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【発明の名称】 液晶表示装置
【発明者】 【氏名】永山 和由

【要約】 【課題】デザイン変更のみでS−IPSの開口率を向上させることのできる液晶表示装置を得る。

【構成】本発明に係る液晶表示装置は、第1の基板上に設けられた第1の電極10および第2の電極20の間に横電界を発生させるIPS構造を有する液晶表示装置において、第1の電極10および第2の電極20の間の電界方向によって液晶の配向方向にずれが発生する部分を、開口部外に設けたものである。これにより、開口率の向上を図るとともに、焼き付き防止を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に設けられた第1の電極および第2の電極の間に横電界を発生させるIPS構造を有する液晶表示装置において、
前記第1の電極および前記第2の電極の間の電界方向によって、液晶の配向方向にずれが発生する部分を、開口部外に設けたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、開口率を向上させる液晶表示装置に関し、特に、IPSあるいはS−IPS(Super−In−Plane Switching)方式において開口率の向上を実現する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、特にTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を用いた液晶表示装置が、広く携帯電話から大型テレビにまで採用されている。最近では、50インチクラスの大画面サイズのパネルが大量生産されるようになり、公共用ディスプレイとしての用途が増えてきた。公共用ディスプレイは、同じ画面を長時間映すので、焼き付きが起こりやすい。このような中で、公共用ディスプレイに使用するような表示装置にあっては、特に、焼き付きが発生しない対策が施された表示装置が要求されている。また、中小型、ノートPC、モニターにおいても、同様な製品レベルが要求されるようになってきている。
【0003】
従来、視野角特性を向上するためにIPS技術、さらにはS−IPS技術が考案され、現在、さまざまな製品として量産されている(例えば、特許文献1参照)。図6は、従来技術のIPS構造を示す図である。図6(a)、図6(b)に示すように、IPS構造においては、同一基板上に2つの電極10、20が形成され、その電極間に電界を掛けることで液晶を応答させ、階調表示を行っている。実際に、同一基板上に電極を形成しているために、基板に平行な電界成分が大きく、結果的に視野角の広い特性を得ることができている。
【0004】
ここで、このようなIPSパネルでは、電極が上下に対し、液晶の配列方向が上下からややずれているため、視野角特性も上下左右対称とならない。そこで、その補償のための構造も提案され、量産されている。図7は、従来技術による視野角特性の補償に関する説明図である。図7に示すように、電極形状をくの字とすることにより、液晶分子の方向性を補償することができる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−24104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。従来技術によれば、視野角特性は向上できる。しかしながら、IPSあるいはS−IPS方式においては、2つの電極間に発生する電界の方向によって、液晶の配向方向にずれが発生し、色付きノイズに相当するディスクリネーションが発生する問題がある。
【0007】
図8は、従来のIPSあるいはS−IPS方式による液晶表示装置におけるディスクリネーションの発生に関する説明図である。図8(a)に示すように、IPSあるいはS−IPS方式の液晶表示装置は、2つの電極に相当するコモン電極10と画素電極20との間に電界を発生させて、液晶の配向制御を行う。しかしながら、図8(a)における○印で示した部分では、液晶の配向方向が他の部分とは異なってばらつき、輝度にはほとんど寄与せず、また、焼き付きの原因となる。
【0008】
図8(b)は、図8(a)の○印の部分の拡大図であり、(1)〜(5)の5箇所の部分における液晶の配向方向を示している。この図8(b)は、コモン電極10と画素電極20との間に電界Eが発生した場合に、液晶が傾く方向を示したものである。(1)〜(5)における液晶の配向方向は、電界の方向によって異なることとなる。
【0009】
(1)および(5)では、同一方向の電界の作用により、液晶は、左方向に動く。また、コーナー部分である(2)では、(1)および(5)とは電界方向が異なるものの、液晶は左方向に動くこととなる。また、(3)では、電界が作用しないため液晶は動かず、輝度には寄与しない。そして、もう1つのコーナー部である(4)では、電界方向の関係で、液晶が右回りに動くこととなる。この結果、(4)と(5)の間(図8(b)において点線の円で示した部分)にディスクリネーションが発生することとなる。
【0010】
ディスクリネーションの大きさは、印加電圧の大きさに比例し、電圧が大きいほど大きいディスクリネーションが発生する。そして、白画像から黒画像に動かす場合に、このディスクリネーションの変化が焼き付きとして見え、液晶パネルの焼き付きの原因の1つになる。
【0011】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、デザイン変更のみでS−IPSの開口率を向上させることのできる液晶表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る液晶表示装置は、第1の基板上に設けられた第1の電極および第2の電極の間に横電界を発生させるIPS構造を有する液晶表示装置において、第1の電極および第2の電極の間の電界方向によって液晶の配向方向にずれが発生する部分を、開口部外に設けたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、焼き付きの元になり、輝度に寄与しない部分を、開口率内から開口率外に出すことにより、副作用なしに、デザイン変更のみでS−IPSの開口率を向上させることのできる液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の液晶表示装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本発明の液晶表示装置は、コモン電極および画素電極を形成するためのマスクを工夫することにより、S−IPS方式の液晶表示装置における開口率の向上、および焼き付き防止を実現することを特徴とするものである。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における液晶表示装置と従来の液晶表示装置との電極構成の違いを示した図である。図1(a)は、従来の液晶表示装置における電極構成を示しており、先の図8(a)と同じである。また、図1(b)は、本実施の形態1における液晶表示装置の電極構成を示している。
【0016】
本実施の形態1における液晶表示装置は、輝度にほとんど寄与せず、ディスクリネーションの原因となる部分(図8(a)において○印で示した部分)を、開口部に相当する金属メタルのコモン線30の外側部分に設けるように構成されている。図1(b)において、液晶の傾きがばらつくコーナー部分は、開口部外に設けられている。そして、この部分は、メタル部分であることから光は透過せず、液晶パネルの焼き付きに影響を及ぼすことはない。
【0017】
さらに、図1(a)と図1(b)の開口部は、ともに同じ大きさであるが、図1(b)においては、輝度に寄与しない部分が開口部外となることにより、開口部内では光らない部分がなくなり、より明るくなる。
【0018】
図2〜図5は、本発明の実施の形態1における液晶表示装置の4工程に渡る製造工程を順に示した図であり、図2が1層目、図3が2層目、図4が3層目、そして図5が4層目の工程をそれぞれ示している。
【0019】
図2の1層目は、ゲートLayerであり、ゲート線、コモン線を作る。
次に、図3の2層目は、信号線、チャネルのLayerであり、信号線を作るとともに、TFTのチャネル部分、コモン線上に負荷容量を作る。
【0020】
次に、図4の3層目は、コンタクトホールのLayerであり、画素ITO電極を画素電極と繋げるためのコンタクトホールと、コモン線と画素コモンITOとを繋げるコンタクトホールを作る。
【0021】
そして、最後に、図5の4層目は、電極Layerであり、画素ITO電極および画素コモンITO電極を作る。そして、本発明では、この4層目で作り込む両電極の位置を、先の図1(b)に示したような位置としている。これにより、開口部内での輝度を明るく保つとともに、ディスクリネーションの要因となる部分を開口部外にレイアウトして、焼き付き防止を図っている。
【0022】
以上のように、実施の形態1によれば、4層目の工程で作り込む電極の位置を工夫することにより、4工程目のマスク変更によるデザイン変更のみで、S−IPS方式において、ディスクリネーションによる焼き付きを防止し、開口率を向上させることのできる液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における液晶表示装置と従来の液晶表示装置との電極構成の違いを示した図である。
【図2】本発明の実施の形態1における液晶表示装置の4工程に渡る製造工程を順に示した図である。
【図3】本発明の実施の形態1における液晶表示装置の4工程に渡る製造工程を順に示した図である。
【図4】本発明の実施の形態1における液晶表示装置の4工程に渡る製造工程を順に示した図である。
【図5】本発明の実施の形態1における液晶表示装置の4工程に渡る製造工程を順に示した図である。
【図6】従来技術のIPS構造を示す図である。
【図7】従来技術による視野角特性の補償に関する説明図である。
【図8】従来のIPSあるいはS−IPS方式による液晶表示装置におけるディスクリネーションの発生に関する説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10 コモン電極(第1の電極)、20 画素電極(第2の電極)、30 コモン線。
【出願人】 【識別番号】599127667
【氏名又は名称】エルジー フィリップス エルシーディー カンパニー リミテッド
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順


【公開番号】 特開2008−3248(P2008−3248A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171684(P2006−171684)