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【発明の名称】 コモンパス干渉計に基づくホログラフィック・ストレージ・システム
【発明者】 【氏名】ガボル サルワシユ

【氏名】サボルチ カウトニ

【氏名】ラスロ ドムヤン

【氏名】シユベニア−マレイ カリシユ

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元位相データ・パターンを物体光(7)上にインプリントするための位相SLM(6)を有するホログラフィック・ストレージ・システム(20)であって、
前記物体光(7)の位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換するコモンパス干渉計(31、32、40)を含む、ホログラフィック・ストレージ・システム(20)。
【請求項2】
前記コモンパス干渉計(31、32、40)が非線形変換を行う位相差フィルタ(40)を含む、請求項1に記載のホログラフィック・ストレージ・システム。
【請求項3】
前記位相差フィルタ(40)が前記物体光(7)のフーリエ変換の中心部分の位相を第1の値だけシフトさせる内側中心領域(41)と、前記物体光(7)のフーリエ変換の外側部分の位相を第2の値だけシフトさせる、前記内側中心領域(41)を囲繞する円環状領域(42)とを含む、請求項2に記載のホログラフィック・ストレージ・システム(20)。
【請求項4】
前記第1の値と前記第2の値との間の差が「π」の相対位相シフトに達する、請求項3に記載のホログラフィック・ストレージ・システム(20)。
【請求項5】
前記位相差フィルタ(40)が、前記物体光(7)のフーリエ変換にローパス・フィルタをかけるための外側ブロッキング領域(43)を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のホログラフィック・ストレージ・システム(20)。
【請求項6】
位相SLM(6)を用いて物体光(7)上に2次元位相データ・パターンをインプリントするステップ(50)と、
コモンパス干渉計(31、32、40)を用いて前記位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換するステップ(52)とを含む、ホログラフィック・データ・ストレージのための方法。
【請求項7】
非線形変換を用いた位相差フィルタ(40)によって前記位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換する(52)、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記位相差フィルタ(40)が前記物体光(7)のフーリエ変換の中心部分の位相を第1の値だけシフトさせる内側中心領域(41)と、前記物体光(7)のフーリエ変換の外側部分の位相を第2の値だけシフトさせる、前記内側中心領域(41)を囲繞する円環状領域(42)とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の値と前記第2の値との間の差が「π」の相対位相シフトに達する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記物体光(7)のフーリエ変換にローパス・フィルタをかけるステップ(51)をさらに有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック・ストレージ・システムに関し、より具体的には、位相空間光変調器(phase spatial light modulator)を用いたホログラフィック・ストレージ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック・データ・ストレージにおいて、ディジタル・データは、2つのコヒーレント・レーザ光の重畳によって作成される干渉パターンを記録することによって格納される。一方の光、いわゆる「物体光(object beam)」は、空間光変調器によって変調され、記録される情報を搬送する。第2の光は、参照光(reference beam)として機能する。干渉パターンにより、ストレージ材料の特定の特性が変更される。この特性の変更は、干渉パターンのローカル強度に依存する。記録されたホログラムの読み出しは、記録の際と同様の条件を用いて参照光をホログラムに照射することによって行われる。これにより、記録された物体光が再構築される。
【0003】
ホログラフィック・データ・ストレージの1つの利点は、データ容量の増加である。従来の光学ストレージ媒体とは異なり、単に数少ないレイヤーでなく、ホログラフィック・ストレージ媒体のボリュームが情報の保存に使用されることである。ホログラフィック・データ・ストレージの別の利点は、例えば、2つの光の間の角度の変更や、シフト多重化の使用などにより、同一のボリュームに複数のデータを格納することができることにある。さらに、単一のビットを格納する代わりに、データはデータ頁(data pages)として格納される。通常、データ頁は、明暗パターンのマトリックス、即ち、複数のビットを符号化する、2次元的な二値配列(アレイ)またはグレイ値の配列(アレイ)からなる。これにより、記録密度の向上に加え、データ・レートの向上が達成される。データ頁は、空間光変調器(SLM:spatial light modulator)によって物体光上にインプリントされ、検出器アレイによって検出される。SLMの分かり易い例は振幅SLMであり、この振幅SLMでは、値「0」のピクセルは光をブロックし、値「1」のピクセルは光を透過、または反射させる。簡潔に言えば、これは、振幅SLMがブラックとホワイトのピクセルを有することを意味する。ブラックのピクセルとホワイトのピクセルが存在する可能性が同じであると仮定すると、物体光のパワーの約50%がブロックされる。ブロックされた光は、浪費され、書き込みデータ・レートを減少させる。さらに、ホログラフィック・ストレージの分野ではよくあることであるが、低ホワイト・レート・コードが適用される場合には、物体光の光損失が50%を超えることもある。例えば、20%のホワイト・レート・コードを使用すると、光損失は、約80%になる。
【0004】
上述した問題は、物体光に情報をインプリントする位相SLMを用いて克服することができる。この場合、ピクセルの位相シフト「0」および「π」は、入力データの情報ビット「0」および「1」(またはその逆)にそれぞれ対応する。位相シフト「π」は、λ/2の光路差に対応する。λは、物体および参照光の波長である。勿論、さらに、中間的な位相シフトを適用することも可能である。光がブロックされないため、位相SLMを使用して物体光に情報をインプリントする際に光損失は生じない。しかしながら、検出器アレイは、光強度を検出するのみであるため、再構築された物体光の位相分布は、光が光検出器アレイに衝突する前に強度分布に変換されなければならない。
【0005】
国際公開第04/112045号は、位相差(コントラスト)フィルタ(phase contrast filter)が読み出し光路に配置されて位相変調を振幅変調に変換し、これがアレイ検出器によって検出されるホログラフィック・ストレージ・システムを開示している。
【0006】
国際公開第02/49018号および国際公開第02/03145号においては、物体光上に情報をインプリントするために位相SLMが提供される。再構築された位相分布を強度分布に変換するために、反射した参照光と読み出された光との干渉が使用される。検出器面上で、ホログラフィック・ストレージ媒体の表面から反射された参照光は、一定の位相を有する平面波であり、読み出された光は、二値位相変調された光である。これらの2つの光の干渉は、二値強度分布である。この解決法には、干渉する光が同様の振幅を有することを必要とする。振幅が大幅に異なる場合には、干渉パターンの強度分布の視認性は非常に低い。多重化の場合には、しかしながら、読み出された光の回折効率は、10〜10−6、即ち、干渉する光の強度差は、4〜6桁の範囲にある。これは、この解決法が、高度に多重化されたホログラムを使用したホログラフィック・ストレージ・システムには適用されないことを意味する。なぜならば、視認性およびSN比が非常に低いからである。
【特許文献1】国際公開第04/112045号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した欠点を克服する、位相SLMを用いたホログラフィック・ストレージ・システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、2次元位相データ・パターンを物体光上にインプリントするための位相SLMを有するホログラフィック・ストレージ・システムであって、物体光の位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換するコモンパス干渉計を含むホログラフィック・ストレージ・システムによって達成される。
【0009】
同様に、ホログラフィック・データ・ストレージのための方法は、
位相SLMを用いて物体光上に2次元位相データ・パターンをインプリントするステップと、
コモンパス干渉計を用いて位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換するステップとを含む。
【0010】
本発明によれば、位相差顕微鏡法のために発展した位相差法がホログラフィック・ストレージ・システムに適用される。強度分布内に位相SLMによって物体光にインプリントされる位相分布を強度分布に変換するために、単純な光学構成が記録する物体光のパスに配置される。この光学構成は、コモンパス干渉計を構成する。本発明の解決法は、振幅SLMを用いたホログラフィック・ストレージ・システムと比較してデータ転送レートを大幅に増加させることを可能にする。書き込み時間は、振幅SLMを用いた書き込み時間の1/4〜1/5に短くなる。位相データ・パターンを振幅データ・パターンに変換するために位相差法と位相SLMを組み合わせて用いることにより、光効率は、使用されるホワイト・レートと反比例して向上する。コモンパス干渉計の使用は、ガラスの均質性および位相SLM、さらに、他の光学要素の機械的な特性をカバーするために幾分厳密な公差を要する。しかしながら、実際には、位相差法の変換機能を最適化することにより、公差の条件を緩和させることができる。
【0011】
好ましくは、コモンパス干渉計は、非線形変換を行う位相コントラスト・フィルタを含む。焦点を共有するように配置された3つのフーリエ平面を有する12fホログラフィック・ストレージ・システムの場合には、位相差フィルタは、12f光学システムの第1のフーリエ平面内に挿入されるとよい。適切な形および位相の分布を用いることにより、この位相差フィルタは、位相SLMの位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換する。位相データ・パターンは二値であるので、非線形変換により、エラーの影響を受けない堅牢なストレージ・システムを実現することができる。
【0012】
位相差フィルタは、物体光のフーリエ変換の中心部分の位相を第1の値だけシフトさせる内側中心領域と、物体光のフーリエ変換の外側部分の位相を第2の値だけシフトさせる、内側中心領域を囲繞する円環状領域とを含むとよい。このようにして、段階的(二値)変換が達成される。好ましくは、第1の値と第2の値との間の差は、「π」の相対位相シフトに達する。「π」の相対位相シフトは、強度データ・パターンの最適なコントラストを導く。しかしながら、結果が正確な相対位相シフトの値に過度に影響を受けるものではないため、他の相対位相シフトを実現することも可能である。
【0013】
好ましくは、位相差フィルタは、物体光のフーリエ変換にローパス・フィルタをかけるための外側ブロッキング領域を有する。フーリエ対物レンズの数値的な開口(aperture)は制限されている。フーリエ空間において、これは、対物レンズの空間周波数帯域幅が制限されていることを意味する。この制限された空間周波数領域のためのみに対物レンズは最適化される。フィルタの外側ブロッキング領域は、この制限を実現する。さらに、良好な視認性のために、コモンパス干渉計において干渉する波面のエネルギー含量は、概ね同じでなければならない。外側ブロッキング領域の直径を調節することにより、物体光のフーリエ変換の外側部分のエネルギーを制御することができる。また、円環状領域の外側直径を小さくすることにより、ホログラムのサイズを小さくすることができるというさらなる利点が得られる。結果として、データ密度が増加する。
【0014】
より良好な理解のために、図面を参照して以下により詳細に本発明を説明する。本発明はこの例示的な実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の各特徴事項の適切な組み合わせ、または/さらに、変更が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ホログラフィック・データ・ストレージにおいて、ディジタル・データは、2つのコヒーレントのレーザ光(ビーム)の重畳によって作成される干渉パターンを記録することによって格納される。一般的な、3×4f(12f)のホログラフィック・ストレージ・システムを例示的にセットアップしたものを図1に示す。コヒーレント光の光源、例えば、レーザ・ダイオード2は、光ビーム3を発し、光ビーム3は、コリメート・レンズ4によって平行光になるようにコリメートされる。次に、光ビーム3は、2つの別個の光ビーム7、8に分割される。この例においては、光ビーム3の分割は、第1のビーム・スピリッタ5を用いて実現される。しかしながら、この目的のために他の光学的コンポーネントを使用することも可能である。位相空間光変調器(SLM)6は、2つの光(ビーム)のうちの一方、いわゆる「物体光」7を変調し、2次元位相データ・パターンをインプリントする。第2の光、いわゆる「参照光」8は、簡略化のために図面より省略されている。物体光7は、フーリエ対物レンズ31によってフーリエ変換される。フーリエ対物レンズ31のフーリエ平面には、位相シフタ40が位置し、この位相シフタ40については、図3および図4を参照してより詳細に後述する。位相シフタ40からのフーリエ変換された物体光7は、この物体光7には作用しない偏光ビーム・スピリッタ9を通過し、さらに、フーリエ対物レンズ32を通過する。最後に、四分の一波長板12は、物体光7の偏光の方向を回転させる。記録のために、物体光7および参照光8の双方が、フーリエ対物レンズ33により、ホログラフィック・ストレージ媒体10、例えば、ホログラフィック・ディスクまたはカードに集光される。物体光7および参照光8が交差する部位においては、干渉パターンが現れ、この干渉パターンがホログラフィック・ストレージ媒体10の感光層に記録される。
【0016】
格納されたデータは、参照光8のみを記録されたホログラムに照射することによってホログラフィック・ストレージ媒体10から取得される。参照光8は、ホログラム構造によって回折され、オリジナルの物体光7のコピー、即ち、再構築された物体光11を発生させる。この再構築された物体光11は、対物レンズ34によってコリメートされ、四分の一波長板12を通過する。次に、再構築された物体光11は、2つのフーリエ対物レンズ35、36、およびピンホール・フィルタ37を介して偏光ビーム・スピリッタ9により、2次元アレイ検出器13、例えば、CCDアレイに向けられる。アレイ検出器13は、記録されたデータを再構築することを可能にする。
【0017】
図2は、3×4(12f)のホログラフィック・ストレージ・システム20をより簡略化したものを示している。より分かりやすくするために、たたまれているシステム20をたたまれていない状態で図示し、偏光ビーム・スピリッタ9を考慮していない。12fの光学システム20は、基本的に3つの4fシステム21、22、23からなり、各4fシステム21、22、23は、2つのフーリエ対物レンズ31、32、33、34、35、36を備えている。位相SLM6、例えば、液晶素子は、第1の4fシステム21の物体平面24に配置されている。2つの中間物体/画像平面26、28は、第1および第2の4fシステム21、22および第2および第3の4fシステム22、23のそれぞれの共通平面である。アレイ検出器13は、第3の4fシステム23の物体平面30に位置している。12f光学システム20は、焦点を共有して配置された3つのフーリエ平面25、27、29を有する。第1の4fシステム21のフーリエ平面25内、またはその近傍に位置するのは、特別に小型の位相シフタ40であり、この位相シフタ40は、第1の4fシステム21の第1のレンズ31によって作成された、位相SLM6のフーリエ変換の小さな中心領域の位相を「π」だけシフトさせる。第2の4fシステム22のフーリエ平面27に位置するのは、ホログラフィック・ストレージ媒体10であり、再構築された物体光にフィルタをかけるために、第3の4fシステム23のフーリエ平面29には、ピンホール・フィルタ37が配置されている。
【0018】
図3は、位相シフタ40をより詳細に示している。位相シフタまたは位相差フィルタ40は、第1の4fシステム21のフーリエ平面25に位置し、2つの良好に定義された直径を有する。直径DCentFltの内側の円形領域41は、第1の4fシステム21の第1のフーリエ対物レンズ31によって作成された位相SLM6のフーリエ変換の高強度中心部分の位相を「π」だけシフトさせる。内側直径DCentFltと外側直径DApertureとの間の位相シフタ40のリング型領域42は、フーリエ変換のフーリエ成分には影響を及ぼさない。しかしながら、内側中心領域41において位相シフトをさせずに、リング型領域42において「π」の位相シフトをさせてもよく、または、相対的な位相シフトの合計が「π」になるようにどのように位相シフトを組み合わせてもよい。最後に、直径DApertureで始まる外側領域43は、不透明であり、位相SLM6の高次のフーリエ成分をブロックする。このように、位相SLM6のフーリエ変換にローパス・フィルタをかけることが実現される。勿論、外側領域43は、反射型、または吸収型でもよく、他の手段によって高次フーリエ成分をブロックしてもよい。さらに、外側領域43をブロックする代わりに、別個のフィルタ絞り開口(filter aperture)を使用してもよい。
【0019】
図4は、位相シフタ40および第1の4fシステム21の第2のフーリエ対物レンズ32によってバック変換された(back‐transformed)波面50、51の側面図を示す。第2のフーリエ対物レンズ32の後、位相SLM6のフーリエ変換の高強度の小さな中心領域41から発せられた位相シフトされた光は、中間画像平面26で一様平面波(homogeneous plane wave)と考えられる。これは、平面波面50によって示される。リング型領域42から生じるバック変換された物体光は、「二値(binary)」波面51によって示されるような中間画像平面26における二値位相分布である。二値波面51は、現実の状況の第一近似を示している。実際には、リング型領域42からの波面51はより複雑である。また、形は完全に矩形ではなく、複数の異なる領域の間で連続的な遷移が存在する。他方、複数の異なる領域は、平面ではなく、凹凸がある。2つの光の干渉により、中間画像平面26で概ね二値強度分布となる。従って、位相シフタ40は、位相分布を強度分布に変換する。
【0020】
本質的に、12f光学システム20の第1の4fシステム21は、例えば、位相差顕微鏡法から知られているように、コモンパス干渉計を構成する。しかしながら、位相差顕微鏡法では、線形変換が使用される。J. Gluckstad, P. C. Mogensen著「Optimal phase Contrast in common path interferometry」、Appl. Opt. Vol. 40, pp268-282、およびJ. Gluckstad, P. C. Mogensen著「Reverse Phase contrast: experimental demonstration」、Appl. Opt. Vol. 41、pp2103-2110の各文献では、コモンパス干渉計を用いた位相画像の強度分布への変換のデモンストレーションが行われている。視認性および線形変換のための光効率についての基本的な等式が与えられている。線形変換の場合には、強度変化は、「0」〜「2π」の範囲の位相変化に比例している。
【0021】
本発明に係る位相シフタ40は、線形変換を実行しないが、非線形変換、好ましくは、段階的(二値)変換を実施する。この変換関数は、位相シフト要素のための適切な内側直径DCentFltおよび外側直径DApertureを用いて最適化される。段階的変換により、堅牢な、エラーによる影響を受けないストレージ・システムが実現される。
【0022】
本発明に係る位相シフタ40を用いたホログラフィック記録のための方法を図5に概略的に示す。位相データ・パターンを物体光7にインプリントするステップ50の後、物体光7にローパス・フィルタをかけるステップ51が行われ、位相データ・パターンを強度データ・パターンに変換するステップ52が行われる。フィルタをかけるステップ51と変換するステップ52は、位相シフタ40により、単一のステップにおいて実施するとよい。次に、フィルタ後、変換後の物体光7をホログラフィック・ストレージ媒体10に記録するステップ53が行なわれる。
【0023】
本発明に係る解決法を示すコンピュータ・シミュレーションを図6〜図9に示す。シミュレーションは、第1の4fシステム21に限定され、完全な12f光学システム20を網羅するものではない。レンズ31、32のフーリエ変換特性をシミュレートするために、MATLABソフトウエアにおいて実施される高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)が使用された。300×300のマトリックスによって位相SLM6がシミュレートされた。マトリックスの円形の部分のみが二値(binary value)「+1」または「−1」によって満たされた。なぜならば、フーリエ対物レンズ31の物体平面に使用可能な領域は円形だからである。マトリックスの他のピクセルは、「0」で満たされた。これは、物体平面の円形の物体領域外からは光が発せられないことを意味する。「+1」の値は、「0」の位相シフトを表し、「−1」の値は、「π」の位相シフトを表す。なお、各図は、複数の異なるデータ・パターンを示している。これは、数値的なシミュレーションのために使用されるプログラムが、メモリの要求条件を低減させ、シミュレーション速度を向上させるためにマトリックスを格納しないという事実によるものである。SLMマトリックスも、中間マトリックスも、いずれも格納されず、結果が格納される。従って、各シミュレーション・ステップのために、新たなランダム入力データ・パターンが作成される。
【0024】
図6は、シンボルとしてブラックおよびホワイトのピクセルを有する位相SLM6の拡大部分を表している。画像のホワイト・ピクセルは、「π」の位相シフトがされた位相SLMピクセルを表し、画像のブラック・ピクセルは、「0」の位相シフトがされた位相SLMピクセルを表している。マトリックスは、フーリエ変換のために、「4」のファクタによってオーバーサンプリングされる。次に、マトリックスは、ブラック(零)フレームを用いて拡大される。このステップは、FFTアルゴリズムの開口効果(apperture effects)を取り除くために必要である。
【0025】
位相差フィルタ40を通過した後の位相SLM6のフーリエ変換済された画像を図7に示す。まず、直径DApertureを有する円形の開口がフーリエ変換された画像に適用されて、高周波数成分がカットされる。この開口は、第1のフーリエ平面でのフーリエ変換のサイズを決定し、ローパス・フィルタを構成する。このローパス・フィルタの処理と平行して、フーリエ変換された画像の中心の低周波数成分が、DCentFltの直径の位相シフト・フィルタによって「π」だけシフトされる。
【0026】
図8は、フーリエ対物レンズ32によるバック変換後の位相SLM6のローパス・フィルタされ、位相がシフトされた画像の拡大部分を中間物体/画像平面26で示している。このバック変換された画像におけるブラックとホワイトの領域は、適用される位相差法を介して得られる実際の強度値である。理解できるであろうが、位相SLM6の二値強度分布は、非線形変換関数により中間物体/画像平面26で概ね二値強度分布に変換される。第1の4fシステム21および第2の4fシステム22に対して中間物体/画像平面26は共通である。変換された画像は、第2の4fシステム22の物体として使用可能である。
【0027】
比較のために、振幅SLMのローパス・フィルタがかけられ、バック変換された画像を図9に示す。ローパス・フィルタをかけるために、図8を計算する際に使用されたDApertureと同様の直径を有するフーリエ・フィルタが使用された。従って、ホログラムの直径、結果として、単一のホログラムの容量は、両方の場合において同一である。理解できるであろうが、バック変換された画像の強度分布は、振幅SLMと位相差法を用いた位相SLM6とで同様である。図9の画像は、若干高いコントラストを有する。しかしながら、ブラックとホワイトのピクセルの判定のための決定スキームは、コントラストに敏感ではない。データは、k×kのピクセル・ブロックに符号化される。例えば、k=3、4、または5である。各ブロックは、全く同じ数mのホワイト・ピクセルを含む。読み出しの間、k×kピクセル・ブロック内で最も輝度の高いm個のピクセルのみが考慮される。図9のシミュレーションは、コントラスト・ウェイト、25%のホワイト・レートの低ホワイト・レート・コードwhitを使用する。12fシステム20の第2のフーリエ平面27の近傍でフィルタがかけられた画像のホログラムは、ローパス・フィルタがかけられた振幅SLMのホログラムと非常に類似している。中間物体/画像平面26の後、即ち、第2および第3の4fシステム22、23内の光分布は、振幅SLMと位相差法を用いた位相SLM6とで非常に類似している。これは、振幅SLMが使用されるか位相SLMが使用されるかに係らず、ビット・エラー・レートが同様のレベルで同様のデータ容量が得られることを意味する。
【0028】
図10は、位相SLM6および振幅SLMの双方について、バック変換された画像のシミュレートされた合計エネルギー[a.u.](任意の単位(arbitrary units))をローパス・フィルタ開口42の直径DApertureの関数として示している。位相SLM6の曲線のパラメータは、内側円形領域41の直径DCentFltである。なお、DCentFlt=10とDCentFlt=40の各曲線は、本質的に重なる。図面より、位相SLM6を用いた合計エネルギーが同じ条件で振幅SLMを用いた合計エネルギーの約4〜5倍になることが分かる。これは、位相SLM6の効率が振幅SLMの効率よりも約4〜5倍高いことを意味する。理論上は、光効率の向上は、ホワイト・レートに反比例する。なぜならば、振幅SLMの場合、ブラック・ピクセルは、光をブロックするからである。位相SLM6の場合は、バック変換されたブラック・ピクセルからの光は、バック変換されたホワイト・ピクセルにシフトされる。これは、同じホワイト・レートで位相差フィルタを使って位相SLMを用いたホログラムの書き込み時間が振幅SLMを用いた書き込み時間の1/4〜1/5に短くなることを意味する。
【0029】
位相SLM6および振幅SLMの双方について、バック変換したホワイト・ピクセルのピーク強度(任意の単位)の平均を、ローパス・フィルタ開口の直径DApertureの関数として図11に示す。位相SLM6の各曲線のパラメータは、内側領域41の直径DCentFltである。図面より、バック変換されたホワイト・ピクセルのピーク強度は、内側円形領域41の直径DCentFltに依存して、振幅SLMの場合よりも位相SLM6の場合のほうが2〜5倍高いことが分かる。これはまた、位相SLM6を用いたホログラムを用いた書き込み時間が振幅SLMを用いた書き込み時間よりも短いことを意味する。
【0030】
図12および図13は、例示的なシミュレーションに基づいてDApertureおよびDCentFltのための適切な値をどのように得るかを示している。数値的なシミュレーションから、ビット・エラー・レートがDCentFltおよびDApertureの関数として計算される。図12は、このような数値的なシミュレーションの結果を示している。垂直軸は、ビット・エラー・レートを対数目盛で示し、水平軸は、直径DApertureをミクロンで示す。各曲線のパラメータは、ミクロンで示した中心フィルタの直径DCentFltである。理解できるであろうが、シミュレーションされたホログラフィック・ストレージ・システムでは、ビット・エラー・レートの最良の結果は、直径DCentFltが1μm〜20μmの間である場合に得られる。ビット・エラー・レートは、振幅SLMを用いて得られるビット・エラー・レートと比べて、同一であるか、または良好である。
【0031】
図13は、中心フィルタの直径DCentFltに依存したビット・エラー・レートを示している。垂直軸は、ビット・エラー・レートを対数目盛で示し、水平軸は、直径DApretureをミクロンで示す。各曲線のパラメータは、ミクロンで示した直径DApertureである。理解できるであろうが、ビット・エラー・レートは、フィルタの直径が大きくなると徐々に増加するが、フィルタの直径が非常に小さくなると、急激に増加する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ホログラフィック・ストレージ・システムを概略的に示す図である。
【図2】図2は、3×4f(12f)のホログラフィック・ストレージ・システムを簡略化して示した図である。
【図3】図3は、本発明に係る位相コントラスト・フィルタを示す図である。
【図4】図4は、位相コントラスト・フィルタを示す側面図である。
【図5】図5は、位相コントラスト・フィルタを使用したホログラフィック記録のための方法を概略的に例示する図である。
【図6】図6は、シンボルとしてホワイトとブラックのピクセルを用いた位相SLMを拡大した部分を示す図である。
【図7】図7は、位相コントラスト・フィルタを通過した後の位相SLMをフーリエ変換した画像を示す図である。
【図8】図8は、位相SLMのローパス・フィルタがかけられ、位相がシフトされ、バック変換された画像を中間物体/画像平面で示す図である。
【図9】図9は、比較のために振幅SLMのローパス・フィルタがかけられ、バック変換された画像を示す図である。
【図10】図10は、バック変換された画像のシミュレートされた合計エネルギーをローパス・フィルタ開口の直径の関数として示す図である。
【図11】図11は、バック変換されたホワイト・ピクセルのピーク強度の平均をローパス・フィルタ開口の直径の関数として示す図である。
【図12】図12は、リング型領域の直径DApertureに依存したビット・エラー・レートを示す図である。
【図13】図13は、中心フィルタの直径DCentFltに依存したビット・エラー・レートを示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ホログラフィック・ストレージ・システム
2 レーザ・ダイオード
3 光ビーム
4 コリメート・レンズ
5 第1のビーム・スピリッタ
6 位相空間光変調器(SLM)
7 物体光
8 参照光
9 偏向ビーム・スピリッタ
10 ホログラフィック・ストレージ媒体
11 物体光
12 四分の一波長板
13 2次元アレイ検出器
20 12f光学システム
21 4fシステム
22 4fシステム
23 4fシステム
24 物体平面
25 フーリエ平面
26 中間物体/画像平面
27 フーリエ平面
28 中間物体/画像平面
29 フーリエ平面
30 物体平面
31 フーリエ対物レンズ
32 フーリエ対物レンズ
33 フーリエ対物レンズ
34 フーリエ対物レンズ
35 フーリエ対物レンズ
36 フーリエ対物レンズ
37 ピンホール・フィルタ
40 位相シフタ
41 内側中心領域
42 リング型領域
43 外側領域
50 平面波面
51 二値波面
52 ステップ
52 ステップ
53 ステップ
【出願人】 【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【出願日】 平成19年6月19日(2007.6.19)
【代理人】 【識別番号】100115864
【弁理士】
【氏名又は名称】木越 力

【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三


【公開番号】 特開2008−9428(P2008−9428A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−161192(P2007−161192)