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【発明の名称】 熱現像感光材料
【発明者】 【氏名】福井 康太

【要約】 【課題】本発明の課題は、高画質の画像が得られ、かつ膜物理性が改良された熱現像感光材料を提供することである。

【構成】支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、第1の銀イオンのための還元剤及び第1のバインダーを含有する画像形成層および前記支持体の前記画像形成層と同一面に非感光性の最外層を有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層と前記最外層との間に非感光性中間層Aを有し、該非感光性中間層Aが少なくとも第2の銀イオンのための還元剤および第2のバインダーを含有し、該第2のバインダーの50質量%以上がI/O比が0.05以上0.50以下のポリマーラテックスである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、第1の銀イオンのための還元剤及び第1のバインダーを含有する画像形成層および前記支持体の前記画像形成層と同一面に非感光性の最外層を有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層と前記最外層との間に非感光性中間層Aを有し、該非感光性中間層Aが少なくとも第2の銀イオンのための還元剤および第2のバインダーを含有し、該第2のバインダーの50質量%以上がI/O比が0.05以上0.50以下のポリマーラテックスであることを特徴とする熱現像感光材料。
【請求項2】
前記I/O比が0.09以上0.3以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
【請求項3】
前記非感光性中間層Aが前記画像形成層に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱現像感光材料。
【請求項4】
前記第1のバインダーの50質量%以上がポリマーラテックスであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【請求項5】
前記第1の銀イオンのための還元剤および前記第2の銀イオンのための還元剤がともに下記一般式(R)で表される化合物より選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
【化1】



(一般式(R)において、R1dおよびR1d’は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R2dおよびR2d’は各々独立に水素原子、又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR4d−基を表す。R4dは水素原子、又は置換又は無置換のアルキル基を表す。R3dおよびR3d’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)。
【請求項6】
前記第1の銀イオンのための還元剤が下記一般式(R)で表される化合物より選ばれる化合物であり、前記第2の銀イオンのための還元剤が下記一般式(I)、(IIA)、(IIB)、または(III)で表される化合物より選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
【化2】



(一般式(R)において、R1dおよびR1d’は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R2dおよびR2d’は各々独立に水素原子、又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR4d−基を表す。R4dは水素原子、又は置換又は無置換のアルキル基を表す。R3dおよびR3d’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。);
【化3】



(上記一般式(I)において、R1aおよびR2aは水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、アシル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルカルボニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルカルバモイル基、カルバモイル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルスルファモイル基、スルファモイル基であり、R3aおよびR4aはそれぞれ独立に水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基を表し、R5aは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、または置換又は無置換のヘテロ環基を表す。);
【化4】



(上記一般式(IIA)および(IIB)において、X1aおよびX2aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1a〜R3aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m及びpはそれぞれ独立に0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。);
【化5】



(上記一般式(III)において、Qは炭素原子でNHNH−Vと結合する5〜7員の不飽和環を表し、Vはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。)。
【請求項7】
前記第1の銀イオンのための還元剤および前記第2の銀イオンのための還元剤がともに平均粒子サイズが0.1μm以上5.0μm以下の固体状分散物であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【請求項8】
前記第1のバインダーおよび前記第2のバインダーがともに、下記一般式(M)で表されるモノマー成分を10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーラテックスであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
一般式(M)
CH=CR01−CR02=CH
(式中、R01およびR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、およびシアノ基より選ばれる基である。)。
【請求項9】
前記一般式(M)のR01およびR02が共に水素原子、または一方が水素原子であり、他方がメチル基であることを特徴とする請求項8に記載の熱現像感光材料。
【請求項10】
前記非感光性中間層Aと前記最外層との間に非感光性中間層Bを有し、前記最外層および前記非感光性中間層Bの少なくとも一方の層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【請求項11】
前記最外層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の熱現像感光材料。
【請求項12】
前記最外層のバインダーの50質量%以上が疎水性ポリマーであり、前記非感光性中間層Bのバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の熱現像感光材料。
【請求項13】
前記非感光性中間層Bが2層以上よりなり、前記非感光性中間層Aに近い側の前記非感光性中間層Bが動物性蛋白由来でない親水性ポリマーを50質量%以上含有し、前記最外層に近い側の前記非感光性中間層Bが動物性蛋白由来の親水性ポリマーを50質量%以上含有することを特徴とする請求項10に記載の熱現像感光材料。
【請求項14】
前記動物性蛋白由来の親水性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断用フィルム分野や写真製版フィルム分野等に好適に用いられる熱現像感光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療診断用フィルム分野や写真製版フィルム分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッター又はレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度及び鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用フィルム及び写真製版用フィルムとしての熱現像画像記録材料に関する技術が必要とされている。これら熱現像画像記録材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要とせず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般の画像記録材料の分野でも同様の要求はあるが、特に医療診断用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真等顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書及びD.クロスタボーア(Klosterboer)著「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に記載されている。特に、熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例えば、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した画像形成層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。
【0005】
従来からこのタイプの熱現像感光材料は知られているが、これらの記録材料の多くは、トルエン、メチルエチルケトン、メタノール等の有機溶剤を溶媒とすることにより画像形成層を形成している。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での人体への影響だけではなく、溶剤の回収等、その他の要因で、コスト上でも不利である。
【0006】
そこで、このような心配のない水媒体の塗布液を用いて画像形成層(以下、「水系感光性層」ということもある)を形成する方法が開示されている。例えば、ポリマーラテックスをバインダーとし、水系媒体を用いて画像形成層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
また、画像形成層のバインダーは、画像形成反応の場を提供し、画像形成に大きな影響を有するので、低かぶりで高濃度の画像を形成するためのポリマーラテックスの組成の改良がなされてきた(例えば、特許文献4,5参照。)。
しかしながら、熱現像感光材料は、画質だけでなく、物理的あるいは機械的強度の点でも要求を満足することが必要である。例えば、画像形成のための画像露光熱現像のための取り扱い、あるいは画像形成後の画像観察や保存中の取り扱いにおいて、表面の耐摩擦強度、耐引っ掻き強度、水滴などの液に濡れたときの強度、折り曲げ強度、あるいは接着強度など、実用的に取り扱われる全ての耐久性が課題であった。
【特許文献1】特開平10−10669号公報
【特許文献2】特開平10−10670号公報
【特許文献3】特開平10−62899号公報
【特許文献4】特開平11−84573号公報
【特許文献5】特開2002−303953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高画質の画像が得られ、かつ膜物理性が改良された熱現像感光材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決された。
<1> 支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、第1の銀イオンのための還元剤及び第1のバインダーを含有する画像形成層および前記支持体の前記画像形成層と同一面に非感光性の最外層を有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層と前記最外層との間に非感光性中間層Aを有し、該非感光性中間層Aが少なくとも第2の銀イオンのための還元剤および第2のバインダーを含有し、該第2のバインダーの50質量%以上がI/O比が0.05以上0.50以下のポリマーラテックスであることを特徴とする熱現像感光材料。
<2> 前記I/O比が0.09以上0.3以下であることを特徴とする<1>に記載の熱現像感光材料。
<3> 前記非感光性中間層Aが前記画像形成層に隣接して設けられていることを特徴とする<1>または<2>に記載の熱現像感光材料。
<4> 前記第1のバインダーの50質量%以上がポリマーラテックスであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<5> 前記第1の銀イオンのための還元剤および前記第2の銀イオンのための還元剤がともに下記一般式(R)で表される化合物より選ばれる化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
【0009】
【化1】



【0010】
(一般式(R)において、R1dおよびR1d’は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R2dおよびR2d’は各々独立に水素原子、又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR4d−基を表す。R4dは水素原子、又は置換又は無置換のアルキル基を表す。R3dおよびR3d’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)。
<6> 前記第1の銀イオンのための還元剤が下記一般式(R)で表される化合物より選ばれる化合物であり、前記第2の銀イオンのための還元剤が下記一般式(I)、(IIA)、(IIB)、または(III)で表される化合物より選ばれる化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
【0011】
【化2】



【0012】
(一般式(R)において、R1dおよびR1d’は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R2dおよびR2d’は各々独立に水素原子、又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR4d−基を表す。R4dは水素原子、又は置換又は無置換のアルキル基を表す。R3dおよびR3d’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。);
【0013】
【化3】



【0014】
(上記一般式(I)において、R1aおよびR2aは水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、アシル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルカルボニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルカルバモイル基、カルバモイル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルスルファモイル基、スルファモイル基であり、R3aおよびR4aはそれぞれ独立に水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基を表し、R5aは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、または置換又は無置換のヘテロ環基を表す。);
【0015】
【化4】



【0016】
(上記一般式(IIA)および(IIB)において、X1aおよびX2aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1a〜R3aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m及びpはそれぞれ独立に0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。);
【0017】
【化5】



【0018】
(上記一般式(III)において、Qは炭素原子でNHNH−Vと結合する5〜7員の不飽和環を表し、Vはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。)。
<7> 前記第1の銀イオンのための還元剤および前記第2の銀イオンのための還元剤がともに平均粒子サイズが0.1μm以上5.0μm以下の固体状分散物であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<8> 前記第1のバインダーおよび前記第2のバインダーがともに、下記一般式(M)で表されるモノマー成分を10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーラテックスであることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料:
一般式(M)
CH=CR01−CR02=CH
(式中、R01およびR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、およびシアノ基より選ばれる基である。)。
<9> 前記一般式(M)のR01およびR02が共に水素原子、または一方が水素原子であり、他方がメチル基であることを特徴とする<8>に記載の熱現像感光材料。
<10> 前記非感光性中間層Aと前記最外層との間に非感光性中間層Bを有し、前記最外層および前記非感光性中間層Bの少なくとも一方の層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーであることを特徴とする<1>〜<9>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<11> 前記最外層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーであることを特徴とする<10>に記載の熱現像感光材料。
<12> 前記最外層のバインダーの50質量%以上が疎水性ポリマーであり、前記非感光性中間層Bのバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーであることを特徴とする<10>に記載の熱現像感光材料。
<13> 前記非感光性中間層Bが2層以上よりなり、前記非感光性中間層Aに近い側の前記非感光性中間層Bが動物性蛋白由来でない親水性ポリマーを50質量%以上含有し、前記最外層に近い側の前記非感光性中間層Bが動物性蛋白由来の親水性ポリマーを50質量%以上含有することを特徴とする<10>に記載の熱現像感光材料。
<14> 前記動物性蛋白由来の親水性ポリマーがゼラチンであることを特徴とする<10>〜<13>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【0019】
熱現像感光材料で得られる画像の画質は飛躍的に向上し、湿式現像処理方式のハロゲン化銀感光材料と同等のレベルに達してきている。しかしながら、画像の物理的耐久性に関しては未だに改良を必要としている。本発明者らは、熱現像感光材料の被膜の物理的強度に影響する各種要因の解析を行った。特に画像表面の耐摩擦強度が低く、表面を擦ると膜剥がれを生じる現象を解析した。その結果、膜剥がれが画像形成層とその上層の非感光性層との界面で発生していることを突き止めた。さらに詳細に観察した結果、該界面付近の画像形成層には未現像の非感光性銀塩が残存し、その結果、該界面付近では現像銀を有する画像形成層、未現像の非感光性銀塩を有する画像形成層、および非感光性層を含む少なくとも3層が形成されていた。そして、膜剥がれはこの未現像の非感光性銀塩を有する画像形成層内もしくはその他の層との界面で発生していた。
【0020】

本発明者らは上記解析結果に着目して、膜強度を高める手段の開発に取り組んだ結果、画像形成層と非感光性層との間にバインダーの50質量%以上がI/O値が0.05以上0.5以下のポリマーラテックスであって、さらに銀イオンのための還元剤を含有する非感光性層を設けることが有効であることを見出して、<1>の本発明に到達した。より好ましい態様として<2>〜<4>の発明を得た。さらに画像形成層の銀イオンのための還元剤および該非感光性層の銀イオンのための還元剤の好ましい化合物を見出し、<5>〜<7>の態様の発明を見出した。さらに好ましい態様を見出し、<8>〜<14>の発明を得た。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、高画質の画像が得られ、かつ膜物理性が改良された熱現像感光材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、第1の銀イオンのための還元剤及び第1のバインダーを含有する画像形成層および前記支持体の前記画像形成層と同一面に非感光性の最外層を有する熱現像感光材料であって、前記画像形成層と前記最外層との間に非感光性中間層Aを有し、該非感光性中間層Aが少なくとも第2の銀イオンのための還元剤および第2のバインダーを含有し、該第2のバインダーの50質量%以上がI/O比が0.05以上0.5以下のポリマーラテックスである。
好ましくは、ポリマーラテックスのI/O比が0.09以上0.3以下である。
好ましくは、前記非感光性中間層Aが前記画像形成層に隣接して設けられている。
好ましくは、前記第1のバインダーの50質量%以上がポリマーラテックスである。
【0023】
前記第1の銀イオンのための還元剤および前記第2の銀イオンのための還元剤の好ましい態様は、ともに上記一般式(R)で表される化合物より選ばれる化合物である。
好ましい別の態様は、前記第1の銀イオンのための還元剤が上記一般式(R)で表される化合物より選ばれる化合物であり、前記第2の銀イオンのための還元剤が上記一般式(I)、(IIA)、(IIB)、または(III)で表される化合物より選ばれる化合物である。
【0024】
好ましくは、前記第1の銀イオンのための還元剤および前記第2の銀イオンのための還元剤がともに平均粒子サイズが0.1μm以上5.0μm以下の固体状分散物である。
好ましくは、前記第1のバインダーおよび前記第2のバインダーがともに、下記一般式(M)で表されるモノマー成分を10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーラテックスである。
一般式(M)
CH=CR01−CR02=CH
式中、R01およびR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、およびシアノ基より選ばれる基である。より好ましくは、前記一般式(M)のR01およびR02が共に水素原子、または一方が水素原子であり、他方がメチル基である。
【0025】
好ましくは、前記非感光性中間層Aと前記最外層との間に非感光性中間層Bを有し、前記最外層および前記非感光性中間層Bの少なくとも一方の層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーである。より好ましい態様は、前記最外層のバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーである。別のより好ましい態様は、前記最外層のバインダーの50質量%以上が疎水性ポリマーであり、前記非感光性中間層Bのバインダーの50質量%以上が動物性蛋白由来の親水性ポリマーである。
前記非感光性中間層Bが2層以上よりなり、前記非感光性中間層Aに近い側の前記非感光性中間層Bが動物性蛋白由来でない親水性ポリマーを50質量%以上含有し、前記最外層に近い側の前記非感光性中間層Bが動物性蛋白由来の親水性ポリマーを50質量%以上含有することも好ましい態様の一つである。
好ましくは、前記動物性蛋白由来の親水性ポリマーがゼラチンである。
【0026】
(非感光性中間層A)
非感光性中間層Aは、少なくとも第2の銀イオンのための還元剤および第2のバインダーを含有し、該第2のバインダーの50質量%以上がI/O比が0.05以上0.50以下のポリマーラテックスである。その他に、後述する現像促進剤あるいはかぶり防止剤、染料や顔料、可塑剤や潤滑剤、および架橋剤や界面活性剤などの添加剤を含有しても良い。
【0027】
《第2のバインダー》
本発明における非感光性中間層Aに用いられる第2のバインダーの50質量%以上がI/O比が0.05以上0.50以下のポリマーラテックスである。好ましくは0.09以上0.30以下であり、特に好ましくは0.1以上0.25以下である。
《I/O比の定義》
I/O値とは、有機概念図に基づく無機性基を有機性基で割った値である。I/O値が、0.05より低い場合は、疎水性が高すぎるため成膜時に均一な膜になりにくく、0.5より高い場合には、親水的な膜となり水分や汚れなどの浸透に対する効果が小さいために好ましくない。I/O値は、「有機概念図−基礎と応用−」(1984年 甲田善生著、三共出版発行)に記載の方法によって求めることができる。
【0028】
ここで、有機概念図とは、化合物の性質を共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基に分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものであり、これに基づく無機性値とは無機性、すなわち種々の置換基の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に定め、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定めた値である。一方有機性値とは、有機性の数値の大小は分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の数で測ることができるとし、基本になる炭素数1個の数値は、直鎖化合物の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値20℃を取り、これを基準に20と定めた値である。この無機性値と有機性値は、グラフ上で1対1に対応する様に定めてある。I
/O値はこれらの値から算出したものである。
【0029】
《ポリマーラテックスの説明》
非感光性中間層Aに用いられる第2のバインダーのポリマーラテックスとしては、アクリル系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニル系、又は塩化ビニリデン系ラテックスが好ましく用いられる。
特に好ましいポリマーラテックスは、下記一般式(M)で表されるモノマー成分を10質量%以上70質量%以下有するポリマーラテックスである。
【0030】
一般式(M)
CH=CR01−CR02=CH
式中、R01およびR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、およびシアノ基より選ばれる基である。より好ましくは、R01およびR02が共に水素原子、または一方が水素原子であり、他方がメチル基である。
【0031】
01およびR02の好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。R01およびR02のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
01およびR02として、好ましくは共に水素原子、一方が水素原子で他方がメチル基もしくは塩素原子であり、より好ましくは共に水素原子、または一方が水素原子で他方がメチル基である。
【0032】
本発明の一般式(M)で表されるモノマーの具体例としては、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロル−1,3−ブタジエン、および2−シアノ−1,3−ブタジエンが挙げられる。
【0033】
本発明における一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率は、10質量%〜70質量%であり、好ましくは15質量%〜65質量%であり、より好ましくは20質量%〜60質量%である。一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率が10質量%未満であると、バインダーの融着成分が減少し、加工脆性が悪化する。
また、一般式(M)で表されるモノマーの共重合比率が70質量%を超えると、バインダーの融着成分が増加し、バインダーの運動性が上昇するため、画像保存性が悪化する。
【0034】
酸基としては、カルボキシル酸、スルホン酸、リン酸が好ましく、カルボン酸が特に好ましい。酸基の共重合比率は、1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%である。酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、イソプレンスルホン酸、およびホスホリルエチルメタクリレートなどが挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
【0035】
本発明のバインダーは、成膜性と画像保存性の点でガラス転移温度(Tg)が−30℃〜70℃の範囲のものが好ましく、より好ましくは−10℃〜50℃の範囲、さらに好ましくは0℃〜40℃の範囲である。バインダーとして2種以上のポリマーをブレンドして用いることも可能で、この場合、組成分を考慮し加重平均したTgが上記の範囲に入ることが好ましい。また、相分離した場合やコア−シェル構造を有する場合には加重平均したTgが上記の範囲に入ることが好ましい。
【0036】
本発明のバインダーに用いられるポリマーは、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、アニオン重合法、カチオン重合等により容易に得ることができるが、ラテックスとして得られる乳化重合法が最も好ましい。乳化重合法は、例えば、水、或いは、水と水に混和し得る有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)との混合溶媒を分散媒とし、分散媒に対して5質量%〜150質量%のモノマー混合物と、モノマー総量に対して乳化剤と重合開始剤を用い、30℃〜100℃程度、好ましくは60℃〜90℃で3時間〜24時間、攪拌下重合させることにより行われる。分散媒、モノマー濃度、開始剤量、乳化剤量、分散剤量、反応温度、モノマー添加方法等の諸条件は、使用するモノマーの種類を考慮し、適宜設定される。また、必要に応じて分散剤を用いることが好ましい。
【0037】
乳化重合法は、一般的には次に示す文献に従って行うことができる。「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」。
本発明のポリマーラテックスを合成する乳化重合法において、一括重合法、モノマー(連続、および分割)添加法、エマルジョン添加法、シード重合法などを選択することができ、ラテックスの生産性の観点から一括重合法、モノマー(連続・分割)添加法、エマルジョン添加法が好ましい。
【0038】
前記重合開始剤としてはラジカル発生能があればよく、過硫酸塩や過酸化水素などの無機過酸化物、日本油脂(株)有機過酸化物カタログなどに記載の過酸化物および和光純薬工業(株)アゾ重合開始剤カタログなどに記載のアゾ化合物を用いることができる。その中でも、過硫酸塩などの水溶性過酸化物および和光純薬工業(株)アゾ重合開始剤カタログなどに記載の水溶性アゾ化合物が好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、アゾビスシアノ吉草酸がより好ましく、特に、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過酸化物が画像保存性、溶解性、コストの観点から好ましい。
【0039】
前記重合開始剤の添加量としては、重合開始剤がモノマー総量に対して0.3質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.4質量%〜1.75質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜1.5質量%であることが特に好ましい。この重合開始剤量が0.3質量%未満であると画像保存性が低下し、2.0%を超えるとラテックスが凝集しやすくなり塗布性を低下させる。
【0040】
前記重合乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用いることができるが、アニオン性界面活性剤が分散性と画像保存性の観点から好ましく、少量で重合安定性が確保でき、加水分解耐性もあることからスルホン酸型アニオン界面活性剤がより好ましく、ペレックスSS−H(花王(株))に代表される長鎖アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩がさらに好ましく、パイオニンA−43−S(竹本油脂(株))のような低電解質タイプが特に好ましい。
【0041】
前記重合乳化剤として、スルホン酸型アニオン界面活性剤がモノマー総量に対して0.1質量%〜10.0質量%使用されていることが好ましく、0.2質量%〜7.5質量%使用されていることがより好ましく、0.3質量%〜5.0質量%使用されていることが特に好ましい。この重合乳化剤が0.1質量%未満であると乳化重合時の安定性を確保できず、10.0%を超えると画像保存性が低下する。
【0042】
本発明に用いられるポリマーラテックスの合成には、キレート剤を使用するのが好ましい。キレート剤は、鉄イオンなど金属イオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンなどの多価イオンを配位(キレート)できる化合物であり、特公平6−8956号、米国特許5053322号、特開平4−73645号、特開平4−127145号、特開平4−247073号、特開平4−305572号、特開平6−11805号、特開平5−173312号、特開平5−66527号、特開平5−158195号、特開平6−118580号、特開平6−110168号、特開平6−161054号、特開平6−175299号、特開平6−214352号、特開平7−114161号、特開平7−114154号、特開平7−120894号、特開平7−199433号、特開平7−306504号、特開平9−43792号、特開平8−314090号、特開平10−182571号、特開平10−182570号、特開平11−190892号に記載の化合物を用いることができる。
【0043】
前記キレート剤としては、無機キレート化合物(トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム等)、アミノポリカルボン酸系キレート化合物(ニトリロトリ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸等)、有機ホスホン酸系キレート化合物(Research Disclosure18170号、特開昭52−102726号、同53−42730号、同56−97347号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−29883号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号、同57−179843号、同54−61125号、及び西独特許1045373号などに記載の化合物)、ポリフェノール系キレート剤、ポリアミン系キレート化合物など好ましく、アミノポリカルボン酸誘導体が特に好ましい。
【0044】
前記アミノポリカルボン酸誘導体の好ましい例としては、「EDTA(−コンプレキサンの化学−)」(南江堂、1977年)の付表の化合物があげられ、またこれら化合物のカルボキシル基の一部がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩やアンモニウム塩など置換されてもよい。特に好ましいアミノカルボン酸誘導体としては、イミノ二酢酸、N−メチルイミノ二酢酸、N−(2−アミノエチル)イミノ二酢酸、N−(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ−α−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−ジ−β−プロピオン酸、N,N’−エチレン−ビス(α−o−ヒドロキシフェニル)グリシン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−ジアセトヒドロキサム酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,2−プロピレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、d,l−2,3−ジアミノブタン−N,N,N’,N’−四酢酸、meso−2,3−ジアミノブタン−N,N,N’,N’−四酢酸、1−フェニルエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、d,l−1,2−ジフェニルエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,4−ジアミノブタン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−シクロブタン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−シクロペンタン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、cis−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、シクロヘキサン−1,4−ジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、o−フェニレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、cis−1,4−ジアミノブテン−N,N,N’,N’−四酢酸、trans−1,4−ジアミノブテン−N,N,N’,N’−四酢酸、α,α’−ジアミノ−o−キシレン−N,N,N’,N’−四酢酸、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、2,2’−オキシ−ビス(エチルイミノ二酢酸)、2,2’−エチレンジオキシ−ビス(エチルイミノ二酢酸)、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−ジ−α−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−ジ−β−プロピオン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラプロピオン酸、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−五酢酸、トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸、1,2,3−トリアミノプロパン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸があげられ、またこれら化合物のカルボキシル基の一部がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩やアンモニウム塩など置換されたものもあげることができる。
【0045】
前記キレート剤の添加量は、モノマー総量に対して0.01質量%〜0.4質量%であることが好ましく、0.02質量%〜0.3質量%であることがより好ましく、0.03質量%〜0.15質量%であることが特に好ましい。キレート剤量が0.01質量%未満であると、ポリマーラテックスの製造工程で混入する金属イオンの捕捉が不十分となり、ラテックスの凝集に対する安定性が低下し、塗布性を悪化させる。また、0.4%を超えると、ラテックスの粘度が上昇し塗布性を低下させる。
【0046】
本発明に用いられるポリマーラテックスの合成には、連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の添加量によりゲル化率を制御することができる。連鎖移動剤としては、Polymer Handbook,第3版、(Wiley−Interscience、1989)に記載されているものが好ましい。硫黄化合物は連鎖移動能が高く、少量で用いることで済むことからより好ましい。tert−ドデシルメルカプタンやn−ドデシルメルカプタン等疎水的なメルカプタン系の連鎖移動剤が特に好ましい。
【0047】
前記連鎖移動剤量は、モノマー総量に対して0.2質量%〜2.0質量%が好ましく、0.3質量%〜1.8質量%がより好ましく、0.4質量%〜1.6質量%が特に好ましい。
【0048】
乳化重合では、上記化合物以外に、電解質、安定化剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、加硫剤、凍結防止剤、ゲル化剤、または加硫促進剤など合成ゴムハンドブック等に記載の添加剤を使用してもよい。
【0049】
<ポリマーラテックスの具体例>
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、例示化合物(P−1)〜(P−29)においては、化学式中のx、y、z、およびz’はポリマー組成の質量比を示し、x、y、z、およびz’の総和は100%となる。Tgはポリマーから得られる乾膜のガラス転移温度を表す。
【0050】
【化6】


【0051】
【化7】


【0052】
【化8】


【0053】
【化9】


【0054】
【化10】


【0055】
【化11】


【0056】
【化12】


【0057】
【化13】



【0058】
【化14】



【0059】
【化15】



【0060】
【化16】



【0061】
本発明に用いることが好ましい市販のスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、LACSTAR−3307B、7132C(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、Nipol Lx416(日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
【0062】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0063】
本発明に用いられるポリマーラテックスは、その塗布液における溶媒として、水系溶媒を用いることができるが、水混和性の有機溶媒を併用してもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミド等を挙げることができる。これら有機溶媒の添加量は、溶媒の50%以下、より好ましくは30%以下であることが好ましい。
【0064】
また、本発明に用いられるポリマーラテックスは、ポリマー濃度がラテックス液に対して10質量%〜70質量%であることが好ましく、さらに20質量%〜60質量%、特に30質量%〜55質量%であることが好ましい。
【0065】
本発明におけるポリマーラテックスは、25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、平衡含水率は0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1.0質量%以下である。
【0066】
本発明におけるラテックス粒子の平均粒径は1nm〜50000nm、好ましくは5nm〜1000nmの範囲で、より好ましくは10nm〜500nmの範囲、さらに好ましくは50nm〜200nmの範囲である。粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0067】
本発明における非感光性中間層Aには必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は非感光性中間層Aの全バインダーの49.99質量%以下、より好ましくは30質量%以下が好ましい。
【0068】
本発明における非感光性中間層Aの全バインダー塗布量は、好ましくは1g/m〜8g/m、より好ましくは2g/m〜6g/mの範囲である。
【0069】
(一般式(R)で表される化合物)
本発明における第1の銀イオンのための還元剤として好ましくは、下記一般式(R)で表される化合物で表されるである。
【0070】
【化17】



【0071】
一般式(R)において、R11及びR11’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12及びR12’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは、−S−基又は−CHR13−基を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。X及びX’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
【0072】
一般式(R)について詳細に説明する。
以下でアルキル基と称するとき、特に明記していない場合はシクロアルキル基もこれに含まれる。
1)R11及びR11
11及びR11’は各々独立に置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり。アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0073】
2)R12及びR12’、X及びX
12及びR12’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、X及びX’も各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシルアミノ基が挙げられる。
【0074】
3)L
Lは−S−基又は−CHR13−基を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、及び3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基などが挙げられる。
【0075】
4)好ましい置換基
11及びR11’として好ましくは炭素数1〜15の1級、2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11及びR11’としてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、又は1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
【0076】
12及びR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、及びメトキシエチル基などが挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はt−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
及びX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0077】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であり、該アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、又は3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
【0078】
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基の場合、R13は炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、又はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基以外のアルキル基の場合、R13は水素原子が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でない場合、R13は水素原子又は2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13の2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’及びR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0079】
以下に、一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明における還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
【化18】



【0081】
上記以外の本発明における好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号、EP1278101A2号に記載された化合物である。
【0082】
本発明に於いては、第2の銀イオンのための還元剤としても上記一般式(R)で表される化合物が好ましく用いられる。第1の銀イオンのための還元剤および第2の銀イオンのための還元剤が共に上記一般式(R)で表される化合物である場合、互いに同一の化合物であっても、異なってもよい。
【0083】
(一般式(I)、(IIA)、(IIB)、および(III)で表される化合物)
本発明における第2の銀イオンのための還元剤として好ましい別の化合物は、下記一般式(I)、(IIA)、(IIB)、および(III)で表される化合物である。
【0084】
【化19】



【0085】
上記一般式(I)において、R1aおよびR2aは水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、アシル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルカルボニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルカルバモイル基、カルバモイル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリール及びアルキルスルファモイル基、スルファモイル基であり、R3aおよびR4aはそれぞれ独立に水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基を表し、R5aは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、または置換又は無置換のヘテロ環基を表す。
【0086】
【化20】



【0087】
上記一般式(IIA)および(IIB)において、X1aおよびX2aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1a〜R3aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m及びpはそれぞれ独立に0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。
【0088】
【化21】



【0089】
上記一般式(III)において、Qは炭素原子でNHNH−Vと結合する5員〜7員の不飽和環を表し、Vはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。
【0090】
これらの化合物について、以下に順に詳細に説明する。
【0091】
1)一般式(I)で表される化合物
【0092】
【化22】



【0093】
一般式(I)において、R1aおよびR2aは水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、およびシリル基が例として挙げられる。
【0094】
更に詳しくは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、または4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、
【0095】
アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、またはo−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5員または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5員もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、または2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、または2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはp−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、
【0096】
カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、またはN−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、またはp−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、または3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、またはモルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、またはN−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、またはm−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
【0097】
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、またはp−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、またはm−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、またはp−メチルフェニルスルフィニル)、
【0098】
アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、または2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、またはn−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、または5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、
【0099】
イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、またはメチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、またはジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、またはフェニルジメチルシリル)を表わす。
【0100】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、およびベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0101】
1aおよびR2aがアルキル基である場合、少なくともその一方が2級または3級のアルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。R1aおよびR2aがハロゲン原子である場合、好ましくは塩素原子または臭素原子で、塩素原子であることがより好ましい。R1aおよびR2aの炭素数はそれぞれ16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。
【0102】
3aおよびR4aは水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表し、好ましくは、前記R1aおよびR2aの例として挙げた置換基の中から選択される置換基である。前記R1aおよびR2aの例と同様に、R3aおよびR4aの該官能基の中で水素原子を有するものは、これを取り去り更に前記R1aおよびR2aの例と同様に該官能基で置換されていても良い。
【0103】
5aはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、該官能基の中で水素原子を有するものは、これを取り去り更に前記R1aおよびR2aの例に挙げた官能基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、前記R1aおよびR2aの例で挙げた置換基のうちハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アニリノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びアルキルスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、スルファモイル基、シアノ基、又はニトロ基が好ましい。
【0104】
5aとしてより好ましいのはアリール基またはヘテロ環基で、アリール基が特に好ましい。ヘテロ環基としては窒素原子および硫黄原子の少なくとも一方を含む5員ないし6員の環が好ましく、窒素原子を含む5員ないし6員の芳香族性のヘテロ環がより好ましい。
アリール基としては電子求引性の置換基もしくは立体的に嵩高い置換基で置換されたアリール基が好ましい。電子吸引基としては水素原子に対して電子求引性が高い基であればよいが、好ましくはハロゲン原子、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びアルキルスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、スルファモイル基、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基で、ハロゲン原子、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びアルキルスルホニル基、スルファモイル基、又はシアノ基がより好ましい。電子求引性の基は少なくともそのひとつがオルト位またはパラ位に置換されていることが好ましい。立体的に嵩高い基としてはメチル基よりも嵩高い基であればよいが、好ましくは炭素数2以上のアルキル基で、2級または3級のアルキル基がより好ましく、3級のアルキル基がさらに好ましい。立体的に嵩高い基は少なくとも一方のオルト位に置換していることが好ましく、両方のオルト位に置換していることがより好ましい。電子求引性の基と立体的に嵩高い基の両方を合わせ持ったアリール基は特に好ましい基である。R5aの炭素数は30以下であることが好ましく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは16以下である。
【0105】
一般式(I)の化合物におけるより好ましい構造は、R1aおよびR2aがハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びアルキルスルホニル基、又はスルファモイル基であり、R3aおよびR4aが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基であり、R5aがアリール基またはヘテロ環基である。
上記の官能基の中で水素原子を有するものは、これを取り去り更に前記R1aおよびR2aの例で挙げた官能基で置換されていても良い。
【0106】
一般式(I)の化合物におけるさらに好ましい構造は、R1aおよびR2aがハロゲン原子、アルキル基、カルバモイル基、又はスルファモイル基であり、R3aおよびR4aが水素原子またはハロゲン原子であり、R5aがアリール基である。該アリール基としては電子求引性の置換基もしくは立体的に嵩高い置換基で置換されたアリール基がより好ましく、電子求引性の基と立体的に嵩高い基の両方を合わせ持ったアリール基が特に好ましい。
上記の官能基の中で水素原子を有するものは、これを取り去り更に前記R1aおよびR2aの例で挙げた官能基で置換されていても良い。
【0107】
一般式(I)の化合物の好ましい分子量は300ないし700の範囲で、より好ましくは300ないし600の範囲、さらに好ましくは350ないし550の範囲である。
【0108】
以下に本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例をあげるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0109】
【化23】



【0110】
【化24】



【0111】
【化25】



【0112】
上記以外でも本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例としては特開平11−265044明細書の一般式(7)で表される化合物D−1ないしD−28があげられる。
【0113】
2)一般式(IIA)または(IIB)で表される化合物
【0114】
【化26】



【0115】
上記一般式(IIA)および(IIB)において、X1aおよびX2aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1a〜R3aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m及びpはそれぞれ独立に0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。
【0116】
一般式(IIA)または(IIB)において、X1aおよびX2aはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表わす。
【0117】
1aおよびX2aで表わされる置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜10であり、例えば、N−メチルアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ等)、アゾ基、ヘテロ環基、ヘテロ環メルカプト基、およびシアノ基等が挙げられる。
【0118】
ここでいうヘテロ環基とは、飽和もしくは不飽和のヘテロ環基を表し、例えばピリジル基、キノリル基、キノキサリニル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、テトラゾリル基、ヒダントイン−1−イル基、スクシンイミド基、およびフタルイミド基等が挙げられる。
【0119】
一般式(IIA)または(IIB)におけるX1aおよびX2aで表される置換基は、更に好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基である。X1aおよびX2aで表される置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよく、写真性能を悪化させないものであれば一般に知られているどのような置換基でもよい。
【0120】
一般式(IIA)または(IIB)において、R1a〜R3aはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
mおよびpはそれぞれ独立して0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。
【0121】
1a〜R3aで表される置換基としては、写真性へ悪影響のないものであればどのような置換基を用いてもよい。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐、環状またはそれら組み合わせのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜13であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−オクチル、n−アミル、tert−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、またはシクロヘキシル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、またはピロリジル等)等が挙げられる。
これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0122】
1a〜R3aで表される置換基として好ましいものは、上記の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アニリノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基、スルホニル基、スルファモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、またはヘテロ環基である。
【0123】
一般式(IIA)で表される化合物は、2−位にカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、 N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、 N−(4−クロロフェニル)カルバモイルN−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、 N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等)を有することが更に好ましく、2−位にアリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、さらに好ましくは7〜12であり、例えば、N−フェニルカルバモイル、 N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、 N−(4−クロロフェニル)カルバモイルN−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等)を有することが特に好ましい。
【0124】
一般式(IIA)または(IIB)で表される化合物としては、より好ましくは、一般式(IIC)または(IID)で表される化合物が挙げられる。
【0125】
《一般式(IIC)で表される化合物》
【0126】
【化27】



【0127】
一般式(IIC)において、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキニル基を表す。
で表されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜13の、直鎖、分岐、環状またはそれら組み合わせのアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、i−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、ベンジル、およびフェネチル等を挙げることができる。
【0128】
で表されるアリール基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−ヘキシルオキシフェニル、2−ドデシルオキシフェニル、およびナフチル等を挙げることができる。
【0129】
で表されるアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、およびシクロヘキセニル基などを挙げることができる。
で表されるアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、エチニル基、プロピニル基などを挙げることができる。
【0130】
は更に置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、後述の一般式(I)の化合物のY〜Yで表される基を挙げることができる。
は更に好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、特に好ましくは、アルキル基を表す。
【0131】
一般式(IIC)の化合物において、Xはアシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。
で表されるアシル基は、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ヘキサノイル、ミリスチリル、パルミトイル、ステアリル、オレイル、アクリロイル、シクロヘキサンカルボニル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。
で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、およびフェノキシカルボニル等が挙げられる。
【0132】
で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−デシルカルバモイル、N−ヘキサデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、N−(4−クロロフェニル)カルバモイル、N−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等、N−ペンタクロロフェニルカルバモイル、N−(2−メトキシフェニル)カルバモイル、N−(4−メトキシフェニル)カルバモイル、N−(2,4−ジメトキシフェニル)カルバモイル、N−(2−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、およびN−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル等が挙げられる。
【0133】
で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、エタンスルホニル、シクロヘキサンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トシル、および4−クロロベンゼンスルホニル等が挙げられる。
で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、およびフェニルスルファモイル等が挙げられる。
【0134】
は更に置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、後述の一般式(I)の化合物のY〜Yで表される基を挙げることができる。
は好ましくはカルバモイル基を表し、更に好ましくは、アルキルカルバモイル基またはアリールカルバモイル基を表し、特に好ましくはアリールカルバモイル基を表す。
【0135】
〜Yはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
〜Yで表される置換基としては、写真性へ悪影響のないものであればどのような置換基を用いてもよい。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐、環状またはそれら組み合わせのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜13であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、またはピロリジル等)等が挙げられる。
これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0136】
〜Yで表される置換基として好ましいものは、上記の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アニリノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基、スルホニル基、スルファモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、またはヘテロ環基である。
【0137】
一般式(IIC)で表される化合物において、Rがアルキル基、Xがカルバモイル基、Y〜Yが水素原子である組み合わせが好ましい。
【0138】
以下に一般式(IIC)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物はこれらの具体例によって限定されるものではない。
【0139】
【化28】



【0140】
【化29】



【0141】
【化30】



【0142】
【化31】



【0143】
【化32】



【0144】
【化33】



【0145】
【化34】



【0146】
【化35】



【0147】
【化36】



【0148】
《一般式(IID)で表される化合物》
一般式(IIB)で表される化合物として、好ましくは下記の一般式(IID)である。
【0149】
【化37】



【0150】
一般式(IID)において、X1dはベンゼン環上に置換可能な置換基を表す(水素原子であることはない)。ただし、X1dはヒドロキシル基であることはない。
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、およびシリル基が例として挙げられる。
【0151】
さらに詳しくは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。
【0152】
例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−2−エン−4−イル基)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5員もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。
【0153】
例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ビリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、またはN−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、
【0154】
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、またはn−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、または3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、またはモルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、またはN−メチル−メトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、またはm−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、
【0155】
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、またはp−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、またはp−メチルフェニルスルホニル基)、
【0156】
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、またはn−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、またはメチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、またはフェニルジメチルシリル基)が挙げられる。
【0157】
1dで表される置換基として好ましいものは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは塩素原子、臭素原子)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、例えばフェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばメトキシ基、エトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、たとえばフェノキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、アシルアミノ基、またはアルキル基であり、特に好ましくは塩素原子、臭素原子である。
【0158】
一般式(IID)において、X3dは水素原子または置環基を表わす。ただし、X3dはヒドロキシル基、スルホンアミド基であることはない。置換基の具体例としては、一般式(IID)のX1dの例として挙げた置換基が挙げられる(スルホンアミド基を除く)。
3dとして好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは塩素原子、臭素原子)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、例えばフェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばメトキシ基、エトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、たとえばフェノキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、アシルアミノ基、またはアルキル基であり、特に好ましくは塩素原子または臭素原子である。
【0159】
1d、X3dで表される置換基は少なくとも一方が電子求引性基であることが好ましい。電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σp値が正である置換基であり、具体例としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で置換されたイミノ基、チオカルボニル基、パーフルオロアルキル基、スルホンアミド基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基(またはその塩)、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ基、ヘテロ環基、またはこれらの電子求引性基で置換されたアリール基などが挙げられる。
1d、X3dはより好ましくはともに電子吸引性基であり、さらに好ましくはともにハロゲン原子であり、特に好ましくはともに塩素原子または臭素原子である。
【0160】
一般式(IID)において、X2d、X4dは水素原子または置換基を表わす。ただし、X2d、X4dはヒドロキシル基であることはない。置換基の具体例としては、一般式(IV)のX1dの例として挙げた置換基が挙げられる。
2d、X4dとして好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは、塩素原子、臭素原子)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、例えばフェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、例えばフェノキシ基、2−ナフチルオキシ基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基である。より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシルアミノ基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基である。
1d〜X4dはさらに置換されていてもよく、置換基の具体例としては一般式(IIC)のX1dの例として挙げた置換基が挙げられる。また、X1d〜X4dは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0161】
一般式(IID)において、R1dは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜7、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜14、特に好ましくは炭素数6〜8、例えばフェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、イミダゾリル基、ピロリジル基)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜14、特に好ましくは炭素数0〜8、例えばアミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜14、特に好ましくは炭素数1〜8、例えばメトキシ基、エトキシ基等)を表わす。好ましくは、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アルコキシ基、炭素数1〜7のアルキル基であり、さらに好ましくはアリール基または炭素数1〜7のアルキル基であり、特に好ましくはアリール基である。
1dはさらに置換されていてもよく、置換基の具体例としては一般式(IIC)のXの例として挙げた置換基が挙げられる。
【0162】
1d〜X4d、R1dの組み合わせとして好ましくは、X1d、X3dの少なくとも1つがハロゲン原子であり、X2d、X4dは水素原子またはアルキル基であり、R1dはアリール基または炭素数1〜7のアルキル基である。さらに好ましい組み合わせは、X1d、X3dはともに塩素原子または臭素原子であり、X2dは水素原子またはアルキル基であり、X4dは水素原子であり、R1dはアリール基である。
【0163】
一般式(IID)で表される化合物の総分子量の好ましい範囲は170〜800であり、より好ましくは220〜650であり、特に好ましくは220〜500である。
【0164】
以下に一般式(IID)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる一般式(IID)の化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0165】
【化38】



【0166】
【化39】



【0167】
【化40】



【0168】
【化41】



【0169】
【化42】



【0170】
【化43】



【0171】
【化44】



【0172】
【化45】



【0173】
3)一般式(III)で表される化合物
【0174】
【化46】



【0175】
上記一般式(III)において、Qは炭素原子でNHNH−Vと結合する5〜7員の不飽和環を表し、Vはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。
【0176】
式中、Qは炭素原子でNHNH−R1bと結合する5〜7員の不飽和環を表し、Rはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。
【0177】
で表される5員〜7員の不飽和環の好ましい例としては、ベンゼン環、ピジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびチオフェン環などが挙げられ、これらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
【0178】
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。
これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙ることができる。
【0179】
1bで表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、およびN−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
【0180】
1bで表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。
1bで表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、およびベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0181】
1bで表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40であり、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、および4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。
1bで表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、および4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
【0182】
1bで表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。
1bで表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQで表される5員〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0183】
一般式(III)で表される化合物の中でも、Qが5員または6員の不飽和環であるものが好ましく、より好ましくは、Qは、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、またはこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環であり、特に好ましくはキナゾリン環である。
は電子吸引的な置換基を少なくとも一つ有していることが好ましく、好ましい置換基としては、フルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロフェニル基)、シアノ基、ハロゲン原子(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、およびアリールスルホニル基を挙げることができ、特に好ましい置換基としてはトリフルオロメチル基を挙げることができる。
1bはカルバモイル基であるものが好ましく、特に好ましくは、R1bが−C=O−NH−R11で表される置換カルバモイル基であり、かつ、R11が炭素数1ないし10のアルキル基またはアリール基を表すものである。
【0184】
以下に、一般式(III)で表される化合物の具体例を示すが、本発明に用いられる化合物はこれらの具体例によって限定されるものではない。
【0185】
【化47】



【0186】
【化48】



【0187】
【化49】



【0188】
【化50】



【0189】
【化51】



【0190】
【化52】



【0191】
【化53】



【0192】
【化54】



【0193】
【化55】



【0194】
【化56】



【0195】
【化57】



【0196】
【化58】



【0197】
【化59】



【0198】
【化60】



【0199】
【化61】



【0200】
【化62】



【0201】
一般式(III)で表される還元性化合物の合成は、特開平9−152702号公報、同8−286340号公報、同9−152700号公報、同9−152701号公報、同9−152703号公報、および同9−152704号公報等に記載の方法に従って実施することができる。
【0202】
一般式(III)で表される還元性化合物の融点は、250℃以下である事が好ましく、さらに好ましくは200℃以下である。
【0203】
本発明において画像形成層に含まれる第1の銀イオンのための還元剤の添加量は、0.1g/m以上3.0g/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.2g/m以上2.0g/m以下で、さらに好ましくは0.3g/m以上1.0g/m以下である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%以上50モル%以下含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%以上30モル%以下であり、10モル%以上20モル%以下で含まれることがさらに好ましい。
本発明において非感光性中間層Aに含まれる第2の銀イオンのための還元剤の添加量は、0.002g/m以上1.0g/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.02g/m以上1.0g/m以下で、さらに好ましくは0.03g/m以上0.7g/m以下である。
【0204】
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料に含有させてもよいが、固体微粒子分散物形態が好ましい。
【0205】
固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm以上1000ppm以下の範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
好ましくは、還元剤の平均粒子サイズが0.1μm以上5.0μm以下の微粒子、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の微粒子にして添加するのが好ましい。
【0206】
(画像形成層のバインダー)
本発明における画像形成層のバインダーは、いかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒又はエマルションから被覆形成してもよい。
【0207】
本発明では、有機銀塩を含有する層に併用できるバインダーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、10℃〜70℃であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
【0208】
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
【0209】
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0210】
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに画像形成層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶又は分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0211】
ここでいう前記ポリマーが可溶又は分散可能である水系溶媒とは、水又は水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
【0212】
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0213】
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0214】
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0215】
本発明におけるバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は、2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0216】
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態又はミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm以上50000nm以下、好ましくは5nm以上1000nm以下の範囲で、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0217】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000以上1000000以下、好ましくは10000以上200000以下がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0218】
《ラテックスの具体例》
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0219】
・P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
・P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
・P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
・P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
・P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
・P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
・P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
・P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
・P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
・P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
・P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
・P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
・P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
・P−14;−MMA(63)−EA(35)−AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
・P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
・P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
・P−17;−St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃)
・P−18;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg27℃)
【0220】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0221】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0222】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0223】
《好ましいラテックス》
一般式(M)
CH=CR01−CR02=CH
式中、R01およびR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、およびシアノ基より選ばれる基である。
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、上記の一般式(M)で表されるモノマー成分を10質量%以上70質量%以下共重合したポリマーラテックスが好ましい。特に、スチレン−ブタジエン共重合体もしくはスチレン−イソプレン共重合体ラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンまたはイソプレンモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンまたはイソプレンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60質量%〜99質量%であることが好ましい。
また、本発明におけるポリマーラッテクスは、アクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンまたはイソプレンの和に対して1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。本質量%発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。好ましいモノマー含量の範囲は前記と同様である。また、スチレン−イソプレン共重合体における共重合体比などはスチレン−ブタジエン共重合体の場合と同じである。
【0224】
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−9,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。また、スチレン−イソプレン共重合体の例としては前記のP−16、17が挙げられる。
【0225】
本発明の熱現像感光材料の画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0226】
本発明における有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。画像形成層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
【0227】
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(画像形成層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0228】
本発明における画像形成層の全バインダー量は、好ましくは0.2g/m以上30g/m以下、より好ましくは1g/m以上15g/m以下、さらに好ましくは2g/m以上10g/m以下の範囲である。本発明における画像形成層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0229】
<好ましい塗布液の溶媒>
本発明において熱現像感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0230】
本発明における画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0231】
(非感光性有機銀塩)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀及びこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
【0232】
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸含有率を1モル%以下とすることにより、Dminが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
【0233】
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
【0234】
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5未満の短針状、直方体、立方体又はジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
【0235】
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0236】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
【0237】
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
【0238】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0239】
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
【0240】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0241】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して熱現像感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%以上30モル%以下の範囲が好ましく、更に2モル%以上20モル%以下、特に3モル%以上15モル%以下の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0242】
4)添加量
本発明における有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1g/m以上5.0g/m以下が好ましく、より好ましくは0.3g/m以上3.0g/m以下、さらに好ましくは0.5g/m以上2.0g/m以下である。
特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.8g/m以下、より好ましくは1.6g/m以下であることが好ましい。本発明における好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
【0243】
(現像促進剤)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物が好ましく用いられる。また、特開2002−311533号、特開2002−341484号明細書に記載されたフェノール系の化合物も好ましい。特に特開2003−66558号明細書に記載のナフトール系の化合物が好ましい。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%以上20モル%以下の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%以上10モル%以下の範囲で、より好ましくは1モル%以上5モル%以下の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物又は乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、若しくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号、特開2002−278017号明細書に記載ヒドラジン系の化合物及び特開2003−66558号明細書に記載されているナフトール系の化合物がより好ましい。
【0244】
(水素結合性化合物)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)又はアミノ基(−NHR、Rは水素原子又はアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基又はアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、及び含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
【0245】
【化63】



【0246】
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、及びホスホリル基などが挙げられ、置換基として好ましいのはアルキル基又はアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、及び4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、及び2−フェノキシプロピル基などが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、及び3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、及びベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、及びビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、及びN−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0247】
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基又はアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基又はアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0248】
【化64】



【0249】
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特開2002−318431号に記載のものがあげられる。
本発明における一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。これらの化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明における一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明における一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明における一般式(D)の化合物は、還元剤に対して、1モル%以上200モル%以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%以上150モル%以下の範囲で、さらに好ましくは20モル%以上100モル%の範囲である。
【0250】
(感光性ハロゲン化銀)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、またはヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀及びヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0251】
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
【0252】
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0253】
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0254】
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第6族〜第13族の金属または金属錯体を含有することができる。より好ましくは、第6族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第6族〜第10族の金属又は金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、および鉄である。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モル〜1×10−3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0255】
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir(CN)3−、[Cr(CN)3−、[Re(CN)3−などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0256】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0257】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、またはアミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0258】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10−4モル以上1×10−3モル以下である。
【0259】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感及びテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、又は化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0260】
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0261】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0262】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0263】
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0264】
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やかぶりの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10−6モル〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10−4モル〜10−1モルである。
【0265】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0266】
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法若しくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0267】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価又は+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、又はピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特開2002−278016号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0268】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレン及びテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−8モル以上10−2モル以下、好ましくは10−7モル以上10−3モル以下程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−7モル以上10−3モル以下、より好ましくは10−6モル以上5×10−4モル以下である。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40℃〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0269】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、アミノイミノメタンスルフィン酸が好ましく、その他に塩化第一スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0270】
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
【0271】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、タイプ2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
【0272】
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28頁〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」または「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0273】
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特開2004−239943号に記載の一般式(1)と同義)、または化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特開2004−245929号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0274】
【化65】



【0275】
一般式(1)及び(2)中、RED、REDは還元性基を表す。Rは炭素原子(C)とREDとともに5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、もしくはヘキサヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R、R、およびRは水素原子または置換基を表す。Lv、Lvは脱離基を表す。EDは電子供与性基を表す。
【0276】
【化66】



【0277】
一般式(3)、(4)及び(5)中、Zは窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、およびR19は水素原子または置換基を表す。R20は水素原子または置換基を表すが、R20がアリール基以外の基を表すとき、R16、R17は互いに結合して芳香族環または芳香族ヘテロ環を形成する。R、R12はベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m1は0〜3の整数を表し、m2は0〜4の整数を表す。Lv、Lv、およびLvは脱離基を表す。
【0278】
【化67】



【0279】
一般式(6)および(7)中、RED、REDは還元性基を表す。R21〜R30は水素原子または置換基を表す。Zは−CR111112−、−NR113−、または−O−を表す。R111、R112はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。R113は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
【0280】
【化68】



【0281】
一般式(8)中、REDは還元性基でありアリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表す。R31は水素原子または置換基を表す。Xはアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。Lvは脱離基でありカルボキシ基もしくはその塩または水素原子を表す。
【0282】
【化69】



【0283】
一般式(9)で表される化合物は脱炭酸を伴う2電子酸化が起こった後に、さらに酸化される事で化学反応式(1)で表される結合形成反応を起こす化合物である。化学反応式(1)中、R32、R33は水素原子または置換基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のヘテロ環を形成する基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。一般式(9)中、R32、R33、Zは化学反応式(1)中のものと同義である。ZはC−Cとともに5員または6員の環状脂肪族炭化水素基またはヘテロ環基を形成する基を表す。
【0284】
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特開2004−245929号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0285】
【化70】



【0286】
一般式(10)中、REDは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはREDが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、またはベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。QはREDとYを連結する連結基を表す。
【0287】
【化71】



【0288】
一般式(11)で表される化合物は酸化される事で化学反応式(1)で表される結合形成反応を起こす化合物である。化学反応式(1)中、R32、R33は水素原子または置換基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のヘテロ環を形成する基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。ZはC−Cとともに5員または6員の環状脂肪族炭化水素基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。一般式(11)中、R32、R33、Z、Zは化学反応式(1)中のものと同義である。
【0289】
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
【0290】
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
【0291】
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、または1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
【0292】
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、及び3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
【0293】
また窒素またはリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基など)または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、ホスホニオ基(トリアルキルホスホニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)ホスホニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)ホスホニオ基、トリアリール(またはヘテロアリール)ホスホニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、又はイソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
【0294】
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF、PF、及びPh等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
【0295】
吸着性基として窒素またはリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
【0296】
【化72】



【0297】
一般式(X)においてP、Rはそれぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素またはリンの4級塩構造を表す。Q、Qはそれぞれ独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)または(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1または2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
【0298】
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することもできる。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
【0299】
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、水、メタノール、またはエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
【0300】
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は、増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9モル〜5×10−1モル、更に好ましくは1×10モル〜5×10−2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
【0301】
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0302】
式(I) A−(W)n−B
式(I)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
【0303】
式(I)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
【0304】
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、及びトリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li、Na、K、Mg2+、Ag、またはZn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、”−S−”基又は”−Se−”基又は”−Te−”基又は”=N−”基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、及びベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−、又は−S−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、及びイミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
【0305】
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p.4〜p.7に記載されているものが挙げられる。
【0306】
式(I)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、又は2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
【0307】
式(I)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO−、−O−、−S−、−NR−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。
ここでRは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
【0308】
式(I)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
【0309】
式(I)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150頁−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282頁−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5、ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明におけるBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0〜約0.7Vの範囲である。
【0310】
式(I)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、または3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
【0311】
本発明における式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0312】
本発明における式(I)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明における式(I)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
【0313】
以下に本発明における式(I)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0314】
【化73】



【0315】
さらに欧州特許1308776A2号明細書p73〜p87に記載の具体的化合物1〜30、1”−1〜1”−77も本発明における吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
【0316】
これらの化合物は公知の方法にならって容易に合成することができる。本発明における式(I)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
【0317】
本発明における式(I)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また画像形成層に使用するのが好ましいが、画像形成層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6モル以上1モル以下、好ましくは1×10−5モル以上5×10−1モル以下、さらに好ましくは1×10−4モル以上1×10−1モル以下である。
【0318】
本発明における式(I)の化合物は水、メタノール、またはエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸又は塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
【0319】
11)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0320】
12)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m当たりの塗布銀量で示して、0.03g/m以上0.6g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上0.4g/m以下であることがさらに好ましく、0.07g/m以上0.3g/m以下であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
【0321】
13)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、またはホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0322】
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0323】
(かぶり防止剤の説明)
本発明に用いることのできるかぶり防止剤、安定剤及び安定剤前駆体は特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。
【0324】
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で用いることができる好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明における好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z)(Z)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、Z及びZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子又は電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は窒素原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基(ピリジン、キノリン基等)である。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子、電子求引性基で置換されたアルキル基、電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基等が挙げられる。電子求引性基として特に好ましいのは、ハロゲン原子、カルバモイル基、アリールスルホニル基であり、特にカルバモイル基が好ましい。
Xは好ましくは電子求引性基である。好ましい電子求引性基は、ハロゲン原子、脂肪族・アリール若しくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリール若しくは複素環アシル基、脂肪族・アリール若しくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、又はスルファモイル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、カルバモイル基であり、特に好ましくは臭素原子である。
及びZは好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−、−SO−、−C(=O)N(R)−、−SON(R)−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO−、−C(=O)N(R)−であり、特に好ましくは−SO−、−C(=O)N(R)−である。ここでいうRとは水素原子、アリール基又はアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
nは、0又は1を表し、好ましくは1である。
一般式(H)において、Qがアルキル基の場合、好ましいYは−C(=O)N(R)−であり、Qがアリール基又はヘテロ環基の場合、好ましいYは−SO−である。
一般式(H)において、該化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることができる。
一般式(H)において、解離性基(例えばCOOH基又はその塩、SOH基又はその塩、POH基又はその塩等)、4級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、水酸基等を置換基に有するものも好ましい形態である。
【0325】
以下に本発明における一般式(H)の化合物の具体例を示す。
【0326】
【化74】



【0327】
上記以外の本発明に用いることができるポリハロゲン化合物としては、US3874946号、US4756999号、US5340712号、US5369000号、US5464737号、US6506548号、特開昭50−137126号、同50−89020号、同50−119624号、同59−57234号、特開平7−2781号、同7−5621号、同9−160164号、同9−244177号、同9−244178号、同9−160167号、同9−319022号、同9−258367号、同9−265150号、同9−319022号、同10−197988号、同10−197989号、同11−242304号、特開2000−2963、特開2000−112070、特開2000−284410、特開2000−284412、特開2001−33911、特開2001−31644、特開2001−312027号、特開2003−50441号明細書の中で当該発明の例示化合物として挙げられている化合物が好ましく用いられるが、特に特開平7−2781号、特開2001−33911、特開2001−312027号に具体的に例示されている化合物が好ましい。
【0328】
本発明における一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4モル以上1モル以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10−3モル以上0.5モル以下の範囲で、さらに好ましくは1×10−2モル以上0.2モル以下の範囲で使用することが好ましい。
本発明において、かぶり防止剤を熱現像感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0329】
2)その他のかぶり防止剤
その他のかぶり防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
【0330】
本発明における熱現像感光材料はかぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は熱現像感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、画像形成層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、画像形成層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0331】
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、及びチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特開2002−303954号、特開2002−303951号等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0332】
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体若しくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウム及びテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体若しくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン及び2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸又は4メチルフタル酸との組み合わせである。
【0333】
3)染料、顔料
本発明における画像形成層には、色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
【0334】
4)造核剤
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に造核剤を添加することが好ましい。造核剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特開2000−284399号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特開2000−347345号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、造核促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
【0335】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0336】
本発明の熱現像感光材料で造核剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩の使用量(感光材料1mあたりの塗布量)は感度やかぶりなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m以上500mg/m以下が好ましく、0.5mg/m以上100mg/m以下がより好ましい。
【0337】
(塗布液の調製及び塗布)
本発明における画像形成層塗布液の調製温度は、30℃以上65℃以下が好ましく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
【0338】
(層構成及び構成成分)
1)層構成
本発明の熱現像感光材料は、必須の層構成として、支持体側から順に(1)画像形成層、(2)非感光性中間層A、(3)最外層を配置する。好ましくは、画像形成層と非感光性中間層Aとが隣接して設けられ、さらに非感光性中間層Aと最外層との間に非感光性中間層Bを有しても良い。各々の層が単層又は2層以上であっても、さらに他の層を設けてもよい。
【0339】
塗布性を考慮した場合、最外層と非感光性中間層Bの少なくとも1層は、動物性蛋白質由来の親水性ポリマーを含有するのが好ましい。
【0340】
2)非感光性中間層B
本発明において、前記非感光性中間層と最外層との間に非感光性中間層Bを設けても良い。本発明における最外層と非感光性中間層Bの少なくとも一方が、バインダとして親水性ポリマーを50質量%以上含有するのが好ましい。より好ましくは、非感光性中間層Bが、バインダとして親水性ポリマーを50質量%以上含有する。親水性ポリマーのより好ましい含有率は、60質量%以上100質量%以下である。
【0341】
本発明において、非感光性中間層Bの親水性ポリマーは、好ましくは動物性蛋白質由来の親水性ポリマーである。動物性蛋白質由来の親水性ポリマーとは、にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白などの天然あるいは化学的に修飾された水溶性ポリマーをいう。好ましくはゼラチンであり、その合成方法によって酸処理ゼラチンおよびアルカリ処理ゼラチン(石灰処理など)があり、いずれも好ましく用いることができる。分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンのアミノ基やカルボキシル基を利用して変性処理した変性ゼラチンも用いることができる(例えば、フタル化ゼラチンなど)。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。
ゼラチン水溶液では、30℃以上の温度に温めるとゾル化し、それ以下の温度に下げるとゲル化し流動性を失う。このようなゾルーゲル変化が温度で可逆的に起こるため、塗布溶液であるゼラチン水溶液は、30℃より低い温度に冷やされると流動性を失うというセット性を有する。
【0342】
また、動物性蛋白質由来の親水性ポリマーとともに下記の動物蛋白質由来でない親水性ポリマーや疎水性ポリマーを併用することができる。
【0343】
非感光性中間層B層には、架橋剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、染料、顔料、色調調整剤などを添加することもできる。
【0344】
本発明における動物性蛋白質由来でない親水性ポリマーとは、ゼラチンなどの動物系蛋白質以外の天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが該当する。好ましくは、ポリビニルアルコール類、およびアクリル酸−ビニルアルコール共重合ポリマー類である。
動物性蛋白質由来でない親水性ポリマーはセット性を有しないが、ゲル化剤とともに使用するとセット性を有し、塗布性能が良好となる。
【0345】
疎水性ポリマーとしては、水系溶媒に分散可能なポリマーが好ましい。
好適な水系溶媒に分散可能なポリマーは、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類を挙げることができる。
【0346】
3)補助添加剤
本発明における中間層および最外層は、バインダーの他に目的によって種々の補助添加剤を含有することが出来る。
【0347】
<ゲル化剤>
本発明におけるゲル化剤は、本発明における動物性蛋白質由来でない親水性ポリマー水溶液または疎水性ポリマーのラテックス水溶液に添加して、冷却すると溶液がゲル化を起こす物質、もしくは、さらにゲル化促進物質と併用することによってゲル化を起こす物質である。ゲル化を起こすことにより、流動性が著しく低下する。
【0348】
ゲル化剤としては具体的には以下の水溶性多糖類を上げることができる。すなわち、寒天、κ−カラギナン,ι−カラギナン、アルギン酸,アルギン酸塩,アガロース、ファーセレラン、ジェランガム,グルコノデルタラクトン,アゾトバクタービネランジガム,キサンタンガム,ペクチン,グアーガム,ローカストビーンガム,タラガム,カシアガム,グルコマンナン,トラガントガム,カラヤガム,プルラン,アラビアガム,アラビノガラクタン,デキストラン,カルボキシメチルセルロースナトリウム塩,メチルセルロース,サイリュームシートガム,デンプン,キチン,キトサン及びカードランから選ばれる少なくとも一種である。
【0349】
加熱して溶解後、冷却によりゲル化する物質としては、寒天、カラギナン、ジュランガム等の物質が上げられる。
【0350】
これらのゲル化剤の中で、より好ましい化合物としてはκ−カラギナン(例:台糖(株)製:K−9F、新田ゼラチン(株)製:K−15:K−21〜24、I−3)、ι−カラギナン、寒天が挙げられ、特に好ましいのはκ−カラギナンである。
【0351】
ゲル化剤は、バインダーポリマーに対して、0.01質量%以上10.0質量%以下、好ましくは0.02質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下用いるのが好ましい。
【0352】
<ゲル化促進剤>
ゲル化剤は、ゲル化促進剤とともに用いることが好ましい。本発明におけるゲル化促進剤は、ゲル化剤との接触によりゲル化が促進する化合物であり、ゲル化剤との特異的な組合せによってその機能が発揮される。本発明においては、ゲル化剤とゲル化促進剤の組み合わせとしては、以下のような組み合わせを利用することができる。
【0353】
・ゲル化促進剤としてカリウム等のアルカリ金属イオン、又はカルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属イオンと、ゲル化剤としてカラギナン,アルギン酸塩,ジェランガム,アゾトバクタービネランジガム,ペクチン,またはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩等の組み合わせ。
【0354】
・ゲル化促進剤として硼酸その他の硼素化合物と、ゲル化剤としてグアーガム,ローカストビーンガム,タラガム,またはカシアガム等の組み合わせ。
【0355】
・ゲル化促進剤として酸又はアルカリと、ゲル化剤としてアルギン酸塩,グルコマンナン,ペクチン,キチン,キトサン,またはカードラン等の組み合わせ。
【0356】
・ゲル化剤と反応してゲルを形成する水溶性多糖類をゲル化促進剤として用いる。具体的には、ゲル化剤にキサンタンガムを用い、ゲル化促進剤にカシアガムを用いる組合せ、ゲル化剤にカラギナンを用い、ゲル化促進剤にローカストビーンガムを用いる組合せ等を例示することができる。
【0357】
これらのゲル化剤とゲル化促進剤との組み合わせの具体例として以下のa)〜g)を例示することができる。
a)κ−カラギナンとカリウムの組み合わせ
b)ι−カラギナンとカルシウムの組み合わせ
c)ロ−メトキシルペクチンとカルシウムの組み合わせ
d)アルギン酸ナトリウムとカルシウムの組み合わせ
e)ジェランガムとカルシウムの組み合わせ
f)ジェランガムと酸の組み合わせ
g)ロ−カストビンガムとキサンタンガムの組み合せ
このような組み合わせは、複数の組み合わせを同時に使用しても良い。
【0358】
これらのゲル化促進剤は、ゲル化剤を添加する同一層に添加してもかまわないが、異なる層に添加して作用させることが好ましい。より好ましくは、ゲル化剤を添加する層と直接隣接層しない層に添加することが好ましい。即ち、ゲル化剤を含有する層とゲル化促進剤を含有する層との間にゲル化剤もゲル化促進剤のいずれも含有しない層を有することがより好ましい。
【0359】
ゲル化促進剤は、ゲル化剤に対して0.1質量%以上200質量%以下、好ましくは1.0質量%以上100質量%以下用いるのが好ましい。
【0360】
親水性ポリマー2含有層には、そのほか適宜添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、染料、顔料、および色調調整剤などが挙げられる。
【0361】
<造膜助剤>
疎水性ポリマーの水分散物の最低造膜温度をコントロールするために、造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は、可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))に記載されている。好ましい造膜助剤は以下の化合物であるが、本発明で用い得る化合物は、以下の具体例に限定されるものではない。
・Z−1:ベンジルアルコール
・Z−2:2,2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
・Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
・Z−4:ジエチレングリコール
【0362】
<架橋剤>
本発明では、画像形成層面の何れかの層に架橋剤を含有させることが好ましい。より好ましくは、非感光性中間層Bなどの親水性ポリマー1含有層または親水性ポリマー2含有層に添加する場合である。架橋剤を添加することで、非感光性中間層の疎水性、耐水性が高まり、優れた熱現像感光材料となる。
【0363】
架橋剤としては、アミノ基やカルボキシル基と反応する基を分子内に複数含有すればよく、架橋剤の種類については特に限定されない。架橋剤の例としては、T.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊)、77頁〜87頁に記載されており、無機化合物の架橋剤(例えば、クロムみょうばん)および有機化合物の架橋剤のいずれも好ましいが、有機化合物の架橋剤がより好ましい。
【0364】
また、本発明の非感光性中間層Aなど疎水性ポリマー含有層のための架橋剤としては、カルボキシル基と反応する基を分子内に複数含有すればよく、架橋剤の種類については特に限定されない。
有機化合物の架橋剤として好ましい化合物は、カルボン酸誘導体、カルバミン酸誘導体、スルホン酸エステル化合物、スルホニル化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、およびオキサゾリン化合物を挙げることができる。より好ましくは、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物およびオキサゾリン化合物である。これらの架橋剤を1種類単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0365】
具体的には、以下の化合物を挙げることができるが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0366】
《カルボジイミド化合物》
水溶性または水分散性のカルボジイミド化合物が好ましく、例として、特開昭59−187029号公報および特公平5−27450号公報に記載のイソホロンジイソシアネート由来のポリカルボジイミド、特開平7−330849号公報記載のテトラメチルキシリレンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物、特開平10−30024号公報記載の他分岐型カルボジイミド化合物、および特開2000−7642号公報記載のジシクロヘキシルメタンジイソシアネート由来のカルボジイミド化合物を挙げることができる。
【0367】
《オキサゾリン化合物》
水溶性または水分散性のオキサゾリン化合物が好ましく、例として、特開2001−215653号公報記載のオキサゾリン化合物を挙げることができる。
【0368】
《イソシアネート化合物》
水と反応し得る化合物であるので、ポットライフの点で水分散性のイソシアネート化合物が好ましく、特に自己乳化性を有するものが好ましい。例として、特開平7−304841号公報、特開平8−277315号公報、特開平10−45866号公報、特開平9−71720号公報、特開平9−328654号公報、特開平9−104814号公報、特開2000−194045号公報、特開2000−194237号公報、および特開2003−64149号公報記載の水分散性イソシアネート化合物を挙げることができる。
【0369】
《エポキシ化合物》
水溶性または水分散性のエポキシ化合物が好ましく、例として、特開平6−329877号公報、および特開平7−309954号公報記載の水分散性エポキシ化合物を挙げることができる。
【0370】
本発明に用いることのできる架橋剤のより具体的な例を以下に示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0371】
・エポキシ化合物
商品名:ディックファイン EM−60(大日本インキ化学工業(株))
【0372】
・イソシアネート化合物
商品名:デュラネート WB40−100(旭化成(株))
デュラネート WB40−80D(旭化成(株))
デュラネート WT20−100(旭化成(株))
デュラネート WT30−100(旭化成(株))
CR−60N (大日本インキ化学工業)
【0373】
・カルボジイミド化合物
商品名:カルボジライト V−02(日清紡(株))
カルボジライト V−02−L2(日清紡(株))
カルボジライト V−04(日清紡(株))
カルボジライト V−06(日清紡(株))
カルボジライト E−01(日清紡(株))
カルボジライト E−02(日清紡(株))
【0374】
・オキサゾリン化合物
商品名:エポクロス K−1010E(日本触媒(株))
エポクロス K−1020E(日本触媒(株))
エポクロス K−1030E(日本触媒(株))
エポクロス K−2010E(日本触媒(株))
エポクロス K−2020E(日本触媒(株))
エポクロス K−2030E(日本触媒(株))
エポクロス WS−500(日本触媒(株))
エポクロス WS−700(日本触媒(株))
【0375】
本発明に用いられる架橋剤は、バインダー溶液にあらかじめ混合した状態で添加してもよく、また塗布液の調製過程の最後に添加されてもよく、あるいは塗布する直前に添加することもできる。
【0376】
本発明に用いられる架橋剤の使用量としては、含まれる構成層のバインダー100質量部に対して0.5質量部〜200質量部であることが好ましく、2質量部〜100質量部であることがより好ましく、さらには3質量部〜50質量部であることがより好ましい。
【0377】
<増粘剤>
非感光性中間層Aを形成するための塗布液には、増粘剤を添加することが好ましい。増粘剤を添加すると、均一な厚みの疎水性層を形成することができるため好ましい。増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩が用いられるが、取扱いやすさを考慮してチクソトロピー性のものが好ましく、このためヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボン酸ナトリウム、カルボキシメチル−ヒドロキシエチルセルロースが用いられる。
また、増粘剤を添加した非感光性中間層A塗布液の粘度は、40℃において、1mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以上100mPa・s以下であることがより好ましく、更に好ましくは、15mPa・s以上60mPa・s以下である。
【0378】
4)最外層
本発明における画像形成層を有する面の最外層を構成する非感光性層について説明する。
最外層は、熱現像感光材料の搬送性を改良と表面保護のため、バインダーのほか、マット剤やすべり剤、界面活性剤などの添加剤を含有することが好ましい。
バインダーとしては、親水性ポリマーまたはポリマーラテックス、あるいはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0379】
<親水性ポリマー>
親水性ポリマーとしては、非感光性中間層Bの項で説明した動物性蛋白質由来の親水性ポリマーを用いるのが好ましい。
【0380】
<ポリマーラテックス>
本発明における最外層バインダーに用いられるポリマーラテックスについて説明する。
好ましくは、ポリマーラテックスの含有率は、50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは、50質量%以上75質量%以下である。
【0381】
好ましくは25℃60%RHでの平衡含水率が5質量%以下のポリマーラテックスが好ましい。「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0382】
本発明における平衡含水率は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0383】
本発明におけるポリマーラテックスの好ましいガラス転移温度は、0℃以上80℃以下であり、10℃以上70℃以下であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
【0384】
本発明に使用することができるポリマーラテックスの具体例としては、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリメタクリレートまたはこれらを含む共重合体のラテックスなどを挙げることができる。
本発明に使用することができるポリマーラテックスは、必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0385】
本発明においては、溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥し、疎水性ポリマー含有層を形成させることが好ましい。
本発明におけるポリマーラテックスの好ましい態様は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0386】
塗布溶媒としては、水又は水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものが好ましい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、およびジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
【0387】
本発明においてはポリマーラテックスの平均粒径は、好ましくは1nm以上50000nm以下、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0388】
ポリマーとしては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、およびポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000以上1000000以下、好ましくは10000以上200000以下がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0389】
<ラテックスの具体例>
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0390】
・NP−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
・NP−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
・NP−3;−St(55)−Bu(42)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg5℃)
・NP−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
・NP−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
・NP−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
・NP−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
・NP−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
・NP−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
・NP−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
・NP−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
・NP−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
・NP−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
・NP−14;−MMA(63)−EA(35)−AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
・NP−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
・NP−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
・NP−17;−St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃)
・NP−18;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg27℃)
【0391】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0392】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0393】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0394】
本発明の疎水性ポリマー層に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、アクリル系ポリマーの共重合体もしくはポリエステル、ポリウレタンなどが好ましい。また、本発明の疎水性ポリマー層に用いられるポリマーラテックスは、アクリル酸又はメタクリル酸を1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。本発明の疎水性ポリマー層に用いられるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。
【0395】
疎水性ポリマーの塗布量(支持体1m当たり)は、0.1g/m以上10g/m以下が好ましく、0.3g/m以上5g/m以下がより好ましい。
なお、塗布液中での濃度は、添加した時に粘度が同時重層塗布に適した値になるように調製することが好ましいが、特に限定されない。一般には液中の濃度が5質量%以上50質量%以下である、より好ましくは10質量%以上40質量%以下であり、特に好ましくは15質量%以上30質量%以下である。
【0396】
<マット剤>
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は熱現像感光材料1m当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1mg/m以上400mg/m以下、より好ましくは5mg/m以上300mg/m以下である。
本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。
画像形成層面に用いるマット剤の球相当直径の体積加重平均は、0.3μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上7μm以下である事が更に好ましい。また、マット剤のサイズ分布の変動係数としては5%以上80%以下であることが好ましく、20%以上80%以下である事が更に好ましい。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。更に、画像形成層面のマット剤は平均粒子サイズの異なる2種以上のマット剤を用いることができる。その場合、平均粒子サイズのもっとも大きいマット剤と、もっとも小さいマット剤の粒子サイズの差は、2μm以上8μm以下であることが好ましく、2μm以上6μm以下であることが更に好ましい。
バック面に用いるマット剤の球相当直径の体積加重平均は、1μm以上15μm以下であることが好ましく、3μm以上10μm以下である事が更に好ましい。また、マット剤のサイズ分布の変動係数としては3%以上50%以下であることが好ましく、5%以上30%以下である事が更に好ましい。更に、バック面のマット剤は平均粒子サイズの異なる2種以上のマット剤を用いることができる。その場合、平均粒子サイズのもっとも大きいマット剤と、もっとも小さいマット剤の粒子サイズの差は、2μm以上14μm以下であることが好ましく、2μm以上9μm以下であることが更に好ましい。
【0397】
また、画像形成層面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙及び板紙のベック試験器による平滑度試験方法」及びTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0398】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
【0399】
本発明において、マット剤は熱現像感光材料の最外層若しくは表面保護層として機能する層、あるいは最外層に近い層に含有されるのが好ましい。
【0400】
<すべり剤>
製造時のハンドリング性や熱現像時の耐傷性を改良するために流動パラフィン、長鎖脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル類等のすべり剤を使用することが好ましい。特に低沸点成分を除去した流動パラフィンや分岐構造を有する分子量1000以上の脂肪酸エステル類が好ましい。
【0401】
すべり剤については特開平11−65021号段落番号0117、特開2000−5137号、特開2004−219794号、特開2004−219802号、特開2004−334077号に記載されている化合物が好ましい。
すべり剤の使用量は1mg/m以上200mg/m以下の範囲で、好ましくは10mg/m以上150mg/m以下、より好ましくは20mg/m以上100mg/m以下の範囲である。
【0402】
すべり剤を添加する層は、画像形成層、非画像形成層いずれの層であってもよいが、搬送性や耐傷性を改善する目的から、最外層に添加することが好ましい。
【0403】
<界面活性剤>
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特開2001−83679号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特開2003−057780号及び特開2003−149766号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特開2003−057780号及び特開2003−149766号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特開2003−149766号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は画像形成層面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減若しくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は画像形成層面、バック面それぞれに0.1mg/m〜100mg/mの範囲で、より好ましくは0.3mg/m〜30mg/mの範囲、さらに好ましくは1mg/m〜10mg/mの範囲である。特に特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01mg/m〜10mg/mの範囲が好ましく、0.1mg/m〜5mg/mの範囲がより好ましい。
【0404】
(画像形成方法)
1)露光
本発明の熱現像感光材料は、いかなる手段によって画像露光されても良い。本発明の熱現像感光材料は、好ましくはレーザーにより走査露光するのが好ましい。レーザーとしては、赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーを用いることが出来る。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。
一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
【0405】
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80℃〜250℃であり、好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、より好ましくは3秒〜30秒、さらに好ましくは5秒〜25秒、7秒〜15秒が特に好ましい。
【0406】
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2段〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0407】
熱現像機の小型化及び熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号及び特開2003−285455号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。
【0408】
3)システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DPL及びDRYPIX7000を挙げることができる。FM−DPLに関しては、Fuji Medical Review No.8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0409】
(本発明の用途)
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【実施例】
【0410】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0411】
実施例1
(PET支持体の作製)
1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作製した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cmで巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0412】
2)表面コロナ処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/mの処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0413】
3)下塗り
<下塗層塗布液の作製>
処方(1)(画像形成層側下塗り層用)
・高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 46.8g
・東洋紡績(株)製バイロナールMD−1200 10.4g
・ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5)1質量%溶液 11.0g
・綜研化学(株)製 MP−1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
・蒸留水 931mL
【0414】
処方(2)(バック面第1層用)
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 130.8g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32)
・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(8質量%水溶液)
5.2g
・ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10mL
・ポリスチレン粒子分散物(平均粒子径2μm、20質量%) 0.5g
・蒸留水 854mL
【0415】
処方(3)(バック面側第2層用)
・SnO/SbO(9/1質量比、平均粒径0.5μm、17質量%分散物)
84g
・ゼラチン 7.9g
・信越化学工業(株)製 メトローズTC−5(2質量%水溶液) 10g
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10mL
・NaOH(1質量%) 7g
・プロキセル(アビシア社製) 0.5g
・蒸留水 881mL
【0416】
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6mL/m(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(2)をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7mL/mになるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が8.4mL/mになるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0417】
(バック層)
1)バック層塗布液の調製
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物1を、2.5kg、及び界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)300g、ジフェニルスルホン800g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0g及び蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液を平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行った。
【0418】
2)染料固体微粒子分散液の調製
シアニン染料−1を6.0kg及びp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB 0.6kg、及び消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で、6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行った。
【0419】
3)ハレーション防止層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、等電点6.6のゼラチン(ニッピ(株)製ABAゼラチン)37g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに上記染料固体微粒子分散液36g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を73g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液43mLSBRラテックス(スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体;質量比68.3/28.7/3.0)10質量%液82gを混合し、完成液量773mLのハレーション防止層塗布液とした。完成液のpH値は、6.3であった。
【0420】
4)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、等電点4.8のゼラチン(宮城化学工業(株)製PZゼラチン)43g、ベンゾイソチアゾリノン0.21g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/Lの酢酸ナトリウム水溶液8.1mL、単分散ポリ(エチレングリコールジメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)微粒子(平均粒子サイズ7.7μm、粒径標準偏差0.3μm)0.93g、流動パラフィンの10質量%乳化物を5g、ヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリットの10質量%乳化物を10g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液17mL、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4mL、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4mL、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比96.4/3.6)ラテックス20質量%液30mLを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液50mLを混合し、完成液量855mLのバック面保護層塗布液とした。完成液のpH値は6.2であった。
【0421】
5)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラチン塗布量が0.54g/mとなるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.85g/mとなるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
【0422】
(画像形成層、中間層、及び表面保護層)
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mLに1質量%臭化カリウム溶液3.1mLを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5mL、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mLに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10mL添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8mL添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mLに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mLに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
【0423】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5mL加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10−5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10−4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10−3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mLを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
【0424】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0425】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mLに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10−4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10−4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10−3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0426】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10−3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10−4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10−3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0427】
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10−3モル添加した。
さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物1,2,3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10−3モルになる量を添加した。
吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物1,2をそれぞれハロゲン化銀1モルあたり5×10−3モルになる量を添加した。
【0428】
さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水した。塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
【0429】
2)脂肪酸銀分散物の調製
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0430】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a,b,cは本文の規定)。
【0431】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kg及び水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0432】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0433】
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤−1(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。
得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0434】
《その他の還元剤分散物の調製》
その他の還元剤分散物(表1に示す。)を還元剤−1分散物と同様にして調製した。得られた分散物中の還元剤粒子はメジアン径0.30μm〜0.60μm、最大粒子径2.0μm以下であった。
【0435】
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0436】
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
6)現像促進剤−2及び色調調整剤−1の分散物調製
現像促進剤−2及び色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
【0437】
7)ポリハロゲン化合物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調整し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0438】
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調整した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0439】
8)フタラジン化合物−1溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物−1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
【0440】
9)メルカプト化合物の調製
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0441】
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0442】
10)顔料−1分散物の調製
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調整して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0443】
11)画像形成層のバインダー
《SBRラテックス液の調製》
SBRラテックス(TP−1)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06mL、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mLに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NHイオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスTP−1を774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
【0444】
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
【0445】
《イソプレンラテックス液の調製》
イソプレンラテックス(TP−2)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/LのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mLに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mLに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NHイオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、イソプレンラテックスTP−2を1248g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、142ppmであった。
【0446】
上記ラテックスは平均粒径113nm、Tg=15℃、固形分濃度41.3質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.4質量%、イオン伝導度5.23mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
【0447】
12)中間層Aのバインダー
下記の種々のI/O比のポリマーラテックスを合成した。
【0448】
【化75】



【0449】
2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水、顔料−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、フタラジン化合物−1溶液、SBRラテックス(TP−1)、イソプレンラテックス(TP−2)、還元剤−1分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤Aを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0450】
2)中間層A塗布液の調製
ラテックスバインダー(表1示す。)、還元剤分散物(表1に示す。)、ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)(添加量を表1示す。)、顔料−1分散物163g、青色染料−1(日本化薬(株)製:カヤフェクトターコイズRNリキッド150)18.5質量%水溶液33g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液27mL、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27mL、およびフタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135mL、さらに総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
【0451】
3)中間層B塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mLに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mLを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mLをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0452】
4)最外層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mLに溶解し、流動パラフィンの10質量%乳化物を40g、ヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリチルの10質量%乳化物を40g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40mL、フッ素系界面活性剤(FF−1)の1質量%溶液を5.5mL、フッ素系界面活性剤(FF−2)の1質量%水溶液を5.5mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28mL、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21gを混合し、8.3mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0453】
3.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料1〜10の作製
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層塗布液、中間層A塗布液、中間層B塗布液、最外層塗布液の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層塗布液Aは31℃に、中間層塗布液Bは36℃に、最外層塗布液は37℃に温度調整した。
【0454】
【表1】


【0455】
このときの画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0456】
有機銀塩 5.27
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.14
ポリハロゲン化合物−2 0.28
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス(TP−1) 3.88
イソプレンラテックス(TP−2) 5.82
還元剤−1 0.77
水素結合性化合物−1 0.112
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.016
色調調整剤−1 0.006
メルカプト化合物−1 0.0018
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
【0457】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿した後、膜面を70℃〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0458】
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0459】
【化76】



【0460】
【化77】



【0461】
【化78】



【0462】
【化79】



【0463】
【化80】



【0464】
【化81】



【0465】
【化82】



【0466】
4.写真性能の評価
1)準備
各試料は半切サイズ(43cm長×35cm幅)に切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μmを積層したラミネートフィルム:
酸素透過率:0.02mL/atm・m・25℃・day;
水分透過率:0.10g/atm・m・25℃・day。
【0467】
2)熱現像感光材料の露光・現像
各試料は、富士フィルムメディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0468】
3)評価項目
(写真性)
<かぶり>
未露光部の濃度をかぶりとした。
<Dmax>
露光量を増加していったとき飽和する最大濃度である。
<感度>
かぶり+濃度1.0を得るのに必要な露光量の逆数であり、試料9の感度を100として相対値で示した。
【0469】
(画像色調)
画像の低濃度域(濃度0.3〜0.5の部分)、中濃度域(濃度1.0〜1.5の部分)、高濃度域(Dmax部分)の画像色調を官能評価した。
<基準>
○:冷黒調の好ましい色調である。
△:純黒調で実用上許容範囲内。
×:青味調もしくは褐色のいずれかの方向に偏った色調であり実用上許容範囲外。
【0470】
(画像保存性)
各試料を濃度1.2になるようにDRYPIX7000で露光現像した。その後、30000Luxのシャーカステン上に25℃60%の環境下で16時間放置した。放置前後の色調の変化を官能評価した。
○:変化が認められない。
△:試料を離して観察すると変化は認められないが、並べて観察すると変化が観察できる。
×:試料を離して観察しても変化が認められる。
【0471】
(画像の膜強度の評価)
−密着強度の評価−
濃度3.0になる様にDRYPIX7000で露光現像し、その後25℃、湿度10%RHで3時間調湿した。調湿された熱現像感光材料を森山X線用具(株)製のICインバータシャーカステンにかけ、そして外すという一連の操作を100回実施した。膜はがれが全く起きなかったものを○、膜はがれが起きたが画像欠損は無かった物を△、膜剥がれが起き画像欠損した物を×と評価した。評価はN=5で行い、異なる結果が出た場合は、もっとも頻度の多い物を評価結果として採用した。
【0472】
4)評価結果
得られた結果を表2に示した。
本発明の試料は、画像保存性に優れ、最高濃度が高く、膜強度が高く、耐久性に優れた画像が得られた。特にI/O比が0.11以上0.46以下であると画像色調に優れ、かつ画像保存安定性に優れていた。
【0473】
【表2】



【0474】
実施例2
《試料の作製》
実施例1の試料4において、中間層Aの銀イオンのための還元剤を表3に示すように変更して、試料21〜25を作製した。
【0475】
《性能評価》
実施例1と同様に評価した結果を表3に示した。本発明の試料は実施例1と同様に優れた性能を示した。
【0476】
【表3】


【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−33026(P2008−33026A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206599(P2006−206599)