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【発明の名称】 液晶表示パネルの製造方法
【発明者】 【氏名】新山 聡

【氏名】伊藤 広茂

【要約】 【課題】任意の形状および大きさの液晶表示パネルを効率よく作製できる液晶表示パネルの製造方法を提供すること。

【構成】本発明の一態様にかかる液晶表示パネルの製造方法は、第1および第2の基板の内面上に電極をそれぞれ形成するステップ(以下、STとする)402と、両基板の内面上の外周縁に沿って第1のシール剤を塗布するST405と、第1または第2の基板の内面上の第1のシール剤に囲われている領域に、液晶および光硬化性化合物の混合物を滴下するST406と、真空中で、第1および第2の基板間を第1のシール剤により貼り合せるST407と、液晶および光硬化性化合物の混合物を露光するST409と、両基板を任意形状の外周に沿って切断するST410と、切断された両基板側面を覆うように、第2のシール剤を塗布するST411とを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の基板の内面間に液晶および硬化物の複合体が挟持された液晶表示パネルの製造方法であって、
第1および第2の基板の内面上に電極をそれぞれ形成するステップと、
上記第1および第2の基板の内面上の外周縁に設けられている第1のシール剤に囲われている領域に、液晶および光硬化性化合物の混合物を配置するステップと、
上記液晶および光硬化性化合物の混合物を露光するステップと、
上記第1および第2の基板を任意形状の外周に沿って切断するステップと、
上記切断された第1および第2の基板の側面を覆うように、第2のシール剤を塗布するステップとを含むことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項2】
上記液晶および光硬化性化合物の混合物を配置するステップは、
上記第1または第2の基板の内面上の外周縁に沿って第1のシール剤を塗布するステップと、
上記第1または第2の基板の内面上であって上記第1のシール剤に囲われている領域に、液晶および光硬化性化合物の混合物を滴下するステップと、
真空中で、上記第1および第2の基板間を上記第1のシール剤により貼り合せるステップとを含む請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項3】
上記第1および第2の基板を切断するステップでは、上記第1および第2の基板の内面にそれぞれ形成されている各電極の一部が電極端子として露出されるように、第1および第2の基板を切断することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項4】
上記硬化物が光硬化性化合物の硬化物である請求項1または2に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項5】
上記液晶は負の誘電異方性を有し、上記液晶を基板面に垂直に配向させる配向膜を、上記第1または第2の基板のうち、少なくとも一方の基板に形成するステップを更に含む請求項1または2に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示パネルに関し、特に、第1および第2の基板の内面間に液晶および硬化物の複合体が挟持された液晶表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、低消費電力および薄型かつ軽量という利点を有することから、携帯電話機や携帯情報端末や電子手帳や携帯型テレビなどの多くの電子機器に広く用いられている。その中で、近年、電界により液晶分子の配列を制御して、光散乱状態を変化させる表示方式の液晶表示装置が提案されている。
特許文献1には、電極を有する基板間に、液晶と光硬化性樹脂との混合体を狭持している液晶表示装置が開示されている。具体的には、液晶と未硬化の硬化性化合物の混合体を露光して光硬化させ、透過状態と散乱状態の透過率の差を大きくしてコントラストを向上させている。このような液晶表示装置において、TN型液晶パネルのような従来方式と異なり、原理的に偏光板を必要としない。
【0003】
この液晶表示装置では、非電圧印加時に液晶は基板と垂直に配向して透明状態となる。また、電圧印加時には、液晶がランダム配向して散乱状態となる。このような液晶表示装置は、非電圧印加時において光を透過する透過状態であるため、商品を展示するショーウインドウや自動車のメーターを示すインパネなどに利用することが提案されている。
【0004】
このような液晶表示装置に用いられる液晶表示パネルは、一般的に、マザー基板と呼ばれる一対の大型基板から複数取りされていた。例えば、一対の大型基板のうち、一方の大型基板の内面上に所望の大きさに合わせたシール枠を複数配列して設け、このシール剤の囲われた内側にそれぞれ液晶を滴下し、他方の大型基板を一方の大型基板にシール枠を介して貼り合せ、一対の大型基板を各シール枠の間で切断して、所望の形状の液晶表示パネルを得ていた。
特許文献2には、液晶表示パネルを一対の大型基板から複数取りする技術が例示されている。
【特許文献1】特開2000−119656号公報
【特許文献2】特開2001−154208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液晶表示パネルを一対の大型基板から複数取りして作製する場合、予め設定された大きさの液晶表示パネルしか作製することができず、当該液晶表示パネルが取り付けられる設備側で設計変更が生じた場合に直ちに対応できず、また、当該液晶表示パネルの外形寸法を微調整しながら、当該液晶表示パネルを取り付け設備に取り付けることができなかった。
【0006】
特に、商品を展示するショーウインドウなどの設備では、施工単位で液晶表示パネルの大きさや形状を設定する必要が生じるが、一対の大型基板から複数取りして液晶表示パネルを作製する場合には、余剰生産をしたりするなど生産効率が悪く、また、製造設備や治具の設定も複雑で高コストとなっていた。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、任意の形状および大きさの液晶表示パネルを効率よく作製できる液晶表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1にかかる液晶表示パネルの製造方法は、第1および第2の基板の内面間に液晶および硬化物の複合体が挟持された液晶表示パネルの製造方法であって、第1および第2の基板の内面上に電極をそれぞれ形成するステップと、第1および第2の基板の内面上の外周縁に設けられている第1のシール剤に囲われている領域に、液晶および光硬化性化合物の混合物を配置するステップと、液晶および光硬化性化合物の混合物を露光するステップと、第1および第2の基板を任意形状の外周に沿って切断するステップと、切断された第1および第2の基板の側面を覆うように、第2のシール剤を塗布するステップとを含むことを特徴とするものである。
このような構成により、任意の形状および大きさの液晶表示パネルを効率よく作製できる。
【0008】
本発明の態様2にかかる液晶表示パネルの製造方法は、上述の液晶表示パネルの製造方法において、液晶および光硬化性化合物の混合物を配置するステップは、第1または第2の基板の内面上の外周縁に沿って第1のシール剤を塗布するステップと、第1または第2の基板の内面上であって第1のシール剤に囲われている領域に、液晶および光硬化性化合物の混合物を滴下するステップと、真空中で、第1および第2の基板間を第1のシール剤により貼り合せるステップとを含んでいる。
このような構成により、任意の形状および大きさの液晶表示パネルを効率よく作製できる。
【0009】
本発明の態様3にかかる液晶表示パネルの製造方法は、上述の液晶表示パネルの製造方法において、第1および第2の基板を切断するステップでは、第1および第2の基板の内面にそれぞれ形成されている各電極の一部が電極端子として露出されるように、第1および第2の基板を切断する。これにより、制御基板に接続される電極端子を形成できる。
【0010】
本発明の態様4にかかる液晶表示パネルの製造方法は、上述の液晶表示パネルの製造方法において、硬化物が光硬化性化合物の硬化物であるものである。これにより、液晶表示パネルの表示性能や生産性を向上できる。
【0011】
本発明の態様5にかかる液晶表示パネルの製造方法は、上述の液晶表示パネルの製造方法において、液晶は負の誘電異方性を有し、液晶を基板面に垂直に配向させる配向膜を、第1または第2の基板のうち、少なくとも一方の基板に形成するステップを更に含んでいる。これにより、透過状態での透過率を高くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、任意の形状および大きさの液晶表示パネルを効率よく作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態.
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
液晶表示パネルの構成の一例について、図に基づいて説明する。
【0014】
図1は、液晶表示パネルの構成の一例を示す模式平面図である。図2は、図1のX−X切断線における模式断面図である。図3は、図1のY−Y切断線における模式断面図である。
図1、図2および図3に示されるように、液晶表示パネル1は、第1の透明基板11の内面と第2の透明基板21の内面とを互いに対向して、第1および第2の透明基板11、21の内面間で液晶および硬化物の複合体層50を挟持して構成されている。
図1、図2および図3に示されるように、液晶表示パネル1は、第1の透明基板11、第2の透明基板21、第1の透明電極12、第2の透明電極22、基板側面貼付用シール剤30、スペーサ40、複合体層50を備えている。
【0015】
図1に示されるように、第1の透明基板11の内面上には、複数の第1の透明電極12がストライプ状に形成されている。また、第2の透明基板21の内面上には、複数の第2の透明電極22がストライプ状に形成されている。なお。複数の第2の透明電極22は、複数の第1の透明電極12に対して略直交して交差するように形成されている。第1および第2の透明基板11、21には、例えばガラス基板や、ポリカーボネート、アクリル樹脂などからなるフィルム基板等が用いられる。フィルム基板の場合、連続で供給される透明電極12または22を形成した透明基板11または21を2本のゴムロールなどで挟み、連続で製造することができるため、生産性が高い。
【0016】
第1および第2の透明電極12、22は、例えばフォトリソグラフィ法を用いてITO(Indium Tin Oxide)膜をエッチングすることにより形成されている。第1および第2の透明電極12、22のうち、いずれか一方が、アルミニウムや誘電体多層膜の反射電極であってもよい。
図1、図2および図3に示されるように、第1および第2の透明電極12、22の端部側の一部が、第1および第2の透明基板11、21の段差部で、電極端子12a、22aとして、露出されている。この電極端子12a、21aには、例えば、フレキシブルプリント配線基板(不図示)が接続され、このフレキシブルプリント配線基板および電極端子12a、22aを介して、電源などが液晶表示パネル1に供給される。
【0017】
各透明基板11、21に設けられた各透明電極12、22上には配向膜(不図示)が形成される。配向膜は、複合体層50内の液晶を所定の方向に配向させるため、液晶と接するように形成されている。
ここで、透明基板11、21のそれぞれに形成された配向膜のうち、少なくとも一方は、液晶を透明基板11、21の内面に垂直に配向させることが好ましい。これにより、透過状態での透過率を高くすることができる。また、配向膜に配向処理を施してもよい。
【0018】
図1、図2および図3に示されるように、第1および第2の透明基板11、21間は、基板側面貼付用シール剤30により接合されている。図1、図2および図3に示されるように、基板側面貼付用シール剤30は第1および第2の透明基板11、21の側面を覆うように、第1および第2の透明基板11、21の外形に沿って設けられている。
【0019】
このように、基板側面貼付用シール剤30を第1および第2の透明基板11、21の側面を覆うように設けたことにより、例えば、第1および第2の透明基板11、21の内面上の外周縁にシール剤を塗布する場合と比較して、液晶表示パネルの外形を小型化しても、表示領域をより広く確保できる。基板側面貼付用シール剤30の材料には、例えば、紫外線硬化樹脂(以下、UV樹脂と称する)や熱硬化樹脂が用いられる。第1および第2の透明基板11、21の内面間の距離は一定となっている。
【0020】
図2および図3に示されるように、第1および第2の透明基板11、21の内面間であって、基板側面貼付用シール剤30に囲われた空間には、球状のスペーサ40が均一に散布されている。スペーサ40は、第1および第2の透明基板11、21の内面間の距離を制御する。スペーサ40は、例えばガラス粒子やシリカ粒子や架橋したアクリル樹脂などの樹脂粒子の硬質な材料により形成されている。なお、リブ状のスペーサを片側の基板に形成したものでも良い。
【0021】
透明基板11、21の内面間の距離は2〜50μmが好ましく、更には4〜30μmが好ましい。従ってスペーサ40の大きさは、この透明基板11、21の内面間の距離に対応されることが好ましい。透明基板11、21の内面に形成された透明電極12、22の間の距離が小さすぎるとコントラストが低下し、大き過ぎると駆動電圧が上昇する。
【0022】
また、第1および第2の透明基板11、21の内面間であって、基板側面貼付用シール剤30に囲われた空間には、液晶と光硬化性化合物の混合物に光照射することにより形成される複合体層50が封入されている。複合体層50は、第1および第2の透明基板11、21間に形成された樹脂構造と、垂直配向せしめられた液晶とを備えている。液晶はもっぱら、ドメイン構造を有しており、電圧印加時に散乱するので、散乱表示部と呼ばれる。散乱表示部は電圧非印加時には透明状態であるが、電圧印加時には透過率が変化して散乱状態となる。従って、散乱表示部は電圧によって液晶が動作する動作領域となる。
【0023】
本発明に用いることのできる液晶としては、一般的な表示材料として、あるいは電界駆動型表示素子の材料として使用されるネマティック液晶などの液晶が使用可能である。これらの液晶は、一般的に使用されている液晶と同様に、単独で使用される必要はなく、2種類以上の液晶を組み合わせて使用してもよい。また、電界による表示を目的とする場合は、液晶の配向方向を垂直にすることで、表示特性の改善ができることから、誘電率異方性が負のものを用いるのが好ましい。しかし、誘電率異方性の極性は、正負どちらを取っていてもよい。また、駆動電圧を低下させるためには、誘電率異方性が大きいほうが好ましい。
【0024】
本発明の実施の形態に好適な光硬化性化合物について説明する。本発明の実施の形態の液晶表示パネルは、液晶と光硬化性化合物の複合体層50を形成する化合物が、少なくとも次の化学式(1)で示される二官能重合性化合物(A)の一種以上、化学式(2)で示される二官能重合性化合物(B)の一種以上及び非重合性の前記液晶を含む混合物に由来する複合体である。
【化1】


【化2】


【0025】
二官能重合性化合物(A)は、高分子化合物のなかで、剛直性を有する主骨格成分を形成する。一方、二官能重合性化合物(B)は、高分子化合物のなかで、衝撃吸収の役割を果たすことができる柔軟成分を形成する。このような物性の異なる化合物を組み合わせることによって、液晶表示パネル1として良好な液晶/硬化性化合物の複合体層50を形成できる。
【0026】
二官能重合性化合物(A)について説明する。二官能重合性化合物(A)は化学式(1)の条件を満たす化合物であれば、格別に制限はない。
例えば、特開平4−227684号公報などに記載されている公知の化合物を適宜選択して使用できる。このような構造を有していると、液晶への溶解性が向上するからである。さらに、二官能重合性化合物(A)は以下のような構造であることが好ましい。
【0027】
化学式(1)で表される二官能重合性化合物(A)が下記条件を満たす化合物であることが好ましい。
、Aが、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはビニルエーテル基である。
、Q、Q、Qが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基である。
【0028】
、Xが、それぞれ独立に、単結合、酸素原子またはエステル結合である。
、Rが、それぞれ独立に、単結合または炭素原子間に一個または複数個のエーテル性酸素原子を有していてもよい直鎖または分枝状炭素数2〜20のアルキレン基である。
、Z、Zが、それぞれ独立に、単結合、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH−CH−、−C≡C−、−CH−O−、−O−CH−である。
p、qが、いずれも0であるかまたは一方が0で他方が1である。
【0029】
また、化学式(1)で表される二官能重合性化合物(A)が下記条件を満たす化合物であることが好ましい。
、Aが、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。
、Qがいずれも置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であり、Q、Qが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基である。
【0030】
、Z、Zが、それぞれ独立に、単結合、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH−CH−または−C≡C−である。
p、qが、いずれも0であるかまたは一方が0で他方が1である。
また、化学式(1)で表される二官能重合性化合物(A)が下記条件を満たす化合物であることが好ましい。
、Aがいずれもアクリロイルオキシ基である。
【0031】
、Qがいずれも置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であり、Q、Qが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基である。
、Rが、それぞれ独立に、直鎖または分枝状炭素数2〜20のアルキレン基である。
が、単結合、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH−CH−または−C≡C−であり、Z、Zがいずれも単結合である。
p、qが、いずれも0であるかまたは一方が0で他方が1である。
【0032】
本発明の液晶表示パネル1で用いる液晶/硬化物の複合体層50を形成するための、前記二官能重合性化合物(A)の具体例としては、下記化学式(3)の化合物を例示することができる。

【化3】


【0033】
二官能重合性化合物(A)は、その性質から液晶性を有する化合物と液晶性を有しない化合物に分けられる。液晶性を有する二官能重合性化合物(A)を混合物の一成分として使用することができる。つまり、液晶性を有しない二官能重合性化合物(A)のみを用いる場合以外に、液晶性を有しない二官能重合性化合物(A)と液晶性を有する二官能重合性化合物(A)を組み合わせて用いたり、液晶性を有する二官能重合性化合物(A)を単独で用いたりすることができる。
【0034】
次に、二官能重合性化合物(B)について説明する。二官能重合性化合物(B)は、化学式(2)を満たすものであれば格別制限されない。例えば、下記条件を満たす化合物である。
、Aが、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはビニルエーテル基である。
が、−R−または−(R−O)−R−である。
【0035】
ただし、Rは炭素数2〜20の直鎖または分枝状アルキレン基であり、Rは炭素数2〜8の直鎖または分枝状アルキレン基であり、nは1〜10の整数である。
または、Rが炭素数2〜20の直鎖アルキレン基であり、Rが−(CH2)r−、−CH−CH(CH3)−、−CH−CH−CH(CH3)−または−CH−CH−C(CH3−であり(ただし、rは2〜5の整数)、nが1〜6の整数である、化合物である。
【0036】
二官能重合性化合物(B)は、単独で使用することもできるし、あるいは2種類以上組み合わせて使用することもできる。下記化学式(4)に具体例を示す。
【化4】


【0037】
二官能重合性化合物(B)は重合性基A,Aを有し、重合性基間を連結するRを有する。Rとしては原子間に単結合を有し分子内回転の自由度の高い基から選択して用いる。このように構成することで、重合された高分子の柔軟性を向上させることができる。また、重合相分離の反応性を高めることにも寄与する。
【0038】
,A間の炭素原子数、エーテル性酸素原子数が多いほど柔軟性は向上する。一方、液晶との相溶性は原子数が多いほど低下する傾向がある。そのため、原子数を適切に選択する。また、炭素原子数は、混合液を液晶セル内に真空注入する製造方法を採用する場合には、混合液からの揮発性成分の飛散を考慮して8以上、好ましくは11以上とする。エーテル性酸素原子は含まれていても含まれていなくてもよい。エーテル性酸素原子を含んでいる場合は、高分子の柔軟性が向上するので、好ましい。
【0039】
化学式(B)の化合物は分子内にQのような基を含まないためRに含まれる炭素原子数を増やすことが比較的容易である。この構造の採用により、高分子の柔軟性の向上に大きく寄与する。
重合性モノマーを重合させるためには、重合開始剤を使用することが好ましい。このような重合開始剤としては、公知の重合触媒から適宜選択できるが、光重合相分離法を用いる場合は、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系などの一般に光重合に用いられる光重合開始剤を使用できる。
【0040】
さらに、コントラスト比や安定性の向上を目的として、種々の化合物を添加することもできる。たとえば、コントラストの向上を目的として、アントラキノン系、スチリル系、アゾメチン系、アゾ系等の各種二色性色素が使用可能である。その場合、二色性色素は、基本的に液晶化合物と相溶し、高分子化合物とは不相溶であることが好ましい。このほかに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種可塑剤も、安定性や耐久性向上の点から好ましく使用される。
【0041】
次に、上述した液晶表示パネル1の動作について説明する。第1および第2の透明電極12、22の間に電圧を印加すると電極間の電界により液晶がランダムに配向して、複合体層50は散乱状態となる。一方、第1および第2の透明電極12、22の間に電圧を印加していないときは、液晶が配向しているため、複合体層50は透明状態となる。透明状態の複合体層50は、液晶表示パネル1の背面(反観察面)を観察することができる。このように電圧の印加、非印加によって、散乱状態と透明状態が変化するため、所望の画像などを表示することができる。
【0042】
液晶表示パネル1の透過−散乱モードとして、電圧印加時に透過状態をとり、電圧非印加時に散乱状態をとるものもある。液晶表示パネル1は使用しないとき(電圧非印加時)に透明であって、液晶表示パネル1の存在自体が、利用者に目障りになり、圧迫感を与えることが少なく、開放感を与える液晶表示パネルを実現することが好ましいが、どちらの形態をとっていてもよい。
【0043】
次に、上述の液晶表示パネル1の製造方法について、図に基づいて、説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造フローの一例を示す図である。ここでは、最終製造品である液晶表示パネル1を、中間製造品であって液晶表示パネル1よりも大きい大型液晶表示パネル100から切り出して作製している。図5、図6および図7に、大型液晶表示パネル100の構成が示されている。図5は大型液晶表示パネルの構成を示す模式平面図である。図6は、図5のV−V切断線における模式断面図である。図7は、図5のW−W切断線における模式断面図である。
【0044】
ステップ(STEP:以下、STと称する)401〜ST409では、中間製造品である大型液晶表示パネルを作製する工程を説明する。
まず、第1および2の透明基板11、12を形成する(ステップ(STEP:以下、STと称する)401)。具体的には、例えば、第1および第2の透明基板11、21をフロート製法によってガラス製の矩形状の平板に形成する。なお、第2の透明基板21にはフィルム基板を用いてよい。
【0045】
次に、第1および第2の透明基板11、21の内面上に第1および第2の透明電極12、22を形成する(ST402)。この際、各透明電極12、22の形成は、例えばフォトリソグラフィ法を用いてITO(Indium Tin Oxide)膜をエッチングすることにより行う。なお、複数の第1および第2の透明電極12、22が互いに直交するように、複数の第1および第2の透明電極12、22をストライプ状に形成する。
【0046】
次に、第1および第2の透明基板11、21のうち、各透明電極12、22が形成された面上に、配向膜(不図示)を形成する(ST403)。配向膜は、複合体層50内の液晶を所定の方向に配向させるため、液晶と接するように形成する。具体的には、透明基板11、21のそれぞれに形成された配向膜のうち、少なくとも一方を、液晶を透明基板11、21の内面に垂直に配向させるように形成する。これにより、透過状態での透過率を高くすることができる。
【0047】
次に、第1または第2の透明基板11、21の内面上に、散布機を用いてスペーサ40を散布する(ST404)。
次に、第1または第2の透明基板11、21の内面上に、当該第1または第2の透明基板11、21の外周縁に沿って、第1のシール剤としての基板内面間貼付用シール剤70を塗布する(S405)。ここで、基板内面間貼付用シール剤70には、UV樹脂や熱硬化樹脂を用いる。また、UV樹脂や熱硬化樹脂、または紫外線と熱を併用して硬化させる樹脂などが使用できる。
【0048】
次に、ODF(one-drop-fill:液晶滴下型注入)工法を用いて、第1または第2の透明基板11、21の内面に、ネマティック液晶と光硬化性化合物の混合物を滴下する(ST406)。このODF工法は、汲み上げ式工法と比較して、簡単に、且つ、短時間で、ネマティック液晶と光硬化性化合物の混合物を透明基板11、21の間に配置することができる。このODF工法は、大型液晶表示パネルを作製するのに、更に効果的である。
【0049】
次に、真空中で、第1および第2の透明基板11、21の間を第1のシール剤70により貼り合せる(ST407)。具体的には、アライメントマークなどを用いて、第1および第2の透明基板11、21を位置合せした後、第1および第2の透明基板間11、21を第1のシール剤70により貼り合せる。
【0050】
次に、互いに内面で貼り合わされた透明基板11、21を真空中から大気中に取り出し、大気圧により所定のセルギャップが形成された後、基板内面間貼付用シール剤70のUVまたは加熱硬化をする(ST408)。
【0051】
次に、紫外線光源などを用いて第1および第2の透明基板11、21間のネマティック液晶と光硬化性化合物の混合物を露光する(S409)。露光することにより、光硬化性化合物が硬化し、液晶および硬化物の複合体層50が形成される。なお、第1のシール剤70に紫外線硬化樹脂を用い、S408で基板内面間貼付用シール剤70のUVを行う場合、S408およびS409を同時に行っても良い。
以上ST401〜ST409の工程を経て、大型液晶表示パネル100が完成する。
【0052】
ST410〜ST412では、中間製造品である大型液晶表示パネル100から液晶表示パネル1を切り出して作製する工程を説明する。
大型液晶表示パネル100を任意形状の外周に沿って、切断する(ST410)。ここで、任意形状は、例えば、商品を展示するショーウインドウなどの設備においては、施工単位で設定されている。
【0053】
図8〜図10では、大型液晶表示パネルから液晶表示パネルを切り出す際の第1および第2の透明基板の切断線の一例が示されている。図8は、大型液晶表示パネルから液晶表示パネルを切り出す際の第1および第2の透明基板の切断線を示す模式平面図である。図9は図8のS−S切断線における模式断面図である。図10は図8のT−T切断線における模式断面図である。
【0054】
図8、図9および図10に示されるように、任意の形状に合わせて、第1および第2の透明基板11、21を切断する(ST410)。例えば、図8および図9に示されるように、第1および第2の透明基板11、21を切断線L1に沿って切断し、第1の透明基板11を切断線L2に沿って切断し、第2の透明基板21を切断線L3に沿って切断する。また、図8および図10に示されるように、第1および第2の透明基板11、21を切断線L4に沿って切断し、第1の透明基板11を切断線L5に沿って切断し、第2の透明基板21を切断線L6に沿って切断する。
【0055】
このとき、図8、図9および図10に例示されるように、第1および第2の透明電極12、22に沿って、第1または第2の透明電極12、22のそれぞれの間に、各切断線L1〜L6を設定している。また、第1および第2の透明基板11、21の内面にそれぞれ形成されている第1および第2の透明電極12、22の一部が、図1、図2および図3で示されている電極端子12a、22aとして露出されるように、第1および第2の透明基板11、21を切断する。すなわち、図9および図10に示されるように、第1および第2の透明基板11、21間で段差が生じるように、第1および第2の透明基板11、21を切断する。
【0056】
ここで、第1および第2の透明基板11、21間の光硬化性化合物は、ST409の露光工程により硬化しているため、ST409の露光工程後に形成される液晶および硬化物の複合体層50は、活動しない状態となっている。このため、ST410で第1および第2の透明基板11、21を切断しても、液晶および硬化物が流れ出てしまうことはない。
【0057】
次に、図1、図2および図3に示されるように、第1および第2の透明基板11、21の側面を覆うように、第2のシール剤としての基板側面貼付用シール剤30を塗布する(ST411)。次に、基板側面貼付用シール剤30のUVまたは加熱硬化をする(ST411)。これにより、第1および第2の透明基板11、21間に、液晶および硬化物を封止することができる。
【0058】
以上のように、まず、中間製造品である大型液晶表示パネル100を作製して(ST401〜ST409)、次に、最終製造品である液晶表示パネル1を大型液晶表示パネル100から切り出して作製するようにしたことにより(ST410〜ST412)、任意の形状および大きさの液晶表示パネルを効率よく作製できる。特に、商品を展示するショーウインドウなどの設備で、施工単位で液晶表示パネルの大きさや形状を設定する場合に、本発明を有効に適用することができる。この際、液晶および硬化物の複合体層50が活動しない状態である特性を活かして、大型液晶表示パネル100を切断している。
【0059】
なお、上記実施の形態の説明ではパッシブ型の液晶表示パネルを用いて例示したが、これに限らず、本実施の形態に係る発明を、アクティブ型の液晶表示パネル等の他の種類の液晶表示パネルなどにも採用できる。また、上記実施態様の説明では、液晶等の注入方法にODF工法を用いたが、汲み上げ式工法(ディップ式工法)を用いることもできる。
【0060】
本発明に係る液晶表示パネルを単に調光面の全体の光透過率を制御する用途として利用することもできる。従来にはない、大面積であって、高い透明性と高品位の表示機能を持つ液晶表示パネルを容易に製造することができる。また、本発明に係る液晶表示パネルは、カラーフィルタ、赤外線カットフィルタ、紫外線カットフィルタを積層したり、裏面に鏡を積層することもできる。この外、本発明の効果を損しない範囲内で種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】液晶表示パネルの構成の一例を示す模式平面図である。
【図2】図1のX−X切断線における模式断面図である。
【図3】図1のY−Y切断線における模式断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造フローの一例を示す図である。
【図5】大型液晶表示パネルの構成を示す模式平面図である。
【図6】図5のV−V切断線における模式断面図である。
【図7】図5のW−W切断線における模式断面図である。
【図8】大型液晶表示パネルから液晶表示パネルを切り出す際の第1および第2の透明基板の切断線を示す模式平面図である。
【図9】図8のS−S切断線における模式断面図である。
【図10】図8のT−T切断線における模式断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 液晶表示パネル
11 第1の透明基板
21 第2の透明基板
12、22 透明電極
12a、22a 電極端子
30 基板側面貼付用シール剤
40 スペーサ
50 複合体層
70 基板内面間貼付用シール剤
100 大型液晶表示パネル
【出願人】 【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健


【公開番号】 特開2008−3216(P2008−3216A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171260(P2006−171260)