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【発明の名称】 波長変換装置及び波長変換方法
【発明者】 【氏名】玉木 裕介

【氏名】大島 正士

【氏名】今井 裕

【要約】 【課題】波長変換光におけるノイズの低減化を図ることを目的とする。

【構成】基本波光源11の周波数ジッタをΔfjitter、外部共振器20の共振器長をLcav、周波数線幅をΔνcav、内部損失の合計値をδとし、cを光速とすると、外部共振器20に基本波光源11からの光を入力する入力結合素子21の反射率Rinを、下記数1及び数2で表されるように選定する。周波数ジッタの大きい基本波光源の適用が可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本波光源と、外部共振器とを少なくとも備え、
前記基本波光源の周波数ジッタをΔfjitter、前記外部共振器の共振器長をLcav、周波数線幅をΔνcav、内部損失の合計値をδとし、cを光速とすると、前記外部共振器に前記基本波光源からの光を入力する入力結合素子の反射率Rinが、下記数1及び数2で表されるように選定される
ことを特徴とする波長変換装置。
【数1】


【数2】


【請求項2】
前記基本波光源の周波数ジッタΔfjitterが、
Δfjitter>100kHz
であることを特徴とする請求項1記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記基本波光源が、分布帰還型半導体レーザ又は外部共振器型半導体レーザ又は分布帰還型ファイバレーザを含む構成であることを特徴とする請求項1記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記基本波光源が、波長変換部を含む構成であることを特徴とする請求項3記載の波長変換装置。
【請求項5】
2以上の外部共振器を備え、少なくとも1つ以上の前記外部共振器の前記入力結合素子の反射率Rinが、上記数1及び数2で表されるように選定されることを特徴とする請求項1記載の波長変換装置。
【請求項6】
基本波光源から出射される光を外部共振器に入力して波長変換する波長変換方法であって、
前記基本波光源の周波数ジッタをΔfjitter、前記外部共振器の共振器長をLcav、周波数線幅をΔνcav、内部損失の合計値をδとし、cを光速とすると、前記外部共振器に前記基本波光源からの光を入力する入力結合素子の反射率Rinを、上記数1及び数2で表されるように選定する
ことを特徴とする波長変換方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基本波光源と外部共振器とを備える波長変換装置及び波長変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線レーザ等の短波長レーザ光を発振するレーザ光源として、基本波光源と、非線形光学結晶を備える外部共振器とより構成される波長変換装置が用いられている。
図16は、波長変換装置の一例の概略構成図である。基本波光源101と、外部共振器120とより構成される。外部共振器120には、所定の透過率を有するミラーより成る入力結合素子121、ミラー122〜124と、入力結合素子121及びミラー122との間に配置される非線形光学結晶125より構成される。基本波光源101から出射された励起用の基本波光Leは、入力結合素子121から外部共振器120に導入され、例えば所定の透過率を有するミラー122から外部に例えば第2高調波光Loとして出射される。
【0003】
従来は、入力結合素子121の反射率(透過率)を決定する手法としてインピーダンスマッチングを取ることを主眼に置かれていた。外部共振器の内部損失を求め、これと整合するように入力結合素子のロスを決めるというものである。この場合、インピーダンスが整合されるように入力結合素子の反射率を選定することによって、波長変換効率を最大化している。
これに対し、インピーダンスの整合だけでは不十分で、さらに非線形ロスも考慮して入力結合素子の反射率を決定する方法も提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5027361号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した波長変換装置によって得られる比較的短波長の光を用いる場合に、レーザの強度ノイズを抑えることが求められている。レーザをスキャンさせて例えば画像を得る場合、レーザの強度ノイズは画質劣化の原因になる。一例として、例えば紫外光領域のレーザ光を用いてウエハの欠陥を検査する検査装置に利用する場合に、短時間でも強度ノイズが発生すると検査精度に影響を及ぼすという問題がある。このようなウエハ検査装置においては、時速100km程度以上のスピードでレーザ光をウエハ上にスキャンさせて反射光強度でウエハ上の欠陥を検出している。このとき、1スポット当りの照射時間は0.3μs程度である。したがって、強度ノイズのため一瞬でも出力が低下してしまうと、0.3μs幅で反射光が暗くなることとなり、そのスキャン箇所に黒点ができてしまう。黒点は欠陥とみなされてしまうので、検査装置としての特性を著しく損なう恐れがある。
【0006】
以上の問題に鑑みて、本発明は、波長変換光におけるノイズの低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、基本波光源と、外部共振器とを少なくとも備え、基本波光源の周波数ジッタをΔfjitter、外部共振器の共振器長をLcav、周波数線幅をΔνcav、内部損失の合計値をδとし、cを光速とすると、外部共振器に基本波光源からの光を入力する入力結合素子の反射率Rinを、下記数1及び数2で表されるように選定することを特徴とする。
【0008】
【数1】


【0009】
【数2】


【0010】
また、本発明は、基本波光源から出射される光を外部共振器に入力して波長変換する波長変換方法であって、基本波光源の周波数ジッタをΔfjitter、外部共振器の共振器長をLcav、周波数線幅をΔνcav、内部損失の合計値をδとし、cを光速とすると、外部共振器に基本波光源からの光を入力する入力結合素子の反射率Rinを、上記数1及び数2で表されるように選定することを特徴とする。
【0011】
上述したように、本発明の波長変換装置及び波長変換方法においては、外部共振器の入力結合素子の反射率Rinを上記数1及び数2で表されるように選定するものである。
従来は、インピーダンスマッチングを取るため、外部共振器の入力結合素子の反射率がほぼ外部共振器の内部損失と等しくなるように選定していた。
これに対し、本発明者等は、基本波光源の周波数ジッタが波長変換光のノイズ源となることを究明した。そして、共振器の周波数線幅Δνcavに着目し、基本波光源の特性に合わせてこの周波数線幅Δνcavが上記数2で示すように、基本波光源の周波数ジッタfjitterより大となるように、入力結合素子の反射率Rinを選定することによって、波長変換光に現れるノイズを低減化できることを確認した。
したがって、本発明によれば、このような基本波光源の周波数ジッタに起因する波長変換光のノイズを確実に低減化することが可能である。特に、基本波光源として分布帰還型半導体レーザ又は外部共振器型半導体レーザなどの半導体レーザを用いる場合においては、周波数ジッタが比較的大きいことから、従来は波長変換装置の基本波光源として用いることが困難であったが、本発明構成とすることによって、このような比較的安価で小型の基本波光源を利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の波長変換装置及び波長変換方法によれば、波長変換光におけるノイズの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に、本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図を示す。この例においては、基本波光源11、周波数誤差信号を得るための位相変調器12、集光レンズ13、光検出器14、制御回路15、外部共振器20を備える構成とするものである。外部共振器20は、所定の反射率の半透過ミラーより成る入力結合素子21、ミラー22〜24、入力結合素子21とミラー22との間に配置される非線形光学素子17とより構成される。
このような構成において、基本波光源11から出射された基本波光は、位相変調器12を介して集光レンズ13により入力結合素子21に集光される。入力結合素子21から外部共振器20内に入射したレーザ光は、共振器内を多重干渉して増幅され、非線形光学素子17によって波長変換された出力光が、例えばハーフミラーとされるミラー22から外部に出力される。
なお、入力結合素子21により反射された光は光検出器14で検出される。その検出信号を用いて制御回路15により電磁アクチュエータ16の位置制御を行って入射光を共振動作させることにより、非線形光学素子17から効率よく高調波光が得られる。
【0014】
この波長変換装置においては基本波光源として例えば図2に示すように分布帰還型(DFB:Distributed Feedback)ファイバを用いる構成とすることができる。図2においては、DFBファイバを用いた基本波光源11の一例の概略構成図を示す。DFBファイバを用いる場合、一般に少なくともDFBファイバ及び励起用レーザより構成され、出力光の波長によっては、シードレーザが用いられる。この例においては、シードレーザを用いない場合を示す。図2に示すように、この基本波光源11には、例えば波長分割多重素子(WDM:Wavelength Division Multiplexing)31、Er、Ybなどの希土類含有、例えばYb含有のDFBファイバ32、波長分割多重素子33、励起用レーザ34が設けられる。
励起用レーザ34から出力された励起光は、波長多重分割素子31、33の間で往復してDFBファイバ32を励起する。励起された光は波長分割多重素子33を通過して外部に矢印Lfで示すように出力される。
このようなDFBファイバレーザを用いることによって、スペクトル幅の狭い、すなわち単一縦モードの光を得ることができる。
【0015】
このようなDFBファイバレーザを用いて図1に示す波長変換装置を構成した場合の波長変換光出力値のノイズの一例を図3に示す。この例においては、基本波光源としてDFBファイバレーザのSHG(Second Harmonic Generation:第2高調波)を用いた場合で、発振波長は532nmである。また、外部共振器内に用いる非線形光学素子としてβ−BBO(β−BaB、ベータホウ酸バリウム)を用いて、波長266nmの波長変換光を出力した。図3に示すように、波長変換光にはNcで示す定常的なノイズが発生しているが、これは100kHz程度の周波数ノイズであり、peak-to-peak値で2%程度である。これに対し、DFBレーザ等の周波数ジッタが比較的大きい基本波光源を用いる場合は、波長変換光出力値に非定常的にノイズNsが発生する。このノイズはパルス幅が10μs程度、peak-to-peak値で4〜8%程度と比較的大きい出力のノイズである。
本発明者等はこの比較的大きいノイズに着目して、以下の考察を行った。
【0016】
上述したように、従来の波長変換装置においては、外部共振器の入力結合素子の透過率Tin(=1−Rin)を、外部共振器のインピーダンスマッチをとるために、内部損失の合計値とほぼ等しくなるように選定していた。また上記特許文献1に記載されているように、この内部損失に加えて、外部共振器内に配置する非線形光学素子の波長変換効率も考慮してこの入力結合素子の透過率を選定している例もある。
【0017】
これに対し、上述したように、本発明者等はノイズの低減化を図るためにはより重要なファクタがあることを究明した。
通常考えられているノイズ源は、基本波光源の励起レーザの強度ノイズと外乱によるものであり、前述の図3に示すノイズNcがこれに相当する。これらはサーボ回路のループゲインを高めることにより解決できる。
一方、基本波光源の励起レーザの周波数ジッタが、ノイズの原因となることが明らかになった。すなわち、基本波光源の周波数を制御してジッタを与えると、波長変換光に図3中Nsで示すような非定常的なノイズが現れることが分かった。
【0018】
そこで、図4及び図5に示すような物理モデルを提唱する。図4及び図5に示す釣り鐘型曲線は外部共振器の周波数アクセプタンスを示す。FWMH(半値全幅)が周波数線幅Δνcavである。図4及び図5において実線fcは基本波光源の周波数を示し、この周波数fcが矢印sで示すようにジッタリングしている様子を示す。
図4は従来の波長変換装置における周波数アクセプタンスを示し、インピーダンスマッチングが満たされている例である。この場合、周波数線幅Δνcav=2.8MHzであり、外部共振器の入力結合素子の透過率はTin=1.0%、反射率はRin=99.0%である。このように、従来の手法により入力結合素子の透過率(反射率)を選定すると、図4に示すように、実線B1で示す周波数アクセプタンスは比較的幅狭となる。このため、周波数fcが矢印sで示すようにジッタリングすると、外部共振器内の許容範囲を超えてしまうときにカップリング低下が生じ、波長変換光のノイズとなって現れるものと思われる。
【0019】
一方、図5に示すように、意図的にフィネスを下げることによって周波数アクセプタンスB2を幅広とした場合は、基本波光源の周波数fcが矢印sで示すようにジッタリングしても、外部共振器の許容範囲を超えないので、波長変換光にノイズが現れないものと考えられる。図5においては、周波数線幅をΔνcav=4.0MHz、入力結合素子の透過率をTin=2.0%、反射率をRin=98.0%とした例を示す。この場合、従来の手法によるインピーダンスマッチングを無視して入力結合素子の反射率を決定するものである。
【0020】
ここで、図1に示す構成の波長変換装置において、外部共振器20の内部損失を1%とし、入力結合素子21の透過率Tinを変化させたときの波長変換光の出力の変化を解析する。この例においては、基本波光源として波長532nmのDFBファイバレーザのSHG、非線形光学素子としてBBOを用いて波長266nmの紫外光を出力する構成とする。この結果を図6に示す。入力結合素子21の透過率Tinを内部損失とほぼ等しく1%程度とする場合(領域A2で示す)はインピーダンスが整合しており、効率が最大化して、紫外光出力が最大となっていることが分かる。
【0021】
従来方式では、上述したように、
Tin≒δ ・・・・・(1)
となるように入力結合素子21の透過率を設計していた。Tinは透過率、δは内部損失の合計値である。
【0022】
本発明では、励起レーザの周波数ジッタ最大値をΔfjitterとすると、上記数2で示すように、
Δνcav≧Δfjitter ・・(2)
となるように、上記数1で示す外部共振器の周波数線幅を決定する方程式から入力結合素子の反射率Rinを選定するものである。
【0023】
例えば基本波光源11として上述の図2に示すようなDFB半導体レーザを用いる場合は、Δfjitterは数MHz程度であり、これにより求めた入力結合素子の透過率Tinは約3%程度であり、図6中領域A1で示す範囲となる。
また、入力結合素子の透過率に対する周波数線幅の変化を図7に示す。従来の手法により選定する場合は、領域A4の範囲であり比較的周波数線幅Δνcavが小さく、例えば前述の図4に示す例のように、2.8MHz近傍となる。
一方、本発明による場合は、領域A3で示す範囲となり、周波数線幅Δνcavが比較的大きくなり、図5に示す例のように、例えば4MHz近傍となる。
【0024】
基本波光源として例えばNPRO(Non-Planar Ring Oscillator)型のレーザを用いる場合はその周波数線幅は1kHz〜数kHz程度である。したがって、従来と同様の構成としても波長変換光にノイズが現れることは殆どない。
一方、100kHzを超える周波数線幅である場合、すなわち
Δνcav>100kHz ・・(3)
となるレーザ装置を基本波光源として用いる場合は、本発明構成とし、すなわち上記式(2)及び上記数1により外部共振器の入力結合素子の反射率を選定することが望ましいといえる。
【0025】
具体的に、基本波光源として例えば発振波長532nmのDFB型ファイバレーザのSHGを用い、外部共振器の非線形光学結晶としてBBOを用いる構成とし、内部損失が0.2%の場合において、外部共振器の入力結合素子の透過率Tin(すなわち反射率Rin)を従来の手法により選定した比較例と、上記数1及び上記式(2)により反射率Rinを選定した本発明の実施形態例による場合の波長変換光強度を測定した。この結果を図8及び図9に示す。これらを比較すると明らかなように、本発明によれば、波長変換光出力のノイズを格段に低減化できることがわかる。
【0026】
なお、周波数線幅Δνcavを大きくする程、周波数アクセプタンスが広がるので周波数ノイズによる影響を低減化することが可能であるが、Δνcavが200MHzを超える場合は、フィネスが2以下となってしまう。したがって、共振器を用いるメリット、すなわち多重干渉による増幅効果が得られなくなり、出力が低下する恐れがある。このため、本発明の波長変換装置及び波長変換方法において、外部共振器の入力結合素子の反射率は、周波数線幅が、
Δνcav<200MHz
となる範囲に選定することが望ましい。実用的には、周波数線幅Δνcavを2MHz〜数十MHz以下程度とすることが望ましいといえる。
【0027】
上述の例においては基本波光源としてDFB半導体レーザを用いる場合について説明したが、本発明はその他の比較的周波数ジッタの大きい半導体レーザ等の各種レーザを用いる場合に適用可能である。例えば図10に示す外部共振器型半導体レーザ(ECDL:External Cavity Diode Laser)を用いる場合にも適用可能である。この場合、基本波光源11は、半導体レーザ等の励起光源36、反射型グレーティング37及びミラー38より構成される。そして励起光源36からの出射光を反射型グレーティング37に反射させ、リトロリフレクター等のミラー38で反射させて励起レーザLe(基本波光)が出力される。このようなECDL型の半導体レーザを基本波光源として用いる場合においても、上述の実施形態例と同様に、波長変換光のノイズを格段に低減化することが可能である。
【0028】
以上説明したように、本発明の波長変換装置によれば、波長変換光の強度ノイズを格段に低減化することができる。
特に、DFBファイバレーザ、ECDL、DFB半導体レーザ等の周波数ジッタの大きい光源を基本波光源に使用する場合においても、確実に波長変換光の強度ノイズの低減化を図ることができる。
すなわち、DFBファイバレーザ等の比較的安価なレーザ光源を基本波光源に使うことが可能となり、コストの低減化、また装置構成の簡易化、小型化が実現可能となる。
【0029】
また、本発明により波長変換光のノイズを低減化することができるので、前述したような半導体装置、半導体ウエハ等の検査装置に用いる検査装置用照明光源(例えば波長190nm〜900nm)として本発明を適用することによって、検査精度を損なうことなく良好な検査を行うことが可能となる。
更に、例えば画像装置としてプロジェクター等の照明光源(例えば波長400〜600nm)において本発明の波長変換装置及び波長変換方法を適用することによって、同様に照明光のノイズを低減化することができ、良好な画像表示が可能となる。
また更に、例えば高速スキャンが必要な暗視野顕微鏡の照明光源として本発明による波長変換装置から出力される波長変換光を使うことが可能であり、この場合においてもノイズを低減化できることによって、良好な顕微鏡観察が可能となる。
その他、本発明は、PDT(Photo Dynamic Therapy、光線力学療法)用レーザ(例えば波長500〜700nm)、ディスクカッター用レーザ(例えば波長190nm〜400nm)、レーザーショー用光源(例えば波長450nm〜680nm)、蛍光材料励起レーザ(例えば波長190nm〜400nm)など、種々の波長変換を行う光源装置に用いることによって、ノイズの低減化、またコストの低減化、装置構成の簡易化、小型化を図ることが可能である。
【0030】
なお、本発明は上述の図1に示す実施形態例の装置構成とする他、例えば図11〜図15に示す構成の波長変換装置においても適用可能である。図11〜図15において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。なお、図11〜図15においては外部共振器内の入力結合素子以外のミラーを省略して示す。
図11に示す例では、例えば発振波長が1560nmの基本波光源11を用いて、この光を例えば周期的分極反転構造が形成されたLN(ニオブ酸リチウム、LiNbO3)等の非線形光学素子に入力し、波長780nmの第2高調波に変換して外部共振器20に入力する場合である。この場合においても外部共振器20の入力結合素子の反射率を上記数1及び数2(すなわち上記式(2))により選定することによって、同様の効果を得ることができる。
【0031】
更に、図12においては、外部共振器21A及び21Bを直列状に配置する例を示す。すなわちこの場合、基本波光源11から波長1064nmの光を外部共振器20Aに入力して波長532nmの光を出力し、更に外部共振器20Bに入力して波長266nmの光を出力するものである。この場合においても同様に、外部共振器20A及び20Bの入力結合素子21A及び21Bの反射率を上記数1及び数2により選定することによってノイズの低減化を図り、同様の効果を得ることができる。一方の入力結合素子のみに本発明を適用することも可能であり、この場合においても、従来に比してノイズの低減化を図ることが可能である。
また、図13においては、外部共振器40を和周波混合型とする場合を示す。基本波光源11Aから波長266nmの光を入力し、基本波光源11Bから波長780nmの光を入力して、波長198nmの光を出力するものである。この場合も、入力結合素子41A及び41Bの反射率を上記数1及び数2により選定することによって、ノイズを低減化し、同様の効果を得ることができる。図13中47は非線形光学素子を示す。
【0032】
図14に示す例においては、2つの基本波光源11A及び11Bと2つの外部共振器20A及び20B、更に和周波混合型の外部共振器40を用いる場合を示す。一方の基本波光源11Aから波長532nmの光を外部共振器20Aに入力し、他方の基本波光源11Bから波長1560nmの光を外部共振器20Bに入力する。そして、外部共振器20A及び20Bから出力される波長266nm及び780nmの光を外部共振器40に入力して和周波混合により波長198nmの光を出力する。この例においても、外部共振器20A、20Bの各入力結合素子21A及び21B、外部共振器40の2つの入力結合素子41A及び41Bのそれぞれについて、上記数1及び数2により反射率を選定することによって、同様にノイズの低減化を図ることができ、同様の効果を得ることが可能である。また、少なくとも1つの入力結合素子に本発明を適用することも可能であり、この場合においても、従来に比してノイズの低減化を図ることができる。図14において、17A、17B及び47は非線形光学素子を示す。
【0033】
更に、図15に示すように、基本波光源11A及び11Bを用いて、一方の基本波光源11Bからの光のみを外部共振器20内で多重干渉させる場合においても本発明を適用することができる。この場合、基本波光源11Aから波長244nmの光を外部共振器の非線形光学素子17を通過させ、基本波光源11Bから波長1064nmの光を入力結合素子21から外部共振器20に入力して、波長198nmの光を出力する例を示す。この場合においても、入力結合素子21の反射率を上記数1及び数2により選定することによって、ノイズを低減化することができ、同様の効果を得ることが可能である。
【0034】
以上説明したように、本発明は、基本波光源に波長変換部例えばSHG光を出力する外部共振器型の波長変換部を設ける構成とする場合にも適用可能であり、この場合において、基本波光源内の外部共振器を含んで入力結合素子の反射率を上記数1及び数2により選定することによって、ノイズの低減化を図ることができる。
なお、2以上の外部共振器を備える場合において、少なくとも1つ以上の外部共振器の入力結合素子の反射率を、上記数1及び数2で表されるように選定する場合は、従来と比較してノイズの低減化を図ることが可能となる。
【0035】
また本発明は、上述の各実施形態例に示す構成の波長変換装置に限定されるものではなく、その他基本波光源と外部共振器とをファイバ等で結合する場合など、本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図である。
【図2】分布帰還型(DFB)ファイバレーザの一例の概略構成図である。
【図3】波長変換光強度のノイズの一例を示す図である。
【図4】外部共振器の周波数許容度を示す図である。
【図5】外部共振器の周波数許容度を示す図である。
【図6】入力結合素子の透過率に対する波長変換光出力の変化を示す図である。
【図7】入力結合素子の透過率に対する外部共振器の周波数線幅の変化を示す図である。
【図8】比較例による波長変換光強度の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態例に係る波長変化装置による波長変換光強度の一例を示す図である。
【図10】外部共振器型半導体レーザの一例の概略構成図である。
【図11】本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図である。
【図12】本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図である。
【図13】本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図である。
【図14】本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図である。
【図15】本発明の実施形態例に係る波長変換装置の一例の概略構成図である。
【図16】波長変換装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0037】
11.基本波光源、11A.基本波光源、11B.基本波光源、12.位相変調器、13.集光レンズ、14.光検出器、15.制御回路、16.電磁アクチュエータ、17.非線形光学素子、21.入力結合素子、21A.入力結合素子、21B.入力結合素子、22.ミラー、23.ミラー、24.ミラー、31.波長分割多重素子、32.DFBファイバ、33.波長分割多重素子、34.励起用レーザ、36.励起光源、37.反射型グレーティング、38.ミラー、40.外部共振器、41.入力結合素子、41A.入力結合素子、41B.入力結合素子、47.非線形光学素子、101.基本波光源、121.入力結合素子、122.ミラー、123.ミラー、124.ミラー、125.非線形光学素子
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末

【識別番号】100133824
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 仁恭


【公開番号】 特開2008−3317(P2008−3317A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172822(P2006−172822)