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【発明の名称】 熱現像感光材料の製造方法およびそれにより製造された熱現像感光材料
【発明者】 【氏名】伏見 英生

【要約】 【課題】本発明の課題は、環境への負荷の少ない熱現像感光材料の製造方法およびそれにより製造された熱現像感光材料を提供することにある。

【構成】支持体の一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、および有機銀塩のための還元剤を含有する熱現像感光材料の製造方法であって、該熱現像感光材料が生物化学的酸素要求量(BOD値)が理論的酸素要求量(ThOD値)の60%以上である界面活性剤を0.01質量%以上および防腐剤を10ppm以上500ppm以下以上含有するポリマー分散物を含有し、前記製造方法が、少なくとも前記ポリマー分散物を容器に保存する工程、前記ポリマー分散物を該容器から取り出し塗布液を調製する工程、および該塗布液を塗布し乾燥する工程を有していて、前記ポリマー分散物を保存する容器として滅菌処理を施した容器を用いることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、および有機銀塩のための還元剤を含有する熱現像感光材料の製造方法であって、該熱現像感光材料が生物化学的酸素要求量(BOD値)が理論的酸素要求量(ThOD値)の60%以上である界面活性剤を0.01質量%以上および防腐剤を10ppm以上500ppm以下含有するポリマー分散物を含有し、前記製造方法が、少なくとも前記ポリマー分散物を容器に保存する工程、前記ポリマー分散物を該容器から取り出し塗布液を調製する工程、および該塗布液を塗布し乾燥する工程を有していて、前記ポリマー分散物を保存する容器として滅菌処理を施した容器を用いることを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【請求項2】
前記界面活性剤が3級または4級の炭素を合わせて2個以上有しないことを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項3】
前記ポリマー分散物中の前記界面活性剤の濃度が0.01質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項4】
前記防腐剤がイソチアゾリノン系防腐剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項5】
前記防腐剤がベンゾイソチアゾリノンであることを特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項6】
前記ポリマー分散物中の前記防腐剤の濃度が0.001質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項7】
前記ポリマー分散物がポリマーラテッックスであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項8】
前記ポリマーラテッックスがアクリル樹脂のラテックスであることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項9】
前記ポリマーラテッックスがSBRラテックスであることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項10】
前記ポリマーラテッックスがイソプレンラテックスであることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項11】
前記ポリマー分散物がポリマーマット剤であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項12】
前記滅菌処理が加熱滅菌処理であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項13】
前記塗布液がゼラチンを含有することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
【請求項14】
前記請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の製造方法により製造された熱現像感光材料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は熱現像感光材料の製造方法およびそれにより製造された熱現像感光材料に関するものである。特に、環境への負荷の少ない熱現像感光材料の製造方法およびそれにより製造された熱現像感光材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、知られている。特に、熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した画像形成層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。この方式は多くの文献に開示され、そして熱現像感光材料による医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DPLが発売されている。
【0005】
熱現像感光材料としては、有機溶剤塗布により製造される溶剤塗布型熱現像感光材料と、主バインダーとしてポリマーラテックスを用いて水性溶媒を用いて製造される水系塗布型熱現像感光材料がある。後者の方法は溶剤の回収等の工程が不要なため製造設備が簡単であり、環境負荷も小さくかつ大量生産に有利である。
【0006】
水系塗布型熱現像感光材料に用いられる素材の多くは水不溶性もしくは難溶性であるため、それらの水分散物を調製して後に塗布液に添加される(例えば、特許文献1、2参照。)。
水分散物の調製に当たっては、分散剤、分散安定化剤、および乳化重合における乳化剤等として多くの界面活性剤が用いられてきた。
しかしながら、長期に保管したポリマー分散物を用いると塗布面状故障を発生させる問題があった(例えば、特許文献3。)。
【0007】
また、近年、界面活性剤が河川に流出したり土壌に蓄積されて魚類あるいは植物・動物の食物連鎖により人類への影響が問題になっている。そのために生分解性の良い界面活性剤の開発が進み、多くの分野で環境に優しい生分解性の良い界面活性剤への切り替えが望まれている。熱現像感光材料の製造に際しても生分解性の良い界面活性剤の使用が望まれた。
【特許文献1】特開平10−10669号公報
【特許文献2】特開平10−10670号公報
【特許文献3】特開2002−99054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、環境への負荷が少なく、塗布面状故障を起こさない熱現像感光材料の製造方法およびそれにより製造された熱現像感光材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、以下の熱現像感光材料によって達成された。
<1> 支持体の一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、および有機銀塩のための還元剤を含有する熱現像感光材料の製造方法であって、該熱現像感光材料が生物化学的酸素要求量(BOD値)が理論的酸素要求量(ThOD値)の60%以上である界面活性剤を0.01質量%以上および防腐剤を10ppm以上500ppm以下含有するポリマー分散物を含有し、前記製造方法が、少なくとも前記ポリマー分散物を容器に保存する工程、前記ポリマー分散物を該容器から取り出し塗布液を調製する工程、および該塗布液を塗布し乾燥する工程を有していて、前記ポリマー分散物を保存する容器として滅菌処理を施した容器を用いることを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
<2> 前記界面活性剤の炭素原子が1級〜3級炭素原子であってし、4級炭素原子を有しないことを特徴とする<1>に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<3> 前記ポリマー分散物中の前記界面活性剤の濃度が0.01質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<4> 前記防腐剤がイソアチアゾリノンまたはその誘導体であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<5> 前記防腐剤がベンゾイソアチアゾリノンであることを特徴とする<4>に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<6> 前記ポリマー分散物中の前記防腐剤の濃度が0.001質量%以上0.05質量%以下であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<7> 前記ポリマー分散物がポリマーラテッックスであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<8> 前記ポリマーラテッックスがアクリル樹脂のラテックスであることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<9> 前記ポリマーラテッックスがSBRラテックスであることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<10> 前記ポリマーラテッックスがイソプレンラテックスであることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<11> 前記ポリマー分散物がポリマーマット剤であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<12> 前記滅菌処理が加熱滅菌処理であることを特徴とする<1>〜<11>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<13> 前記塗布液がゼラチンを含有することを特徴とする<1>〜<12>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料の製造方法。
<14> 前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の製造方法により製造された熱現像感光材料。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、環境への負荷の少ない熱現像感光材料の製造方法およびそれにより製造された熱現像感光材料が提供される。
【0011】
なお、本願の記載における「〜」で前後に記載される数値は、その数値を含み下限と上限を意味する。例えば、「2〜100」と記載されている場合、「2以上100以下」を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.熱現像感光材料の製造方法
本発明の熱現像感光材料の製造方法は、支持体の一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、および有機銀塩のための還元剤を含有する熱現像感光材料の製造方法であって、該熱現像感光材料がBOD値がThOD値の60%以上である界面活性剤を0.01質量%以上および防腐剤を10ppm以上500ppm以下含有するポリマー分散物を含有し、前記製造方法が、少なくとも前記ポリマー分散物を容器に保存する工程、前記ポリマー分散物を該容器から取り出し塗布液を調製する工程、および該塗布液を塗布し乾燥する工程を有していて、前記ポリマー分散物を保存する容器として滅菌処理を施した容器を用いることを特徴とする。
【0013】
本発明者らは、熱現像感光材料の製造に際して、生分解性の良い界面活性剤の使用を鋭意検討した。しかしながら、製造に用いるポリマー分散物が分散物調製後、保存されている期間が長くなるにつれて、その分散物を用いて塗布された熱現像感光材料の面状が著しく悪化する問題に直面した。
塗布面状の悪化は生分解性の良い界面活性剤を用いると特に大きかった。
原因の解析と改良手段を探索した結果、本発明の製造方法の発明に到達した。
また、この時、防腐剤を増量するとポリマー分散物が凝集しやすくなり塗布面状に悪影響を及ぼす事が明らかになった。
【0014】
BODは、生物化学的酸素要求量であって、OECDTG301Cに準じて、25℃28日間攪拌しながら保存したときに消費される溶存酸素の量から求められる。
ThODは、理論的酸素要求量であって、該当する化学物質が完全に酸化される際に必要とされる酸素の量を計算することにより求められる。
熱現像感光材料用の水分散物に用いられる界面活性剤のBOD値がThOD値の60%以上であると生分解性が良好であり、環境中に排出された場合の環境負荷が小さい半面、ポリマー分散物の保存安定性に問題があり、60%未満では環境負荷が大きく好ましくない。
【0015】
防腐剤の添加量が10ppm未満では充分な保存安定性の改良効果が得られないために好ましくなく、また、防腐剤の添加量が500ppmを超えるとポリマー分散物の凝集性が悪化するために好ましくない。
【0016】
好ましくは、前記界面活性剤の炭素原子が3級または4級の炭素を合わせて2個以上有しない。好ましくは、前記ポリマー分散物中の前記界面活性剤の濃度が0.01質量%以上5.0質量%以下である。
好ましくは、前記防腐剤がイソアチアゾリノン系であり、より好ましくは、前記防腐剤がベンゾイソアチアゾリノンである。好ましくは、前記ポリマー分散物中の前記防腐剤の濃度が0.001質量%以上0.05質量%以下である。
好ましくは、前記ポリマー分散物がポリマーラテッックスである。好ましくは、前記ポリマーラテッックスがアクリル樹脂のラテックス、SBRラテックス、もしくはイソプレンラテックスである。
別の好ましい態様は、前記ポリマー分散物がポリマーマット剤である。
好ましくは、前記滅菌処理が加熱滅菌処理である。
好ましくは、前記塗布液がゼラチンを含有する。
【0017】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明ではOECD Test Guideline301CでのBOD値がThOD値の60%以上である界面活性剤を用いる。上記BOD/ThODで表される分解率の値が60%より小さい界面活性剤は、環境中での生分解性が悪く好ましくない。分解率が60%以上である界面活性剤の具体例としてはアルキルベンゼンスルホン酸塩(ソフト型)、α−オレフィンスルホン酸塩、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
また、界面活性剤の生分解性には疎水部の枝分かれが大きく影響することが従来から知られており、疎水部の枝分かれを増やす事により、生分解性が低下する。そのような界面活性剤を用いる事により、上記分散物の保管安定性を向上させることができるが、環境への負荷が大きく好ましくない。本発明では、疎水部に飽和の3級もしくは4級炭素を合わせて2個以上持たない界面活性剤を用いることが好ましく、なかでもメチル基を2個以上有しないことが好ましい。
【0020】
界面活性剤は単独で用いても、2種以上を併用しても構わないが、2種以上を併用する場合はBOD/ThOD≧60%となる界面活性剤の合計量が、ポリマー分散物に対し0.01質量%〜5.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜3.0質量%である事がより好ましい。
複数の界面活性剤を併用する場合、BOD/ThOD≧60%である界面活性剤が上記の量である限り、任意の量のBOD/ThOD<60%の界面活性剤を添加することができるが、界面活性剤の総量が0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、また環境上の観点から界面活性剤量(分解率≧60%)/界面活性剤量(分解率<60%)の比が1/1以上であることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられる防腐剤に特に制限はないが、特開2002−99054号公報の段落番号35から49に記載されているような写真用防腐剤が好ましく、熱現像時の環境中への放出という観点から防腐剤は沸点が120℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。
上記写真用防腐剤のなかでもかぶりへの影響が小さい事から、該公報中、一般式[II]で表されているイソアチアゾリノン系防腐剤がより好ましく、なかでも一般式(1)で表されるベンゾイソアチアゾリノン型の防腐剤が感度への影響が少ないためさらに好ましく、なかでも1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
【0022】
本発明における滅菌処理とは、容器内部の好気性細菌の数を容器体積1cm当り100c.f.u.以下とする操作のことを指す。この菌数は、滅菌操作を行った直後に無菌水を容器全体に行き渡るまで張り、張り込み直後の液中の好気性菌数を寒天培地法などにより計数することによって求める事ができる。
【0023】
容器の滅菌法については特に制限なく、公知の方法を用いる事ができる。具体的には蒸気や熱水による滅菌、エチレンオキサイドなどのガスによる滅菌、ホルマリン、エタノール等の薬品による滅菌、あるいはマイクロ波やUVの照射による滅菌などを挙げることができる。
なかでも残留薬剤による写真性への影響がないことから、蒸気や熱水による殺菌か電磁波の照射による殺菌が好ましい。ボールバルブを有する容器など複雑な構造を持つ容器については、構造内部まで殺菌するために蒸気や熱水による殺菌がさらに好ましく、熱水による殺菌が特に好ましい。
【0024】
熱水による滅菌は、容器中に熱水を充填し、容器全体に熱水が行き渡った状態を保持したのち、熱水を排出する事により行う。このとき、熱水は60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。また熱水は容器全体に行き渡った状態ならば、滞留させていても通水していても良いが、熱水は容器全体に行き渡った状態を5分以上保持することが好ましく、30分以上保持することがさらに好ましい。
熱水の温度が60℃よりも低かったり、保持時間が5分よりも短いと充分な滅菌を行う事ができず、所望の効果をえることができず好ましくない。
【0025】
滅菌処理を施した容器へのポリマー分散物の保存は、滅菌処理後1日以内に行う事が好ましく、5時間以内に行う事がさらに好ましい。滅菌処理後1日以上たってから保存を行う事は、大気中から混入した菌が容器内部で繁殖している場合があり好ましくない。さらに、素材単位量当りの菌混入を低減させるために、容器内壁の面積が保管するポリマー分散物1mL当り1cm以下とする事が好ましく、0.1cm以下とすることがさらに好ましい。
【0026】
(ポリマー分散物の説明)
本発明における滅菌処理された容器に保存されるポリマー分散物は熱現像感光材料中に含有されるいかなるポリマーであっても良い。例えば、画像形成層、中間層、表面保護層、あるいはバック層に用いられるポリマーラテックス、表面保護層やバック層に用いられるポリマーマット剤が挙げられる。
【0027】
本発明におけるBOD/ThOD≧60%の界面活性剤をポリマー分散物中に添加する場合、ポリマー成分に対し0.01質量%〜5.0質量%となるよう添加することが好ましく、0.5質量%〜3.0質量%であることがさらに好ましい。過剰な界面活性剤をもちいることはかぶりを悪化させるため好ましくない。また、ポリマー分散物のpHは5以上であることが好ましく、6〜9であることがさらに好ましい。pHが低すぎるとポリマーの凝集安定性が低下するため好ましくなく、pHが高すぎると熱現像感光材料の色調に影響があるため好ましくない。
【0028】
1)ポリマーラテックス
本発明において、ポリマーラテックスの平均粒径は1nm以上50000nm以下、好ましくは5nm以上1000nm以下の範囲で、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0029】
本発明においてポリマーとしては、特に制限はないが、ゴム類(例えばSBR樹脂、イソプレン樹脂など)、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000以上1000000以下、好ましくは10000以上200000以下がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
本発明の疎水性ポリマーのTgは−30℃以上70℃以下の範囲にあるものが好ましい。さらに好ましくは−10℃以上35℃以下であり、最も好ましくは0℃以上35℃以下である。Tgが−30℃より低い場合、成膜性に優れてはいるが、耐熱強度の弱い膜となり、70℃よりも高い場合には、ポリマーの耐熱強度は優れているが、成膜性が不十分な膜となるため好ましくない。ただし、このようなTgとするために、2種以上のポリマーを用いて調製することも可能である。すなわち、上記範囲外のTgを有するポリマーであっても、その質量平均Tgが上記の範囲に入ることが好ましい。
画像形成層に用いるポリマーは、I/O値が、0.025以上0.5以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05以上0.3以下である。I/O値とは、有機概念図に基づく無機性基を有機性基で割った値である。I/O値が、0.025より低い場合は、水系の溶媒に対する親和性に乏しく、水系の塗布液で塗布することが困難となり、0.5より高い場合には、出来上がった膜が親水的な膜となり湿度に対する写真性に影響を及ぼし、写真性能が著しく悪化するため好ましくない。I/O値は、「有機概念図−基礎と応用−」(1984年 甲田善生著、三共出版発行)に記載の方法によって求めることができる。
【0030】
ここで、有機概念図とは、化合物の性質を共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基に分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものであり、これに基づく無機性値とは無機性、すなわち種々の置換基の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に定め、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定めた値である。一方有機性値とは、有機性の数値の大小は分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の数で測ることができるとし、基本になる炭素数1個の数値は、直鎖化合物の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値20℃を取り、これを基準に20と定めた値である。この無機性値と有機性値は、グラフ上で1対1に対応する様に定めてある。I/O値はこれらの値から算出したものである。
【0031】
本発明において好ましいポリマーラテックスは、ゴム類(例えばSBR樹脂、イソプレン樹脂など)、およびアクリル系ポリマーラテックスである。なかでも、ゴム類のラテックスを画像形成層に用いる事が好ましく、アクリル系のラテックスを中間層および保護層に用いる事が好ましい。
【0032】
《ゴム類ラテックス》
本発明におけるポリマーラテックスとしてより好ましいものは、一般式(M)で表されるモノマーを共重合させたポリマーである。
【0033】
一般式(M)
CH=CR01−CR02=CH
式中、R01およびR02は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基より選ばれる基である。
【0034】
01およびR02の好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
01およびR02として、特に好ましくは、両方が水素原子か、または、一方が水素原子で他方がメチル基、又は塩素原子である。
【0035】
本発明における一般式(M)で表されるモノマーの具体例としては、1、3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロル−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエンがあげられる。
【0036】
本発明において、一般式(M)で表されるモノマーと共重合され得る他のモノマーとしては、特に制限はなく、通常のラジカル重合又はイオン重合法で重合可能なものであれば、好適に用いることができる。
好ましく用いることができるモノマーとして、下記に示すモノマー群(a)〜(j)から独立かつ自由に組み合わせて選択することができる。
【0037】
−モノマー群(a)〜(j)−
(a)共役ジエン類:1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロル−1,3−ブタジエン、またはシクロペンタジエン等。
(b)オレフィン類:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、または1,2,5−トリビニルシクロヘキサン等。
(c)α,β−不飽和カルボン酸及びその塩類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、またはイタコン酸カリウム等。
【0038】
(d)α,β−不飽和カルボン酸エステル類:アルキルアクリレ−ト(例えば、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト、シクロヘキシルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、またはドデシルアクリレ−ト等)、置換アルキルアクリレ−ト(例えば、2−クロロエチルアクリレ−ト、ベンジルアクリレ−ト、2−シアノエチルアクリレ−ト等)、アルキルメタクリレ−ト(例えば、メチルメタクリレ−ト、ブチルメタクリ−レ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、またはドデシルメタクリレ−ト等)、置換アルキルメタクリレ−ト(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト、グリセリンモノメタクリレ−ト、2−アセトキシエチルメタクリレ−ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレ−ト、2−メトキシエチルメタクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノメタクリレ−ト(ポリオキシプロピレンの付加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレ−ト、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレ−ト、2−カルボキシエチルメタクリレ−ト、3−スルホプロピルメタクリレ−ト、4−オキシスルホブチルメタクリレ−ト、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレ−ト、アリールメタクリレ−ト、または2−イソシアナトエチルメタクリレ−ト等)、不飽和ジカルボン酸の誘導体(例えば、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル等)、多官能エステル類(例えばエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、1,4−シクロヘキサンジアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラメタクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、トリメチロ−ルエタントリアクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルペンタメタクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト、または1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレ−ト等)。
【0039】
(e)β−不飽和カルボン酸のアミド類:例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、メチレンビスアクリルアミド、またはジメタクリロイルピペラジン等。
(f)不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(g)スチレン及びその誘導体:スチレン、ビニルトルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレン、または1,4−ジビニルベンゼン等。
(h)ビニルエ−テル類:メチルビニルエ−テル、ブチルビニルエ−テル、またはメトキシエチルビニルエ−テル等。
(i)ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、またはサリチル酸ビニルクロロ酢酸ビニル等。
(j)その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリン、またはジビニルスルホン等。
【0040】
好ましくは、スチレン、アクリル酸、及び/又はアクリル酸エステルとの共重合である。さらに、出来上がった疎水性ポリマーを分散安定性の良い水分散物として使用できる点から、スチレン及びアクリル酸をモノマー単位として有する共重合体であることが好ましい。
一般式(M)で表されるモノマーと他のモノマーとの共重合比率は特に制限は無いが、好ましくは、一般式(M)で表されるモノマーを10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上65質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下で共重合する場合である。
【0041】
《アクリル系ポリマーラテックスの説明》
また、本発明にもちいられるもう一つの好ましいポリマーラテックスはアクリル系のラテックスである。ここで言うアクリル系ポリマーラテックスとは、共重合モノマー成分として、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類を20〜99.9モル%含有するラテックスのことである。特に好ましくは炭素数2〜12のアルコール成分から誘導されたアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、炭素数4〜12のアミン成分から誘導されたアクリルアミド類、メタクリルアミド類を含有するラテックスが好ましい。ラテックスの共重合成分として、少量のアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの酸成分、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの親水性モノマーを使用することも安定性を付与するうえから好ましい。
【0042】
《ポリマーの具体例》
好ましい疎水性ポリマーの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0043】
LP−1;−MMA(55)−EA(42)−MAA(3)−のラテックス(Tg39℃、I/O値0.636)
LP−2;−MMA(47)−EA(50)−MAA(3)−のラテックス(Tg29℃、I/O値0.636)
LP−3;−MMA(17)−EA(80)−MAA(3)−のラテックス(Tg−4℃、I/O値0.636)
LP−4;−EA(97)−MAA(3)−のラテックス(Tg−20℃、I/O値0.636)
LP−5;−EA(97)−AA(3)−のラテックス(Tg−21℃、I/O値0.648)
LP−6;−EA(90)−AA(10)−のラテックス(Tg−15℃、I/O値0.761)
LP−7;−MMA(50)−2EHA(35)−St(10)−AA(5)−のラテックス(Tg34℃、I/O値0.461)
LP−8;−MMA(30)−2EHA(55)−St(10)−AA(5)−のラテックス(Tg3℃、I/O値0.398)
LP−9;−MMA(10)−2EHA(75)−St(10)−AA(5)−のラテックス(Tg−23℃、I/O値0.339)
LP−10;−MMA(60)−BA(36)−AA(4)−のラテックス(Tg29℃、I/O値0.581)
LP−11;−MMA(40)−BA(56)−AA(4)−のラテックス(Tg−2℃、I/O値0.545)
LP−12;−MMA(25)−BA(71)−AA(4)−のラテックス(Tg−22℃、I/O値0.519)
LP−13;−MMA(42)−BA(56)−AA(2)−(分子量540000、Tg−4℃、I/O値0.530)
LP−14;−St(40)−BA(55)−AA(5)−のラテックス(Tg−2℃、I/O値0.319)
LP−15;−St(25)−BA(70)−AA(5)−のラテックス(Tg−21℃、I/O値0.377)
LP−16;−MMA(58)−St(8)−BA(32)−AA(2)−のラテックス(Tg34℃、I/O値0.515)
LP−17;−MMA(50)−St(8)−BA(35)−HEMA(5)−AA(2)−のラテックス(Tg27℃、I/O値0.542)
LP−18;−MMA(42)−St(8)−BA(43)−HEMA(5)−AA(2)−のラテックス(Tg14℃、I/O値0.528)
LP−19;−MMA(24)−St(8)−BA(61)−HEMA(5)−AA(2)−のラテックス(Tg−12℃、I/O値0.498)
LP−20;−MMA(48)−St(8)−BA(27)−HEMA(15)−AA(2)−のラテックス(Tg39℃、I/O値0.619)
LP−21;−EA(96)−AA(4)−のラテックス(Tg−21℃、I/O値0.664)
LP−22;−EA(46)−MA(50)−AA(4)−のラテックス(Tg−4℃、I/O値0.739)
LP−23;−EA(80)−HEMA(16)−AA(4)−のラテックス(Tg−9℃、I/O値0.775)
LP−24;−EA(86)−HEMA(10)−AA(4)−のラテックス(Tg−13℃、I/O値0.733)
LP−25;−St(45)−Bu(52)−MAA(3)−のラテックス(Tg−26℃、I/O値0.990)
LP−26;−St(55)−Bu(42)−MAA(3)−のラテックス(Tg−9℃、I/O値0.105)
LP−27;−St(60)−Bu(37)−MAA(3)−のラテックス(Tg1℃、I/O値0.109)
LP−28;−St(68)−Bu(29)−MAA(3)−のラテックス(Tg17℃、I/O値0.114)
LP−29;−St(75)−Bu(22)−MAA(3)−のラテックス(Tg34℃、I/O値0.119)
LP−30;−St(40)−BA(58)−AA(2)−のラテックス(Tg−8.1℃、I/O値0.293)
LP−31;−St(40)−BA(58)−MAA(2)−のラテックス(Tg−7.1℃、I/O値0.287)
LP−32;−St(57.2)−BA(27.7)−MMA(8.7)−HEMA(4.8)−AA(1.6)のラテックス(Tg37.8℃、I/O値0.269)
LP−33;−St(49.6)−BA(40)−MMA(4)−HEMA(4.8)−AA(1.6)のラテックス(Tg16.7℃、I/O値0.289)
LP−34;−St(80)−2EHA(18)−AA(2)−のラテックス(Tg59.7℃、I/O値0.148)
LP−35;−St(70)−2EHA(28)−AA(2)−のラテックス(Tg40.9℃、I/O値0.164)
LP−36;−St(10)−2EHA(38)−MMA(50)−AA(2)−のラテックス(Tg25.6℃、I/O値0.427)
LP−37;−St(10)−2EHA(58)−MMA(30)−AA(2)−のラテックス(Tg−3.9℃、I/O値0.365)
LP−38;−St(10)−2EHA(78)−MMA(10)−AA(2)−のラテックス(Tg−28.1℃、I/O値0.308)
LP−39;−St(20)−2EHA(68)−MMA(10)−AA(2)−のラテックス(Tg−16.8℃、I/O値0.285)
LP−40;−St(30)−2EHA(58)−MMA(10)−AA(2)−のラテックス(Tg−4.4℃、I/O値0.263)
LP−41;−MMA(45)−BA(52)−イタコン酸(3)−のラテックス(Tg4℃、I/O値0.560)
【0044】
LP−42;−St(62)−Bu(35)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg5℃)
LP−43;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
LP−44;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
LP−45;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性、Tg23℃)
LP−46;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
LP−47;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性、Tg6℃)
LP−48;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg26℃)
LP−49;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
LP−50;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
LP−51;−St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃)
LP−52;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg27℃)
LP−53:MMA/BA/St/2−HEMA/AA=58/27/8/5/2(Tg42℃、I/O値0.552)
【0045】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、MA;メチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,HEMA;ヒドロキシエチルメタクリレート、St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,IA;イタコン酸。
【0046】
上記の疎水性ポリマーのラテックスは市販されていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上、三井化学(株)製)などを挙げることができる。
【0047】
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のLP−42〜LP−50、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、Nipol Lx416(日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
スチレン−イソプレン共重合体のラテックスとしては、前記のLP−51、LP−52等が挙げられる。
アクリル系ラテックスとしては、前記のLP−53等が挙げられる。
【0048】
これらの疎水性ポリマーの水分散物は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0049】
《併用できるバインダー》
本発明におけるポリマーラテックスには、必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は、ポリマーラテックス固形分に対して30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0050】
《併用できる造膜助剤》
本発明におけるポリマーラテックスには、最低造膜温度をコントロールするために、造膜助剤を添加しても良い。造膜助剤は一時可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))に記載されている。好ましい造膜助剤は以下の化合物であるが、本発明で用い得る化合物は、以下の具体例に限定されるものではない。
・Z−1:ベンジルアルコール
・Z−2:2,2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
・Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
・Z−4:ジエチレングリコール
【0051】
《塗布量》
本発明におけるポリマーラテックスを画像形成層に用いる場合、好ましくは0.2g/m〜30g/m、より好ましくは1g/m〜15g/m、さらに好ましくは2g/m〜11g/mの範囲である。画像形成層におけるポリマーラテックス固形分/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。また、感光性ハロゲン化銀が含有された画像形成層でもあり、このような場合の、ポリマーラテックス固形分/ハロゲン化銀の質量比は400〜5が好ましく、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0052】
本発明におけるポリマーラテックスを非感光性中間層、表面保護層、あるいはバック層に用いる場合の塗布量は、好ましくは、0.1g/m以上10g/m以下であり、より好ましくは、0.3g/m以上7g/m以下、もっとも好ましくは0.5g/m以上5g/m以下である。
【0053】
2)ポリマーマット剤
本発明において、表面保護層およびバック層の少なくとも一方にマット剤を添加することが好ましい。
バック面に用いられるマット剤は、50質量%以上が平均粒子サイズが1μm以上15μm以下の微粒子マット剤が好ましい。より好ましくは、平均粒子サイズが3μm以上10μm以下である。マット剤はバック面のいかなる層に添加しても良いが、より好ましくは、前記バック層が少なくとも2層の非感光性層を含み、前記マット剤を最外層の該非感光性層に含有する。
一方、画像形成層を有する面側に用いられるマット剤は、平均粒子サイズが0.5μm以上10μm以下、より好ましくは、平均粒子サイズが2μm以上6μm以下である。好ましくは、前記画像形成層の前記支持体とは反対面側に少なくとも1層の非感光性層を有し、前記マット剤を最外層の該非感光性層に含有する。
本発明に用いられるマット剤粒子は、単分散粒子が好ましく、サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。
本発明に用いられるマット剤粒子は、有機粒子もしくは無機粒子であり、好ましくは有機粒子である。
【0054】
本発明に用いられるマット剤粒子は、予めバインダーによって分散し、マット剤粒子分散物として使用することが好ましい。好ましくは、前記バインダーはゼラチンである。
【0055】
<マット剤粒子の具体例>
以下に本発明において好ましく使用されるマット剤の例を示すが、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0056】
ポリマー組成としては、ビニル重合体であることが好ましく、例えばポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどを主成分とするものが挙げられるが、特に架橋されたポリマーラテックスの好例としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(エチレングリコールジメタクリレートコ−メチルメタクリレート)が挙げられる。
【0057】
これらのものは市販もされており、市販のものを使用することができる。
以下に本発明において好ましく使用されるマット剤の例を示すが、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
M−1:ポリエチレン粒子(フロービーズLE−1080 住友精化(株)製)
M−2:ポリエチレン粒子(フロービーズEAー209 住友精化(株)製)
M−3:ポリエチレン粒子(フロービーズHE−3040 住友精化(株)製)
M−4:シリコーン粒子(比重0.97)
M−5:シリコーン粒子(比重1.00)(E701 東レダウシリコーン(株)製)
M−6:シリコーン粒子(比重1.03)
M−7:ポリスチレン粒子(比重1.05)(SB−6 積水化成品工業(株)製)
M−8:ポリ(St/MAA=97/3)共重合体粒子
M−9:ポリ(St/MAA=90/10)共重合体粒子
M−10:ポリ(St/MMA/MAA=50/40/10)共重合体粒子
M−11:架橋ポリエチレン粒子(比重0.92)
M−12:架橋ポリエチレン粒子(比重0.95)
M−13:架橋ポリエチレン粒子(比重0.98)
M−14:架橋シリコーン粒子(比重0.99)
M−15:架橋シリコーン粒子(比重1.02)
M−16:架橋シリコーン粒子(比重1.04)
M−17:ポリ(St/DVB=90/10)粒子(SX−713 綜研化学(株)製)
M−18:ポリ(St/DVB=80/20)粒子(SX−713 綜研化学(株)製)
M−19:ポリ(St/DVB=70/30)粒子(SX−713 綜研化学(株)製)
M−20:ポリ(St/MAA/DVB=87/3/10)共重合体粒子(SX−713α 綜研化学(株)製)
M−21:ポリ(St/MAA/DVB=80/10/10)共重合体粒子(SX−713α 綜研化学(株)製)
M−22:ポリ(St/MMA/MAA/DVB=40/40/10/10)共重合体粒子
M−23:PMMA粒子(MX−675 綜研化学(株)製)
【0058】
<マット剤粒子の塗布量>
バック面のマット剤粒子の塗布量は、前記バック層を有する面の表面光沢度に対する前記画像形成層を有する面の表面光沢度の比が1.1以上、好ましくは1.4以上となるのに十分な量である。添加量は粒子サイズおよびサイズ分布によって異なってくるが、ほぼ1mg/m〜400mg/m、好ましくは10mg/m〜200mg/mである。
一方、画像形成層面のマット剤粒子の塗布量は、表面の接着故障やすべり性を確保するの必要な最低限の量を用いることが好ましく、表面光沢度が70以上、好ましくは90以上を維持し得る範囲内に留められる。画像形成層面のマット剤粒子の塗布量は、ほぼ1mg/m〜400mg/m、好ましくは10mg/m〜200mg/mである。
【0059】
画像形成層面側にマット剤を含有させるときは、マット剤の含有量を星屑故障が生じない程度にするのが一般的であり、好ましくはベック平滑度が500秒以上10,000秒以下になる程度とし、さらに好ましくは500秒以上2,000秒以下になる程度にする。バック層にマット剤を含有させるときは、ベック平滑度が2000秒以下10秒以上になる程度にするのが好ましく、1500秒以下50秒以上になる程度にするのがさらに好ましい。なお、本明細書におけるベック平滑度は、JIS P8119およびTAPPI T479より求められる。
【0060】
上述のマット剤粒子を分散する方法は、水性溶媒中に予め分散助剤として、バインダーを含有する水性媒体を存在させ、公知の高速撹拌手段(例えば、ディスバー乳化機、ホモミキサー、タービンミキサー、またはホモジナイザー)や超音波乳化機等を用い、機械的に分散することができる。分散に際しては、起泡を抑制するために、大気圧よりも減圧状態にて分散する手段を併用することもできる。使用する分散助剤は、予め水性媒体中に溶解してから、マット剤粒子を添加するのが一般的な方法であるが、有機合成化合物である場合は予めマット剤粒子が重合によって得られた水分散物のままで(乾燥工程を経ることなしに)添加されても良い。分散助剤は、分散中に分散液に添加することもできる。また、分散後の物性の安定化のために、分散液に添加することもできる。いずれの場合も、溶媒(例えば、水・アルコールなど)を共存させるのが一般的である。分散前後または分散中に、適当なpH調整剤によりpHコントロールしても良い。
機械的に分散する手段以外にも、pHをコントロールすることで、分散後のマット剤粒子分散物の安定性を増しても良い。また、分散には補助的に極少量の低沸点有機溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は、微粒子化終了後除去される。
調製された分散物は、保存時のマット剤粒子の沈降を抑える目的で、撹拌しながら保存したり、親水性コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー状態にする)で保存したりすることもできる。また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で、防腐剤を添加することが好ましい。
バインダーは、マット剤粒子に対して5質量%以上300質量%以下となるように添加し分散させることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上200質量以下となるように添加する。
【0061】
(非感光性有機銀塩)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
【0062】
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸銀含有率を1モル%以下とすることにより、Dminが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸銀含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
【0063】
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
【0064】
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5を越える長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
【0065】
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0066】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
【0067】
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
【0068】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0069】
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
【0070】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0071】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して熱現像感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%〜30モル%の範囲が好ましく、更に2モル%〜20モル%、特に3モル%〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0072】
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1g/m〜3.0g/mが好ましく、より好ましくは0.5g/m〜2.0g/m、さらに好ましくは0.8g/m〜1.7g/mである。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.5g/m以下、より好ましくは1.3g/m以下であることが好ましい。本発明の好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度をが可能である。
【0073】
(還元剤)
本発明の熱現像感光材料には銀イオンのための還元剤である熱現像剤を含むことが好ましい。還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
【0074】
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
【0075】
【化1】



【0076】
一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。XおよびX’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
【0077】
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、およびハロゲン原子等が挙げられる。
【0078】
2)R12およびR12’、XおよびX
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、XおよびX’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、およびアシルアミノ基が挙げられる。
【0079】
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、および3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、およびスルファモイル基などが挙げられる。
【0080】
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数1〜15の1級、2級または3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、および1−メチルシクロプロピル基などが挙げられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、または1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
【0081】
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、およびメトキシエチル基などが挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
およびX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0082】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、該アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、または3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、または2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
【0083】
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基の場合、R13は炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、または2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基以外のアルキル基の場合、R13は水素原子が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でない場合、R13は水素原子または2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13の2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0084】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
【化2】



【0086】
上記以外の本発明の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号、EP1278101A2号に記載された化合物である。
【0087】
本発明において還元剤の添加量は0.1g/m〜3.0g/mであることが好ましく、より好ましくは0.2g/m〜1.5g/mで、さらに好ましくは0.3g/m〜1.0g/mである。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%〜30モル%であり、10モル%〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
【0088】
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0089】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
【0090】
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
【0091】
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
【0092】
(感光性ハロゲン化銀)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、またはヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀およびヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0093】
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
【0094】
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0095】
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0096】
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第6族〜第13族の金属又は金属錯体を含有することが出来る。好ましくは、第6族〜第10族の金属または金属錯体である。周期律表の第6族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、鉄、ロジウム、ルテニウム、およびイリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モルから1×10−3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0097】
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir(CN)3−、[Cr(CN)3−、および[Re(CN)3−などが挙げられる。
本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0098】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、またはテトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0099】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、またはアミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0100】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10−4モル以上1×10−3モル以下である。
【0101】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0102】
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0103】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0104】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0105】
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0106】
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やかぶりの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10−6モル〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10−4モル〜10−1モルである。
【0107】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。
本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0108】
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0109】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価または+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、またはピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特開2002−278016号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0110】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−8モル〜10−2モル、好ましくは10−7モル〜10−3モル程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−7モルから10−3モル、より好ましくは10−6モル〜5×10−4モルである。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40℃〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0111】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、またはポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0112】
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
【0113】
本発明における熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
【0114】
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28頁〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0115】
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開平2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開平2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開平2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開平2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開平2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開平2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開平2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特開2004−239943号に記載の一般式(1)と同義)、又は化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特開2004−245929号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0116】
【化3】



【0117】
式中RED、REDは還元性基を表す。Rは炭素原子(C)とREDとともに5員若しくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、若しくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。同一分子内に複数のRが存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。Lは脱離基をあらわす。EDは電子供与性基をあらわす。Zは窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。Xは置換基を表し、m1は0〜3の整数を表す。Zは、−CR1112−、−NR13−、又は−O−を表す。
11、R12はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。R13は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Xはアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Lはカルボキシ基若しくはその塩又は水素原子を表す。XはC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。YはC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。
【0118】
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開平2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特開2004−245929号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
【0119】
【化4】



【0120】
式中、Xは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはXが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。LはXとYを連結する連結基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。同一分子内に複数のRが存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。XはC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。YはC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。
【0121】
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開平2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
【0122】
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
【0123】
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、または1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、またはインダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及び5−メルカプトテトラゾール基である。
【0124】
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、および3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
【0125】
また窒素又はリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基など)又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
【0126】
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF、PF、およびPh等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオン又はメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
【0127】
吸着性基として窒素又はリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
【0128】
一般式(X) (P−Q−)−R(−Q−S)
【0129】
一般式(X)においてP、Rは、各々独立して増感色素の部分構造ではない窒素又はリンの4級塩構造を表す。Q、Qは、各々独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)又は(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1又は2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
【0130】
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することもできる。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
【0131】
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、水、メタノール、またはエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
【0132】
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は、増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9モル〜5×10−1モル、更に好ましくは1×10モル〜5×10−2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
【0133】
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0134】
式(I) A−(W)n−B
式(I)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
【0135】
式(I)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
【0136】
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、およびトリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li、Na、K、Mg、Ag、またはZn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、−S−基又は−Se−基又は−Te−基又は=N−基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、またはプリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、およびベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−、又は−S−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
【0137】
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
【0138】
式(I)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、または2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
【0139】
式(I)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、またはヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO−、−O−、−S−、および−NR−、これらの連結基の組み合わせ等が挙げられる。ここでRは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、またはアリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
【0140】
式(I)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
【0141】
式(I)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150頁−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282頁−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明におけるBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0V〜約0.7Vの範囲である。
【0142】
式(I)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
【0143】
本発明における式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0144】
本発明における式(I)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明における式(I)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
【0145】
以下に本発明における式(I)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0146】
【化5】



【0147】
さらに欧州特許1308776A2号明細書p73〜p87に記載の具体的化合物1〜30、1”−1〜1”−77も本発明における吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
【0148】
これらの化合物は公知の方法にならって容易に合成することができる。本発明における式(I)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
【0149】
本発明における式(I)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また画像形成層に使用するのが好ましいが、画像形成層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6モル以上1モル以下、好ましくは1×10−5モル以上5×10−1モル以下、さらに好ましくは1×10−4モル以上1×10−1モル以下である。
【0150】
本発明における式(I)の化合物は、水、メタノール、またはエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸又は塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
【0151】
11)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0152】
12)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m当たりの塗布銀量で示して、0.03g/m以上0.6g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上0.4g/m以下であることがさらに好ましく、0.07g/m以上0.3g/m以下であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
【0153】
13)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0154】
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0155】
(好ましい塗布液の溶媒)
本発明において熱現像感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0156】
(現像促進剤)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%〜10モル%の範囲で、より好ましくは1モル%〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物がより好ましい。
【0157】
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
−NHNH−Q
式中、Qは炭素原子で−NHNH−Qと結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Qはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。
【0158】
一般式(A−1)において、Qで表される芳香族基またはヘテロ環基としては5員〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、またはチオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
【0159】
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
【0160】
で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、およびN−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
【0161】
で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、および2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Qで表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、およびベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0162】
で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、および4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Qで表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、および4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
【0163】
で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、およびN−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Qで表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQで表される5員〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0164】
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Qとしては5員〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Qはカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
【0165】
【化6】



【0166】
一般式(A−2)においてRはアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、または炭酸エステル基を表す。R、Rはそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。RとRは互いに連結して縮合環を形成してもよい。
【0167】
は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、またはシクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、または4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、または2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。Rは好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、またはベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
【0168】
は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。Rは水素原子、アルキル基、またはアシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はRと同様である。Rがアシルアミノ基である場合RはRと連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
【0169】
一般式(A−2)においてRとRが互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、Rはカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。Rはアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0170】
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0171】
【化7】



【0172】
(水素結合性化合物)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)またはアミノ基(−NHR、Rは水素原子またはアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、および含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
【0173】
【化8】



【0174】
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、およびホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、および4−アシルオキシフェニル基などが挙げられる。
【0175】
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、および2−フェノキシプロピル基などが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、および3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
【0176】
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、およびベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、およびN−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0177】
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではRないしR23が同一の基である場合が好ましい。
【0178】
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0179】
【化9】



【0180】
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特開2002−318431号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
【0181】
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1モル%〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20モル%〜100モル%の範囲である。
【0182】
(かぶり防止剤)
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で用いることができる好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
【0183】
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z)(Z)X
【0184】
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、ZおよびZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または窒素原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基(ピリジン、キノリン基等)である。
【0185】
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子、電子求引性基で置換されたアルキル基、電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、およびスルファモイル基等が挙げられる。電子求引性基として特に好ましいのは、ハロゲン原子、カルバモイル基、またはアリールスルホニル基であり、特にカルバモイル基が好ましい。
【0186】
Xは好ましくは電子求引性基である。好ましい電子求引性基は、ハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、カルバモイル基であり、特に好ましくは臭素原子である。
およびZは好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは臭素原子である。
【0187】
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−、−SO−、−C(=O)N(R)−、または−SON(R)−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO−、または−C(=O)N(R)−であり、特に好ましくは−SO−、−C(=O)N(R)−である。
ここでいうRとは水素原子、アリール基またはアルキル基を表し、より好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
nは、0または1を表し、好ましくは1である。
【0188】
一般式(H)において、Qがアルキル基の場合、好ましいYは−C(=O)N(R)−であり、Qがアリール基またはヘテロ環基の場合、好ましいYは−SO−である。
一般式(H)において、該化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることが出来る。
一般式(H)において、解離性基(例えばCOOH基またはその塩、SOH基またはその塩、POH基またはその塩等)、4級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、水酸基等を置換基に有するものも好ましい形態である。
【0189】
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
【0190】
【化10】



【0191】
上記以外の本発明に用いることが出来るポリハロゲン化合物としては、US3874946号、US4756999号、US5340712号、US5369000号、US5464737号、US6506548号、特開昭50−137126号、同50−89020号、同50−119624号、同59−57234号、特開平7−2781号、同7−5621号、同9−160164号、同9−244177号、同9−244178号、同9−160167号、同9−319022号、同9−258367号、同9−265150号、同9−319022号、同10−197988号、同10−197989号、同11−242304号、特開2000−2963、特開2000−112070、特開2000−284410、特開2000−284412、特開2001−33911、特開2001−31644、特開2001−312027号、特開2003−50441号明細書の中で当該発明の例示化合物として挙げられている化合物が好ましく用いられるが、特に特開平7−2781号、特開2001−33911、特開2001−312027号に具体的に例示されている化合物が好ましい。
【0192】
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4モル〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10−3モル〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10−2モル〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明において、かぶり防止剤を熱現像感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0193】
2)その他のかぶり防止剤
その他のかぶり防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
【0194】
本発明における熱現像感光材料はかぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は熱現像感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、画像形成層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、画像形成層に加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。
また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0195】
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特開2002−303954号、特開2002−303951等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0196】
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸または4メチルフタル酸との組み合わせである。
【0197】
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の画像形成層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0198】
4)染料、顔料
本発明の画像形成性層には、色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。また、特願2005−048988号に記載の一般式(I)〜(IV)で表わされる非水溶性アゾメチン染料を併用することが好ましい。
【0199】
5)造核剤
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に造核剤を添加することが好ましい。造核剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特開2000−284399号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、造核促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
【0200】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有させることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料で造核剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、およびヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(熱現像感光材料1mあたりの塗布量)は感度やかぶりなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m〜500mg/mが好ましく、0.5mg/m〜100mg/mがより好ましい。
【0201】
(塗布液の調製および塗布)
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
【0202】
(層構成および構成成分)
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
【0203】
また、光学フィルター層としては、(a)または(b)の層として設けられる。ハレーション防止層は、(c)または(d)の層として熱現像感光材料に設けられる。
【0204】
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m〜4.0g/mが好ましく、0.3g/m〜2.0g/mがより好ましい。
【0205】
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m〜5.0g/mが好ましく、0.3g/m〜2.0g/mがより好ましい。
【0206】
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を画像形成層に対して光源から遠い側に設けることができる。
【0207】
アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにするもしくは視感度の低い染料を用いることが好ましい。
画像形成後に染料を消色する方法としては、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
また露光波長においてシャープな吸収を持つ染料を用いることにより、視感度が低くかつ十分なアンチハレーション効果を得ることができる。このような染料を用いると、画像形成後に染料を消色させる必要がない。これらの技術については特開2003−262934、特願2004−085655に記載されている。
【0208】
アンチハレーション染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m〜1g/m程度である。
【0209】
これらの染料は2種以上の異なる染料を併用しても良い。
なお、染料を消色させる方法においては同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
これらの染料はイラジエーション防止の目的で、画像形成層にも用いる事が好ましい。
【0210】
3)非感光性中間層
本発明の熱現像感光材料は非感光性中間層を有するのが好ましい。
本発明における非感光性中間層は好ましくはバインダーの50質量%以上が前述のポリマーラテックスを含有する。
【0211】
本発明の非感光性中間層には、必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。
【0212】
本発明における非感光性中間層は、好ましくは、非感光性の有機銀塩および/または無機銀化合物を含有する。
【0213】
4)バック層
本発明の熱現像感光材料はバック層を有するのが好ましい。バック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
【0214】
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300nm〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m以上1g/m以下の範囲で添加するのが好ましい。
また、ベース色調を調整するために580nm〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては短波長側の吸収強度が小さい特開平4−359967、同4−359968記載のアゾメチン系の油溶性染料、特開2003−295388号記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、画像形成層面側の画像形成層、非感光層又はバック面側に添加することがより好ましい。
【0215】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
バック層の層構成としては、染料を含有する層および保護層の2層で構成されるが、特願2004−382012に記載されているように、さらに染料を含有する層と支持体の間に塗布性を改良するための下塗り層を設ける事が好ましい。これらの2層もしくは3層を同時塗布し乾燥することが好ましい。
【0216】
5)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
【0217】
6)硬膜剤
本発明の画像形成層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊)、77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
【0218】
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0219】
7)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0220】
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。
本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特開2003−57780号および特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特開2003−57780号および特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
【0221】
本発明においてフッ素系界面活性剤は画像形成層面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は画像形成層面、バック面それぞれに0.1mg/m〜100mg/mの範囲で、より好ましくは0.3mg/m〜30mg/mの範囲、さらに好ましくは1mg/m〜10mg/mの範囲である。特に特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01mg/m〜10mg/mの範囲が好ましく、0.1mg/m〜5mg/mの範囲がより好ましい。
【0222】
8)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnOが好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnOに対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加が好ましい。
特にSbを添加したSnOが好ましい。異種原子の添加量は0.01モル%〜30モル%の範囲が好ましく、0.1モル%〜10モル%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m〜1000mg/mの範囲で、より好ましくは10mg/m〜500mg/mの範囲、さらに好ましくは20mg/m〜200mg/mの範囲である。
【0223】
本発明の帯電防止層は画像形成層面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。本発明の帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
【0224】
9)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130℃〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に画像形成層もしくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
【0225】
10)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
【0226】
11)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN&HALL社刊、1997年)、399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
【0227】
本発明における画像形成層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。本発明における画像形成層塗布液は剪断速度0.1S−1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S−1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
【0228】
本発明の塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明の好ましいインライン混合機は特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明の好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
【0229】
本発明の塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明の好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
【0230】
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70℃〜90℃、加熱時間が2秒〜10秒の範囲である。本発明の好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
【0231】
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
【0232】
12)包装材料
本発明の熱現像感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50mL/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは10mL/atm・m・day以下、さらに好ましくは1.0mL/atm・m・day以下である。水分透過率は10g/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m・day以下である。
該酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
【0233】
13)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特開2000−187298号、同2000−10229号、同2000−47345号、同2000−206642号、同2000−98530号、同2000−98531号、同2000−112059号、同2000−112060号、同2000−112104号、同2000−112064号、同2000−171936号も挙げられる。
【0234】
(画像形成方法)
1)露光
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、好ましくはレーザーによる走査露光が用いられる。レーザーとしては赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーを用いることが出来る。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。
一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
【0235】
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80℃〜250℃であり、好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、より好ましくは3秒〜30秒、さらに好ましくは5秒〜25秒である。
【0236】
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。
このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0237】
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号および同−091114号に記載されている。
【0238】
3)システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカル・ドライレーザーイメージャーFM−DPL、およびDRYPIX7000を挙げることができる。FM−DPLに関しては、Fuji Medical Review No.8,page39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0239】
(本発明の用途)
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【実施例】
【0240】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0241】
実施例1
(ポリマー分散物の調製と保存)
《LT−1:比較例の調製》
通常の乳化重合方法にて合成されたメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス20.5質量%液4600mLに界面活性剤としてABS−1を10gと防腐剤としてベンゾイソアチアゾリノンを0.46g、pH調整用にNaOH水溶液60mL添加した後、イオン交換水を加えて5160mLにした。
得られたポリマー分散物を滅菌処理せず、水洗のみを行った保存タンクに収納し、密栓し、室温で保存した。
ここで用いた保存タンクとは、ねじ口の円筒形ポリプロピレン製容器(容積1L)である。以下LT−2から13についても同じ容器を用いた。
容器の全容量に対して30容量%の滅菌水でかけ洗いを行い、洗浄水をサンプリングして室温で1日経過した。該洗浄水の簡易培養テスト(ペトリフィルムAC 3M製)を検査した結果を表1に示した。
【0242】
《LT−2:比較例の調製》
LT−1の調製において、界面活性剤としてABS−1の代わりにLAS−1を用いて、その他は同様にして調製し、保存した。
ABS−1およびLAS−1のBOD/ThOD値は下記の通りである。
BOD/ThOD
ABS−1 0%
LAS−1 73%
【0243】
ABS−1:ハード型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
(テイカ(株)製、テイカパワーBN2070、有効濃度27質量%)
LAS−1:ソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
(花王(株)製、ネオペレックスG−15)
【0244】
《LT−3:比較例の調製》
LT−2の調製において得られたポリマーラテックスを保存する前に80℃1時間加熱処理を行った。
【0245】
《LT−4:比較例の調製》
LT−2の調製において得られたベンゾイソアチアゾリノンの添加量を1000ppmに増やして、その他は同様にして調製し、保存した。
【0246】
《LT−5:本発明による調製》
LT−2の調製において得られたポリマーラテックスを下記の滅菌処理を行った保存容器に保存した。
【0247】
滅菌処理
容器の全容量に対して100容量%の80℃熱水を充填し、蓋をして1時間静置した。その後、容器内の熱水を排出し、これを滅菌済み容器とした。
【0248】
《LT−6:比較例》
LT−5の調製において、ベンゾイソアチアゾリノンの添加量を1000ppm添加して、その他は同様にして調製し、保存した。
【0249】
《LT−7:本発明による調製》
LT−5の調製において、ベンゾイソアチアゾリノンの添加量を500ppmに変更して、その他は同様にして調製し、保存した。
【0250】
《LT−8:本発明による調製》
LT−5の調製において、ベンゾイソアチアゾリノンの添加量を200ppmに変更して、その他は同様にして調製し、保存した。
【0251】
《LT−9:本発明による調製》
LT−5の調製において、ベンゾイソアチアゾリノンの添加量を10ppmに変更して、その他は同様にして調製し、保存した。
【0252】
《LT−10,11:本発明による調製》
LT−5の調製において、防腐剤としてベンゾイソアチアゾリノンの代わりにMITまたはp−オキシ安息香酸を添加して、その他は同様にして調製し、保存した。
MITを用いた分散物をLT−10、またp−オキシ安息香酸を用いた分散物をLT−11とした。
【0253】
【化11】



【0254】
《LT−12、13:本発明による調製》
LT−5の調製において、界面活性剤としてLAS−1を用い代わりにAOSまたはC1210を添加して、その他は同様にして調製し、保存した。
AOSを用いた分散物をLT−12、またC1210を用いた分散物をLT−13とした。
AOSまたはC1210のBOD値とCOD値は下記の通りである。
BOD/ThOD
AOS 85%
1210 73%
【0255】
【化12】



【0256】
≪LT−14:比較例≫
通常の乳化重合方法にて合成されたメチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス20.5質量%液4600mLに界面活性剤としてABS−1を10gおよびC16EO25を10gと防腐剤としてベンゾイソアチアゾリノンを0.46g、pH調整用にNaOH水溶液60mL添加した後、イオン交換水を加えて5160mLにした。
得られたポリマー分散物を滅菌処理せず、水洗のみを行った保存タンクに収納し、密栓し、室温で保存した。
16EO25のBOD/ThODは45%である。
【0257】
【化13】



【0258】
≪LT−15、16≫
ABS−1の代わりにLAS−1を加えた以外はLT−14と同様にして、LT−15を調製、保存した。また、同様に調製した液を滅菌処理容器に保存したものをLT−16とした。
【0259】
≪LT−17:比較例≫
調液量を1,000倍した以外はLT−14と同様にしてLT−17を5160kg調製し、水洗のみを行った保存コンテナに収納し、密栓し、室温で保存した。
ここで用いた保存コンテナとは、汲みだし用ボールバルブ付きの高密度ポリエチレン製容器(ユカテナー、容積1m)である。以下LT−18、19についても同じ容器を用いた。
≪LT−18、19≫
調液量を1,000倍した以外はLT−15と同様にしてLT−18を5160kg調製し、水洗のみを行った保存コンテナに収納し、密栓し、室温で保存した。また、同様に調製した液を滅菌処理容器に保存したものをLT−19とした。
【0260】
《ポリマー分散物の菌数測定》
得られたポリマー分散物を容器に密閉収納した状態で、25℃5日間保存した後、熱現像感光材料の塗布に供した。塗布液を調製する直前に各ポリマーラテックスをサンプリングして、簡易培養テスト(EasicultTTCTM)により30℃2日間培養した後のコロニー菌数(c.f.u./mL)を測定した。
結果を表1に示した。
【0261】
(PET支持体の作製)
1.製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作製した。
【0262】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cmで巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0263】
2.表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/mの処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0264】
3.下塗り
<下塗層塗布液の作製>
処方(1)(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液 5.4g
綜研化学(株)製MP−1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)0.91g
蒸留水 935mL
【0265】
処方(2)(バック面第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(8質量%水溶液)
20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10mL
蒸留水 854mL
【0266】
処方(3)(バック面側第2層用)
SnO/SbO(9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物)
84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製MP−1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10mL
NaOH(1質量%) 6mL
プロキセル(ICI社製) 1mL
蒸留水 805mL
【0267】
<下塗り>
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6mL/m(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(2)をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7mL/mになるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7mL/mになるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0268】
(バック層)
1)バック層塗布液の調製
《バック層塗布液》
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン400mg、青色染料化合物−2の5質量%水溶液43mL、クラリアント社製青色染料FRL−SFの10質量%水溶液5.7mL、水1600mLを加えてゼラチンを溶解させた。さらに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液80mL、イソプレンラテックス(TP−2)10質量%液200gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液50mLを混合した。塗布液の粘度は、B型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で32[mPa・s]であった。塗布液のpHは、40℃で6.4であった。
【0269】
2)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン100g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)5.7g、ベンゾイソチアゾリノン600mg、水1700mLを加えてゼラチンを溶解させた。さらに流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして36g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液24mL、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液50mL、フッ素系界面活性剤(F−1)1質量%溶液を12mL、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4mL、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/4)ラテックス20質量%液72gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液90mLを混合しバック面保護層塗布液とした。塗布液の粘度は、B型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で28[mPa・s]であった。塗布液のpHは、40℃で6.1であった。
【0270】
3)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、バック層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/mとなるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/mとなるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
【0271】
(画像形成層、中間層、および表面保護層)
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mLに1質量%臭化カリウム溶液3.1mLを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5mL、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mLに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10mL添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8mL添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mLに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mLに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
【0272】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5mL加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10−5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10−4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10−3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mLを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10−3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
【0273】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0274】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mLに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10−4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10−4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10−3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10−3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0275】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10−3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10−4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10−3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0276】
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10−3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
【0277】
さらに「1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物」として、化合物1と20と26をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10−3モルになる量を添加した。
【0278】
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
【0279】
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。
また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0280】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a,b,cは本文の規定)。
【0281】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0282】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0283】
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤−2(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。
得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0284】
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0285】
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
6)現像促進剤−2の分散物調製
現像促進剤−2の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、20質量%の分散液を得た。
【0286】
7)ポリハロゲン化合物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調整し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0287】
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調整した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0288】
8)フタラジン化合物−1溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物−1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
【0289】
9)メルカプト化合物の調製
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0290】
10)アゾメチン染料固体分散物の調製
アゾメチン染料−Aを1.0kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液3.0kgと、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製)の48質量%水溶液)42gと、消泡剤(サーフィノール104E(信越化学(株)製))3.0gを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0gと水を加えて非水溶性アゾメチン染料の濃度が10質量%になるように調整した。この分散液を40℃で2時間加温し、アゾメチン−27分散物を得た。こうして得たアゾメチン染料分散物に含まれるアゾメチン染料粒子はメジアン径0.49μm、最大粒子径2.6μm以下であった。得られたアゾメチン染料分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0291】
11)ベンゾトリアゾール銀分散物の調製
水酸化ナトリウム360gを水9100mLで溶かした液にベンゾトリアゾール1kgを添加し、60分間攪拌し、溶解した液をベンゾトリアゾールナトリウム溶液BTとする。
蒸留水1400mLに、アルカリ処理脱イオンゼラチン55.9gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、70℃に液温を保ち、硝酸銀54.0gに蒸留水を加え400mLに希釈した溶液Aとベンゾトリアゾールナトリウム溶液BT397mLを蒸留水にて容量420mLに希釈した溶液Bを調製し、ダブルジェット法で、溶液Bをステンレス製反応壷へ20mL/分の一定流量で11分間かけて220mL添加し、溶液Aを溶液Bの添加開始1分後に、ステンレス製反応壷へ20mL/分の一定流量で10分間かけて200ml添加した。その後、6分間後に溶液AとBを同時に33.34mL/分の一定流量で6分間かけて200mLずつ添加した。温度を45℃に降下後、攪拌しながらデモールN(10%水溶液、花王(株)製)92mLを添加し、1mol/L濃度の硫酸を用いてpHを4.1に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。
その後、温度を50℃に調整し、攪拌しながら1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを51ml添加後、ベンゾイソチアゾリノンのメタノール溶液(3.5%)11mL、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムのメタノール溶液(1%)7.7mL添加し、80分間攪拌後、1mol/L濃度の硫酸を用いてpHを7.8に調整し、ベンゾトリアゾール銀分散物を調製した。
【0292】
調製できたベンゾトリアゾール銀分散物の粒子は、平均円相当径0.172μm(変動係数18.5%)、平均長辺径0.32μm、平均短辺径0.09μm、平均長短辺比0.298の粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い300個の粒子の平均から求めた。
【0293】
12)SBRラテックス液の調製
SBRラテックスは以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06mL、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mLに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NHイオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
【0294】
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
【0295】
13)イソプレンラテックス液の調製
イソプレンラテックス(TP−2)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/LのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mlに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mlに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NHイオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、イソプレンラテックスTP−2を1248g得た。
イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、142ppmであった。
【0296】
上記ラテックスは平均粒径113nm、Tg=15℃、固形分濃度41.3質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.4質量%、イオン伝導度5.23mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
【0297】
2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
脂肪酸銀分散物1000g、水135ml、青色染料−2の5質量%水溶液24ml、アゾメチン染料固体分散物5g、36g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物25g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物39g、フタラジン化合物−1溶液171g、SBRラテックス(TP−1)液318g、イソプレンラテックス(TP−2)液742g、還元剤−2分散物153g、水素結合性化合物−1分散物22g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0298】
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5%水溶液27mL、表1に示すようにポリマー分散物LT−1〜LT−13を4200mL添加し、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135mL、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0299】
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水704mLに溶解し、ベンゾトリアゾール銀分散物を146g添加し、表1に示すようにポリマー分散物LT−1〜LT−13を180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mLを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mLをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が35mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0300】
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mLに溶解し、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして8.0g、表1に示すようにポリマー分散物LT−1〜LT−13を180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40mL、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5mL、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28mL、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0301】
3.熱現像感光材料1〜19の作製
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層の塗布液は31℃に、表面保護層第1層の塗布液は36℃に、表面保護層第2層の塗布液は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0302】
脂肪酸銀 5.27
青色染料化合物−2 0.25
マゼンタ染料固体分散物 0.09
ポリハロゲン化合物−1 0.14
ポリハロゲン化合物−2 0.28
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス(TP−1) 2.83
イソプレンラテックス(TP−2) 6.60
還元剤−2 0.77
水素結合性化合物−1 0.112
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.016
色調調整剤−1 0.006
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
【0303】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥させた。乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿した後、膜面を70℃〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
【0304】
【表1】



【0305】
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0306】
【化14】



【0307】
【化15】



【0308】
【化16】



【0309】
【化17】



【0310】
【化18】



【0311】
【化19】



【0312】
4.性能の評価
4−1.塗布面状の評価
各ポリマー分散物について、調製直後と調製後室温で6ヶ月放置後の2種類を用いて塗布した試料を作製した。塗布後の試料を濃度が1.0になるように露光・現像処理を行い、異物故障を目視で観察して、熱現像感光材料10mあたりの100μm以上のサイズの異物故障の数を求めた。
【0313】
4−2.写真性能の評価
<準備>
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
<包装材料>
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン2質量%を含むポリエチレン50μmよりなるラミネートフィルム:
酸素透過率:0.02mL/atm・m・25℃・day;
水分透過率:0.10g/atm・m・25℃・day。
【0314】
<熱現像感光材料の露光および現像>
各試料は富士メディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光、および熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0315】
<かぶり>
未露光部の濃度である。
<感度>
かぶり+1.0の濃度を得る露光量の逆数を感度とし、試料1に対しての相対値で表記した。
【0316】
<生保存安定性の評価>
各試料を強制保存条件として、上記包装袋のまま50℃40%RHの条件下で7day保存した後、袋より取り出しで写真性能を評価した。
【0317】
4−3.評価結果
得られた結果を表1に示した。
本発明の試料は、環境負荷が小さく、なおかつ素材のポットライフに優れながら、写真性に優れている事が明らかであった。
一方、比較試料1、および6はポリマー分散物より菌が検出されず、分散物の保存安定性が良好であったが、塗布面状が不良であった。また、比較試料2、および3は菌数が多数で、塗布面状も不良であった。
【0318】
実施例2
実施例1の試料5において、バック面保護層のエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/4)ラテックスを実施例1のポリマーラテックスLT−1〜LT−13に変更した試料を作製した。
実施例1と同様に性能を評価した結果、バック面の塗布面状は本発明によるポリマーラテックスLT−7〜13を用いた試料が特に良好であった。
【0319】
実施例3
1.マット剤の調製
<比較例;MT−1>
水860mLにポリメタクリル酸メチル粒子(粒径6μm)粉末250g、ゼラチン水溶液(19質量%)530g、ABS−1(30質量%)17gおよびベンゾイソアチアゾリノンを100ppmになる量を加え、ホモジナイザーで分散し、マット剤分散物MT−1 1.7kgを得た。
【0320】
<比較例;MT−2および本発明MT−3〜7>
界面活性剤種、防腐剤量、および容器洗浄方法を表2のように変更した以外はMT−1と同様にして、MT−2〜7を調製した。
【0321】
2.熱現像感光材料の作製
実施例1の試料5において、表面保護第2層のマット剤のポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)およびポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)を除き、代わりに、上記調製したマット剤を用いて、その他は実施例1の試料5と同様にして、試料21〜27を作製した。
【0322】
3.性能評価
<塗布面状の評価>
各マット剤分散物について、調製直後と調製後10℃で6ヶ月放置後の2種類を用いて塗布した試料を作製した。塗布後の試料を濃度が1.0になるように露光・現像処理を行い、異物故障を目視で観察して、熱現像感光材料10mあたりの100μm以上のサイズの異物故障の数を求めた。
その他の評価項目については、実施例1と同様の評価を行った。
得られた結果を表2に示した。
本発明の試料は、環境負荷が小さく、なおかつ素材のポットライフに優れながら、写真性に優れている事が明らかであった。
一方、比較試料MT−2は素材のポットライフに劣っており、好ましくなかった。
【0323】
実施例4
実施例3の試料23において、バック層の単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)を実施例3のマット剤MT−1〜MT−7に変更した試料を作製した。
実施例3と同様に性能を評価した結果、バック面の塗布面状は本発明によるマット剤MT−2〜MT−7を用いた試料が特に良好であった。
【0324】
【表2】



【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−9307(P2008−9307A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182056(P2006−182056)