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【発明の名称】 画像記録媒体
【発明者】 【氏名】竹田 亨

【氏名】丁子 英樹

【氏名】田中 史記

【氏名】前田 重雄

【要約】 【課題】構造が簡単で低消費電力であり、且つ高コントラストな表示が可能な、画像の記録及び消去が繰り返し行える画像記録媒体を提供する

【構成】画像記録媒体1は、透明基板2上に複数の画素3がマトリクス状に配置されている。各画素3の周縁に沿って格子状に立設された支柱4の上面には遮光性の光屈曲性フィルム5の一辺が固定されている。画像記録媒体1に画像が記録される前は、光屈曲性フィルム5は透明基板2と平行に伸張しており、各画素3は光を透過できない初期状態となっている。この初期状態から光屈曲性フィルム5を屈曲させる第1の波長の光を所定の画素3に照射すると、照射された画素3内の光屈曲性フィルム5が屈曲して光の透過が可能となり画像が記録される。画像を消去する場合は、光屈曲性フィルム5を元の状態に復元させる第2の波長の光を照射することにより、全ての画素3を初期状態に戻す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の画素をマトリクス状に配置した画像記録媒体において、
前記基板は可撓性の透明基板であり、該透明基板上には画素の周縁に沿って遮光性の支柱が格子状に形成されており、該支柱の先端に一部を固定された遮光性の光屈曲性フィルムを画素毎に有するとともに、該光屈曲性フィルムの表面を覆う透明な可撓性の保護層が設けられており、
前記光屈曲性フィルムを前記支柱に沿って屈曲させる第1の波長の光を所定の画素に照射することにより、光透過領域と遮光領域とを形成して画像を記録するとともに、前記光屈曲性フィルムを元の状態に伸張させる第2の波長の光を照射することにより、画像の記録が消去された初期状態に復元可能としたことを特徴とする画像記録媒体。
【請求項2】
基板上に複数の画素をマトリクス状に配置した画像記録媒体において、
前記基板は透明基板であり、該透明基板上には画素の周縁に沿って格子状の支柱が形成されており、該支柱の先端に一部を固定された遮光性の光屈曲性フィルムを画素毎に備え、照射される光の波長に応じて前記光屈曲性フィルムが可逆的に屈曲及び復元することにより、画像の記録及び消去を可能としたことを特徴とする画像記録媒体。
【請求項3】
前記光屈曲性フィルムは、前記支柱に沿って屈曲することを特徴とする請求項2に記載の画像記録媒体。
【請求項4】
前記支柱は、遮光性材料で形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像記録媒体。
【請求項5】
前記光屈曲性フィルムの表面を覆う透明な保護層が設けられることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の画像記録媒体。
【請求項6】
前記透明基板、前記支柱、及び前記保護層は、可撓性材料で形成されることを特徴とする請求項5に記載の画像記録媒体。
【請求項7】
前記光屈曲性フィルムは、フォトクロミック材料に他の樹脂材料を混入して形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像記録媒体。
【請求項8】
前記光屈曲性フィルムは、フォトクロミック材料で形成されたフィルムに他の樹脂材料で形成されたフィルムを貼り合わせたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の記録及び消去が繰り返し可能な、電子ペーパー等の画像記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、不揮発性を備えたフレキシブルな画像表示デバイスとして、情報の記録及び消去が可能な、いわゆる電子ペーパー等の画像記録媒体の開発が盛んに行われている。このような電子ペーパーとしては、白色や黒色の粒子を電界によって基板の表裏方向に移動させることで表示色を切り換える粒子移動型と、光を透過するか反射するかの2つの状態で双安定な、特殊な液晶分子の性質を利用したコレステリック液晶型とが実用段階に入っている。
【0003】
しかし、粒子移動型やコレステリック液晶型の電子ペーパーでは、上記のように情報の記録及び消去に電圧等の電気エネルギーを使用する。そのため、基板側には電極やTFT(薄膜トランジスタ)等の能動素子、及びそれらに電力を供給する回路や電源が必要となり、記録媒体の構造が複雑化してしまう。また、光を透過させる部分に粒子や液晶等の何らかの媒体が介在するため、非透過部分とのコントラストが低下するという問題点があった。
【0004】
そこで、低消費電力で構造が簡単な情報の記録及び消去方法が提案されており、例えば特許文献1には、光照射によって屈折率が可逆的に変化するフォトクロミック材料を用いた光機能素子が開示されており、特許文献2には、光照射された照射部位と光照射されなかった非照射部位とで吸収スペクトルの異なるフォトクロミックシートを記録媒体として用いた記録装置及び記録方法が開示されている。また、特許文献3及び4には、光照射により可逆的に屈曲及び復元する光応動性フィルムが開示されており、光学素子、表示素子へ利用できる旨が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の方法においても、屈折率の差によって表示部分(画像)と非表示部分(背景部分)とを区別するため、表示の高コントラスト化には限界があった。また、特許文献3及び4には、光応動性フィルムの具体的な利用方法や利用例は何ら記載されていなかった。
【特許文献1】特開2000−47270号公報
【特許文献2】特開2003−186142号公報
【特許文献3】特開2002−256031号公報
【特許文献4】特開2005−255805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、構造が簡単で低消費電力であり、且つ高コントラストな表示が可能な画像記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、可撓性の透明基板上に複数の画素がマトリクス状に配置され、画素の周縁に沿って遮光性の支柱が格子状に形成されており、該支柱の先端に一部を固定された遮光性の光屈曲性フィルムを画素毎に有するとともに、該光屈曲性フィルムの表面を覆う透明な可撓性の保護層が設けられており、前記光屈曲性フィルムを前記支柱に沿って屈曲させる第1の波長の光を所定の画素に照射することにより、光透過領域と遮光領域とを形成して画像を記録するとともに、前記光屈曲性フィルムを元の状態に伸張させる第2の波長の光を照射することにより、画像の記録が消去された初期状態に復元可能とした画像記録媒体である。
【0008】
また、本発明は、透明基板上に複数の画素がマトリクス状に配置され、画素の周縁に沿って格子状の支柱が形成されており、該支柱の先端に一部を固定された遮光性の光屈曲性フィルムを画素毎に備え、照射される光の波長に応じて前記光屈曲性フィルムが可逆的に屈曲及び復元することにより、画像の記録及び消去を可能とした画像記録媒体である。
【0009】
また本発明は、上記構成の画像記録媒体において、前記光屈曲性フィルムは、前記支柱に沿って下向きに屈曲するようにしたことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像記録媒体において、前記支柱は、遮光性材料で形成されることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像記録媒体において、前記光屈曲性フィルムの表面を覆う透明な保護層が設けられることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像記録媒体において、前記透明基板、前記支柱及び前記保護層は、可撓性材料で形成されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像記録媒体において、前記光屈曲性フィルムは、フォトクロミック材料に他の樹脂材料を混入して形成されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像記録媒体において、前記光屈曲性フィルムは、フォトクロミック材料で形成されたフィルムに他の樹脂材料で形成されたフィルムを貼り合わせて形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、光屈曲性フィルムを支柱に沿って可逆的に屈曲及び復元させることで画像の記録及び消去を繰り返し行うことができるフレキシブルな画像記録媒体となる。また、画像の記録及び消去時にのみ所定の波長の光を照射するだけで高コントラストの画像が記録され、画像の表示には電気エネルギーが不要となる。さらに、遮光性の支柱により隣接する画素への光リークを防止して正確な表示が可能となる。光屈曲性フィルムは透明な保護層で覆われるため、媒体の表面を平滑にするとともに、光屈曲性フィルム及び画素内への埃や汚れの付着を防止することができる。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、光エネルギーによる光屈曲性フィルムの可逆的な屈曲及び復元を用いて画像の記録及び消去を繰り返し行うことができる。また、画像の記録及び消去時にのみ所定の波長の光を照射するだけで高コントラストの画像が記録され、記録された画像の維持には電気エネルギーが不要となる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像記録媒体において、光屈曲性フィルムが支柱に沿って下向きに屈曲することにより、屈曲した後の光屈曲性フィルムが画素を透過する光路を遮るおそれがなくなる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2又は第3の構成の画像記録媒体において、支柱が遮光性材料で形成されることにより、隣接する画素への照射光のリークを防止して、高精細な画像の記録が可能となる。
【0019】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第2乃至第4のいずれかの構成の画像記録媒体において、光屈曲性フィルムの表面を覆う透明な保護層を設けることにより、媒体表面を平滑にするとともに光屈曲性フィルムを埃や汚れから効果的に保護する。また、画素内への埃や汚れの侵入を防止して画素の光透過度の低下を抑制する。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の画像記録媒体において、透明基板、支柱及び保護層を可撓性材料で形成することにより、折り畳んでの持ち運びや、曲面に沿わせての設置が可能なフレキシブルな画像記録媒体となる。
【0021】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の画像記録媒体において、フォトクロミック材料に他の樹脂材料を混入して光屈曲性フィルムを形成することにより、光屈曲性フィルムの反応性を調整して記録された画像の室内光による劣化を防止することができる。
【0022】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の画像記録媒体において、フォトクロミック材料で形成されたフィルムに他の樹脂材料で形成されたフィルムを貼り合わせて光屈曲性フィルムを形成することにより、光屈曲性フィルムの反応性を調整して記録された画像の室内光による劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1(a)は本発明の画像記録媒体の部分平面図であり、図1(b)は画像記録媒体の部分断面図(図1(a)のAA′断面)である。画像記録媒体1は、透明基板2上に複数の矩形状の画素3がマトリクス状に配置されている。なお、説明の便宜のため、図1ではマトリクスの行方向若しくは列方向の5つの画素のみを示している。
【0024】
図1に示すように、支柱4は各画素3の周縁に沿って格子状に立設されており、支柱4の先端には遮光性の光屈曲性フィルム5の一辺が固定されている。6は画像記録媒体1の表面を保護するための透明な保護層であり、光屈曲性フィルム5に積層されている。この保護層6は光屈曲性フィルム5の表面には固定されておらず、光屈曲性フィルム5が下方向に自由に屈曲可能となっている。なお、図1(a)では保護層6は記載を省略している。
【0025】
画像記録媒体1に画像が記録される前は、光屈曲性フィルム5は図1のように透明基板2と平行に伸張しており、各画素3は光を透過できない状態(初期状態)となっている。この初期状態から所定の画素3に光屈曲性フィルム5を屈曲させる所定の波長(以下、第1の波長という)の光を照射すると、照射された画素3内の光屈曲性フィルム5が屈曲して光透過領域9(図3参照)が形成され、光が照射されない遮光領域10(図3参照)との組み合わせにより画像の記録が可能となる。また、記録された画像を消去する場合は、光屈曲性フィルム5を元の状態に復元させる所定の波長(以下、第2の波長という)の光を照射することにより、全ての画素3を初期状態に戻す。
【0026】
支柱4の材質としては特に制限はなく、金属や樹脂等の材料を適宜用いることができるが、支柱4を透明材料で形成した場合、画像を記録する際に隣接する画素3から第1の波長の光がリークして、遮光領域となるべき画素3の光屈曲性フィルム5まで屈曲してしまうおそれがある。そのため、支柱4は遮光性の材料で形成することが好ましい。
【0027】
光屈曲性フィルム5の材質としては、所定の波長の光に反応してトランス−シス光異性化若しくは開環−閉環光異性化しうるフォトクロミック材料が用いられ、特に屈曲時及び復元時に照射する光の波長が離れており、且つ異性化による分子形状の変化が大きいアゾベンゼン構造を有する化合物が好適に用いられる。アゾベンゼン構造を有する材料を用いて光屈曲性フィルム5を形成した場合、第1の波長は300〜400nm、第2の波長は第1の波長よりも長波長側の500〜650nm程度となる。
【0028】
透明基板2及び保護層6としては、ガラス板や、アクリル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂板、透明樹脂シート等が用いられるが、可撓性の透明樹脂シートを用い、さらに支柱4も可撓性材料で形成した場合、折り畳みや湾曲が可能なフレキシブルな画像記録媒体となり、持ち運び性が向上するとともに画像記録媒体の曲面への装着が可能となるため好ましい。また、光屈曲性フィルム5の屈曲及び復元性に影響を及ぼさないように、透明基板2及び保護層6のうち光照射される側を、第1及び第2の波長の光を吸収しない材質とすることが好ましい。
【0029】
次に、本発明の画像記録媒体への画像の記録及び消去方法について説明する。図2は画像記録媒体に画像を記録する方法を示す部分断面図、図3は画像が記録された状態を示す画像記録媒体の部分平面図及び部分断面図、図4は画像記録媒体に記録された画像を消去する方法を示す部分断面図である。画像記録媒体1に画像を記録する場合、先ず記録したい画像に応じて光透過部7aと非透過部7bとがパターニングされたマスキングシート(原稿)7を作成する。マスキングシート7としては、例えばOHPシートのような透明シート上に、所望の画像を遮光性のインク又はトナーで印刷したものが使用される。
【0030】
次いで、図2に示すように、光屈曲性フィルム5を屈曲させる第1の波長の光8を、マスキングシート7を介して透明基板2側から画像記録媒体1に照射する。これにより、マスキングシート7の光透過部7aに重なる画素3においては、光透過部7a及び透明基板2を順次透過してきた第1の波長の光8により、図3に示すように光屈曲性フィルム5が支柱4に沿って内側に屈曲して光が透過できるようになる。
【0031】
一方、非透過部7bに重なる画素3においては、第1の波長の光8が光屈曲性フィルム5に到達せず光屈曲性フィルム5は伸張したままであるため、画素3の遮光性が保持される。従って、画像記録媒体1は、光透過部7a及び非透過部7bのパターンに応じて光透過領域9と遮光領域10とに分けられ、画像記録媒体1に所定の画像が記録される。
【0032】
なお、光屈曲性フィルム5を屈曲させて光透過領域9とした場合でも、支柱4の厚み分だけは光屈曲性フィルム5が画素3の輪郭の一部として残存する。支柱4と光屈曲性フィルム5の色差が大きい場合は光透過領域9が連続する部分で縦スジ或いは横スジとして目立つようになるため、支柱4の厚みは薄い方が好ましい。また、光屈曲性フィルム5が屈曲したときに先端が透明基板2まで到達すると、画素3の光透過性を低下させるため、支柱4の高さは光屈曲性フィルム5の支柱4からの突出量以上、即ち各支柱4の間隔以上であることが好ましい。
【0033】
また、画像記録媒体1に記録された画像を消去したい場合は、図4に示すように、光屈曲性フィルム5を復元させる第2の波長の光11を、透明基板2側から画像記録媒体1に照射する。これにより、支柱4に沿って屈曲していた光屈曲性フィルム5は再び元の状態に伸張し、光透過領域9が全て遮光領域10となって画像記録媒体1は新たな画像記録が可能な初期状態に戻る。
【0034】
本発明の構成とすることにより、光エネルギーによる光屈曲性フィルム5の可逆的な屈曲及び復元を用いて画像の記録及び消去を行うことができる。従って、画像の記録及び消去時にのみ所定の波長の光を照射するための電気エネルギーが消費されるだけで、記録された画像の維持には電気エネルギーが不要となるため、構造が簡単で消費電力が低く、且つ画像の記録及び消去を繰り返し行うことのできる画像記録媒体となる。
【0035】
また、光をほぼ100%透過可能な光透過領域9と、完全に遮光可能な遮光領域10との組み合わせで画像が記録されるため、バックライト等の画像表示用の光源を用いることなく高コントラストで視野角の広い鮮明な画像を記録することができる。なお、図2及び図4では第1の波長の光8及び第2の波長の光11を透明基板2側から照射しているが、保護層6側から照射しても良い。
【0036】
第1及び第2の波長の光を照射する光源としては、所望の波長光を出射する半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)を用いても良いし、可視光を照射する光源と可視光のうち所望の波長光のみを透過するカラーフィルタとを組み合わせたものを用いても良い。可視光とカラーフィルタとの組み合わせの場合、カラーフィルタを切り換え可能としておけば、1つの光源で第1及び第2の波長の光を選択的に照射できるため好ましい。
【0037】
具体的な形状としては、画像記録媒体1の大きさに形成された発光面にマスキングシート7を介して画像記録媒体1を載置し、発光面を点灯させて画像の記録及び消去を行うパネル型ライトや、画像記録媒体1に沿ってライトが移動するスキャナ型ライト、或いはユーザが手動で走査するハンドライト等が考えられる。
【0038】
図5は、本発明の画像記録媒体に画像を記録する他の方法を示す部分断面図である。図5においては、マスキングシート7に代えて透過型の液晶パネル12を用いて光透過部と非透過部を形成している。液晶パネル12は、対向する2枚のガラス基板12aの間に液晶12bを封入したものであり、ここでは電圧無印加のときに液晶分子長軸が基板表面に対して垂直に配向して黒表示13aとなり、電圧印加で液晶長軸が基板面と平行方向に倒れて白表示13bとなる、いわゆる垂直配向型ノーマリーブラック方式を用いている。なお、ガラス基板12aに配置される透明電極やTFTなどは記載を省略している。
【0039】
即ち、液晶パネル12の黒表示13aに重なる画素3においては、第1の波長の光8が光屈曲性フィルム5に到達せず光屈曲性フィルム5は伸張したままであるため、画素3の遮光性が保持される。一方、白表示13bに重なる画素3においては、液晶パネル12及び透明基板2を順次透過してきた第1の波長の光8により、光屈曲性フィルム5が支柱4に沿って図の矢印方向に屈曲して光が透過できるようになる。
【0040】
従って、液晶パネル12内の所定の液晶セルにのみ電圧を印加することにより、液晶パネル12には黒表示13a及び白表示13bが所定のパターンで形成され、画像記録媒体1は黒表示13a及び白表示13bのパターンに応じて光透過領域9と遮光領域10とに分けられ、図3に示したように所定の画像が記録される。なお、画像を消去する方法については図4と同様であるため説明を省略する。
【0041】
この場合、液晶パネル12に送信される画像信号の制御により黒表示13a及び白表示13bのパターンを自由に変更できるため、別途マスキングシート7を用意することなく迅速な画像の切り換えが可能となる。従って、所定時間毎に表示を切り換える広告表示媒体等に利用する場合に特に好適である。また、光源としては上述したようなパネル型ライトやスキャナ型ライトを用いる他、第1及び第2の波長を照射可能な光源を液晶パネル12のバックライトとして備えた液晶モジュールを用いることもできる。
【0042】
さらに、カラー表示が可能なカラー液晶モジュールを用いることにより、照射する光の波長を画素毎に制御可能となるため、画像の消去と新たな画像の記録とを同時に行うことができ、表示切り換え時間をより短縮することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、光屈曲性フィルム5を支柱4に沿って屈曲させているが、光屈曲性フィルム5の動作は光透過領域9を形成可能であればこれに限られるものではなく、例えば図6(a)に示すように光屈曲性フィルム5が上部に巻き上がるように設計しても良いし、屈曲方向の相反する複数の樹脂を重ね合わせることにより、図6(b)に示すように支柱4方向に収縮するように設計しても良い。
【0044】
しかし、図6(a)、(b)の場合、光屈曲性フィルム5の一部が光透過領域9を遮光してしまうおそれがあり、また光屈曲性フィルム5が画像記録媒体1の表面方向に突出するため、光屈曲性フィルム5と保護層6との間に隙間を設けておく必要がある。そのため、光屈曲性フィルム5は支柱4に沿って屈曲させることがより好ましい。
【0045】
また、第1の波長及び第2の波長の光を照射する際の光強度には特に制限はなく、光屈曲性フィルム5の光応答性に応じて適宜設定すれば良いが、光屈曲性フィルム5の光応答性が高すぎると、通常の室内光に含まれる第1及び第2の波長の光によって記録された画像が変質或いは消去されてしまうおそれがある。そこで、光屈曲性フィルム5の反応性を低下させることにより、長期間に亘って画像が保持される画像記録媒体となる。
【0046】
光屈曲性フィルム5の反応性を低下させる方法としては、光屈曲性フィルム5の厚みを増大させる方法や、光屈曲性フィルム5を形成するフォトクロミック材料に、ポリエチレンやポリプロピレン等の汎用プラスチックを添加する方法、或いは図7(a)、(b)に示すように、フォトクロミックフィルム14と、汎用プラスチックフィルム15とを貼り合わせた光屈曲性フィルム5を用いる方法等が挙げられる。
【0047】
次に、本発明の画像記録媒体の製造方法について説明する。図8(a)〜(e)は、本発明の画像記録媒体の製造工程を示す部分断面図である。図8を用いて本発明の画像記録媒体の製造プロセスの一例を説明する。
【0048】
先ず、図8(a)に示すように、透明基板2上に金属若しくは樹脂から成る遮光層16を形成した後、図8(b)に示すように、遮光層16をパターニングして格子状の支柱4を形成する。パターニング法としては、例えば遮光層16がスパッタリング法により形成された金属層である場合はエッチング等が用いられ、遮光層16を紫外線硬化性樹脂で形成した場合はフォトリソグラフィ法が用いられる。
【0049】
次に、図8(c)に示すように、支柱4の形成された透明基板2を上下逆にして、接着剤や熱溶融により光屈曲性フィルム5上に貼付する。そして、図8(d)に示すように、光屈曲性フィルム5に各画素3の輪郭に沿った格子状のスリット17を入れ、光屈曲性フィルム5を画素3毎のピースに分割する。スリット17を入れる方法としては、例えばレーザ光による切断が用いられる。最後に、図8(e)に示すように光屈曲性フィルム5側に保護層6を積層して画像記録媒体1を製造する。
【0050】
図9(a)〜(c)は、本発明の画像記録媒体の他の製造工程を示す部分断面図である。この製造プロセスでは、図9(a)に示すように、先ず金型にフォトクロミック材料を流し込んで光屈曲性フィルム5を成形しておき、さらに遮光材料により光屈曲性フィルム5上の所定位置に格子状の支柱4を一体形成する。このとき、金型にスリット形成用のリブを設けておけば、スリット17を同時に形成することができる。
【0051】
次に、図9(b)のように、光屈曲性フィルム5に形成された支柱4の先端に接着剤や熱溶融により透明基板2を貼付する。最後に、図9(c)に示すように、透明基板2側を下にして光屈曲性フィルム5上に保護層6を積層して画像記録媒体1を製造する。
【0052】
図9の製造プロセスを用いた場合、図8の方法に比べて工程数を削減できるとともに、レーザ光を用いた切断設備を必要としないため、画像記録媒体1を簡便且つ低コストで製造することができる。
【0053】
本発明の画像記録媒体は、文字や画像を繰り返し記録可能な電子ペーパーとして好適に用いられる。具体的な用途としては、例えば紙に印刷するまでもないメールや電子新聞等を持ち運ぶための個人用電子ペーパーや、電車内、駅のホームや店舗の外壁に設けられる広告表示媒体等に用いることができる。特に、広告表示媒体として用いる場合、画像記録媒体の裏面に画像記録・消去用の光源と、マスキングシートとなる液晶パネルとを設置しておけば、所定時間毎に表示を書き換え可能となる上、電力の消費は書き換え時のみとなるため、高コントラストで低消費電力な広告表示媒体となる。
【0054】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、マトリクス状に配置される画素3の大きさは、画像記録媒体1の用途に応じて適宜設定される。店舗や駅に設置される大型の広告表示用として用いる場合は、画素3の一辺を1〜数センチ程度とすれば良いし、解像度の高い電子ペーパーとして使用する場合は、一辺を1〜数mm程度とすれば良い。
【0055】
また、画像記録媒体1の製造プロセスは例示した方法に限定されるものではなく、支柱4や光屈曲性フィルム5、保護層6等は、従来公知の製膜技術及びパターニング法を適宜組み合わせて形成することができる。例えば画素3の一辺が数センチ程度の場合は、所定の大きさにカットされた光屈曲性フィルム5を各支柱4に一枚ずつ貼り付けて画像記録媒体を製造することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、透明基板上に複数の画素がマトリクス状に配置され、画素の周縁に沿って格子状の支柱が形成されており、該支柱の上面に一部を固定された遮光性の光屈曲性フィルムを画素毎に備え、照射される光の波長に応じた光屈曲性フィルムの可逆的な屈曲及び復元を用いて画像の記録及び消去を繰り返し行うことができる、低消費電力と高コントラストとを兼ね備えた画像記録媒体を提供するものであり、メールや図面等の情報を記録して持ち運ぶための電子ペーパーや、電車内、駅のホームや店舗の外壁に設けられる広告表示媒体等に利用することができる。
【0057】
また、支柱を遮光性材料で形成したので、隣接する画素に不要な光がリークすることがなく、精密な記録が可能な画像記録媒体となる。さらに、光屈曲性フィルムの表面を覆う透明な保護層を設けることにより、光屈曲性フィルムを埃や汚れから効果的に保護するとともに、画素内への埃や汚れの侵入を防止して画素の光透過度を高く維持できる耐久性に優れた画像記録媒体となる。
【0058】
また、透明基板、支柱及び保護層を可撓性材料で形成したので、持ち運び性が向上するとともに曲面への装着が可能なフレキシブルに変形する画像記録媒体となる。
【0059】
また、フォトクロミック材料に他の樹脂材料を混入して形成するか、或いはフォトクロミック材料のフィルムに他の樹脂材料のフィルムを貼り合わせて光屈曲性フィルムを形成したので、光に対する応答性を調整することができ、記録された画像が室内光により劣化しない取り扱い性に優れた画像記録媒体となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】は、本発明の画像記録媒体の構造を示す部分平面図及び部分断面図である。
【図2】は、画像記録媒体に画像を記録する方法を示す部分断面図である。
【図3】は、画像が記録された状態を示す画像記録媒体の部分断面図である。
【図4】は、画像記録媒体に記録された画像を消去する方法を示す部分断面図である。
【図5】は、本発明の画像記録媒体に画像を記録する他の方法を示す部分断面図である。
【図6】は、本発明の画像記録媒体に用いられる光屈曲性フィルムの他の動作例を示す部分断面図である。
【図7】は、本発明の画像記録媒体に用いられる光屈曲性フィルムの構成例を示す断面図である。
【図8】は、本発明の画像記録媒体の製造工程を示す部分断面図である。
【図9】は、本発明の画像記録媒体の他の製造工程を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 画像記録媒体
2 透明基板
3 画素
4 支柱
5 光屈曲性フィルム
6 保護層
7 マスキングシート
7a 光透過部
7b 非透過部
8 第1の波長の光
9 光透過領域
10 遮光領域
11 第2の波長の光
12 液晶パネル
13a 黒表示
13b 白表示
14 フォトクロミックフィルム
15 汎用プラスチックフィルム
16 遮光層
17 スリット
【出願人】 【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫

【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温


【公開番号】 特開2008−40366(P2008−40366A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217633(P2006−217633)