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【発明の名称】 画像形成方法
【発明者】 【氏名】後藤 成人

【要約】 【課題】本発明の目的は、2枚のヒートプレートを使用したコンパクトな熱現像装置を用いて迅速処理を行った場合でも画像濃度が高く、熱現像装置内の機内汚染、フィルムの搬送性に優れる画像形成方法を提供する。

【解決手段】銀塩光熱写真ドライイメージング材料を画像露光後、加熱手段により熱現像温度に加熱することにより画像形成する画像形成方法であって、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、支持体の同一面側に有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、バインダー及び還元剤を含有する感光性層と、非感光性層とを有し、前記非感光性層に分子量が550以上の潤滑剤を含有し、かつ前記加熱手段が、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送路に沿って前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の一方の面を加熱するごとく配設された2つの加熱部分を有することを特徴とする画像形成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料を画像露光後、加熱手段により熱現像温度に加熱することにより画像形成する画像形成方法であって、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、支持体の同一面側に有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、バインダー及び還元剤を含有する感光性層と、非感光性層とを有し、前記非感光性層に分子量が550以上10,000以下の潤滑剤を含有し、かつ前記加熱手段が、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送路に沿って前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の一方の面を加熱するごとく配設された2つの加熱部分を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料を画像露光後、加熱手段により熱現像温度に加熱することにより画像形成する画像形成方法であって、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、支持体の同一面側に有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、バインダー及び還元剤を含有する感光性層と、非感光性層とを有し、前記非感光性層に多価アルコールの脂肪酸エステルを含有し、かつ前記加熱手段が、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送路に沿って前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の一方の面を加熱するごとく配設された2つの加熱部分を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、前記感光性層が設けられた側の最表面の十点平均粗さ(Rz(E))が1.5〜4.0μmであり、更に、感光性層とは反対側にバックコート層を有し、該バックコート層が設けられた側の最表面の十点平均粗さ(Rz(B))が4.0〜7.0μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記還元剤が下記一般式(RD1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【化1】


〔式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
【請求項5】
前記一般式(RD1)で表される化合物が、R3は少なくとも1つの基がヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基、であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記感光性層の乾燥膜厚が9.0μm以上、16.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
熱現像後の画像濃度の最大値が4.0以上5.0以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
写真特性曲線の光学濃度1.2における平均階調(γ値)が2.0〜6.0であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料を搬送速度20〜100mm/secで加熱しながら搬送することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料を前記シート感光材料の一枚のシートの一部が露光されながら、同時に既に前記露光がなされたシート感光材料の一部分で現像が開始されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料を露光部と現像部の距離が0cm以上50cm以下であるレーザイメージャーにより現像することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料をレーザイメージャーにより3秒以上、10秒以下の加熱時間で熱現像することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、バインダー及び還元剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、熱を加えるだけで画像形成ができる銀塩光熱写真ドライイメージング材料(以下、熱現像感光材料、熱現像記録材料ともいう)が実用化され、上記分野で急速に普及してきている。
【0003】
この銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、通常、熱現像処理機と呼ばれる銀塩光熱写真ドライイメージング材料に安定した熱を加えて画像を形成する熱現像処理装置により処理される。上述したように、近年の急速な普及に伴い、この熱現像処理装置も多量に市場に供給されて来た。又、近年、レーザイメージャーのコンパクト化や処理の迅速化が要望されている。例えば従来は3枚または4枚使用されていたヒートプレートを2枚とすることでレーザイメージャーのコンパクト化がはかられている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2006−227435号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2006−227436号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらレーザイメージャーのコンパクト化のためにヒートプレートを2枚と簡略化することで、熱現像時の熱現像装置の機内汚染や搬送性の劣化が問題となった。この問題は迅速処理のために熱現像部での搬送速度を上げた場合に特に顕著にみられた。
【0005】
本発明は上記の背景的事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、2枚のヒートプレートを使用したコンパクトな熱現像装置を用いて迅速処理を行った場合でも画像濃度が高く、熱現像装置内の機内汚染、フィルムの搬送性に優れる画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、ヒートプレートを2枚使用したコンパクトイメージャーを使用して迅速処理を行った場合に熱現像装置の機内汚染、フィルム搬送性の劣化が発生する現象を検討した結果、感光性層側に設けられた非感光層に使用する潤滑剤の種類や、感光材料の表面粗さにより機内汚染の発生、フィルム搬送性が大きく影響されることを見いだし本発明に到達した。また他にも支持体の一方の面上に設けられる感光性層の乾燥膜厚を9μm以上、16μm以下とすること、還元剤として一般式(RD1)で表される高活性な還元剤を用いること、で本発明の目的がより高いレベルで達成されることを見いだした。
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0008】
1.銀塩光熱写真ドライイメージング材料を画像露光後、加熱手段により熱現像温度に加熱することにより画像形成する画像形成方法であって、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、支持体の同一面側に有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、バインダー及び還元剤を含有する感光性層と、非感光性層とを有し、前記非感光性層に分子量が550以上10,000以下の潤滑剤を含有し、かつ前記加熱手段が、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送路に沿って前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の一方の面を加熱するごとく配設された2つの加熱部分を有することを特徴とする画像形成方法。
【0009】
2.銀塩光熱写真ドライイメージング材料を画像露光後、加熱手段により熱現像温度に加熱することにより画像形成する画像形成方法であって、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、支持体の同一面側に有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、バインダー及び還元剤を含有する感光性層と、非感光性層とを有し、前記非感光性層に多価アルコールの脂肪酸エステルを含有し、かつ前記加熱手段が、前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送路に沿って前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料の一方の面を加熱するごとく配設された2つの加熱部分を有することを特徴とする画像形成方法。
【0010】
3.前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、前記感光性層が設けられた側の最表面の十点平均粗さ(Rz(E))が1.5〜4.0μmであり、更に、感光性層とは反対側にバックコート層を有し、該バックコート層が設けられた側の最表面の十点平均粗さ(Rz(B))が4.0〜7.0μmであることを特徴とする1または2に記載の画像形成方法。
【0011】
4.前記還元剤が下記一般式(RD1)で表される化合物であることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0012】
【化1】


【0013】
〔式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
5.前記一般式(RD1)で表される化合物が、R3は少なくとも1つの基がヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基、であることを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0014】
6.前記感光性層の乾燥膜厚が9.0μm以上、16.0μm以下であることを特徴とする1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0015】
7.熱現像後の画像濃度の最大値が4.0以上5.0以下であることを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0016】
8.写真特性曲線の光学濃度1.2における平均階調(γ値)が2.0〜6.0であることを特徴とする1〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
9.前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料を搬送速度20〜100mm/secで加熱しながら搬送することを特徴とする1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0018】
10.前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料を前記シート感光材料の一枚のシートの一部が露光されながら、同時に既に前記露光がなされたシート感光材料の一部分で現像が開始されることを特徴とする1〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0019】
11.前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料を露光部と現像部の距離が0cm以上50cm以下であるレーザイメージャーにより現像することを特徴とする1〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0020】
12.前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料をシート状にしたシート感光材料をレーザイメージャーにより3秒以上、10秒以下の加熱時間で熱現像することを特徴とする1〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、2枚のヒートプレートを使用したコンパクトな熱現像装置を用いて迅速処理を行った場合でも画像濃度が高く、熱現像装置内の機内汚染、フィルムの搬送性に優れる画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を更に詳しく説明する。
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
以下、本発明の構成要素について順次説明する。
【0025】
(熱現像装置)
本発明に用いられる熱現像装置は、画像露光部と熱現像部とを有している。それぞれについて説明する。
【0026】
(画像露光部)
本発明における画像露光は、従来知られているいかなる方法によって行っても良い。
【0027】
本発明における好ましい画像露光は、レーザによる走査露光である。レーザとしていかなるレーザも用いることができる。好ましくは、赤〜赤外発光のHe−Neレーザ、赤色半導体レーザ、あるいは青〜緑発光のAr+,He−Ne,He−Cdレーザ、青色半導体レーザである。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザであり、レーザ光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。
【0028】
一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザを一体化したモジュールや青色半導体レーザが開発されてきて、短波長領域のレーザ出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザ光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
【0029】
レーザ光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
【0030】
(熱現像部)
本発明における熱現像部は、熱現像感光材料を熱現像温度に加熱する加熱手段を有する。
【0031】
本発明における加熱手段は、熱現像感光材料の搬送路に沿って前記熱現像感光材料の一方の面を加熱するごとく配設された2つの加熱部分を有する。
【0032】
好ましくは、前記加熱手段が、第一の加熱手段を通過後、第二の加熱手段を通過することにより熱現像されるごとく配設され、前記第一の加熱手段の熱容量が前記第二の加熱手段の熱容量に比較して1.2倍以上大きい。好ましくは、1.3倍以上大きく、さらに好ましくは1.5倍以上大きい。
【0033】
また、さらに好ましくは、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段は、各々前記熱現像感光材料の搬入入口側が出口側より加熱温度が高い。
【0034】
好ましくは、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段は、各々加熱部材と該加熱部材に前記熱現像感光材料を押当する部材を有する。より好ましくは、前記加熱部材が電気抵抗体のコイルを熱源とし、前記第一の加熱手段のコイル密度が第二の加熱手段のコイル密度に比較して1.2倍以上大きい。また、好ましくは、前記加熱部材がヒートプレートである。
【0035】
本発明に用いることの出来る熱現像装置は、熱現像部のヒートプレートが熱現像記録材料の搬送方向に対して搬送入口側で加熱温度が高くなるように構成されることが好ましく、搬送方向の上流側から熱現像温度に満たない熱現像記録材料が搬入された際に、該熱現像記録材料を所定の熱現像温度まで加熱する時間を短縮することができ、熱現像時間を十分に確保することができる。したがって、熱現像された熱現像記録材料の画像の濃度が低下することを防止することができる。
【0036】
また、熱現像を行うヒートプレートに熱現像温度に満たない熱現像記録材料が搬入された場合に、該熱現像記録材料との接触によって熱が吸収されても、ヒートプレートにおける搬送入口側で加熱温度を高くしておくことで必要な温度を確保することができるので、熱現像を行うヒートプレートが熱現像温度より低くなることを防止することができる。
【0037】
上記熱現像装置は、ヒートプレートには発熱部材が設けられ、該発熱部材が、ヒートプレートのヒータワット密度を熱現像記録材料の搬送方向に対して変化させ、且つ、搬送入口側のヒータワット密度が高くなるように配置されていることが好ましい。こうすれば、ヒートプレートの発熱部材に制御可能な熱供給手段を接続し、熱供給手段を制御することで電気容量を変化させることで、搬送入口側が高温になる状態を維持しつつ、ヒートプレートの加熱温度を設定することができる。
【0038】
上記熱現像装置は、発熱部材が、ヒートプレートにおける熱現像記録材料の搬送方向に直行する方向に亘って折り返し配置された線状の熱線であって、熱現像記録材料の搬送方向における搬送入口側で熱線の間隔が狭いことが好ましい。こうすれば、ヒートプレートの内部に線状の熱線を間欠させることなく延設することができ、熱現像時には熱線を発熱させれば、ヒートプレートの所定の部位ごとに温度を制御するといった複雑な構成を要することなく、熱線が密に配置された搬送入口側の加熱温度が高くなる状態を維持しつつ、ヒートプレート全体を加熱することができる。
【0039】
この熱現像装置によれば、単一のヒートプレートに前加熱部と現像部とが形成され、加熱領域において熱現像記録材料を熱現像温度近傍の温度までに予め加熱し、その後、現像部において熱現像記録材料を熱現像温度まで加熱でき、また、現像部における上流側の加熱温度を下流側の加熱温度よりも高くすることができる。こうして、現像部において、熱現像記録材料を十分な熱現像温度に加熱することができ、画像の濃度の低下を防止することができる。
【0040】
また、単一のヒートプレートで加熱工程と現像工程とを行うことができ、熱現像部にその他のヒートプレートを設ける必要がないため、構造を簡略化、小型化することができ、コストを低減することもできる。
【0041】
以下、本発明における熱現像装置を図面に基づいて詳しく説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る熱現像装置を示す構成図である。
【0043】
図1に示すように、本実施形態の熱現像装置10は、画像記録材料として湿式の現像処理を必要としないシート状の熱現像感光材料(以下、記録材料とする。)Fを使用し、記録材料Fに入力される画像信号に基づいて変調されたレーザ光Lを照射して潜像を形成した後に、該記録材料Fを熱現像することで記録材料表面に可視像を得る構成である。なお、本発明はこのような構成に限らず、レーザ光Lによってシート状の記録材料に予め露光して画像を形成するとともに、記録材料に熱現像のみを行う構成に適用することができる。
【0044】
熱現像装置10は、記録材料Fの搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、冷却部Dとから概略構成されている。また、各部間の要所に設けられ記録材料Fを搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。
【0045】
熱現像装置10において、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、更に、その上段に画像露光部Bと熱現像部Cと冷却部Dとが配置された構成となっており、また、画像露光部Bと熱現像部Cとが隣接するように配置された構成である。
【0046】
この構成によれば、一枚の記録材料Fに対して露光工程と熱現像工程との両工程を同一の搬送経路において実施することができるとともに、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことで、記録材料Fの搬送パス長を最短化し、一枚の出力時間を短縮することができる。
【0047】
記録材料Fとしては、厚みが約0.2mm程度(0.1mm〜0.3mm)の熱現像感光材料または感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像感光材料としては、レーザ光Lによって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させるものである。また、感光感熱記録材料としては、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させる、若しくは、レーザ光Lのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させて、その後、光照射で定着するものである。
【0048】
熱現像記録材料供給部Aは、記録材料Fを一枚ずつ取り出して、記録材料Fの搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、複数(本実施形態においては2つ)の装填部11a,11bと、各装填部11a,11bにそれぞれ配置される供給ローラ対13a,13bと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、二段構成となっている各装填部11a,11bの内部には、異なるサイズの記録材料Fが収容されたマガジン15a,15bが挿入され、各段に装填されたマガジン15a,15bが記録材料Fのサイズやその向きに応じて選択的に使用される。なお、装填部は、二段構成に限定されず、三段以上の構成としてもよく、単一の構成としてもよい。
【0049】
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきた記録材料Fに対してレーザ光Lを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直行する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像に応じた潜像を記録材料F表面における画像形成層に形成する。
【0050】
熱現像記録材料供給部Aと画像露光部Bとの間の搬送路には、幅寄せ機構17が設けられており、熱現像記録材料供給部Aから搬入されてきた記録材料Fを、その幅方向端部を揃えた状態で画像露光部Bへ供給している。
【0051】
熱現像部Cは、走査露光後の記録材料Fを搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後の記録材料Fを冷却して、排出トレイ16に搬出する。
【0052】
図1に示すように、排出トレイ16には、搬出された記録材料Fを保持するソータSが設けられていれもよい。ソータSは、熱現像装置10に着脱可能な本体65と、該本体65に設けられた複数の搬出ローラ66a,66b,66cと、該複数の搬出ローラ66a,66b,66cによって本体65から搬出された記録材料Fを保持するため、本体65の上下方向に仕切られた複数の供給部67a,67b,67cとを備えている。ソータSは、搬出ローラ66a,66b,66cのうちいずれかを選択して記録材料Fを搬出させることで、該搬出ローラ66a,66b,66cに対応する供給部67a,67b,67cのそれぞれに適宜仕分けて保持可能な構成である。なお、ソータSは、熱現像装置の上部に着脱自在な構成とすることができ、必要に応じて省略し、記録材料Fを排出トレイ16にのみ搬出する構成としてもよい。
【0053】
画像露光部Bは、レーザ光を走査露光することによって記録材料Fを露光する走査露光装置40を備えている。この走査露光装置40は、記録材料Fの搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部18と、走査露光部19とから構成されている。走査露光部19は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザ光Lを走査(主走査)させる。このとき熱現像記録材料Fを副走査搬送部18によって副走査方向に移動させる。
【0054】
副走査搬送部18は、走査するレーザ光Lの主走査ラインを挟んで、回転軸がこの走査ラインに対してそれぞれ略平行に配置された2本の駆動ローラ(搬送手段)21、22と、これら駆動ローラ21、22に対向して配置され、記録材料Fを支持するガイド板24とを備えている。ガイド板24は、各駆動ローラ21、22との間に挿入される記録材料Fを、並設されたこれら駆動ローラ21、22同士間の外側で駆動ローラ21、22の周面の一部に沿って撓ませていることで生じる該記録材料Fの弾性反発力によって、駆動ローラ21、22同士間の部位に当接せしめて支持する。
【0055】
このように熱現像記録材料F自身の弾性反発力によって記録材料Fと駆動ローラ21、22との間に適宜な摩擦力が生じ、駆動ローラ21、22から記録材料Fへ確実に搬送駆動力が伝達され、記録材料Fが搬送される。駆動ローラ21、22は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を歯車やベルト等の伝達手段を介して受けることで、図1中時計回り方向へ回転するように構成されている。
【0056】
また、ガイド板24の上面において、記録材料Fが自身の弾性反発力によって押し付けられて、記録材料Fの搬送面からのばたつき、即ち、図中上下方向のばたつきが抑制される。そして、この駆動ローラ21、22同士間の記録材料Fに向けてレーザ光Lを照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。
【0057】
熱現像部Cは、記録材料Fを加熱処理する加熱部材として、複数(本実施形態では2つ)のヒートプレート51a,51bが設けられ、これらヒートプレート51a,51bが記録材料Fの搬送経路に沿って円弧状に配置されている。ヒートプレート51a,51bは、搬送される熱現像記録材料Fに接触することによって熱現像を施す加熱手段として機能する。
【0058】
冷却部Dにおいて、熱現像部Cの搬送方向の直ぐ下流側には、熱現像が施された記録材料Fを更に搬送方向下流へ移送する複数の植毛ローラ57が配設されている。複数の植毛ローラ57は熱現像記録材料の搬送経路に対して千鳥状に配列されている。熱現像部Cから排出された記録材料Fは、植毛ローラ57によって搬送されたながらガラス転移点以下の温度まで緩やかに冷却される。記録材料Fを緩やかに冷却する理由は、熱現像直後、記録材料を急速に冷却すると記録材料Fにおける搬送方向中央部と端部とで冷却の度合が異なってしまい、記録材料が例えば波形などに変形した状態で固まってしまうため、熱現像直後は、保温部などを設けてあえて冷却効率を下げて冷却の進行を緩やかにする必要があるためである。
【0059】
記録材料Fは、植毛ローラ57によって緩やかに冷却された後、記録材料Fの搬送経路を介して対向する平面を有する一対の金属プレート61の該平面に接触するように搬送される。そして、該金属プレート61によって記録材料Fの熱が吸収され、シワが発生しないように、かつ、湾曲ぐせがつかないように適宜に冷却される。冷却部Dから排出された記録材料Fは、搬送ローラ64から下流側の搬出ローラ63に搬送し、搬出ローラ63(又は、66a,66b,66c)から排出トレイ16(又はソータSの各供給部67a,67b,67c)に搬出される。
【0060】
記録材料Fは、熱現像時に熱現像部Cにおいて所定の熱現像温度(約120℃)まで加熱される熱現像処理が施されて画像が形成されるが、短時間で急激に熱現像温度まで加熱されると収縮が生じてしまう。そこで、本実施形態の熱現像装置10では、記録材料Fの搬送方向上流側のヒートプレート51aによって予め110℃程度まで加熱し(加熱工程)、その後、下流側に配列された残りのヒートプレート51bによって上記熱現像温度で熱現像する(現像工程)。
【0061】
図2は、本実施形態のヒートプレートの構成を模式的に示した図である。図2に示すように、ヒートプレート51は、発熱部材である熱線Hを折り返して配置した構成である。熱線の間隔は、記録材料は搬入入口側が密であることを特徴とする。
【0062】
本実施形態のヒートプレート51は、シリコンラバーヒータ等からなる加熱部材全体において、熱線Hを記録材料の搬送方向(図4の矢印方向)に対して直交する方向に亘って熱線Hを折り返しつつ配置する。また、熱線Hが、記録材料の搬送方向において、搬送入口側51fでの間隔が搬送出口側51rでの間隔より狭くなるように配置され、この結果、ヒートプレート51の搬送入口側51fのヒータワット密度が高い。また、熱線Hの一部がヒートプレート51の外部へ導出されて、加熱温度を制御する熱供給手段70に接続されていてもよい。
【0063】
本実施形態によれば、特にヒートプレート51aを上記熱線配置のヒートプレートを用いることが望ましい。それによって、熱現像時に、熱現像温度に満たない記録材料Fがヒートプレート51aに搬入されても、該ヒートプレート51aが維持すべき熱現像温度より低温になってしまうことを防止することができる。また、ヒートプレート51aに搬送された直前の記録材料Fを素早く熱現像温度に到達せしめることができる。したがって、本実施形態によれば、熱現像された記録材料Fの画像の濃度が低下することを防止することができる。
【0064】
本発明においては、ヒートプレート51bも上記熱線配置とするのが好ましい。
【0065】
本発明で好ましく用いられるレーザイメージャーは、熱現像部のパス長に対する冷却部のパス長の比が1.5以下であり、0.1以上1.2以下であることがより好ましく、0.2以上1.0以下であることが特に好ましい。ここで、熱現像部のパス長とは、熱現像装置において銀塩光熱写真ドライイメージング材料が現像温度に加熱された搬送パス長である。また、冷却部のパス長とは、熱現像部以降、銀塩光熱写真ドライイメージング材料がレーザイメージャーによって遮光された領域からレーザイメージャーの設置されている室内光下へと銀塩光熱写真ドライイメージング材料が排出されるまでのパス長をいう。
【0066】
また、前記レーザイメージャーが銀塩光熱写真ドライイメージング材料の支持体を挟んで感光性層を有しない側の面(以下において、「非感光面」という。)の冷却速度を感光性層を有する側の面(以下において、「感光面」という。)の冷却速度より大きくし得る機能を有することが好ましい。
【0067】
本発明において感光面の冷却速度に対する、非感光面の冷却速度の比は1.1以上であることが好ましい。より好ましくは1.1〜5.0、最も好ましくは1.5〜3.0である。非感光面の冷却速度を速くする手段は特に問わないが、非感光面を直接金属板、金属ローラ、不織布、植毛されたローラに接触させることは好ましい態様である。さらに好ましくはこれらの部材に蓄積される熱を積極的に外部に排出させるためヒートシンクやヒートパイプを併用することも望ましい形態である。
【0068】
熱現像部のパス長に対する冷却部のパス長の比が1.5以下の冷却部のパス長が短いレーザイメージャーによって、小型で、処理速度の速いレーザイメージャーを提供することが可能である。
【0069】
熱現像部を出たあと排出されるまでの冷却時間は任意であるが、0秒以上25秒以下であることが好ましい。より好ましくは0秒以上15秒以下、特に好ましくは5秒以上15秒以下である。
【0070】
熱現像部を出たあと排出までの銀塩光熱写真ドライイメージング材料の通過するパス長は任意であるが、1cm以上60cm以下であることが好ましい。より好ましくは5cm以上50cm以下、さらに好ましくは5cm以上40cm以下である。
【0071】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した当該銀塩光熱写真ドライイメージング材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間としては、1〜10秒が好ましく、より好ましくは2〜10秒、さらに好ましくは3〜10秒である。加熱温度が80℃未満では短時間に十分な画像濃度が得られず、又、200℃を超えるとバインダーが溶融し、ローラへの転写等画像そのものだけでなく、搬送性や現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給を一切行わないで進行する。熱現像処理に要する時間(銀塩光熱写真ドライイメージング材料がトレイ部でピックアップされてから排出されるまでにかかる時間)は60秒以下であることが好ましく、10秒以上、50秒以下とすることが緊急時の診断にも対応できてより好ましい。
【0072】
熱現像の方式としてはドラム型ヒータ、プレート型ヒータのいずれを使用してもよいが、プレートヒータ方式がより好ましい。プレートヒータ方式による熱現像方式としては、特開平11−133572号に記載の方法、すなわち、露光によりハロゲン化銀粒子上に潜像を形成した銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得るレーザイメージャーであって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒータとの間に前記銀塩光熱写真ドライイメージング材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とするレーザイメージャーによる現像方法が好ましい。
【0073】
露光部および熱現像部および冷却部における銀塩光熱写真ドライイメージング材料の線速度は任意であるが、より速いほうが迅速処理、スループットの向上のためには好ましい。好ましい線速度は20mm/秒以上100mm/秒以下、より好ましくは25mm/秒以上80mm/秒以下、さらに好ましくは25mm/秒以上60mm/秒以下である。搬送速度をこの範囲とすることにより、熱現像時の熱現像装置内の機内汚染、及び搬送性を改良でき、また処理時間が短縮できるため、緊急時の診断にも対応できて好ましい。
【0074】
図1は、好ましい実施の形態による熱現像装置の要部を概略的に示す図である。
【0075】
露光処理と熱現像処理を同時に行う、即ち、シート感光材料の一部分を露光しながら、すでに露光がなされたシート感光材料の一部分で現像が開始されるためには、露光処理を行う露光部と現像部の間の距離が0cm以上50cm以下であることが好ましく、これにより露光・現像の一連の処理時間が極めて短くなる。この距離の好ましい範囲は、3cm以上40cm以下であり、より好ましくは、5cm以上30cm以下である。ここで露光部とは、露光光源からの光が銀塩光熱写真ドライイメージング材料に照射される位置をいい、現像部とは、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が熱現像を行うために初めて加熱される位置をいう。図1におけるLで示されるレーザ光が銀塩光熱写真ドライイメージング材料にあたった場所(矢印の先端)が露光部であり、図1の15から搬送された銀塩光熱写真ドライイメージング材料が51aのプレートに初めて接した部分が現像部である。
【0076】
加熱する機器、装置あるいは手段としては、例えばホットプレート、アイロン、ホットローラ、炭素又は白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段等で行ってよい。より好ましくは、感光性層の上に保護層の設けられた銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理することが、均一な加熱を行う上で、又、熱効率、作業性等の観点から好ましく、保護層を有する側の面をヒートローラに接触させながら搬送し、加熱処理して現像することが好ましい。
【0077】
(潤滑剤)
本発明では潤滑剤として分子量が550以上の潤滑剤または多価アルコールの脂肪酸エステルが用いられるが、特に分子量が550以上である多価アルコールの脂肪酸エステルを用いることが好ましい。分子量は好ましくは700以上、より好ましくは800以上である。分子量の上限は本願の目的を達成できるものであれば特に制限はないが、通常10,000以下、好ましくは7,000以下、より好ましくは5,000以下である。分子量を550以上とすることで本発明の効果の中でも特に熱現像装置内の機内汚染を顕著に改良することができる。分子量が10,000以下であることで本発明の効果を奏することができる。本発明の潤滑剤は分子量が550以上であれば構造は特に限定されないが、パラフィン、流動パラフィン、脂肪酸エステルがより好ましい。これらの中では特に脂肪酸エステルが好ましく、さらに多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
【0078】
また多価アルコールの脂肪酸エステルを用いる場合は、すべてエステル化されていても、一部アルコール基が残存していてもよい。一分子中に2個以上のエステル基を含有する脂肪酸エステルが好ましく、3個以上のエステル基を含有する脂肪酸エステルがより好ましい。本発明で用いられる潤滑剤としては、例えばトリオレイン(グリセリントリオレート)、グリセリントリラウレート、グリセリントリパルミテート、グリセリントリステアレート、グリセリントリベヘネート、ラウリン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソトリデシル、ステアリン酸イソトリデシル、アラキジン酸イソトリデシル、エルカ酸イソトリデシル、ベヘン酸イソトリデシル、トリイソラウリン酸トリメチロールプロパン、トリイソミリスチン酸トリメチロールプロパン、トリイソパルミチン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソエルカ酸トリメチロールプロパン、トリイソアラキジン酸トリメチロールプロパン、トリイソオレイン酸トリメチロールプロパン、トリイソベヘン酸トリメチロールプロパン、ヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサイソパルミチン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサイソミリスチン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサイソベヘン酸ジペンタエリスリチル、特開2004−334077号の表1、表2、表3に記載の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されない。
【0079】
(ガンマ値)
写真特性曲線
本発明において、写真特性曲線とは、露光エネルギーである露光量の常用対数(logE)を横軸にとり、光学濃度、すなわち散乱光写真濃度(D)を横軸にとって両者の関係を表したD−logE曲線のことをいう。またガンマ(γ)値とは、特性曲線上の光学濃度D=1.2における接線の傾き(この接線と横軸のなす角をθとするときのtanθ)のことである。
【0080】
写真特性曲線の光学濃度1.2におけるガンマ値は、2.0〜6.0が好ましく、3.5〜5.5が特に好ましい。光学濃度1.2におけるガンマ値を2.0〜6.0にすることで高速で搬送しながら熱現像を行っても現像ムラのレベルを良好に保つことができ、また銀量が少なくても診断認識性の高い画像を得ることが可能となる。
【0081】
本発明においてガンマ値を2.0〜6.0に調整するためには下記の技術を適宜組み合わせて用いることで容易に調整することができる。
1)現像剤の種類および添加量を変える
2)省銀化剤の種類および添加量を変える
3)ハロゲン化銀の添加量、平均粒子サイズを変える
4)ハロゲン化銀に吸着させる分光増感色素の種類や添加量を変化させる
5)ハロゲン化銀の化学増感の方法や熟成程度を変化させる。
【0082】
感光性層の乾燥膜厚は9.0μm以上、16.0μm以下であることが好ましいが、9.5μm以上、14.0μm以下であることがより好ましく、10.0μm以上、13.0μm以下であることが特に好ましい。この範囲であることにより熱現像装置内の機内汚染、低湿下のフィルム搬送性に優れる等の効果が奏されて好ましい。また銀塩光熱写真ドライイメージング材料の支持体の少なくとも一方の面上に設けられる感光性層と非感光性層の乾燥膜厚の合計は12.0μm以上、19.0μm以下が好ましく、14.0μm以上、18.0μm以下であることが特に好ましい。熱現像後の画像濃度ムラや鮮鋭性を向上させるためには、熱現像後の画像濃度の最大値は4.0以上5.0以下であることが好ましいが、4.0以上4.8以下であることがより好ましく、4.2以上4.6以下であることが特に好ましい。
【0083】
(有機銀塩)
本発明に係る有機銀塩とは、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光性層において、銀画像を形成するための銀イオンを供給する供給源として機能し得る非感光性の有機銀塩である。
【0084】
すなわち、本発明に係る有機銀塩は、露光によって形成された潜像を粒子表面上に有する感光性ハロゲン化銀粒子(光触媒)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された熱現像過程において、銀イオン供給源として機能して銀イオンを供給し銀画像形成に寄与することができる銀塩である。
【0085】
このような非感光性有機銀塩については、従来、種々の化学構造を有する有機化合物の銀塩が知られており、例えば、特開平10−62899号公報の段落「0048」〜「0049」、欧州特許出願公開第803,764A1号明細書の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許出願公開第962,812A1号明細書、特開平11−349591号公報、特開2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2002−23301号公報、同2002−23303号公報、同2002−49119号公報、196446号公報、欧州特許出願公開第1246001A1号明細書、欧州特許出願公開第1258775A1号明細書、特開2003−140290号公報、特開2003−195445号公報、同2003−295378号公報、同2003−295379号公報、同2003−295380号公報、同2003−295381号公報、特開2003−270755号公報等に記載されている。
【0086】
本発明においては、上記の特許公報等に開示されている各種有機銀塩と併用して、又は、併用せずに、脂肪族カルボン酸の銀塩、特に、炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩を用いることができる。銀塩を生成するための脂肪族カルボン酸の分子量は好ましくは200〜500であり、より好ましくは250〜400である。脂肪族カルボン酸銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、およびこれらの混合物などを含む。
【0087】
本発明においては、これら脂肪族カルボン酸銀の中でも、全脂肪族カルボン酸銀に対して、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上100モル%以下、更に好ましくは90モル%以上99.99モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。又、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪族カルボン酸銀塩を用いることが好ましい。
【0088】
なお、脂肪族カルボン酸銀塩を調製するに先だって、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を調製することが必要であるが、その際に、使用できるアルカリ金属塩の種類の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。これらのうちの1種類のアルカリ金属塩、例えば、水酸化カリウムを用いることが好ましいが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することも好ましい。併用比率としては前記の水酸化塩の両者のモル比が10:90〜75:25の範囲であることが好ましい。脂肪族カルボン酸と反応して脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩となったときに上記の範囲で使用することで、反応液の粘度を良好な状態に制御できる。
【0089】
また、平均粒径が0.050μm以下のハロゲン化銀粒子の存在下で脂肪族カルボン酸銀を調製する場合には、特に、アルカリ金属塩のアルカリ金属はカリウムの比率が高い方が、ハロゲン化銀粒子の溶解及びオストワルド熟成が防止されるので好ましい。また、カリウム塩の比率が高いほど、脂肪酸銀塩粒子のサイズを小さくすることができる。好ましいカリウム塩の比率は、脂肪族カルボン酸銀を製造する工程において使用する全アルカリ金属塩に対して50〜100%である。アルカリ金属塩の濃度は、0.1〜0.3モル/1000mlが好ましい。
【0090】
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の平均球相当直径は、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の1粒子の体積と同じ体積の球の直径を意味し、塗布後の試料を透過型電子顕微鏡により観察した粒子の投影面積と厚みから粒子体積を求め、その体積と同体積の球に換算した時の直径を平均することにより求めることができる。非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の平均球相当直径を制御するためには上記したように脂肪族カルボン酸銀塩の調製時にカリウム塩の比率を高くして調整することや、感光性乳剤分散液の分散時に用いるジルコニアビーズの粒径、ミル周速、分散時間を適宜調整することで容易に行うことができる。本発明においては非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の平均球相当直径は、熱現像後に十分な濃度を得るためには、0.05〜0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.45μm、特に好ましくは0.15〜0.40μmである。
【0091】
本発明で使用される非感光性脂肪族カルボン酸銀塩に加えて必要により使用してもよい有機銀としては、コア・シェル構造の有機銀塩(特開2002−23303号公報)、多価カルボン酸の銀塩(EP1246001号公報、特開2004−061948号公報)、ポリマー銀塩(特開2000−292881号公報、特開2003−295378〜2003−295381号公報)を用いることもできる。
【0092】
本発明に用いることができる脂肪族カルボン酸銀塩の形状としては、特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。本発明においては、りん片状の脂肪族カルボン酸銀塩及び長軸と短軸の長さの比が5以下の短針状又は直方体状の脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく用いられる。
【0093】
本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
【0094】
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0095】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上、0.23μmが好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上、6以下、より好ましくは1.05以上、4以下、更に好ましくは1.1以上、3以下、特に好ましくは1.1以上、2以下である。
【0096】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分散した有機銀塩にレーザ光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒径(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0097】
本発明に用いられる有機銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、銀イオンを含む溶液と、脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液とを反応させることによって調製される。銀イオンを含む溶液は硝酸銀水溶液、脂肪族カルボン酸金属塩溶液もしくは懸濁液は水溶液もしくは水分散液であることが好ましく、その添加混合は、同時に行われることが好ましく、その方法については、反応浴の液面に添加する方法、液中に添加する方法等、何れの方法で行っても構わないが、移送手段中に添加混合する方法が好ましい。移送手段中の混合とは、ラインミキシングを意味し、銀イオンを含む溶液と脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液との混合が反応物を含む混合液を貯留するバッチに入る前に行われることを特徴とする。混合部の攪拌手段は、ホモミキサー等の機械的攪拌、スタチックミキサー、乱流効果等いずれの手段を用いても構わないが、機械的攪拌を用いない方が好ましい。尚、移送手段中の混合は、銀イオンを含む溶液、脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩溶液もしくは懸濁液に加えて、水、混合後バッチに貯留された混合液の循環液等、第3の液もしくは懸濁液を混合しても構わない。その他に、例えば、上記の特開平10−62899号公報、欧州特許出願公開第803,763A1号明細書、欧州特許出願公開第962,812A1号明細書、特開2001−167022号公報、同2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2001−163889号公報、同2001−163890号公報、同2001−163827号公報、同2001−33907号公報、同2001−188313号公報、同2001−83652号公報、同2002−6442号公報、同2002−31870号公報、同2003−280135号公報、同2005−157190号公報等を参考にすることができる。
【0098】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性ハロゲン化銀粒子のような感光性銀塩を共存させることができる。しかし、有機銀塩の分散時に、ハロゲン化銀粒子を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時にはハロゲン化銀粒子を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中でのハロゲン化銀粒子量は、その液中の有機銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、更に好ましいのは積極的なハロゲン化銀粒子の添加を行わないものである。
【0099】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性ハロゲン化銀粒子分散液を混合して銀塩光熱写真ドライイメージング材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性ハロゲン化銀粒子の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩分散液と2種以上のハロゲン化銀粒子分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0100】
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/m2、更に好ましくは0.5〜2g/m2である。
【0101】
(ハロゲン化銀粒子)
本発明に係るハロゲン化銀粒子(以下、感光性ハロゲン化銀またはハロゲン化銀ともいう。)とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収し得て、または人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収し得て、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収した時に当該ハロゲン化銀結晶内及び/または結晶表面において物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0102】
本発明に係るハロゲン化銀粒子自体は、公知の方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤(ハロゲン化銀乳剤ともいう)として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。
【0103】
通常ハロゲン化銀種粒子は、粒子の核の生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、また核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件であるpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールができるので好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず銀塩水溶液とハライド水溶液をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、コントロールされたpAg、pH等のもとで銀塩水溶液とハライド水溶液を供給しつつ粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等公知の脱塩法により除くことで所望のハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0104】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒径分布は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
【0105】
粒径の変動係数%=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、これらの中、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0106】
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以下、より好ましくは2以上、50以下である。これらについては米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
【0107】
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。尚、ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
【0108】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。
【0109】
本発明において低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものが好ましく、より好ましくは2,000〜40,000であり、特に好ましくは5,000〜25,000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
【0110】
核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより好ましい。
【0111】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に下記の一般式で表される化合物を用いることが好ましい。
【0112】
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
式中、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を表し、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を表し、pは1〜100を表す。
【0113】
上記の一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は、例えば、特開昭44−9497号公報に記載されている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。上記一般式で表される化合物は銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
【0114】
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液もしくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。また、上記一般式で表される化合物は核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表される化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
【0115】
尚、核形成時の温度は通常5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を上げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
【0116】
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
【0117】
核形成時のpHは通常1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げてしまうので、好ましくはpH2〜6である。また、核形成時のpBrは通常0.05〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.5、より好ましくは1.5〜2.0である。
【0118】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は通常10〜50nm、好ましくは10〜40nmであり、より好ましくは10〜35nmである。ハロゲン化銀粒子の平均粒径が10nmより小さいと画像濃度が低下したり、光照射画像保存性(熱現像によって得た画像を明室で診断等のために使用したり、明室に保管した場合の保存性)が劣化したりすることがある。又、50nmを超えると画像濃度が低下してしまうことがある。
【0119】
ここで言う平均粒径とは、ハロゲン化銀粒子乳剤中に含まれているハロゲン化銀粒子が立方体、あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さを言う。又、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算した時の直径を言う。その他、正常晶でない場合、例えば、球状粒子、棒状粒子等の場合には、当該ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を粒径として算出する。測定は電子顕微鏡写真を用いて行い、300個の粒子の粒径の測定値を平均することで平均粒径を求めた。
【0120】
また本発明においては平均粒径が55〜100nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒径が10〜50nmであるハロゲン化銀粒子とを併用することで、画像濃度の階調を調整することができるほか、画像濃度を向上させたり、経時での画像濃度低下を改善(小さく)することができる。平均粒径が10〜50nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒径が55〜100nmであるハロゲン化銀粒子との割合(質量比)は、95:5〜50:50が好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。
【0121】
なお、上記のように、2種の平均粒径のハロゲン化銀粒子乳剤を用いる場合には、当該2種のハロゲ化銀乳剤を混合して、感光性層に含有させても良い。また、階調調整等のために、感光性層を2層以上の層で構成し、それぞれの層に、当該2種の平均粒径のハロゲン化銀粒子乳剤を別個に含有させることも好ましい。
【0122】
(ヨウ化銀含有量が5モル%以上100モル%以下のハロゲン化銀粒子)
本発明に係るハロゲン化銀粒子としては、ヨウ化銀を含有するハロゲン化銀粒子を好ましく使用することができる。ハロゲン組成としては、ヨウ化銀含有量が5モル%以上100モル%以下であることが好ましい。より好ましくは40モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは70モル%以上100モル%以下であり、特に好ましくは90モル%以上100モル%以下である。ヨウ化銀含有率がこの範囲であれば、粒子内ハロゲン組成分布が、均一であっても、段階的に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。
【0123】
また、内部および/または表面にヨウ化銀含有率が高いコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子である。
【0124】
本発明に係るハロゲン化銀粒子にヨウ化銀を導入する方法としては、粒子形成中にヨウ化アルカリ水溶液を添加する方法、微粒子ヨウ化銀、微粒子ヨウ臭化銀、微粒子ヨウ塩化銀、微粒子ヨウ塩臭化銀のうち少なくとも一つの微粒子を添加する方法、特開平5−323487号公報および特開平6−11780号公報記載のヨウ化物イオン放出剤を用いる方法などが好ましい。
【0125】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、350nm〜440nmの間の波長にヨウ化銀結晶構造に由来する直接遷移吸収を示すことが好ましい。これらハロゲン化銀が直接遷移の光吸収を持っているかどうかは、400nm〜430nm付近に直接遷移に起因する励起子吸収が見られることで容易に区別することができる。
【0126】
(熱変換内部潜像型ハロゲン化銀粒子)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、特開2003−270755号、特開2005−106927号に開示される熱変換内部潜像型(熱現像後内部潜像型)ハロゲン化銀粒子、即ち熱現像によって表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子であることが好ましい。換言すると、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では、該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることが、感度及び画像保存性上、好ましい。
【0127】
熱変換内部潜像型ハロゲン化銀粒子は、通常の表面潜像型ハロゲン化銀粒子と同様に、銀イオン供給源として機能し得る脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0128】
(ハロゲン化銀粒子両親媒性分散物)
銀塩光熱写真ドライイメージング材料の製造過程においては、写真性能、色調を改良するという観点から、ハロゲン化銀粒子の凝集を防止し、比較的均一にハロゲン化銀粒子を分散させ、最終的に現像銀を所望の形状に制御できるようにすることが好ましい。
【0129】
凝集防止、均一分散等のため、用いられるゼラチンは、使用条件等に応じて、ゼラチンが有するアミノ基やカルボキシル基などの親水性基を化学修飾し、ゼラチンの特性を改変させたものが好ましい。例えば、ゼラチン分子内のアミノ基の疎水化修飾としては、フェニルカルバモイル化、フタル化、琥珀化、アセチル化、ベンゾイル化、ニトロフェニル化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。又、これらの置換率は95%以上が好ましく、更に好ましくは99%以上である。又、カルボキシル基の疎水化修飾を組み合わせてもよく、メチルエステル化やアミド化などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。カルボキシル基の置換率は50〜90%が好ましく、更に好ましくは70〜90%である。ここで、上記の疎水化修飾の疎水基とは、ゼラチンのアミノ基及び/又はカルボキシル基を置換することによって、疎水性が増す基のことを言う。
【0130】
又、ハロゲン化銀粒子乳剤は、ゼラチンの代わりに又はゼラチンとの併用において、下記のような水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーを使用して調製することも、目的によって好ましい。例えばハロゲン化銀粒子乳剤を有機溶媒系に均一に分散させて塗布するような場合に、特に好ましい。尚、有機溶媒としては、アルコール系、エステル系、ケトン系の化合物が挙げられる。特に、ケトン系有機溶媒、例えばメタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が好ましい。
【0131】
上記水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマーの何れであってもよい。例えばゼラチン類、ゴム類等を改質して本発明の範疇に属するよう改質したものを用いることもできる。又は、以下の分類に属するポリマーを、凝集防止、均一分散等の目的に適する官能基を導入して用いることが可能である。
【0132】
上記ポリマーとしては、特開2005−316054号公報の段落「0018」に記載のポリマーが挙げられる。
【0133】
当該ポリマーは、同一の状態で水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーでもよいが、pHの制御や温度の制御で水や有機溶媒に溶解させたり、不溶化したりできるものも含まれる。例えば、カルボキシル基のような酸性基を有するポリマーは、種類によっては解離状態では親水性となるが、pHを下げ非解離状態にすると親油性となり溶剤に可溶にできる。逆にアミノ基を有するポリマーは、pHを上げると親油性となり、pHを下げるとイオン化し水溶性が上昇する。ノニオン活性剤では曇点の現象が良く知られているが、温度の上昇で親油性になり有機溶媒に可溶となり、温度の低下で親水性、即ち水に溶解できるような性質を有する感温性ポリマー(有名な感温性ポリマーとして、ポリ−N−i−プロピルアクリルアミド及びそのコポリマー等)も本発明に含まれる。完全に溶解しなくともミセルを形成し均一に乳化できればよい。
【0134】
本発明においては、各種のモノマーを組み合わせるため、一概にどのモノマーをどの程度用いるのが良いかは述べられないが、親水性のモノマーと疎水性のモノマーを適当な割合で組み合わせることで所望のポリマーが得られることは容易に理解できる。
【0135】
前記水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、前記の如きpH等の溶解時の条件の調整により、あるいは未調整でもよいが、水に対して少なくとも1質量%以上(25℃)の溶解度を有し、かつ有機溶剤としてメチルエチルケトンに5質量%以上(25℃)の溶解度を有するものが好ましい。本発明に用いる水と有機溶媒の両方に溶解するポリマーとしては、溶解性の観点から、直鎖のポリマーよりも所謂ブロックポリマー、グラフトポリマー、櫛型ポリマー等が適している。特に櫛型ポリマーは好ましい。尚、ポリマーの等電点はpH6以下であることが好ましい。
【0136】
櫛型ポリマーを製造する場合は、各種の手法を用いることができるが、櫛部(側鎖)に200以上の分子量の側鎖を導入できるモノマーを用いることが望ましい。特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等、ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることが好ましい。ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、特に特開2005−316054号公報の段落「0022」〜「0024」に記載されたポリオキシアルキレン基を有するものが好ましい。
【0137】
又、市販品のモノマーとしては、特開2005−316054号公報の段落「0025」に記載されたモノマーなどが挙げられる。
【0138】
ポリマーとしては、所謂マクロマーを使用したグラフトポリマーを用いることもできる。例えば、”新高分子実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編,共立出版社,1995に記載されている。又、山下雄也著”マクロモノマーの化学と工業”アイピーシー刊、1989にも詳しく記載されている。マクロマーの内、有用な分子量は1万〜10万の範囲、好ましい範囲は1万〜5万、特に好ましい範囲は1万〜2万の範囲である。分子量が1万未満では効果を発揮できず、又、10万を超えると主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が悪くなる。具体的には、東亞合成社製:AA−6、AS−6S、AN−6S等を用いることができる。
【0139】
尚、本発明が上記具体例によって、何等限定されないことは勿論である。ポリオキシアルキレン基含有エチレン性不飽和モノマーは、1種類だけを用いても2種類以上を同時に用いても構わない。
【0140】
上記モノマーと具体的に反応させる他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリルエステル類、アリルオキシエタノール類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル、フマール酸のモノ(又はジ)アルキルエステル類等、その他、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレン等が挙げられる。
【0141】
具体的な例としては、特開2005−316054号公報の段落「0029」「0030」に記載された化合物が挙げられる。重合開始剤、重合禁止剤、ポリマーの等電点、重合時に使用する溶剤の種類、ポリマーの分子量等については、特開2005−316054号公報の段落「0031」〜「0039」に記載されている。
【0142】
以下に、両親媒性ポリマーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0143】
【化2】


【0144】
【化3】


【0145】
(化学増感)
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号及び特開2001−249426号に記載されている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により、感光性ハロゲン化銀粒子又は当該粒子上の分光増感色素の光励起によって生じた電子又は正孔(ホール)を捕獲することができる化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。特に、カルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
【0146】
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0147】
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号、同11−218875号、同11−218876号、同11−194447号等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、カルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に、複素環基を有するチオ尿素誘導体及びトリフェニルホスフィンサルファイド誘導体等が好ましい。
【0148】
化学増感を施す方法としては、従来の湿式処理用のハロゲン化銀感光材料の製造の際に慣用されている種々の化学増感技術に準じた技術が使用できる(参考文献:(1) T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2) 日本写真学会編”写真工学の基礎(銀塩写真編),コロナ社,1979)。特に、ハロゲン化銀粒子乳剤に予め化学増感を施し、その後に非感光性有機銀塩粒子と混合する場合には、従来の慣用方法により化学増感を施すことができる。
【0149】
有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。
【0150】
化学増感を施す際の環境条件としては、特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましい場合がある。この場合の増感条件は、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
【0151】
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、複素環としては、例えば、ピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
【0152】
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、かつ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
【0153】
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0154】
これら含複素環化合物の添加量は、ハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モル当たりの量で10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4〜10-1モルの範囲である。
【0155】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。なお、特開平11−194447号に開示されている金増感技術が参考となる。
【0156】
又、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物として、例えば、アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
【0157】
本発明において、化学増感を施されるハロゲン化銀粒子は、脂肪族カルボン酸銀塩の存在下で形成されたのでも、当該有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
【0158】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に化学増感を施した場合においては、熱現像過程経過後に該化学増感の効果が実質的に消失することが必要である。ここで、化学増感の効果が実質的に消失するとは、前記の化学増感技術によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に化学増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、化学増感中心(化学増感核)を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、化学増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
【0159】
(分光増感)
本発明における感光性ハロゲン化銀には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。
【0160】
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)17643IV−A項(1978年12月p.23)、RD18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に、各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0161】
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核などの酸性核も含む。
【0162】
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
【0163】
本発明の熱現像方法において用いられる銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、米国公開特許公報2004−0224266号明細書に記載されている一般式(1)で表される増感色素及び一般式(2)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び含有することが好ましく、一般式(5)で表される増感色素及び一般式(6)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び含有することがより好ましい。一般式(5)で表される増感色素及び一般式(6)で表される増感色素を併用することが露光時の露光波長依存性を改良するうえで特に好ましい。
【0164】
上記の赤外増感色素は、例えば、エフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
【0165】
これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロゲン化銀調製後の任意の時期でよく、例えば、溶剤に添加して、或いは微粒子状に分散した、いわゆる固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。
【0166】
本発明において、上記の分光増感色素は1種類を単独に用いてもよいが、上述のように、分光増感色素の複数の種類の組合せを用いることが好ましく、そのような増感色素の組合せは、特に強色増感及び感光波長領域の拡大や調整等の目的でしばしば用いられる。
【0167】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
【0168】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されているが、強色増感剤としては、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物が又はメルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0169】
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。
【0170】
好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
【0171】
なお、脂肪族カルボン酸銀塩又はハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
【0172】
Ar−S−S−Ar
式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
【0173】
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0174】
上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号公報に開示されているヘテロ原子を有する大環状化合物も強色増感剤として使用できる。
【0175】
本発明に係る強色増感剤は、有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光性層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が好ましい。
【0176】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に分光増感色素を吸着せしめ分光増感が施されており、かつ熱現像過程経過後に該分光増感効果が実質的に消失することが必要である。ここで、分光増感効果が実質的に消失するとは、増感色素、強色増感剤等によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に分光増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。
【0177】
なお、分光増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、熱によってハロゲン化銀粒子より脱離しやすい分光増感色素を使用する又は/および分光増感色素を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、分光増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
【0178】
(還元剤)
本発明に係る還元剤は感光性層中で、銀イオンを還元し得るものであり、現像剤ともいう。本発明においては、銀イオンの還元剤として、前記一般式(RD1)で表される化合物を用いることが好ましい。一般式(RD1)で表される還元剤は1種類であっても、2種類以上の還元剤を用いてもよい。また他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いても良い。
【0179】
前記一般式(RD1)において、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表し同一でも異なってもよい。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
【0180】
本発明においては、熱現像特性を制御するために(RD1)の化合物と下記一般式(RD2)の化合物とを併用することもできる。
【0181】
【化4】


【0182】
式中、X2はカルコゲン原子又はCHR5を表し、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表し同一でも異なってもよい。R8はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
【0183】
その併用比率としては、[(RD1)の化合物の質量]:[一般式(RD2)の化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
【0184】
一般式(RD1)中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
【0185】
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
【0186】
2はアルキル基を表し、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
【0187】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は好ましくは何れも2級又は3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−アミル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチル、t−アミルである。
【0188】
3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。R3として例えば、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0189】
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。
【0190】
3はヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、さらに好ましくは、R3はヒドロキシル基を置換基として有する炭素数3〜10のアルキル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基を置換基として有する炭素数3〜10のアルキル基である。アルキル基の炭素数をこの範囲とすると、画像が硬調化することがなく、平均階調が2.0〜6.0の範囲内の診断に適した画像をうることができる点で好ましい。R3は特に好ましくは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数3〜5のアルキル基である。R3としては例えば、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、5−ヒドロキシペンチル等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。
【0191】
脱保護されて水酸基を形成しうる基として好ましくは酸および/または熱の作用により脱保護して水酸基を形成する基が挙げられる。
【0192】
具体的には、エーテル基(メトキシ基、tert−ブトキシ基、アリルオキシ基、ベンジルオキシ基、トリフェニルメトキシ基、トリメチルシリルオキシ基等)、ヘミアセタール基(テトラヒドロピラニルオキシ基等)、エステル基(アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−ニトロベンゾイルオキシ基、ホルミルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等)、カルボナート基(エトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基、tert−ブチルオキシカルボニルオキシ基等)、スルホナート基(p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基等)、カルバモイルオキシ基(フェニルカルバモイルオキシ基等)、チオカルボニルオキシ基(ベンジルチオカルボニルオキシ基等)、硝酸エステル基、スルフェナート基(2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルオキシ基等)が挙げられる。
【0193】
3は最も好ましくはヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数3〜5の第1級アルキル基であり、例えば3−ヒドロキシプロピルである。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、t−アミル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数3〜10の第1級アルキル基(3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
【0194】
4は水素原子又はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、フッ素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。
【0195】
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。複数のR4は同じでも異なっていても良い。
【0196】
一般式(RD2)中、R5はR1と同様の基であり、R8はR4と同様の基である。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。
【0197】
7は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
【0198】
7として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。更に好ましくはメチル、3−ヒドロキシプロピルである。
【0199】
アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられる。
【0200】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0201】
又、R6は(R8n及び(R8mと飽和環を形成してもよい。R6は、好ましくはメチルである。一般式(RD2)で表される化合物のうちでも好ましく用いられる化合物は欧州特許第1,278,101号明細書に記載の一般式(S)、一般式(T)を満足する化合物であり、具体的にはp21〜p28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物が挙げられる。
【0202】
以下に、一般式(RD1)、一般式(RD2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0203】
【化5】


【0204】
【化6】


【0205】
【化7】


【0206】
【化8】


【0207】
【化9】


【0208】
これら一般式(RD1)、一般式(RD2)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
【0209】
本発明において、併用することができる還元剤としては、例えば、米国特許3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号の各明細書、RD17029号及び29963号、特開平11−119372号、特開2002−62616号の各公報等に記載されている還元剤が挙げられる。
【0210】
前記一般式(RD1)で表される化合物を初めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0211】
(画像の色調)
次に、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
【0212】
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとってより的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
【0213】
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0214】
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
【0215】
尚、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間におけるu*、v*又はa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
【0216】
しかしながら、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料について更に鋭意検討の結果、CIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間において横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*又はa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見い出した。以下に好ましい条件範囲について述べる。
【0217】
(1)銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、且つ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0218】
(2)又、当該銀塩光熱写真ドライイメージング材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、且つ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0219】
尚、次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ちCIE 1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
【0220】
熱現像装置を用いて未露光部、及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製した、それぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(ミノルタ社製(旧名):CM−3600d等)で測定し、u*、v*又はa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に測定したu*、v*又はa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
【0221】
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
【0222】
本発明においては、還元剤(現像剤)、ハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀及び下記の調色剤等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化して好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
【0223】
従来、調色剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号、同4,021,249号の各明細書等に開示されている。
【0224】
冷却部長さの短いコンパクトなレーザイメージャーを用いて迅速処理を行う場合、通常処理に比較して、銀色調がニュートラルな好ましい色調から大きくずれてしまう問題点が発生する場合があるが、これらの問題点の解決のためには、熱現像時にイメージワイズに発色して色素像を形成する化合物(ロイコ染料やカプラー化合物が挙げられる)を前記したフタラジン化合物等の調色剤に加えて使用することが好ましい。これらの化合物としては熱現像時に発色して極大吸収波長が360以上450nm以下となる色素像を形成する化合物、または熱現像時に発色して極大吸収波長が600以上700nm以下となる色素像を形成する化合物が好ましいが、両方の化合物を含む場合が良好な銀色調を得るうえで特に好ましい。これらの化合物としては、特開平11−288057号公報、欧州特許第1,134,611A2号明細書等に開示されているカプラーまたは、以下で詳述するロイコ染料を使用することが好ましい。
【0225】
(ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、上記の還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0226】
本発明において使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
【0227】
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。さらに迅速処理のために高活性な還元剤を使用することに伴ってその使用量や使用比率によって色調(特に黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀粒子を用いたりして、現像銀の粒径が小さくなることにより、特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用してその使用量を調整するのが好ましい。
【0228】
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度又は0.005〜0.50の透過光学濃度を有するように発色させ上記の好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。本発明ではロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。色素像の極大吸収波長は熱現像後の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の分光吸収スペクトルを測定することによって得られる。
【0229】
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記のように、ロイコ染料を使用して色調を調整することが好ましい。本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する色像形成剤である。これらの色像形成剤としては、下記一般式(YA)で表される色像形成剤であることが特に好ましい。
【0230】
【化10】


【0231】
式中、R11は置換又は無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。
【0232】
以下、一般式(YA)の化合物について詳細に説明する。
【0233】
一般式(YA)において、R11は置換又は無置換のアルキル基を表すが、R12が水素原子以外の置換基である場合、R11はアルキル基を表す。当該アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。
【0234】
具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級又は3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R11が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
【0235】
12は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表す。R12で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R11と同様である。
【0236】
12で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R12として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。又、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
【0237】
13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R11と同様である。R13として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。又、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
【0238】
14はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば、前記一般式(RD1)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R14として好ましいのは、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
【0239】
次に、一般式(YA)で表される化合物のうちでも、特に本発明で好ましく用いられる、下記一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物について説明する。
【0240】
【化11】


【0241】
式中、Zは−S−又は−C(R21)(R21′)−を表し、R21、R21′は各々、水素原子又は置換基を表す。
【0242】
21、R21′の表す置換基としては、前記一般式(RD1)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R21、R21′として好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
【0243】
22、R23、R22′及びR23′は各々置換基を表すが、置換基としては一般式(RD1)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0244】
22、R23、R22′及びR23′として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、一般式(RD1)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0245】
22、R23、R22′及びR23′として、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
【0246】
24及びR24′は各々、水素原子又は置換基を表すが、置換基としては、一般式(RD1)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0247】
一般式(YA)及び(YB)で表される化合物としては、例えば、特開2002−169249号公報の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、欧州特許第1,211,093号明細書の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
【0248】
以下に、一般式(YA)及び(YB)で表されるビスフェノール化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0249】
【化12】


【0250】
【化13】


【0251】
一般式(YA)の化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
【0252】
また、黄色発色性ロイコ染料の一般式(RD1)、(RD2)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、黄色発色性ロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0253】
(シアン発色性ロイコ染料)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上記の黄色発色性ロイコ染料のほかに、シアン発色性ロイコ染料も使用して色調を調整することが好ましい。
【0254】
シアン発色性ロイコ染料としては、好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、還元剤の酸化体等により酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、かつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0255】
本発明において、特にシアン発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤である。これらの化合物としては例えば、特開昭59−206831号(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号の一般式(I)〜一般式(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号の一般式4〜一般式7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)が挙げられる。
【0256】
次にシアン発色性ロイコ染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0257】
【化14】


【0258】
【化15】


【0259】
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。シアン発色性ロイコ染料の一般式(RD1)、一般式(RD2)で表される還元剤の総和に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
【0260】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、シアンロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
【0261】
本発明においては、上記のシアン発色性ロイコ染料に加えてマゼンタ発色性ロイコ染料または黄色発色性ロイコ染料を併用することでさらに微妙な色調の調整を可能とすることができる。
【0262】
一般式(YA)および(YB)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、一般式(RD1)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に含有させてよい。
【0263】
一般式(RD1)、(RD2)、一般式(YA)、(YB)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する感光性層(画像形成層)に含有させることが好ましいが、一方を感光性層に、他方を該感光性層に隣接する非感光性層に含有させてもよく、両者を非感光性層に含有させてもよい。又、感光性層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
【0264】
(バインダー)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、本発明に係る感光性層及び非感光性層に種々の目的でバインダーを含有させることができる。
【0265】
本発明に係る感光性層に含まれるバインダーは、有機銀塩、ハロゲン化銀粒子、還元剤、その他の成分を担持しうるものであり、好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成ポリマー、及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号の段落「0069」に記載のものが挙げられる。
【0266】
これらの内、当該感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましくはポリビニルブチラールである。これらについては詳しく後述する。
【0267】
又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用い得る。
【0268】
バインダーには−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、−N(R)2、−N+(R)3(Mは水素原子、又はアルカリ金属塩基、Rは炭化水素基を表す)、エポキシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したものを用いることが好ましく、特に−SO3M、−OSO3M、が好ましい。この様な極性基の量は、1×10-1〜1×10-8モル/gであり、好ましくは1×10-2〜1×10-6モル/gである。
【0269】
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。
【0270】
効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感光性層(画像形成層)において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2(質量比)が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光性層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0271】
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度(Tg)は、70〜105℃であることが好ましい。Tgは示差走査熱量計で測定して求めることができ、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をTgとする。本発明におけるTgは、ブランドラップ等による「重合体ハンドブック」III−139〜179頁(1966年,ワイリーアンドサン社版)に記載の方法で求めたものである。
【0272】
バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
【0273】
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。上式に従って計算されたTgの精度は±5℃である。
【0274】
Tgが70〜105℃のバインダーを用いると、画像形成において十分な最高濃度が得ることができ好ましい。
【0275】
本発明に係るバインダーとしては、Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。又、エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体又は共重合体については、特開2001−330918号の段落番号「0069」に記載のものが挙げられる。
【0276】
これらの内、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば米国特許2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許771,155号等に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
【0277】
アセタール基を持つ高分子化合物としては、特開2002−287299号公報の[150]に記載の一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
【0278】
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン等公知のものが使用できる。又、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシル基は、硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、ヒドロキシル基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にヒドロキシル基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、Tgが70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
【0279】
これらの高分子化合物(ポリマー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。
【0280】
本発明に係る感光性層には上記ポリマーを主バインダーとして用いることが好ましい。ここで言う主バインダーとは、「感光性層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明に係るポリマーと任意に混合可能なポリマーであれば特に制限はない。より好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0281】
感光性層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここで言う有機性ゲル化剤とは、例えば多価アルコール類のように、有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失あるいは低下させる機能を有する化合物を言う。
【0282】
感光性層用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、感光性層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。又、感光性層の調製においてポリマーラテックスを使用した場合、感光性層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックス由来のポリマーであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0283】
ここで、ポリマーラテックスとは、水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等、何れでもよい。分散粒子の平均粒径は1〜50,000nmが好ましく、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも、単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0284】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いることができるポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、所謂コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはTgを変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。又、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
【0285】
上記造膜助剤は可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常、有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著,高分子刊行会発行,1970)」に記載されている。
【0286】
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては、直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、又、架橋されたポリマーでもよい。又、ポリマーとしては、単一のモノマーが重合した所謂ホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は、数平均分子量で、通常、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く、共に好ましくない。
【0287】
ポリマーラテックスは、25℃・60%RH(相対湿度)での平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
【0288】
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号公報の「0173」に記載の各ラテックスが挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレート又はメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
【0289】
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光性層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0290】
感光性層用塗布液の調製における有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、何れを先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくはポリマーラテックスが後である。
【0291】
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。又、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎるとカブリが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には、35〜60℃で経時されることが好ましく、特に35〜55℃での経時が好ましい。この様に温度を維持するには、塗布液の調液槽等を保温すればよい。
【0292】
感光性層用塗布液の塗布は、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
【0293】
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後を言う。
【0294】
(架橋剤)
本発明に係る感光性層には、本発明に係るバインダー同士を橋かけ結合によってつなぐことができる架橋剤を含有させることができる。架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0295】
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは、以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物又は酸無水物である。
【0296】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
【0297】
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、銀塩光熱写真ドライイメージング材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0298】
又、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
【0299】
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常、0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0300】
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
【0301】
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0302】
又、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。又、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
【0303】
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
【0304】
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0305】
(省銀化剤)
本発明に係る感光性層又は非感光性層には、省銀化剤を含有させることができる。ここでいう、省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。
【0306】
この必要な銀量を低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光性層又は非感光性層、更にはそのいずれにも存在せしめることができる。省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。
【0307】
ヒドラジン誘導体の具体例としては、米国特許第5,545,505号明細書カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号明細書カラム9〜11に記載の化合物1〜12、特開2001−27790号公報の段落「0042」〜「0052」に記載の化合物H−1−1〜H−1−28、H−2−1〜H−2−9、H−3−1〜H−3−12、H−4−1〜H−4−21、H−5−1〜H−5−5が挙げられる。
【0308】
ビニル化合物の具体例としては、米国特許第5,545,515号明細書のカラム13〜14に記載の化合物CN−01〜CN−13、米国特許第5,635,339号明細書のカラム10に記載の化合物HET−01〜HET−02、米国特許第5,654,130号明細書のカラム9〜10に記載の化合物MA−01〜MA−07の化合物、米国特許第5,705,324号明細書のカラム9〜10に記載の化合物IS−01〜IS−04、特開2001−125224号公報の段落「0043」〜「0088」記載の化合物1−1〜218−2が挙げられる。
【0309】
フェノール誘導体、ナフトール誘導体の具体例としては、特開2000−267222号公報の段落「0075」〜「0078」の記載の化合物A−1〜A−89、特開2003−66558号公報の段落「0025」〜「0045」に記載の化合物A−1〜A−258が挙げられる。
【0310】
4級オニウム化合物の具体例としては、トリフェニルテトラゾリウムが挙げられる。
【0311】
シラン化合物の具体例としては、特開2003−5324号公報の段落「0027」〜「0029」記載の化合物A1〜A33に示されるような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物或いはその塩が挙げられる。
【0312】
上記省銀化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し1×10-5〜1モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モルの範囲である。
【0313】
以下、本発明の省銀化剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0314】
【化16】


【0315】
(熱溶剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料には熱溶剤が含まれていることが好ましい。ここで、熱溶剤とは、熱溶剤含有銀塩光熱写真ドライイメージング材料に対して、熱溶剤を含まない銀塩光熱写真ドライイメージング材料に比べて熱現像温度を1℃以上低くすることができる素材と定義する。さらに好ましくは、2℃以上熱現像温度を低くできる素材であり、特に好ましくは3℃以上低くできる素材である。例えば、熱溶剤を含む銀塩光熱写真ドライイメージング材料Aに対して、銀塩光熱写真ドライイメージング材料Aから熱溶剤を含まない銀塩光熱写真ドライイメージング材料をBとした時に、銀塩光熱写真ドライイメージング材料Bを露光し熱現像温度120℃、熱現像時間20秒で処理して得られる濃度を、銀塩光熱写真ドライイメージング材料Aで同一露光量、熱現像時間で得るための熱現像温度が119℃以下になる場合を熱溶剤とする。
【0316】
熱溶剤は極性基を置換基として有しており、一般式(TS)で表されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0317】
一般式(TS)
(Y)n
一般式(TS)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Zはヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸アミド基、シアノ基、イミド、ウレイド、スルホキシド、スルホン、ホスフィン、ホスフィンオキシドまたは含窒素複素環基から選ばれる基を表す。nは1ないし3の整数を表し、Zが1価の基である場合には1、Zが2価以上の基である場合にはZの価数と同一である。nが2以上の場合、複数のYは同一であっても異なっていても良い。
【0318】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基としてZで表される基を有していても良い。Yについてさらに詳しく説明する。一般式(TS)において、Yは直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜25であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜25であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは6〜30、特に好ましくは6〜25であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、複素環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、ピラジル、イミダゾイル、ピロリジルなどが挙げられる。)を表す。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていても良い。また、これらの置換基は互いに結合して、環を形成していても良い。
【0319】
Yは更に置換基を有していても良く、置換基の例としては、特開2004−21068号公報の「0015」に記載の置換基が挙げられる。熱溶剤を使用することにより現像活性となる理由としては、熱溶剤が現像温度付近で溶融することにより現像に関与する物質と相溶し、熱溶剤を添加しないときよりも低い温度での反応を可能としているためと考えられる。熱現像は、比較的極性の高いカルボン酸や銀イオン輸送体が関与している還元反応であるため、極性基を有している熱溶剤により適度の極性を有する反応場を形成することが好ましい。
【0320】
本発明に好ましく用いられる熱溶剤の融点は50℃以上200℃以下であるが、より好ましくは60℃以上150℃以下である。特に、本発明の目的であるような、画像保存性などの外的環境に対しての安定性を重視した銀塩光熱写真ドライイメージング材料では、融点が100℃以上150℃以下の熱溶剤が好ましい。
【0321】
熱溶剤の具体例としては特開2004−21068号公報の「0017」に記載される化合物、米国公開特許US2002/0025498号公報の「0027」に記載の化合物、MF−1〜MF−3、MF6、MF−7、MF−9〜MF−12、MF−15〜MF−22を挙げることができる。
【0322】
本発明において熱溶剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.5g/m2で、さらに好ましくは0.1〜1.5g/m2である。熱溶剤は感光性層に含有させることが好ましい。また、上記熱溶剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において熱溶剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に含有させてもよい。
【0323】
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0324】
また、固体微粒子分散法としては、熱溶剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
【0325】
(カブリ防止及び画像安定化剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料のいずれかの構成層には、熱現像前の保存時におけるカブリ発生を防止するためのカブリ防止剤、及び熱現像後における画像の劣化を防止するための画像安定化剤を含有させておくことが好ましい。
【0326】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いることができるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
【0327】
本発明に係る還元剤として、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を安定化し還元剤を不活性化し、銀イオンを還元する反応を防止できる化合物が含有されていることが好ましい。また、生銀塩光熱写真ドライイメージング材料や画像の保存時に生成する銀原子ないし金属銀銀(銀クラスター)を酸化漂白できる化合物が含有されていることが好ましい。これらの機能を有する化合物の具体例としてビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を挙げることができる。上記のビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは0.005〜0.05モル/m2の範囲である。
【0328】
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては、例えば、特開2002−90937号公報の段落[0061]〜[0064]に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
【0329】
また、一方、カブリ防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−287299号公報の段落[0264]〜[0271]に記載の一般式(9)の化合物が挙げられる。
【0330】
これらの化合物の添加量は、当該化合物から放出されるハロゲンと銀イオンが反応してハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が実質的に問題にならない範囲が好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、上記の公報の他に、特開2002−169249号公報の段落「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)、特開2003−50441号公報の段落「0031」〜「0034」記載の化合物1−1a〜1−1o、1−2a〜1−2o、段落「0050」〜「0056」記載の化合物2a〜2z、2aa〜2ll、2−1a〜2−1f、特開2003−91054号公報の段落「0055」〜「0058」記載の化合物4−1〜4−32、段落「0069」〜「0072」記載の化合物5−1〜5−10を挙げることができる。
【0331】
本発明で好ましく使用されるカブリ防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、段落「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08、特開2002−207273号公報の段落「0042」〜「0051」に記載の化合物(1)−1〜(1)−132、を挙げることができる。
【0332】
上記カブリ防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
【0333】
尚、上記の化合物の他に、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料中には、従来カブリ防止剤として知られている各種化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0334】
(調色剤)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、必要に応じて銀の色調を調整する調色剤(トナー)を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
【0335】
本発明に用いられる好適な調色剤の例は、リサーチ・ディスクロージャー(RD)17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
【0336】
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい調色剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
【0337】
(フッ素系界面活性剤)
本発明ではレーザイメージャー(熱現像処理装置)での銀塩光熱写真ドライイメージング材料搬送性や環境適性(生体内への蓄積性)を改良するために下記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる。
【0338】
一般式(SF)
(Rf−(L1n1−)p−(Y)m1−(A)q
式中、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表し、L1はフッ素原子を有しない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表し、Aはアニオン基またはその塩を表し、n1、m1は各々0または1の整数を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。但し、qが1の時はn1とm1は同時に0ではない。
【0339】
前記一般式(SF)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表すが、該フッ素原子を含有する置換基としては例えば、炭素数1〜25のフッ化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基、トリフロロエチル基、パーフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基及びパーフロロオクタデシル基等)またはフッ化アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基、パーフロロブテニル基、パーフロロノネニル基及びパーフロロドデセニル基等)等が挙げられる。Rfは炭素数2〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数が2〜6である。またRfはフッ素原子数2〜12であることが好ましく、より好ましくはフッ素原子数が3〜12である。
【0340】
1はフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、当該フッ素原子を有さない2価の連結基としては例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基またはこれらの基を組合せた基等が挙げられる。
【0341】
Aはアニオン基またはその塩を表すが、例えば、カルボン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、スルホン酸基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、硫酸ハーフエステル基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、及び燐酸基またはその塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)等が挙げられる。
【0342】
Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表すが、例えば、フッ素原子を有さない3価または4価の連結基としては、窒素原子または炭素原子を中心にして構成される原子群が挙げられる。n1は0または1の整数を表すが、1であるのが好ましい。
【0343】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基及びパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)及びアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基及びパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に例えば硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
【0344】
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。
【0345】
また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物及びヘテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
【0346】
上記したフッ素系界面活性剤の具体例としては、特開2003−149766号公報の段落「0029」〜「0040」に記載の化合物(FS−1)〜(FS−66)、特開2004−021084号公報の段落「0014」に記載の化合物1−1〜1−4、段落「0019」に記載の化合物2−1〜2−10、特開2004−077792号公報の段落「0025」に記載の化合物、段落「0030」に記載の化合物が挙げられる。
【0347】
以下に、一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の好ましい具体的化合物を示す。
【0348】
【化17】


【0349】
【化18】


【0350】
また上記した以外のフッ素系界面活性剤として、特開2004−117505号公報の段落「0035」に記載の化合物、特開2000−214554号公報、特開2003−156819号公報、特開2003−177494号公報、特開2003−114504号公報、特開2003−270754号公報、特開2003−270760号公報に記載された化合物を使用しても良い。本発明においては一般式(SF)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤と公知の非イオン性含フッ素界面活性剤を組み合わせて使用することが帯電特性、塗布性向上の観点から特に好ましい。
【0351】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
【0352】
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では、帯電特性が得られないことがあり、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化することがある。
【0353】
(輻射線吸収性化合物を含む層)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の支持体上の感光性層が設けられている側の層および支持体をはさんで感光性層が設けられている側とは反対側に設けられている層に用いられる輻射線吸収性化合物としては公知の各種染料や顔料を用いることができる。これらの染料および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。
【0354】
本発明に用いられる好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特開平5−341441号記載の化合物1〜9、特開平5−165147号記載の化合物3−6〜18および3−23〜38など)、アゾメチン染料(特開平5−341441号記載の化合物17〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5−289227号記載の化合物11〜19、特開平5−341441号記載の化合物47、特開平5−165147号記載の化合物2−10〜11など)およびアゾ染料(特開平5−341441号記載の化合物10〜16)が挙げられる。例えば、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特開2001−83655号公報に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料、またスクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、またはピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。尚、染料としては特開平8−201959号公報に記載の化合物、特表平9−509503号公報に記載の化合物、特開2003−195450号公報に記載されている化合物AD−1〜AD−55も好ましい。本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を青色光による画像記録材料とする場合には、特開2003−215751号公報に記載されている化合物No.1〜No.93、特開2005−157245号公報に記載されているDye−1〜Dye−51が好ましく用いられる。またこれらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に感材1m2当たり1μg以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、支持体上の感光性層が設けられる側の層、具体的には下引層、感光性層、中間層、保護層に、より好ましくは感光性層に、輻射線吸収性化合物(染料または顔料)を含有させてこれらの層の全層での露光波長での吸光度を0.30〜1.00に設定し、かつ支持体をはさんで感光性層が設けられた側とは反対側の層、具体的には帯電防止下引層、アンチハレーション層、保護層に、より好ましくはアンチハレーション層に輻射線吸収性化合物(染料または顔料)を含有させてこれらの層の全層での露光波長での吸光度を0.20〜1.50の範囲に設定することが好ましい。また支持体上の感光性層が設けられる側の層の全層合計での露光波長における吸光度は好ましくは0.40〜0.90であることが好ましく、特に好ましくは0.50〜0.80である。また支持体をはさんで感光性層が設けられた側とは反対側に設けられる層の全層合計での露光波長における吸光度は好ましくは0.30〜1.20であることが好ましく、より好ましくは0.40〜1.00である。この範囲とすることで露光系に樹脂レンズを使用した場合でも、画像品室や湿度変化に伴う濃度変動を大きく改良することができる。
【0355】
(表面層)
本発明における十点平均粗さ(Rz)、最大粗さ(Rt)、中心線平均粗さ(Ra)は、下記のJIS表面粗さ(B0601−1994年)により定義される。十点平均粗さ(Rz)とは断面曲線から基準長さだけぬきとった部分において、平均線に平行、且つ断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。最大粗さ(Rt)とは粗さ曲線を基準長さLだけ抜き取り、中心線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定して、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。中心線平均粗さ(Ra)とは粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0356】
【数1】


【0357】
Rz、Rt、Raの測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿した後、該環境下で測定した。ここで示す重ね合わされない条件とは、例えば、銀塩光熱写真ドライイメージング材料エッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や銀塩光熱写真ドライイメージング材料と銀塩光熱写真ドライイメージング材料の間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
【0358】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料の表面と裏面のRz、Rt、Raについては、下記に示す技術手段を適宜組み合わせて用いることで容易に調整することができる。
【0359】
1)感光性層を有する側の層、感光性層を有する側と反対面の層に含まれるマット剤(無機または有機粉末)の種類、平均粒径、添加量、表面処理方法
2)マット剤の分散条件(使用する分散機の種類、分散時間、分散に使用するビーズの種類、平均粒径、分散時に使用する分散剤の種類と量、バインダーの極性基の種類、極性基含有量)
3)塗布時の乾燥条件(塗布速度、温風の吹き出しノズルの塗布面からの距離、乾燥風量)、残留溶媒量
4)塗布液の濾過に用いるフイルターの種類、濾過時間
5)塗布後にカレンダ処理を行う場合は、その条件(例えばカレンダ温度40〜80℃、圧力50〜300kg/cm、ラインスピード20〜100m/分、ニップ数2〜6)
本発明においては、バックコート層が設けられた側の最表面の中心線平均粗さ(Ra(B))が50〜120nmであることが好ましいが、60〜115nmであることがより好ましく、70〜110nmであることが特に好ましい。感光性層が設けられた側の最表面の中心線平均粗さ(Ra(E))が70〜140nmであることが好ましいが、80〜135nmであることがより好ましく、90〜130nmであることが特に好ましい。感光性層が設けられた側の最表面の十点平均粗さは1.5〜4.0μmであることが好ましく、2.0〜3.5μmであることがより好ましい。またバックコート層が設けられた側の最表面の十点平均粗さ(Rz)が4.0〜7.0μmであることが好ましく、4.0〜6.5μmであることが特に好ましい。本発明においては、Rz(E)/Rz(B)の値が0.1以上、0.7以下であるのが好ましく、0.2以上、0.6以下であるのがより好ましい。
ここで(E)は感光性層側の最表面を、(B)は感光性層とは反対側のバックコート層側の最表面を表す。(Rz(B))を4.0〜7.0μm、(Rz(E))を1.5〜4.0μmとすることで、熱現像装置の機内汚染、フィルム搬送性を向上させることができる。
【0360】
また本発明においては、Ra(E)/Ra(B)の値が0.6以上、1.5以下であることが好ましく、特にRa(E)/Ra(B)の値が0.6以上、1.3以下であるのが好ましい。この範囲とすることで、経時でのカブリ上昇が小さく、フィルムの搬送性がよく、熱現像時の濃度ムラの発生についてより向上させることができる。
【0361】
本発明の光熱写真ドライイメージング材料は、感光性層側の最表面に平均粒径が0.3〜2.0μmのマット剤Aと平均粒径2.5μm〜7.0μmのマット剤Bを含有することが好ましいが、マット剤Aの平均粒径は0.5〜1.5μmであることがより好ましく、マット剤Bの平均粒径は3.0〜6.0μmであることがより好ましい。マット剤Aとマット剤Bの質量比は99:1〜60:40であることが好ましく、95:5〜70:30であることがより好ましい。感光性層側の最外層に使用されるマット剤の添加量は最外層に用いられるバインダー量(架橋剤についてはバインダー量に含む)に対して通常1.0〜20質量%であり、好ましくは2.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜10質量%である。
【0362】
支持体をはさんで感光性層側とは反対側の最外層に含まれる有機樹脂からなるマット剤の平均粒径は、好ましくは5.0〜15.0μmであり、より好ましくは7.0〜12.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(架橋剤についてはバインダー量に含む)に対して通常0.2〜10質量%であり、好ましくは0.4〜7質量%であり、より好ましくは0.6〜5質量%である。
本発明においては、Rz(E)/Rz(B)の値が0.1以上、0.7以下であるのが好ましく、特にRz(E)/Rz(B)の値が0.2以上、0.6以下であるのが好ましく、0.3以上、0.55以下であるのがより好ましい。この範囲とすることで、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送性がよく、熱現像時の濃度ムラの発生を格段に向上することができる。
【0363】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上の両側に複数の種類のマット剤を含有する構成層を有することが、画像の画質の向上の観点から、好ましい。感光性層を有する側のマット剤を含有する層に含有させるマット剤の最大の平均粒径をもつものの平均粒径をLe(μm)、支持体をはさんで感光性層を有する側と反対側、すなわち、バックコート層を有する側のマット剤を含有する層に含有させるマット剤の最大の平均粒径をもつものの平均粒径をLb(μm)とする時Lb/Leが2.0〜10であることが好ましく、より好ましくは3.0〜4.5である。
【0364】
Lb/Leをこの範囲とすることで、熱現像時の濃度ムラを改良することができる。また本発明の画像形成方法においてはRz(E)/Ra(E)の値は好ましくは12以上、60以下であり、より好ましくは14以上、50以下である。Rz(E)/Ra(E)の値をこの範囲とすることで、熱現像時の濃度ムラおよび経時での保存特性を改良することができる。
【0365】
また本発明の画像形成方法においてはRz(B)/Ra(B)の値は好ましくは25以上、65以下であり、より好ましくは30以上、60以下である。Rz(B)/Ra(B)の値をこの範囲とすることで、熱現像時の濃度ムラおよび経時での保存特性を改良することができる。前記した表面粗さについては以下の方法で行った。
【0366】
《表面粗さの評価》
熱現像の処理前の試料について、非接触3次元表面解析装置(WYKO社RST/PLUS)を用いて、下記に示す方法により測定した。
【0367】
1)対物レンズ:×10.0 中間レンズ:×1.0
2)測定範囲:463.4μm×623.9μm
3)ピクセルサイズ:368×238
4)フィルター:円筒補正と傾き補正
5)スムージング:ミディアムスムージング
6)スキャンスピード:Low
なおRa、Rz、Rtの定義はJIS表面粗さ(B0601−1994年)に従った。測定は10cm×10cmの各試料について、1cm間隔で碁盤目状に100分割し、各正方形領域の中心について測定を行い、100回の測定からその平均値を求めた。
【0368】
本発明では、マット剤を含有する層が最外層である場合が好ましい態様の一つである。すなわち、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光性層側、また支持体をはさみ感光性層の反対側に非感光性層を設けた場合にも、最外層に、表面粗さをコントロールする等のためにマット剤として有機または無機の粉末を用いることが好ましい。
【0369】
本発明において用いられる粉末としては、モース硬度が5以上の粉末を用いることが好ましい。粉末としては公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。無機質粉末としては、例えば、酸化チタン、窒化ホウ素、SnO2、SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、ザクロ石、ガーネット、マイカ、ケイ石、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(登録商標)等の粉末を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、SiO2、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、Cr23、マイカ等の無機粉末等であり、その中でもSiO2、α−Al23が好ましく、特に好ましいのはSiO2である。
【0370】
本発明において、前記粉末が例えば、表面処理されていることが好ましい。表面処理層形成は、無機質粉末素材を乾式粉砕後、水と分散剤を加え、湿式粉砕、遠心分離により粗粒分級が行われる。その後、微粒スラリーは表面処理槽に移され、ここで金属水酸化物の表面被覆が行われる。まず、所定量のAl、Si、Ti、Zr、Sb、Sn、Znなどの塩類水溶液を加え、これを中和する酸、またはアルカリを加えて、生成する含水酸化物で無機質粉末粒子表面を被覆する。副生する水溶性塩類はデカンテーション、濾過、洗浄により除去し、最終的にスラリーpHを調節して濾過し、純水により洗浄する。洗浄済みケーキはスプレードライヤーまたはバンドドライヤーで乾燥される。最後にこの乾燥物はジェットミルで粉砕され、製品になる。また、水系ばかりでなくAlCl3、SiCl4の蒸気を非磁性無機質粉末に通じ、その後水蒸気を流入してAl、Si表面処理を施すことも可能である。その他の表面処理法については、「Characterization of Powder Surfaces」,Academic Pressを参考にすることができる。
【0371】
本発明では、Si化合物またはAl化合物により表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理のなされた粉末を用いるとマット剤分散時の分散状態を良好にすることができる。前記SiまたはAlの含有量としては、前記粉末に対して、Siが0.1〜10質量%、Alが0.1〜10質量%であるのが好ましく、より好ましくはSiが0.1〜5質量%、Alが0.1〜5質量%であり、Siが0.1〜2質量%、Alが0.1〜2質量%であるのが特に好ましい。また、Si、Alの質量比がSi<Alであるのがよい。表面処理に関しては特開平2−83219号公報に記載された方法により行うことができる。尚、本発明における粉末の平均粒径とは、球状粉末においてはその平均直径を、針状粉末においてはその平均長軸長を、板状粉末においてはその板状面の最大の対角線の長さの平均値をそれぞれ意味し、電子顕微鏡による測定から容易に求めることができる。
【0372】
上記の有機または無機粉末は平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。
【0373】
感光性層側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は通常0.5〜8.0μm、好ましくは1.0〜6.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。
【0374】
添加量は最外層に用いられるバインダー量(架橋剤についてはバインダー量に含む)に対して通常1.0〜20質量%であり、好ましくは2.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜10質量%である。
【0375】
支持体をはさんで感光性層側とは反対側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常2.0〜15.0μm、好ましくは3.0〜12.0μmであり、より好ましくは4.0〜10.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(架橋剤についてはバインダー量に含む)に対して通常0.2〜10質量%であり、好ましくは0.4〜7質量%であり、より好ましくは0.6〜5質量%である。
【0376】
また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となる粉末である。ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
【0377】
{(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
有機または無機粉末の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前に有機または無機粉末を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0378】
(支持体)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられるが、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料における支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TAC)又はポリカーボネート(PC)フィルム等のプラスチックフィルムが好ましく、特に2軸延伸したPETフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0379】
帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくはバッキング層又は感光性層側の表面保護層、下引層等に含まれる。米国特許5,244,773号のカラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。中でも、本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。このことで、更に本発明の効果(特に熱現像処理時の搬送性)を高められることが判った。
【0380】
ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、又はこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、又、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更に又、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時に珪素化合物を添加してもよい。
【0381】
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号等に記載されている。更に又、特公昭59−6235号に記載の如く、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(酸化チタン等)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
【0382】
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用し易い。又、光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると、透明銀塩光熱写真ドライイメージング材料を形成することが可能となり大変好ましい。又、導電性金属酸化物が針状あるいは繊維状の場合は、その長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり、長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
【0383】
(構成層)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層である感光性層を有している。支持体上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。例えば、感光性層の上には保護層が、感光性層を保護する目的で設けられることが好ましく、又、支持体の反対の面には、銀塩光熱写真ドライイメージング材料間の、あるいは銀塩光熱写真ドライイメージング材料ロールにおける「くっつき」を防止するために、バックコート層が設けられる。
【0384】
これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては、感光性層よりもガラス転位点(Tg)が高く、擦傷や、変形の生じ難いポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
【0385】
尚、階調調整等のために、感光性層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の両側に1層以上設置してもよい。
【0386】
(スリップ層)
本発明において、スライドコータを使用して塗布を行う場合は支持体上に薄いスリップ層を、スリップ層、感光性層、感光性層上の保護層を同時重層塗布により設けることが好ましい。スリップ層は通常、有機銀塩およびバインダーを含む層やバインダーを含む層により非常に薄く形成され、スリップ層の乾燥膜厚Aと感光性層の乾燥膜厚BはA/Bが0.005〜0.10であることが好ましい。前記A/Bは好ましくは0.01〜0.07で、より好ましくは0.02〜0.06である。A/Bを0.005〜0.10の範囲とすることで塗布ムラや接着性を向上できる。スリップ層の乾燥膜厚Aは、0.1〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.7μm、特に好ましくは、0.3〜0.6μmである。
【0387】
バインダーとしてはポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂またはポリウレタンが用いられることが好ましい。ポリウレタンは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応から得られる。ポリオールとしては、一般にポリオールと多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが使用されている。したがって、極性基を有するポリエステルポリオールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレタンを合成することができる。本発明においては脂肪族や芳香環を有するポリエステルポリオール及び/又は環状炭化水素残基含有ポリエステルポリオールを用いて作られた脂肪族や芳香族ポリエステルポリウレタンを用いることが好ましい。
【0388】
ポリイソシアネートの例としては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、リジンイソシアネートメチルエステル(LDI)等が挙げられる。アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては例えばアクリロニトリル、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、3−シアノフェニルメタクリルアミド、4−シアノフェニルメタクリレート、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド等からなるホモポリマーやコポリマーが挙げられる。これらの中でも好ましいのはポリメチルメタクリレートである。
【0389】
有機銀塩およびバインダーを含む層に含まれるアクリル樹脂やポリウレタンの含有量は、有機銀塩およびバインダーを含む層に含まれる全バインダーに対して質量比で10〜90%、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。なお架橋剤はバインダーの中に含まれることとする。アクリル樹脂やポリウレタンの添加量をこの範囲とすることで支持体との接着性を格段に向上することができる。
【0390】
またスリップ層と感光性層を同時重層塗布した場合の塗布ムラの改良効果は感光性層の塗布速度が25m/分以上の時に顕著であり、特に30m/分以上、さらには35m/分以上と塗布速度が増加するにつれて改良の程度は増してくる。塗布速度は大きい方が生産性の点から好ましいが通常300m/分以下であり、200m/分以下とするのが塗布性を維持する点から好ましい。スリップ層は水系でも有機溶媒を使用する溶媒系でも良いが、感光性層が水系である場合は水系で、感光性層が有機溶媒系である場合は有機溶媒系である方が同時重層塗布を行ううえで好ましい。アクリル樹脂やポリウレタンを水系で使用する場合は水溶性のアクリル樹脂やポリウレタンを使用するか、水分散性のラテックスとして使用することが好ましい。
【0391】
(構成層の塗布)
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、感光性層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
【0392】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。
【0393】
上記の各種方法のうち、より好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感光性層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。銀塩光熱写真ドライイメージング材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
【0394】
尚、本発明において、塗布銀量は銀塩光熱写真ドライイメージング材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.4g/m2以下がより好ましく、0.7g/m2以上、1.2g/m2以下が特に好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には5〜15%が好ましい。
【0395】
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
【0396】
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
【0397】
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0398】
本発明においては、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。10〜150mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い銀塩光熱写真ドライイメージング材料となる。溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
【0399】
尚、銀塩光熱写真ドライイメージング材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0400】
(包装体)
以下において、本発明で好ましく用いられるシート状記録材料の包装方法およびシート状記録材料包装体について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0401】
本発明においては、裁断工程および/または包装工程を、クリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境において行うことが好ましい。クリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境において行うことで熱現像時の熱現像装置の機内汚染の程度を著しく改良することができる。裁断工程および/または包装工程を、クリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境において行うことで熱現像装置の機内汚染が改良されることの原因は不明であるが、例えば以下の理由が考えられる。熱現像時に裁断工程および/または包装工程から持ち込まれて感光材料に付着していた切り屑や塵埃が熱現像装置内のローラ等の搬送部材に付着し、そのことがきっかけとなり、感光材料の裁断面から脱落した切り屑がそこに蓄積してゆくことで機内汚染が発生してしまう。
【0402】
ここでいう米国連邦基準209dクラスとは、クリーンルームの規格を示すものである。米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境とは、粒子サイズ0.5μm以上の粒子の累積個数が10,000個/ft3(1ft3は28,320cm3である)以下であり、粒子サイズ5.0μm以上の粒子の累積個数が65個/ft3以下である環境をいう。
【0403】
このような条件を満たす環境はクリーンルーム内で形成することができるが、本発明の方法は必ずしもクリーンルーム内で実施する場合に限定されるものではない。すなわち、シート状記録材料の裁断や包装を行う装置全体をクリーンルーム内に入れて加工することは必ずしも必要とされず、例えば、裁断から包装に至る装置内に、シート状記録材料に気流をあてる機構を設けておき、シート状記録材料がクリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境に保たれるようにして加工することもできる。
【0404】
クリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境に保つ必要があるのは、裁断工程か包装工程の少なくとも一方である。好ましくは、裁断工程の環境が米国連邦基準209dクラス10,000以下である場合であり、より好ましくは裁断工程と包装工程がともに米国連邦基準209dクラス10,000以下である場合である。
【0405】
本明細書でいう裁断工程とは、シート状記録材料を所定のサイズに切断する工程を意味し、通常は使用時のサイズ(A4、半切など)に切断する工程をさす。切断回数は特に制限されず、1回であっても複数回であってもよい。また、縦方向にまとめて切断して一端ストライプ状の記録材料を形成しておき、その後に横方向に切断して所定のサイズにしてもよい。さらに切断時に用いられる切断手段や切断装置についても特に制限されない。
【0406】
本明細書でいう包装工程とは、シート状記録材料そのものを画像記録装置に装着する場合は当該シート状記録材料を包装するステップを少なくとも含む工程を意味するものであり、シート状記録材料を装填した装填物を画像記録装置に装着する場合は当該シート状記録材料装填物を包装するステップを少なくとも含む工程を意味するものである。すなわち、画像記録装置に装着するシート状記録材料またはシート状記録材料装填物を包装する工程を意味する。包装手段や包装装置については特に制限されない。
【0407】
裁断工程から包装工程に至る間は、必ずしもクリーン度は米国連邦基準209dクラス10,000以下である必要はないが、米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境に維持しておくことが好ましい。また、製造後のシート状記録材料を裁断するまでの間についても、同様である。裁断工程におけるクリーン度が米国連邦基準209dに準じた計測方法でクラス7,000以下であることが好ましく、4,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらにより好ましく、500以下であることが特に好ましい。包装工程におけるクリーン度は米国連邦基準209dに準じた計測方法でクラス7,000以下であることが好ましく、4,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらにより好ましく、500以下であることが特に好ましい。
【0408】
本発明において、シート状記録材料を包装するために用いる包装材料は、粉塵を発生しにくいものの中から選択することが好ましい。特に、包装材料に由来する粉塵によってクリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境が維持できなくなる場合は、そのような包装材料を選択しないことが好ましい。
【0409】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を保存する場合は、経時での濃度変化やカブリ発生を防止するため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m2・day(尚、1atmは1.01325×105Paである)以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は0.01g/m2・day(40℃90%RH)以下(JIS Z0208カップ法による)であることが好ましく、より好ましくは0.005g/m2・day(40℃90%RH)以下、さらに好ましくは0.001g/m2・day(40℃90%RH)以下である。
【0410】
銀塩光熱写真ドライイメージング材料用の包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号、特開2000−206653号、特開2000−235241号、特開2002−062625号、特開2003−015261号、特開2003−057790号、特開2003−084397号、特開2003−098648号、特開2003−098635号、特開2003−107635号、特開2003−131337号、特開2003−146330号、特開2003−226439、特開2003−228152号公報明細書に記載されている包装材料である。また包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。また包装体内の相対湿度は10%以上60%以下、好ましくは40%以上、55%以下とするのが良い。
【実施例】
【0411】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を示す。
【0412】
実施例1
《下引加工した写真用支持体の作製》
光学濃度0.150(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65で測定)に下記青色染料で着色した2軸延伸熱固定した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、8W・分/m2のコロナ放電処理を施した写真用支持体に、下引加工を行った。即ち、この写真用支持体の一方の面に下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥して感光性層(画像形成層)側下引層を形成した(下引下層A−1という)。また、反対側の面にバッキング層下引層として下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させてバッキング層側に帯電防止機能を持つ下引導電層(下引下層B−1という)を塗設した。下引下層A−1と下引下層B−1の上表面に、8W・分/m2のコロナ放電を施し、下引下層A−1の上には下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚0.03μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層A−2とし、下引下層B−1の上には下記下引塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、更に123℃で2分間支持体を熱処理し25℃、50%RHの条件下で巻き取り、下引済み試料を作製した。
【0413】
【化19】


【0414】
[水性ポリエステルA−1溶液の調製]
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム・一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
【0415】
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を合成した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33、平均粒径は40nm、Mw=80000〜100000であった。
【0416】
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルA−1を150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
【0417】
[変性水性ポリエステルB−1〜2溶液の調製]
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
【0418】
ビニル変性比率を36質量%にし、変性成分をスチレン:グリシジルメタクリレート:アセトアセトキシエチルメタクリレート:n−ブチルアクリレート=39.5:40:20:0.5にした以外は同様にして、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−2溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
【0419】
[アクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3の作製]
乳化重合により、表1に示すモノマー組成を有するアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3を合成した。固形分濃度は全て30質量%とした。
【0420】
【表1】


【0421】
[感光性層側下引下層用塗布液a−1]
アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 70.0g
エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%)
5.0g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0422】
《感光性層側下引上層用塗布液a−2》
変性水性ポリエステルB−2(18質量%) 30.0g
界面活性剤(A) 0.1g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50)
0.04g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0423】
[バッキング層側下引下層用塗布液b−1]
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 30.0g
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 7.6g
SnO2ゾル 180g
(特公昭35−6616号公報の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを固形分濃度が10質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10に調整したもの)
界面活性剤(A) 0.5g
PVA−613(クラレ(株)製 PVA)5質量%水溶液 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0424】
[バッキング層側下引上層用塗布液b−2]
変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 145.0g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.2g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0425】
なお、前記下引層を施した支持体の下引層B−2上には下記の組成のバックコート層、バックコート層保護層を塗設した。
【0426】
【化20】


【0427】
〈バックコート層塗布液の調製〉
メチルエチルケトン(MEK)830gを撹拌しながら、セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP482−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社:VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。次に、溶解した液に0.30gの下記赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したフッ素系界面活性剤(旭硝子社製:サーフロンKH40)4.5gとフッ素系界面活性剤(大日本インキ社製:メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌しバックコート層塗布液を調製した。
【0428】
【化21】


【0429】
〈バックコート層保護層(表面保護層)塗布液の調製〉
バックコート層保護層についても下記の組成比率でバックコート層塗布液と同様にして調製した。シリカについてはMEKに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、最後に添加した。
【0430】
セルロースアセテートプロピオネート(10%MEK溶液) 15g
(Eastman Chemical社製:CAP482−20)
単分散度15%の単分散3次元架橋した球状PMMA(ポリメチルメタクリレート)
(平均粒径:10μm) 0.03g
917O(CH2CH2O)22917 0.075g
フッ素系界面活性剤SF−17 0.01g
フッ素系ポリマー(FM−1) 0.05g
潤滑剤(表2に記載の種類) 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
【0431】
【化22】


【0432】
〈感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A1の調製〉
(A1)
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物(AO−1)の10%メタノール水溶液 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる。
【0433】
(B1)
0.67モル/L硝酸銀水溶液 2635ml
(C1)
臭化カリウム 50.69g
沃化カリウム 2.66g
水で660mlに仕上げる。
【0434】
(D1)
臭化カリウム 151.6g
沃化カリウム 7.67g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム:K2(IrCl6)(1%水溶液)
0.93ml
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 0.004g
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸カリウム 0.004g
水で1982mlに仕上げる。
【0435】
(E1)
0.4モル/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
(F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる。
【0436】
(G1)
56%酢酸水溶液 18.0ml
(H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる。
【0437】
AO−1:HO(CH2CH2O)n〔CH(CH3)CH2O〕17(CH2CH2O)mH(
m+n=5〜7)。
【0438】
特公昭58−58288号に示される混合撹拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)全量を20℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し核形成を行った。1分後に溶液(F1)の全量を添加した。この間、pAgの調整を(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、20℃、pAg8.09に制御しながら、14分15秒かけて同時混合法により添加した。5分間撹拌した後、40℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀粒子乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A1を得た。
【0439】
この乳剤は、平均粒径25nm、粒径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
【0440】
〔感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A2の調製〕
上記感光性ハロゲン化銀乳剤A1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンの5%水溶液を40ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤A2を調製した。なお、この乳剤中の粒子は平均粒径25nm、粒径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
【0441】
〔感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A3の調製〕
上記感光性ハロゲン化銀乳剤A1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、下記の化合物(TPPS)の0.1%エタノール溶液を4ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A3を調製した。
【0442】
なお、この乳剤中の粒子は平均粒径25nm、粒径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
【0443】
【化23】


【0444】
〈感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B1の調製〉
同時混合法による添加時の温度を45℃に変更した以外は感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A1の調製と同様に行った。この乳剤中の粒子は平均粒径55nm、粒径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
【0445】
〈感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B2の調製〉
上記感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、前記の化合物(TPPS)の0.1%エタノール溶液を4ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲン化銀粒子乳剤B2を調製した。この乳剤中の粒子は平均粒径55nm、粒径の変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
【0446】
〈粉末有機銀塩の調製〉
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸カリウム溶液を得た。上記の脂肪酸カリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A1、A2、A3、B1、B2(種類と添加量は表2に記載)と純水450mlを添加し5分間撹拌した。次に1モル/Lの硝酸銀溶液468.4mlを2分間かけて添加し、10分間撹拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機熱風温度の運転条件(入口65℃、出口40℃)により含水率が0.1%になるまで乾燥して乾燥済みの粉末有機銀塩を得た。尚、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
【0447】
〈予備分散液の調製〉
感光性層(画像形成層)のバインダーとして、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg62℃、−SO3K基を0.2ミリモル/g含む)14.57gをMEK1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、上記粉末有機銀塩500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。
【0448】
〈感光性乳剤分散液の調製〉
予備分散液をポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液を調製した。
【0449】
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
【0450】
〈赤外増感色素液Aの調製〉
9.6mgの赤外増感色素1、9.6mgの赤外増感色素2、1.488gの2−クロロ安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液Aを調製した。
【0451】
〈添加液aの調製〉
還元剤(表2に記載の化合物と量)、0.159gの一般式(YB)の黄色発色性ロイコ染料(YA−1)、0.159gのシアン発色性ロイコ染料(CLA−4)、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1をMEK110.0gに溶解し、添加液aとした。
【0452】
〈添加液bの調製〉
1.56gのカブリ防止剤2、0.5gのカブリ防止剤3、0.5gのカブリ防止剤4、0.5gのカブリ防止剤5、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液bとした。
【0453】
〈添加液cの調製〉
省銀化剤(SE1−3)0.05g、をMEK39.95gに溶解し添加液cとした。
【0454】
〈添加液dの調製〉
0.1gの強色増感剤1をMEK9.9gに溶解し、添加液dとした。
【0455】
〈添加液eの調製〉
0.5gのp−トルエンチオスルホン酸カリウム、0.5gのカブリ防止剤6をMEK9.0gに溶解し、添加液eとした。
【0456】
〈添加液fの調製〉
1.0gのビニルスルホン〔(CH2=CH−SO2CH22CHOH〕を含有するカブリ防止剤をMEK9.0gに溶解し、添加液fとした。
【0457】
〈感光性層塗布液の調製〉
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液(含有する感光性ハロゲン化銀粒子乳剤A1、A2、A3、B1、B2の種類と添加量は、表2を参照。)の50g及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にカブリ防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加えて1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記の有機化学増感剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分撹拌した。続いて、安定剤液167μlを添加して10分間撹拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、0.5gの添加液d、0.5gの添加液e、0.5gの添加液f、SO3K基含有ポリビニルブ
チラール(Tg62℃、−SO3K基を0.2ミリモル/g含む)9.31g、SO3Na基含有ポリウレタン(東洋紡製 UR8300 Tg23℃)を固形分として4.0g添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。更に撹拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液b、4.0gの添加液cを順次添加し撹拌することにより感光性層塗布液を得た。
【0458】
安定剤液を初めとする各塗布液、感光性層塗布液の調製に用いた添加剤の化学構造を以下に示す。
【0459】
【化24】


【0460】
【化25】


【0461】
〈感光性層保護層下層(表面保護層下層)塗布液の調製〉
アセトン 5g
MEK 21g
セルロースアセテートプロピオネート 2.3g
(Eastman Chemical社製:CAP−141−20、ガラス転移温度Tg=190℃)
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 0.035g
〈感光性層保護層上層(表面保護層上層)塗布液の調製〉
アセトン 5g
メチルエチルケトン 21g
セルロースアセテートプロピオネート 2.3g
(Eastman Chemical社製:CAP−141−20ガラス転移温度Tg=190℃)
パラロイドA−21(ロームアンドハース社製) 0.08g
ベンゾトリアゾール 0.03g
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
単分散度15%単分散球状3次元架橋したPMMA 0.40g
(ポリメチルメタクリレート 平均粒径 1.0μm)
単分散度15%単分散球状3次元架橋したPMMA 0.10g
(ポリメチルメタクリレート 平均粒径 4.5μm)
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 0.035g
917O(CH2CH2O)22917 0.01g
フッ素系界面活性剤(表2に記載の種類) 0.005g
フッ素系ポリマー(FM−1:前出) 0.01g
潤滑剤(表2に記載の種類) 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
なお感光性層保護層上層塗布液、感光性層保護層下層塗布液については上記の組成比率でバックコート層塗布液の調製と同様な方法によって行った。シリカについてはバックコート層保護層塗布液の場合と同様にMEKに1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、最後に添加、撹拌することにより感光性層保護層上層塗布液、感光性層保護層下層塗布液を得た。
【0462】
〈スリップ層塗布液の調製〉
前記感光性層塗布液をMEKで固形分濃度が10.5質量%までディゾルバ型ホモジナイザを用いて希釈した。その後、塗布液中のバインダー量に対して30質量%のポリメチルメタクリレートをMEK溶液に溶解して添加後、MEKを用いて固形分濃度が10.5質量%となるようにディゾルバ型ホモジナイザを用いて希釈し、スリップ層塗布液を調製した。
【0463】
〈光熱写真感光材料(銀塩光熱写真ドライイメージング材料)の作製〉
前記のように調製したバックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ1.5μmになるように、下引上層B−2上に押出しコーターにて塗布速度50m/minにて塗布を行った。尚、乾燥は乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
【0464】
前記スリップ層塗布液と感光性層塗布液と感光性層保護層(表面保護層)塗布液をスライドコーターを用いて塗布速度50m/minにて、下引上層A−2上に同時重層塗布することにより表2に示す光熱写真感光材料試料101〜127を作製した。塗布は、スリップ層の乾燥膜厚0.3μm、感光性層の乾燥膜厚10.5μm、感光性層保護層(表面保護層)は乾燥膜厚で3.0μm(表面保護層上層1.5μm、表面保護層下層1.5μm)になる様に行った後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて10分間乾燥を行った。
【0465】
また試料101〜117、121〜127について表面粗さを測定したところRz(E)/Rz(B)=0.40、Rz(B)=6.5μm、Rz(E)=2.6μmであった。Ra(E)は120nm、Ra(B)は107nmであった。
【0466】
試料118について表面粗さを測定したところRz(E)/Rz(B)=0.32、Rz(B)=3.7μm、Rz(E)=1.2μmであった。またRa(E)は81nm、Ra(B)は76nmであった。
【0467】
試料119について表面粗さを測定したところRz(E)/Rz(B)=0.70、Rz(B)=5.0μm、Rz(E)=3.5μmであった。またRa(E)は103nm、Ra(B)は119nmであった。
【0468】
試料120について表面粗さを測定したところRz(E)/Rz(B)=0.59、Rz(B)=7.3μm、Rz(E)=4.3μmであった。またRa(E)は134nm、Ra(B)は136nmであった。
【0469】
試料101〜127について、黄色発色性ロイコ染料による極大吸収波長420nmの吸収ピークが認められた。また試料101〜127について、シアン発色性ロイコ染料による極大吸収波長620nmの吸収ピークが認められた。
【0470】
試料117については、試料102における、粉末有機銀塩Aの調製において、ベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gのかわりにベヘン酸259.4g、アラキジン酸0.5gを用いたこと以外は試料102と同様にして試料を作製した。
【0471】
試料118については、試料102における、バックコート層保護層塗布液の調製において、単分散度15%の単分散3次元架橋した球状PMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径:10μm)0.03gに代えて、球状PMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径:6μm)0.02gを使用し、かつ〈感光性層保護層上層(表面保護層上層)塗布液の調製〉において単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径1.0μm)を添加せず、単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径4.5μm)0.10gに代えて、単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径2.8μm)0.10gを使用したこと以外は試料102と同様にして試料を作製した。
【0472】
試料119については、試料102における、バックコート層保護層塗布液の調製において、単分散度15%の単分散3次元架橋した球状PMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径:10μm)0.03gに代えて、球状PMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径8μm)0.03gを使用し、かつ〈感光性層保護層上層(表面保護層上層)塗布液の調製〉において単分散度15の%単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径1.0μm)0.40gに代えて単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径1.0μm)を0.30g添加し、単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径4.5μm)0.10gに代えて、単分散度15%単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径3.7μm)0.10gを使用したこと以外は試料102と同様にして試料を作製した。
【0473】
試料120については、試料102における、バックコート層保護層塗布液の調製において、単分散度15%の単分散3次元架橋した球状PMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径10μm)0.03gに代えて、球状PMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径12μm)0.03gを使用し、かつ〈感光性層保護層上層(表面保護層上層)塗布液の調製〉において単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径1.0μm)0.40gに代えて単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径1.0μm)を0.50g添加し、単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径4.5μm)0.10gに代えて、単分散度15%の単分散球状3次元架橋したPMMA(ポリメチルメタクリレート、平均粒径5.5μm)0.10gを使用したこと以外は試料102と同様にして試料を作製した。
【0474】
試料121については、試料102において感光性層の乾燥膜厚を10.5μmから13.0μmへ変更した以外試料102と同様にして試料を作製した。
【0475】
試料122については、試料102において感光性層の乾燥膜厚を10.5μmから17.0μmへ変更した以外試料102と同様にして試料を作製した。
【0476】
〈露光及び熱現像処理〉
上記のように作製した光熱写真感光材料試料101〜127を半切サイズ(34.5cm×43.0cm)に加工した後、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
【0477】
(包装材料)
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3%を含むポリエチレン50μm、酸素透過率:25℃1.013×105Paにおいて1日あたり0.02ml/m2、水分透過率:0.001g/m2・day(40℃90%RH)のバリア袋(JIS Z0208 カップ法による)。紙トレイを使用。
【0478】
(試料の評価)
〈露光及び熱現像処理〉
上記のように作製した光熱写真感光材料試料101〜127を、図1に示した熱現像装置(最大50mW出力の810nm半導体レーザ搭載、設置面積0.35m2)にて露光と同時に熱現像(図1の51a(搬送方向の長さ75mm)の設定温度を109℃、51b(搬送方向の長さ175mm)の設定温度を121℃にそれぞれ設定し、それぞれ3秒、7秒で合計10秒接触するように搬送)した。ここで、「露光と同時に熱現像する」とは、銀塩光熱写真ドライイメージング材料からなる一枚のシート感光材料で、一部が露光されながら、同時に既に露光がなされたシートの一部分で現像が開始されることを意味する。露光部と現像部との距離は12cmであった。この時の感光材料供給装置部から画像露光装置部までの搬送速度、画像露光部での搬送速度、熱現像部での搬送速度はそれぞれ25mm/秒で行った。また最下部に位置する感光材料ストックトレイの底面の位置は床面から45cmの高さであった。また熱現像処理に要した時間(感光材料がトレイ部でピックアップされてから排出されるまでにかかる時間)は45秒であった。(連続処理の場合は熱現像のインターバル時間は4秒。)。露光は最高出力から1段ごとに露光エネルギー量をlogE0.05ずつ減じながら階段状に行った。
【0479】
画像形成実験128は、熱現像部での搬送速度を25mm/秒から40mm/秒へ変更し、熱現像の設定温度を変更して表3に示す画像濃度としたこと以外は、画像形成実験102(試料102を使用)と同様に露光・現像処理を行った。
【0480】
画像形成実験129は、熱現像部での搬送速度を25mm/秒から80mm/秒へ変更し、熱現像の設定温度を変更して表3に示す画像濃度としたこと以外は、画像形成実験102(試料102を使用)と同様に露光・現像処理を行った。
【0481】
画像形成実験130は、熱現像部での搬送速度を25mm/秒から110mm/秒へ変更し、熱現像の設定温度を変更して表3に示す画像濃度としたこと以外は、画像形成実験102(試料102を使用)と同様に露光・現像処理を行った。
【0482】
画像形成実験131は、熱現像部での搬送速度を25mm/秒から18mm/秒へ変更し、熱現像の設定温度を変更して表3に示す画像濃度としたこと以外は、画像形成実験102(試料102を使用)と同様に露光・現像処理を行った。
【0483】
《平均階調Ga値》
得られたセンシトメトリー試料をPDM65透過濃度計(コニカ社製)を用いて濃度測定し、測定結果をコンピューター処理して特性曲線を得た。この特性曲線から光学濃度0.25〜2.5の平均階調Ga値を求めた。
【0484】
《熱現像装置の機内汚染》
図1に示す熱現像装置を用いて25℃、相対湿度65%の環境下でシートフィルム5000枚を熱現像処理した後に熱現像装置内の搬送ローラに付着した汚れを目視で評価した。ローラ表面の汚染のない最も良いレベルを5、最も悪いレベル(ローラ全面に汚染が発生)を1とし、0.5きざみで評価を行った。
【0485】
《低湿下でのフィルム搬送性》
図1に示す熱現像装置を用いて10℃、相対湿度15%の環境下でシートフィルムを各100枚処理してフィルム搬送を行い、熱現像処理を行い、搬送不良の発生した回数(回/100枚)をカウントした。
【0486】
《表面粗さの評価》
熱現像の処理前の試料について、非接触3次元表面解析装置(WYKO社RST/PLUS)を用いて、下記に示す方法により測定した。
【0487】
1)対物レンズ:×10.0 中間レンズ:×1.0
2)測定範囲:463.4μm×623.9μm
3)ピクセルサイズ:368×238
4)フィルター:円筒補正と傾き補正
5)スムージング:ミディアムスムージング
6)スキャンスピード:Low
なおRa、Rz、Rtの定義はJIS表面粗さ(B0601)に従った。測定は10cm×10cmの各試料について、1cm間隔で碁盤目状に100分割し、各正方形領域の中心について測定を行い、100回の測定からその平均値を求めた。
【0488】
以上、結果も併せて表2、表3に示す。
【0489】
【表2】


【0490】
*1):(RD1−47)/(RD2−6)=4.20/23.78
LB−1:ステアリン酸イソトリデシル
LB−2:パルミチン酸イソトリデシル
LB−3:グリセリントリオレート
LB−4:グリセリントリミリステート
LB−5:グリセリントリラウレート
LB−6:トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン
A:C817SO3Li
B:ステアリン酸ブチル
C:オレイン酸オレイル
【0491】
【表3】


【0492】
表2、表3から明らかなように、ヒートプレートを2枚使用したコンパクトイメージャーを使用して迅速に熱現像を行った場合でも本発明の潤滑剤を使用することで、熱現像装置の画像濃度が高く、機内汚染、フィルム搬送性に優れていることがわかる。
【0493】
また還元剤として一般式(RD1)に示す高活性な還元剤を用いること、感光性層の乾燥膜厚を9μm以上、16μm以下であるようにすることで改良の効果が顕著であった。
【0494】
また熱現像部での搬送速度を20mm/秒以上、100mm/秒以下で熱現像することで改良の効果が顕著にみられた。
【0495】
また、試料102において、紙トレイを上げ底構造とし、トレイ下部にできた空間にシリカゲルを封入した、シリカゲル入り紙トレイを使用したところ、湿度変動に伴う濃度変動が向上し、改良効果が認められた。
【0496】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図1の画像形成装置10は、医用画像データを入力させることで、医用画像をフィルムに形成し出力することができる医療用レーザイメージャーに構成可能である。
【0497】
また、図1の画像形成装置10は、全体がデスクトップ型の比較的コンパクトな構成であったが、本発明のシートフィルム搬送装置は、かかるデスクトップ型の画像形成装置にだけ適用できるのではなく、例えば、スタンドアロンタイプ(自立型)等の比較的大型の熱現像方式の画像形成装置にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0498】
【図1】本発明に係る熱現像装置の実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】熱現像装置におけるヒートプレートの構成の一例を模式的に示した図である。
【図3】本発明に係る脂肪酸銀塩製造装置の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0499】
21、22、23、26 タンク
24、25 混合装置
27 流量計
28 ポンプ
10 熱現像装置
51a、51b ヒートプレート
C 熱現像部
F 熱現像感光材料
H 熱線(発熱部材)
【出願人】 【識別番号】303000420
【氏名又は名称】コニカミノルタエムジー株式会社
【出願日】 平成18年10月4日(2006.10.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−90131(P2008−90131A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−272700(P2006−272700)