位相マスク4によって位相変調の施された光は、対物レンズOL-1を透過して所定位置にセットされたホログラム記録媒体5に入射する。
【0020】
記録時においては、後述するようにして上記SLM3において記録データに応じた変調が行われ、このように変調を受けた平行光が位相マスク4にてさらに位相変調された後、対物レンズOL-1を透過することで収束光とされ上記ホログラム記録媒体5に集光するようにされる。
【0021】
また、再生時においては、上記の経路によりレーザダイオードLDからの光がホログラム記録媒体5に照射されることで、後述するようにして記録データに応じた回折光が得られる。この回折光は対物レンズOL-2を介して平行光とされた後、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Oxide Semiconductor)センサなどによるイメージセンサ6上に結像される。
【0022】
図2は、図1に示した記録再生装置1によるホログラム記録媒体5へのデータの記録手法ついて説明するための図である。この図では、図1に示したSLM3、対物レンズOL-1、ホログラム記録媒体5と、コリメータレンズ2より出射されSLM3へ入射する平行光(入射光)、SLM3による変調後に得られる光、及び対物レンズOL-1からホログラム記録媒体5に照射される光の様子を模式的に示している。
この図2に示されるように、この場合の記録手法では、先ずSLM3において、コリメータレンズ2からの入射光に対し、上述した参照光と、記録データに基づき「0」「1」のデータ配列が形成された光(以下信号光と呼ぶ)とが同心円上に配置されるようにするための強度変調を行うようにされる。この強度変調された光を、対物レンズOL-1によりホログラム記録媒体5上に集光し、これにより形成される参照光と信号光の干渉縞をデータとしてホログラム記録媒体5上に記録するようにされる。
【0023】
また、図3は、記録再生装置1によるホログラム記録媒体5の再生手法について説明するための図である。この図3においては、図1に示したSLM3、対物レンズOL-1、ホログラム記録媒体5、対物レンズOL-2、イメージセンサ6と、コリメータレンズ2より出射されSLM3へ入射する平行光(入射光)、SLM3による変調後に得られる光、及び対物レンズOL-1からホログラム記録媒体5に照射される光、ホログラム記録媒体5から発せられる回折光の様子を模式的に示している。
【0024】
図3において、再生時には、コリメータレンズ2からの入射光をSLM3で参照光パターンのみが出力されるように強度変調を行い、ホログラム記録媒体5に集光する。その際、集光した光は、ホログラム記録媒体5に記録されたデータパターンに応じた干渉縞により回折を受け、ホログラム記録媒体5を透過するようにして出力される。すなわち、この回折光は、図示するようにして記録データを反映した強度変調パターンを有しており、この回折光の有する強度変調パターンをイメージセンサ6で検出した結果に基づき、データ再生を行うようにされる。
【0025】
ここで、実施の形態の記録再生装置1としては、先の図1にも示されるように、SLM3からの出射光について位相変調を行うための位相マスク4が設けられている。この位相マスク4としては、従来から備えられるものと同様の目的で信号光と参照光との双方に位相変調を与えるためのものである。
すなわち、SLM3から出射される参照光に対し位相変調を与えるのは、ホログラム記録媒体5への多重記録が可能となるようにするためである。先にも述べたように、或る位相構造を有する参照光を用いて記録した信号光(データ)は、再生時において同一の位相構造による参照光を照射することによってのみ読み出すことができる。従ってこれを応用し、記録時にそれぞれ異なる位相構造による参照光を用いてそれぞれデータを記録し、再生時にはそれらの位相構造による参照光を択一的に照射することで、多重記録されたデータを選択的に読み出すことができるといったものである。
【0026】
また、信号光に対し位相変調を与えるのは、ホログラム記録媒体5内での信号光の干渉制御や、DC成分の抑制を図り、高記録密度化を図るためである。
【0027】
しかしながら、先の特許文献1にも例示したように、従来では、上記のようにしてSLM3の変調後の光に位相マスクによる位相変調を与えるにあたり、信号光と参照光との双方に対して共に離散的な位相構造を与えるようにされていた。すなわち、後の図5においても示すように、SLM3のピクセル単位で例えば「0」か「1」の2値で変化するような位相構造を与えることを前提としていたものである。
【0028】
先にも説明したように、参照光については、記録・再生時にその位相構造が同一でなければデータの記録再生を適切に行うことができなくなることから、記録/再生ごと、及び各装置間で、それぞれ位相構造がピクセル単位で一致したものとしなければ記録再生の互換性が得られなくなってしまう。
このことから参照光についての位相構造としては、上述のようにピクセル単位での離散的な位相構造とすることが必須であることになる。つまり、離散的な位相構造とすれば、先の特許文献1にも記載されるように位相マスクパターンを高い位置精度で形成することができるからである。
【0029】
但し、信号光についての位相構造は、上述したような信号光の干渉制御やDC成分の抑圧が図られればよいものである。仮に、信号光の位相構造を離散的な位相構造とする場合は、位相マスク4の位相マスクパターンとSLM3の各ピクセルとの対応位置関係が少しでもずれてしまったときに信号光の劣化が生じてしまうので、位相マスク4の位相マスクパターンとSLM3の各ピクセルとの位置関係を精度よく一致させる必要がでてきてしまう。
このことを考慮すると、離散的な位相構造とする場合には、位相マスク4の信号光についての位相マスクパターンの作製にあたってピクセルサイズレベルでの比較的高い位置精度が要求され、歩留まりの悪化、製造効率の低下などを招く虞がある。
【0030】
そこで本実施の形態では、位相マスク4の位相マスクパターンとして、SLM3からの参照光が照射されるべき参照光領域については、従来どおり離散的な位相構造が得られるように形成し、信号光が照射されるべき信号光領域については、連続的な位相構造が得られるように形成する。
【0031】
先ず、図4を参照して、位相マスク4における上記参照光領域と上記信号光領域とについて説明する。なお、この図4は位相マスク4の平面図である。この図4に示されるように、位相マスク4におけるSLM3からの参照光が照射されるべき領域を参照光領域A−1としている。同様に、SLM3からの信号光が照射されるべき領域を信号光領域A−2としている。
【0032】
そして、上述のようにして参照光領域A−1については、次の図5に位相構造の立体斜視図として示すような離散的な位相構造が与えられるように、その位相マスクパターンを形成する。具体的には、例えば図示するように「0」「1」の2値による位相の変化を与えるものである。
例えばこの「0」「1」などのように2値により位相が変化する位相構造のことを、本明細書では「離散的な位相構造」と呼ぶ。
【0033】
このような離散的な位相構造とされることで、ピクセル単位での位置精度を比較的高精度に保つことができる。すなわち、このように高い位置精度が確保できることで、上述のような記録/再生ごと及び装置間での参照光の同一性の確保が高い精度で実現でき、これにより互換性の確保の安定化を図ることができる。
【0034】
一方で、信号光領域A−2については、次の図6による位相構造の立体斜視図として示すようにして、連続的な位相構造が与えられるようにして位相マスクパターンを形成するものとしている。すなわち、図示するようにして位相の変化が2値ではなく連続的に変化するような位相構造が与えられるようにするものである。
このようにして、先の離散的な位相構造のような2値の変化ではなく、位相の変化が連続的となる位相構造を、本明細書では「連続的な位相構造」と呼んでいる。
【0035】
ここで、このように連続的な位相構造とすれば、信号光領域A−2に形成した位相マスクパターンとSLM3の各ピクセルとの位置関係が予め定められた位置関係からずれた場合にも、従来の離散的な位相構造とする場合のような信号光の品質劣化が生じないようにすることができる。
すなわち、本実施の形態の位相マスク4によれば、先に述べたような参照光の離散的な位相構造により従来どおり記録/再生ごとや装置間での互換性を確保した上で、上記信号光の連続的な位相構造により、SLM3の各ピクセルに対する対応位置関係を考慮せずに信号光領域A−2の位相マスクパターンの設定を行うことができるものとなる。
【0036】
上述もしたようにコアキシャル方式の場合、参照光のみが同一位相構造で変調されたものでありさえすれば、如何なる位相構造の信号光によって記録されたデータも適正に再生することができる。このため、上記のようにして信号光の品質劣化防止のために各ピクセルとの対応位置関係を考慮する必要がなくなる本実施の形態によれば、信号光領域A−2の位相マスクパターンは、本来の目的(例えば信号光の干渉制御、DC成分の抑制など)が達成されるものであれば自由にそのパターンを設定することができる。
このことから本実施の形態によれば、位相マスク4における信号光領域A−2の位相マスクパターンの作製の自由度を広げることができると共に、上記のようにピクセル単位での位置合わせが不要となることで作製精度の緩和、及びこれに伴う位相マスク4の製造プロセスの簡略化が図られる。そして、このような製造プロセスの簡略化が図られることによって位相マスク4の製造コスト削減を図ることもできる。
【0037】
ここで、信号光に連続的な位相構造を与えるための位相マスク4の製造方法の一例について述べておくと、先ず、例えばガラスなど透過性を有する所定材料にレジストを塗布後、グレー(濃淡)マスクを用いて紫外光による一括露光を行う。その上で、露光部を除去し、エッチングによって上記所定材料内に位相マスクパターンを作り込むようにすればよい。
【0038】
また、これまでの説明から理解されるように、本実施の形態の位相マスク4において、参照光領域A−1としては、SLM3にて参照光を透過した領域に対する対応位置関係が予め定められた位置関係となるようにピクセル単位で一致させる必要があるものとなる。この点で位相マスク4は、SLM3に対して離間して設けるよりも、SLM3に対して位置決め固着されるようにして設けられた方が、ピクセル単位での位置精度確保の容易さの面で好ましいものとなる。
なお、図1に示したようにしてSLM3と位相マスク4とが離間して設けられる場合としても、上記のようにしてSLM3にて参照光を透過した領域に対する位相マスク4上の対応位置関係が予め定められた位置関係で一致するように光学的な倍率や位置関係が調整されていればよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、実施の形態では、記録再生装置1が透過型のホログラム記録媒体5に対応する構成を採る場合を例示したが、反射膜を備える反射型のホログラム記録媒体に対応した構成とすることもできる。その場合、先の図1に示した構成とは異なり、SLM3→位相マスク4を介した参照光・信号光を偏光ビームスプリッタに入射し、当該偏光ビームスプリッタを透過した光を対物レンズを介して反射型のホログラム記録媒体に照射して記録を行う。そして、再生時には、上記と同様の経路により反射型のホログラム記録媒体に参照光を照射した結果得られる反射光による回折光を、記録時と共通の対物レンズに入射させ、当該対物レンズを介して得られる平行光による反射光が上記偏光ビームスプリッタによって反射されるようにした上で、この反射された光をイメージセンサ6側に導くようにする。
【0040】
また、実施の形態では、本発明の記録装置がホログラム記録媒体についての再生も可能な記録再生装置として構成される場合を例示したが、記録のみが可能な記録専用装置とすることもできる。その場合、図1に示した対物レンズOL-2、イメージセンサ6など再生系の構成は省略することができる。
【0041】
また、先の図4では、参照光に与える位相構造として2値のランダム位相構造を例示したが、参照光に与える位相構造としては離散的な位相構造であれば他の構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態としての記録装置の要部の構成を示したブロック図である。
【図2】ホログラム記録媒体への記録手法ついて説明するための図である。
【図3】ホログラム記録媒体の再生手法について説明するための図である。
【図4】位相マスクの平面図である。
【図5】離散的な位相構造について説明するための図である。
【図6】連続的な位相構造について説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
1 記録再生装置、2 コリメータレンズ、RL-1,RL-2 リレーレンズ、3 SLM(空間光変調器)、4 位相マスク、5 ホログラム記録媒体、6 イメージセンサ、OL-1、OL-2 対物レンズ、LD レーザダイオード
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年10月3日(2006.10.3)
【代理人】 【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫

【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫

【識別番号】100128680
【弁理士】
【氏名又は名称】和智 滋明


【公開番号】 特開2008−90079(P2008−90079A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−272156(P2006−272156)