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【発明の名称】 光コネクタ清掃工具
【発明者】 【氏名】藤原 邦彦

【要約】 【課題】小型化が可能であり、しかも製造コスト低減が可能な光コネクタ清掃工具を提供する。

【構成】開口部15を有するケース10と、開口部15に挿通するヘッド部材20とを備えた光コネクタ清掃工具1。ヘッド部材20は、開口部15を通してケース10から突出する突出部21を有する。突出部21は、フェルール60の接合端面62に向かい合う先端面23aを有するヘッド体23と、基部24とを備えている。基部24には、清掃テープ2が脱落するのを防ぐ脱落防止部28が形成され、脱落防止部28によって、清掃テープ2がヘッド体23に保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルール(60)の接合端面(62)を、清掃テープ(2)の運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
開口部(15)を有するケース(10)と、前記開口部に挿通するヘッド部材(20)とを備え、
前記ヘッド部材が、前記開口部を通して前記ケースから突出する突出部(21)を有し、
前記突出部が、前記接合端面に向かい合う先端面(23a)を有するヘッド体(23)と、前記ヘッド体の前記先端面とは反対側に連結された基部(24)とを備え、
前記基部には、前記清掃テープが脱落するのを防ぐ脱落防止部(28)が形成され、前記脱落防止部によって、前記清掃テープが前記ヘッド体に保持されることを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。
【請求項2】
前記脱落防止部は、厚さ方向に間隔をおいて配置された一対の側壁部であり、前記側壁部間の空間(S)には、前記清掃テープが通るようにされていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項3】
前記一対の側壁部には、一方から他方にかけて、前記清掃テープの外面側に位置するテープ脱落防止リブ(51、52)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項4】
前記第テープ脱落防止リブは、複数形成され、これらのうち少なくとも1つが、前記ケースから前記ヘッド体に向けて移動する清掃テープの外面側に形成された上流側テープ脱落防止リブ(51)であり、
これ以外のテープ脱落防止リブのうち少なくとも1つ(52)が、前記ヘッド体から前記ケースに向けて移動する清掃テープの外面側に形成された下流側テープ脱落防止リブ(52)であり、
前記上流側テープ脱落防止リブと、前記下流側テープ脱落防止リブは、前記突出部の突出方向に位置をずらせて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項5】
前記突出部は、前記フェルール同士を接続可能な光コネクタ(70)のアダプタ(71)内に挿入されて、前記フェルールの接合端面を拭き取り清掃可能とされ、
前記側壁部には、前記アダプタ内面に当接して位置決めされる位置決め部(53)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記アダプタの内面に応じた形状とされていることを特徴とする請求項5に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項7】
フェルール(60)同士をアダプタ(71)内に収納して接続する光コネクタ(70)の前記フェルールの接合端面(62)を、清掃テープ(2)の運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
開口部(15)を有するケース(10)と、前記開口部に挿通するヘッド部材(20)とを備え、
前記ヘッド部材が、前記開口部を通して前記ケースから突出し、前記清掃テープが巻きかけられて前記アダプタに挿入可能な突出部(21)を有し、
前記突出部は、前記アダプタ内面に当接して位置決めされる位置決め部(53)を有することを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。
【請求項8】
前記突出部が、前記接合端面に向かい合う先端面(23a)を有するヘッド体(23)と、前記ヘッド体の前記先端面とは反対側に連結された基部(24)とを備え、
前記基部が、厚さ方向に間隔をおいて配置された一対の側壁部(28)を備え、前記側壁部間の空間(S)に、前記清掃テープが通るようにされ、
前記位置決め部は、前記側壁部に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の光コネクタ清掃工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールの接合端面を、清掃テープの運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具に関する。例えば、フェルール同士をアダプタ内に収納して接続する光コネクタの前記フェルールの接合端面を、清掃テープの運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、アダプタやレセプタクルなどのコネクタハウジング内での光コネクタ同士の接続は、各光コネクタの接合端面に臨む光ファイバの端面同士を突き合わせ接合することで実現される。
コネクタハウジングに光コネクタを挿入して突き合わせ接続する際、光コネクタの接合端面にゴミや埃、油分などの汚れが付着していると、着脱時の損傷や、伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先立って、接合端面を清掃する必要がある。
【0003】
この種の用途に用いられる清掃工具としては、清掃テープが露出される開口部を先端に有した突出部分を有するケース内に、前記清掃テープを供給する機構を設けたものがある。
この清掃工具は、前記ケースの突出部分を光コネクタアダプタ(光アダプタ)内の空間(コネクタ収容穴)に挿入することにより、前記清掃テープを光コネクタプラグのフェルールの接合端面に当接させ、清掃テープの前進送り移動により前記光コネクタプラグの接合端面を拭き取り清掃することができる(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2004−151401号公報
【特許文献2】特開2004−151402号公報
【特許文献3】特開2004−151403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記光コネクタ清掃工具は、小型のコネクタ収容穴を有する光コネクタアダプタに適用するのが難しいという問題があった。
また、光コネクタアダプタに挿入可能な突出部分を有するケースを作製することが必要になるため、製造コストが高くなることが多く、製造コストの点で改善が要望されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型化が可能であり、しかも製造コスト低減が可能な光コネクタ清掃工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる光コネクタ清掃工具は、フェルールの接合端面を、清掃テープの運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、開口部を有するケースと、前記開口部に挿通するヘッド部材とを備え、前記ヘッド部材が、前記開口部を通して前記ケースから突出する突出部を有し、前記突出部が、前記接合端面に向かい合う先端面を有するヘッド体と、前記ヘッド体の前記先端面とは反対側に連結された基部とを備え、前記基部には、前記清掃テープが脱落するのを防ぐ脱落防止部が形成され、前記脱落防止部によって、前記清掃テープが前記ヘッド体に保持されることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる光コネクタ清掃工具は、請求項1において、前記脱落防止部が、厚さ方向に間隔をおいて配置された一対の側壁部であり、前記側壁部間の空間に、前記清掃テープが通るようにされていることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる光コネクタ清掃工具は、請求項2において、前記一対の側壁部には、一方から他方にかけて、前記清掃テープの外面側に位置するテープ脱落防止リブが形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる光コネクタ清掃工具は、請求項3において、前記第テープ脱落防止リブは、複数形成され、これらのうち少なくとも1つが、前記ケースから前記ヘッド体に向けて移動する清掃テープの外面側に形成された上流側テープ脱落防止リブであり、これ以外のテープ脱落防止リブのうち少なくとも1つが、前記ヘッド体から前記ケースに向けて移動する清掃テープの外面側に形成された下流側テープ脱落防止リブであり、前記上流側テープ脱落防止リブと、前記下流側テープ脱落防止リブは、前記突出部の突出方向に位置をずらせて形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる光コネクタ清掃工具は、請求項2において、前記突出部は、前記フェルール同士を接続可能な光コネクタのアダプタ内に挿入されて、前記フェルールの接合端面を拭き取り清掃可能とされ、前記側壁部には、前記アダプタ内面に当接して位置決めされる位置決め部が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項6にかかる光コネクタ清掃工具は、請求項5において、前記位置決め部が、前記アダプタの内面に応じた形状とされていることを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる光コネクタ清掃工具は、フェルール同士をアダプタ内に収納して接続する光コネクタの前記フェルールの接合端面を、清掃テープの運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、開口部を有するケースと、前記開口部に挿通するヘッド部材とを備え、前記ヘッド部材が、前記開口部を通して前記ケースから突出し、前記清掃テープが巻きかけられて前記アダプタに挿入可能な突出部を有し、前記突出部は、前記アダプタ内面に当接して位置決めされる位置決め部を有することを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる光コネクタ清掃工具は、請求項7において、前記突出部が、前記接合端面に向かい合う先端面を有するヘッド体と、前記ヘッド体の前記先端面とは反対側に連結された基部とを備え、前記基部が、厚さ方向に間隔をおいて配置された一対の側壁部を備え、前記側壁部間の空間に、前記清掃テープが通るようにされ、前記位置決め部は、前記側壁部に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の光コネクタ清掃工具は、突出部を有するヘッド部材が、ケースとは別体であるので、清掃対象の形状に応じた複数種類の光コネクタ清掃工具を製造するにあたっては、共通のケースを使用することができ、製造コストの点で有利である。例えば、アダプタの複数のタイプに応じた複数種類の光コネクタ清掃工具を製造するにあたっては、ヘッド部材のみをアダプタのタイプに合わせて作製すればよい。
本発明の光コネクタ清掃工具は、基部に形成された脱落防止部によって清掃テープがヘッド体に保持されるので、ヘッド体に清掃テープを保持するための構造が不要となり、ヘッド体の高さ寸法を小さくでき、突出部の小型化(薄型化)を図ることができる。また、ヘッド体に清掃テープを保持するための構造が不要となるため、先端面の面積を十分に大きくでき、確実な清掃が可能となる。
本発明の光コネクタ清掃工具では、ヘッド部材の突出部がアダプタに挿入されるようになっているので、ケースの一部がアダプタ内に挿入されるものに比べ、挿入される部分の構造を簡略にすることができる。したがって、小型のコネクタ収容穴を有する光コネクタのアダプタに適用することが可能となる。
また、本発明の光コネクタ清掃工具では、前記突出部が、アダプタ内面に当接して位置決めする位置決め部を有するので、アダプタ内での突出部の位置ずれが起こらず、接合端面の清掃を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一形態例である光コネクタ清掃工具を用いて光コネクタのアダプタ内のフェルールを清掃する様子を説明する図面であり、図2〜図10は、本形態例の光コネクタ清掃工具を説明する図面である。図11は、本形態例の光コネクタ清掃工具が適用可能な光コネクタフェルールの一例であるMT形光コネクタフェルールを示す斜視図であり、図12および図13は、本形態例の光コネクタ清掃工具が適用可能なアダプタの一例であるMT形アダプタを示す断面図である。
【0008】
図11〜図13に示すように、本形態例の光コネクタ清掃工具1が適用される光コネクタ70は、フェルール60、60同士をアダプタ71内に収納して接続する。
図示例のフェルール60は、JIS C 5981等に規定されるMT形光コネクタフェルールであり、周知のとおり、フェルール60の接合端面62の中央部付近には、複数の光ファイバ穴63、63、…が一列に配列されて形成されている。
フェルール60は、光ファイバ61同士の接続のため、光ファイバ61の先端部に取り付けられるものである。具体的には、光ファイバ61は光ファイバテープ心線であり、その先端部の樹脂被覆を除去してなる裸光ファイバを、フェルール60の光ファイバ穴63に挿通することにより、フェルール60が簡易な光コネクタプラグとして機能する。
なお、光ファイバ61としては、当該光コネクタフェルールを取り付けて接続することができるものであれば特に限定はなく、例えば単心または多心の光ファイバ心線、この光ファイバ心線をチューブに収納した光ファイバコードなどが採用可能である。
【0009】
フェルール60の接合端面62の光ファイバ穴63、63、…の並び方向の両側には一対のガイドピン穴64、64が形成されている。一対のフェルール60、60を接続するに際して、一方のフェルール60のガイドピン穴64にはガイドピン65を嵌合して接合端面62から突出させ、他方のフェルール60のガイドピン穴64に嵌合させてフェルール60、60を突き合わせ接続をする。
図12および図13に示すように、一方のフェルール60のガイドピン65の先端が他方のフェルール60のガイドピン穴64に差し込まれることにより、周知のガイドピン嵌合方式の位置決め機構が機能し、各フェルール60の光ファイバ穴63内に挿入された光ファイバ61の先端面同士を高精度に位置決めして光接続することができる。
【0010】
図12および図13に示すように、フェルール60の後端側には、ゴムやエラストマー等の弾性体からなるブーツ67が取り付けられている。フェルール60の後端から引き出された光ファイバ61は、ブーツ67内に挿通されることにより、フェルール60の後端付近での急激な曲げ等が防止されている。さらに、アダプタ71内に収納されたフェルール60(図12および図13に示すフェルール60のうち左側のもの)の後端には、ガイドピン65の後端部65aを固定したピンクランプ66が設けられている。ピンクランプ66に固定されたガイドピン65がガイドピン穴64に差し込まれることにより、フェルール60とピンクランプ66とが一体化されている。
【0011】
図12および図13に示す光コネクタ70のアダプタ71は、MT形光コネクタフェルール用のアダプタ(MT形アダプタ)の一例を示すものである。ここで例示したアダプタ71は、一方のフェルール60(図12および図13に示すフェルール60のうち右側のもの)が挿入されるべく開口したコネクタ挿入口72と、他方のフェルール60(図12および図13に示すフェルール60のうち左側のもの)が収納されているコネクタ収容穴73と、ピンクランプ66に係合して他方のフェルール60を後端側から係止する係止爪74と、ボルト等を介してアダプタ71を取付板等(図示略)に取り付けるための取付穴76が設けられたフランジ部75とを有する。
【0012】
このアダプタ71のコネクタ挿入口72に一方のフェルール60を挿入すると、コネクタ収容穴73内で両フェルール60、60の接合端面62を突き合わせ、光ファイバ61を光接続することができる。また、一方のフェルール60を逆方向に引き抜くと、両フェルール60、60の接続を解除することができる。
なお、本発明でいうアダプタ71とは、両側のフェルール60、60を位置決めして接続固定する中継器具を総称する。従って、アダプタ71に接続される両側のフェルール60は、互いに同形状のものに限定されることはない。形状が異なるフェルールを接続可能であっても、アダプタと称する。
【0013】
本形態例の光コネクタ清掃工具1は、光コネクタ70のアダプタ71内に収容されたフェルール60の接合端面62を、清掃テープ2の運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、図1〜図6に示すように、開口部15を有するケース10と、開口部15に挿通するヘッド部材20と、ホルダ部材40とを備える。
【0014】
図3に示すように、ケース10は、第1のケース半体11及び第2のケース半体12による二つ割り構造になっている。このケース10は、例えば、両ケース半体11、12の周縁部に適宜形成された嵌合ピンとピン穴との嵌合(図示略)により、一体化されている。ケース10の各ケース半体11、12は、ポリスチレン(PS)やポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)などのプラスチック等から構成することができる。
図2及び図4に示すように、ケース10は、テープ送り機構3を収納した本体部13と、この本体部13から先細り状に突出した突出筒部14とを有する。開口部15は、突出筒部14の突出先端に形成されている。
【0015】
図4に示すように、本体部13の内部には、清掃テープ2を送り移動するテープ送り機構3として、清掃テープ2を巻装した供給リール30と、使用後の清掃テープ2を巻き取って回収する巻取リール31と、供給リール30が回転可能に装着された供給リール支持軸32と、巻取リール31が回転可能に装着された巻取リール支持軸33と、清掃テープ2の送り移動を操作する操作ダイヤル34を備えている。
供給リール30、巻取リール31、操作ダイヤル34は、例えば、ポリスチレン(PS)やポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)などのプラスチックから金型により成形することによって製造することができる。
【0016】
清掃テープ2は、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)をテープ状に加工したものを採用することができる。例えば、ポリエステルやナイロンなどの繊維からなるものなどが例示される。
【0017】
供給リール支持軸32及び巻取リール支持軸33は、例えば、一方のケース半体11と一体に形成することができる。そして、各支持軸32,33の先端を、他方のケース半体12に設けられた嵌合穴(図示略)に挿入することにより、両ケース半体11,12の間で、供給リール30及び巻取リール31を脱落することなく、保持することができるようになっている。
【0018】
図4に示すように、突出筒部14の内部には、補強リブを兼ねた隔壁部14aが設けられている。この隔壁部14aによれば、供給リール30からヘッド部材20に向かう、清浄であるべき清掃テープ2の上流側の部分2b(以下「上流部」ということがある)の経路14bと、ヘッド部材20から巻取リール31に向かう、拭き取り清掃により汚染された清掃テープ2の下流側の部分2c(以下「下流部」ということがある)の経路14cとが仕切られるので、清掃テープ2の汚れの移行が抑制される効果が得られる。
【0019】
ケース10の内部には、清掃テープ2を案内して送り方向を変更させるためのピン状のテープガイド35、36が突設形成されている。一方のテープガイド35は、供給リール30から供給される清掃テープ2が突出筒部14内の上流部2b側の経路14bを通る位置に設けられており、他方のテープガイド35は、巻取リール31に巻き取られる清掃テープ2が突出筒部14内の下流部2c側の経路14cを通る位置に設けられている。
【0020】
図3に示すように、操作ダイヤル34の一部は、第1のケース半体11に切欠状に設けられた窓11aからケース10の外に露出されている。操作ダイヤル34は、巻取リール31と一体に連結されており、ともに巻取リール支持軸33に支持されている。操作ダイヤル34を手指などで操作して、所定の方向に回転させると、巻取リール31が一緒に回転して、清掃テープ2を巻き取るとともに、供給リール30から未使用の清掃テープ2が繰り出され、送り移動される。
操作ダイヤル34の一部がケース10の側面に開口した窓11aから露出されているので、光コネクタ清掃工具1を片手で持ったときでも、光コネクタ清掃工具1を持った側の手の指で操作ダイヤル34を容易に操作することができる。さらに、操作ダイヤル34の回転方向を示す回転方向指示マーク12aをケース10の側面に形成することにより、作業者が操作ダイヤル34の回転方向を容易に理解することができる。
【0021】
操作ダイヤル34と巻取リール31との連結は、例えば、操作ダイヤル34からピン(図示略)を突設するとともに、巻取リール31に前記ピンと嵌合する嵌合穴を設ける方式が例示できる。
【0022】
図2、図6および図7に示すように、ケース10の突出筒部14の先端には、ホルダ部材40が設けられている。
ホルダ部材40は、断面矩形の筒状に形成され、突出筒部14の先端部を囲むように形成されている。
ホルダ部材40の側壁42、42の先端面には、先端方向に突出する係合凸部42aが形成されている。係合凸部42aは、アダプタ71に形成された係合凹部(図示略)に嵌合可能に形成することができる。
ホルダ部材40の先端側の開口部41には、ヘッド部材20が挿通する。
ホルダ部材40は、例えば、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)などのプラスチックの成形によって容易に製造可能である。
【0023】
図8は、ヘッド部材20を一方の面側から見た斜視図であり、図9は、ヘッド部材20を他方の面側から見た斜視図である。図10(a)〜図10(e)は、それぞれヘッド部材20の前面図、上面図、側面図、下面図、後面図である。以下の説明において、図10(c)における左方および右方をそれぞれ先端方向および後端方向ということがある。
【0024】
図8〜図10に示すように、ヘッド部材20は、清掃テープ2をフェルール60の接合端面62に押し当てるものであって、開口部15を通してケース10から突出する突出部21と、突出部21に連結された支持部22とを備えている。
突出部21は、接合端面62に向かい合う先端面23aを有するヘッド体23と、ヘッド体23の先端面23aとは反対側(図10(c)における右側)に連結された基部24とを備えており、清掃テープ2が巻きかけられるようになっている。
【0025】
ヘッド体23は、平坦な先端面23aをもつブロック状(すなわち厚板状)に形成され、両側部には、接合端面62から突出するガイドピン65が挿通できるガイドピン挿通部23bが形成されている。ガイドピン挿通部23bは、ヘッド体23の側面に断面半円状の溝状に形成されており、ガイドピン挿通部23bにより、ヘッド体23とガイドピン65との干渉を避けることができる。
ヘッド体23は、後面23cに形成された凹所23dに接続された傾動用バネ27を介して基部24の先端側に連結されている。
傾動用バネ27は、図示例では略波形に形成され、ヘッド体23を上下方向に傾動可能に支持する。
【0026】
基部24は、幅方向(図10(c)における紙面に垂直な方向)(厚さ方向)に間隔をおいて配置された一対の側壁部28、28(脱落防止部)と、これらを連結する連結部29と、第1および第2のテープ脱落防止リブ51、52とを有する。
側壁部28は、略矩形板状の位置決め部53と、その先端から先端方向に延出する略矩形板状の延出部54とを有する。
連結部29は、延出部54の先端部に形成されており、その前面には前記傾動用バネ27が接続されている。
【0027】
図1に示すように、位置決め部53は、アダプタ71に挿入された際に、アダプタ71の内面に当接して突出部21を位置決めすることができるように構成することができる。
図示例では、位置決め部53はアダプタ71の内面に応じた形状とされている。
具体的には、位置決め部53は、アダプタ71のコネクタ収容穴73の高さ寸法にほぼ等しい高さとされ、コネクタ収容穴73に挿入されたときにコネクタ収容穴73の上面および下面に当接して上下方向のがたつきが起こらないようになっている。さらに、位置決め部53の幅方向の寸法(一方の位置決め部53の外面と他方の位置決め部53の外面との距離)は、コネクタ収容穴73の幅にほぼ等しくされ、コネクタ収容穴73に挿入されたときにコネクタ収容穴73の内側面に当接して幅方向のがたつきが起こらないようになっている。
【0028】
図7〜図9に示すように、第1および第2のテープ脱落防止リブ51、52は、清掃テープ2がヘッド部材20から脱落するのを防ぐものであって、一方の側壁部28から他方の側壁部28にかけて形成されている。
図7および図9に示すように、第1のテープ脱落防止リブ51(上流側テープ脱落防止リブ)は、清掃テープ2の上流部2bの脱落を防ぐためもので、延出部54の下部に形成されている。第1のテープ脱落防止リブ51は、清掃テープ2の上流部2bの外面側(図7における下面側)に位置しており、上流部2bがヘッド部材20から外れるのを防ぐようになっている。
【0029】
図7および図8に示すように、第2のテープ脱落防止リブ52(下流側テープ脱落防止リブ)は、位置決め部53の上部に形成されている。第2のテープ脱落防止リブ52は、清掃テープ2の下流部2cの外面側(図7における上面側)に位置し、下流部2cがヘッド部材20から外れるのを防ぐようになっている。
なお、上部および下部とは、それぞれ図10(c)における上部および下部をいう。
基部24は、側壁部28、28と、その上部および下部に形成されたテープ脱落防止リブ51、52とを有する枠体であり、その内側の空間Sに清掃テープ2が通るようになっている。清掃テープ2は、側壁部28、28間の空間Sに配置されることによって、突出部21からの脱落が防止され、これによって、ヘッド体23に保持される。
【0030】
第1のテープ脱落防止リブ51は、第2のテープ脱落防止リブ52よりも先端側に位置している。すなわち、テープ脱落防止リブ51、52は、突出部21の突出方向に位置をずらせて形成されている。なお、テープ脱落防止リブ51、52の突出方向の相対位置は、これに限らず、第2のテープ脱落防止リブ52が先端側に位置していてもよい。
テープ脱落防止リブ51、52は、突出部21の突出方向に位置をずらせて形成されているので、清掃テープ2が通過するための十分な空間Sを確保できる。よって、突出部21の構造を簡単にして、小型化(薄型化)を図り、小型のコネクタ収容穴を有する光コネクタのアダプタに適用することが可能となる。
また、ヘッド部材20は樹脂製であるため、十分な強度を得るにはテープ脱落防止リブ51、52にはある程度の厚さが必要であるが、テープ脱落防止リブ51、52は、突出方向に位置をずらせて形成されているため、側壁部28の空間Sが広く確保され、上流部2bと下流部2cとの干渉が起こりにくくなる。
さらに、テープ脱落防止リブ51、52が、突出部21の突出方向に位置をずらせて形成されているので、先端側の第1のテープ脱落防止リブ51をヘッド体23の近くに配置することができ、ヘッド体23からの清掃テープ2の脱落を防止することができる。
【0031】
支持部22は、位置決め部53の内面に接続された連結部56と、連結部56の後端側に接続された圧縮用バネ57と、圧縮用バネ57の後端側に連結された支持板59とを有する。
【0032】
図8に示すように、圧縮用バネ57は、清掃テープ2を接合端面62に向けて付勢するものであって、図示例では、一対の波形バネを突出部21の幅方向に対称に配置したものである。圧縮用バネ57は、基部24と係止部59とを伸縮可能に連結する連結部として機能する。
【0033】
図7および図10(e)に示すように、係止部59は、略矩形の板状に形成され、清掃テープ2の上流部2bおよび下流部2cが挿通する挿通穴59a、59aが形成されている。
係止部59は、前記突出方向に対しほぼ垂直に配置され、ケース10の突出筒部14の内面に形成された取付凹部14dに装着されている。
【0034】
ヘッド部材20は、例えば、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)などのプラスチックの成形によって容易に製造可能である。
【0035】
本形態例の光コネクタ清掃工具1の使用方法の一例として、光コネクタ70のアダプタ71内に収容されたフェルール60の接合端面62を清掃する手順の一例を説明する。
図1に示すように、光コネクタ清掃工具1の突出部21を、アダプタ71のコネクタ収容穴73に挿入し、側壁部28の位置決め部53の少なくとも一部をコネクタ収容穴73内に位置させる。
上述のように、側壁部28の位置決め部53はコネクタ収容穴73に応じた形状となっているため、位置決め部53はコネクタ収容穴73の上下面および内側面に当接して位置決めされる。
ヘッド体23の先端面23aは、フェルール60の接合端面62に向かい合い、先端面23aに位置する清掃テープ2の部分(以下、当接部2aという)が接合端面62に当接する。
【0036】
操作ダイヤル34を所定量回転させると、巻取リール31の回転と連動して清掃テープ2が運動する。
図1に示すように、清掃テープ2は、側壁部28、28間の空間Sを通ってヘッド体23の先端面23aに至り、再び空間Sを経て巻取リール31に巻き取られる。
具体的には、清掃テープ2の上流部2bは、ケース10の突出筒部14の開口部15から出て、空間S内を突出部21の先端に向けて移動し、第1のテープ脱落防止リブ51の内面側(上面側)を通り、ヘッド体23の下面から先端面23aに達する。清掃テープ2は、先端面23aを通過し、ヘッド体23の上面を経て、空間S内をケース10に向けて移動し、第2のテープ脱落防止リブ52の内面側(下面側)を通って突出筒部14内に入り、巻取リール31に巻き取られる。
この際、清掃テープ2は、側壁部28、28間の空間Sを通るためヘッド部材20から脱落することがなく、ヘッド体23から外れることがない。このように、清掃テープ2は、側壁部28、28によってヘッド体23に保持される。
【0037】
この過程で、清掃テープ2によりフェルール60の接合端面62が拭き取り清掃される。すなわち、接合端面62に付着しているゴミや埃、油分などの汚れが、清掃テープ2により拭き取られ、接合端面62が清浄化される。
拭き取られた汚れは、清掃テープ2に付着して巻取リール31に巻き取られる方向に移動するため、使用後の清掃テープ(下流部)2c表面の汚れが接合端面62に戻ることはない。
清掃後、光コネクタ清掃工具1は、挿入したときと反対の方向(離脱方向)に引くことにより、容易に引き抜くことができる。
【0038】
光コネクタ清掃工具1は、アダプタ71に挿入される突出部21を有するヘッド部材20が、ケース10とは別体である。
このため、アダプタの複数のタイプに応じた複数種類の光コネクタ清掃工具を製造するにあたっては、ヘッド部材のみをアダプタのタイプに合わせて作製すればよい。このため、共通のケースを使用することができ、製造コストの点で有利である。
光コネクタ清掃工具1は、基部24に形成された側壁部28によって清掃テープ2がヘッド体23に保持されるので、ヘッド体23に清掃テープ2を保持するための構造が不要となり、ヘッド体23の高さ寸法を小さくでき、突出部21の小型化(薄型化)を図ることができる。また、ヘッド体23に清掃テープ2を保持するための構造が不要となるため、先端面23aの面積を十分に大きくでき、確実な清掃が可能となる。
また、光コネクタ清掃工具1では、ヘッド部材20の突出部21がアダプタ71に挿入されるようになっているので、ケースの一部がアダプタ内に挿入されるものに比べ、挿入される部分の構造を簡略にすることができる。したがって、小型のコネクタ収容穴を有する光コネクタのアダプタに適用することが可能となる。
また、光コネクタ清掃工具1では、突出部21が、アダプタ71内面に当接して位置決めする位置決め部53を有するので、アダプタ71内での突出部21の位置ずれが起こらず、接合端面62の清掃を確実に行うことができる。
さらには、側壁部28、28巻の空間Sに清掃テープ2が通るようにされているので、突出部21の構造を簡単にして、小型のコネクタ収容穴を有する光コネクタのアダプタに適用することが可能となる。
【0039】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、清掃テープを送り移動するテープ送り機構は、手動により駆動されるものに限定されず、モータやバネなどの動力により駆動されるようにしたものでもよい。また、手動と動力による駆動とを併用したり、必要に応じて動力源を切り換えられるようにしてもよい。
本形態例では、本発明の光コネクタ清掃工具を、MT形光コネクタフェルールおよびMT形アダプタに適用した場合を例示したが、本発明は、これに限らず、JIS C 5982等に規定されたMPO形光コネクタプラグおよびMPO形アダプタにも適用できる。
また、本発明の光コネクタ清掃工具は、SC形光コネクタ(JIS C 5973等に規定のもの等)、またはFC形光コネクタ(JIS C 5970に規定のもの等)などの清掃にも適用できる。この場合には、ヘッド部材の突出部を、光コネクタフェルール位置決め用の位置決めスリーブに挿入できるように構成するのが好ましい。
また、上述の例では、アダプタ71内のフェルール60の接合端面62を清掃する場合を示したが、本発明の光コネクタ清掃工具は、アダプタに収納されていないフェルールの接合端面を清掃することもできる。この場合には、何らかの位置決め手段(例えばフェルールが挿入可能な位置決めスリーブ)により、光コネクタ清掃工具をフェルールに対し位置決めするのが好ましい。
【0040】
なお、テープ脱落防止リブの数は、図1に示す例に限らず、1でもよいし、3以上であってもよい。テープ脱落防止リブの数が複数である場合には、これらのうち少なくとも1つが上流側テープ脱落防止リブであり、これ以外のテープ脱落防止リブのうち少なくとも1つが下流側テープ脱落防止リブである構成が可能である。
また、図1に示す例では、テープ脱落防止リブが2つ形成されているが、第2のテープ脱落防止リブ52を形成せず、第1のテープ脱落防止リブ51のみを形成してもよい。この場合には、清掃テープ2の上流部2bは、ケース10の開口部15から出て、空間S内を突出部21の先端に向けて移動し、第1のテープ脱落防止リブ51の内面側(上面側)を通り、ヘッド体23の先端面23aを経て、空間S内をケース10に向けて移動し、巻取リール31に巻き取られる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、アダプタ内のフェルールの接合端面を清掃するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る光コネクタ清掃工具を用いて光コネクタのアダプタ内のフェルールを清掃する様子を説明する要部拡大断面図である。
【図2】図1に示す光コネクタ清掃工具を示す正面図である。
【図3】図1に示す光コネクタ清掃工具を示す平面図である。
【図4】図1に示す光コネクタ清掃工具の内部を示す概略構成図である。
【図5】図1に示す光コネクタ清掃工具を示す斜視図である。
【図6】図1に示す光コネクタ清掃工具を示す要部拡大斜視図である。
【図7】図1に示す光コネクタ清掃工具を示す要部拡大断面図である。
【図8】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を示す斜視図である。
【図9】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を示す斜視図である。
【図10】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を示す(a)前面図、(b)上面図、(c)側面図、(d)下面図、(e)後面図である。
【図11】MT形光コネクタフェルールの一例を示す斜視図である。
【図12】MT形アダプタの一例を示す断面図である。
【図13】MT形アダプタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…光コネクタ清掃工具、2…清掃テープ、10…ケース、15…開口部、20…ヘッド部材、21…突出部、23…ヘッド体、23a…先端面、24…基部、28…側壁部(脱落防止部)、51…第1のテープ脱落防止リブ(上流側テープ脱落防止リブ)、52…第2のテープ脱落防止リブ(下流側テープ脱落防止リブ)、53…位置決め部、60…フェルール、62…接合端面、70…光コネクタ、71…アダプタ、S…側壁部間の空間。
【出願人】 【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和


【公開番号】 特開2008−3302(P2008−3302A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172615(P2006−172615)