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【発明の名称】 定着装置およびこれを用いた画像形成装置ならびに定着ベルト送り速度制御方法
【発明者】 【氏名】小林 卓夫

【氏名】小野 進

【氏名】馬場 弘一

【氏名】嶋脇 勧

【要約】 【課題】定着ベルトの送り速度を高い精度で制御することができる定着装置およびこれを用いた画像形成装置ならびに定着ベルト送り速度制御方法を提供すること。

【構成】サーミスタ240は、定着ベルト213の温度を検出する。不揮発性メモリ254は、ベルト温度に対応付けて定着ベルト213が該当する温度のときの定着ローラ212の外径を求めるための補正係数を記述したローラ径補正係数テーブルを、あらかじめ格納している。制御部250は、検出されたベルト温度に基づいてローラ径補正係数を決定し、定着ベルト213の実際の移動速度を推定する。そして、特定された実際の移動速度が定着ベルト213の周表面の移動速度の理想値に一致するように、加圧ローラ230を駆動する駆動モータ260の回転数を修正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、
未定着画像が形成された画像記録媒体に前記定着ベルトを接触させた状態で回転して前記画像記録媒体を搬送するローラと、
前記ローラの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記定着ベルトの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出結果および前記回転数検出手段の検出結果を基に、前記定着ベルトの送り速度が一定となるように前記ローラの回転を制御する制御手段と、
を有する定着装置。
【請求項2】
前記定着ベルトの温度と前記ローラの径との関係を示す情報を格納する情報格納手段、をさら有し、
前記制御手段は、
前記情報格納手段に格納された情報を参照して、前記ローラの回転制御を行う、
請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記ローラは、前記定着ベルトが懸架された定着ローラであり、
前記定着ローラとの間で前記画像記録媒体を挟み込んで加圧するとともに、自己の回転によって前記ローラを従動回転させる加圧ローラと、
前記加圧ローラを駆動回転させる駆動手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、
前記駆動手段の駆動速度を制御することによって、前記定着ローラの回転制御を行う、
請求項1記載の定着装置。
【請求項4】
前記回転検出手段は、
前記ローラの軸端部に固定され、前記ローラと共に回転する円盤と、
前記円盤の回転を検出するセンサと、
を有する請求項1記載の定着装置。
【請求項5】
前記円盤は、
回転方向に沿って配置された光透過領域と光不透過領域を有し、
前記センサは、
前記円盤の回転によって前記光透過領域および前記光不透過領域が通過する位置に検出部を配置した透過型フォトセンサである、
請求項4記載の定着装置。
【請求項6】
前記円盤は、
回転方向に沿って配置された色の異なる複数の領域を有し、
前記センサは、
前記円盤の回転によって前記複数の領域が通過する位置に検出部を配置した反射型フォトインタラプタである、
請求項4記載の定着装置。
【請求項7】
画像記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の定着装置と、
を具備する画像形成装置。
【請求項8】
無端状であって加熱される定着ベルトを未定着画像が形成された画像記録媒体に接触させた状態で回転して前記画像記録媒体を搬送するローラの回転数を検出する回転数検出ステップと、
前記定着ベルトの温度を検出する温度検出ステップと、
前記回転数検出ステップでの検出結果および前記温度検出ステップでの検出結果を基に、前記定着ベルトの送り速度が一定となるように前記ローラの回転を修正する修正ステップと、
を有する定着ベルト送り速度制御方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にトナー像などの未定着画像を溶融定着させる定着装置およびこれを用いた画像形成装置ならびに定着ベルト送り速度制御方法に関し、特に、定着ベルトを使用する定着装置における定着ベルト送り速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式あるいは静電記録方式による複写機、ファクシミリおよびプリンタなどの画像形成装置は、記録媒体に静電的に担持されたトナー像を記録媒体に溶融定着させる定着装置を備えている。
【0003】
ベルト方式の定着装置では、定着ローラなどの定着部材に定着ベルトが懸架されており、定着ベルトを介して定着部材に加圧ローラが圧接することにより、定着ニップ部が形成されている。定着ベルトは、加熱されるとともに、加圧ローラの駆動回転によって従動回転する。定着ニップ部に進入した記録媒体は、定着ベルトの送り速度と同じ速度で定着ニップ部を通過する。記録媒体の未定着トナー像は、記録媒体が定着ニップ部を通過するときに熱と圧力を加えられ、記録媒体に固定される。
【0004】
定着ベルトの送り速度を制御することは、従来より行われている。たとえば、特許文献1には、定着ベルトの実際の送り速度を推定し、推定結果に基づいて定着ベルトの送り速度を修正する技術が開示されている。具体的には、定着ベルトが懸架されたローラの端部に、ローラの外周方向に突出した突起を設け、フォトセンサの受光部を遮蔽する遮蔽体が突起の移動に伴って動くようにする。そして、フォトセンサの遮蔽体の検出時間の間隔を基に、定着ベルトの実際の送り速度を推定し、推定結果に基づいて加圧ローラの回転数を補正する。これにより、定着ベルトの送り速度を制御することを可能にしている。
【0005】
また、たとえば、特許文献2には、定着ベルトの内側表面にグリスなどの潤滑材が塗布されている場合に、潤滑材の粘度の変化を考慮して定着ベルトの送り速度を変化させる技術が開示されている。具体的には、定着ベルトの温度を検出し、ウォームアップ時の定着ベルトの温度が低く潤滑材の粘度が高いときには、低い速度で定着ベルトを回転させ、定着ベルトの温度が上昇して潤滑材の粘度が高くなったときには、より高い速度で定着ベルトを回転させる。これにより、定着ベルトの送り速度を変化させ、ウォームアップ時の定着ベルトの駆動負荷を軽減することを可能としている。
【特許文献1】特開2002−72751号公報
【特許文献2】特開2004−286929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、定着ベルトの送り速度および定着ニップ部における記録媒体の搬送速度は、駆動回転される加圧ローラの周表面の移動速度で定まる。したがって、加圧ローラの外径が一定であれば、加圧ローラの回転数を一定とすることによって、容易に記録媒体の搬送速度を安定させることができる。
【0007】
ところが、実際には、装置の使用状況や周囲の温度環境によって定着ベルトの温度は変動し、その影響を受けて、加圧ローラの外径は素材の熱膨張によって変動する。したがって、単に加圧ローラの回転数を一定とするだけでは、記録媒体の搬送速度を安定させることは難しい。
【0008】
定着装置における記録媒体の搬送速度が不安定になると、たとえば記録媒体上にトナー像を転写する装置部など、記録媒体の搬送経路上で前後する他の装置部との記録媒体の引っ張り合いや、記録媒体のたわみなどを発生させることがある。すなわち、トナー像の転写不良や光沢ムラなど、画像不良が生じる恐れがある。したがって、より高い画像品質を保持するためには、定着装置における記録媒体の搬送速度を、高い精度で設計値に一致させる必要がある。
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1記載の技術では、定着ローラとは別に、熱膨張の少ないローラを設けなければならず、構成が複雑化するという問題がある。そこで、特許文献1では、定着ベルトを加熱するローラを使用して定着ベルトの送り速度を検出するようにしているが、このようなローラの周辺には加熱用の装置部が配置されていることから、やはり構成の複雑化を招く。
【0010】
また、上記した特許文献2記載の技術では、定着ベルトの送り速度を検出することは行っておらず、記録媒体の搬送速度を高い精度で制御することはできない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、定着ベルトの送り速度を高い精度で制御することができる定着装置およびこれを用いた画像形成装置ならびに定着ベルト送り速度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の定着装置は、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、未定着画像が形成された画像記録媒体に前記定着ベルトを接触させた状態で回転して前記画像記録媒体を搬送するローラと、前記ローラの回転数を検出する回転数検出手段と、前記定着ベルトの温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出結果および前記回転数検出手段の検出結果を基に、前記定着ベルトの送り速度が一定となるように前記ローラの回転を制御する制御手段と、を有する構成を採る。
【0013】
本発明の画像形成装置は、画像記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、上記構成を有する定着装置と、を具備する構成を採る。
【0014】
本発明の定着ベルト送り速度制御方法は、無端状であって加熱される定着ベルトを未定着画像が形成された画像記録媒体に接触させた状態で回転して前記画像記録媒体を搬送するローラの回転数を検出する回転数検出ステップと、前記定着ベルトの温度を検出する温度検出ステップと、前記回転数検出ステップでの検出結果および前記温度検出ステップでの検出結果を基に、前記定着ベルトの送り速度が一定となるように前記ローラの回転を修正する修正ステップと、を有するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像記録媒体を搬送するローラの回転数と、定着ベルトの温度とを検出し、これらの検出結果を基にローラの回転を制御するようにした。これにより、ローラの径が温度により変化し、その結果として定着ベルトの送り速度が変化する場合でも、その変化を定着ベルトの送り速度を一定にする制御に反映させることができる。したがって、定着ベルトの送り速度を所定値により高い精度で一致させることが可能となる。しかも、定着ローラや加圧ローラなど、画像記録媒体を搬送するローラ自体の回転数を検出するので、定着ベルトを加熱するローラなどの他のローラの回転数を検出する必要がなく、より簡単な構成でこのような制御を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1の態様に係る定着装置は、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、未定着画像が形成された画像記録媒体に前記定着ベルトを接触させた状態で回転して前記画像記録媒体を搬送するローラと、前記ローラの回転数を検出する回転数検出手段と、前記定着ベルトの温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出結果および前記回転数検出手段の検出結果を基に、前記定着ベルトの送り速度が一定となるように前記ローラの回転を制御する制御手段と、を有する構成を採る。
【0017】
本発明によれば、ローラの外径の温度による変化を、定着ベルトの送り速度の制御に反映することができるので、定着ベルトの送り速度が一定となるように精度よく制御することが可能となる。
【0018】
本発明の第2の態様に係る定着装置は、上記構成を有するとともに、前記定着ベルトの温度と前記ローラの径との関係を示す情報を格納する情報格納手段、をさら有し、前記制御手段は、前記情報格納手段に格納された情報を参照して、前記ローラの回転制御を行う構成を採る。
【0019】
本発明によれば、温度検出手段による検出結果に基づいてローラの径を推定することができるので、定着ベルトの送り速度をより高い精度で制御することが可能となる。
【0020】
本発明の第3の態様に係る定着装置は、上記構成を有するとともに、前記ローラは、前記定着ベルトが懸架された定着ローラであり、前記定着ローラとの間で前記画像記録媒体を挟み込んで加圧するとともに、自己の回転によって前記ローラを従動回転させる加圧ローラと、前記加圧ローラを駆動回転させる駆動手段と、をさらに有し、前記制御手段は、前記駆動手段の駆動速度を制御することによって、前記定着ローラの回転制御を行う構成を採る。
【0021】
本発明によれば、加圧ローラではなく、より簡単に径を精度よく検出することができる定着ローラの回転数を検出し、その検出結果を使用して定着ベルトの送り速度の制御を行うため、装置構成の単純化や制御精度の向上を図ることができる。
【0022】
本発明の第4の態様に係る定着装置は、上記構成を有するとともに、前記回転検出手段は、前記ローラの軸端部に固定され、前記ローラと共に回転する円盤と、前記円盤の回転を検出するセンサと、を有する構成を採る。
【0023】
本発明によれば、円盤の回転を検出することによって、前記ローラの回転を検出することができる。
【0024】
本発明の第5の態様に係る定着装置は、上記構成を有するとともに、前記円盤は、回転方向に沿って配置された光透過領域と光不透過領域を有し、前記センサは、前記円盤の回転によって前記光透過領域および前記光不透過領域が通過する位置に検出部を配置した透過型フォトセンサである構成を採る。
【0025】
本発明によれば、前記ローラの回転を、透過型フォトセンサで検出することができる。
【0026】
本発明の第6の態様に係る定着装置は、上記構成を有するとともに、前記円盤は、回転方向に沿って配置された色の異なる複数の領域を有し、前記センサは、前記円盤の回転によって前記複数の領域が通過する位置に検出部を配置した反射型フォトインタラプタである構成を採る。
【0027】
本発明によれば、前記ローラの回転を、反射型フォトインタラプタで検出することができる。
【0028】
本発明の画像形成装置は、画像記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、上記構成を有する定着装置と、を具備する構成を採る。
【0029】
本発明によれば、上記構成を有する各定着装置の効果を、画像形成装置でも奏することが可能となる。すなわち、定着装置での記録媒体の搬送速度を、画像形成装置の他の装置部での記録媒体の搬送速度に対応させて精度よく制御できるため、高い画像品質を保持することができる。
【0030】
本発明の定着ベルト送り速度制御方法は、無端状であって加熱される定着ベルトを未定着画像が形成された画像記録媒体に接触させた状態で回転して前記画像記録媒体を搬送するローラの回転数を検出する回転数検出ステップと、前記定着ベルトの温度を検出する温度検出ステップと、前記回転数検出ステップでの検出結果および前記温度検出ステップでの検出結果を基に、前記定着ベルトの送り速度が一定となるように前記ローラの回転を修正する修正ステップと、を有するようにした。
【0031】
本発明によれば、ローラの外径の温度による変化を、定着ベルトの送り速度の制御に反映することができるので、定着ベルトの送り速度が一定となるように精度よく制御することが可能となる。またこのような処理を実現するプログラムを生成し、コンピュータに実行させることにより、既存または汎用の定着装置および画像形成装置で、上記した効果を奏することが可能となる。
【0032】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態に係る定着装置を用いた画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。この画像形成装置は、スキャナ機能とカラープリンタ機能を備えた複合機である。
【0034】
図1において、画像形成装置100は、原稿読取部110、給紙カセット120、電子写真感光体(以下「感光体ドラム」という)130a〜130d、画像形成部140、定着部200(定着装置)、通紙センサ150、および排紙トレイ160を有する。
【0035】
原稿読取部110は、イメージセンサを使用して原稿を読み取り、画像情報の時系列電気デジタル画素信号を出力する。
【0036】
給紙カセット120は、記録紙(画像形成媒体)Pを、画像形成部140の動作と同期した所定のタイミングで、一枚ずつ送り出す。送り出された記録紙Pは、搬送経路170に沿って画像形成部140へ給送される。
【0037】
感光体ドラム130a〜130dは、原稿読取部110から出力される画像情報や、パーソナルコンピュータなどの外部のホスト装置から送られてきた画像情報を基に、シアン、マゼンダ、イエロー、およびブラックの色成分ごとのトナー像をそれぞれ形成する。
【0038】
画像形成部140は、感光体ドラム130a〜130dに形成されたトナー像を、給紙カセット120から給送される記録紙Pの記録面に転写し、記録紙Pに未定着トナー像を形成する。具体的には、感光体ドラム130a〜130dに形成された色成分ごとのトナー像を重ね合わせてカラー画像を合成し、記録紙P上に転写する。そして、画像形成部140は、未定着トナー像が転写された記録紙Pを、定着部200へ給送する。
【0039】
定着部200は、熱によって記録紙P上の未定着トナー像を記録紙Pに溶融定着させ、定着処理が終了した記録紙Pを搬送経路170の下流側へ送り出す。定着部200の構成については、後に別図を参照して詳しく説明する。
【0040】
通紙センサ150は、定着部200の出口側の搬送経路170を通過する記録紙Pを検出し、記録紙Pの通過枚数を、定着処理の枚数としてカウントする。通紙センサ150を通過した記録紙Pは、排紙トレイ160に排出される。
【0041】
排紙トレイ160では、排出された記録紙Pが、外部から容易に取り出せる状態で積載される。
【0042】
図2は、図1に示す画像形成装置100で使用される定着部200の基本的な構成を示す概略図である。
【0043】
図2において、定着部200は、ヒートローラ211、定着ローラ(ヒューザローラ)212、定着ベルト213、誘導加熱部220(加熱手段)、および加圧ローラ230を有する。さらに、定着部200は、記録紙Pの搬送速度の制御に関係する装置部として、サーミスタ(温度検出手段)240と、制御部250、および駆動モータ260を有する。また、誘導加熱部220は、コイル221を有する。
【0044】
制御部250は、制御基板で構成され、CPU(Central Processing Unit)251、ROM(Read Only Memory)252、RAM(Random Access Memory)253、不揮発性メモリ254、およびタイマ255を有する。ROM252は、CPU251が実行する制御プログラムを記憶し、RAM253は、CPU251の作業用メモリとして機能する。不揮発性メモリ254は、制御部250が各種処理を行うのに必要な情報をあらかじめ格納している。タイマ255は、制御部250が実行する処理において時間の計測を行うためのものである。
【0045】
ヒートローラ211と定着ローラ212は、所定の距離をおいて配置されている。定着ベルト213は無端状であり、ヒートローラ211および定着ローラ212に巻き掛けられている。加圧ローラ230は、定着ローラ212と近接して配置され、定着ローラ212の周表面のうち定着ベルト213が巻き掛けられる部分で、定着ベルト213を挟んで定着ローラ212に圧接する。これにより、定着ローラ212と加圧ローラ230との間には、定着ニップ部270が形成されている。この定着ニップ部270は、記録紙Pを挟み込んで記録紙P上の未定着トナー像Tを記録紙Pに定着させるためのものである。
【0046】
また、加圧ローラ230は、駆動モータ260によって、図中において時計回りに回転する。定着ローラ212および定着ベルト213は、加圧ローラ230の回転によって、従動回転する。これにより、定着ニップ部270に進入した記録紙Pは、加圧ローラ230によって押圧されながら、定着ベルト213の送り速度(以下「ベルト速度」という)と同じ速度で、矢印300の方向に移動する。
【0047】
誘導加熱部220は、ヒートローラ211の周表面の定着ベルト213が巻き掛けられる部分に対して、対向配置されている。誘導加熱部220のコイル221は、ヒートローラ211を中心にした円形の断面領域にわたって、ヒートローラ211の周囲を覆うように配置されている。
【0048】
サーミスタ240は、定着ベルト213の内側のスペースに、定着ベルト213の内側の面、つまり、記録紙Pのトナー像形成面に接触しない側の面に当接して配置されている。より具体的には、サーミスタ240は、定着ベルト213が誘導加熱部220と対向する部分を通過してから定着ローラ212に接触するまでの間の、定着ニップ部270近傍の位置に配置されている。なお、サーミスタ240は3つ設けられており、定着ローラ212の軸に平行に並べて配置されている。具体的には、サーミスタ240は、定着ローラ212の軸に平行な方向において、定着ベルト213の中央と、記録紙Pを縦送りにした場合の記録紙Pの通過領域の端部に対応する位置と、記録紙Pを横送りにした場合の記録紙Pの通過領域の端部に対応する位置に、それぞれ配置されている。これは、記録紙Pの通紙状態によらずに、定着ベルト213の記録紙Pの通過領域の温度をより正確に取得するためである。
【0049】
ヒートローラ211および定着ベルト213は、回転方向の全周にわたって、導電性磁性部材からなる発熱層を有する。誘導加熱部220のコイル221は、供給電力に応じた交番磁界を発生し、ヒートローラ211の発熱層および定着ベルト213の発熱層に渦電流を発生させる。ヒートローラ211および定着ベルト213の発熱層は、渦電流によって発熱する。すなわち、ヒートローラ211および定着ベルト213は、誘導加熱部220の電磁誘導作用によって発熱する。
【0050】
一方で、ヒートローラ211および定着ベルト213は回転するため、ヒートローラ211および定着ベルト213は、回転方向の全周にわたって一様に加熱される。その結果、定着ニップ部270に進入した記録紙Pに対して、安定的に熱を供給することができる。
【0051】
定着ローラ212および加圧ローラ230は、表層を構成する部材として、それぞれ弾性層を有する。ただし、たとえば、定着ローラ212の弾性層をシリコンスポンジとし、加圧ローラ230の弾性層をシリコーンゴムとするなど、加圧ローラ230の表面硬度を定着ローラ212の表面硬度よりも高くすることが望ましい。また、定着ベルト213は、たとえば、ポリイミドからなる耐熱性のフィルム基材上に、シリコーンゴムからなる弾性層およびPTFE(PolyTetra-Fluoro Ethylene)からなる表面離型層などの各部材を重ねて構成される。
【0052】
これにより、図2に示すように、定着ニップ部270では、定着ベルト213を間に挟んで、加圧ローラ230が定着ローラ212に食い込んだ状態となる。すなわち、記録紙Pが定着ニップ部270を通過するときの速度は、ベルト速度にほぼ一致することになる。
【0053】
このように構成された定着装置200では、記録紙Pの記録面を定着ベルト213に接触させるように、記録紙Pを矢印300の方向で定着ニップ部270へ進入させることにより、記録紙P上の未定着トナー像Tを記録紙Pに溶融定着させることができる。
【0054】
上記したように、定着装置200では、定着ベルト213の送り速度を高精度に制御する必要がある。ところが、定着ベルト213の実際の送り速度を高い精度で検出しなければ、定着ベルト213の送り速度を高精度に制御することは難しい。そこで、定着装置200は、定着ローラ212の回転数を高い精度で検出する回転数検出部を備えることによって、定着ローラ212の回転数に基づいて定着ベルト213の実際の送り速度の検出を行う。
【0055】
ただし、加圧ローラ230と同様に、定着ローラ212の径も、定着ベルト213の温度(以下「ベルト温度」という)に応じて変動する。したがって、単に定着ローラ212の回転数を制御するのみでは、定着ベルト213の送り速度を高精度に制御することは難しい。そこで、制御部250は、ベルト温度を基に、定着ローラ212の径のベルト温度による変化を考慮してベルト速度を制御する。
【0056】
まず、回転数検出部について説明を行う。
【0057】
図3は、回転数検出部の構成を示す概略斜視図である。図2に示す定着ローラ212の端部に、回転数検出部280(回転数検出手段)が設けられている。回転数検出部280は、外周方向に突出する羽根281を円周方向に沿って複数有する円盤282と、円盤282の羽根281を検出するための透過型フォトセンサ283a、283bとを有している。
【0058】
円盤282は、中心軸が定着ローラ212の中心軸に固定されており、定着ローラ212と同じ回転数で回転する。透過型フォトセンサ283a、283bは、円盤282の羽根281が通過する領域の異なる位置にそれぞれ配置されている。
【0059】
図4は、回転数検出部280の構成を示す概略図である。透過型フォトセンサ283a、283bは、円盤282の回転軸から等距離で、かつ回転軸を中心とする所定の角度θで配置されている。また、定着ローラ212および円盤282は、図中で時計回りの方向に回転するものとする。すなわち、円盤282の羽根281は、透過型フォトセンサ283aの受光部を遮蔽した後、角度θだけ回転したのち、透過型フォトセンサ283bの受光部を遮蔽する。ただし、この角度θは、回転軸を中心とする隣り合う羽根281の角度と等しいか、これよりも小さい角度となっている。以下、定着ローラ212がある回転数で回転しており、ある羽根281が透過型フォトセンサ283aに到達した直後に透過型フォトセンサ283bに到達するまでの時間をtとして、説明を行う。
【0060】
図5は、フォトセンサの受光レベルの時間変化の一例を示す波形図である。横軸は時間を示し、縦軸は受光レベルを示す。定着ローラ212が回転するとき、透過型フォトセンサ283a、283bの受光レベルは、図5に示すように、矩形波となる。受光レベルの立下りタイミングは、透過型フォトセンサ283の遮光開始タイミングを示す。したがって、透過型フォトセンサ283aのある遮光開始タイミングから、その直後の透過型フォトセンサ283bの遮光開始タイミングまでが、前記した時間tに対応する。透過型フォトセンサ283a、283bは、図2に示す制御部250に対し、検出した受光レベルの立下りタイミングを、遮光開始タイミングとして出力する。
【0061】
ある羽根281が角度θだけ回転するのに要する時間tを検出することによって、円盤282の回転数、つまり定着ローラ212の回転数を検出することができる。このように、円盤282における羽根281の配置間隔の誤差に関係なく検出が行われるため、定着ローラ212の回転数を高い精度で検出することが可能となる。
【0062】
次に、ベルト速度の制御方法について説明する。
【0063】
図1に示す画像形成装置100は、複数のキースイッチと液晶パネルを備えた操作部(図示せず)を有している。ユーザは、この操作部を操作することによって、印字処理をスタートさせることができるとともに、記録紙Pへの画像形成処理、つまり印字処理を行う際のモード(以下「印字モード」という)を選択することができるようになっている。また、画像形成装置100は、通信手段(図示せず)を介して、外部のホスト装置から、印字処理や印字モードの選択を遠隔操作できるようになっている。
【0064】
ベルト速度の理想値(以下「基準ベルト速度」という)は、印字モードによって異なる。そこで、制御部250は、不揮発性メモリ254に、印字モードに対応付けて基準ベルト速度を記述した基準ベルト速度テーブルを、あらかじめ格納している。そして、選択された印字モードに対応する基準ベルト速度を、この基準ベルト速度テーブルを参照して決定する。
【0065】
図6は、基準ベルト速度テーブルの内容を示す説明図である。基準ベルト速度テーブル400には、印字モードに対応付けて、基準ベルト速度が記述されている。それぞれの基準ベルト速度は、画像形成装置100が該当する印字モードで印字を行う際に、画像形成部140など、画像形成装置100を構成する他の装置部が記録紙Pを搬送する速度と対応した値となっている。ここでは、たとえば、「標準速、モノクロ」という印字モードに対応して、「170mm/s」という基準ベルト速度が記述されている。したがって、制御部250は、「標準速、モノクロ」という印字モードが選択された場合には、「170mm/s」を、基準ベルト速度に決定する。
【0066】
また、制御部250は、不揮発性メモリ254に、定着ローラ212の外径(以下「ローラ径」という)の基準値(以下「基準ローラ径」という)をあらかじめ格納している。そして、基準ベルト速度ごとに、ローラ径が基準ローラ径に一致しているときにベルト速度を該当する基準ベルト速度に一致させるような駆動モータ260の周波数(以下「基準周波数」という)を、あらかじめ格納している。制御部250は、初期状態として、駆動モータ260の回転数を、この基準周波数に一致するように設定する。
【0067】
さらに、制御部250は、不揮発性メモリ254に、ベルト温度に対応付けて、ローラ径補正係数を記述した、ローラ径補正係数テーブルを、あらかじめ格納している。ローラ径補正係数とは、定着ベルト213が該当する温度のときの定着ローラ212の外径を求めるための補正係数である。
【0068】
図7は、ローラ径補正係数テーブルの内容を示す説明図である。ローラ径補正係数テーブル450には、ベルト温度に対応付けて、ローラ径の増加分の基準ローラ径に対する割合が、ローラ径補正係数として記述されている。
【0069】
図7に示すローラ径補正係数テーブル450では、たとえば、151℃から160℃までの範囲のベルト温度に、0.606%が対応付けられている。これは、ベルト温度が151℃から160℃までの範囲にあるとき、基準ローラ径のおよそ0.606%だけベルト径が基準ローラ径よりも大きいことを示す。ローラ径補正係数テーブル450の記述内容は、たとえば実験によって求められたものである。
【0070】
制御部250は、印字処理が開始されると、回転数検出部280による回転数検出結果と、サーミスタ240によって検出されるベルト温度を基に、ベルト速度を制御するためのベルト速度制御処理を実行する。
【0071】
図8は、制御部250によるベルト速度制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
ステップS1100で、制御部250は、タイマ255をリセットする。
【0073】
次に、ステップS1200で、円盤282の羽根281が先に通過する第1のフォトセンサ、つまり透過型フォトセンサ283aが、羽根281によって遮光されるのを監視する。透過型フォトセンサ283aが遮光されると(S1200:YES)、ステップS1300へ進む。
【0074】
ステップS1300では、タイマ255の計時を起動させる。すなわち、タイマ255の計測時間は、透過型フォトセンサ283aの遮光開始タイミングからの経過時間を示すことになる。
【0075】
次に、ステップS1400で、円盤282の羽根281が後に通過する第2のフォトセンサ、つまり透過型フォトセンサ283bが、羽根281によって遮光されるのを監視する。透過型フォトセンサ283bが遮光されると(S1400:YES)、ステップS1500へ進む。
【0076】
ステップS1500では、タイマ255の計測時間を、ある羽根281が透過型フォトセンサ283aに到達してから透過型フォトセンサ283bに到達するまでの時間として取得する。すなわち、図4および図5に示す時間tを取得する。
【0077】
次に、ステップS1600で、サーミスタ240の検出温度をベルト温度として取得する。サーミスタ240は、既に説明したように3つ備えられている。制御部250は、たとえば、3つのサーミスタ240のうち、次に定着処理が行われる記録紙Pの通過領域に対応する位置に配置されたサーミスタ240による検出結果を、ベルト温度として取得するようにする。あるいは、3つのサーミスタ240の検出結果の平均を、ベルト温度として取得するようにしてもよい。
【0078】
次に、ステップS1700で、ステップS1600で取得されたベルト温度を基に、図7に示すローラ径補正係数テーブル450から、定着ローラ212の実際の径を求めるためのローラ径補正係数を取得する。たとえば、ベルト温度が151℃から160℃までの範囲である場合には、ローラ径補正係数として「0.606%」が取得される。
【0079】
次に、ステップS1800で、ステップS1700で取得したローラ径補正係数を基に、実際のベルト速度(以下「実ベルト速度」という)を算出する。前記した基準ローラ径をローラ径補正係数の割合だけ変化させた値が、定着ローラ212の実際の外径であり、この外径から定着ローラ212の周長を求めることができる。また、定着ローラ212の回転数は、時間tおよび角度θによって求めることができ、この回転数と周長から、定着ローラ212の周表面の移動速度、つまり実ベルト速度を求めることができる。
【0080】
したがって、たとえば、ローラ径補正係数をr、基準ローラ径をd、円周率をπとし、定着ベルト213の厚さdを考慮すると、θの単位がラジアンのとき、実ベルト速度vは、以下の式で求めることができる。
【0081】
v = {(d+2d)×π×(1+r)}/{(360/θ)×t}
【0082】
ステップS1900では、ステップS1800で算出された実ベルト速度を、基準ベルト速度と比較する。
【0083】
次に、ステップS2000で、ステップS1900での比較結果を基に、ベルト速度を修正する必要があるか、つまり駆動モータ260の周波数を変更する必要があるかを判別する。具体的には、ステップS1900での比較結果として得られる実ベルト速度と基準ベルト速度との差が、所定の許容範囲内であるか否かを判別する。この許容範囲は、たとえば、実験によって正常に印字処理が行われる実ベルト速度の最大値と最小地を特定し、特定した最大値および最小値と基準ベルト速度と差によって決定すればよい。
【0084】
実ベルト速度と基準ベルト速度との差が許容範囲外であり、駆動モータ260の周波数(モータ周波数)を変更する必要がある場合には(S2000:YES)、ステップS2100へ進む。一方、実ベルト速度と基準ベルト速度との差が許容範囲内であり、駆動モータ260の周波数を変更する必要がない場合には(S2000:NO)、ステップS2200へ進む。
【0085】
ステップS2100では、ベルト速度が基準ベルト速度に一致するように、駆動モータ260の周波数を修正する。具体的には、たとえば、加圧ローラ230の回転数と駆動モータ260の周波数が比例関係にある場合には、基準ベルト速度を定着ベルト213の実ベルト速度で除した値を、実ベルト速度に対する基準ベルト速度の比(以下「ベルト速度比」という)として算出する。そして、基準周波数にベルト速度比を乗じた値に一致するように、駆動モータ260の周波数を修正する。これにより、ベルト速度を基準ベルト速度に一致させることができる。
【0086】
また、たとえば、実ベルト速度が基準ベルト速度を上回る場合には、駆動モータ260の周波数を1クリメント減少させ、実ベルト速度が基準ベルト速度を下回る場合には、駆動モータ260の周波数を1クリメント増加させるようにしてもよい。この場合、加圧ローラ230の回転数と駆動モータ260の周波数が比例関係になくても、複数回周波数の修正を繰り返すことによって、最終的にベルト速度を基準ベルト速度に一致させることができる。
【0087】
そして、ステップS2200で、ベルト速度の制御を継続する場合には(S2200:NO)、ステップS1100へ戻る。一方、印字処理が終了するなどしてベルト速度の制御を終了する場合には(S2200:YES)、一連の処理を終了する。
【0088】
このように、画像形成装置100の定着部200は、定着ローラ212の回転数を高い精度で検出するとともに、温度による定着ローラ212の径の変化を考慮して、ベルト速度の制御を行う。これにより、高い精度でベルト速度を制御することができる。
【0089】
なお、回転数検出部は、図3および図4に示す構成に限定されるものではなく、他の各種構成を採ることができる。たとえば、透過型フォトセンサを使用するのであれば、羽根ではなく、円盤に孔を穿つなど、円盤のセンサ通過部分に、円盤の回転方向に沿って、光が透過する領域(光透過領域)と光が透過しない領域(光不透過領域)を交互に配置すればよい。さらに、透過型フォトセンサではなく、反射型フォトインタラプタを配置し、円盤に色の異なる複数の領域を回転方向に沿って交互に配置することによって、定着ローラ212の回転数を検出するようにしてもよい。
【0090】
図9は、回転数検出部の他の構成を示す概略斜視図である。この回転数検出部580では、片面に円周に沿って白色領域と黒色領域を交互に配置した白黒円盤582と、白黒円盤580の白黒を検出するための反射型フォトインタラプタ583a、583bを有している。
【0091】
図3および図4に示す円盤282と同様に、白黒円盤582の中心軸は、定着ローラ212の中心軸に固定されており、反射型フォトインタラプタ583a、583bは、白黒円盤582の白色領域および黒色領域が通過する領域に、白黒円盤582の回転軸から等距離かつ回転軸を中心とする所定の角度θで配置されている。また、この角度θは、白黒回転軸を中心とする隣り合う白黒境界の角度と等しいか、これよりも小さい角度となっている。したがって、反射型フォトインタラプタ583a、583bの受光レベルの変化のタイミングを、図3および図4に示す透過型フォトセンサ283a、283bの受光レベルの変化のタイミングと同様に扱うことができ、定着ローラ212の回転数の検出に使用することができる。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置100によれば、定着部200は、定着ローラ212の回転数と、定着ベルト213の温度とを検出し、これらの検出結果に基づいて定着ローラ212の回転を制御し、定着ベルト213の送り速度が一定になるように制御する。これにより、加圧ローラ230の径や定着ローラ212の径が温度により変化し、その結果として定着ベルト213の送り速度が変化する場合でも、その変化を定着ベルト213の送り速度を一定にする制御に反映させることができる。
【0093】
また、定着ベルト213の温度に対応付けて定着ローラ212の径の補正係数を記述したローラ径補正係数テーブルをあらかじめ用意しており、このローラ径補正係数テーブルを参照して定着ローラ212の実際の径を推定する。そして、推定結果を基に、定着ローラ212の回転を制御する。これにより、高い精度で定着ベルト213の送り速度を理想値に一致させることができる。
【0094】
さらに、定着ローラ212の回転方向に2つのフォトセンサを配置し、羽根や色の境界部分が1つ目のセンサに到達してから2つ目のセンサに到達するまでに要した時間を基に、定着ローラ212の実際の回転数を検出する。これにより、定着ベルト213の実際の送り速度を高い精度で検出することができ、さらに高い精度で定着ベルト213の送り速度を理想値に一致させることが可能となる。また、以上のように定着ベルト213の送り速度を高精度に制御することにより、定着部200と画像形成部140など画像形成装置100の他の装置部との間で、記録紙の搬送速度を精度よく一致させることができ、画像形成装置100の画像品質を高いまま保持することができる。特に、本実施の形態の画像形成装置100のようなカラー画像のプリントを行う装置の場合、画像形成部と定着部との間で記録媒体の引っ張り合いやたわみが発生すると、記録紙上に層状に重ね合わせられた各色のトナーのうち、記録紙表面からより離れた側の層のトナーが記録紙上により大きく飛び散るという現象が発生する。すなわち、カラー画像のプリントでは、モノクロ画像のプリントに比べて、記録媒体の引っ張り合いやたわみが画像品質に大きな影響を及ぼす。したがって、本発明は、カラープリンタ機能を有する画像形成装置において、より大きな効果を奏することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、定着ローラの回転数の検出結果に基づいて定着ベルト213の送り速度を制御するようにしたが、加圧ローラに回転数検出部を設け、加圧ローラの回転数検出結果に基づいて定着ベルト213の送り速度を制御するようにしてもよい。
【0096】
ただし、加圧ローラは定着ローラよりも比熱の高い構成となっており、定着ベルトの温度や加圧ローラ表面の温度から加圧ローラの外形を高い精度で検出することは難しい。一方で、加圧ローラの芯金の温度を検出するようにすると、装置が複雑化する恐れがある。したがって、本実施の形態で説明したように、定着ローラに回転数検出部を設けることにより、加圧ローラに回転数検出部を設ける場合に比べて、装置構成の単純化や制御精度の向上を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係る定着装置は、高精度で定着ベルトの送り速度を制御することができるので、電子写真方式あるいは静電記録方式による複写機、ファクシミリおよびプリンタなどの画像形成装置に用いられる定着装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施の形態に係る定着装置を用いた画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】本実施の形態における定着部の基本的な構成を示す概略図
【図3】本実施の形態における回転数検出部の構成を示す概略斜視図
【図4】本実施の形態における回転数検出部の構成を示す概略図
【図5】本実施の形態におけるフォトセンサの受光レベルの時間変化の一例を示す波形図
【図6】本実施の形態における基準ベルト速度テーブルの内容を示す説明図
【図7】本実施の形態におけるローラ径補正係数テーブルの内容を示す説明図
【図8】本実施の形態におけるベルト速度制御処理の流れを示すフローチャート
【図9】本実施の形態における回転数検出部の他の構成を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0099】
100 画像形成装置
110 原稿読取部
120 給紙カセット
130 感光体ドラム
140 画像形成部
150 通紙センサ
160 排紙トレイ
170 搬送経路
200 定着部
211 ヒートローラ
212 定着ローラ
213 定着ベルト
220 誘導加熱部
221 コイル
230 加圧ローラ
240 サーミスタ
250 制御部
260 駆動モータ
251 CPU
252 ROM
253 RAM
254 不揮発性メモリ
255 タイマ
280、580 回転数検出部
282 円盤
283 透過型フォトセンサ
582 白黒円盤
583 反射型フォトインタラプタ

【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一


【公開番号】 特開2008−3297(P2008−3297A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172577(P2006−172577)