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【発明の名称】 湿潤性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ及び関連組成物及び方法
【発明者】 【氏名】チャーリー チェン

【氏名】イェ ホン

【氏名】ニック マネシス

【要約】 【課題】相対的に大量の除去可能又は抽出可能な物質を有する、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物から、眼に許容し得る表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得る。

【構成】無極性樹脂ベースのコンタクトレンズ型から、表面処理又はポリマー湿潤剤の入れ子型ポリマーネットワークなしで、前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得ることができる。関連するレンズ生成物、重合可能な組成物、及び方法も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物であって、以下の成分、
(i)約25〜約35質量%の反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマー、
(ii)少なくとも約45質量%の非ケイ素含有モノマー組成物、及び
(iii)ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分、
を含み、
前記非ケイ素含有モノマー組成物が親水性のビニル含有モノマー、アクリルモノマー、及びアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーを含む、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項2】
前記ポリマーレンズ先駆組成物が、さらに紫外線吸収剤と着色剤を含む、請求項1に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項3】
前記反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマーが、約2500より大きい平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項4】
約45〜約55質量%の前記非ケイ素含有モノマー組成物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項5】
約10〜約30質量%の前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項6】
前記着色剤がフタロシアニン顔料である、請求項2に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項7】
前記着色剤がフタロシアニンブルーである、請求項2又は6に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項8】
前記紫外線吸収剤が光重合可能なヒドロキシベンゾフェノンである、請求項2に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項9】
前記紫外線吸収剤が2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノンである、請求項8に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項10】
前記反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーがα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)(M3U)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項11】
前記非ケイ素含有モノマー組成物がN-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項12】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分がさらに連鎖移動剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項13】
前記連鎖移動剤が、チオール、ジスルフィド、有機ハロゲン化物、及びアリルオキシ アルコールから成る群より選択される、請求項12に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項14】
前記連鎖移動剤がアリルオキシエタノールである、請求項13に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項15】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分が約0.1〜6部のアリルオキシエタノールと、約99.9〜94部のポリアルキレンオキシドシリコーンを含む、請求項14に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項16】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分がジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項17】
前記ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーが、75質量%のエチレンオキシドを含有する、請求項16に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項18】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分がDBE 712を含む請求項1〜17のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項19】
さらに開始剤を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項20】
前記開始剤が熱開始剤である、請求項19に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項21】
前記開始剤が熱開始剤である、請求項19に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項22】
α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを含む、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項23】
さらにジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー抽出可能成分を含む、請求項22に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項24】
前記抽出可能成分がDBE 712を含む、請求項23に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項25】
前記抽出可能成分がDBE 712とアリルオキシエタノールを含む、請求項24に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項26】
さらにフタロシアニンブルーを含む、請求項22〜25のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項27】
さらに2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノンを含む、請求項22〜26のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項28】
さらに熱開始剤を含む、請求項22〜27のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項29】
α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)の、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートの組合せに対する質量-質量ベースの比率が約0.55〜約0.65の範囲である、請求項22〜28のいずれか1項に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項30】
α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、フタロシアニンブルー、熱開始剤、及び任意にアリルオキシエタノールと併用してよいDBE 712を含む、請求項29に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項31】
約28%(w/w)のα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、約37%(w/w)のN-ビニル-N-メチルアセトアミド、約13.5%(w/w)のメチルメタクリレート、約0.16%(w/w)のトリエチレングリコールジメタクリレート、約0.7%(w/w)の2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、約0.1%(w/w)のフタロシアニンブルー、約0.4%(w/w)の熱開始剤、及び任意にアリルオキシエタノールと併用してよい約20%のDBE 712を含む、請求項30に記載の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の重合可能なレンズ先駆組成物から製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項33】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の重合可能なレンズ先駆組成物の反応の結果生じる、抽出可能成分のないシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項34】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の重合可能なレンズ先駆組成物を重合させて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し、前記抽出される前のコンタクトレンズから抽出可能成分を抽出して、抽出された重合したレンズ生成物を形成し、かつ前記抽出された重合したレンズ生成物を水和させて、約40〜約48質量%の範囲の平衡含水量と約90〜約115バレルの範囲の酸素透過性(Dk×10-11)を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成することによって製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項35】
前記重合可能なレンズ先駆組成物が熱開始剤を含み、かつ前記重合工程が前記重合可能なレンズ先駆組成物を約55℃より高い温度に加熱する工程をさらに含む、請求項34に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項36】
以下の工程、
アリルオキシエタノールと併用したDBEを有する請求項30に記載の重合可能なレンズ先駆組成物を重合させて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程、
前記抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズからポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分を抽出して、抽出された重合したレンズ生成物を形成する工程、及び
前記抽出された重合したレンズ生成物を水和させて、レンズ径、平衡含水量、及びイオノフラックスのいずれか1以上の可変性が約2.0%未満であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのバッチを形成する工程、
によって製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項37】
少なくとも約40%の平衡含水量と約90〜約120バレルの酸素透過性(Dk×10-11)を有する、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項38】
約70〜約75度のレンズ表面の前進接触角、約0.7MPa未満の引張りモジュラス及び約1.5〜約7(×10-3mm2/分)のイオノフラックスから成る群より選択される1以上の特徴をさらに含む、請求項37に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項39】
レンズ本体が丸みのある周縁を含む、請求項32〜38のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項40】
球面レンズ又は非球面レンズである、請求項32〜38のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項41】
単焦点レンズ又は多焦点レンズである、請求項32〜38のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項42】
回転的に安定化されたトーリックコンタクトレンズである、請求項32〜38のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項43】
シールパッケージ内の請求項32〜42のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項44】
表面処理していない、請求項32〜42のいずれか1項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項45】
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法であって、以下の工程、
(i)少なくとも約25質量%の反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーと、(ii)少なくとも約45質量%の非ケイ素含有親水性成分と、(iii)ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分とを配合することによって重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を生成する工程であって、前記非ケイ素含有親水性成分は、親水性のビニル含有モノマー、アクリルモノマークロスリンカー、及びアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーを含む工程、
を含む前記方法。
【請求項46】
前記マクロマー、前記非ケイ素含有親水性成分及び前記抽出可能成分と、紫外線吸収剤及び着色剤を配合する工程をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーの量が約25質量%〜約35質量%の範囲である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記非ケイ素含有親水性成分の量が約45質量%〜約55質量%の範囲である、請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分の量が約10質量%〜約30質量%の範囲である、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記着色剤がフタロシアニン顔料である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記着色剤がフタロシアニンブルーである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記紫外線吸収剤が光重合可能なヒドロキシベンゾフェノンである、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記紫外線吸収剤が2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーがα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)(M3U)である、請求項45〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記非ケイ素含有モノマー組成物がN-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを含む、請求項45〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分がさらに連鎖移動剤を含む、請求項45〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記連鎖移動剤が、チオール、ジスルフィド、有機ハロゲン化物、及びアリルオキシ アルコールから成る群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記連鎖移動剤がアリルオキシエタノールである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分が約0.05質量%〜約7質量%のアリルオキシエタノールを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分がジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーを含む、請求項45〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーが、約67質量%〜約77質量%のエチレンオキシドを含有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分がDBE 712を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記配合工程がさらに開始剤を含む、請求項45〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記開始剤が熱開始剤である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記熱開始剤が約50℃のキックオフ温度を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法であって、以下の工程、
α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを配合することによって、
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を生成する工程、
を含む前記方法。
【請求項67】
前記配合工程がさらにジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー抽出可能成分を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記抽出可能成分がDBE 712を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記抽出可能成分がDBE 712とアリルオキシエタノールを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
アリルオキシエタノールのDBE 712に対する相対量が、約0.1部〜約5部のアリルオキシエタノール対約99.9部〜約95部のDBE 712の範囲である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記配合工程がさらにフタロシアニンブルーを含む、請求項66〜70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記配合工程がさらに2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノンを含む、請求項66〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記配合工程がさらに熱開始剤を含む請求項66〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)の、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートの組合せに対する質量-質量ベースの比率が約0.55〜約0.65の範囲である、請求項66〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法であって、以下の工程、
α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、フタロシアニンブルー、熱開始剤、及び任意にアリルオキシエタノールを含んでよいDBE 712を配合することによって、
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を生成する工程、
を含む前記方法。
【請求項76】
約28%(w/w)のα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、約37%(w/w)のN-ビニル-N-メチルアセトアミド、約13.5%(w/w)のメチルメタクリレート、約0.16%(w/w)のトリエチレングリコールジメタクリレート、約0.7%(w/w)の2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、約0.1%(w/w)のフタロシアニンブルー、約0.4%(w/w)の熱開始剤、及び任意にアリルオキシエタノールを含んでよい約20%のDBE 712を配合する工程を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記配合工程の結果、成分の組合せの形成となり、かつ前記成分の組合せを混合して混合物を形成する工程をさらに含む、請求項45〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記混合物をろ過する工程をさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記重合可能なレンズ先駆組成物を重合させて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程をさらに含む、請求項45〜78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記重合工程が前記重合可能なレンズ先駆組成物を加熱する工程を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記重合工程の前に、前記重合可能なレンズ先駆組成物を無極性樹脂のコンタクトレンズ型内に置く工程をさらに含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
さらに以下の工程、
前記抽出される前の重合したコンタクトレンズを抽出して、抽出可能成分のない、抽出された重合したレンズ生成物を形成する工程、及び
前記抽出された重合したレンズ生成物を水和させてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程、
を含む、請求項79〜81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ調製で使うジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーの効力を改善する方法であって、以下の工程、
約0.1質量%〜約10質量%のアリルオキシエタノールをジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーに添加して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の調製で使うアリルオキシエタノール-ジメチルシロキサンエチレンオキシドブロックコポリマーを供給する工程、
を含む前記方法。
【請求項84】
前記添加工程における前記アリルオキシエタノールの量が、約0.90〜約1.10の範囲の膨張係数を有する、抽出された水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物をもたらすのに有効な量である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の重合可能なレンズ先駆組成物の反応生成物を含み、かつ実質的に抽出可能成分がない、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
〔関連出願のクロスレファレンス〕
この出願は、2006年6月15日提出の米国特許出願第60/804,911号;2007年1月31日提出の米国特許出願第60/887,513号;及び2007年3月13日提出の米国特許出願第60/894,609号の優先権の利益を主張する。これら出願の全内容が参考として本明細書に組み込まれる。
〔分野〕
本発明は、シリコーンヒドロゲルの眼科用デバイス及び関連組成物と方法等に関する。さらに詳しくは、本発明は、湿潤性の成形シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、並びに関連組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに比べて装用者が長時間装用できるため、人気が出てきた。個々のレンズによるが、例えば、1日、1週間、2週間、又は1カ月シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを装用することができ、或いは1日装用、1週間装用、2週間装用、又は1カ月装用のためにシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを処方することができる。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに付随するレンズ装用者にとっての利点は、少なくとも部分的に、コンタクトレンズのケイ素含有ポリマー材料の親水性成分と疎水特性の組合せに起因し得る。
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)ベースのヒドロゲルコンタクトレンズのような非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、無極性樹脂のコンタクトレンズ型、例えばポリオレフィンベースの樹脂製のコンタクトレンズ型内で製造されることが多い。換言すれば、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ用のレンズ先駆組成物は、無極性樹脂のコンタクトレンズ型内で重合されてHEMAベースポリマーのレンズ生成物又は重合したレンズ生成物が生成される。HEMAベースのコンタクトレンズのポリマー成分の親水特性のため、HEMAベースのコンタクトレンズは眼に適合性であり、かつ無極性樹脂の型を用いて生成されているにもかかわらず、眼に許容し得る表面湿潤性を有する。
対照的に、無極性樹脂の型から得られる現存のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは疎水性のレンズ表面を有する。換言すれば、このようなシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの表面は低い湿潤性を有するので、眼に適合性でなく、又は眼に許容し得ない。例えば、このようなシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、脂肪沈着、タンパク質沈着、眼の表面へのレンズの結合、及びレンズ装用者に対する一般的な刺激の増加を伴い得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの問題を克服するための努力では、このようなシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ又はレンズ生成物の表面処理又は表面改変を利用して、レンズ表面の親水性と湿潤性を高めることを試みている。シリコーンヒドロゲルレンズの表面処理の例として、レンズの表面のコーティング、レンズの表面上への化学種の吸着、及びレンズの表面上の化学基の化学的性質又は静電気的な電荷の変更が挙げられる。重合したレンズの表面をプラズマガスを用いてコーティングするか、又はコンタクトレンズ型の表面上にプラズマガスを用いて、重合レンズを形成する前に該型を処理することを含む表面処理が開示されている。不運なことに、このアプローチにはいくつかの欠点が付随する。コンタクトレンズの表面処理は、表面の処理又は改変を使用しない製造方法に比し、コンタクトレンズを製造するために多くの機械類と時間を必要とする。さらに、表面処理したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズを装用しているとき、及び/又はレンズ装用者が取り扱うとき、低い表面湿潤性を示し得る。例えば、表面処理したレンズの取扱いが増えると、その親水性表面が分解し、或いは摩耗してしまいかねない。
【0004】
シリコーンヒドロゲルレンズの湿潤性及び眼科的適合性を高めることへの代替アプローチは、ポリビニルピロリドン(PVP)のようなポリマー湿潤剤を含む第2の組成物の存在下でシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を重合させることである。本明細書では、このタイプのレンズを“ポリマー内部湿潤剤のあるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ”と称し、典型的に、PVPなどの高分子量のポリマーを含む“入れ子型ポリマーネットワーク(interpenetrating polymer network)(IPN)”を構成している。当業者には理解されるように、IPNは、ネットワーク形態の2種以上の異なるポリマーの組合せを表し、その少なくとも1種のポリマーが他方のポリマーの存在下で、該ポリマー間に如何なる共有結合もなく、合成及び/又は架橋されている。IPNは、2つの別個であるが、近位又は入れ子型でネットワークを形成する2種類の鎖で構成され得る。IPNの例として、逐次IPN、同時IPN、セミ-IPN及びホモ-IPNが挙げられる。ポリマー湿潤剤のIPNを含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは表面処理に付随する問題を回避するが、これらのレンズは、長期間の表面湿潤性といった、その眼科的適合性を保持し得ない。例えば、内部湿潤剤は他の重合しているレンズ形成成分に共有結合していないので、レンズ装用者が装用している間にレンズから内部湿潤剤が浸出し、それによって経時的に表面湿潤性が減少し、レンズ装用者の不快感が増すこととなり得る。
【0005】
上述したような、表面処理又はポリマー湿潤剤IPNの使用に対する代替として、無極性樹脂の型に代えて極性樹脂の型を用いて、眼に許容し得る表面湿潤性のあるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造できることが分かっている。例えば、エチレン-ビニルアルコール又はポリビニルアルコールベースの型内で形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは望ましい表面湿潤性を有する。ポリマー湿潤剤のIPNのない非表面処理シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造用のコンタクトレンズ型の製造に使用される有用な極性樹脂の一例は、商標名SOARLITETMの下、日本合成株式会社によって販売されているエチレン-ビニルアルコールコポリマー樹脂などのエチレン-ビニルアルコールコポリマーの樹脂である。SOARLITETMは、その極性に加え、以下の特性を有すると記載されている:極端に高い機械的強度、帯電防止特性、成形プロセスで使用時の低い収縮性、優れた耐油性と耐溶剤性、小さい熱膨張率、及び良い耐摩擦性。
SOARLITETMベースの型は、表面処理又はポリマー湿潤剤IPNを使用せずに眼に適合し得るシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための望ましい代替物を提供するが、SOARLITETMの型は、ポリプロピレンの型などの無極性樹脂の型より変形しにくく又はフレキシブルでなく、かつ無極性樹脂の型に比べて相対的に加工しにくい。
上記したことに鑑み、SOARLITETMコンタクトレンズ型から得られるシリコーンヒドロゲルレンズに比べて容易に製造でき、かつ眼科的適合性を達成するために表面処理又はPVP IPNといったポリマー湿潤剤IPNの使用を必要としない、眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが要望されていることが分かる。さらに、現存アプローチの欠点を克服する、無極性樹脂又はポリオレフィンベースコンタクトレンズ型部材から、眼に適合性の表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのような眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法を提供することが大いに望ましいだろう。すなわち、結果として生じるコンタクトレンズ製品の表面処理も、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の一部としてポリマー湿潤剤IPNを使用することも必要としない、眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための改良された方法が要望されている。本発明は、これらの要望を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔概要〕
本発明のコンタクトレンズ、レンズ生成物、組成物、及び方法は、現存するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ及びその現在の製造方法に付随する要求及び問題を重点的に取り扱う。驚くべきことに、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物に相対的に大量の除去可能材料を供給してから、抽出して該除去可能材料を除去し、かつ水和させてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとすることによって、眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが得られることを発見した。除去可能成分、すなわち抽出可能材料などといった1以上の除去可能材料を有する、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルレンズ生成物は、典型的に少なくとも約10質量%の除去可能成分を含有する。そして、該抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルレンズ生成物を抽出(それによって抽出可能成分を除去)し、かつ水和させて、本明細書で述べるような、眼に許容し得る表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する。本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、長期間、例えば少なくとも1日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、又は約1カ月間、目からレンズを除去することを要せずに患者の目に快適に装用できるようにする酸素透過性、表面湿潤性、モジュラス、含水量、イオノフラックス(ionoflux)、及びデザインを有する。
【0007】
一局面では、本発明は、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物に関する。このような先駆組成物はシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成するために有効である。重合すると、該先駆組成物が抽出可能な水和性コンタクトレンズプレ生成物の形成となる。先駆組成物は以下の成分を含む:(i)少なくとも約20質量%の反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマー、(ii)親水性のビニル含有モノマー、アクリルモノマー、及びアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーを含む少なくとも45質量%の非ケイ素含有モノマー組成物、及び(iii)ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一実施態様では、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物は、少なくとも25質量%、好ましくは約25質量%〜約35質量%の反応性フルオロ含有ジメチルアクリロイルシリコーンマクロマーを含む。本発明の典型的な反応性フルオロ含有ジメチルアクリロイルシリコーンマクロマーは、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)(本明細書ではM3Uとも呼び、CAS登録番号697234-74-5を有する)。
さらに別の実施態様では、本発明の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物は、約45〜55質量%の非ケイ素含有モノマー組成物を含む。特に好ましくは、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレーを含む非ケイ素含有親水性成分である。
さらに別の実施態様では、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物は約10質量%〜約30質量%のポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分を含む。なおさらに特に好ましい実施態様では、ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分は任意に約0.1〜6部の連鎖移動剤と約99.9〜94部のポリアルキレンオキシドシリコーンを含む。例示的なポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分として、ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー、例えば約75質量%のエチレンオキシドを含有するジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーが挙げられる。該ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーの1つがDBE 712(Gelest, Morrisville, PA)である。
本明細書で述べる組成物、レンズ及び方法で使う連鎖移動剤として、チオール、ジスルフィド、有機ハロゲン化物、アリルオキシエーテル、及びアリルオキシアルコールが挙げられる。特に好ましい実施態様では、連鎖移動剤がアリルオキシエタノールである。
本発明のなおさらなる実施態様では、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物は、1以上の以下の成分をも有し得る:紫外線吸収剤、着色剤、又は開始剤など。紫外線吸収剤は、例えば、2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン等の光重合可能なヒドロキシベンゾフェノンでよい。本発明で使う着色剤は、例えば、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン顔料でよい。さらに、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆製剤に含まれる開始剤は、例えば、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)(VAZO-52)等の熱開始剤でよい。
なおさらに特有の実施態様では、本発明の重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物は、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを含む。
好ましい実施態様では、本発明の先駆組成物は、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、及びジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー抽出可能成分を含む。
なおさらなる実施態様では、該抽出可能成分は、任意にアリルオキシエタノールを含有してよいDBE 712を含む。
重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物のなおさらに特有の実施態様では、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートの組合せに対するα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)の質量-質量ベースの比率が約0.50〜約0.65の範囲である。
好ましい実施態様では、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物はα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、フタロシアニンブルー、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、及び任意にアリルオキシエタノールと併用してよいDBE 712を含む。
典型的な重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物中の上記成分の特に好ましい質量/質量%は、約28%(w/w)のα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、約37%(w/w)のN-ビニル-N-メチルアセトアミド、約13.5%(w/w)のメチルメタクリレート、約0.16%(w/w)のトリエチレングリコールジメタクリレート、約0.7%(w/w)の2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、約0.1%(w/w)のフタロシアニンブルー、約0.4%(w/w)の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、及び任意にアリルオキシエタノールと併用してよい約20%のDBE 712である。
【0009】
さらに別の局面により、本発明は、上述した重合可能なレンズ先駆組成物のいずれか1つで製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
さらに別の局面では、本発明は、本明細書に記載される通りの重合可能なレンズ先駆組成物の反応の結果として生じる、抽出可能成分のないシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
別の局面により、本発明は、本明細書に記載される通りの重合可能な先駆組成物を重合させて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し、この抽出される前のコンタクトレンズから抽出可能成分を抽出して、抽出された重合したレンズ生成物を形成し、かつこの抽出された重合したレンズ生成物を水和させてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを生成することによって製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。結果として生じる抽出された水和したコンタクトレンズ生成物は、典型的に約40質量%〜約48質量%の範囲の平衡含水量と、約100〜115バレルの範囲の酸素透過率(Dk×10-11)を有する。
本発明のこの局面の一実施態様では、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、上記方法に従って製造され、前記重合可能なレンズ先駆組成物は、熱開始剤を含み、前記重合工程はさらに該重合可能な先駆組成物を約50℃より高い温度に加熱する工程を含む。
別の実施態様では、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、上述した通りの重合可能なレンズ先駆組成物(このとき、DBEはアリルオキシエタノールと併用される)を重合させて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を形成し、この抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物からポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分を抽出して、抽出された重合したレンズ生成物を形成し、かつこの抽出された重合したレンズ生成物を水和させて、以下の1以上のいずれかの特徴の可変性が低いシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのバッチを形成することによって製造される:平衡含水量、酸素透過率、静的接触角、動的接触角、ヒステリシス、屈折率、イオノフラックス、モジュラス、及び引張り強さ。例えば、前記レンズの特性のいずれか1以上の可変性は、レンズ製品の個々の特徴に左右されるが、典型的に約20%未満、好ましくは約10%未満である。1以上の実施態様では、レンズの直径、平衡含水量、及び/又はイオノフラックスのいずれか1以上の可変性が約5%以下、さらに好ましくは約3%以下、なおさらに好ましくは約2%以下である。
なお別の局面では、本発明は、少なくとも40%の含水量、約90〜120バレルの酸素透過率(Dk×10-11)を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
上記実施態様では、レンズ表面の約70〜75度の前進接触角、約0.7MPa未満の引張りモジュラス、及び約1.5〜約5(×10-3mm2/分)のイオノフラックスから成る群より選択される1以上の特徴をさらに含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが提供される。
ある実施態様では、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは丸みのある周縁をも有し、或いは以下のいずれか1つでよい:球面レンズ、非球面レンズ、単焦点レンズ、多焦点レンズ、又は回転的に安定化された(rotationally stabilized)トーリックコンタクトレンズ。
なお別の実施態様では、本発明は、シールパッケージ内の本明細書で述べる通りのシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
なおさらなる実施態様では、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは表面処理されない。
なお別の局面では、本発明は、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法を提供する。この方法は、(i)少なくとも約25質量%の反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマーと、(ii)少なくとも約45質量%の非ケイ素含有マクロマー組成物と、(iii)ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分とを配合することによって、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクト先駆組成物を生成する工程を含む。ここで、前記非ケイ素含有マクロマー組成物は、親水性のビニル-含有モノマー、アクリルモノマー、及びアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーを含む。
本発明のこの局面の一実施態様では、上記方法は、さらに前記マクロマー、非ケイ素含有モノマー組成物及び抽出可能成分を紫外線吸収剤及び着色剤と配合する工程を含む。典型的な着色剤として、フフタロシアニンブルー等のタロシアニン顔料が挙げられる。好ましい紫外線吸収剤は、2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン等の光重合可能なヒドロキシベンゾフェノンである。
本方法の特定の一実施態様では、前記反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマーの量が約25質量%〜約35質量%の範囲である。
本方法のさらに別の実施態様では、前記非ケイ素含有モノマー組成物の量が約45〜約55質量%の範囲である。
本方法のさらに別の実施態様では、前記ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分の量が約10質量%〜約30質量%の範囲である。
本方法の好ましい実施態様では、反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマーは、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)(M3U)である。
本方法のさらに別の実施態様では、非ケイ素含有モノマー成分は、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを含む。
本方法の別の実施態様では、ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分は、さらに連鎖移動剤、例えばチオール、ジスルフィド、有機ハロゲン化物、又はアリルオキシ アルコールを含む。特に好ましい実施態様では、連鎖移動剤はアリルオキシエタノールである。
本方法の好ましい実施態様では、ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分は、約0.05質量%〜約7質量%のアリルオキシエタノールを含む。ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分の一例は、ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー、例えば75質量%のエチレンオキシドを含有するジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーである。ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分として使うのに特に好ましくはDBE 712である。
本方法のさらに別の実施態様では、前記配合工程は、さらに開始剤を他の成分と配合する工程を含む。好ましくは2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)(VAZO-52)のような熱開始剤である。
【0010】
さらに別の局面では、本明細書では、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法が提供される。この方法は、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートを配合することによって、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクト先駆組成物を生成する工程を含む。
上記方法の一実施態様では、前記配合工程は、さらにジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー抽出可能成分、例えばDBE 712を前記他の成分と配合する工程を含む。
前記方法の一実施態様では、アリルオキシエタノールのDBE712に対する相対量は約0.1部〜約5部のアリルオキシエタノール対約99.9部〜約95部のDBE712である。
前記方法のさらに別の実施態様では、前記配合工程は、さらにフタロシアニンブルーを前記他の成分と配合する工程を含む。
さらに代替実施態様では、前記配合工程は、さらに2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノンを他の成分と配合する工程を含む。
本方法のなお別の実施態様では、配合工程は、さらに前記配合物に2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)を添加する工程を含む。
前記方法の好ましい実施態様では、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)の、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、及びトリエチレングリコールジメタクリレートの組合せに対する質量-質量ベースの比率が約0.50〜約0.65の範囲である。
【0011】
なお別の局面では、本明細書では、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法であって、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、メチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、フタロシアニンブルー、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、及び任意にアリルオキシエタノールを含んでよいDBE 712を配合することによって、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクト先駆組成物を生成する工程を含む方法が提供される。
一実施態様では、前記方法は、以下の相対量の成分を含む:約28%(w/w)のα-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)、約37%(w/w)のN-ビニル-N-メチルアセトアミド、約13.5%(w/w)のメチルメタクリレート、約0.16%(w/w)のトリエチレングリコールジメタクリレート、約0.7%(w/w)の2-ヒドロキシ-4-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、約0.1%(w/w)のフタロシアニンブルー、約0.4%(w/w)の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、及び任意にアリルオキシエタノールを含んでよい約20%のDBE 712。
前記方法のさらに別の実施態様では、配合工程の結果、成分の組合せの形成となり、本発明はさらにこの組合せを混合して混合物を形成する工程を含む。
なおさらなる実施態様では、本方法はさらに前記混合物をろ過する工程を含む。
さらなる実施態様では、本方法は、重合可能なレンズ先駆組成物を重合させて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程を含む。
さらに別の実施態様では、本方法は、前記重合工程の前に、さらに前記重合可能なレンズ先駆組成物を無極性樹脂のコンタクトレンズ型内に置く工程を含む。
なおさらなる実施態様では、前記方法は、前記抽出される前の重合したコンタクトレンズを抽出して、抽出可能成分のない、抽出された重合したレンズ生成物を形成し、この抽出された重合したレンズ生成物をシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに形成する工程を含む。
【0012】
別の局面では、本発明は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ調製で使うジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーの効力の改善方法を提供する。この方法は、約0.1質量%〜約10質量%のアリルオキシエタノールをジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーに添加して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の調製で使うアリルオキシエタノール-ジメチルシロキサンエチレンオキシドブロックコポリマーを供給する工程を含む。
好ましくは、添加工程で使用するアリルオキシエタノールの量は、約0.90〜約1.10、例えば約0.95〜約1.05の範囲の膨張係数を有する抽出された水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物をもたらすために有効な量である。少なくとも1つの実施態様では、膨張係数が約0.98〜約1.02である。
以下の説明、図面、実施例及び特許請求の範囲から、本レンズ、レンズ生成物、組成物及び方法のさらなる実施態様が明白だろう。前記説明及び以下の説明から明かなように、本明細書で開示される各特徴及びあらゆる特徴、並びに該特徴の各組合せ及びあらゆる組合せは、該組合せに包含される特徴が相互に矛盾しないことを条件として、本発明の範囲に含まれる。さらに、いずれの特徴又は組合せも本発明のいずれの実施態様からも特に除外され得る。特に添付の実施例及び図面と共に考慮して、以下の説明及び特許請求の範囲で本発明のさらなる局面及び利点が示される。
【0013】
〔詳細な説明〕
以下、本発明をさらに完全に説明する。しかし、多くの異なる形態でこの発明を具体化し得るので、本明細書で述べる実施態様に限定するものと解釈すべきでない。むしろ、これら実施態様を提供することで、この開示が徹底的かつ完全になり、かつ当業者に本発明の範囲を十分に伝えることになるであろう。
【0014】
〔定義〕
この明細書で使用する場合、単数形の表現は、その文脈が明白に別の意味を指示していない限り、複数の対象を包含する。従って、例えば“コンタクトレンズ”と称して単一レンズのみならず2以上の同一又は異なるレンズをも包含し、“先駆組成物”と称して単一組成物のみならず2以上の同一又は異なる組成物を意味する等である。
本発明を開示かつクレームする際、以下の技術用語は、以下に述べる定義に従って用いられる。
本明細書では、用語“ヒドロゲル”は、水中で膨潤し、又は水で膨潤するようになり得るポリマー材料、典型的にポリマー鎖のネットワーク又はマトリックスを表す。ネットワーク又はマトリックスは架橋していてもいなくてもよい。ヒドロゲルは、水膨潤可能又は水膨潤される、コンタクトレンズといったポリマー材料を表す。従って、ヒドロゲルは、(i)水和していなくて水膨潤可能、又は(ii)部分的に水和し、かつ水で膨潤している、又は、(iii)完全に水和し、かつ水で膨潤していてよい。
例えば、“置換アルキル”におけるような用語“置換”は、1以上の非干渉置換基で置換されている成分(例えば、アルキル基)を表し、前記置換基として、限定するものではないが、C3-C8シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル等;ハロ、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード;シアノ;アルコキシ、低級フェニル;置換フェニル等が挙げられる。フェニル環上の置換基では、置換基はいずれの配向(すなわち、オルト、メタ、又はパラ)でもよい。
用語“シリコーンヒドロゲル”又は“シリコーンヒドロゲル材料”は、ケイ素(Si)成分又はシリコーン成分を含む特定のヒドロゲルを表す。例えば、シリコーンヒドロゲルは、典型的に、ケイ素含有材料を通常の親水性ヒドロゲル先駆体と配合することによって調製される。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲル材料を含む、視力補正コンタクトレンズといったコンタクトレンズである。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの特性は、通常のヒドロゲルベースのレンズとは異なる。
“シリコーン含有成分”は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1つの[-Si-O-Si]連鎖を含む成分であり、各ケイ素原子は任意に1以上の同一若しくは異なってよい有機遊離置換基(R1、R2)又は置換有機遊離置換基、例えば-SiR1R2O-を有し得る。
本明細書では、用語“リンカー”を用いて、相互に連結する成分、例えばポリマー末端及び繰返し単位のブロック等を連結するために用いられる原子又は原子集団を表す。リンカー成分は加水分解に安定でもよく、或いは生理学的に加水分解性の連鎖又は酵素的に分解性の連鎖を含んでもよい。好ましいリンカーは加水分解に安定である。
“任意の”又は“任意に”は、その後に記載される状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味するので、その記載は、該状況が起こる場合と起こらない場合を包含する。
例えば特定の原子の長さ、例えば2〜50個の範囲の原子の長さを有するリンカー等における原子集団に関する用語“長さ”は、置換基に関係なく、該原子集団の最長鎖中の原子の数に基づく。例えば、-CH2CH2-は、各メチレン基自体は全部で3個の原子を含むとしても、水素原子は炭素上の置換基であり、かつ該鎖の全長を概算するときには考慮されないので、2個の炭素原子の長さを有するものとみなされる。リンカー、-O-C(O)-CH2CH2C(O)NH-は、同様に、下線を付して示している6個の原子の鎖長を有するものとみなされる。
本発明のポリマーの文脈における“分子量”は、ポリマーの名目上の平均分子量を表し、典型的にサイズ排除クロマトグラフィー、光散乱技術、又は1,2,4-トリクロロベンゼン中の固有速度決定法によって決定される。ポリマーの文脈における分子量は数平均分子量又は量平均分子量として表現され、ベンダー供給材料の場合、供給元に依るだろう。典型的に、パッケージング材料に提供されていなくても、いずれの該分子量決定の基礎も供給元によって容易に提供される。典型的に、本明細書でマクロマー又はポリマーの分子量に対する言及は量平均分子量を表す。ゲル浸透クロマトグラフィー又は他の液体クロマトグラフィー技術を用いて数平均分子量と量平均分子量の両分子量を測定できる。末端基分析又は束一的特性(例えば、凝固点降下、沸点上昇、又は浸透圧)の測定の使用などの分子量値を測定するための他の方法を用いて数平均分子量を決定することもでき、或いは光散乱技術、超遠心分離又はビスコメトリー(viscometry)を用いて量平均分子量を決定することもできる。
【0015】
親水性ポリマーの“ネットワーク”又は“マトリックス”は、典型的に、該ポリマー鎖間に共有結合又は物理的結合、例えば水素結合によって架橋が形成されていることを意味する。
“非干渉置換基”は、分子中に存在する場合、同一分子内に含まれる他の官能基と典型的に非反応性である当該基である。
“親水性”物質は、水を好む物質である。このような成分は、水に対する親和性を有し、通常荷電され、又は水を攻撃する極性の側基を有する。
本明細書の“親水性ポリマー”は、水中で膨潤できるポリマーとして定義されるが、必ずしも水に可溶性でない。
本明細書の“親水性成分”は、ポリマー又はポリマーでなくてよい親水性物質である。親水性成分として、残りの反応性成分と合わせたとき、結果として生じる水和したレンズに少なくとも約20%、例えば、少なくとも約25%の含水量を与えることのできる当該成分が挙げられる。
本明細書では、“眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ”は、人の目に、その人が眼の刺激などの実質的な不快感を経験又は報告することなく装用できるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを表す。眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、眼に許容し得る表面湿潤性を有し、典型的に、有意な角膜の膨潤、角膜の脱水(“ドライアイ”)、上皮弓状病変(superior-epithelial arcuate lesion)(“SEAL”)、又は他の有意な不快感を引き起こさず、又は前記不快感を伴わない。
【0016】
“実質的に”又は“本質的に”又は“約”は、ほぼ全体的又は完全に、例えば、ある与えられた量の95%以上を意味する。
“アルキル”は、典型的に約1〜20個の範囲の原子の長さの炭化水素鎖を表す。このような炭化水素鎖は、好ましくは、必ずではないが飽和しており、また分岐又は直鎖でよいが、典型的には直鎖が好ましい。典型的なアルキル基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、3-メチルペンチル等が挙げられる。本明細書では、3個以上の炭素原子が言及される場合、“アルキル”はシクロアルキルを包含する。
“オリゴマー”は、有限数のモノマーサブユニットから成る分子であり、典型的に、約2〜約8個のモノマーサブユニットから成る。
“低級アルキル”は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を表し、直鎖又は分岐していてよく、メチル、エチル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチルが挙げられる。
本明細書では、特定バッチのポリアルキレンオキシドシリコーン、例えば、シリコーン油の“効力”は、所定濃度で(及びすべての他の因子が等しい)、利用したコンタクトレンズ型の直径の0.98〜1.02倍の範囲の直径を有する、最終的な抽出された水和したレンズ生成物を与えるその能力とみなされる。最終的なレンズ生成物のレンズ径の減少が増すにつれて、ポリアルキレンオキシドシリコーンの“効力”が大きい。
本明細書では、用語“膨張係数”は、水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの外径の、コンタクトレンズ型のレンズ形成面を形成するために使用されるコンタクトレンズ型のインサート部分の外径に対する比を指す。従って、コンタクトレンズのインサートが14.2mmの外径を有し、かつ水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが14.2mmの外径を有する場合、コンタクトレンズの膨張係数は1.00である。
以下のセクションでもさらなる定義が見つかるだろう。
【0017】
〔発明の概要〕
既に述べたように、本明細書で提供される発明は、少なくとも部分的に、極性樹脂の型に付随する問題を回避し、精巧かつ高価な重合後手順の必要を回避し、かつポリマー湿潤剤のIPNに付随する問題を回避する方法を用いて調製できる眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの発見に基づく。驚くべきことに、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作るために使用される製剤中に特定成分を組み入れてから、結果として生じる型成形されたコンタクトレンズ生成物から当該同一成分(他の未反応成分と一緒に)を除去することによって、眼に適合性のコンタクトレンズ製品を製造できることを発見した。
詳細には、発明者らは、重合可能なシリコーンコンタクトレンズ先駆組成物中に、相対的に大量の1以上の除去可能な材料を組み入れることによって、眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する方法を発見した。これら材料は、結果として生じる最終的なコンタクトレンズ生成物に望ましい特徴を与えるが、実際には、該生成物から例えば抽出によって除去され、抽出されたコンタクトレンズ生成物を与え、これが水和して、眼に許容し得る表面湿潤性のみならず本明細書で述べるような他の有益な特徴を有する最終的なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品をもたらす。
関連局面では、本明細書で、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ調製で使うジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーの効力の改善方法が提供され、この方法は、約0.1質量%〜約10質量%のアリルオキシエタノールをジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーに添加して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の調製で使うアリルオキシエタノール-ジメチルシロキサンエチレンオキシドブロックコポリマーを供給する工程を含む。有利には、例えば、重合可能なコンタクトレンズ先駆組成物の他の成分と混合する前にジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマーにアリルオキシエタノールを添加すると、ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロックコポリマー等の個々のバッチ又はロット等の使用の結果生じる如何なる考えられる望ましくない影響も“正常化する”ことによって、レンズの寸法又は種々の物理的特性の1以上の変化が許容範囲である最終的なレンズ製品を提供するために有効であることを発見した。
本発明のこれら及び他の注目に値する局面は、以下のセクションで詳細に述べ、かつ例証される。
【0018】
〔重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の成分〕
本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、典型的に、本明細書で“重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物”又は“先駆組成物”と呼ぶものから製造される。先駆組成物は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作るために用いる種々の試薬の混合物、すなわち反応(この場合は重合)前の反応混合物である。
本明細書の先駆組成物は、典型的に、少なくとも以下の成分を含む:少なくとも約25質量%の反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマー、好ましくは約25質量%〜約35質量%の該反応性フルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマー、(ii)少なくとも約45質量%の非ケイ素含有モノマー組成物、及び(iii)ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分。前記非ケイ素含有モノマー組成物は、親水性のビニル含有モノマー、アクリルモノマー、及びアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーを含む。
〔反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマー〕
上述したように、本発明のシリコーンコンタクトレンズは、反応性フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーを含む先駆組成物から調製される。マクロマーは、典型的に、必ずではないが、シロキサンブロック-コポリマー又はトリブロックポリマー、すなわち、2又は3個の異なるシロキサンポリマー“ブロック”又はセグメントで構成され、かつ少なくとも1個の反応性アクリロイル基を一端に有するマクロマーとして特徴づけられ、好ましくは該線形マクロマーの両端に反応性アクリロイル基を有する。
本発明で使うフルオロ含有シリコーンマクロマーは、典型的に少なくとも1個のフルオロ置換基を有する。好ましくは、フルオロ置換基は、マクロマー全体で1個より多いフッ素原子を有するように、ブロックポリマーの繰返し単位の1つに存在する。好ましいフルオロ含有マクロマーは、約1質量%〜約10質量%のフッ素、好ましくは約1質量%〜約5質量%のフッ素を有する当該マクロマーである。
一般的に、コポリマー又はトリブロックポリマーの少なくとも1つのブロックは繰返し単位、-[Si(CH3)2O]-を有し、少なくとも1つの他のブロックは、フッ素含有置換基、好ましくはフルオロアルキル置換基、最も好ましくは該アルキルが低級アルキルであるフルオロアルキル置換基を有するケイ素原子を含む。該マクロマーがトリブロックポリマーの場合、好ましくは1つのブロックが繰返し単位、-[Si(CH3)2O]-を有し、第2のブロックは、該ケイ素原子がフルオロアルキル置換基、最も好ましくは該アルキルが低級アルキルであるフルオロアルキル置換基を有するブロックであり、かつ第3のブロックは、親水性成分、例えば短いポリエチレングリコール(PEG)鎖、(CH2CH2O)pを含むアルキル基で置換されているケイ素原子を有する。好ましくは、上記第3のブロックは、ポリエチレングリコールに共有結合しているアルキレンリンカーで置換されているケイ素原子を含み、ここで、前記PEGは、任意に、低級アルキル又はベンジル等のエンドキャッピング基でエンドキャップされていてもよく、前記アルキレンリンカー部分は前記ケイ素原子の近位にある。ポリエチレングリコールセグメントは、典型的に約1〜約25個のサブユニット、さらに好ましくは約2〜約12個のサブユニットを有する。最も好ましくは、PEGセグメントは約4〜約10個のサブユニットを有する。上記3個のシロキサンブロックは、いずれの順序でもよい。
上記典型的なシリコーンマクロマーは米国特許第6,867,245号及び国際特許公開番号WO 2006/026474(これらの両内容は、参照によって本明細書に取り込まれる)に記載されている。本明細書で記載されるいずれの1以上のシリコーンマクロマーも本発明の組成物及びコンタクトレンズで使うために適しており、特に、(-SiO-)ブロックを含有する当該シリコーンマクロマー(ここで、該ケイ素原子は、1以上のフッ素原子で置換されているアルキレン又は他の炭化水素鎖である置換基を有する)が適している。
例えば、代表的なシリコーンマクロマーは、以下の3つの繰返し単位を含む。
【0019】
【化1】


【0020】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、-H、低級アルキル、フルオロアルキル、及び(-CH2)o(OCH2CH2)pO-Y(式中、oは1〜10の範囲であり、p(エチレンオキシド繰返し単位の数)は約1〜約25の範囲であり、かつYはH、低級アルキル、又はベンジルである)からそれぞれ独立に選択される。)変数n、m、及びhは、各ブロックの繰返し単位数に相当し、それぞれ独立に約3〜約200の範囲である。好ましくは、各ブロックn、m、及びhのSi-Oに共有結合している少なくとも1個のR基は低級アルキル基、なおさらに好ましくはメチル基である。すなわち、好ましくは、ブロックn中、R1又はR2の少なくとも一方がメチルであり;ブロックm中、R3又はR4の少なくとも一方がメチルであり、かつブロックh中、R5又はR6の少なくとも一方がメチルである。好ましくは、ブロックn、m、及びhの少なくとも1つが、繰返し単位-Si(CH3)2O-(式中、ケイ素に共有結合している両R基がメチルである)を有する。例示として、好ましいマクロマーは、以下のポリマー3ブロックを含む。




【0021】
【化2】


【0022】
(式中、R1、R3、及びR5は、-H、低級アルキル、フルオロアルキル(ジフルオロアルキル及びトリフルオロアルキルを包含する)、及び(-CH2)o(OCH2CH2)pO-Y(式中、oは1〜10の範囲であり、p(エチレンオキシド繰返し単位の数)は約2〜約12の範囲であり、かつYはH、低級アルキル、又はベンジルである)からそれぞれ独立に選択される。但し、(i)R1、R3、及びR5の少なくとも1つが-H又は低級アルキルであり、(ii)R1、R3、及びR5の少なくとも1つがフルオロアルキルであり、かつ(iii)R1、R3、及びR5の少なくとも1つが(-CH2)o(OCH2CH2)pO-Y(式中、個々の変数の値は上述される)であることを条件とする。)本発明で使う1つの特に好ましいマクロマーは、上記トリブロックポリマー構造(このとき、R1はメチル、R3はフルオロアルキル、かつR5は(-CH2)o(OCH2CH2)pO-Yであり、かつnは50〜200の範囲、mは2〜50の範囲、hは1〜15の範囲である)を含むマクロマーである。
フルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーに関しては、該マクロマーのSi-O-Si部分は、典型的に、該シリコーンマクロマー成分の総分子量の約20質量%超え、例えば30質量%超えに達する。本発明のシリコーンマクロマーは、アクリロイル基を含み、好ましくは各末端の1つに2個のアクリロイル基を有し、該アクリロイル成分の1以上のオレフィン性炭素は、任意に、アルキル基などの有機基で置換されていてもよい。
アクリロイル成分は、例えば下記式のアクリル酸から誘導される成分である。
【0023】
【化3】


【0024】
ここで、アクリル酸では、R7、R8、及びR9はそれぞれHである。しかし、本発明によれば、アクリロイルは、上記構造中、R9がH又はアルキル基、好ましくは低級アルキル基であり、かつR7及びR8がそれぞれ独立にH、アルキル、又はカルボキシルである(但し、R7又はR8の1つだけがカルボキシルであり得る)。Wは水素又は窒素である。Wが窒素の場合、対応するアクリロイル成分をアクリルアミドと呼ぶ。好ましい実施態様では、R7及びR8がそれぞれ水素であり、かつR9が低級アルキル、例えば、メチル、エチル、又はプロピルである。好ましくは、R9がメチルであり、かつ上記アクリロイル成分が線形マクロマーの両末端に存在する。R7、R8、及びR9の値は、該マクロマーに含まれる各アクリロイル基の中で他に依存しない。すなわち、1より多くのアクリロイル基を有するマクロマーでは、各アクリロイル成分のR7、R8、及びR9の値は、独立に選択される。しかし、好ましい実施態様では、該マクロマーがホモニ官能性(末端の反応性基が同一であることを意味する)とみなされるように、各R7、R8、及びR9の値は各アクリロイル基で同一である。末端の反応性基が同一でない場合、該マクロマーはヘテロ二官能性とみなされる。シリコーンマクロマーの末端に存在し得るアクリロイル重合可能官能基として、メタクリレート、アクリルアミド、及びメタクリルアミドが挙げられる。
適切なシリコーン含有モノマーのさらなる例は、ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーであり、限定するものではないが、フルオロ-置換メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、及びメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシランが挙げられる。
シリコーン含有成分の有用な一分類は、ポリ(オルガノシロキサン)プレポリマー、例えば、フルオロ-置換されているα,ω-ビスメタクリルオキシ-プロピルポリジメチルシロキサンである。別の例は、フルオロ-置換されているmPDMS(モノメタクリルオキシプロピル-末端化モノ-n-ブチル末端化ポリジメチルシロキサン)である。
典型的に、マクロマーのシロキサンポリマー部分、すなわち1以上のシロキサンポリマーブロックは、リンカーを介在してアクリロイル末端に連結されている。各リンカーは、典型的に約4原子〜約20原子の長さを有し、リンカーの例として、以下の1以上が挙げられる:-O-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-NH-、 -O-C(O)-NH-、-C(O)-O-(CH2)a、-C(O)-O-(CH2)aNH-C(O)(O)-(CH2)b-O-(CH2)c-、-O-C(O)-O-(CH2)a-、-O-C(O)-O-(CH2)aNH-C(O)(O)-(CH2)b等(式中、a、b、及びcはそれぞれ独立に1〜約10の範囲である)。すなわち、各a、b、及びcは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10から独立に選択される。好ましくは、リンカーは分岐ではなく直鎖であり、任意に、O又はNのどちらかである1以上のヘテロ原子を含んでよい。従って、さらに1以上のアルキレン鎖セグメントを含む場合、リンカーは、任意に、例えば、カルボキシル、アミド、カルバメート、及びカーボネートから選択される1以上の官能基を含み得る。
シリコーンマクロマー成分の分子量は、典型的に約8,000ダルトン〜約25,000ダルトンの範囲、好ましくは約10,000ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲である。本発明で使う1つの特に好ましいシロキサンマクロマーは、約16,000ダルトンの分子量を有する。
1つの特に好ましい分類のシロキサンマクロマーは、下記一般式を有するトリブロックポリマーである。
【0025】
【化4】


【0026】
式中、n、m、h、及びpの値は上述した通りである。上記マクロマーは、α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン)又はM3Uと呼ばれる。特に好ましい実施態様では、nが約121、mが約7.6、hが約4.4、かつpが約7.4である。M3Uは、国際特許公開番号WO 2006/026474の実施例1に示されている手順に従って容易に合成される。
本明細書で提供される重合可能なシリコーンヒドロゲル先駆組成物は、典型的に、少なくとも約20質量%のフルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーを含み、好ましくは少なくとも約25質量%のフルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーを含む。好ましくは、本発明の組成物は、約25質量%〜約40質量%のフルオロ含有アクリロイルシリコーンマクロマーを含み、さらに好ましくは約25質量%〜約35質量%の該マクロマーを含む。
【0027】
〔ケイ素フリーモノマー組成物〕
シリコーンマクロマーに加え、本レンズ、レンズ生成物、及び組成物は、いくつかの添加剤で構成されるケイ素フリーモノマー成分又は組成物さらに含む。この非ケイ素含有モノマー組成物は、典型的に、1より多くの親水性化合物を含む。親水性成分として、他の先駆製剤成分と配合すると、結果として生じる水和したレンズに少なくとも約20%、なおさらに少なくとも約25%の含水量を与えることのできる当該成分が挙げられる。ケイ素フリーモノマー組成物(モノマー組成物を構成している各化合物を意味する)は、各先駆組成物成分の分子量に基づいて、一般的に少なくとも約45質量%のレンズ先駆組成物を構成している。好ましくは、前記組成物の約45質量%〜55質量%をケイ素フリーモノマー組成物が占める。本発明のケイ素フリーモノマー組成物は、1以上のケイ素原子を含む親水性化合物を除外する。従って、本発明の前記モノマー組成物を“非ケイ素含有組成物”と称する。
ケイ素フリーモノマー組成物に含まれ得るモノマーは、少なくとも1つの重合可能な二重結合と、少なくとも1つの親水性官能基を有する。重合可能な二重結合の例として、アクリル、メタクリル、ビニル、O-ビニルアセチル及びN-ビニルラクタム、N-ビニルアミド二重結合などが挙げられる。このような親水性モノマーは、必ずではないが、架橋剤でよい。上述した通りのアクリロイル成分のサブセットとして考えられ“アクリルタイプ”又は“アクリル含有”又はアクリレート含有モノマーは、アクリル基(CR'H=CRCOW)(式中、RはH又はCH3であり、R'はH、アルキル、又はカルボニルであr、かつWはO又はNである)を含有するモノマーである。
本発明の親水性成分は、一般的に、以下の各非ケイ素含有成分(その1以上が親水性である)を含む:親水性ビニル含有(CH2=CH-)モノマー、アクリルモノマー、及びアクリレート官能化エチレンオキシド-(OCH2CH2)nオリゴマー。
アクリルモノマーの例として、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸、メチルメタクリレート(MMA)、及びその混合物。
上述したように、前記モノマー組成物は、その個々の親水性成分及び非親水性成分を含め、該先駆組成物の少なくとも約45質量%を構成する。従って、モノマー組成物を構成している各成分の質量パーセンテージはこの範囲内で変化する。好ましくは、モノマー組成物は、先駆組成物の約45質量%〜約55質量%を構成し、従って、その各成分の質量パーセントは、先駆組成物の約0.05質量%〜約40質量%、又は約0.05質量%〜約50質量%で変化して、先駆組成物の所望の全質量パーセントに達する。好ましくは、アクリルモノマー成分は、シリコーンレンズ生成物を調製するために用いられる先駆組成物の約7質量%〜約20質量%の範囲の量で存在し、なおさらに好ましくは先駆組成物の約10質量%〜約18質量%の量で存在する。アクリルモノマーの質量パーセンテージの例として、全先駆製剤に基づいて以下のものが挙げられる:約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、又は18%。
上述したように、モノマー組成物は、親水性ビニル含有モノマーをも含む。本レンズの材料に組み入れ得る親水性ビニル含有モノマーとして以下のものが挙げられる:N-ビニルラクタム(例えば、N-ビニルピロリドン(NVP))、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステル。1つの特に好ましいビニル含有モノマーはN-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)である。VMAの構造はCH3C(O)N(CH3)-CH=CH2に相当する。
好ましくは、モノマー組成物のビニル含有モノマー成分は、シリコーンレンズ生成物を調製するために用いられる先駆組成物の約20質量%〜約50質量%の量で存在し、なおさらに好ましくは先駆組成物の約25質量%〜約42質量%の量で存在する。該ビニル含有モノマーの代表的な量は、先駆組成物の質量の約25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、又は42%である。
モノマー組成物は、さらにアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマー、すなわち、約2〜約8個の隣接するエチレンオキシド(CH2CH2O-)モノマーサブユニットを有し、かつアクリレート等の反応性基で末端官能化されているエチレンオキシドオリゴマーをも含む。該オリゴマーの一端又は両端がアクリレート基で官能化され得る。例として、一端又は両端にアクリル基を有するエチレンオキシドオリゴマーを生成するため、オリゴマーの一端又は両端に1以上の反応性アクリレート基を導入できる1以上の等モル量の試薬、例えば、イソシアナトエチルメタクリレート(“IEM”)、無水メタクリル酸、塩化メタクリロイル等と反応させたエチレンオキシドオリゴマーが挙げられる。代表的なオリゴマーは、下記一般式で表される。
【0028】
【化5】


【0029】
式中、sは2〜約8、好ましくは2〜約4の範囲であり、R9はH又はアルキル基、好ましくは低級アルキル基であり、R7及びR8はそれぞれ独立にH、アルキル、又はカルボキシル(但し、R7又はR8の1つだけがカルボキシルであり得る)である。好ましくは、R9は低級アルキル基、例えばメチルであり、R7及びR8はそれぞれHである。変量Fは、-OH、アルコキシ等のエンドキャッピング基から選択され、或いは以下に示すようなアクリレートである。下記構造は、各末端に同一のアクリレート基を有するホモ二官能性エチレンオキシドオリゴマーを示す。しかし、理論上、各末端のアクリレート成分は同一でも異なってもよい。
【0030】
【化6】


【0031】
本発明で使う好ましいアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーとして、オリゴ-エチレンオキシドモノメタクリレート及びオリゴ-エチレンオキシドジメタクリレートが挙げられる。本発明で使う好ましいアクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーは、トリメチレングリコールジメタクリレートである。
典型的に、アクリレート官能化エチレンオキシドオリゴマーは、先駆組成物中に相対的に小量で存在する。例えば、該オリゴマーは先駆組成物中、約0.05質量%〜約10質量%、好ましくは約0.075質量%〜約5質量%の範囲の量で存在する。オリゴマー成分の代表的な量として、先駆組成物の質量に対して以下の量が挙げられる:約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、又は5%。
【0032】
〔ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分〕
既に述べたように、本発明の先駆組成物は、特にポリアルキレンオキシドシリコーン(PAOS)除去可能又は抽出可能成分を含む(この2つの用語“除去可能”及び“抽出可能”は、本明細書では相互交換可能に使用され、レンズ先駆組成物の重合後に除去される成分を指す)。本発明のPAOS抽出可能成分は、ポリアルキレンオキシドシリコーン(該ポリアルキレンオキシドが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのターポリマー(ブロックコポリマー及びトリ-ブロックポリマーを含む)でよい)として特徴づけられる。本明細書では、該ポリアルキレンオキシドシリコーンをシリコーン油と呼ぶこともあり;この用語“シリコーン油”は、本明細書ではいずれのこのようなポリアルキレンオキシドシリコーンをも包含する意である。
一般的に、ポリアルキレンオキシドシリコーンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)骨格を有するとして特徴づけられ、該メチル基の一定のパーセンテージは上述した通りのポリアルキレンオキシ基と置き換わっている。好ましい実施態様では、ポリアルキレンオキシ基はスペーサーを介してシロキサン骨格に共有結合している。該スペーサーは、一般的に約2〜約12個の原子の長さであり、典型的に、シロキサン骨格へのポリアルキレンオキシド鎖の結合を容易にするために利用される。典型的なスペーサーとして、アルキレン鎖、置換アルキレン鎖、アミノ酸などが挙げられる。好ましいスペーサーは低級アルキル基、例えばエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等である。或いは、本明細書で使うポリアルキレンオキシドシリコーンはジメチルシロキサンエチレンオキシドブロックコポリマー、例えばGelest(Morrisville、PA)から入手可能なものでよい。一般的に、本発明のポリアルキレンオキシドシリコーンは、少なくとも約25質量%のポリアルキレンオキシド、さらに好ましくは約30質量%〜約90質量%のポリアルキレンオキシドを含むだろう。好ましいポリアルキレンオキシドシリコーンは、約50%以上のポリアルキレンオキシドを含む。例示的なポリアルキレンオキシドシリコーンは、約25%(wt)のポリアルキレンオキシド、40%、50%、60%、70%、75%、80%、又は85%(wt)のポリアルキレンオキシドを含む。一般的に、約55質量%以上のエチレンオキシドを有する材料は水溶性である。本発明で使うために特に好ましくはポリアルキレンオキシドシリコーン(該ポリアルキレンオキシドはポリエチレングリコール又はプロピレンオキシド-エチレンオキシドブロックコポリマー)である。
典型的なポリアルキレンオキシドシリコーンはGelest(PA、USA)から入手可能である。代表的なポリアルキレンオキシドシリコーンとして、ジメチルシロキサン(75% エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PDMS-co-PEG);ジメチルシロキサン[(65-70% (60% プロピレンオキシド/40% エチレンオキシド)]ブロックコポリマー(PDMS-co-PPO-PEG);ジメチルシロキサン(25-30% エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PDMS-co-PEG);ジメチルシロキサン[(50-55% (60% プロピレンオキシド/40% エチレンオキシド)]ブロックコポリマー(PDMS-co-PPO-PEG);ジメチルシロキサン(50-55% エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PDMS-co-PEG);ジメチルシロキサン(80-85% エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PDMS-co-PPO-PEG);及びジメチルシロキサン(80% エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PDMS-co-PEG)が挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドシリコーンはそれぞれ以下のアクリオニム(acryonyms)(Gelest)DBE-712、DBP-732、DBE-224、DBP-534、DBE-621、DBE-821、及びDBE-814に対応する。好ましいポリアルキレンオキシドシリコーンはジメチルシロキサン(75% エチレンオキシド)ブロックコポリマー(DBE-712)である。
PAOS抽出可能成分は先駆組成物中にいずれの量でも存在し得るが、好ましくは該抽出可能成分は、約2質量%〜約30質量%、好ましくは約10質量%〜約30質量%の範囲の量で存在する。さらに好ましくは、抽出可能成分は、約10質量%〜約28%の範囲の量で存在する。先駆組成物中の抽出可能成分の典型的な量として、以下の質量パーセンテージが挙げられる:約10%、約12%、約15%、約20%、約25%、約29%、又は約30%。
特定例では、PAOS除去可能成分は、ポリアルキレンオキシドシリコーンに加え、連鎖移動試薬を含む。連鎖移動試薬はラジカル種と非ラジカル種との間の反応を促進する試薬である。本発明で使う典型的な連鎖移動試薬として、チオール、ジスルフィド、有機ハロゲン化物、及びアリルオキシ化合物が挙げられる。連鎖移動試薬のいくつかの例として、チオール、例えばブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、オクチルチオグリコレート、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、1,4-ブタンジオールビス(チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β-チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β-チオプロピオネート)等、ジスルフィド、例えばジフェニルジスルフィド、ハロゲン化物、例えば四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロベンゼン等、及びアリルオキシ化合物、例えばアリルオキシアルコール等が挙げられる。これら連鎖移動剤を個々に使用してよく、或いは前記いずれかの混合物として使用してもよい。本発明で使うには、好ましくはアリルオキシ化合物、すなわち1以上のアリルオキシ成分を含む化合物である。
少なくとも1つのアリルオキシ成分を含む化合物は下記一般式を有する。
【0033】
【化7】


【0034】
式中、四角で囲った部分がアリルオキシ成分に相当し、Qは親分子の残部又は残基、例えばアルコール、又はアリルオキシ成分とひとまとめにして考えた場合に連鎖移動剤として作用し得るいずれの有機小分子をも表す。好ましくは、Qはエタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、又はその置換された変形から誘導される。好ましくは、該連鎖移動試薬が2-アリルオキシエタノールに相当するように、Qがエタノールの残基で、構造(-CH2CH2OH)を有する。
発明者らは、本明細書で記載される通りの抽出可能成分への任意的な連鎖移動試薬の添加は、寸法と物理的性質の両方の可変性が低い、抽出された水和したシリコーンコンタクトレンズ本体を提供するために有効であることを発見した。従って、連鎖移動剤の添加は、先駆レンズ組成物を“正常化”又は“微調整”するために機能するので、結果として生じる抽出された水和したコンタクトレンズの集団が、典型的に以下の特性のいずれか1以上の可変性が20%未満と成り得る:平衡含水量、酸素透過性、静的接触角、動的接触角(前進接触角又は後退接触角)、ヒステリシス、屈折率、イオノフラックス、モジュラス、引張り強さ等。例えば、前述したレンズ特性のいずれか1以上の可変性は、レンズ製品の個々の特徴によって左右されるが、典型的に約20%未満、好ましくは約10%未満である。1以上の実施態様では、レンズ径、平衡含水量、及び/又はイオノフラックスのいずれか1以上の可変性が約5%以下、さらに好ましくは約3%以下、なおさらに好ましくは約2%以下である。好ましくは、レンズの集団のレンズ径は約1.5%未満の可変性を有する。
本明細書では、バッチ又は集団は、複数のコンタクトレンズを表す。コンタクトレンズのバッチ又は集団中のコンタクトレンズの数が、意味のある標準エラーを与えるのに十分な場合、改良された統計値が達成されることが分かる。特定条件で、コンタクトレンズのバッチは、少なくとも10枚のコンタクトレンズ、少なくとも100枚のコンタクトレンズ、少なくとも1000枚のコンタクトレンズ、又はそれ以上のコンタクトレンズを指す。
従って、ある局面では、本発明は、ポリアルキレンオキシドシリコーンに約0.1質量%〜約10質量%の連鎖移動剤、好ましくはアリルオキシ化合物、さらに好ましくはアリルオキシアルコールを添加して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の調製で使う連鎖移動試薬ポリアルキレンオキシドシリコーンを提供することによって、ポリアルキレンオキシドシリコーンの効力の改良する方法を提供する。好ましくは、連鎖移動剤は、約0.1質量%〜約6質量%の量で添加される。本明細書では、特定バッチのポリアルキレンオキシドシリコーン、例えば、シリコーン油の“効力”は、所定濃度(かつすべての他の因子は同一)における、コンタクトレンズ型のレンズ形成面、又はコンタクトレンズ型インサートの型形成面の外径の約0.90〜約1.10、例えば約0.95〜約1.05倍の範囲の外径を有する、最終的な抽出された水和したレンズ生成物を提供するその能力とみなされる。少なくとも1つの実施態様では、水和したレンズ生成物は、使用したコンタクトレンズ型、又は該コンタクトレンズ型を形成するために用いた型インサートの外径の約0.98〜1.02倍の範囲の外径を有する。最終的なレンズ製品のレンズ径の減少が増すほど、ポリアルキレンオキシドシリコーンの“効力”が大きい。最終的なレンズ径は、上述したように、臨床的に許容し得る範囲内の望ましい特性を有するシリコーンコンタクトレンズ製品を提供するための連鎖移動剤の能力の1つの尺度であるが、先駆組成物の他の成分と混合する前にポリアルキレンオキシドシリコーンに連鎖移動剤を添加すると、最終的なコンタクトレンズ製品の測定可能な特性のいくつかでより大きな安定(すなわち、可変性の低減)を与えるためにさらに有効である。
好ましくは、結果として生じる連鎖移動剤とポリアルキレンオキシドシリコーンの混合物は、約0.1〜約5部の連鎖移動剤と約99.9〜95部のポリアルキレンオキシドシリコーンを含むだろう。すなわち、連鎖移動剤-ポリアルキレンオキシドシリコーン混合物は、以下の連鎖移動試薬の典型的な量のいずれか1つを含み:0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5部(それぞれポリアルキレンオキシドシリコーン、例えば、99.9、99.8、99.7、99.6、99.5、99.4、99.3、99.2、99.1、99、98.5、98、97.5、97、96.5、96、95.5、又は95部に対応する)等。
【0035】
〔シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の追加成分〕
本発明のレンズ先駆組成物は、追加成分、例えば紫外線(UV)吸収剤、つまりUV放射線若しくはエネルギー吸収剤、及び/又は着色剤を含んでもよい。UV吸収剤は、例えば約320〜380nmのUV-A範囲で相対的に高い吸収値を示すが、約380nm以上で相対的に透明である、強力なUV吸収剤でよい。例として、光重合可能なヒドロキシベンゾフェノン及び光重合可能なベンゾトリアゾール、例えば2-ヒドロキシ-4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン(Cytec IndustriesからCYASORB(登録商標)UV416として商業的に入手可能)、2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルイルオキシ)プロポキシベンゾフェノン及びNoramcoからNORBLOC(登録商標)7966として商業的に入手可能な光重合可能なベンゾトリアゾールが挙げられる。本発明で使うのに好適な他の光重合可能なUV吸収剤として、重合可能なエチレン性不飽和トリアジン、サリチレート、アリール置換アクリレート、及びその混合物が挙げられる。一般的に、UV吸収剤が存在する場合、UV吸収剤は、先駆組成物の約0.5質量%〜約1.5質量%に相当する量で存在する。特に好ましくは約0.6質量%〜約1.0質量%のUV吸収剤を含む先駆組成物である。
本発明の先駆組成物は着色剤を含んでもよいが、着色レンズ製品と透明レンズ製品が考慮される。好ましくは、着色剤は、結果として生じるレンズ製品に色を与えるのに有効な反応性染料又は顔料である。反応性染料は、シリコーンヒドロゲルレンズ材料に結合し、かつブリードしない当該染料である。典型的な着色剤として以下のものが挙げられる:ベンゼンスルホン酸, 4-(4,5-ジヒドロ-4-((2-メトキシ-5-メチル-4-((2-(スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ-3-メチル-5-オキソ-1H-ピラゾリル-1-イル);[2-ナフタレンスルホン酸, 7-(アセチルアミノ)-4-ヒドロキシル-3-((4-((スルホオキシエチル)スルホニル)フェニル)アゾ)-];[5-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ-4-ヒドロキシ-3-((1-スルホ-2-ナフタレニル)アゾ-2,7-ナフタレン-ジスルホン酸, 三ナトリウム塩];[銅, 29H, 31H-フタロシアニナト(2-)-N29, N30, N31, N32)-,スルホ((4((2-スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アミノ)スルホニル誘導体];及び[2,7-ナフタレンスルホン酸, 4-アミノ-5-ヒドロキシ-3,6-ビス((4-((2-(スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ)-四ナトリウム塩]。
本発明で使う特に好ましい着色剤は、フタロシアニン顔料、例えばフタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーン、クロム-アルミナ-コバルト(II)オキシド、酸化クロム、並びに赤色、黄色、茶色及び黒色用の種々の酸化鉄である。オペーキング(opaquing)剤、例えば二酸化チタンを組み入れてもよい。特定用途では、自然の虹彩外観のより良いシミュレーションのため色の混合を利用し得る。
さらに、本先駆組成物は、1以上の開始化合物、すなわち、先駆組成物の重合を惹起可能な化合物を含んでよい。好ましくは、熱開始剤、すなわち“キックオフ”温度を有する開始剤である。高いキックオフ温度の熱開始剤を選択し、かつ相対的に低量の開始剤を使用することによって、本レンズのイオノフラックスを低減することによって、抽出工程で除去又は抽出される除去可能な材料の量に影響を与えることができる。例えば、本発明の先駆組成物で利用される1つの熱開始剤は、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)(VAZO(登録商標)-52)である。VAZO(登録商標)-52は、約50℃のキックオフ温度、すなわち先駆組成物中の反応性成分が重合し始める温度を有する。本発明の先駆組成物で使うのに好適な別の熱開始剤はアゾ-ビス-イソブチロニトリル(VAZO(登録商標)-88)であり、約90℃のキックオフ温度を有する。また好適な開始剤は、VAZO(登録商標)-64、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルである。本明細書で開示するすべてのVASO熱開始剤はDuPont(Wilmington, DE)から入手可能である。さらなる熱開始剤として、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)及び2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)等のニトリル、並びに他のタイプの開始剤、例えばSigmaAldrichから入手可能な開始剤が挙げられる。眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約0.2〜0.7部のVAZO-52(又は約0.1〜約0.8質量%)、又は約0.1部〜約0.6部のVAZO-88(約0.05〜約0.5質量%)を含む先駆組成物から得られる。
本発明の先駆組成物は、離型助剤、すなわち、硬化したコンタクトレンズのその型からの取り外しを容易にするのに有効な1以上の成分をも含み得る。典型的な離型助剤として、親水性シリコーン、ポリアルキレンオキシド、及びその組合せ挙げられる。
先駆組成物は、さらに、ヘキサノール、エトキシエタノール、イソプロパノール(IPA)、プロパノール、デカノール及びその組合せから成る群より選択される希釈剤を含んでよい。利用する場合、希釈剤は、典型的に約10%〜約30%(w/w)の範囲の量で存在する。相対的に高濃度の希釈剤を有する組成物は、必ずではないが、低いイオノフラックス値、低いモジュラス、及び高いエロンゲーション、並びに20秒を超える水のBUTを有する傾向がある。
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造で使うのに適したさらなる材料は、米国特許第6,867,245号に記載されている。
本出願の文脈中の用語“添加剤”は、本重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物又は抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物で供給されるが、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造に必要なわわけではない、化合物又は何らかの化学薬剤を意味する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを調製するためにはおそらく必須ではないが、このことは、本発明の先駆組成物に1以上の添加剤を含めることの結果として、先駆組成物又はその結果のレンズ生成物に1以上の利益を与えないことを決して意味するものではない。例えば、除去可能な添加剤を含めると、該添加剤又はその組合せのない同一の先駆組成物から得られたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに比し、例えば、コンタクトレンズの製造中、コンタクトレンズの加工を容易にし、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの1以上の特性を向上させ得る。本明細書で使用する場合、添加剤は、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物から除去できる添加剤である。例えば、添加剤は、該重合可能なシリコーンヒドロゲルトレンズ先駆組成物の他の成分と実質的に非反応性であり、又は反応しないので、該添加剤は、実質的に、結果として生じる重合したレンズ生成物の共有結合した欠くことのできない部分にはならない。その分子量と形状によって、すべてではないがほとんどの添加剤は、重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物から抽出可能である。従って、本組成物中の添加剤は、抽出手順の際に、重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物から抽出される。従って、除去可能又は抽出可能成分として既に述べたポリアルキレンオキシドシリコーンも本明細書では“添加剤”とみなされる。
前記PAOS抽出可能成分に加え、添加剤の例として、エチレングリコールステアレート、ジエチレングリコールモノラウレート、C2-C24アルコール及び/又はC2-C24アミンが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤は、1以上の極性又は親水性の末端基、例えば、限定するものではないが、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート及びカルボキシル基を含んで、該組成物中に存在する他の材料と該添加剤との混和性を促進することもできる。
添加剤は液体又は固体形態でよく、疎水性又は両親媒性の成分又は薬剤を包含し得る。
特定の実施態様では、添加剤は、希釈剤、実質的に反応しない薬剤、又は抽出可能物と呼ばれることもある。前述したPAOS抽出可能成分に加え、本発明の先駆組成物は、アルコール性又は非アルコール性の希釈剤をも含み得る。このような他の希釈剤を利用する場合、該希釈剤は、典型的に約10%(w/w)未満の量で存在する。本組成物で供給される添加剤は、以下の機能、例えば、それらは(i)例えば均質な組成物又は相分離しない組成物の形成を促すことによって、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の形成を助け;(ii)例えばコンタクトレンズ生成物を含有する該コンタクトレンズ型の離型を促すことによって、及び/又はコンタクトレンズ型からのコンタクトレンズ生成物の脱レンズ(delensing)を促すことによって、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の加工性を向上させ;(iii)例えばコンタクトレンズの集団の中、例えばコンタクトレンズの異なるバッチの中でコンタクトレンズの物理的パラメーターの可変性を低減することによって、コンタクトレンズの物理的パラメーターの調節を改善し;(iv)例えばコンタクトレンズの表面の湿潤性を向上させることによって、コンタクトレンズの湿潤性を向上させ;(v)例えば所望によりモジュラスを減少させ、又はモジュラスを増加させることによって、コンタクトレンズのモジュラスにポジティブな影響を与え;及び(vi)例えば添加剤を含まないレンズ生成物から得られるコンタクトレンズに比べてコンタクトレンズのイオノフラックスを低減することによって、コンタクトレンズのイオノフラックスにポジティブな影響を与え得るという機能のいずれか1以上を提供できる。従って、本組成物で供給される添加剤は、相溶化剤(compatibilizer)、離型助剤、脱レンズ助剤、物理的パラメーター調節剤、湿潤性増強剤、モジュラス影響剤(influencing agent)、イオノフラックス低減剤、又はこれらのいずれか1以上の組合せとして作用し得る。
相溶化剤は、本先駆組成物の成分の混和性を改善又は増強し得る。例えば、相溶化剤は、相溶化剤なしの製剤に比し、ケイ素含有ポリマーと他のレンズ形成成分に付随する相分離を減少させることができる。
好ましくは、添加剤は重合組成物全体に均質に分配され、かつ抽出手順の際、重合した生成物から完全ではなくても、実質的に除去される。その結果、本コンタクトレンズは、好ましくはバッチ間にほとんど物理的又は寸法的な可変性なしで生成され、結果として、臨床的に許容し得る、眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの収率を向上させる。
実施例1、3、及び4で本発明の典型的な先駆組成物を提供する。
本先駆組成物の特定の実施態様として、無極性樹脂のコンタクトレンズ型内で供給される重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物が挙げられる。他の実施態様として、ビン等の貯蔵容器、又は手動若しくは自動ピペット操作(pipetting)デバイス等の分配デバイス内の前記組成物が挙げられる。
【0036】
〔シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの形成方法〕
一般的に、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造では、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の成分をそれぞれ秤量してから配合する。次に、結果の先駆組成物を例えば磁気的又は機械的なミキシングによって混合し、任意にろ過して粒子を除去する。
例えば図1に示されるように、本発明のレンズを製造することができる。図1は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法を示すブロック図である。特に、図1は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのキャスト成形(cast molding)方法を示す。キャスト成形されたコンタクトレンズは、さらにレンズを機械加工して改変して目の上で使うためにレンズを適合させる必要がなく、それ自体が人の目の上に直接置くのに適した形態で製造される。図1に示されるようなキャスト成形手順を用いて製造された本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、本明細書では“キャスト成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ”とみなされる。本レンズは、型部材からレンズ生成物を脱レンズ後に機械加工を用いてレンズを変えることがない場合、“完全に成形されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ”であると解釈される。
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ等のコンタクトレンズの実例となる製造方法は以下の文献に記載されている:米国特許第4,121,896号;第4,495,313号;第4,565,348号;第4,640,489号;第4,889,664号;第4,985,186号;第5,039,459号;第5,080,839号;第5,094,609号;第5,260,000号;第5,607,518号;第5,760,100号;第5,850,107号;第5,935,492号;第6,099,852号;第6,367,929号;第6,822,016号;第6,867,245号;第6,869,549号;第6,939,487;並びに米国特許公開第20030125498号;第20050154080号;及び第20050191335号。
図1に戻って、ブロック図に概要が示される方法について簡単に説明する。図示した方法は、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物(図2に示される202)をコンタクトレンズ型部材の上又は中に置く工程102を含む。重合可能なシリコーンヒドロゲルレンズ先駆組成物は、重合に適した、重合前又は硬化前の組成物を指す。本明細書では、本重合可能な組成物は、“モノマーミックス”又は“反応混合物”を指すこともある。好ましくは、重合可能な組成物又はレンズ先駆組成物は、該組成物の硬化又は重合前には、如何なる有意な程度にも重合しない。しかし、特定例では、硬化を受ける前に、重合可能な組成物又はレンズ先駆組成物が部分的に重合し得る。
本レンズ先駆組成物は、硬化又は重合手順前に容器、分配デバイス、又はコンタクトレンズ型に供給される。
図1に戻って工程102では、雌型のコンタクトレンズ型部材のレンズ形成面上にレンズ先駆組成物を置く。雌型のコンタクトレンズ型部材は、一般的に第1コンタクトレンズ型部材又は前側コンタクトレンズ型部材を指す。例えば、雌型のコンタクトレンズ型部材は、コンタクトレンズ型から製造されるコンタクトレンズの前側又は前面を画定するレンズ形成面を有する。
第1コンタクトレンズ型部材を第2コンタクトレンズ型部材と接触させて置いて、コンタクトレンズ形状のキャビティを有するコンタクトレンズ型を形成する。従って、図1に示される方法は、2つのコンタクトレンズ型部材を相接して置いてコンタクトレンズ形状のキャビティを形成することによって、コンタクトレンズ型を閉じる工程104を含む。重合可能なシリコーンヒドロゲルレンズ先駆組成物202は前記コンタクトレンズ形状のキャビティ内にある。第2コンタクトレンズ型部材は、雄型のコンタクトレンズ型部材又は後側のコンタクトレンズ型部材であることを意味する。例えば、第2コンタクトレンズ型部材は、コンタクトレンズ型内で製造されるコンタクトレンズの後面を画定するレンズ形成面を含む。
本明細書では、“無極性樹脂のコンタクトレンズ型”又は“疎水性樹脂のコンタクトレンズ型”は、無極性樹脂又は疎水性樹脂から形成又は製造されるコンタクトレンズ型を表す。従って、無極性樹脂ベースのコンタクトレンズ型は、無極性又は疎水性の樹脂を含み得る。例えば、このようなコンタクトレンズ型は、1以上のポリオレフィンを含み、或いはポリオレフィン樹脂材料から形成され得る。本出願の文脈で使われる無極性樹脂のコンタクトレンズ型の例として、ポリエチレンのコンタクトレンズ型、ポリプロピレンのコンタクトレンズ型、及びポリスチレンのコンタクトレンズ型が挙げられる。無極性樹脂ベースのコンタクトレンズ型は、典型的に、疎水性の表面を有する。例えば、無極性樹脂の型又は疎水性樹脂の型は、キャプティブバブル(captive bubble)法で決定した場合、約90度以上の静的接触角を有し得る。このような接触角であれば、該型から製造される通常のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは臨床的に許容し得ない表面湿潤性を有する。 本方法は、さらに重合可能なシリコーンヒドロゲルレンズ先駆組成物を硬化させて、図2に示されるような、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物204を形成する工程106を含む。硬化の間、重合可能なシリコーンヒドロゲルレンズ先駆組成物のレンズ形成成分が重合して、重合したレンズ生成物を形成する。従って、硬化工程は重合工程であると解釈することもできる。硬化工程106は、重合可能なレンズ先駆組成物を熱などの放射、又はレンズ先駆組成物の成分を重合させるために有効な他のいずれかの手段にさらす工程を含んでよい。例えば、硬化工程106は、重合可能なレンズ先駆組成物を、例えば重合量の熱又は紫外(UV)線などにさらす工程を含み得る。任意に、酸素フリーの環境内で硬化工程を行ってもよい。例えば、不活性雰囲気、例えば、窒素、アルゴン、又は他の不活性ガス下で硬化工程を行うことができる。
【0037】
抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物204は、重合した生成物から実質的にすべての除去可能/抽出可能成分を除去する抽出手順を受ける前の重合した生成物を指す。抽出組成物と接触させる前に、コンタクトレンズ型、抽出トレイ、又は他のデバイスの上又は中に、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を供給することができる。例えば、硬化手順後にコンタクトレンズ型のレンズ形キャビティの中に、或いはコンタクトレンズ型の離型後に一方のコンタクトレンズ型部材の上又は中に、或いは脱レンズ手順後かつ抽出手順前に抽出トレイ又は他のデバイスの上又は中に、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を供給することができる。抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は、レンズ形状のケイ素含有ポリマーネットワーク又はマトリックス等のレンズ形成成分と、該レンズ形成成分から除去され得る除去可能な成分とを包含する。除去可能成分には、PAOS抽出可能成分に加え、未反応モノマー、オリゴマー、部分的に反応したモノマー、或いは前記レンズ形成成分に関して共有結合しなくなり、又はそうでなくても固定されなくなった他の物質が含まれる。除去可能な成分は、前述したように、抽出手順の際に、重合したレンズ生成物から抽出され得る、希釈剤をはじめとする有機添加剤などの1以上の添加剤をも包含し得る。従って、除去可能成分を構成し得る物質は、ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分のみならず、レンズ本体のポリマー骨格、ネットワーク、又はマトリックスに架橋されず、又はそれらに関して固定されていない抽出可能材料の線形の架橋していない、架橋している、及び/又は分岐しているポリマーをも包含し得る。
さらに、除去可能成分は、抽出前に、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物から受動的又は能動的に除去され得る揮発性材料などの他の材料を含み得る。例えば、除去可能成分の一部は、脱レンズ工程と抽出工程の間に蒸発し得る。
重合可能なレンズ先駆組成物を硬化後、該コンタクトレンズ型の離型工程108を行う。離型工程は、抽出される前の重合したコンタクトレンズ生成物又は重合したデバイスを含有する型の2つの型部材、例えば雄型と雌型の型部材を分離するプロセスを指す。抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は、離型された型部材の一方の上にある。例えば、重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は、雄型の型部材上又は雌型の型部材上にあり得る。
次に、図1に示されるように、脱レンズ工程110の間に、コンタクトレンズ型部材上にある、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物204が該コンタクトレンズ型部材から分離される。コンタクトレンズ型の離型の際にどちらの型部材に、重合したコンタクトレンズ生成物が付着したままであるかによって、雄型の型部材又は雌型の型部材から、抽出される前の重合したコンタクトレンズ生成物が脱レンズされる。
抽出される前のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の脱レンズ後、本方法は、該抽出される前のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物から抽出可能物質を抽出する工程112を含む。抽出工程112は、図2に示されるように、抽出されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物206をもたらす。抽出工程112は、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を1以上の抽出組成物と接触させる手順を指し、単一抽出工程又は数回の逐次抽出を含み得る。例えば、重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物又は重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物のバッチを1以上の体積の液体抽出媒体と接触させる。抽出媒体は、典型的に1以上の溶媒を含む。例えば、抽出媒体としてエタノール、メタノール、プロパノール、及び他のアルコールが挙げられる。抽出媒体として、アルコールと水の混合物、例えば50%のエタノールと50%の脱イオン水の混合物、又は70%のエタノールと30%の脱イオン水の混合物、又は90%のエタノールと10%の脱イオン水の混合物も挙げられる。或いは、抽出媒体は、実質的に又は完全にアルコールフリーでもよく、また、重合したシリコーンヒドロゲルレンズ生成物からの疎水性の未反応成分の除去を促進する1以上の薬剤を包含し得る。例えば、抽出媒体は水、緩衝液などを含み、又は本質的にこれらから成り、又は完全にこれらから成り得る。室温を含め、種々の温度で抽出112を行うことができる。例えば、抽出は室温(例えば、約20℃)で起こり、或いは高温(例えば、約25℃〜約100℃)で抽出が起こり得る。さらに、特定の実施態様では、抽出工程112は、レンズ生成物をアルコールと水の混合物に接触させる工程を含み、特定例では、この工程が多工程の抽出手順の最後の工程を構成し得る。
抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を抽出して、抽出された重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を与えた後、本方法は、前記抽出された重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を水和させる工程114を含む。水和工程114は、例えば、図2に示されるように、抽出された重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物又は該生成物の1以上のバッチを水又は水溶液と接触させて、水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ208を形成する工程を含み得る。一例として、2以上の別々の体積の水、又は脱イオン水中に置くことによって、抽出された重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を水和させることができる。特定の実施態様では、水和工程114を抽出工程112と一緒にして、両工程が、コンタクトレンズ製造ラインの単一のステーションで遂行されるようにする。水和工程114は、容器内で室温にて行われ、或いは高温で行われ、また、所望により、高圧で行ってもよい。例えば、水和は水中、約120℃(例えば、121℃)の温度と103kPa(15psi)の圧力で起こり得る。
従って、上記から明かなように、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物及び抽出された重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は水膨潤可能な生成物又は要素であると考えられ、かつ水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、水で膨潤している生成物又は要素であると考えられる。本明細書では、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、水和工程を受けたシリコーンヒドロゲル要素を指す。従って、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、部分的に水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、又は脱水したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズでよい。脱水したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、水和手順を受け、かつ引き続き脱水してレンズから水が除去されたコンタクトレンズを指す。
抽出されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を水和させてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造後、本方法はシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ208を包装する工程116を含む。例えば、ある体積の液体、例えば緩衝食塩水といった食塩水などを含むブリスターパック又は他の適切な容器内にシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ208を置くことができる。本レンズに好適な液体の例として、リン酸緩衝食塩水及びホウ酸緩衝食塩水が挙げられる。次に、工程118に示されるように、ブリスターパック又は容器を封止し、引き続き滅菌する。例えば、オートクレーブ処理、γ線、e-ビーム線、又は紫外線などによって、滅菌量の放射線又は熱に、包装したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをさらすことができる。
【0038】
〔シリコーンヒドロゲルレンズの特性〕
上述したように、本明細書で提供される組成物及び方法は、眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。本明細書で述べるような除去可能成分を有する抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルレンズ生成物を抽出し、かつ水和させて、眼に許容し得る表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する。本レンズは、本レンズを、長期間、例えば少なくとも1日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、又は約1カ月間、目から該レンズを除去する必要なく、人の目に快適に装用できるようにする酸素透過性、表面湿潤性、モジュラス、含水量、イオノフラックス、デザイン、及びその組合せを有する。
本明細書では、“眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ”は、眼の刺激などといった実質的な不快感を人が経験又は報告することなく、人の目に装用できるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを表す。眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、眼に許容し得る表面湿潤性を有し、典型的に、有意な角膜の膨潤、角膜の脱水(“ドライアイ”)、上皮弓状病変(“SEAL”)、又は他の有意な不快感を引き起こさず、又は前記不快感を伴わない。眼に許容し得る表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとは、レンズ装用者が該シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを目に置き又は装用することに付随する不快感を経験又は報告することとなる程度に、レンズ装用者の目の涙液膜に有害な作用を及ぼさないシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを意味する。眼に適合性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、毎日装用又は長期装用のコンタクトレンズの臨床的な受容要件を満たす。
本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは眼に許容し得る表面湿潤性(ophthalmically acceptable surface wettabilities)(OASW)の表面、例えば前面と後面を有するレンズ本体を含む。湿潤性はコンタクトレンズの1以上の表面の親水性を表す。ある尺度では、以下のように行う湿潤性アッセイで3以上のスコアをレンズが受ける場合、レンズの表面は湿潤性であるとみなされ、或いは眼に許容し得る湿潤性を有するとみなされる。コンタクトレンズを蒸留水に浸し、水から取り出して、水膜がレンズ表面から後退するのにかかる時間の長さを決定する(例えば水のブレイクアップ時間(water break up time)(水のBUT、又はWBUT))。このアッセイは、1〜10の線形スコアによってレンズのグレードを与え、スコア10は、液滴が20秒以上かけてレンズから後退するレンズを指す。少なくとも10秒、さらに望ましくは少なくとも15秒のような5秒より多い水のBUTを有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、眼に許容し得る表面湿潤性を有するとみなされるが、WBUTというin vitro評価はOASWの1つの尺度又は指標でしかない。代わりに、in vivoでOASWを評価することができる。患者が不快感又は刺激を少なくとも6時間報告せずに患者の目にレンズを装用できる場合、レンズがOASWを有するとみなされる。
レンズの片面又は両面の接触角を測定することによって湿潤性を決定することもできる。接触角は動的接触各と静的接触角でよい。より小さい接触角は、一般にコンタクトレンズの表面の湿潤性が高いことを意味する。例えば、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの湿潤性の表面は、約120度未満の接触角を有し得る。しかし、本レンズの特定の実施態様では、レンズは、90度を超えない接触角を有し、さらなる実施態様では、本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約80度未満、なおさらに好ましくは約75度未満の前進接触角を有する。
本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、眼に許容し得る表面湿潤性を有するレンズ本体を含む。例えば、本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体は、典型的に前面と後面を有し、各面が眼に許容し得る表面湿潤性を有する。
一実施態様では、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体は、シリコーンヒドロゲル材料を含む。レンズ本体は、抽出前のレンズ本体の乾燥質量の90%を超えない乾燥質量を有する。例えば、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物のレンズ本体がXという乾燥質量を有する。抽出手順後、該抽出された重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物のレンズ本体は、0.9X以下の乾燥質量を有する。上述したように、抽出工程中、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を数体積の複数の有機溶媒と接触させた後、水和工程によってシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを生成することができる。次に、水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを脱水かつ秤量して該シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体の乾燥質量を決定する。
例えば、ある方法では、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物をコンタクトレンズ型部材から脱レンズし、秤量して、該抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の乾燥質量を与える。次に、該抽出される前のレンズ生成物を約6時間アルコールと接触させてから水で水和させる。そして、水和したレンズを約80℃で約1時間乾燥させてから真空下で約80℃にて約2時間乾燥させる。乾燥したレンズを秤量してシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体の乾燥質量を決定する。次に、乾燥質量を比較して、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物中に存在する抽出可能な材料の量を決定する。約40%の抽出可能成分含量を有する、抽出される前の重合したレンズ生成物は、該抽出される前のレンズ生成物の約60%である乾燥質量を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体を生成する。約70%の抽出可能成分含量を有する、抽出される前の重合したレンズ生成物は、該抽出される前のレンズ生成物の約30%である乾燥質量を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体を生成する等である。
以下の方程式を用いて、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物中に存在する抽出可能物の量、つまり抽出可能成分含量を決定できる。
E=((抽出される前のレンズ生成物の乾燥質量−抽出されかつ水和したコンタクトレンズの乾燥質量)/抽出される前のレンズ生成物の乾燥質量)×100。
Eは、抽出される前のレンズ生成物中に存在する抽出可能物のパーセンテージである。
例えば、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は約20mgの乾燥質量を有し得る。当該生成物から得られたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約17mgの乾燥質量を有する場合、当該シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、抽出される前のレンズ生成物の乾燥質量の85%である乾燥質量を有するレンズ本体を含む。該抽出される前のレンズ生成物は約15%(w/w)の抽出可能成分含量を有すると解釈できる。別の例として、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物が約18mgの乾燥質量を有し、かつ該レンズ生成物から得られた脱水したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約13mgの乾燥質量を有する場合、該シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、抽出される前のレンズ生成物の約72%である乾燥質量を有するレンズ本体を含む。該抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は、約28%(w/w)の抽出可能成分含量を有する。
ある実施態様では、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ(すなわち、抽出及び水和手順を受けたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)の乾燥質量は、抽出前のレンズ本体の乾燥質量の40%より多い。例えば、抽出後のレンズ本体の乾燥質量は、抽出される前のレンズ本体の乾燥質量の約40%〜約90%であり得る。いくつかの実施態様の本レンズは、抽出される前のレンズ本体の乾燥質量の約50%〜約80%の乾燥質量を有するレンズ本体を含む。
本明細書で論じられるように、ポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分のないレンズ先駆組成物又は抽出される前のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物(例えば、“バルク製剤(bulk formulations)”から得られたレンズ生成物)から得られたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、該抽出される前のレンズ生成物中の抽出可能成分含量(例えば、レンズ本体のポリマー骨格、ネットワーク、又はマトリックスに架橋せず、或いはそうでなくてもそれらに関して固定されていない、抽出可能材料の線形の架橋していない、架橋している、又は分岐しているポリマー等の未反応試薬)が10%より多く、例えば、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%又はそれ以上である場合、眼に許容し得る表面湿潤性を有し得る。出願人は、先駆組成物又は重合した抽出される前のレンズ生成物に1以上の除去可能/抽出可能な添加剤を含めると、バルク製剤のレンズ生成物に比べて抽出可能成分含量を増やし、かつ結果として眼に許容し得る表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをもたらすことを発見した。
本発明の抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は相対的に大量の抽出可能材料を有するが、本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの抽出された形態は、その結果のレンズ本体中にほとんど抽出可能材料がない。ある実施態様では、抽出されたレンズ中に残存している抽出可能材料の量が約0.1%〜約4%、例えば約0.4%〜約2%(w/w)である。抽出されたコンタクトレンズを追加量の強力な溶媒、例えばクロロホルムと接触させることによって、これらのさらなる抽出可能材料を決定できる。
さらに、抽出可能成分は、重合可能なシリコーンヒドロゲルレンズ先駆組成物及び抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物中に存在し、かつそれらの全体に分布しているので、表面処理したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズから、本レンズ生成物及びコンタクトレンズを区別することができる。抽出可能成分はレンズ生成物から抽出可能であり、かつ水和したコンタクトレンズには実質的に存在しないので、ポリマー湿潤剤IPNを有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズから、本レンズ生成物及びコンタクトレンズを区別することができる。
本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、無極性樹脂のコンタクトレンズ型から得られるレンズ本体を含み得る。このレンズ本体は、水和及び脱水状態で調べた場合、実質的に同一の表面モルフォロジーを有する。さらに、このような水和したレンズ本体は、脱水したレンズ本体の表面粗さよりわずかに低い表面粗さを有し得る。例えば、本レンズのレンズ本体は、レンズ表面の二乗平均の平方根(RMS)粗さデータを分析すると明白なナノメーターサイズのピークを含む表面を有し得る。本レンズ本体は、低減した粗さを与えるが、実質的に同様の表面モルフォロジーを与えるためのピークに比し、差次的に膨潤するようなピーク間の領域を含み得る。例えば、レンズ本体が水和するとき、ピークの高さは減少し得るが、ピークの形状は実質的に同じままである。
さらに、又はこれとは別に、本発明の無極性樹脂の型から成形されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの実施態様は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、又は走査型透過電子顕徴鏡などの電子顕微鏡で調べた場合、視覚的に同一視できるケイ素リッチドメインとケイ素プアドメインを有するレンズ本体を含み得る。ケイ素プアドメインは、化学分析に基づいて実質的又は完全にケイ素がない、レンズ内の領域であると解釈される。ケイ素プアドメインは、表面処理したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ又はポリマー湿潤剤のIPNを含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ中の該ドメインより大きいかもしれない。通常の画像解析ソフトウェア及びデバイス、例えばBioquant(Tennessee)から入手可能な画像解析システムを用いて、ケイ素リッチドメイン、ケイ素プアドメイン、又は両ドメインの大きさを決定できる。画像解析ソフトウェアシステムを用いて、ケイ素リッチドメインとケイ素プアドメインの境界をはっきりさせ、かつ該ドメインの断面積、直径、体積などを決定することができる。ある実施態様では、ケイ素プアドメインは、他のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのケイ素プアドメインより、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%大きい断面積を有する。
典型的に、本レンズ本体は、眼に許容し得る表面湿潤性を与える表面処理がない。換言すれば、ある態様では、本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのレンズ本体は、非表面処理レンズ本体である。すなわち、本レンズ本体は、眼に許容し得る表面湿潤性を与えるためにレンズ本体を表面処理することなく製造される。例えば、図解のレンズ本体は、レンズ本体の表面をより眼に許容性にするために与えられるプラズマ処理又は追加のコーティングを含まない。しかし、本レンズは、抽出される前の重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物中に存在する除去可能材料の量によって、眼に許容し得る表面湿潤性を有するので、所望により、表面処理を含む実施態様もあり得る。
本レンズの特定の実施態様は、無極性樹脂のコンタクトレンズ型から得られるキャスト成形された要素であるレンズ本体を含む。重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は、無極性樹脂のコンタクトレンズ型内で重合又は硬化した生成物を意味する。或いは、別の言い方では、重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物は、無極性樹脂のコンタクトレンズ型内で製造される。本明細書で論じられるように、このようなコンタクトレンズ型は、無極性若しくは疎水性樹脂材料を用いて、又は該材料をベースとして製造される型である。このような材料は、典型的に、そのレンズ形成表面上で相対的に大きい接触角を有する。
本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズ装用者又はレンズ装用者群によって知覚されるコンタクトレンズの快適さを増強する1以上の快適増強剤(該増強剤のないシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに比べて快適さを増強する)をも含み得る。快適増強剤の例として、脱水低減剤、涙液膜安定剤、又は脱水を低減し、かつコンタクトレンズを置いた目の涙液膜を安定化する薬剤が挙げられる。このような快適増強剤は、水に対する親和性を有するポリマー材料を含む。特定の実施態様では、ポリマー材料が1以上の両親媒性基を含む。快適増強剤として使うのに適した材料の例として、重合可能なリン脂質、例えばホスホリルコリン成分を含む材料が挙げられる。ある実施態様では、先駆組成物はメタクリレートホスホリルコリンモノマーを含み、この場合、両親媒性材料であるホスホリルコリンは、結果として生じる架橋ネットワークに含まれる。
本明細書で論じられるように、レンズ先駆組成物及び抽出される前のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物に1以上の除去可能な快適増強剤を含めることによって、本シリコーンヒドロゲルレンズの快適さを増強することもできる。例えば、本明細書で述べた除去可能材料のいくつかは、該除去可能材料のない同一組成物から得られるレンズに比べて本レンズのイオノフラックスを低減する薬剤を含む。レンズのイオノフラックスを低減すると、レンズ装用者の角膜の脱水を低減し、またレンズ装用が原因となる角膜の染色を低減するのに役立ち得る。
本明細書で論じられるように、本レンズは、装用者がレンズを長時間装用できるような特徴と特性を有する。例えば、1日装用レンズ、1週間装用レンズ、2週間装用レンズ、又は1カ月装用レンズとして本レンズを装用することができる。本レンズは、レンズの快適さ及び有用性に寄与する表面湿潤性、モジュラス、イオノフラックス、酸素透過性、及び含水量を有する水和したレンズ本体を含む。特定の実施態様では、本レンズは、約95度未満の前進接触角、約1.6MPa未満の引張りモジュラス、約7×10-3mm2/分未満のイオノフラックス、少なくとも約70バレルの酸素透過性(Dk)、少なくとも約30質量%の含水量、及びその組合せから成る群より選択される特徴を有する水和したレンズ本体を含む。しかし、他の実施態様では、イオノフラックスは7×10-3mm2/分より大きくてよく、それでも角膜の脱水染色又は他の臨床的な問題を起こさない。
本レンズは、120度未満の、前面、後面、又は前面と後面の前進接触角を有する水和したレンズ本体を含み得る。特定の実施態様では、レンズ本体は、90度未満のレンズ表面の前進接触角を有し、例えば、レンズ本体は、約85度、約80度、約75度、約70度、約65度、約60度、約55度、又は約50度のレンズ表面の前進接触角を有する。レンズ本体は、80度未満のレンズ表面の後退接触角を有してもよく、例えば、レンズ本体は約75度、約70度、約65度、約60度、約55度、約50度、又は約45度のレンズ表面の後退接触角を有し得る。ヒステリシス、すなわち、前進接触角と後退接触角の差は、約5度〜約35度でよい。しかし、特定の実施態様では、ヒステリシスは25度より大きく、それでもなお臨床的に許容性であり得る。
当業者に公知の日常的な方法で前進接触角を決定できる。例えば、通常の液滴形状法、例えば静滴法(sessile drop method)又はキャプティブバブル法を用いてコンタクトレンズの前進接触角と後退接触角を測定できる。Kruss DSA 100機器(Kruss GmbH, Hamburg)を用いて、また、以下の文献に記載されているように、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前進接触角と後退接触角を決定できる(D. A. Brandreth: "Dynamic contact angles and contact angle hysteresis", Journal of Colloid and Interface Science, vol. 62, 1977, pp. 205-212 and R. Knapikowski, M. Kudra: Kontaktwinkelmessungen nach dem Wilhelmy-Prinzip-Ein statistischer Ansatz zur Fehierbeurteilung", Chem. Technik, vol. 45, 1993, pp. 179-185, 及び米国特許第6,436,481号)。
例として、リン酸緩衝食塩水(PBS; pH=7.2)を用いるキャプティブバブル法で前進接触角と後退接触角を決定することができる。試験前に、石英面上でレンズを平板化し、10分間PBSで再び水和させる。自動注入システムを用いて空気泡をレンズの表面上に置く。空気泡サイズを増減して後退角(泡サイズを増やすと得られるプラトー)及び前進角(泡サイズを減らすと得られるプラトー)を得ることができる。
本レンズは、さらに又はこれとは別に、5秒より長い水のブレイクアップ時間(BUT)を示すレンズ本体を含み得る。例えば、少なくとも15秒、例えば20秒以上の水のBUTを有するレンズ本体を含む本レンズの実施態様は、眼に許容し得る表面湿潤性を有し得る。
本レンズは、1.6MPa未満のモジュラスを有するレンズ本体を含み得る。特定の実施態様では、レンズ本体のモジュラスは1.0MPa未満である。例えば、本レンズ本体は、約0.9MPa、約0.8MPa、約0.7MPa、約0.6MPa、約0.5MPa、約0.4MPa、又は約0.3MPaのモジュラスを有し得る。好ましくは、本発明のレンズ本体のモジュラスは約0.4〜約0.8MPa、なおさらに好ましくは約0.4〜約0.6MPaの範囲である。一実施態様では、レンズ本体は約0.4〜0.5MPaのモジュラスを有する。本レンズ本体のモジュラスを選択して、目に置いたときに快適なレンズを与え、かつレンズ装用者によるレンズの取扱いに適応させる。
当業者に公知の日常的な方法を用いて、レンズ本体のモジュラスを決定できる。例えば、レンズの中心部から約4mm幅のコンタクトレンズ片を切り抜き、Instron 3342 (Instron Corporation)を用いて、25℃で少なくとも75%の湿度の空気中で10mm/分の速度にて引張り試験によって得られる応力-歪み曲線の初期勾配から引張りモジュラス(単位;MPa)を決定することができる。
【0039】
本レンズのレンズ本体のイオノフラックスは、典型的に約5×10-3mm2/分未満である。本レンズのいくつかのレンズ本体は約7×10-3mm2/分までのイオノフラックスを有し得るが、イオノフラックスが約5×10-3mm2/分未満で、かつ該コンタクトレンズがMPCを含まないとき、角膜の脱水染色が低減し得ると考えられる。ある実施態様では、レンズ本体のイオノフラックスは約4.5×10-3mm2/分、約4×10-3mm2/分、約3.5×10-3mm2/分、約3×10-3mm2/分、又はそれ未満である。しかし、本明細書で述べるように、イオノフラックスが7×10-3mm2/分より大きくてもよく、それでもなお角膜の脱水染色又は他の臨床的問題は起こらない。
当業者に公知の日常的方法を用いて、本レンズのレンズ本体のイオノフラックスを決定できる。例えば、米国特許第5,849,811号に記載されている“イオノフラックス技術”と実質的に同様の技術を用いてコンタクトレンズ又はレンズ本体のイオノフラックスを測定できる。例えば、測定すべきレンズを、雄型部分と雌型部分の間のレンズ保持デバイス内に置くことができる。雄型部分と雌型部分は、レンズとそれぞれの雄型部分と雌型部分の間に位置づけられるフレキシブルな封止リングを含む。レンズ保持デバイス内でレンズを位置づけした後、レンズ保持デバイスをネジ付き蓋内に置く。蓋をガラス管上にネジで締めてドナーチャンバーを画定する。ドナーチャンバーを16mlの0.1モル濃度のNaCl溶液で満たすことができる。受けチャンバーを80mlの脱イオン水で満たすことができる。伝導率測定器の導線を受けチャンバーの脱イオン水に浸し、撹拌棒を受けチャンバーに加える。受けチャンバーをサーモスタット内に置いて温度を約35℃で保持する。最後に、ドナーチャンバーを受けチャンバー内に浸す。ドナーチャンバーの受けチャンバーへの浸漬10分後に開始し、2分毎に約20分間伝導率の測定を行うことができる。伝導率対時間のデータは実質的に線形であろう。
本レンズのレンズ本体は、典型的に高い酸素透過性を有する。例えば、レンズ本体は、60バレルに劣らないDkの酸素透過性を有する。本レンズの実施態様は、約80バレル、約90バレル、約100バレル、約110バレル、約120バレル、約130バレル、約140バレル、又はそれ以上のDkを有するレンズ本体を含む。
当業者に公知の日常的な方法を用いて本レンズのDkを決定できる。例えば、米国特許第5,817,924号に記載されているようなMocon法を用いてDk値を決定できる。Mocon Ox-Tran Systemのモデル選定下で市販機器を用いてDk値を決定することができる。
本レンズは、眼に許容し得る含水量を有するレンズ本体をも含む。例えば、本レンズの実施態様は、30%に劣らない含水量を有するレンズ本体を含む。ある実施態様では、レンズ本体は約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、又は約65%の含水量を有する。
当業者に公知の日常的な方法を用いて本レンズの含水量を決定できる。例えば、水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを水性液から取り出し、拭いて表面の過剰な水を除去して秤量することができる。秤量したレンズを真空下80℃の乾燥器内で乾燥させてから乾燥レンズを秤量することができる。水和レンズの重量から乾燥レンズの重量を引いて重量差を決定することができる。含水量(%)は(重量差/水和重量)×100である。
【0040】
上で同定した特有の値に加え、本レンズは、上記同定した特有の値のいずれかの組合せ間の範囲の値を有し得る。例えば、本コンタクトレンズは約45%〜約55%の含水量、約3〜約4のイオノフラックス値、約35度〜約45度の静的接触角、約55度〜約80度の前進接触角、約47〜約55度の後退接触角、約11度〜約25度のヒステリシス、約0.47MPa〜約0.51MPaのヤングモジュラス、約140%〜約245%の伸び率、及びその組合せを有し得る。
本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのいくつかの特有の実施態様では、レンズ本体は0.5MPa未満のモジュラス、4未満のイオノフラックス、及び約42〜46%の含水量を有する。
本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、視力補正又は視力強化コンタクトレンズである。レンズは球面レンズ又は非球面レンズでよい。レンズは単焦点レンズ又は二焦点レンズといった多焦点レンズでよい。ある実施態様では、本レンズは回転的に安定化されたレンズ、例えば回転的に安定化されたトーリックコンタクトレンズである。回転的に安定化されたコンタクトレンズは、バラストを含むレンズ本体を含むコンタクトレンズでよい。例えば、レンズ本体はプリズムバラスト、ペリバラスト、及び/又は1以上の薄化した上領域及び下領域を有し得る。
本レンズは、周縁領域を含むレンズ本体をも含む。周縁領域は丸みのある部分を含み得る。例えば、周縁領域は、丸みのある後縁面、丸みのある前縁面、又はその組合せを含み得る。特定の実施態様では、周縁は、前面から後面へ完全に丸くなっている。従って、本レンズのレンズ本体は丸みのある周縁を含み得ると解釈できる。
【0041】
本レンズは、現存のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに付随する問題を処理するが、それでもレンズ装用者に快適な厚さプロフィールを有するレンズ本体を含み得る。レンズ本体の厚さとレンズ本体のモジュラスを変えることによって、レンズ本体の剛性を調節することができる。例えば、コンタクトレンズの一領域の剛性は、レンズのヤングモジュラスと、指定領域におけるレンズの厚さの二乗の積として定義される。従って、本レンズの特定の実施態様は、約0.007MPa-mm2未満の中心剛性(例えば、レンズの中心又は視覚ゾーンの中心における剛性)、約0.03MPa-mm2未満のレンズ核接合点の剛性、又はその組合せを含み得る。レンズ核接合点は、レンズ核ゾーンとベベルの接合点として、或いはベベルのないレンズでは、レンズ縁から約1.2mmの点として定義される(米国特許第6,849,671号参照)。他の実施態様では、本レンズは、0.007MPa-mm2より高い中心剛性、約0.03MPa-mm2より高いレンズ核接合点の剛性、又はその組合せを含み得る。
【0042】
理想的に、本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズ間又はレンズのバッチ間で物理的寸法などの物理的パラメーターの可変性がほとんどない。例えば、ある実施態様では、連鎖移動剤などの添加剤を重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物に添加して、レンズの物理的属性の可変性を減らす。このような物理的パラメーター調節添加剤を用いると、レンズのいずれの2バッチ間の可変性も好ましくは2%未満である。例えば、本レンズの1以上のバッチの可変性は、約0.5%〜約1.9%でよい。例えば、本レンズの直径及びベースカーブを所定値の1.6%以内に調節することができる。さらに詳しくは、目標のコンタクトレンズ径が14.0mmの場合、かつコンタクトレンズのバッチ内のコンタクトレンズの実際の直径が約13.6mm〜約14.4mmで変化する場合、コンタクトレンズの製造の際に1以上の添加剤を用いて、可変性を減らして、約13.8mm〜約14.2mmの範囲の直径を有するコンタクトレンズを製造することができる。同様の調節を施して、レンズ厚、矢状深さ、基本曲率などの変化を低減することができる。
シールパッケージ内で本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供し得る。例えば、シールブリスターパック又はレンズ装用者への送達に好適な他の同様の容器で本シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供し得る。パッケージ内で、食塩水などの水溶液中にレンズを貯蔵し得る。いくつかの好適な溶液として、リン酸緩衝食塩水及びホウ酸緩衝液が挙げられる。溶液は、所望により殺菌剤を含んでよく、或いは殺菌剤又は保存剤がなくてよい。溶液は、所望によりポロキサマー等の界面活性剤を含んでもよい。
シールパッケージ内のレンズは、好ましくは無菌である。例えば、パッケージをシールする前にレンズを滅菌してよく、或いはシールパッケージ状態で滅菌することができる。滅菌レンズは、滅菌量の放射線にさらしたレンズでよい。例えば、レンズは、オートクレーブ処理したレンズ、γ照射したレンズ、紫外線にさらしたレンズ等でよい。
【0043】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明の特定の局面及び利点を説明するが、本発明は、決して後述する特定の実施態様に限定されるものとみなされない。
本発明の実施は、特に断らない限り、ポリマーの合成、ヒドロゲルの形成など、当業者のスキル内である通常の技術を利用する。このような技術は、文献で完全に説明されている。逆に明確に述べていない限り、試薬及び材料は商業的に入手可能である。
コンタクトレンズ、例えば、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法は、以下の文献に記載されている:米国特許第4,121,896号;第4,495,313号;第4,565,348号;第4,640,489号;第4,889,664号;第4,985,186号;第5,039,459号;第5,080,839号;第5,094,609号;第5,260,000号;第5,607,518号;第5,760,100号;第5,850,107号;第5,935,492号;第6,099,852号;第6,367,929号;第6,822,016号;第6,867,245号;第6,869,549号;第6,939,487号;並びに米国特許公開第20030125498号;第20050154080号;及び第20050191335号。
以下の実施例では、使用する数(例えば、量、温度など)について精度を保証するため努力したが、何らかの実験の誤差及び偏差を考慮すべきである。特に断らない限り、温度は摂氏(℃)で、圧力は海水面における大気圧又は大気圧の近傍である。
実施例では以下の周知の化学薬品について言及するが、時には、以下に示すその略語で表すこともある。
【0044】
〔材料と方法〕
略語
AE:アリルオキシエタノール
DI:脱イオン
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
IPA:イソプロピルアルコール
MMA:メチルメタクリレート
M3U:M3-U;α-ω-ビス(メタクリロイルオキシエチルイミノカルボキシエチルオキシプロピル)-ポリ(ジメチルシロキサン)-ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)-ポリ(ω-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)プロピルメチルシロキサン);ジメタクリロイル シリコーン含有マクロマー
以下の実施例で使うM3Uは下記式で表され、式中、nは121、mは7.6、hは4.4、pは7.4、Mn=12,800、かつMw=16,200である(Asahikasei Aime Co., Ltd., Japan)。
【0045】
【化8】


【0046】
M3U Tint:M3U(%w/w)中のβCu-フタロシアニンの分散系。Cu-フタロシアニンは、BASFからHeliogen Blue K7090として入手可能である。
N,N-DMF:DMF;N,N-ジメチルホルムアミド
NVP:1-ビニル-2-ピロリドン(真空下で新たに蒸留した)
PDMS:ポリジメチルシロキサン
PDMS-co-PEG:ポリジメチルシロキサンと75%のPEGを含有するPEGとのブロックコポリマーで、600のMW(GelestのDBE712)
PEG:ポリエチレングリコール
PP:プロピルプロピレン
Pr:プロパノール
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
TPO:ビフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
TPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
UV416:2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート
VAZO-52:2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)(V-52;熱開始剤)
VAZO-64:アゾ-ビス-イソブチロニトリル(V-64;熱開始剤)
VMA:N-ビニル-N-メチルアセトアミド(真空下で新たに蒸留した)
VM:ビニルメタクリレート
【0047】
〔レンズ生成物の特徴づけ方法〕
前進接触角/後退接触角:当業者に公知の日常的な方法を用いて前進接触角を決定できる。例えば、静滴法及びキャプティブバブル法等の通常の液滴形状法を用いて、本明細書で提供されるコンタクトレンズの前進接触角と後退接触角を測定できる。Kruss DSA 100機器(Kruss GmbH, Hamburg)を用いて、また以下の文献に記載されているようにシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前進接触角と後退接触角を決定できる(D. A. Brandreth: "Dynamic contact angles and contact angle hysteresis", Journal of Colloid and Interface Science, vol. 62, 1977, pp. 205-212 and R. Knapikowski, M. Kudra: Kontaktwinkelmessungen nach dem Wilhelmy-Prinzip-Ein statistischer Ansatz zur Fehierbeurteilung", Chem. Technik, vol. 45, 1993, pp. 179-185, 及び米国特許第6,436,481号)。
例として、リン酸緩衝食塩水(PBS; pH=7.2)を用いるキャプティブバブル法で前進接触角と後退接触角を決定することができる。試験前に、石英面上でレンズを平板化し、10分間PBSで再び水和させる。自動注入システムを用いて空気泡をレンズの表面上に置く。空気泡サイズを増減して後退角(泡サイズを増やすと得られるプラトー)及び前進角(泡サイズを減らすと得られるプラトー)を得ることができる。
モジュラス:当業者に公知の日常的方法を用いてレンズ本体のモジュラスを決定できる。例えば、レンズの中心部から約4mm幅のコンタクトレンズ片を切り抜き、Instron 3342 (Instron Corporation)を用いて、25℃で少なくとも75%の湿度の空気中で10mm/分の速度にて引張り試験によって得られる応力-歪み曲線の初期勾配から引張りモジュラス(単位;MPa)を決定することができる。
イオノフラックス:当業者に公知の日常的方法を用いて、本レンズのレンズ本体のイオノフラックスを決定できる。例えば、米国特許第5,849,811号に記載されている“イオノフラックス技術”と実質的に同様の技術を用いてコンタクトレンズ又はレンズ本体のイオノフラックスを測定できる。例えば、測定すべきレンズを、雄型部分と雌型部分の間のレンズ保持デバイス内に置くことができる。雄型部分と雌型部分は、レンズとそれぞれの雄型部分と雌型部分の間に位置づけられるフレキシブルな封止リングを含む。レンズ保持デバイス内でレンズを位置づけした後、レンズ保持デバイスをネジ付き蓋内に置く。蓋をガラス管上にネジで締めてドナーチャンバーを画定する。ドナーチャンバーを16mlの0.1モル濃度のNaCl溶液で満たすことができる。受けチャンバーを80mlの脱イオン水で満たすことができる。伝導率測定器の導線を受けチャンバーの脱イオン水に浸し、撹拌棒を受けチャンバーに加える。受けチャンバーをサーモスタット内に置いて温度を約35℃で保持する。最後に、ドナーチャンバーを受けチャンバー内に浸す。ドナーチャンバーの受けチャンバーへの浸漬10分後に開始し、2分毎に約20分間伝導率の測定を行うことができる。伝導率対時間のデータは実質的に線形であろう。
酸素透過性:当業者に公知の日常的な方法を用いて本レンズのDkを決定できる。例えば、米国特許第5,817,924号に記載されているようなMocon法を用いてDk値を決定できる。
Mocon Ox-Tran Systemのモデル選定下で市販機器を用いてDk値を決定することができる。
平衡含水量:当業者に公知の日常的な方法を用いて本レンズの含水量を決定できる。例えば、水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを水性液から取り出し、拭いて表面の過剰な水を除去して秤量することができる。秤量したレンズを真空下80℃の乾燥器内で乾燥させてから乾燥レンズを秤量することができる。水和レンズの重量から乾燥レンズの重量を引いて重量差を決定することができる。含水量(%)は(重量差/水和重量)×100である。
【0048】
〔実施例1〕
低モジュラスの重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の調製:
以下で指定する試薬と相対量を用いて、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を調製した。この製剤は、結果として生じる水和したコンタクトレンズ製品が低モジュラスのため、本明細書では“低モジュラス製剤”又は“LMF”と呼ばれる。
【0049】


【0050】
表1中の成分を秤量し、混合して混合物を形成した。混合物を0.2〜20.0ミクロンのシリンジフィルターでろ過してビンに入れ、約2週間まで貯蔵した。(本明細書では、この混合物を重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物と呼ぶ)。表1では、各化合物のそれぞれの質量パーセント(質量ベースで質量について表される;w/w)に加え、単位量を与えた。
最終的なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズでは、各化学成分の重量パーセントは、対応する質量パーセントよりむしろ先駆組成物中に存在する単位量に密接に関係する。
【0051】
〔実施例2〕
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製作:
実施例1の一定体積の先駆組成物を、吸引/窒素フラッシュ手順を繰り返して脱気した。脱気した先駆組成物を雌型の無極性樹脂の型部材に入れた。この充填された雌型の型部材を、タイトフィットを達成するために望ましい圧力で無極性樹脂の雄型の型部材と接触させて置くことによって閉じた。次に、窒素バッチオーブン内で以下のサイクルにて硬化を行った:室温で30分のN2パージ、55℃で30分及び80℃で60分。コンタクトレンズ型の雌型の型部材を打ち抜くことで離型を行ったので、雄型の型部材に重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが付着した状態でコンタクトレンズ型から雄型の型部材が剥離された。フロートオフ(float off)法により、又は機械的な脱レンズ装置を用いて脱レンズを行った。フロートオフ法は、乾燥レンズを含有する雄型の型部材をバケットの水に浸漬する工程を含む。典型的に、約10分でレンズが型からはずれる。機械的な脱レンズは、重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物が付着している雄型の型部材を圧縮かつ回転させ、コンタクトレンズ生成物と回転している雄型の型部材との間にガスを向け、コンタクトレンズ生成物の露出面を吸引することによって行った。分離したレンズを抽出及び水和用のプラスチックトレイ上に装填した。
重合したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物を含有するレンズトレイを溶媒液、例えば95%のエチルアルコールと5%のメタノールを含有する工業用メチル化アルコール類(indsutrial methylated spirit)(IMS)に室温で45分間浸した。次に、溶媒を排出して新鮮なIMSと交換し、IMS(3×)、1:1のアルコール/水(3×)、及びDI水(3×)でプロセスを繰り返した。
水和したレンズを、DI水又はpHが7.1〜7.5のリン酸緩衝食塩水を含有するガラスバイアル又はブリスターパッケージ内に貯蔵した。封止した容器を120℃で30分間オートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の24時間後にレンズを測定した。
結果の水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを秤量してから乾燥器内で脱水させて再び秤量し、脱水したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの乾燥質量を決定した。
動的接触角と静的接触角といった接触角、酸素透過性、イオノフラックス、モジュラス、伸び率、引張り強さ、含水量等のレンズの特性を本明細書で述べる通りに決定した。レンズに対する水のブレイクアップ時間を測定することによって、水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの湿潤性も調べた。
コンタクトレンズを人の目に1時間、3時間、又は6時間以上置いてから臨床的な評価を行う予製(dispensing)研究の際に、眼の適合性についてさらに調べた。
本製剤から得られたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、眼に許容し得る表面湿潤性を有した。これらシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは44±2%の平衡含水量(EWC)を有し、48.9±0.7%の抽出可能含量を有することが分かった。
結果の水和したコンタクトレンズは以下の特性を有した。
【0052】


【0053】
最終的なレンズでは、抽出手順後、すべてではないがほとんどのシリコーン油が未反応モノマー又は線形ポリマー成分と一緒に抽出された。本実施例では、抽出後にシリコーン油は検出されなかった。
臨床評価のため、レンズの一連のバッチを調製した。実施例1で述べた通りの先駆組成物からレンズを調製した。レンズのバッチを特徴づけすると、以下の特性を有していた。
【0054】





【0055】


【0056】
上表中、GPC値は、抽出及び水和後の残存除去可能成分含量の相対示度である。抽出及び水和後の残存/抽出可能成分の総含量は、抽出されたコンタクトレンズを前に接触させるために用いた最終抽出溶媒としてクロロホルムを用いて約0.4〜約2%の範囲だった。各セットのレンズについて、3〜5回の反復実験サンプルを測定した。
〔実施例3〕
微調整された低モジュラスの重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の調製:
以下に指定した試薬と量を用いて、重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を調製した。この製剤は、結果として生じる水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品のモジュラスが低く、かつバッチ間の変化が低いため、本明細書では“微調整された低モジュラスの製剤(microtuned low modulus formulation)”又は“MLMF”と呼ばれる。






【0057】


*AE対シリコーン油の比率は0.1〜5部のAE対99.9〜95部のシリコーン油
の範囲である。
計:125.17部
【0058】
上表4中の成分を秤量かつ混合して混合物を形成する。混合物を0.2〜5.0ミクロンのシリンジフィルターを介してろ過してビンに入れ、約2週間まで貯蔵する。
この先駆組成物は、シリコーン油成分にAEを含めた点で実施例1に記載の先駆組成物と異なる。AEは、本先駆製剤に含まれる他の化学試薬と混合する前にシリコーン油に添加され、有利には、結果として生じる水和したコンタクトレンズ製品の寸法及び物理的特性の可変性を減らすために働く。
コンタクトレンズの製剤は、本質的に上記実施例2の通りに行う。結果として生じる水和したコンタクトレンズは、以下の利点、すなわち、レンズ径、EWC、及びイオノフラックスのいずれか1以上の可変性が、AEなしで調製した製剤におけるより典型的に低いことを除き、実施例2で述べたレンズの物理的特性と同様の物理的特性を有する。
【0059】
〔実施例4〕
可変量のアリルオキシエタノールを含有する、微調整された低モジュラスの重合可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の調製及び結果として生じるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物の特徴:
以下の実験を行って、シリコーン油に可変量のアリルオキシエタノールを添加することによって、最終的な抽出された水和したコンタクトレンズ生成物の寸法と物理的特性のバッチ変化を減らす効果についてさらに調査した。
実施例1及び3で述べた通りにモノマー混合物(重合可能なシリコーンヒドロゲル先駆組成物)を調製した。この製剤の成分は、抽出可能なシリコーン油成分が、任意に、シリコーン油中に種々の量、すなわち0、2、4、及び6%のアリルオキシエタノールを含有することを除き、上記実施例1と同じだった。製剤の詳細を下表4及び5に提供する。シリコーン油(Gelest)の3種の異なる各ロットに種々の量のアリルオキシアルコールを加えた。
モノマー混合物をろ過かつ脱気し、雌型のポリプロピレンコンタクトレンズの型部材のレンズ形成面上に施し、雄型の型部材を雌型の型部材とかみ合わせて、コンタクトレンズ形状のキャビティ内にモノマー混合物を含有するコンタクトレンズ型を形成した。この工具(tooling)のEF(膨張係数)は約1.1%であり、又はスチール製のコンタクトレンズ型インサートの外径は約14.3mmだった。バッチオーブン内、N2下で硬化を行った。典型的に、充填された型をN2バッチオーブン内に置き、N2で30分間パージして酸素レベルを1000ppm未満に下げた後、まず55℃に30分間加熱後、80℃に60分間加熱した。

【0060】
表5.
種々のAE濃度の25℃の製剤


*アリルオキシエタノールのパーセンテージ(%AE)は、シリコーン油に
含まれるアリルオキシエタノールの質量パーセンテージを表す。
【0061】
表6
種々濃度のアリルオキシエタノールを有する25Cの製剤


【0062】
硬化後、ベンチトップ(bench-top)離型機で離型及び脱レンズを行った。すべての製剤のレンズが良い離型/脱レンズ特性を示した。
乾燥レンズをポリプロピレントレイに装填し、それぞれ約30分の逐次的なエタノール、エタノール-水、及び水の洗浄サイクルを用いて抽出及び水和し、熱水と接触させた。抽出され、かつ水和したレンズを、界面活性剤を含むpH 7.2のPBS緩衝液を含有するバイアルに入れてオートクレーブ処理した。
オートクレーブ処理の1日後にレンズを測定かつ検査した。直径、ベースカーブ、平衡含水量、静的及び動的接触角、引張り特性(モジュラス、引張り強さ及び伸び率)、並びにイオノフラックスといった、寸法及び物理的特性について、ゆがんでいないレンズだけ測定した。
〔結果〕
(i)結果として生じる抽出された/水和したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ生成物のバッチ間の変化を減少させるため、及び(ii)所望の寸法及び物理的特性を有するコンタクトレンズを提供するための手段として、種々の量のアリルオキシエタノールをシリコーン油の添加を調査した。
抽出された水和したコンタクトレンズのオートクレーブ処理後の直径と物理的特性を表7に示す。直径、平衡含水量、及びイオノフラックスとアリルオキシエタノール含量との関係をそれぞれ図4、5及び6に示す。






































【0063】


【0064】
図3に示されるように、25部のシリコーン油/AE混合物を3種のすべての製剤(系列A1、B1、及びC1)で用い;混合物中のAEの含量が増えるとレンズ径が減少した。各系列は、所定ロットのシリコーン油(各系列A1、B1、及びC1で使用するシリコーン油は異なる)から調製されたコンタクトレンズに対応する。
A系列は系列B又はCより大きいレンズを生成した。AEを添加しない系列Aのシリコーン油を用いた25Cレンズの初期臨床試験は、相対的に高い脱水染色率を有するレンズをもたらしたが、系列Cのシリコーン油製のレンズは、より満足できる(より低い)脱水染色率を有した。従って、理想的に、レンズのさらに望ましい臨床特性を達成するため、系列Aのシリコーン油のロットの効力を高めなければならないことを決定した(ポリアルキレンオキシドシリコーン、例えばシリコーン油の特定バッチの効力は、与えられた濃度において、使用したコンタクトレンズ型の直径より減少した直径を有する最終的な抽出された水和したレンズ製品をもたらすその能力とみなされる。最終的なレンズ製品のレンズ径の減少が大きいほど、ポリアルキレンオキシドシリコーンの効力が高い。特に好ましくは、使用したコンタクトレンズ型の直径の0.98〜1.02の範囲の直径を有する最終的なレンズ製品をもたらすシリコーン油である)。例えば、図3を参照すると、4%のAEを系列Aのシリコーン油に添加すると、アリルオキシエタノールの添加前の系列Cのシリコーン油のロットの結果として生じるレンズ径と本質的に同じレンズ径となる。
表6と、それぞれ図4及び図5のグラフで示されるように、EWC%及びイオノフラックス等の特性について同様の傾向が観察された。
従って、本実施例で用いた典型的なアリルオキシエタノール等の連鎖移動試薬をポリアルキレンオキシドシリコーン抽出可能成分に添加すると、先駆組成物の能力を細かく調整、つまり“微調整”して、同様の有利な物理的特性を有する最終的なシリコーンコンタクトレンズ製品を提供するために有効である。特に好ましくは、約40〜50%の範囲の平衡含水量、約2〜約5の範囲のイオノフラックス、及び約1.2Mpaのモジュラスを有する、抽出された水和したコンタクトレンズである。
前述したように、4%のAEを添加することによって、SOの5Lバッチを調整することができる。SOバッチ10627及び11038に関しては、既に効力が高いので、微調整のため0.1%だけAEを添加する。この微調整の概念をさらに例証するため、SO 5Lバッチには4%のAEを添加し、SO 10627バッチには0.1%のAEを添加した。表5に示されるように、M3Uの2バッチを用いて、20、23、26、及び29部の微調整されたSO(又はSO/AE混合物)を有する25Cレンズを作製した。レンズの特性を下表8に列挙する。





















【0065】
表8. AE-SOの種々の装填によるレンズの特性


【0066】
レンズ径とSOレベルの関係を図6及び7に示す。レンズ径は、主にSOの希釈効果のため、SO装填の増加によって減少する。希釈剤装填が高くなるほど、抽出時に除去される物質の量が増えるので、最終的なレンズの直径が小さくなる。20%と29%のシリコーン油の装填レベルについての直径のデータに基づき、この2つの微調整されたシリコーン油の効力がほとんど同一であることが分かる。これらの結果は、4%のAEのシリコーン油抽出可能成分への添加は、典型的な抽出可能成分、SO 5Lを“微調整”又は細かく調整し、0.1%のAEしか含まないSO 10627の効力と調和させるのに有効であることを実証している。
ここで、典型的なフルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマー、M3Uに注意を向けると、我々のデータは、M3Uの種々のバッチでは約0.2mm以内でレンズ径が変化することを示している。図6及び7で分かるように、D対%SOの勾配は、ほぼ-0.06mm/%SOである。同様の直径を有するレンズを提供するため、このデータを外挿して、約25%±4%のSO(調整前)含量を選択するだろう。
表6に列挙したすべての25C製剤について平衡含水量に対する直径とイオノフラックスの一般的な関係を図8に示す。図8を見ると、直径と含水量の間、またイオノフラックスと含水量の間にも強い関係が存在することが分かる。従って、この図に基づき、一般的に平衡含水量に基づいてイオノフラックスを予測できると考えられる。
【0067】
この発明に関係する当業者には、上記説明で提供した教示の利益を有する本発明の多くの変形及び他の実施態様が思い浮かぶだろう。従って、本発明は、それ自体例として提供された、本明細書で開示される特定の実施態様に限定されないものと解釈すべきである。典型的な実施態様について議論しているが、上記詳細な説明の意図は、さらなる開示によって定義される通りの本発明の精神及び範囲内である限り、前記実施態様のすべての変形、代替物、及び均等物を包含するものと解釈すべきである。本明細書では、特有の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的意味で使用しただけであり、限定目的のためではない。
本明細書では、多くの刊行物及び特許を引用している。引用した各刊行物及び特許は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの典型的な製造方法を示すブロック図である。
【図2】本発明の組成物、レンズ生成物及びコンタクトレンズを示すブロック図である。
【図3】実施例4で述べるように、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成するための抽出可能成分として使用するポリアルキレンオキシドシリコーン中のアリルオキシエタノール含量を増やす効果対、その結果として生じる抽出された水和したオートクレーブ処理後のコンタクトレンズ生成物の直径を示すグラフである。
【図4】実施例4で述べるように、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成するための抽出可能成分として使用するポリアルキレンオキシドシリコーン中のアリルオキシエタノール含量を増やす効果対、その結果として生じる抽出された水和したオートクレーブ処理後のコンタクトレンズ生成物の平衡含水量を示すグラフである。
【図5】実施例4で述べるように、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成するための抽出可能成分として使用するポリアルキレンオキシドシリコーン中のアリルオキシエタノール含量を増やす効果対、その結果として生じる抽出された水和したオートクレーブ処理後のコンタクトレンズ生成物のイオノフラックスを示すグラフである。
【図6】実施例4で述べるように、特定のフルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマー(貯蔵寿命3MU)を使用したときの抽出された水和したコンタクトレンズの直径(mm)対、重合可能な先駆組成物中の典型的なポリアルキレンオキシドシリコーン/アリルオキシエタノール抽出可能成分のパーセントの関係を示すグラフである。
【図7】実施例4で述べるように、特定のフルオロ含有ジメタクリロイルシリコーンマクロマー(黄色3MU)を使用したときの抽出された水和したコンタクトレンズの直径(mm)対、重合可能な先駆組成物中の典型的なポリアルキレンオキシドシリコーン/アリルオキシエタノール抽出可能成分のパーセントの関係を示すグラフである。
【図8】ポリアルキレンオキシドシリコーン/アリルオキシエタノール抽出可能成分のパーセントを変えたときの種々系列の重合可能な先駆組成物から製造された最終的な抽出された水和したコンタクトレンズ生成物中の平衡含水量と、直径及びイオノフラックスのそれぞれとの一般的関係を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】507207753
【氏名又は名称】クーパーヴィジョン インターナショナル ホウルディング カンパニー リミテッド パートナーシップ
【出願日】 平成19年6月15日(2007.6.15)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤

【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治

【識別番号】100114007
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 孝二


【公開番号】 特開2008−3612(P2008−3612A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−183695(P2007−183695)