トップ :: G 物理学 :: G02 光学

【発明の名称】 液晶装置及び液晶装置の製造方法
【発明者】 【氏名】笹林 朋子

【要約】 【課題】液晶の封止部近傍への付着を防止し、封止性能を向上させた液晶装置及びその製造方法を提供する。

【構成】本発明の液晶装置100は、液晶50を保持する一対の基板10,20と、前記一対の基板10,20の間に設けられ、前記液晶50の周囲を囲むシール材52と、前記一対の基板10,20のうちの少なくとも一方の基板20に設けられ、当該基板20の前記シール材52の内側の領域において当該基板20を厚み方向に貫通する液晶注入孔1と、前記液晶注入孔1を封止する封止材55と、を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を保持する一対の基板と、
前記一対の基板の間に設けられ、前記液晶の周囲を囲むシール材と、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に設けられ、当該基板の前記シール材の内側の領域において当該基板を厚み方向に貫通する液晶注入孔と、
前記液晶注入孔を封止する封止材と、を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記液晶注入孔は、前記基板の前記液晶側の面に設けられた第1孔部と、前記基板の前記液晶とは反対側の面に設けられ、前記第1孔部よりも外径の大きい第2孔部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記封止材は前記液晶注入孔の内部に設けられ、前記封止材の表面と前記基板の表面とは面一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記シール材によって囲まれた領域の中央部に画像表示領域が設けられ、前記画像表示領域と前記シール材との間の領域に前記液晶注入孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記液晶注入孔は、前記画像表示領域と前記シール材との間の領域に複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記液晶注入孔は、矩形枠状に設けられた前記シール材の角部に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の液晶装置
【請求項7】
前記液晶注入孔は、矩形枠状に設けられた前記シール材の所定の辺の中央部に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記一対の基板は、駆動素子が形成された第1基板と、駆動素子が形成されない第2基板とからなり、前記液晶注入孔は、駆動素子が形成されない前記第2基板に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の液晶装置。
【請求項9】
請求項2に記載の液晶装置を製造する液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板を前記シール材を介して貼り合わせる工程と、
前記一対の基板と前記シール材とによって区画された空間の内部を真空排気する工程と、
前記液晶注入孔の第1孔部に液晶注入治具を挿入し、該液晶注入治具から前記空間の内部に前記液晶を注入する工程と、
前記液晶注入孔の第2孔部に前記封止材を供給し、前記液晶注入孔を封止する工程と、を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項10】
前記液晶注入治具は、前記第2孔部と嵌合する第2嵌合部と、前記第2嵌合部の底部から突出して前記第1孔部と嵌合する第1嵌合部と、を有することを特徴とする請求項9に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項11】
前記液晶注入治具は、前記第2嵌合部に挿入され、前記第2嵌合部の内部に収容された液晶の液面を加圧する加圧治具を有することを特徴とする請求項10に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2嵌合部と前記第2孔部との間に、両者を気密に密閉する密閉部材を設けることを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項13】
前記液晶を注入する工程は、前記液晶注入孔を前記液晶注入治具及び前記密閉部材によって密閉した後、前記一対の基板の外部の雰囲気を大気開放する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項14】
前記液晶注入治具に収容された液晶は、前記空間の内部を真空排気する際に脱泡処理されることを特徴とする請求項9〜13のいずれかの項に記載の液晶装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び液晶装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶装置は、一対の基板間に液晶を封入することにより作製される。一対の基板は枠状のシール材を介して貼り合わされており、両基板の間には、スペーサによって維持される間隙、いわゆるセルギャップが形成されている。シール材の一部は開口しており、該開口部が液晶を注入するための液晶注入口となっている。
【0003】
液晶注入は、真空中でセルギャップ内を排気した後、液晶を満たした容器(液晶皿)に液晶注入口を浸漬することにより行なわれる。また、特許文献1のように、液晶注入口の近傍に液晶を滴下することによって行なうこともできる。液晶注入口に接触した液晶は、毛細管現象によってセルギャップ内に注入される。また、液晶注入口に液晶を接触させた後、大気開放することにより、セルギャップの内外の気圧差を利用して迅速に液晶の注入を行なうことができる。
【特許文献1】特開平6−273779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法では、液晶注入時に液晶注入口の周辺に液晶が付着し、その上に封止材を塗布することで、液晶注入口の封止性能が低下するという問題があった。また、液晶注入口の周辺に付着した液晶を除去するために、洗浄工程が必要となり、製造工程が複雑になるという問題もある。さらに、端子部の近傍に封止材を設けると、配線基板と干渉するため、端子部近傍には液晶注入口を設けることができないというレイアウト上の制約も生じる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液晶の封止部近傍への付着を防止し、封止性能を向上させた液晶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶装置は、液晶を保持する一対の基板と、前記一対の基板の間に設けられ、前記液晶の周囲を囲むシール材と、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に設けられ、当該基板の前記シール材の内側の領域において当該基板を厚み方向に貫通する液晶注入孔と、前記液晶注入孔を封止する封止材と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、液晶注入孔に液晶注入治具を挿入して液晶を注入することで、基板の表面に液晶が付着しないようにすることができる。また、基板の表面に液晶が付着しないので、洗浄工程が不要になり、液晶の無駄も少なくなる。さらに、封止材が端子と干渉しないので、液晶注入孔の設置位置にレイアウト上の制約も生じない。
また、従来のようにシール材の一部に開口部(液晶注入口)を設けて液晶を注入する方法では、開口部の面積が狭すぎて十分な注入速度が得られないが、本発明のように基板の表面に開口部(液晶注入孔)を形成した場合には、開口部の面積を広くとることができ、注入速度も向上する。この開口部のスペースは1mm程度でも十分な注入速度が得られる。また、1mm程度のマージンがあれば、液晶注入治具の装着も容易である。
【0007】
本発明においては、前記液晶注入孔は、前記基板の前記液晶側の面に設けられた第1孔部と、前記基板の前記液晶とは反対側の面に設けられ、前記第1孔部よりも外径の大きい第2孔部と、を有することが望ましい。
この構成によれば、第1孔部の外径が小さく形成されているので、第2孔部に封止材を充填しても、容易に第1孔部から基板間の空間に封止材が侵入しないようにすることができる。
【0008】
本発明においては、前記封止材は前記液晶注入孔の内部に設けられ、前記封止材の表面と前記基板の表面とは面一であることが望ましい。
この構成によれば、基板上に偏光板等を貼り付ける際に、貼りむらが生じないようにすることができる。
【0009】
本発明においては、前記シール材によって囲まれた領域の中央部に画像表示領域が設けられ、前記画像表示領域と前記シール材との間の領域に前記液晶注入孔が設けられていることが望ましい。
この構成によれば、液晶注入孔を設けたことによる表示への影響を最小限に抑えることができる。
【0010】
本発明においては、前記液晶注入孔は、前記画像表示領域と前記シール材との間の領域に複数設けられていることが望ましい。
この構成によれば、液晶の注入速度を高めることができる。
【0011】
本発明においては、前記液晶注入孔は、矩形枠状に設けられた前記シール材の角部に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、液晶注入孔を設けたことによる表示への影響を最小限に抑えることができる。
【0012】
本発明においては、前記液晶注入孔は、矩形枠状に設けられた前記シール材の所定の辺の中央部に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、液晶注入孔を角部に設ける場合に比べて、注入速度を高めることができる。
【0013】
本発明においては、前記一対の基板は、駆動素子が形成された第1基板と、駆動素子が形成されない第2基板とからなり、前記液晶注入孔は、駆動素子が形成されない前記第2基板に設けられていることが望ましい。
この構成によれば、製造が容易になり、液晶注入孔を設けたことによる表示性能等への影響も最小限に抑えることができる。
【0014】
本発明の液晶装置の製造方法は、上述した本発明の液晶装置を製造する液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板を前記シール材を介して貼り合わせる工程と、前記一対の基板と前記シール材とによって区画された空間の内部を真空排気する工程と、前記液晶注入孔の第1孔部に液晶注入治具を挿入し、該液晶注入治具から前記空間の内部に前記液晶を注入する工程と、前記液晶注入孔の第2孔部に前記封止材を供給し、前記液晶注入孔を封止する工程と、を有することを特徴とする。
この方法によれば、基板の表面に液晶注入孔を設け、該液晶注入孔に液晶注入治具を挿入して液晶を注入するため、基板の表面に液晶が付着することがない。したがって、封止材で封止した際に封止性能が損なわれることがなく、信頼性の高い液晶装置が提供される。また、基板の表面に液晶が付着しないので、洗浄工程が不要になり、さらに封止材が端子と干渉しないので、液晶注入孔の設置位置にレイアウト上の制約も生じない。
【0015】
本発明においては、前記液晶注入治具は、前記第2孔部と嵌合する第2嵌合部と、前記第2嵌合部の底部から突出して前記第1孔部と嵌合する第1嵌合部と、を有することが望ましい。
この方法によれば、液晶注入孔が液晶注入治具と嵌合する形状となるため、液晶注入孔に液晶注入治具を挿入するのみで液晶注入治具の固定が可能となり、位置決めも容易となる。
【0016】
本発明においては、前記液晶注入治具は、前記第2嵌合部に挿入され、前記第2嵌合部の内部に収容された液晶の液面を加圧する加圧治具を有することが望ましい。
この方法によれば、加圧治具からの圧力によって注入の進行を促進することができる。
【0017】
本発明においては、前記第2嵌合部と前記第2孔部との間に、両者を気密に密閉する密閉部材を設けることが望ましい。
この方法によれば、液晶注入治具を液晶注入孔に装着した状態で真空チャンバ内を大気開放することができ、液晶の注入がスムーズに行なえるようになる。
【0018】
本発明においては、前記液晶を注入する工程は、前記液晶注入孔を前記液晶注入治具及び前記密閉部材によって密閉した後、前記一対の基板の外部の雰囲気を大気開放する工程を含むことが望ましい。
この方法によれば、セルギャップの内外での気圧差を利用して、液晶の注入の進行を促進することができる。
【0019】
本発明においては、前記液晶注入治具に収容された液晶は、前記空間の内部を真空排気する際に脱泡処理されることが望ましい。
この方法によれば、脱泡処理に要する時間を短縮でき、製造工程を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0021】
[第1の実施の形態]
[液晶装置の構成]
図1は、本発明の第1実施形態の液晶装置を各構成要素とともに示す平面図、図2は図1のH−H’線に沿う断面図である。図1及び図2において、液晶装置100は、第1基板10と、該第1基板10と対向配置された第2基板20とを備えている。第1基板10と第2基板20とは矩形枠状のシール材52を介して貼り合わされており、両基板の間には、図示略のスペーサによって維持される空間、いわゆるセルギャップが形成されている。セルギャップの内部には液晶50が封入されており、これにより液晶層が形成されている。シール材52は、液晶50の周囲を囲んで閉じた枠状に形成されており、液晶50の周囲を封止している。
【0022】
シール材52の枠内側の領域の中央部には、図示略の画素及び画素スイッチング用の駆動素子がマトリクス状に形成され、画像表示領域100Aを構成している。シール材52の枠外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202が第1基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。第1基板10の残る一辺には、画像表示領域100Aの両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、第2基板20の角部の少なくとも1箇所においては、第1基板10と第2基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0023】
これらデータ線駆動回路201、走査線駆動回路204、配線205及び実装端子202等の各種駆動素子及び配線は、いずれも第1基板10上に形成されている。本実施形態の場合、第1基板10は、画素電極と、該画素電極を駆動するTFT(Thin Film Transistor)とを備えたTFTアレイ基板であり、第2基板20は、該画素電極と対向する対向電極(共通電極)を備えた対向基板である。
【0024】
ここで、第2基板20には、シール材52と画像表示領域100Aとの間に、第2基板20の液晶50側の面から液晶50とは反対側の面まで貫通する液晶注入用の貫通孔(液晶注入孔)1が設けられている。この液晶注入孔1は、矩形枠状に設けられたシール材52の角部に設けられている。
【0025】
液晶注入孔1は、第2基板20の液晶50側の面に設けられた第1孔部11と、第2基板20の液晶50とは反対側の面に設けられた第2孔部12と、を備えている。これらの孔部は、第2基板20をエッチングないしレーザ処理により円柱状に開口することにより形成される。第2孔部12は第1孔部11よりも外径が大きく形成されており、この第2孔部12に封止材55が充填されることで、液晶注入孔1が封止されている。
【0026】
[液晶装置の製造方法]
次に、以上のように構成された液晶装置1の製造方法について、液晶注入孔1から液晶を注入する工程を中心に説明する。図3(a)は、第1基板10と第2基板20とをシール材52を介して貼り合わせた状態の説明図、図3(b)は、液晶注入治具3を用いて液晶を注入する方法の説明図、図3(c)は、液晶注入孔1を封止材55で封止した状態の説明図である。
【0027】
まず、図3(a)に示すように、第1基板10と第2基板20とをシール材52を介して貼り合わせ、セルギャップ内に液晶の充填されていないパネル構造体、いわゆる空パネル110を作製する。空パネル110には、第2基板20の表面に液晶注入孔1を形成する。この液晶注入孔1は、空パネル110を作製する前にエッチング等で形成しても良いし、空パネル110を作製した後にレーザ等を用いて形成しても良い。
【0028】
次に、空パネル110を図示略の真空チャンバに導入し、セルギャップの内部を真空排気する。セルギャップ内のガスは液晶注入孔1を介して外部に排出される。セルギャップの内部が十分に排気されたら、液晶注入孔1に液晶注入治具3を挿入し、該液晶注入治具3からセルギャップの内部に液晶を注入する。
【0029】
ここで、液晶注入治具3は、第2孔部12と嵌合する円筒状の第2嵌合部32と、第2嵌合部32の底部から突出して液晶注入孔1の第1孔部11と嵌合する円筒状の第1嵌合部31と、を備えている。第2嵌合部32の内部には、液晶51が収容されている。この液晶51は、セルギャップ内を真空排気する際に脱泡処理される。
【0030】
第2嵌合部32の内部には、加圧治具33が挿入される。加圧治具33には、第2嵌合部32の軸線方向(図3の上下方向)に移動可能な第1円柱部34が設けられている。この第1円柱部34は、第2嵌合部32との間で液晶51を気密に封止する。第1円柱部34の上端部には、第1円柱部34よりも外径の大きな第2円柱部35が設けられている。そして、この第2円柱部35を加圧することによって、液晶51の液面を加圧するようになっている。なお、加圧治具33は、液晶51を脱泡処理する際には第2嵌合部32から取り外される。
【0031】
液晶注入治具3と液晶注入孔1との間には、Oリング等の密閉部材2が設けられる。密閉部材2は、液晶注入孔1の第2孔部12と液晶注入治具3の第2嵌合部32との間に介在して両者を気密に密閉する。かかる構成により、液晶注入治具3を液晶注入孔1に装着した状態でセルギャップの内部は気密に封止され、真空状態を保持される。
【0032】
以上により、液晶注入孔1を液晶注入治具3及び密閉部材2によって密閉したら、真空チャンバ内を大気開放する。そして、図3(b)に示すように、空パネル110の内外の気圧差を利用して、加圧部材3を加圧し、第2嵌合部32に収容された液晶51を空パネル110の内部に注入する。液晶注入孔1から注入された液晶51は、毛細管現象により空パネル110の内部に侵入し、液晶注入孔1を中心として同心円状に広がっていく。また、加圧治具3からの圧力によって注入の進行が促進される。
【0033】
以上により液晶51が空パネル全体に充填されたら、液晶注入治具3を取り外す。そして、図3(c)に示すように、液晶注入孔1の第2孔部12に封止材55を供給し、液晶注入孔1を封止する。封止材55は必要な量だけ充填し、封止材55の表面と第2基板20の表面とが面一になるようにする。こうすることで、第2基板20上に偏光板等を貼り付ける際に、貼りむらが生じないようになる。なお、液晶注入孔1は底部(第1孔部11)が外径の小さい形状となっているため、封止材55を塗布しても、封止材55は空パネル内に容易に侵入しない。以上により、液晶注入工程が完了する。
【0034】
以上のように、本実施形態においては、第2基板20の表面に液晶注入孔1を設け、該液晶注入孔1に液晶注入治具3を挿入して液晶51を注入するため、第2基板20の表面に液晶51が付着することがない。したがって、封止材55で封止した際に封止性能が損なわれることがなく、信頼性の高い液晶装置が提供される。また、第2基板20の表面に液晶51が付着しないので、洗浄工程が不要になり、液晶の無駄も少なくなる。さらに、封止材が実装端子202と干渉しないので、液晶注入孔1の設置位置にレイアウト上の制約も生じない。
【0035】
また、従来のようにシール材の一部に開口部(液晶注入口)を設けて液晶を注入する方法では、開口部の面積が狭すぎて十分な注入速度が得られないが、本実施形態のように第2基板20の表面に開口部(液晶注入孔1)を形成した場合には、開口部の面積を広くとることができ、注入速度も向上する。この開口部のスペースは1mm程度でも十分な注入速度が得られる。また、1mm程度のマージンがあれば、液晶注入治具3の装着も容易である。
【0036】
また、液晶注入孔1を外径の小さい第1孔部11と、外径の大きい第2孔部12によって形成したため、第1孔部11を介して液晶の供給を可能としつつ、第2孔部12に封止材55を充填することで、空パネル内への封止材55の侵入を抑えることができる。また、液晶注入孔1が液晶注入治具3と嵌合する形状となるため、液晶注入孔1に液晶注入治具3を挿入するのみで液晶注入治具3の固定が可能となり、位置決めも容易となる。さらに、液晶注入治具3と液晶注入孔1との間に密閉部材2を設けたため、液晶注入治具3を液晶注入孔1に装着した状態で真空チャンバ内を大気開放することができ、液晶の注入がスムーズに行なえるようになる。
【0037】
また、液晶注入孔1が、駆動素子の形成されない第2基板上に形成されるため、製造が容易になり、液晶注入孔1を設けたことによる表示性能等への影響も最小限に抑えることができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。図4は、第2実施形態に係る液晶装置200の概略平面図である。この液晶装置200の基本構成は第1実施形態の液晶装置100と同じであり、異なるのは、液晶注入孔1を矩形枠状に設けられたシール材52の右辺の中央部に設けた点である。この構成によれば、液晶注入孔1から注入された液晶51は、液晶注入孔1の前方180°の方向に広がることができるため、液晶注入孔1の前方90°の方向にしか広がらない第1実施形態の構成に比べて、注入速度を単純計算で2倍の速度に高めることができる。
【0039】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。図5は、第3実施形態に係る液晶装置300の概略平面図である。この液晶装置300の基本構成は第1実施形態の液晶装置100と同じであり、異なるのは、液晶注入孔1を矩形枠状に設けられたシール材52の4つの角部全てに設けた点である。この構成によれば、液晶注入孔1の数が第1実施形態のものに比べて4倍に増えるため、液晶51の注入速度も単純計算で4倍の速度に高めることができる。
【0040】
なお、図5では、液晶注入孔を4つの角部全てに設けたが、液晶注入孔1は4つの角部全てに設ける必要はなく、2つ又は3つの角部のみに設けることもできる。また、液晶注入孔1の設置位置もシール材52の角部ではなく、図4のようなシール材52の辺の中央部に設けることもできる。さらに、これらを組み合わせることもできる。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態の液晶装置の概略平面図である。
【図2】図1のH−H′線に沿う断面図である。
【図3】同液晶装置の製造方法の説明図である。
【図4】第2実施形態の液晶装置の概略平面図である。
【図5】第3実施形態の液晶装置の概略平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…液晶注入孔、2…密閉部材、3…液晶注入治具、11…第1孔部、12…第2孔部、10…第1基板、20…第2基板、31…第1嵌合部、32…第2嵌合部、33…加圧治具、50…液晶、51…液晶、52…シール材、55…封止材、100…液晶装置、100A…画像表示領域、200…液晶装置、300…液晶装置

【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和


【公開番号】 特開2008−3293(P2008−3293A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172546(P2006−172546)