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【発明の名称】 反射型液晶表示素子
【発明者】 【氏名】小尾 正樹

【氏名】久武 雄三

【氏名】川田 靖

【氏名】伊藤 秀樹

【氏名】二ノ宮 希佐子

【氏名】村山 昭夫

【要約】 【課題】明状態での入射光を反射させる反射効率、暗状態での入射光を吸収させる吸収効率がよく、高輝度、高コントラストな反射型液晶表示素子11を提供する。

【構成】ポジ型のネマチック液晶を対向基板12とアレイ基板13との間に挟持する。アレイ基板13には、光吸収層32を設け、対向基板12側に突出する断面形状が二等辺三角形の透明構造体34を設ける。液晶層14に対する電場のオンオフにより、液晶層14と透明構造体34との屈折率差を制御する。液晶層14の屈折率を透明構造体34の屈折率より大きい屈折率差とすれば、対向基板12側から液晶層14に入射した光は、液晶層14と透明構造体34との界面で全反射し、対向基板12側から出射する。液晶層14の屈折率を透明構造体34の屈折率と同等となる屈折率差とすれば、対向基板12側から液晶層14に入射した光は、液晶層14と透明構造体34との界面を透過し、光吸収層32で吸収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明である2枚の基板の間にポジ型のネマチック液晶を用いる液晶層が介在された反射型液晶表示素子であって、
前記一方の基板は、前記液晶層に電場を印加して液晶層の屈折率を制御する一方の透明導電層を備え、
前記他方の基板は、
前記液晶層に電場を印加して液晶層の屈折率を制御する他方の透明導電層と、
前記他方の基板の面方向に連続して複数配列されるとともにそれぞれ前記一方の基板側へ向けて突出され、前記一方の基板側から前記液晶層に入射した光を屈折率が制御された前記液晶層との界面での屈折率差により反射させて前記一方の基板側に出射させる凸形状の透明構造体と、
前記一方の基板側から前記液晶層に入射するとともに屈折率が制御された前記液晶層と前記透明構造体との界面での屈折率差により前記液晶層から前記透明構造体に入射する光を吸収する光吸収層とを備えている
ことを特徴とする反射型液晶表示素子。
【請求項2】
前記透明構造体は、断面形状が二等辺三角形で、前記液晶層の異常光屈折率をne、前記透明構造体の屈折率をnp、前記透明構造体の底角をθとしたとき、arcsin(np/ne)≦θ≦{180−arcsin(np/ne)}/3の関係を有している
ことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶表示素子。
【請求項3】
前記一方の基板の外面に反射防止層が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の反射型液晶表示素子。
【請求項4】
前記一方の基板は、透明中間層と、前記他方の基板に対向する側に前記透明中間層、前記透明導電層が順に形成された透明基板とを備え、これら透明基板、透明中間層、透明導電層の可視光領域での屈折率が、透明基板<透明中間層<透明導電層の関係を有している
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の反射型液晶表示素子。
【請求項5】
前記他方の基板には、前記一方の基板に対向する側に前記光吸収層、前記透明導電層が順に形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の反射型液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、明るく、高コントラストである反射型液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子は、ノートパソコン、モニタ、カーナビゲーション、携帯電話、テレビなど様々な分野に応用されている。
【0003】
なかでも、反射型液晶表示素子は、バックライトが不要であることから低消費電力かつ薄型軽量といった利点があり、携帯機器用ディスプレイなどに応用されている。しかしながら、従来の反射型液晶表示素子は、紙、印刷物などと比較して明るさの点で劣る表示性能である。また、反射および透過表示可能な液晶表示素子も、携帯機器用ディスプレイなどに応用されている。しかしながら、バックライトを使用するため、電源となる電池で十分な駆動時間を得ようとするとバックライトの輝度を下げざるをえず、十分な明るさが得られない。
【0004】
これらの液晶表示素子の明るさが不十分である主要因は2つある。1つは、表示の明暗を制御するのに必要な偏光板(TNモードやECBモード)や液晶に添加した染料(GHモード)などの部材による光吸収である。もう1つは、表示に色を付ける手段にあり、この表示に色を付ける手段として、特定波長を吸収する方法を用いた場合であって、例えば、加法混色方式であるカラーフィルタを用いた場合である。
【0005】
これら問題を解決する手段として、ポリマー分散液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)に代表される散乱型液晶表示素子がある。ランダム配列された液晶と屈折率異方性のない等方層との屈折率差、もしくはランダム配列された液晶の分子同志の屈折率差にて、入射した光の散乱および散乱反射を利用するものである。
【0006】
この散乱型液晶表示素子を反射型として用いる場合、液晶層に電界を印加せず、光が入射する方向に対して等方層より液晶層の屈折率が小さく、もしくは液晶層の分子間の屈折率が同様の差があるときに入射光を反射させて明状態とし、一方、液晶層に電界を印加し、光が入射する方向に対して等方層と液晶層との屈折率を等しくし、もしくは液晶層の分子間の屈折率を等しくし、入射光を透過させて素子後方に配置した遮光層により吸収して暗状態を得ている。しかしながら、屈折率差は液晶分子の異常光屈折率および常光屈折率の平均値と常光屈折率との差しか得られず、現在実用的に用いられる液晶材料では、大きくても0.13程度でしかない。このため、十分な反射率を得るには、厚みを厚くする必要があり、駆動電圧が著しく高くなる。従って消費電力が高くなり、携帯機器用ディスプレイに不適となる。
【0007】
また、散乱型液晶表示素子を反射型として用いる場合の別の例として、アレイ基板側には、対向基板側へ向けて突出する複数の断面三角形状の不変屈折率層を基板面方向に沿って設けるとともに、これら不変屈折率層の間の凹部の頂部側に光を吸収する遮光部を設け、このアレイ基板と対向基板との間に液晶を挟持した構造がある。そして、液晶層に電界を印加せず、液晶層の屈折率が不変屈折率層の屈折率より大きいときに、液晶層に入射した光を液晶層と不変屈折率層との界面で反射させるとともに遮光層により吸収して暗状態とし、一方、液晶層に電界を印加し、液晶層と不変屈折率層との屈折率を等しくしたときに、液晶層に入射した光が不変屈折率層に入射するとともに反射層で反射して明状態を得ている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、明状態のときには入射光の一部が遮光層に吸収されてしまって十分な明るさが得られず、暗状態のときには液晶層と不変屈折率層との界面で反射した反射光の一部が光の入射方向に出射してしまって十分な暗さが得られず、コントラスト比が不十分なものであった。
【特許文献1】特開平9−15550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、散乱型液晶表示素子を反射型として用いる場合、十分な明るさが得られず、コントラスト比も不十分なものであった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、明状態での入射光を反射させる反射効率、および暗状態での入射光を吸収させる吸収効率がよく、明状態が明るく、高コントラストな反射型液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも一方が透明である2枚の基板の間にポジ型のネマチック液晶を用いる液晶層が介在された反射型液晶表示素子であって、前記一方の基板は、前記液晶層に電場を印加して液晶層の屈折率を制御する一方の透明導電層を備え、前記他方の基板は、前記液晶層に電場を印加して液晶層の屈折率を制御する他方の透明導電層と、前記他方の基板の面方向に連続して複数配列されるとともにそれぞれ前記一方の基板側へ向けて突出され、前記一方の基板側から前記液晶層に入射した光を屈折率が制御された前記液晶層との界面での屈折率差により反射させて前記一方の基板側に出射させる凸形状の透明構造体と、前記一方の基板側から前記液晶層に入射するとともに屈折率が制御された前記液晶層と前記透明構造体との界面での屈折率差により前記液晶層から前記透明構造体に入射する光を吸収する光吸収層とを備えているものである。
【0011】
そして、液晶層の屈折率を制御し、液晶層と透明構造体との界面で反射が生じるように屈折率差を設定した状態で、一方の基板側から液晶層に入射した光は、液晶層と透明構造体との界面で反射して一方の基板側から出射される。また、液晶層の屈折率を制御し、液晶層と透明構造体との界面を光が透過するように屈折率差を設定した状態で、一方の基板側から液晶層に入射した光は、液晶層と透明構造体との界面を透過し、光吸収層に入射して吸収される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、明状態での入射光を反射させる反射効率、および暗状態での入射光を吸収させる吸収効率がよく、明状態が明るく、高コントラストの反射型液晶表示素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、反射型液晶表示素子11は、表示面側の一方の基板としての対向基板12と、他方の基板としてのアレイ基板13と、これら対向基板12とアレイ基板13との間に挟持された液晶分子14aを有する液晶層14とを備えている。
【0015】
対向基板12は、透明なガラス製の透明基板21を備えている。この透明基板21のアレイ基板13に対向する内面には一方の透明導電層22が形成され、透明基板21の外面には図示しない反射防止フィルム等の反射防止層が形成されている。図4に示すように、透明基板21と透明導電層22との間には透明中間層23を形成してもよい。透明基板21、透明中間層23、透明導電層22の可視光領域での屈折率は、透明基板21<透明中間層23<透明導電層22の大小関係を有している。
【0016】
また、アレイ基板13は、透明なガラス製の透明基板31を備え、この透明基板31の対向基板12に対向する内面には、複数のスイッチング素子としてのTFT素子、ドレイン電極、共通電極、信号線、ゲート線等が形成されている。さらに、このアレイ基板13の対向基板12に対向する内面には、光を吸収する黒色樹脂層で構成される光吸収層32が基板面全域に形成され、この光吸収層32上にITO膜で構成される透明導電層33が形成されている。透明導電層33には、各TFT素子で制御される複数の電極33aが例えばマトリクス状に形成されている。
【0017】
アレイ基板13の透明導電層33上には、それぞれ対向基板12側へ向けて突出する複数の透明構造体34が、透明導電層33の各電極33a毎のピッチで基板面方向に連続して形成されている。これら透明構造体34は、絶縁層である例えば多孔性のSiO膜で、透明導電層33の各電極33aを底辺とする断面形状が二等辺三角形に形成され、その頂点の両側の辺が傾斜面35に形成されている。
【0018】
透明構造体34の底角θは、液晶層14の異常光屈折率をne、透明構造体34の屈折率をnpとしたとき、arcsin(np/ne)≦θ≦{180−arcsin(np/ne)}/3の関係を有するように形成されている。
【0019】
隣接する透明構造体34間には、対向基板12へ向けて拡開するV溝状の凹部36が形成されている。
【0020】
対向基板12の外面である表示面側から見て隣接する透明構造体34間の凹部36に対向する領域が画素37として形成されている。
【0021】
そして、これら対向基板12とアレイ基板13とは例えばエポキシ系の熱硬化樹脂等の接着剤を用いて所定の位置で貼り合わされ、液晶層14を構成する液晶材料が注入口を通じて充填された後にその注入口が紫外線硬化樹脂等で封止されている。
【0022】
また、液晶層14には、液晶材料として、誘電率異方性が正で、例えば、常光屈折率が1.5、異常光屈折率が1.8のポジ型のネマチック液晶が用いられている。
【0023】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0024】
まず、反射型液晶表示素子11の製造方法について説明する。
【0025】
透明基板21上に、透明中間層23、ITO膜で透明導電層22を形成し、対向基板12を作成する。
【0026】
一方、透明基板31上に成膜とパターニングとを繰り返す通常のTFTプロセスによりTFT素子およびドレイン電極、共通電極、信号線、ゲート線を形成することにより、アレイ基板13を作成する。このアレイ基板13上に黒色樹脂層である光吸収層32を形成し、この光吸収層32上にITO膜で透明導電層33を形成する。透明導電層33上に透明絶縁膜として3.0μmのTiO膜をスパッタリングにより形成し、これを切削法により透明導電層33の電極33aのピッチに対応した例えば6μmピッチでV溝形状の凹部36を加工して複数の透明構造体34を形成することにより、アレイ基板13を作成する。
【0027】
これら対向基板12およびアレイ基板13をエポキシ系の熱硬化樹脂等の接着剤を用いて所定の位置で貼り合わる。
【0028】
対向基板12とアレイ基板13との間に液晶層14を構成する液晶材料を充填し、液晶材料の注入口を紫外線硬化樹脂等で封止し、反射型液晶表示素子11を作成する。
【0029】
次に、反射型液晶表示素子11の表示原理を図2および図3によって説明する。
【0030】
図2および図3に示すように、対向基板12の外方から入射する入射光は、対向基板12の透明基板21、透明中間層23および透明導電層22、液晶層14の順に進入し、液晶層14と透明構造体34の傾斜面35との界面に達する。
【0031】
この間の各層での入射角と屈折角の関係は、スネルの式により以下の通り表される。
【0032】
n1・sinθ1=n2・sinθ2
ここで、n1、n2は入射層の屈折率、屈折層の屈折率を示し、θ1、θ2は入射角、屈折角を示す。
【0033】
この式より、高屈折率層から低屈折率層に光が進入した場合、入射角に対して屈折角は大きくなる。
【0034】
液晶層14と透明構造体34の傾斜面35との界面に達した光も同様にスネルの式に従った振る舞いとなり、図2に示すように、液晶層14の屈折率が透明構造体34の屈折率よりも十分大きく、入射角が大きいときには、液晶層14と透明構造体34の傾斜面35との界面で全反射が起こり、液晶層14から透明構造体34への光の進入はなくなる。
【0035】
液晶層14と透明構造体34の傾斜面35との界面で全反射した光は、液晶層14内を進行し、再び液晶層14と隣の透明構造体34の傾斜面35との界面で全反射し、入射光と同一面側つまり入射光の入射方向に対して戻る方向へ向けて高効率に反射光を取り出すことができる。
【0036】
一方、図3に示すように、液晶層14と透明構造体34との屈折率差によって、液晶層14と透明構造体34との界面で全反射が起こらない場合は、フレネルの式に従い液晶層14と透明構造体34との屈折率差に拠った反射率となり、その反射率は全反射と比較して十分小さくなる。
【0037】
入射角θ1=0
R=(n1−n2)2/(n1+n2)2
入射角θ1≠0
Rs=sin2(θ2−θ1)/sin2(θ2+θ1)
Rp=tan2(θ1−θ2)/tan2(θ1+θ2)
ここで、Rs、Rp、θ1、θ2はそれぞれs偏光、p偏光の反射率、入射角、屈折角を示す。
【0038】
透明構造体34が平面の場合でも全反射は起こるが、通常入射角が大きい場合に限られ、反射型液晶表示素子11として重要な表示面に対して垂直近傍の角度で十分な反射率が得られない。
【0039】
そして、本実施の形態の反射型液晶表示素子11では、図2に示すように、透明導電層22,33間の電場オフの場合、液晶層14の屈折率は、異常光屈折率となって、透明構造体34の屈折率より十分大きくなり、液晶層14と透明構造体34との界面の屈折率差は十分大きくなるため、液晶層14と透明構造体34との界面に進入した光は、その界面で全反射する。
【0040】
液晶層14と透明構造体34との界面で全反射した光は、液晶層14内を進行し、再び液晶層14と隣の透明構造体34との界面で全反射し、入射光と同一面側つまり入射光の入射方向に対して戻る方向へ向けて高効率に反射光を取り出すことができる。つまり、2度の全反射により、白表示となる。
【0041】
一方、図3に示すように、透明導電層22,33間の電場オンの場合、液晶層14の屈折率は、常光屈折率となって、透明構造体34の屈折率と同等となり、液晶層14と透明構造体34との界面の屈折率差は小さくなるため、液晶層14と透明構造体34との界面に進入した大部分の光は、その界面を透過し、透明構造体34内を進行し、透明導電層33を通じて光吸収層32に到達し、高効率に吸収される。
【0042】
液晶層14と透明構造体34との界面を透過せずに反射した一部の光は、液晶層14内を進行し、再び液晶層14と隣の透明構造体34との界面に進入して透過し、屈折率差によって透明構造体34から液晶層14に透過することなく、光吸収層32に吸収される。したがって、入射光と同一面側つまり入射光の入射方向に対して戻る方向へ向けた光の反射は少なく、入射光の大部分が吸収されて黒表示となる。
【0043】
このように、白表示である明状態での入射光を反射させる反射効率、および黒表示である暗状態での入射光を吸収させる吸収効率がよく、明状態が明るく、高輝度、高コントラストの反射型液晶表示素子11を提供できる。
【0044】
また、透明構造体34は、断面形状を二等辺三角形とし、その底角θが、液晶層14の異常光屈折率をne、透明構造体34の屈折率をnpとしたとき、arcsin(np/ne)≦θ≦{180−arcsin(np/ne)}/3の関係を満たすように形成することにより、入射光を液晶層14と透明構造体34との界面で2回全反射させて高効率に取り出すことができる範囲を規定することができる。
【0045】
また、反射型液晶表示素子11においては、透明構造体34と液晶層14との界面以外の各層間の屈折率差による反射も低コントラストの原因となる。特に、空気層と対向基板12の透明基板21との界面の屈折率差が最も大きくなるため、透明基板21の外面に反射防止層を設けることにより、高コントラストが得られる。
【0046】
また、対向基板12の透明基板21、透明中間層23、透明導電層22の可視光領域での屈折率は、透明基板21<透明中間層23<透明導電層22の大小関係であるため、図4に示すように、対向基板12への入射光の入射角が小さくても、透明導電層22と液晶層14との界面には垂直に近い入射角で入射光を入射させることができ、そのため、入射光を液晶層14と透明構造体34との界面で効率的に全反射させることができる。
【0047】
また、光吸収層32を透明基板31と透明導電層33の間に形成したため、例えば透明基板31の外面側に形成した場合に比べて、屈折率の異なる層間の界面の通過を少なくして反射を抑制し、効果的に光を吸収でき、高コントラストが得られる。
【0048】
なお、液晶層14と透明構造体34との屈折率差の関係については、液晶層14の異常光屈折率と透明構造体34の屈折率との屈折率差が大きいほど、より小さな入射角でも全反射するので好ましく、また、液晶層14の常光屈折率と透明構造体34との屈折率差が小さいほど、反射率が低くなり、高コントラストとなるので好ましい。
【0049】
また、透明構造体34の凸形状は、二等辺三角形状に限らず、半球形状としても同様の作用効果が得られる。
【0050】
また、アレイ基板13の透明導電層33として透明電極であるITO膜を用いているが、透明構造体34を導電層として用いることもできる。また、透明導電層33を透明基板31と透明構造体34との間に配置しているが、透明構造体34の表面に形成することもできる。
【0051】
また、対向基板12としてカラーフィルタ基板を用いてカラー表示を行うこともできる。
【0052】
また、アレイ基板13に、透明基板31を用いたが、光吸収層32が透明基板31の内面側にある限りは透明である必要はなく、また、光吸収する基板を用いることもできる。
【0053】
さらに、光吸収層32は、アレイ基板13の透明基板31の外面側に配置してもよい。
【0054】
次に、反射型液晶表示素子11の実施例1〜3と、比較例1〜3とについて、標準白色板対比の反射率、白黒表示したときのコントラストを測定した結果を図5に示す。
【0055】
実施例1は、前記実施の形態に示した構造であり、屈折率1.5のガラス基板上にITO膜を作成して透明導電層22を形成し、対向基板12とした。
【0056】
一方、屈折率1.5のガラス基板上に成膜とパターニングを繰り返す通常のTFTプロセスによりTFT素子およびドレイン電極、共通電極、信号線、ゲート線を作成してアレイ基板13とした。さらに、光吸収層32として黒色樹脂層を形成し、その上にITO膜を作成して透明導電層33とした。ITO膜の屈折率は、1.8であった。さらに、透明導電層33上に透明構造体34として3.0μmの多孔質のSiO膜をスパッタリングにより形成し、これを切削法により6μmピッチのV溝形状に加工した。包絡線法により求めた多孔質SiO膜つまり透明構造体34の屈折率は1.25であった。
【0057】
これら対向基板12とアレイ基板13との対向面に平行にラビング処理した後、これら対向基板12とアレイ基板13とをエポキシ系の熱硬化樹脂からなる接着剤を用いて所定の位置で貼り合わせた。
【0058】
これら対向基板12とアレイ基板13との間に誘電率異方性が正で常光屈折率が1.5、異常光屈折率が1.8の液晶材料を注入して充填し、液晶材料を注入した注入口を紫外線硬化樹脂で封止し、反射型液晶表示素子11を作成した。
【0059】
実施例2は、実施例1の透明構造体34の凸形状を半球状にした以外は、実施例1と同様に作成した。
【0060】
実施例3は、実施例1の対向基板12の透明基板21上に反射防止層として反射防止フィルムを貼り付けた以外は、実施例1と同様に作成した。
【0061】
実施例4は、実施例1の光吸収層32をアレイ基板13の外面に貼り付けた以外は、実施例1と同様に作成した。
【0062】
比較例1は、実施例1のSiO膜にV溝を形成しない以外は、実施例1と同様に作成した。
【0063】
比較例2は、実施例1のSiO膜の代わりに屈折率1.55のアクリル樹脂によりV溝を形成した以外は、実施例1と同様に作成した。
【0064】
比較例3は、実施例1の液晶材料に代えて、常光屈折率が1.48、異常光屈折率が1.60である液晶材料を用いた以外は、実施例1と同様に作成した。
【0065】
図5に示すように、実施例1〜4は、いずれの場合にも、反射率、およびコントラストとも高く、表示品位が良好であった。それに対して、比較例1〜3は、反射率、およびコントラストとも低く、表示品位が不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す反射型液晶表示素子の断面図である。
【図2】同上反射型液晶表示素子の電場オフ時の入射光の挙動を示す説明図である。
【図3】同上反射型液晶表示素子の電場オン時の入射光の挙動を示す説明図である。
【図4】同上反射型液晶表示素子の屈折率の関係が透明基板<透明中間層<透明導電層にあるときの入射光の挙動を示す説明図である。
【図5】各実施例および各比較例についての反射率、コントラスト、表示品位の測定結果を示す表である。
【符号の説明】
【0067】
11 反射型液晶表示素子
12 基板としての対向基板
13 基板としてのアレイ基板
14 液晶層
21 透明基板
22 透明導電層
23 透明中間層
32 光吸収層
33 透明導電層
34 透明構造体
【出願人】 【識別番号】302020207
【氏名又は名称】東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄

【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡

【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也


【公開番号】 特開2008−3401(P2008−3401A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174315(P2006−174315)