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【発明の名称】 感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品
【発明者】 【氏名】岩下 健一

【要約】 【課題】硬化後の膜の物性が、高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品を提供する。

【構成】感光性樹脂組成物は、(a)一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(b)感光剤と、及び(c)溶剤とを含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(b)感光剤と、及び(c)溶剤とを含有してなることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化1】


(式中、U又はVは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【請求項2】
前記(a)成分の一般式(I)におけるU及びVの少なくとも一方が、以下に示す一般式(II)又は(III)で表されることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】



(式中、R1からR6は各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a、bは各々独立に1〜6の整数を表し、R1とR1に隣接する炭素との結合及びR4とR4に隣接する炭素との結合における立体配置は、前記一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【化3】


(式中、Aは単結合又は2価の有機基を示し、R7からR18は、各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、cからfは各々独立に1〜6の整数を表し、R7とR7に隣接する炭素との結合及びR10とR10に隣接する炭素との結合における立体配置、並びにR13とR13に隣接する炭素との結合及びR16とR16に隣接する炭素との結合における立体配置は、それぞれ、前記一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【請求項3】
前記(a)成分が、以下に示す一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化4】


(式中、Uは2価の有機基であり、シクロヘキサン環とシクロヘキサン環に結合する2つのカルボニル基とで形成される2つの結合における立体配置は、一般式(IV)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【請求項4】
(a)一般式(V)で示されるA構造単位とB構造単位とを有してなるポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体と、(b)感光剤と、及び(c)溶剤とを含有してなることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化5】


(式中、U, V, W, Xは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、W及びXは脂環式環状構造を含まない基であり、j及びkはそれぞれA構造単位及びB構造単位のモル分率を示し、j及びkの和は100モル%であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【請求項5】
前記(a)成分の一般式(V)におけるU又はVの少なくとも一方が、一般式(II)又は(III)で表されることを特徴とする請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】



(式中、R1からR6は各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a、bは各々独立に1〜6の整数を表し、R1とR1に隣接する炭素との結合及びR4とR4に隣接する炭素との結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【化3】


(式中、Aは単結合又は2価の有機基を示し、R7からR18は、各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、cからfは各々独立に1〜6の整数を表し、R7とR7に隣接する炭素との結合及びR10とR10に隣接する炭素との結合における立体配置、並びにR13とR13に隣接する炭素との結合及びR16とR16に隣接する炭素との結合における立体配置は、それぞれ、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形ある。)
【請求項6】
前記(a)成分が、以下に示す一般式(VI)で表されるA構造単位とB構造単位とを有してなることを特徴とする請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【化6】


(式中、U,W,Xは2価の有機基を示し、j及びkはそれぞれA構造単位及びB構造単位のモル分率を示し、j及びkの和は100モル%であり、前記A構造単位におけるシクロヘキサン環とシクロヘキサン環に結合する2つのカルボニル基とで形成される2つの結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【請求項7】
前記(b)成分が、光により酸又はラジカルを発生する感光剤であることを特徴とする請求項1から請求項6のうち、いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに(d)成分として加熱により酸を発生する熱酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のうち、いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうち、いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用い、そのポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環して形成されることを特徴とするポリベンゾオキサゾール膜。
【請求項10】
請求項1から請求項8のうち、いずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程と、前記乾燥により得られた感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像する工程と、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含むことを特徴とするパターンの製造方法。
【請求項11】
前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、その加熱工程が周波数を変化させながらパルス状にマイクロ波を照射することを特徴とする請求項10に記載のパターンの製造方法。
【請求項12】
前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、その加熱処理温度が280℃以下であることを特徴とする請求項10又は11に記載のパターンの製造方法。
【請求項13】
請求項10から請求項12のうち、いずれか1項に記載のパターンの製造方法により得られるパターンの層を、層間絶縁膜層及び/又は表面保護膜層として有することを特徴とする電子部品。
【請求項14】
前記電子部品が、磁気抵抗メモリであることを特徴とする請求項13に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する耐熱性に優れた感光性樹脂組成物、この感光性樹脂組成物を用いたパターンの製造方法及び電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。しかし、近年半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化小型化の要求がありLOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装などの方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作製工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する。従来の感光性ポリイミド又はその前駆体を用いてなる耐熱性フォトレジストや、その用途については良く知られている。ネガ型では、ポリイミド前駆体にエステル結合又はイオン結合を介してメタクリロイル基を導入する方法(例えば、特許文献1〜4参照)、光重合性オレフィンを有する可溶性ポリイミド(例えば、特許文献5〜10参照)、ベンゾフェノン骨格を有し、かつ窒素原子が結合する芳香環のオルソ位にアルキル基を有する自己増感型ポリイミド(例えば、特許文献11、12参照)などがある。
【0004】
上記のネガ型の感光性ポリイミドでは、現像の際にN−メチルピロリドン等の有機溶剤を必要とするため、最近では、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂の提案がなされている。ポジ型ではポリイミド前駆体にエステル結合を介してo−ニトロベンジル基を導入する方法(例えば、非特許文献1参照)、可溶性ヒドロキシルイミド又はポリオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(例えば、特許文献13、14参照)、可溶性ポリイミドにエステル結合を介してナフトキノンジアジドを導入する方法(例えば、非特許文献2参照)、ポリイミド前駆体にナフトキノンジアジドを混合するもの(例えば、特許文献15参照)などがある。
【0005】
しかしながら、上記のネガ型の感光性ポリイミドではその機能上、解像度に問題があったり、用途によっては製造時の歩留まり低下を招いたりするなどの問題がある。また、用いるポリマーの構造が限定されるために、最終的に得られる被膜の物性が限定されてしまい多目的用途には不向きなものである。一方、ポジ型の感光性ポリイミドにおいても、上記のように感光剤の吸収波長に伴う問題から感度や解像度が低かったり、構造が限定されたりして、同様の問題を有する。
【0006】
また、ポリベンゾオキサゾール前駆体にジアゾナフトキノン化合物を混合したもの(例えば、特許文献16参照)や、ポリアミド酸にエステル結合を介してフェノール部位を導入したもの(例えば、特許文献17参照)などカルボン酸の代わりにフェノール性水酸基を導入したものがあるが、これらのものは現像性が不十分であり未露光部の膜減りや樹脂の基材からの剥離が起こる。
【0007】
また、こうした現像性や接着の改良を目的に、シロキサン部位をポリマー骨格中に有するポリアミド酸を混合したもの(例えば、特許文献18、19参照)が提案されているが、前述のごとくポリアミド酸を用いるため保存安定性が悪化する。加えて保存安定性や接着の改良を目的に、アミン末端基を重合性基で封止したもの(例えば、特許文献20〜22参照)も提案されているが、これらのものは、酸発生剤として芳香環を多数含むジアゾキノン化合物を用いるため、感度が低く、ジアゾキノン化合物の添加量を増やす必要から、熱硬化後の機械物性を著しく低下させると言う問題があり、実用レベルの材料とは言い難いものである。
【0008】
前記ジアゾキノン化合物の問題点の改良を目的に種々の化学増幅システムを適用したものも提案されている。化学増幅型のポリイミド(例えば、特許文献23参照)、化学増幅型のポリイミド又はポリベンゾオキサゾール前駆体(例えば、特許文献24〜30参照)が挙げられるが、これらのうち高感度のものは低分子量が招く膜特性の低下が、膜特性に優れるものは高分子量が招く溶解性不十分による感度の低下が見られ、いずれも実用レベルの材料とは言い難いものである。従って、いずれも未だ実用化レベルで充分なものはないのが実状である。
【0009】
【特許文献1】特開昭49−11541号公報
【特許文献2】特開昭50−40922号公報
【特許文献3】特開昭54−145794号公報
【特許文献4】特開昭56−38038号公報
【特許文献5】特開昭59−108031号公報
【特許文献6】特開昭59−220730号公報
【特許文献7】特開昭59−232122号公報
【特許文献8】特開昭60−6729号公報
【特許文献9】特開昭60−72925号公報
【特許文献10】特開昭61−57620号公報
【特許文献11】特開昭59−219330号公報
【特許文献12】特開昭59−231533号公報
【特許文献13】特公昭64−60630号公報
【特許文献14】米国特許4395482号明細書
【特許文献15】特開昭52−13315号公報
【特許文献16】特開平1−46862号公報
【特許文献17】特開平10−307393号公報
【特許文献18】特開平4−31861号公報
【特許文献19】特開平4−46345号公報
【特許文献20】特開平5−197153号公報
【特許文献21】特開平9−183846号公報
【特許文献22】特開2001−183835号公報
【特許文献23】特開平3−763号公報
【特許文献24】特開平7−219228号公報
【特許文献25】特開平10−186664号公報
【特許文献26】特開平11−202489号公報
【特許文献27】特開2000−56559号公報
【特許文献28】特開2001−194791号公報
【特許文献29】特表2002−526793号公報
【特許文献30】米国特許6143467号明細書
【非特許文献1】J.Macromol.Sci.Chem.,A24,10,1407,1987
【非特許文献2】Macromolecules,23,1990
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
感光性ポリイミド又は感光性ポリベンゾオキサゾールは、パターン形成後に、通常、350℃前後の高温で硬化を行う。これに対して、最近、登場してきた次世代メモリーとして有望なMRAM(Magnet Resistive RAM)は高温プロセスに弱く、低温プロセスが望まれている。従って、バッファーコート(表面保護膜)材でも、従来の350℃前後というような高温ではなく、約280℃の以下の低温で硬化ができ、さらには硬化後の膜の物性が、高温で硬化したものと遜色ない性能が得られるバッファーコート材が不可欠となってきた。しかしながら、このような低温で硬化でき、しかも高温で硬化したものと遜色ない性能が得られるバッファーコート材は、未だ得られていないという問題点があった。
【0011】
本発明は、以上のような従来の課題を解決するためになされたものであって、280℃以下でも高い脱水閉環率を有する特定の構造単位を持つポリベンゾオキサゾール感光性樹脂膜をベース樹脂とすることにより、硬化後の膜の物性が、高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、アルカリ現像可能な感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体に関し、以下に示す一般式(I)又は(V)においてUとVの両方又は一方が脂環式環状構造を有することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体の光透過性が高く、さらに約280℃の以下でも樹脂の脱水閉環率が高いので、この樹脂を用いることにより低温での硬化プロセスによっても高温での硬化膜の物性と差がないような耐熱性に富んだ感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
また、この脂環式環状構造は特定の立体配置であることにより、硬化膜はより低温での硬化プロセスでも高い破断伸びとなる。本発明は、前記感光性樹脂組成物の使用により、アルカリ水溶液で現像可能であり、感度、解像度に優れ、280℃以下の低温硬化プロセスによって耐熱性に優れた、良好な形状のパターンが得られるパターンの製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有し、さらには低温プロセスで硬化できることにより、デバイスへのダメージが避けられ、信頼性の高い電子部品を歩留まり良く提供するものである。
【0014】
すなわち、本発明による感光性樹脂組成物は、(a)一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(b)感光剤と、及び(c)溶剤とを含有してなることを特徴とする。
【0015】
【化1】


(式中、U又はVは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0016】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、前記(a)成分の一般式(I)におけるU及びVの少なくとも一方が、以下に示す一般式(II)又は(III)で表されることを特徴とする。
【0017】
【化2】



(式中、R1からR6は各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a、bは各々独立に1〜6の整数を表し、R1とR1に隣接する炭素との結合及びR4とR4に隣接する炭素との結合における立体配置は、前記一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0018】
【化3】


(式中、Aは単結合又は2価の有機基を示し、R7からR18は、各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、cからfは各々独立に1〜6の整数を表し、R7とR7に隣接する炭素との結合及びR10とR10に隣接する炭素との結合における立体配置、並びにR13とR13に隣接する炭素との結合及びR16とR16に隣接する炭素との結合における立体配置は、それぞれ、前記一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0019】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、前記(a)成分が、以下に示す一般式(IV)で表されることを特徴とする。
【0020】
【化4】


(式中、Uは2価の有機基であり、シクロヘキサン環とシクロヘキサン環に結合する2つのカルボニル基とで形成される2つの結合における立体配置は、一般式(IV)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0021】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、(a)一般式(V)で示されるA構造単位とB構造単位とを有してなるポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体と、(b)感光剤と、及び(c)溶剤とを含有してなることを特徴とする。
【0022】
【化5】


(式中、U, V, W, Xは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、W及びXは脂環式環状構造を含まない基であり、j及びkはそれぞれA構造単位及びB構造単位のモル分率を示し、j及びkの和は100モル%であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0023】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、前記(a)成分の一般式(V)におけるU又はVの少なくとも一方が、一般式(II)又は(III)で表されることを特徴とする。
【0024】
【化2】



(式中、R1からR6は各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a、bは各々独立に1〜6の整数を表し、R1とR1に隣接する炭素との結合及びR4とR4に隣接する炭素との結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0025】
【化3】


(式中、Aは単結合又は2価の有機基を示し、R7からR18は、各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、cからfは各々独立に1〜6の整数を表し、R7とR7に隣接する炭素との結合及びR10とR10に隣接する炭素との結合における立体配置、並びにR13とR13に隣接する炭素との結合及びR16とR16に隣接する炭素との結合における立体配置は、それぞれ、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形ある。)
【0026】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、前記(a)成分が、以下に示す一般式(VI)で表されるA構造単位とB構造単位とを有してなることを特徴とする。
【0027】
【化6】


(式中、U,W,Xは2価の有機基を示し、j及びkはそれぞれA構造単位及びB構造単位のモル分率を示し、j及びkの和は100モル%であり、前記A構造単位におけるシクロヘキサン環とシクロヘキサン環に結合する2つのカルボニル基とで形成される2つの結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0028】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、前記(b)成分が光により酸又はラジカルを発生する感光剤であることを特徴とする。
【0029】
また、本発明による感光性樹脂組成物にあっては、さらに(d)成分として加熱により酸を発生する熱酸発生剤を含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明によるポリベンゾオキサゾール膜にあっては、前記感光性樹脂組成物を用い、そのポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環して形成されることを特徴とする。
【0031】
また、本発明によるパターンの製造方法にあっては、前記感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程と、前記乾燥により得られた感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像する工程と、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含むことを特徴とする。
【0032】
また、本発明によるパターンの製造方法にあっては、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、その加熱工程が周波数を変化させながらパルス状にマイクロ波を照射することを特徴とする。
【0033】
また、本発明によるパターンの製造方法にあっては、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、その加熱処理温度が280℃以下であることを特徴とする。
【0034】
また、本発明による電子部品にあっては、前記パターンの製造方法により得られるパターンの層を、層間絶縁膜層及び/又は表面保護膜層として有することを特徴とする。
【0035】
また、本発明による電子部品にあっては、前記電子部品が磁気抵抗メモリであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
従来、感光性樹脂組成物のベース樹脂として用いられているポリベンゾオキサゾール前駆体は、パターン形成後に脱水閉環するために350℃前後の高温で硬化を行うが、本発明の感光性樹脂組成物は、280℃以下でも高い脱水閉環率を持つ特定のポリベンゾオキサゾール感光性樹脂膜をベース樹脂とすることにより、硬化後の膜の物性が高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる。従って、より低温で効率的に環化反応や硬化反応が起きる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度差(溶解コントラスト)が現れ、所望のパターンを形成できる。
【0037】
また、本発明のパターンの製造方法によれば、前記感光性樹脂組成物の使用により、感度、解像度、接着性に優れ、さらに低温硬化プロセスでも耐熱性に優れ、吸水率の低い、良好な形状のパターンが得られる。
さらに、本発明の電子部品は、良好な形状と接着性、耐熱性に優れたパターンを有し、さらには低温プロセスで硬化できることにより、デバイスへのダメージが避けられ、信頼性の高いものである。またデバイスへのダメージが少ないことから、歩留まりも高いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明による感光性樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0039】
[感光性樹脂組成物]
まず、本発明による感光性樹脂組成物について説明する。本発明による感光性樹脂組成物は、(a)一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(b)感光剤と、及び(c)溶剤とを含有する。なお、(a)ポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体、(b)感光剤及び(c)溶剤を、場合によりそれぞれ単に(a)成分、(b)成分及び(c)成分とする。
【0040】
【化1】


(式中、U又はVは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0041】
また、一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体の代わりに、(a)成分として以下に示す一般式(V)で示される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体を使用することもできる。
【0042】
【化5】


(式中、U, V, W, Xは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、W及びXは脂環式環状構造を含まない基であり、j及びkはそれぞれA構造単位及びB構造単位のモル分率を示し、j及びkの和は100モル%であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
以下、本発明による感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0043】
((a)成分:ポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体)
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、通常、アルカリ水溶液で現像するので、アルカリ水溶液可溶性であることが好ましい。本発明においては、例えば、前記一般式(I)、(V)以外のポリベンゾオキサゾール前駆体の構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体ではないポリアミドの構造、ポリベンゾオキサゾールの構造、ポリイミドやポリイミド前駆体(ポリアミド酸やポリアミド酸エステル)の構造を、前記一般式(I)、(V)のポリオキサゾール前駆体の構造と共に有していても良い。
【0044】
なお、アルカリ水溶液とは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液である。ポリオキサゾール前駆体の構造、即ち、一般式(I)、(V)で表されるヒドロキシ基を含有するアミドユニットは、最終的には硬化時の脱水閉環により、耐熱性、機械特性、電気特性に優れるオキサゾール体に変換される。
【0045】
本発明で用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記一般式(I)、(V)で表される繰り返し単位を有するが、そのアルカリ水溶液に対する可溶性は、Uに結合するOH基(一般にはフェノール性水酸基)に由来するため、前記OH基を含有するアミドユニットが、ある割合以上含まれていることが好ましい。
例えば、下記一般式(VII)、(VIII) で表されるポリイミド前駆体であることが好ましい。
【0046】
【化7】


(式中、U,V,Y,Zは2価の有機基を示す。jとlは、それぞれの繰り返し単位のモル分率を示し、jとlの和は100モル%であり、jが60〜100モル%、lが40〜0モル%である。)
ここで、式中のjとlのモル分率は、j=80〜100モル%、l=20〜0モル%であることがより好ましい。
【0047】
【化8】


(式中、U, V, W, X, Y, Zは2価の有機基を示す。jとkとlは、それぞれの繰り返し単位のモル分率を示し、jとkとlの和は100モル%であり、jとkの和j+kが60〜100モル%、lが40〜0モル%である。)
ここで、式中のjとkとlのモル分率は、j+k=80〜100モル%、l=20〜0モル%であることがより好ましい。
【0048】
(a)成分の分子量は、重量平均分子量で3,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。ここで分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
【0049】
本発明におけるポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法に特に制限はなく、例えば前記一般式(I)、(V)で表される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体は、一般的にジカルボン酸誘導体とヒドロキシ基含有ジアミン類とから合成できる。具体的には、ジカルボン酸誘導体をジハライド誘導体に変換後、前記ジアミン類との反応を行うことにより合成できる。ジハライド誘導体としては、ジクロリド誘導体が好ましい。
【0050】
ジクロリド誘導体は、ジカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて合成することができる。ハロゲン化剤としては通常のカルボン酸の酸クロリド化反応に使用される、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が使用できる。
【0051】
ジクロリド誘導体を合成する方法としては、ジカルボン酸誘導体と上記ハロゲン化剤を溶媒中で反応させるか、過剰のハロゲン化剤中で反応を行った後、過剰分を留去する方法で合成できる。反応溶媒としは、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン等が使用できる。
【0052】
これらのハロゲン化剤の使用量は、溶媒中で反応させる場合は、ジカルボン酸誘導体に対して、1.5〜3.0モルが好ましく、1.7〜2.5モルがより好ましく、ハロゲン化剤中で反応させる場合は、4.0〜50モルが好ましく、5.0〜20モルがより好ましい。反応温度は、−10〜70℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
【0053】
ジクロリド誘導体とジアミン類との反応は、脱ハロゲン化水素剤の存在下に、有機溶媒中で行うことが好ましい。脱ハロゲン化水素剤としては、通常、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基が使用される。また、有機溶媒としは、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が使用できる。反応温度は、−10〜30℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
【0054】
以下、一般式(I)、(V)について詳述する。
一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体は、次の一般式で示される。
【0055】
【化1】


(式中、U又はVは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0056】
ここで、「アンチ形」とは、脂環式環状構造がポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の一部を構成する場合、脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合するポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素(例えば炭素など)とで形成される2つの結合における立体配置が、前記脂環式環式構造に含まれる炭素から前記主鎖上の元素に向かう方向を結合の向きとする際に、より反対方向に向いている状態が形成されている場合をいう。
【0057】
例えば、1,4−置換のシクロヘキサン環の例では、次の構造式(IX)
【化9】


に示されるように、脂環上の炭素C1から一方のポリベンゾオキサゾール前駆体における主鎖上の元素Sへの結合の向きに対して、脂環上の炭素C4から脂環を構成しない2つの結合の向きのうち炭素C4と他方のポリベンゾオキサゾール前駆体における主鎖上の元素Tへの結合の向きが、より反対方向を向いている。このような状態が形成されていることをアンチ形と称する。
【0058】
以上のような立体配置において、一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形であるのが好ましい。但し、好ましい範囲はその構造によって異なり、一般に、より好ましくは一般式(I)の繰り返し単位の総数に対して40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
ここで、一般式(I)の繰り返し単位の総数は、10〜1,000程度の範囲が好ましい。また、これら所望のアンチ形の割合を得るためには、例えば、立体配置がアンチ形かシン形かが既知な化合物を所定の割合(例えばモル%)で混合することで、容易に得られる。
【0059】
次に、本発明に用いる一般式(V)で表されるA構造単位とB構造単位とを有してなるポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体は、次式で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体である。
【0060】
【化5】


(式中、U, V, W, Xは2価の有機基を示し、U及びVの少なくとも一方が炭素数3〜20の脂環式環状構造を含む基であり、W及びXは脂環式環状構造を含まない基であり、j及びkはそれぞれA構造単位及びB構造単位のモル分率を示し、j及びkの和は100モル%であり、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、前記A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0061】
ここで、式中のjとkのモル分率は、j=5〜85モル%、k=15〜95モル%であることがパターン性、機械特性、耐熱性、耐薬品性の点でより好ましい。
一般式(V)において、前記脂環式環状構造に含まれる2つの炭素と、これら2つの炭素にそれぞれ結合される前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の主鎖上の元素とで形成される2つの結合における立体配置は、A構造単位の繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形であるのが好ましいが、好ましい範囲はその構造によって異なり、一般には、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。また、これら所望のアンチ形の割合を得るためには、例えば立体配置がアンチ形かシン形かが既知な化合物を所定の割合(例えばモル%)で混合することで容易に得られる。
【0062】
次に、Uとして好ましい基について説明する。
炭素数3〜20の脂環構造を含む基は、一般式(I)、(V)において、UとしてもVとして存在していても良い。脂環構造の骨格を含む基としては、一般式(II)、(III)で表される脂環構造であると、280℃の以下での脱水閉環率が高い点で優れるので好ましい。なお、以下の一般式(II)、(III)における「繰り返し単位」は、U又はVが一般式(I)に存在する場合には一般式(I)の繰り返し単位を示し、U又はVが一般式(V)に存在する場合には一般式(V)のA構造単位の繰り返し単位を示す。
【0063】
【化2】



(式中、R1からR6は各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a、bは各々独立に1〜6の整数を表し、R1とR1に隣接する炭素との結合及びR4とR4に隣接する炭素との結合における立体配置は、繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0064】
【化3】


(式中、Aは単結合又は2価の有機基を示し、R7からR18は、各々独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、cからfは各々独立に1〜6の整数を表し、R7とR7に隣接する炭素との結合及びR10とR10に隣接する炭素との結合における立体配置、並びにR13とR13に隣接する炭素との結合及びR16とR16に隣接する炭素との結合における立体配置は、繰り返し単位の総数に対して30%以上がアンチ形である。)
【0065】
次に、上述したジアミン類としては、例えば次の化学式(X)で示す化合物が挙げられる。
【化10】


【0066】
化学式(X)において、シクロヘキサン環がいす形立体配座を採ったとき、下記の化学式(XI)に示すように、式中の黒丸がアミノフェノール基上の炭素として、C1から黒丸への結合と、C2、C3又はC4から黒丸への結合との、2つの結合の方向が最も反対方向を向く位置関係にあるアンチ形、又はアンチ形を30モル%以上含む立体配置異性体混合物であることが好ましい。このように、立体配置がトランス体(アンチ形)又はトランス体(アンチ形)とシス体(シン形)との一定割合の範囲の混合物であると、低温での硬化プロセスでも破断伸びが高く、より好ましい。その中でジアミノフェノール基の置換位置は1,4−位であることが好ましい。1,4−位の場合、トランス体及びシス体という表現と一致する。この立体配置の表現の例を下記の式(XII)に示す。
【0067】
【化11】


【0068】
【化12】


【0069】
また、ジアミン類の他の例としては、次の一般式(XIII)に示す化合物が挙げられる。
【化13】


(式中、Aは単結合又はCH2−,−C(CH32−,−O−,−S−,−SO2−,−CO−,−(CF32−、−NHCO−である。)
【0070】
また、式(XIV)に示すように、一般式(XIII)におけるAに隣接した2つの脂環式環状構造の立体配置は、それぞれAに対してアンチ形又はアンチ形を含む立体配置異性体の混合物であるのが好ましく、ジアミノフェノール基の置換位置は4,4’−位であると、低温での硬化プロセスでも破断伸びが高く、より好ましい。このような立体配置の例を下記の式(XV)に示す。
【0071】
【化14】


【0072】
【化15】


【0073】
その他、U又はWのジアミン類としては、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の、前記以外の芳香族系のジアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジアミン類は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
なお、これらの脂環構造を有するジアミンを使用する場合、前記化学式(IX)及び一般式(XI)に示したジアミン類を本発明の効果が損なわれない程度に併用することも可能である。
【0075】
一方、一般式(I)、(V)においてVで表される2価の有機基とは、一般に、ジアミンと反応してポリアミド構造を形成する、ジカルボン酸の残基である。
本発明においてVとしては、前記の炭素数3〜20の脂環構造を含む基は、一般式(I)、(V)において、UとしてもVとして存在していても良い。脂環構造の骨格を含む基としては、一般式(II)、(III)で表される構造が、耐熱性、紫外及び可視光量域での高い透明性を有し、280℃の以下での脱水閉環率が高い点で優れる。
【0076】
このようなジカルボン類として、一般式(II)又は(III)で表される脂環式構造の例としては、例えば次の化学式(XVI)で示す化合物が挙げられる。
【0077】
【化16】


【0078】
式(XVI)において、下記の式(XVII)に示すように、式中の黒丸をカルボキシル基として、脂環上の炭素から黒丸への2つの結合が最も反対方向を向くアンチ形、又はアンチ形を30モル%以上含む立体配置異性体混合物であることが好ましい。この中でジカルボン酸の置換位置がシクロブタン環は1,3−位、シクロヘキサン環が1,4−位であり、さらに立体配置がトランス体(アンチ形)又はトランス体(アンチ形)とシス体(シン形)との混合物であることが、高い光透過性であることだけではなく低温での硬化プロセスでも破断伸びもまた高く、より好ましい。このようなトランス体及びシス体の立体配置の例を下記の式(XVIII)に示す。
【0079】
【化17】


【0080】
【化18】


【0081】
また、ジカルボン類の他の例としては、一般式(XIX)に示す化合物が挙げられる。
【化19】


(式中、Aは単結合又はCH2−,−C(CH32−,−O−,−S−,−SO2−,−CO−,−(CF32−、−NHCO−である。)
【0082】
前記式(XIV)に示すように、Aに隣接した2つの脂環式環状構造の立体配置は、それぞれAに対してアンチ形又はアンチ形を含む立体配置異性体の混合物であるのが好ましく、ジカルボキシル基の置換位置は4,4’−位であると、高い光透過性であることだけではなく低温での硬化プロセスでも破断伸びもまた高く、より好ましい。このような脂環骨格の立体配置の例は、前記式(XV)と同様である。
【0083】
その他のV,X又はZのジカルボン酸類として、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジカルボキシビフェニル、4,4'−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4'−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸などを併用することができる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0084】
また、前記一般式(VII)、(VIII)で示されるポリベンゾオキサゾール前駆体の場合、Yで表される2価の有機基とは、一般に、ジカルボン酸と反応してポリアミド構造を形成する、ジアミン由来(但し前記Uを形成するジヒドロキシジアミン以外)の残基である。Yとしては2価の芳香族基又は脂肪族基が好ましく、炭素原子数としては4〜40のものが好ましく、炭素原子数4〜40の2価の芳香族基がより好ましい。
【0085】
このようなジアミン類としては、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物、この他にもシリコーン基の入ったジアミンとして、LP−7100、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161C及びX−22−161E(いずれも信越化学工業株式会社製、商品名)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
【0086】
((b)成分:感光剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記ポリベンゾオキサゾール前駆体とともに(b)成分である感光剤を含む。感光剤とは、光に反応して、その組成物から形成された膜の現像液に対する機能を有するものである。感光剤に特に制限はないが、光により酸又はラジカルを発生するものであることが好ましい。
【0087】
ポジ型の場合は、光により酸を発生するもの(光酸発生剤)であることがより好ましい。光酸発生剤は、ポジ型においては、光の照射により酸を発生し、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。そのような光酸発生剤としてはo−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられる。
【0088】
また、一般式(I)、(V)のU,V,X,Yの構造においてアクリロイル基、メタクリロイル基のような光架橋性基を有する基がある場合は、(b)成分として、ラジカルを発生するもの、即ち光重合開始剤を用いることでネガ型感光性樹脂組成物として用いることができる。これは光の照射による架橋反応によって光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を低下させる機能を有するものである。
【0089】
本発明の感光性樹脂組成物において、(b)成分の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と、感度の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して5〜100重量部が好ましく、8〜40重量部がより好ましい。
【0090】
((c)成分:溶剤)
本発明に使用される(c)成分である溶剤としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で又は2種以上併用して用いることができる。また、使用する溶剤の量は特に制限はないが、一般に組成物中溶剤の割合が20〜90重量%となるように調整されることが好ましい。
【0091】
((d)成分:熱酸発生剤)
本発明において、(d)成分として熱酸発生剤(熱潜在酸発生剤)を使用することができる。熱酸発生剤を使用すると、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働くので好ましい。また、本発明の約280℃の以下での脱水閉環率が高い特定の樹脂と併用することにより、脱水環化反応をさらに低温化できるので、低温での硬化でも硬化後の膜の物性が、高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる。
【0092】
上記熱酸発生剤(熱潜在酸発生剤)から発生する酸としては、強酸が好ましく、具体的には、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が好ましい。これらの酸は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働く。これに対して、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸や硝酸が出るような酸発生剤では、発生した酸の酸性度が弱く、さらに加熱で揮発し易いこともあって、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応には殆ど関与しないと考えられ、本発明の十分な効果が得られにくい。
【0093】
これらの酸は、熱酸発生剤として、オニウム塩としての塩の形やイミドスルホナートのような共有結合の形で本発明の感光性樹脂組成物に添加される。
上記オニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム塩のようなジアリールヨードニウム塩、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩のようなジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩、トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム塩のようなジアルキルモノアリールスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩のようなジアリールモノアルキルヨードニウム塩等が好ましい。
これらは、分解開始温度が150〜250℃の範囲にあり、280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際して効率的に分解するためである。これに対してトリフェニルスルホニウム塩は、本発明の熱酸発生剤としては望ましくない。トリフェニルスルホニウム塩は熱安定性が高く、一般に分解温度が300℃を超えているため、280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際しては分解が起きず、環化脱水の触媒としては十分に働かないと考えられるためである。
【0094】
以上の点から、オニウム塩としての熱酸発生剤としては、例えば、アリールスルホン酸、カンファースルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸又はアルキルスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩、ジアルキルモノアリールスルホニウム塩又はジアリールモノアルキルヨードニウム塩が保存安定性、現像性の点から好ましい。さらに具体的には、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩(1%重量減少温度180℃、5%重量減少温度185℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩(1%重量減少温度151℃、5%重量減少温度173℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩(1%重量減少温度255℃、5%重量減少温度278℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩(1%重量減少温度186℃、5%重量減少温度214℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩(1%重量減少温度154℃、5%重量減少温度179℃)、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等を好ましいものとして挙げることができる。
【0095】
また、イミドスルホナートとしては、ナフトイルイミドスルホナートが望ましい。これに対して、フタルイミドスルホナートは、熱安定性が悪いために、硬化反応よりも前に酸が出て、保存安定性等を劣化させるので望ましくない。ナフトイルイミドスルホナートの具体例としては、例えば、1,8−ナフトイルイミドトリフルオロメチルスルホナート(1%重量減少温度189℃、5%重量減少温度227℃)、2,3−ナフトイルイミドトリフルオロメチルスルホナート(1%重量減少温度185℃、5%重量減少温度216℃)などを好ましいものとして挙げることができる。
【0096】
また、上記(d)成分として、下記の化学式(XX)に示すように、R12C=N−O−SO2−Rの構造を持つ化合物(1%重量減少温度204℃、5%重量減少温度235℃)を用いることもできる。ここで、Rとしては、例えば、p−メチルフェニル基、フェニル基等のアリール基、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基等のパーフルオロアルキル基などが挙げられる。また、R1としては、シアノ基、R2としては、例えば、メトキシフェニル基、フェニル基等が挙げられる。
【0097】
【化20】


【0098】
また、上記(d)成分として、下記の化学式(XXI)に示すように、アミド構造−HN−SO2−Rをもつ化合物(1%重量減少温度104℃、5%重量減少温度270℃)を用いることもできる。ここでRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、メチルフェニル基、フェニル基等のアリール基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル等のパーフルオロアルキル基などが挙げられる。また、−HN−SO2−Rの結合する基としては、例えば、2,2,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンや2,2,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等が挙げられる。
【0099】
【化21】


【0100】
また、本発明で用いる(d)成分としては、オニウム塩以外の強酸と塩基から形成された塩を用いることもできる。このような強酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が好ましい。塩基としては、例えば、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が好ましい。さらに具体的には、p−トルエンスルホン酸のピリジン塩(1%重量減少温度147℃、5%重量減少温度190℃)、p−トルエンスルホン酸のL−アスパラギン酸ジベンジルエステル塩(1%重量減少温度202℃、5%重量減少温度218℃)、p−トルエンスルホン酸の2,4,6−トリメチルピリジン塩、p−トルエンスルホン酸の1,4−ジメチルピリジン塩などが保存安定性、現像性の点から好ましいものとして挙げられる。これらも280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際して分解し、触媒として働くことができる。
【0101】
(d)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.5〜10重量部がさらに好ましい。
【0102】
[その他の成分]
本発明による感光性樹脂組成物において、上記(a)〜(d)成分に加えて、(1)溶解促進剤、(2)溶解阻害剤、(3)密着性付与剤、(4)界面活性剤又はレベリング剤などの成分を配合しても良い。
【0103】
((1)溶解促進剤)
本発明においては、さらに(a)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を促進させる溶解促進剤、例えばフェノール性水酸基を有する化合物を含有させることができる。フェノール性水酸基を有する化合物は、加えることでアルカリ水溶液を用いて現像する際に露光部の溶解速度が増加し感度が上がり、また、パターン形成後の膜の硬化時に、膜の溶融を防ぐことができる。
【0104】
本発明に使用することのできるフェノール性水酸基を有する化合物に特に制限はないが、分子量が大きくなると露光部の溶解促進効果が小さくなるので、一般に分子量が1,500以下の化合物が好ましい。例えば下記一般式(XXII)に挙げられるものが、露光部の溶解促進効果と膜の硬化時の溶融を防止する効果のバランスに優れ特に好ましい。
【0105】
【化22】


(式中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、各Rは各々独立にアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnは各々独立に1又は2であり、p及びqは各々独立に0〜3の整数である。)
【0106】
フェノール性水酸基を有する化合物の成分の配合量は、現像時間と、未露光部残膜率の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がより好ましい。
【0107】
((2)溶解阻害剤)
本発明においては、さらに(a)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物である溶解阻害剤を含有させることができる。具体的には、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨーダイト等である。
【0108】
これらは、発生する酸が揮発し易いこともあり、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応には関与しない。しかし、効果的に溶解阻害を起こし、残膜厚や現像時間をコントロールするのに役立つ。上記成分の配合量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して0.01〜50重量部が好ましく、0.01〜30重量部がより好ましく、0.1〜20重量部がさらに好ましい。
【0109】
((3)密着性付与剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等の密着性付与剤を含むことができる。
【0110】
有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0111】
これらの密着性付与剤を用いる場合は、(a)成分100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、0.5〜20重量部がより好ましい。
【0112】
((4)界面活性剤又はレベリング剤)
また、本発明の感光性樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させたりするために、適当な界面活性剤又はレベリング剤を添加することができる。
【0113】
このような界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
【0114】
[パターンの製造方法]
次に、本発明によるパターンの製造方法について説明する。本発明のパターンの製造方法は、上述した感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する工程、前記露光後の感光性樹脂膜を現像する工程、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を経て、ポリベンゾオキサゾールのパターンとすることができる。以下、各工程について説明する。
【0115】
(塗布・乾燥(成膜)工程)
まず、感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素などの支持基板上に、この感光性樹脂組成物をスピンナーなどを用いて回転塗布後、ホットプレート、オーブンなどを用いて乾燥する。これにより、感光性樹脂組成物の被膜である感光性樹脂膜が得られる。
【0116】
(露光工程)
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性樹脂膜に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線を照射することにより露光を行う。
【0117】
(現像工程)
現像工程では、活性光線が露光した感光性樹脂膜の露光部を現像液で除去することによりパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ケイ酸ナトリウム,アンモニア,エチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とされることが好ましい。さらに上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
【0118】
(加熱処理工程)
次いで、加熱処理工程では、得られたパターンに好ましくは120〜300℃の加熱処理をすることにより、オキサゾール環や他の官能基を有する耐熱性のポリオキサゾールのパターンになる。加熱処理工程はより望ましくは、160〜250℃である。また加熱処理は、窒素下で行う方が感光性樹脂膜の酸化を防ぐことができるので望ましい。この温度範囲では、環化脱水反応が効率的に起き、さらには基板やデバイスへのダメージが小さい。したがって、本発明のパターン製造方法を用いることによって、デバイスが歩留り良くできる。またプロセスの省エネルギー化につながる。
【0119】
また、本発明の加熱処理としては、通常の窒素置換されたオーブンを用いる以外に、マイクロ波硬化装置や周波数可変マイクロ波硬化装置を用いることもできる。これらをもちいることにより、基板やデバイスの温度は例えば220℃以下に保ったままで、感光性樹脂組成物膜のみを効果的に加熱することが可能である。
【0120】
例えば、特許第2587148号明細書及び特許第3031434号明細書では、マイクロ波を用いたポリイミド前駆体の脱水閉環が検討されている。また米国特許第5738915号明細書では、マイクロ波を用いてポリイミド前駆体薄膜を脱水閉環する際に、周波数を短い周期で変化させて照射することにより、ポリイミド薄膜や基材のダメージを避ける方法が提案されている。
【0121】
周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射した場合は定在波を防ぐことができ、基板面を均一に加熱することができる点で好ましい。さらに基板として電子部品のように金属配線を含む場合は、周波数を変化させながらマイクロ波をパルス状に照射すると金属からの放電等の発生を防ぐことができ、電子部品を破壊から守ることができる点で好ましい。
【0122】
本発明の感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環させる際に照射するマイクロ波の周波数は0.5〜20GHzの範囲であるが、実用的には1〜10GHzの範囲が好ましく、さらに2〜9GHzの範囲がより好ましい。
【0123】
照射するマイクロ波の周波数は連続的に変化させることが望ましいが、実際は周波数を階段状に変化させて照射する。その際、単一周波数のマイクロ波を照射する時間はできるだけ短い方が定在波や金属からの放電等が生じにくく、その時間は1ミリ秒以下が好ましく、100マイクロ秒以下が特に好ましい。
【0124】
照射するマイクロ波の出力は装置の大きさや被加熱体の量によっても異なるが、概ね10〜2000Wの範囲であり、実用上は100〜1000Wがより好ましく、100〜700Wがさらに好ましく、100〜500Wが最も好ましい。出力が10W以下では被加熱体を短時間で加熱することが難しく、2000W以上では急激な温度上昇が起こりやすいので好ましくない。
【0125】
本発明の感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体をマイクロ波により脱水閉環する温度は、先に述べたとおり、脱水閉環後のポリベンゾオキサゾール薄膜や基材へのダメージを避けるためにも低い方が好ましい。本発明において脱水閉環する温度は、280℃以下が好ましく、250℃以下がさらに好ましく、220℃以下がより好ましく、220℃以下が最も好ましい。なお、基材の温度は赤外線やGaAsなどの熱電対といった公知の方法で測定する。
【0126】
本発明の感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環させる際に照射するマイクロ波はパルス状に入/切させることが好ましい。マイクロ波をパルス状に照射することにより、設定した加熱温度を保持することができ、また、ポリベンゾオキサゾール薄膜や基材へのダメージを避けることができる点で好ましい。パルス状のマイクロ波を1回に照射する時間は条件によって異なるが、概ね10秒以下である。
【0127】
本発明の感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環させる時間は、脱水閉環反応が十分進行するまでの時間であるが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下である。また、脱水閉環の雰囲気は大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することができる。
【0128】
このようにして、本発明の感光性樹脂組成物を層として有する基材に、前述の条件でマイクロ波を照射して本発明の感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体を脱水閉環すれば、マイクロ波による低温での脱水閉環プロセスによっても熱拡散炉を用いた高温での脱水閉環膜の物性と差がないポリオキサゾールが得られる。
【0129】
[半導体装置の製造工程]
次に、本発明によるパターンの製造方法の一例として、半導体装置の製造工程を図面に基づいて説明する。図1〜図5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であり、第1の工程から第5の工程へと一連の工程を表している。
【0130】
これらの図において、回路素子(図示しない)を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜層4としてのポリイミド樹脂等の膜が形成される(第1の工程、図1)。
【0131】
次に、塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が、マスクとして前記層間絶縁膜層4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜層4が露出するように窓6Aが設けられる(第2の工程、図2)。この窓6Aの層間絶縁膜層4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bが空けられている。次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(第3の工程、図3)。
【0132】
さらに、公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(第4の工程、図4)。3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
【0133】
次に、表面保護膜8を形成する。図1〜図5の例では、この表面保護膜を次のようにして形成する。すなわち、前記感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成する。その後、加熱して表面保護膜層8としてのポリベンゾオキサゾール膜とする(第5の工程、図5)。この表面保護膜層(ポリベンゾオキサゾール膜)8は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
【0134】
本発明では、従来は300℃以上を必要としていた上記ポリベンゾオキサゾール膜を形成する加熱工程において、280℃以下の低温の加熱を用いて硬化が可能である。280℃以下の硬化においても、本発明の感光性樹脂組成物は環化脱水反応が十分に起きることから、その膜物性(伸び、吸水率、重量減少温度、アウトガス等)が300℃以上で硬化したときに比べて物性変化は小さいものとなる。したがって、プロセスが低温化できることから、デバイスの熱による欠陥を低減でき、信頼性に優れた半導体装置を高収率で得ることができる。
なお、上記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
【0135】
[電子部品]
次に、本発明による電子部品について説明する。本発明による電子部品は、上述した感光性樹脂組成物を用いて上記パターンの製造方法によって形成されるパターンを有する。ここで、電子部品としては、半導体装置や多層配線板、各種電子デバイス等を含む。特に、耐熱性の低いMRAM(磁気抵抗メモリ:Magnet Resistive Random Access Memory)が好ましいものとして挙げられる。
【0136】
また、上記パターンは、具体的には、半導体装置等電子部品の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。本発明による電子部品は、前記感光性樹脂組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。例えば、本発明の感光性樹脂組成物は、MRAMの表面保護膜用として好適である。
【実施例】
【0137】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0138】
(合成例1) ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸(アンチ形100モル%)15.50g、N−メチルピロリドン110gを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル21.41gを滴下し、30分間反応させて、1,4−トランスジカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン110gを仕込み、2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン29.67gを添加し、攪拌溶解した後、ピリジン14.24gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、1,4−トランスジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーIとする)。ポリマーIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は51,000、分散度は1.8であった。
【0139】
(合成例2)
合成例1で使用した1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸をシス体及びトランス体の1:1(シン形50モル%:アンチ形50モル%)の混合物の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーIIとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は36,300、分散度は1.8であった。
【0140】
(合成例3)
合成例2で使用したシス体及びトランス体の1:1の混合物の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の42mol%を4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーIIIとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は34,200、分散度は2.1であった。
【0141】
(合成例4)
合成例1で使用した1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸の42mol%を4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーIVとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は41,600、分散度は2.4であった。
【0142】
(合成例5)
合成例1で使用した1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸を立体配置異性体の混合物であるヘキサフルオロプロピル−4,4’−ジシクロヘキシルプロピルジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーVとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は28,400、分散度は1.9であった。
【0143】
(合成例6)
合成例1で使用した1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸を4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーVIとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は17,900、分散度は1.5であった。
【0144】
(合成例7)
合成例1で使用した2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンに置き換えた以外置き換えた以外は合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーVIIとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は21,600、分散度は1.6であった。
【0145】
(合成例8)
合成例1で使用した1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸をイソフタル酸に置き換えた以外は合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーVIIIとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は13,700、分散度は1.5であった。
【0146】
(合成例9)
合成例1で使用した1,4−トランスシクロヘキサンジカルボン酸を市販品のシス体及びトランス体の3:1(シン形75モル%:アンチ形25モル%)の混合物の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に置き換えた以外は、合成例1と同様の条件にて合成を行った。得られたポリヒドロキシアミド(以下、ポリマーVIVとする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は38,900、分散度は1.7であった。
【0147】
(GPC法による重量平均分子量の測定条件)
測定装置;検出器 株式会社日立製作所社製L4000 UV
ポンプ:株式会社日立製作所社製L6000
株式会社島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5 x2本
溶離液:THF/DMF=1/1 (容積比)
LiBr(0.03mol/l)、H3PO4(0.06mol/l)
流速:1.0ml/min、検出器:UV270nm
ポリマー0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mlの溶液を用いて測定した。
【0148】
実施例1〜5及び比較例1〜4
合成例1〜9で得られたポリベンゾオキサゾール前駆体10.0gをN−メチルピロリドン15gに溶解した樹脂溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間乾燥し、膜厚12μmの塗膜(A)を得た。この塗膜をイナートガスオーブン中、窒素雰囲気下、150℃で30分加熱した後、さらに200℃で1時間又は350℃で1時間加熱して硬化膜(200℃で加熱した硬化膜(B)、350℃で加熱した硬化膜(C))を得た。これらの塗膜(A)及び硬化膜(B)、(C)の赤外吸収スペクトルを測定し、1540cm-1付近のC−N伸縮振動に起因するピークの吸光度を求めた。赤外吸収スペクトルの測定は、測定装置としてFTIR‐8300(株式会社島津製作所製)を使用した。塗膜(A)の脱水閉環率を0%、硬化膜(C)の脱水閉環率を100%として、次の式から硬化膜(B)の脱水閉環率を算出した。
【0149】
【数1】


【0150】
上記のようにして得られたポリマーの脱水閉環率を表1に示した。
【0151】
【表1】


【0152】
以上の結果から、実施例1〜5のポリマーでは、200℃での脱水閉環率が30%を超えて50%近くに達し、比較例1〜3における芳香族ポリベンゾオキサゾールの20%から26%に比べて高かった。
【0153】
実施例6〜10及び比較例4〜6
(感光特性評価)
前記(a)成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体100重量部に対し、(b)、(c)成分及びその他の添加成分を表2に示した所定量にて配合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0154】
【表2】


【0155】
表2中、NMPはN−メチルピロリドンを表す。()内はポリマー100重量部に対する添加量を重量部で示した。表2中、B1、D1、D2は、それぞれ下記の化学式(XXIII)、(XXIV)に示す化合物である。
【0156】
【化23】


【0157】
【化24】


【0158】
得られた感光性樹脂組成物の溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚15μmの塗膜を形成した。その後、前記塗膜をイナートガスオーブン中、窒素雰囲気下、150℃で30分加熱した後、さらに320℃で1時間又は200℃で1時間加熱して硬化膜を得た。次にフッ酸水溶液を用いて、この硬化膜を剥離し、水洗、乾燥した後、ガラス転移点(Tg)、伸び(引っ張り試験機で測定)、5%重量減少温度といった膜物性を調べた。また、前記と同様の方法で脱水閉環率を測定した。これらの測定結果を表3に示した。
【0159】
【表3】


【0160】
以上のように、本発明の感光性樹脂組成物は、Tg及び伸びについて、表4に示したように200℃での硬化においても、320℃で硬化した時と遜色ない膜物性が得られた。
5%重量減少温度に関しては、320℃で硬化したときよりも200℃で硬化したときの方が、若干低い値となったが、比較例に比べて300℃以上と高い値であった。
【0161】
脱水閉環率に関して、実施例では200℃で硬化した時、既に70%以上と高かった。また、200℃の硬化での破断伸びが10%以上と比較例に比べて高かった。ポリベンゾオキサゾール骨格中のトランス体シクロヘキサン骨格が多い実施例6,7は、比較例4に比べて破断伸びが高かった。一方、比較例の200℃の硬化では、脱水閉環率が58%以下と環化脱水反応の進行が不十分であった。
以上のように、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに低温硬化プロセスで用いても耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られるため、電子部品、特に低温硬化が要求されるMRAMなどの製造に適している。
【0162】
次に、実施例6〜10で調製した溶液に、さらに(d)成分として熱酸発生剤を表4に示したように配合した。表4中、(d)成分のd1〜d4は、下記の化学式(XXV)に示す化合物を使用した。以下、実施例1と同様にして200℃、及び180℃にて1時間熱硬化したときの脱水閉環率を測定した。その結果も併せて表4に示した。
【0163】
【表4】


【0164】
【化25】


【0165】
表4から明らかなように、熱酸発生剤を併用することで、180℃硬化時でも脱水閉環率は無添加時に比べて大きく上昇し、さらに、より低温でも高い環化率を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上のように、本発明による感光性樹脂組成物は、低温でも高い脱水閉環率を持つ特定のポリベンゾオキサゾール感光性樹脂膜をベース樹脂とすることにより、硬化後の膜の物性が高温で硬化したものと遜色ない性能が得られる。また、本発明のパターンの製造方法によれば、前記感光性樹脂組成物の使用により、感度、解像度、接着性に優れ、さらに低温硬化プロセスでも耐熱性に優れ、吸水率の低い、良好な形状のパターンが得られる。良好な形状と接着性、耐熱性に優れたパターンを有し、さらには低温プロセスで硬化できることにより、デバイスへのダメージが避けられ、信頼性の高い電子部品が得られる。従って、電子デバイス等の電子部品に有用であり、特に、磁気抵抗メモリに適している。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態による多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
【0168】
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
【出願人】 【識別番号】398008295
【氏名又は名称】日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−3316(P2008−3316A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172809(P2006−172809)