トップ :: G 物理学 :: G03 写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ

【発明の名称】 画像ぶれ防止装置
【発明者】 【氏名】星 浩二

【氏名】北村 亮

【氏名】田内 久真

【氏名】高田 康久

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒内に設置され、光軸を偏心させる補正レンズと、前記レンズ鏡筒に加わる振動を検出する振動検知手段と、該振動検知から得られる信号に基づいて前記補正レンズを駆動し、画像ぶれを防止する制御手段とを備えた画像ぶれ防止装置において、前記補正レンズを光軸に対して偏心移動が可能な支持枠と該支持枠を保持する保持枠を有しており、該支持枠と該保持枠は独立した複数の球面状摺動面を有し、該支持枠の球面状摺動面の摺動により偏心移動を行うことを特徴とする画像ぶれ防止装置。
【請求項2】
補正レンズの光軸が撮影光軸に一致する中立位置に保持された時、前記支持枠の独立した球面状摺動面の球軸の光軸からの距離は前記保持枠の独立した球面状摺動面の球軸の光軸からの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像ぶれ防止装置。
【請求項3】
補正レンズの光軸が撮影光軸に一致する中立位置に保持された時、前記支持枠の独立した球面状摺動面の球軸の光軸からの距離は前記保持枠の独立した球面状摺動面の球軸の光軸からの距離よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像ぶれ防止装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、光学機器において手ぶれにより発生する像ぶれを防止する像ぶれ防止装置に関するもので、特に画像振動を補正するためにレンズ鏡筒に設置する画像ぶれ防止装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影レンズを構成する一部の補正レンズを光軸と垂直な方向に移動する機構は、例えばカメラにおいて像ぶれの原因であるカメラぶれの加速度を検知することによって像ぶれを予測し、この予測信号に基づいてレンズを光軸と直角の方向に移動することによって、像ぶれを抑制する防振装置が提案され、商品化されている。
【0003】
これら防振装置については種々の方法が提案されているが、前記述のように撮影者の撮影姿勢によっては、如何なる方向に対しても補正レンズを光軸に直角方向に移動可能な機構が望ましく、例えば特開平10−26783号公報に示しているように画像ぶれを補正するために補正レンズ鏡枠側面の3箇所から放射状に案内軸12aを設け、防振装置本体側面に設けられている3箇所の案内溝13aにそれぞれを挿入し、XとY方向移動のためのムービングコイル16y及び16pの合成力によって、光軸に直角な移動量と方向を決定するシステムを提案しているが、案内軸12aにローラを設置して移動時の接触抵抗を軽減せしめることも提案しているが、精度を高めるために案内溝13aにおけるローラを含めた案内軸12aの許容誤差をできるだけ僅少に押さえると移動負荷が増え、方向によってはローラの回転方向に対して直角な合成力が働いた場合、ローラの表面と案内溝表面が大きい摩擦抵抗を示し、移動負荷が大きくなり、補正レンズの光軸移動方向によっては移動速度が遅れ、画像ぶれ防止装置の正確な機能を発揮することができない問題があり、本出願人は特開2003−307761号公報に示すように、補正レンズを光軸に対して垂直面で移動可能なように案内溝における面保持構造を改め、補正レンズを光軸に平行に設置する一個のヒンジ軸で支持し、該軸を全方向に傾倒可能な構造によって、補正レンズの移動を可能にする画像ぶれ防止装置を提案した。
【特許文献1】特開平10−26783
【特許文献2】特開2003−307761
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補正レンズの移動を如何なる方向であってもより軽快且つ高精度で移動できる機構が望まれており、補正レンズの移動ばらつきの原因は補正レンズの保持構造において、摩擦抵抗と機構の複雑さの要因が大きくかかわっているため、摩擦抵抗をさらに軽減する簡単な構造にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、レンズ鏡筒内に設置され、光軸を偏心させる補正レンズと、前記レンズ鏡筒に加わる振動を検出する振動検知手段と、該振動検知から得られる信号に基づいて前記補正レンズを駆動し、画像ぶれを防止する制御手段とを備え、前記補正レンズを光軸に対して偏心移動が可能な支持枠と該支持枠を保持する保持枠を設け、該支持枠と該保持枠はそれぞれ独立した複数の球面状摺動面の摺動により偏心移動を行う。さらに、補正レンズの光軸が撮影光軸に一致する中立位置に保持された時、前記支持枠の独立した球面状摺動面の球軸の光軸からの距離は前記保持枠の独立した球面状摺動面の球軸の光軸からの距離よりも大きく又は小さくなるように配置した。
【発明の効果】
【0006】
補正レンズを光軸に対して垂直面で移動可能なように案内溝における面保持構造や、補正レンズを光軸に平行に設置する一個のヒンジ軸を必要とせず、簡易な構造にすることができ、補正レンズを光軸に対して偏心移動が可能な支持枠と該支持枠を保持する保持枠を設けて支持枠と保持枠をそれぞれ独立した複数の球面状摺動面の摺動により偏心移動を行うようにしたので、平面同士で摺動する場合より常に点接触とすることにより摩擦抵抗の少ない補正レンズの移動を可能にし、移動速度の遅れ、画像ぶれ防止装置の正確な機能を発揮することができる。さらに、それぞれ対となるボールの軸と球面状摺動面の軸をずらすことで補正レンズを円弧動作が可能で、軸のずらす方向で像面側、物体側のどちら側にも支点をもたせた円弧の動作をさせることができ、軸のずらし量を変えることで円弧の半径を変えることもでき、簡易な構造で、且つ摩擦抵抗の少ない補正レンズの移動を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面等を参照して本発明の最も良好な実施形態を説明する。
【0008】
図1は本発明を適応した防振装置における補正レンズ移動機構の実施例を示し、図2は支持枠の球面状摺動面側を示す斜視図である。図3と図4は防振装置の補正レンズ移動の様子を示す図1のA−C及びB−C断面図である。
【0009】
図1に示す画像ぶれ防止装置における補正レンズ2の移動機構はレンズ鏡筒の固定側の保持枠A3の内側において、光軸に対してほぼ垂直に、且つ全方向に移動可能なように、補正レンズ2を有する支持枠5が保持枠A3と不図示の保持枠Bとの間に設置されていて、支持枠5には保持枠A3に圧着させるバネを掛けるバネ掛け部5a、5b、5cがあり、対応するバネ掛けリング6のバネ掛け部6a、6b、6cにバネ7a、7b、7cが引っ掛けられ固定される。これにより保持枠A3に対して、補正レンズ2が光軸に対してほぼ垂直方向にスライド可能である。
【0010】
支持枠5に設置されているバネ掛け部5a、5b、5cの近傍に独立した不図示の球面状摺動面が3箇所ある。そして、保持枠3Aは穴3a、3b、3c(不図示)に嵌合するボール受け8a、8b、8c(不図示)とボール9a、9b、9c(不図示)を介し、前述のバネ7a、7b、7cにより支持枠5の3箇所の球面状摺動面に圧着させられる。
【0011】
次に補正レンズ2を支持している支持枠5には図に示すようにコイル保持枠5d、5eがあり、補正レンズ2を中心にしてそれぞれ90°異なる方向に向いたY駆動コイル12とX駆動コイル14が固定されていて、保持枠A3に設置固定されるヨーク16aに固着したマグネット13をY駆動コイル12に、ヨーク16bに固着したマグネット15はX駆動コイル14に対向させ、各コイルを挟んで不図示の保持枠B4に設置固定されるヨーク17a、17bにより磁路が形成され、X駆動コイル14に通電すればX方向に、Y駆動コイルに通電すればY方向に移動可能となり、X駆動コイル14とY駆動コイル12に電流方向と電流量の合成によって全方向に移動が可能となる。
【0012】
次に本発明の特徴である独立した球面状摺動面を有する支持枠について説明する。図2の支持枠5の球面状摺動面側を示す斜視図において、支持枠5はY駆動コイル12を保持するコイル保持枠5dとX駆動コイル14を保持するコイル保持枠5eとガイド軸受け18にガイド軸20を介するための長穴11a、11bを有する支持部11を有している。補正レンズ2の移動側である支持枠5の球面状摺動面10a、10b、10cは保持枠A3の3箇所の穴3a、3b、3c(不図示)及びボール受け8a、8b、8c(不図示)によって支持されるボール9a、9b、9c(不図示)と対向する位置に設けられ、バネ掛け部5a、5b、5cに引っ掛けられるバネ7a、7b、7cによって押しつけられる構成になっている。
【0013】
図3は防振装置の補正レンズ移動の様子を示す図1のA−C断面図で、図3(I)は補正レンズの移動が行われていない状態を示し、図3(II)は補正レンズが上方に移動した状態を示し、図3(III)は補正レンズが下方に移動した状態を示している。
【0014】
図3(I)の状態ではボール9a、9bの軸と球面状摺動面10a、10bの軸は光軸1と平行の状態を保っているが、球面状摺動面10a、10bの軸はボール9a、9bの軸の外側になっている。図3(II)の状態では支持枠5が図4(II)に示すようにX駆動コイル14に電流が流れるとマグネット15とヨーク16b、17bから形成される磁力線の作用によってX駆動コイル14に推力が発生し、上方に移動したためボール9bの軸と球面状摺動面10bの軸が一致する方向に摺動し、ボール9aの軸と球面状摺動面10aの軸は離れる方向に摺動する。ボール9a、9bは球面状摺動面10a、10b上を摺動することによって、光軸1に対して補正レンズは光軸1上の像面側に支点をもった円弧の動作をする。図3(III)の状態では支持枠5が図4(III)に示すようにX駆動コイル14に電流が流れるとマグネット15とヨーク16b、17bから形成される磁力線の作用によってX駆動コイル14に推力が発生し、下方に移動したためボール9aの軸と球面状摺動面10aの軸が一致する方向に摺動し、ボール9bの軸と球面状摺動面10bの軸は離れる方向に摺動する。ボール9a、9bは球面状摺動面10a、10b上を摺動することによって、同様に光軸1に対して補正レンズは光軸1上の物体側に支点をもった円弧の動作をする。
【0015】
球面状摺動面10a、10bの軸がボール9a、9bの軸の外側になっている状態を説明したが、球面状摺動面10a、10bの軸がボール9a、9bの軸の内側になっている状態では光軸1に対して補正レンズは光軸1上の物体側に支点をもった円弧の動作をする。
【0016】
次に実際の動作について説明すると画像ぶれ防止モードに設定された場合、レンズ鏡筒に図示してない振動検知手段により、振動検知から得られる信号に基づいて、振動方向と大きさが算出され、X駆動コイル14及びY駆動コイル12に駆動電流として出力される。今X駆動コイル14にある方向の電流が流れるとマグネット15とヨーク16b、17bから形成される磁力線の作用によって該X駆動コイル14に第一方向の推力が発生するが、これが光軸1に対して外側であればプラス方向で、逆電流であれば内側のマイナス方向に推力が発生し、補正レンズ2を伴って、支持枠5は球状摺動面及びピニオン21,22とガイド軸20に従って滑動することになる。
【0017】
次にY駆動コイル12に電流が出力された場合、同じくマグネット13とヨーク16a、17aから形成される磁力線の作用によって、該Y駆動コイル12に第一方向に対して直角の第二方向の推力が発生するが、これが光軸1に対して外側であればプラス方向で、逆電流であれば内側のマイナス方向に推力が発生し、補正レンズ2を伴って、支持枠5は球状摺動面及びピニオン21,22とガイド軸20に従って滑動することになる。
【0018】
他の方向に対しては第一と第二の方向の合成ベクトルで求められるため、図示していない第一方向と第二方向の移動方向と移動量の検知手段によって、X駆動コイル14とY駆動コイル12に出力する電流制御で得られる。
【0019】
今単純化するために図4にX駆動コイル14に流した電流によって生じた第一方向の動作について図示しているが図4(I)は動作外の通常状態で、補正レンズ2の光軸が鏡筒の光軸1と一致した状態にある。補正レンズ2と支持枠5は固定側の保持枠A3に対してガイド軸20に圧嵌された右ピニオン21、左ピニオン22とガイド軸20によって支持されている。
【0020】
今、X駆動コイル14に電流が流れ、光軸1に向かった方向、すなわち図4(II)のような上方向に推力が働くと、球面状摺動面10aはボール9a上を滑り、頂点方向に摺動することにより補正レンズ2を有する保持枠5を変移させる。
【0021】
また、X駆動コイル14に流れる電流によって、図4(III)のような下方向の推力が働く、球面状摺動面10aはボール9aと点接触のまま、内周方向に摺動することにより補正レンズ2を有する保持枠5を変移させる。
【0022】
以上のように図4はX駆動コイル14に働く第一方向についての動作について考察したがY駆動コイル12に働く第二方向の動作についても同様で光軸移動に際して、光軸1を支点に補正レンズ2と支持枠5が微少量移動することになり、第一と第二方向が合成された全方向移動に際しても、補正レンズ2と支持枠5を移動する。
【0023】
支持枠5のガイド軸20を保持するガイド軸受け18は保持枠3Aに固定される。ガイド軸20によって支持部11の長穴11aから、ガイド軸受け18の不図示のガイド穴を通し支持部11の他方の長穴11bに貫通していて、このガイド軸20の両端に右ピニオン21と左ピニオン22が固定されている。これらピニオン21、22はガイド受け18のラック18c、18d(不図示)と噛み合っていて、右ピニオン21は右ラック18cと、左ピニオン22は不図示の左ラック18dと噛み合っているため、支持枠5はガイド受け18に対して、左右のラック上をピニオン21、22が転がることによって、捩れることなく移動できる。
【0024】
ガイド軸20とガイド軸受け18で支えられた支持枠5上のX駆動コイル14とY駆動コイル12は保持枠A3に固定されているヨーク16a、16bのマグネット13、15と上部のヨーク17a、17bで作る磁路の空隙の中間位置に来るよう構成されているため、X駆動コイル14とY駆動コイル12に電流を流した時、電磁作用によって、駆動力が発生し、この合成ベクトルによって、支持枠5の移動が可能となる。この駆動力による移動形態は支持枠5の支持部11の長穴11a、11bに貫通しているガイド軸20がピニオン21、22の回転によって右ラック18cと不図示の左ラック18d上を転がる場合、上下に移動し、ガイド軸受け18がガイド軸20上を左右に滑動する場合は左右に移動することになるため、ピニオン21、22の回転とガイド軸20上のガイド軸受け18の滑動動作の合成によって、支持枠5は回転成分が伴わないで、全方向に移動できることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】発明を適応した防振装置における補正レンズ移動機構の実施例を示す分解斜視図である。
【図2】支持枠の球面状摺動面側を示す斜視図である。
【図3】防振装置の補正レンズ移動の様子を示す図1のB−C断面図である。
【図4】防振装置の補正レンズ移動の様子を示す図1のA−C断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 光軸
2 補正レンズ
3 保持枠A
4 保持枠B
5 支持枠
6 バネ掛けリング
7a バネ
7b バネ
7c バネ
8a ボール受け
8b ボール受け
9a ボール
9b ボール
10a 球面状摺動面
10b 球面状摺動面
10c 球面状摺動面
11 支持部
12 Y駆動コイル
13 マグネット
14 X駆動コイル
15 マグネット
16a ヨーク
16b ヨーク
17a ヨーク
17b ヨーク
【出願人】 【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−3361(P2008−3361A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173571(P2006−173571)