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【発明の名称】 計算機合成ホログラム及びその作製方法
【発明者】 【氏名】北村 満

【氏名】北村 明子

【要約】 【課題】フルカラーの画像再生が可能であると共に、解像度が従来のものより高い計算機合成ホログラム。

【解決手段】ホログラムの記録面20上に多数の平行な切断面によって水平方向に分割することで多数の線状の分割領域C1r,C1g,C1b等が設定され、多数の分割領域を横断する方向に周期的に異なる波長RGBに対応する振幅情報と位相情報とが記録されており、所定の照明Lwにより再生した場合に、各分割領域に記録された振幅情報と位相情報とから回折された周期的に異なる波長の再生光がホログラムの記録面に対して所定位置Eの視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されており、同一の分割領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、異なる分割領域に属する個々の点には、原画像の対応する異なる部分に関する情報が記録されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機を用いた演算により所定の記録面上に振幅情報と位相情報を記録してなる計算機合成ホログラムを作製する方法であって、
所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面とを定義する段階と、
前記原画像と前記記録面とを多数の平行な切断面によって水平方向に分割することで多数の線状の分割領域であって、前記原画像の分割領域と前記記録面の分割領域とが1対1の対応関係になるような分割領域を定義する段階と、
前記原画像の多数の分割領域を横断する方向に各分割領域から発せられる光の波長が分割領域に応じて周期的に異なるように、複数の異なる波長の光を発する点又は線分光源アレーを前記原画像の多数の分割領域に周期的に配置する段階と、
前記記録面の分割領域上に多数の演算点を定義し、個々の演算点に対して、前記原画像の対応する分割領域の点又は線分光源アレーの各々の点又は線分光源から達する光の合成光である物体光の振幅情報と位相情報とを演算する段階と、
個々の演算点について求められた振幅情報と位相情報とを記録媒体上に記録する段階と、
を有することを特徴とする計算機合成ホログラムの作製方法。
【請求項2】
個々の演算点について求められた振幅情報と位相情報とを記録媒体上に記録する方法として、演算点での物体光と参照光との干渉縞で記録することを特徴とする請求項1記載の計算機合成ホログラムの作製方法。
【請求項3】
個々の演算点について求められた振幅情報と位相情報とを記録媒体上に記録する方法として、1面に溝を持った3次元セルの溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録することを特徴とする請求項1記載の計算機合成ホログラムの作製方法。
【請求項4】
前記原画像の多数の分割領域に周期的に配置される点又は線分光源アレーから発せられる光の複数の波長が3つであり、それぞれ赤色、緑色、青色の波長であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の計算機合成ホログラムの作製方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項記載の計算機合成ホログラムの作製方法で作製されたことを特徴とする計算機合成ホログラム。
【請求項6】
計算機を用いた演算を利用して所定の記録媒体上に複数の波長により表現されたカラー原画像の振幅情報と位相情報を記録した計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの記録面上に多数の平行な切断面によって水平方向に分割することで多数の線状の分割領域が設定され、
多数の分割領域を横断する方向に周期的に異なる波長に対応する振幅情報と位相情報とが記録されており、
所定の照明により再生した場合に、各分割領域に記録された振幅情報と位相情報とから回折された周期的に異なる波長の再生光がホログラムの記録面に対して所定位置の視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されており、
同一の分割領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、異なる分割領域に属する個々の点には、原画像の対応する異なる部分に関する情報が記録されていることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【請求項7】
各分割領域に記録された振幅情報と位相情報が物体光と参照光との干渉縞として記録されていることを特徴とする請求項6記載の計算機合成ホログラム。
【請求項8】
各分割領域に記録された振幅情報と位相情報が、溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録した1面に溝を持った3次元セルとして記録されていることを特徴とする請求項6記載の計算機合成ホログラム。
【請求項9】
分割領域に記録されている周期的に異なる波長が3つであり、それぞれ赤色、緑色、青色の波長であることを特徴とする請求項6から8の何れか1項記載の計算機合成ホログラム。
【請求項10】
物体光の複素振幅が記録され観察方向に応じて複数の画像が選択的に再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、前記仮想点光源群の面と前記ホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の放射輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では前記仮想点光源群の面に位置する別々の画像のその仮想点光源位置での画素の対応する波長の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点からそのスライス面内で発散する発散光に等しいものに設定されてなる発散光が物体光として前記仮想点光源群の発散光入射側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【請求項11】
物体光の複素振幅が記録され観察方向に応じて複数の画像が選択的に再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、前記ホログラムの面と前記仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想集光点に集光する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では前記仮想集光点群の面に位置する別々の画像のその仮想集光点位置での画素の対応する波長の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点に収束する収束光に等しいものに設定されてなる収束光が物体光として前記仮想集光点群の収束光入射側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【請求項12】
物体光の複素振幅が記録され立体物が再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、前記仮想点光源群の面と前記ホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の輝度角度分布が、観察側から当該仮想点光源をそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の対応する波長の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想点光源各々から発散する発散光が相互に重畳して物体光として前記仮想点光源群の観察側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【請求項13】
物体光の複素振幅が記録され立体物が再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、前記ホログラムの面と前記仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が、当該仮想集光点を通して観察側からそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の対応する波長の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想集光点各々に入射する収束光が相互に重畳して物体光として前記仮想集光点群の観察側と反対側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機合成ホログラム及びその作製方法に関し、特に、フルカラーの画像再生が可能で解像度の高い計算機合成ホログラムとその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、白色光の下でフルカラーの画像再生が可能な計算機ホログラム(計算機合成ホログラム)とその作製方法が開示されている。特許文献1に記載の計算機ホログラムは、
○記録媒体を単位領域に分け、
○この単位領域の中に赤領域、緑領域、青領域にあたる3つの分割領域を設け、
○さらに、単位領域と同一の数のRGB色の情報を持った点光源をフルカラーの原画像表面に設定し、
○単位領域内の赤領域内、緑領域内、青領域内にRGB色の情報を持った点光源の対応するそれぞれの色の情報を記録するものである。
【0003】
以下、その作製方法を説明する。図11は特許文献1に記載の記録方法の具体例を示す斜視図である。この例では、原画像10及び記録媒体(記録面)20を、それぞれ多数の平行線(平行な切断面)によって水平方向に分割し、多数の線状の単位領域を定義している。すなわち、図11に示す通り、原画像10は、合計M個の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMに分割されており、記録媒体20は、同じく合計M個の単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMに分割されている。原画像10が立体画像の場合、各単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMは、この立体の表面部分を分割することによって得られる領域になる。ここで、原画像10上のM個の単位領域と記録媒体20上のM個の単位領域とは、それぞれが1対1の対応関係にある。たとえば、原画像10上の第m番目の単位領域Amは、記録媒体20上の第m番目の単位領域Cmに対応している。
【0004】
そして、原画像10の個々の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMは、点光源が一列に並んだ線状の領域になっている。図11に示す例では、例えば、第m番目の単位領域Amには、N個の点光源Pm1〜PmNが一列に並んでいる(なお、原画像10の物体の形状によっては、単位領域Amは一本線でない場合もある。例えば3つの球が並んでいれば、切断面は3つの円形状となり、それぞれの円上に点光源が並んで配列されることになる。)。また、記録媒体20の各単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMは、図12にそれぞれ破線で示すように3分割して分割領域を形成している。ここで、分割領域C1r,C1g,C1bは、図11に示す単位領域C1を分割して得られた分割領域である。
【0005】
そして、記録媒体20の任意の単位領域中の任意の分割領域上の演算点Qについての干渉縞は、次のようにして求められる。ここで、任意の分割領域として、Cmrを選択するが、Cmg,Cmbについても同様である。まず、この演算点Qが所属する単位領域Cmに対応する原画像10上の単位領域Amを演算対象単位領域として定める。そして、この演算対象単位領域Am内の点光源Pm1〜PmNから発せられた色Rの物体光Om1r〜OmNr(分割領域がCmg,Cmbの場合は、それぞれ色Gの物体光Om1g〜OmNg、色Bの物体光Om1b〜OmNb)の位相を含めた合成光と、同じ色Rの参照光Lθmrとによって演算点Qで形成される干渉縞を求めれば、目的とする演算点Qにおける干渉縞である。ここで、参照光Lθmrは、YZ平面に平行な単色平行光線である。なお、参照光Lθmrは、YZ平面に平行でなく斜めからの参照光でもよい。
【0006】
図13は、このような演算処理の概念を説明するための上面図であり、図11に示す原画像10及び記録媒体20を、図の上方から見た状態を示している。図13に示す通り、演算点Qにおける干渉縞を求めるのに必要な物体光は、色Rの分割領域Cmrに関しては、演算対象単位領域Am内のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…,PmNから発せられた色Rの物体光Om1r,…,Omir,…,OmNrのみに限定され、色Gの分割領域Cmgに関しては、演算対象単位領域Am内のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…,PmNから発せられた色Gの物体光Om1g,…,Omig,…,OmNgのみに限定され、色Bの分割領域Cmbに関しては、演算対象単位領域Am内のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…,PmNから発せられた色Bの物体光Om1b,…,Omib,…,OmNbのみに限定され、原画像10を構成する全点光源からの物体光を考慮する必要はない。こうして、記録媒体20上に定義した全ての演算点Qについて、それぞれ所定の干渉縞を求れば、記録媒体20上に干渉縞の分布が得られることになる。
【0007】
図14は、上述のような方法で記録されたカラー原画像を再生している状態を示す側面図である。記録媒体20には、仮想照明として設定された白色照明光Lw(YZ平面に平行な平行光線)が記録媒体20に対して角度αをもって照射されている。ここで、記録媒体20の上方に位置する分割領域C1r,C1g,C1bには、点光源P1(P11,…,P1i,…,P1Nの集合を点光源P1で表す。Pm,PMについても同様。)のそれぞれ色R,G,Bの成分の情報が記録されているが、再生時には、図のように、各色成分の再生光は何れも仮想視点Eの方向に進行することになる。これは、記録媒体20の中程に位置する分割領域Cmr,Cmg,Cmbからの再生光や、記録媒体20の下方に位置する分割領域CMr,CMg,CMbからの再生光についても同様である。結局、仮想視点Eの位置に視点を置けば、分割領域C1r,C1g,C1bからは、それぞれ点光源P1に関する色R,G,Bの再生光が得られ、分割領域Cmr,Cmg,Cmbからは、それぞれ点光源Pmに関する色R,G,Bの再生光が得られ、分割領域CMr,CMg,CMbからは、それぞれ点光源PMに関する色R,G,Bの再生光が得られることになり、点光源P1,Pm,PMから構成されるカラー原画像が高い色再現性をもって観察されることになる。
【0008】
図15は、以上の特許文献1で提案された計算機ホログラムの作製方法を模式的に示す図であり、後の本発明の作製方法を説明するために重要であるので、図15の意味を説明する。上記したように、原画像(物体)10は、水平方向の多数の線状の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMに分割されており、記録媒体20も原画像(物体)10の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMに対応して水平方向の多数の線状の単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMに分割されている。そして、記録媒体20の各単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMはそれぞれ例えば分割領域Cmr,Cmg,Cmbのように3分割されている。原画像(物体)10の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMの幅又はピッチがhのとき、記録媒体20の単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMの対応する幅又はピッチはhとなっている。これが、図15の意味するところである。
【特許文献1】特開2000−214751号公報
【特許文献2】特開2002−72837号公報
【特許文献3】特開2005−215570号公報
【特許文献4】特開2004−309709号公報
【特許文献5】特開2004−264839号公報
【非特許文献1】「3次元画像コンファレンス‘99−3D Image Conference‘99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」
【非特許文献2】辻内順平著「ホログラフィー」pp.33〜36((株)裳華房、1997年11月5日発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の作製方法で計算機合成ホログラムを作製すれば、白色光の下で色再現性の良いフルカラー画像が再生できる。
【0010】
しかしながら、微細な構造を持つ物体を記録媒体に記録しようとした場合、物体が微細であればある程、単位領域も細かくしなければならないという問題点があった。すなわち、記録媒体上に設定する単位領域の幅を決めると、解像度はその幅に限定されることになる。
【0011】
本発明は、従来技術のこのような問題点に鑑みてなさたものであり、その目的は、フルカラーの画像再生が可能であると共に、解像度が従来のものより高い計算機合成ホログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の計算機合成ホログラムの作製方法は、計算機を用いた演算により所定の記録面上に振幅情報と位相情報を記録してなる計算機合成ホログラムを作製する方法であって、
所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面とを定義する段階と、
前記原画像と前記記録面とを多数の平行な切断面によって水平方向に分割することで多数の線状の分割領域であって、前記原画像の分割領域と前記記録面の分割領域とが1対1の対応関係になるような分割領域を定義する段階と、
前記原画像の多数の分割領域を横断する方向に各分割領域から発せられる光の波長が分割領域に応じて周期的に異なるように、複数の異なる波長の光を発する点又は線分光源アレーを前記原画像の多数の分割領域に周期的に配置する段階と、
前記記録面の分割領域上に多数の演算点を定義し、個々の演算点に対して、前記原画像の対応する分割領域の点又は線分光源アレーの各々の点又は線分光源から達する光の合成光である物体光の振幅情報と位相情報とを演算する段階と、
個々の演算点について求められた振幅情報と位相情報とを記録媒体上に記録する段階と、
を有することを特徴とする方法である。
【0013】
この場合に、個々の演算点について求められた振幅情報と位相情報とを記録媒体上に記録する方法として、演算点での物体光と参照光との干渉縞で記録する方法、1面に溝を持った3次元セルの溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録する方法等を用いることができる。
【0014】
また、前記原画像の多数の分割領域に周期的に配置される点又は線分光源アレーから発せられる光の複数の波長が3つであり、それぞれ赤色、緑色、青色の波長である場合が最も典型的な形態である。
【0015】
本発明は、以上の計算機合成ホログラムの作製方法で作製された計算機合成ホログラムを含むものである。
【0016】
本発明の計算機合成ホログラムは、計算機を用いた演算を利用して所定の記録媒体上に複数の波長により表現されたカラー原画像の振幅情報と位相情報を記録した計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの記録面上に多数の平行な切断面によって水平方向に分割することで多数の線状の分割領域が設定され、
多数の分割領域を横断する方向に周期的に異なる波長に対応する振幅情報と位相情報とが記録されており、
所定の照明により再生した場合に、各分割領域に記録された振幅情報と位相情報とから回折された周期的に異なる波長の再生光がホログラムの記録面に対して所定位置の視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されており、
同一の分割領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、異なる分割領域に属する個々の点には、原画像の対応する異なる部分に関する情報が記録されていることを特徴とするものである。
【0017】
この場合に、各分割領域に記録された振幅情報と位相情報が物体光と参照光との干渉縞として記録されていても、あるいは、溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録した1面に溝を持った3次元セルとして記録されていてもよい。
【0018】
また、分割領域に記録されている周期的に異なる波長が3つであり、それぞれ赤色、緑色、青色の波長であることが望ましい。
【0019】
本発明は、さらに次のような計算機合成ホログラムを含むものである。
【0020】
(1) 物体光の複素振幅が記録され観察方向に応じて複数の画像が選択的に再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、前記仮想点光源群の面と前記ホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の放射輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では前記仮想点光源群の面に位置する別々の画像のその仮想点光源位置での画素の対応する波長の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点からそのスライス面内で発散する発散光に等しいものに設定されてなる発散光が物体光として前記仮想点光源群の発散光入射側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【0021】
(2) 物体光の複素振幅が記録され観察方向に応じて複数の画像が選択的に再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、前記ホログラムの面と前記仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想集光点に集光する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では前記仮想集光点群の面に位置する別々の画像のその仮想集光点位置での画素の対応する波長の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点に収束する収束光に等しいものに設定されてなる収束光が物体光として前記仮想集光点群の収束光入射側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【0022】
(3) 物体光の複素振幅が記録され立体物が再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、前記仮想点光源群の面と前記ホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の輝度角度分布が、観察側から当該仮想点光源をそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の対応する波長の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想点光源各々から発散する発散光が相互に重畳して物体光として前記仮想点光源群の観察側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【0023】
(4)物体光の複素振幅が記録され立体物が再生可能な計算機合成ホログラムにおいて、
ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、前記ホログラムの面と前記仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想集光点に集光する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の前記仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が、当該仮想集光点を通して観察側からそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の対応する波長の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想集光点各々に入射する収束光が相互に重畳して物体光として前記仮想集光点群の観察側と反対側の何れかの位置で記録されてなることを特徴とする計算機合成ホログラム。
【発明の効果】
【0024】
以上の本発明の作製方法で作製された計算機合成ホログラムは、分割領域の大きさを細かくすることなく、解像度のみを上げて、例えばRGB3 原色を再現することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照にして本発明の計算機合成ホログラム(CGH)の作製方法とその作製方法で得られた計算機合成ホログラムの実施例を説明する。図1は本発明による記録方法の概念の1実施例を示す斜視図である。この実施例では、原画像10及び記録媒体(記録面)20を、それぞれ多数の平行線(平行な切断面)によって水平方向に分割し、多数の線状の分割領域を定義している。すなわち、図1に示す通り、原画像10は、合計3M個の分割領域A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMbに分割されており、記録媒体20は、同じく合計3M個の分割領域C1r,C1g,C1b,C2r,C2g,C2b,…,Cmr,Cmg,Cmb,…,CMr,CMg,CMbに分割されている。原画像10が立体画像の場合、各分割領域A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMbは、この立体の表面部分を分割することによって得られる領域になる。ここで、原画像10上の3M個の分割領域と記録媒体20上の3M個の分割領域とは、それぞれが1対1の対応関係にある。たとえば、原画像10上のr,g,bの繰り返し番号m番目の中の1番目(第mr番目とする。以下同様。)の分割領域Amrは、記録媒体20上のr,g,bの繰り返し番号m番目の中の1番目の分割領域Cmrに対応している。
【0026】
そして、原画像10の個々の分割領域A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMbは、点光源が一列に並んだ線状の領域になっている。図1に示す例では、例えば、第mr番目の分割領域Amrには、N個の色R(赤色)の光を分割領域Amrと分割領域Cmrを含む平面内で扇状に発する点光源Pmr1〜PmrNが一列に並んでいる。同様に、第mg番目の分割領域Amgには、N個の色G(緑色)の光を分割領域Amgと分割領域Cmgを含む平面内で扇状に発する点光源Pmg1〜PmgNが一列に並んでおり、第mb番目の分割領域Ambには、N個の色B(青色)の光を分割領域Ambと分割領域Cmbを含む平面内で扇状に発する点光源Pmb1〜PmbNが一列に並んでいる。
【0027】
そして、記録媒体20の任意の分割領域中の演算点Qについての干渉縞は、次のようにして求められる。ここで、任意の分割領域として、Cmrを選択するが、Cmg,Cmbについても同様である。まず、この演算点Qが所属する分割領域Cmrに対応する原画像10上の分割領域Amrを演算対象分割領域として定める。そして、この演算対象分割領域Amr内の点光源Pmr1〜PmrNから発せられた色Rの物体光Omr1〜OmrN(分割領域がCmg,Cmbの場合は、それぞれ色Gの物体光Omg1〜OmgN、色Bの物体光Omb1〜OmbN)の位相を含めた合成光(物体光)と、同じ色Rの参照光Lθmrとによって演算点Qで形成される干渉縞を求めれば、目的とする演算点Qにおける干渉縞である。ここで、参照光Lθmrは、YZ平面に平行な単色平行光線である。なお、参照光Lθmrは、YZ平面に平行でなく斜めからの参照光でもよい。
【0028】
図2は、このような演算処理の概念を説明するための上面図であり、図1に示す原画像10及び記録媒体20を、図の上方から見た状態を示している。図2に示す通り、演算点Qにおける干渉縞を求めるのに必要な物体光は、色Rの分割領域Cmrに関しては、演算対象分割領域Amr内のN個の点光源Pmr1,…,Pmri,…,PmrNから発せられたOmr1,…,Omri,…,OmrNのみに限定され、色Gの分割領域Cmgに関しては、演算対象分割領域Amg内のN個の点光源Pmg1,…,Pmgi,…,PmgNから発せられたOmg1,…,Omgi,…,OmgNのみに限定され、色Bの分割領域Cmbに関しては、演算対象分割領域Amb内のN個の点光源Pmb1,…,Pmbi,…,PmbNから発せられたOmb1,…,Ombi,…,OmbNのみに限定され、原画像10を構成する全点光源からの物体光を考慮する必要はない。こうして、記録媒体20上に定義した全ての演算点Qについて、それぞれ所定の干渉縞を求れば、記録媒体20上に干渉縞の分布が得られることになる。
【0029】
以上のような記録方法をとっているので、原画像10上ではRGB3色の点光源アレイ(点光源Pmr1〜PmrN、Pmg1〜PmgN、Pmb1〜PmbN)を繰り返し単位としてその繰り返し単位がM個並列配置されており、記録媒体20上では、それに対応してそれぞれ色RGBの干渉縞が記録された分割領域Amr,Amg,Ambを繰り返し単位としてその繰り返し単位がM個並列配置されていることになる。
【0030】
図3は、以上の例の本発明の計算機合成ホログラムの作製方法を模式的に示す図であり、上記したように、原画像(物体)10は、水平方向の多数の線状の分割領域A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMbに分割されており、記録媒体20も原画像(物体)10の分割領域A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMbにに対応して水平方向の多数の線状の分割領域C1r,C1g,C1b,C2r,C2g,C2b,…,Cmr,Cmg,Cmb,…,CMr,CMg,CMbに分割されている。原画像(物体)10の分割領域A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMbの幅又はピッチがh/3のとき、記録媒体20の分割領域C1r,C1g,C1b,C2r,C2g,C2b,…,Cmr,Cmg,Cmb,…,CMr,CMg,CMbの対応する幅又はピッチは同様にh/3となっている。そして、記録媒体20上のRGB繰り返しピッチはh/3×3=hとなっている。
【0031】
図4は、上述のような方法で記録されたカラー原画像を再生している状態を示す側面図である。記録媒体20には、仮想照明として設定された白色照明光Lw(YZ平面に平行な平行光線)が記録媒体20に対して角度αをもって照射されている。ここで、記録媒体20の上方に位置する分割領域C1r,C1g,C1bには、それぞれ点光源P1r(P1r1,…,P1ri,…,P1rNの集合を点光源P1rで表す。P1g,P1b等についても同様。),P1g,P1bのそれぞれ色R,G,Bの情報が記録されているが、再生時には、図のように、各色成分の再生光は何れもホログラムの記録面に対して所定位置の視点位置Eで観察できる方向に進行することになる。これは、記録媒体20の中程に位置する分割領域Cmr,Cmg,Cmbからの再生光や、記録媒体20の下方に位置する分割領域CMr,CMg,CMbからの再生光についても同様である。結局、仮想視点Eの位置に視点を置けば、分割領域C1r,C1g,C1bからは、それぞれ点光源P1r,P1g,P1bに関する色R,G,Bの再生光が得られ、分割領域Cmr,Cmg,Cmbからは、それぞれ点光源Pmr,Pmg,Pmbに関する色R,G,Bの再生光が得られ、分割領域CMr,CMg,CMbからは、それぞれ点光源PMr,PMg,PMbに関する色R,G,Bの再生光が得られることになり、点光源P1r,P1g,P1b,…,Pmr,Pmg,Pmb,…,PMr,PMg,PMbから構成されるカラー原画像10が高い色再現性をもって観察されることになる。仮想視点Eが記録媒体20から十分に離れていると考え、再生光が記録媒体20の面の法線方向に進行するようにしてもよい。
【0032】
次に、以上の本発明の計算機合成ホログラム(CGH)の作製方法をフローチャートに基づいて説明する。
【0033】
CGHの作製方法はよく知られており(例えば、非特許文献1参照)、CGHの例として、干渉縞の強度分布を記録したバイナリホログラムであって、再生像が水平方向の視差のみを持ち、上方からの白色光で観察される場合について、その概要を説明すると、図5に示すように、ステップST1で、CGH化する物体(原画像10)の形状が定義される。次いで、ステップST2で、物体、CGH面(記録媒体20の記録面)、参照光の空間配置が定義される。次いで、ステップST3で、物体は、水平面でのスライスにより垂直方向に上記の分割領域に分割され、さらにスライス面上で点光源の集合(点光源アレイ)に置き換えられる。そして、ステップST4で、これらの空間配置に基き、CGH面上に定義された分割領域の各サンプル点において、物体を構成する各点光源から到達する光と参照光との干渉縞の強度が演算により求められ、干渉縞データが得られる。次に、ステップST5で、得られた干渉縞データは量子化された後、ステップST6で、EB描画用矩形データに変換され、ステップST7で、EB描画装置により媒体に記録され、CGHが得られる。
【0034】
本発明の作製方法で得られたCGHでは、再生像の解像度は、原画像10に設定する点光源の密度によって決まるので、図4のCGH(本発明)と図14のCGH(従来例)とを比較すると、記録媒体20上での分割領域Cmr,Cmg,Cmbの寸法(幅)を同じとするなら、図4の場合は点光源の密度が3倍になっている分、解像度は高くなり微細な構造を持つ物体を記録することが可能になる。ただし、色パターンの再現性については同程度である。
【0035】
なお、以上の方法において、分割領域上の演算点Qでの物体光の振幅と位相の記録には、上記で説明したような参照光との干渉による干渉縞で記録する方法以外に、特許文献2、3に記載されているように1面に溝を持った3次元セルの溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録する方法でもよい。
【0036】
あるいは、非特許文献1に記載されたA.W.Lohmann等の方法、Leeの方法等で振幅と位相を記録するようにしてもよい。
【0037】
また、原画像10の個々の分割領域に配置する点光源アレイの色としても、上記のようにRGBの3原色に限定されず、他の色(波長)の組み合わせでもよく、さらには、3色ではなく、2色あるいは4色以上であってもよい。2色とする場合は、3色と比較してデータ量を減らすことができる。4色以上の場合は、3色と比較して色域を広げることができる。
【0038】
次に、本発明の実施例と比較例を示す。
【0039】
図6(b)に示すように、特許文献1に記載の記録方法により、単位領域を120μmの大きさとして、記録媒体へ記録する。1つの点光源がRGB3色分の情報を持つようにし、記録媒体の分割領域の大きさを40μm(R:40μm,B:40μm,B:40μm)とした場合、点光源は40μmの分割領域3色分である120μmの間隔の中に1つの間隔で存在することに相当する。このとき、記録媒体へ記録された約1000μm〜約1400μmの文字を読むことはできなかった。
【0040】
一方、本発明のように、1つの点光源が各々1色分の情報を持っているとし、分割領域の大きさを40μm(R:40μm,B:40μm,B:40μm)とした場合、40μmの間隔の中に1つ点光源が存在することになる。この場合、120μmの中に3つの点光源が40μm間隔で存在することに相当する。本発明の作成方法で作成した計算機合成ホログラムの再生画像は、特許文献1の作製方法で作成した計算機合成ホログラムの再生画像と比較して、同じ大きさの分割領域を持つ計算機合成ホログラムであるが、3倍の解像度を持つホログラムを作製することができた。そのため、記録媒体へ記録された約1000μm〜約1400μmの文字を読むことが可能となった。
【0041】
次に、本発明のような計算機合成ホログラムの解像度の高いカラー化の手法を他のタイプの計算機合成ホログラムに適用することもできる。
【0042】
まず、特許文献4で提案された計算機合成ホログラムに適用する場合を説明する。図7に示すように、z軸に沿ってプラス方向に仮想点光源群11、CGH12、観察者Mの順に配置し、y軸に垂直な多数のスライス面で仮想点光源群11とCGH12を区切り、そのスライス面内に仮想点光源Qi (x1 ,y1 ,z1 )からCGH12への物体波の入射が制限されている。そのスライス面内で、仮想点光源Qi (x1 ,y1 ,z1 )から視差1方向に出る物体波1には、第1の画像I1 例えば文字“A”の画素位置iでの濃度を振幅として持った波とし、視差2方向に出る物体波1には、第2の画像I2 例えば文字“B”の画素位置iでの濃度を振幅として持った波とし、同様に、視差8方向に出る物体波1には、第8の画像I8 例えば文字“H”の画素位置iでの濃度を振幅として持った波とし、これらの“A”、“B”、・・・、“H”の画素位置iでの濃度を視差方向に応じて同時に持った物体波1を合成する。その物体波1の位相と振幅をホログラフィックに記録することにより、視差方向に応じて異なる画像I1 、I2 、・・・、Im が選択的に再生可能なCGH12が得られる。
【0043】
すなわち、ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、仮想点光源群の面とホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、スライス面内の仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の放射輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では仮想点光源群の面に位置する別々の画像のその仮想点光源位置での画素の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点からそのスライス面内で発散する発散光に等しいものに設定されてなる発散光が物体光として仮想点光源群の発散光入射側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムである。
【0044】
また、特許文献4で提案されているもう1つの計算機合成ホログラムは、図8に示すように、z軸に沿ってプラス方向にCGH12、仮想集光点群13、観察者Mの順に配置し、y軸に垂直な多数のスライス面でCGH12と仮想集光点群13を区切り、そのスライス面内にCGH12から仮想集光点Qi (x1 ,y1 ,z1 )に物体波の入射が制限されている。そのスライス面内で、仮想集光点Qi (x1 ,y1 ,z1 )に一旦収束して視差1方向に出る物体波1には、第1の画像I1 例えば文字“A”の画素位置iでの濃度を振幅として持った波とし、視差2方向に出る物体波1には、第2の画像I2 例えば文字“B”の画素位置iでの濃度を振幅として持った波とし、同様に、視差8方向に出る物体波1には、第8の画像I8 例えば文字“H”の画素位置iでの濃度を振幅として持った波とし、これらの“A”、“B”、・・・、“H”の画素位置iでの濃度を視差方向に応じて同時に持った物体波1を合成する。その物体波1の位相と振幅をホログラフィックに記録することにより、視差方向に応じて異なる画像I1 、I2 、・・・、Im がCGH12が得られる。
【0045】
すなわち、ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、ホログラムの面と仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、スライス面内の仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では仮想集光点群の面に位置する別々の画像のその仮想集光点位置での画素の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点に収束する収束光に等しいものに設定されてなる収束光が物体光として仮想集光点群の収束光入射側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムである。
【0046】
このような特許文献4で提案されている計算機合成ホログラムにおいて、フルカラーの画像を記録・再生可能にするには、図11〜図15で説明したように、CGH12の面が各スライス面と交差する領域をそのスライス面に平行な3つの分割領域に分割し、一方、仮想点光源Qi (x1 ,y1 ,z1 )からはRGB3色の光を発散させてR、G、Bの色成分をその3つの分割領域に別々に入射させて記録するか、仮想集光点Qi (x1 ,y1 ,z1 )にはCGH12のその3つの分割領域からそれぞれR、G、Bの色成分が集光するようにしてもよいが、この方式では、図11〜図15の計算機合成ホログラムと同様に、微細な構造を持つ物体を記録媒体に記録しようとした場合、記録媒体上に設定する単位領域の幅を決めると、解像度はその幅に限定されることになる。
【0047】
そこで、y軸に垂直なスライス面の密度を3倍にして、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的にRGBを割り当て、Rのスライス面内では、仮想点光源から発散する光あるいは仮想集光点へ集光する光を色Rとし、Gのスライス面内では、仮想点光源から発散する光あるいは仮想集光点へ集光する光を色Gとし、Bのスライス面内では、仮想点光源から発散する光あるいは仮想集光点へ集光する光を色Bとすることで、図1〜図4の計算機合成ホログラムと同様に、再生像の解像度は、仮想点光源群11あるいは仮想集光点群13に設定する点光源あるいは集光点の密度によって決まるので、CGH12の面上での分割領域の寸法(幅)を同じとするなら、点光源あるいは集光点の密度が3倍になっている分、解像度は高くなり微細な構造を持つ物体を記録することが可能になる。ただし、色パターンの再現性については同程度である。
【0048】
以上の物体光の複素振幅が記録され観察方向に応じて複数の画像が選択的に再生可能な計算機合成ホログラムは、ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、仮想点光源群の面とホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の放射輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では仮想点光源群の面に位置する別々の画像のその仮想点光源位置での画素の対応する波長の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点からそのスライス面内で発散する発散光に等しいものに設定されてなる発散光が物体光として仮想点光源群の発散光入射側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムとなる。
【0049】
もう1つの物体光の複素振幅が記録され観察方向に応じて複数の画像が選択的に再生可能な計算機合成ホログラムは、ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、ホログラムの面と仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想集光点に集光する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が角度分割されて、それぞれの分割角度内では仮想集光点群の面に位置する別々の画像のその仮想集光点位置での画素の対応する波長の濃度あるいはその濃度と一定の関係にある値に等しい振幅の点に収束する収束光に等しいものに設定されてなる収束光が物体光として仮想集光点群の収束光入射側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムとなる。
【0050】
次に、特許文献5で提案された計算機合成ホログラムに適用する場合を説明する。図9に示すように、z軸に沿ってプラス方向に仮想点光源群11、物体100、CGH12、観察者Mの順に配置し、y軸に垂直な多数のスライス面で仮想点光源群11と物体100とCGH12を区切り、そのスライス面内に仮想点光源Qi (x1 ,y1 ,z1 )からCGH12への物体波の入射が制限されている。そのスライス面内で、CGH12として記録再生可能にする3次元物体100の観察側と反対側に多数の仮想点光源Qi (x1 ,y1 ,z1 )を設定し、各仮想点光源Qi から発散する発散光の輝度角度分布を、観察側からその3次元物体100を通してその仮想点光源Qi を見たときのその3次元物体100表面の輝度角度分布と等しいものに設定し、このような仮想点光源Qi からの発散光をCGH12の面で相互に重畳させて、その重畳された位相と振幅をホログラフィックに記録することにより、3次元物体100を再生可能なCGH12が得られる。
【0051】
すなわち、ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、仮想点光源群の面とホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、スライス面内の仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の輝度角度分布が、観察側から当該仮想点光源をそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想点光源各々から発散する発散光が相互に重畳して物体光として仮想点光源群の観察側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムである。
【0052】
また、特許文献5で提案されているもう1つの計算機合成ホログラムは、図10に示すように、z軸に沿ってプラス方向にCGH12、物体100、仮想集光点群13、観察者Mの順に配置し、y軸に垂直な多数のスライス面でCGH12と物体100と仮想集光点群13を区切り、そのスライス面内にCGH12から仮想集光点Qi (x1 ,y1 ,z1 )に物体波の入射が制限されている。そのスライス面内で、CGH12として記録再生可能にする3次元物体100の観察側に多数の仮想集光点Qi (x1 ,y1 ,z1 )を設定し、各仮想集光点Qi に物体側から入射する収束光の輝度角度分布を、観察側から仮想集光点Qi を通してその3次元物体100を見たときのその3次元物体100表面の輝度角度分布と等しいものに設定し、このような仮想集光点Qi に入射する収束光をCGH12の面で相互に重畳させて、その重畳された位相と振幅をホログラフィックに記録することにより、3次元物体100を再生可能なCGH12が得られる。
【0053】
すなわち、ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、ホログラムの面と仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、スライス面内の仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が、当該仮想集光点を通して観察側からそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想集光点各々に入射する収束光が相互に重畳して物体光として仮想集光点群の観察側と反対側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムである。
【0054】
この場合も、図7〜図8の場合と同様に、y軸に垂直なスライス面の密度を3倍にして、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的にRGBを割り当て、Rのスライス面内では、仮想点光源から発散する光あるいは仮想集光点へ集光する光を色Rとし、Gのスライス面内では、仮想点光源から発散する光あるいは仮想集光点へ集光する光を色Gとし、Bのスライス面内では、仮想点光源から発散する光あるいは仮想集光点へ集光する光を色Bとすることで、図1〜図4の計算機合成ホログラムと同様に、再生像の解像度は、仮想点光源群11あるいは仮想集光点群13に設定する点光源あるいは集光点の密度によって決まるので、CGH12の面上での分割領域の寸法(幅)を同じとするなら、点光源あるいは集光点の密度が3倍になっている分、解像度は高くなり微細な構造を持つ物体を記録することが可能になる。ただし、色パターンの再現性については同程度である。
【0055】
以上の物体光の複素振幅が記録され立体物が再生可能な計算機合成ホログラムは、ホログラムの観察側と反対側に空間的に仮想点光源群が設定され、かつ、仮想点光源群の面とホログラムの面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想点光源から発散する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の仮想点光源群の各々の仮想点光源からそのスライス面内で観察側へ発散する発散光の輝度角度分布が、観察側から当該仮想点光源をそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の対応する波長の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想点光源各々から発散する発散光が相互に重畳して物体光として仮想点光源群の観察側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムとなる。
【0056】
もう1つの物体光の複素振幅が記録され立体物が再生可能な計算機合成ホログラムは、ホログラムの観察側に空間的に仮想集光点群が設定され、かつ、ホログラムの面と仮想集光点群の面を横切る平行な多数のスライス面が設定され、その多数のスライス面にスライス面に直交する方向に周期的に複数の異なる波長の光が割り当てられ、各スライス面内では、仮想集光点に集光する光の波長をその割り当てられた波長とし、スライス面内の仮想集光点群の各々の仮想集光点に観察側と反対側からそのスライス面内で入射する収束光の輝度角度分布が、当該仮想集光点を通して観察側からそのスライス面内で見たときの記録すべき物体表面の対応する波長の輝度角度分布と等しいものに設定されており、かつ、仮想集光点各々に入射する収束光が相互に重畳して物体光として仮想集光点群の観察側と反対側の何れかの位置で記録されてなる計算機合成ホログラムとなる。
【0057】
以上、本発明の計算機合成ホログラム及びその作製方法を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による計算機合成ホログラムの記録方法の概念の1実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の演算処理の概念を説明するための上面図である。
【図3】図1、図2の本発明の計算機合成ホログラムの作製方法を模式的に示す図である。
【図4】図1の方法で記録されたカラー原画像を再生している状態を示す側面図である。
【図5】本発明による計算機合成ホログラムの作製過程の概要を説明するためのフロー図である。
【図6】本発明の実施例と比較例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の手法が適用可能な他のタイプの計算機合成ホログラムの原理を説明するための図である。
【図8】本発明の手法が適用可能な他のタイプの計算機合成ホログラムの原理を説明するための図である。
【図9】本発明の手法が適用可能な他のタイプの計算機合成ホログラムの原理を説明するための図である。
【図10】本発明の手法が適用可能な他のタイプの計算機合成ホログラムの原理を説明するための図である。
【図11】従来の計算機合成ホログラムの記録方法を示す斜視図である。
【図12】従来例において記録媒体の各単位領域を3分割して分割領域を形成する様子を示す平面図である。
【図13】図11の演算処理の概念を説明するための上面図である。
【図14】図11の方法で記録されたカラー原画像を再生している状態を示す側面図である。
【図15】従来の計算機合成ホログラムの作製方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10…原画像
11…仮想点光源群
12…CGH
13…仮想集光点群
20…記録媒体(記録面)
100…物体
A1r,A1g,A1b,A2r,A2g,A2b,…,Amr,Amg,Amb,…,AMr,AMg,AMb…原画像の分割領域
C1r,C1g,C1b,C2r,C2g,C2b,…,Cmr,Cmg,Cmb,…,CMr,CMg,CMb…記録媒体の分割領域
Pmr1〜PmrN…色Rの光を発する点光源
Pmg1〜PmgN…色Gの光を発する点光源
Pmb1〜PmbN…色Bの光を発する点光源
Q…演算点
Omr1〜OmrN…色Rの物体光
Omg1〜OmgN…色Gの物体光
Omb1〜OmbN…色Bの物体光
Lθmr…参照光
Lw…白色照明光
P1r(P1r1,…,P1ri,…,P1rNの集合)…色Rの光を発する点光源
P1g(P1g1,…,P1gi,…,P1gNの集合)…色Gの光を発する点光源
P1b(P1b1,…,P1bi,…,P1bNの集合)…色Bの光を発する点光源
M…観察者
i …仮想点光源
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成18年10月11日(2006.10.11)
【代理人】 【識別番号】100097777
【弁理士】
【氏名又は名称】韮澤 弘

【識別番号】100088041
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 龍吉

【識別番号】100092495
【弁理士】
【氏名又は名称】蛭川 昌信

【識別番号】100095120
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 亘彦

【識別番号】100095980
【弁理士】
【氏名又は名称】菅井 英雄

【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二

【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明


【公開番号】 特開2008−83658(P2008−83658A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−277455(P2006−277455)