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【発明の名称】 気象予測システム
【発明者】 【氏名】水谷 文彦

【氏名】武藤 隆一

【要約】 【課題】信頼性の高い気象予測情報を提供することを可能とする。

【構成】気象予測モデル演算部14は、気象予測のもととなるデータが観測データ格納部13に格納されると起動する。気象予測モデル演算部14は、予め複数の異なる演算パラメータセットを備え、予測時刻に応じて適切な演算パラメータを選択して気象予測演算を行う。求められた気象予測データは予測データ格納部15に記憶される。また、観測データ格納部13に新たな観測データが入力されると、気象予測モデル演算部14は再び起動し、観測と予測のズレを補正するために気象予測演算を再実行する。その際には、以前用いた演算パラメータとは異なる演算パラメータを選択して気象予測演算を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象予測モデルを用いて定期的に気象予測を行う気象予測システムにおいて、
気象要素の観測データを入力する入力手段と、
前記気象予測モデルに前記観測データを同化して気象予測を行う予測手段と、
前記予測手段の演算に用いる演算パラメータを予測時刻に応じて変更するパラメータ制御手段と
を具備することを特徴とする気象予測システム。
【請求項2】
前記パラメータ制御手段は、前記演算パラメータとして前記予測時刻より前の予測時刻の気象予測結果を用いることを特徴とする請求項1記載の気象予測システム。
【請求項3】
前記複数の予測時刻の気象予測データについて統計をとる統計処理手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の気象予測システム。
【請求項4】
前記統計処理手段は、予め前記複数の予測時刻の気象予測データを正規分布に当てはめて許容範囲外のデータを除き統計をとることを特徴とする請求項3記載の気象予測システム。
【請求項5】
前記統計処理手段は、前記複数の予測時刻の気象予測データの最大値及び最小値の少なくともいずれか一方を求め、前記統計結果として出力することを特徴とする請求項3記載の気象予測システム。
【請求項6】
前記統計処理手段は、前記予測時刻に応じて重み付けして前記複数の予測時刻の気象予測データの加重平均を求め、前記統計結果として出力することを特徴とする請求項3記載の気象予測システム。
【請求項7】
気象予測モデルを用いて定期的に気象予測を行う気象予測システムに用いられ、
気象要素の観測データを入力する入力ステップと、
前記気象予測モデルに前記観測データを同化して気象予測を行う予測ステップと、
前記予測ステップの演算に用いる演算パラメータを予測時刻に応じて変更するパラメータ制御ステップと
を具備することを特徴とする気象予測方法。
【請求項8】
前記パラメータ制御ステップは、前記演算パラメータとして前記予測時刻より前の予測時刻の気象予測結果を用いることを特徴とする請求項7記載の気象予測方法。
【請求項9】
前記複数の予測時刻の気象予測データについて統計をとる統計処理ステップをさらに具備することを特徴とする請求項7記載の気象予測方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、気象レーダ等で得られる観測データをもとに気象予測データを演算し提供する気象予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気象予測システムでは、気象レーダ等で得られる観測データや気象庁から提供されるGPV(Grid Point Value)データ等を用いて大気の流れを計算することで気象予測を行っている。気象予測情報は、人々にとって身近であると同時に、台風や集中豪雨等のように生命や財産に関わる重要な情報であるため、予測データの信頼性の向上が図られている。例えば、予測データの精度を継続的に維持できるようにする手法や、予測データの演算処理にかかる時間を短縮するとともに障害に対する堅牢性を高める手法が提案されている(例えば、特許文献1又は2を参照。)。
【特許文献1】特開2004−109001号公報
【特許文献2】特開2003−090888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、気象予測情報は、あくまでも予測に過ぎず、時間的・空間的ずれを伴う不確実性を有する。つまり、当たる場合もあるが、当たらない場合もある。しかし、予測情報の価値は存在する。例えば、集中豪雨の発生の可能性が事前に予測されていれば、たとえその可能性が低くとも十分に価値ある情報となる。つまり、情報提供の仕方によって、その情報の価値が左右される。
【0004】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、信頼性の高い気象予測情報を提供することができる気象予測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる気象予測システムは、気象予測モデルを用いて定期的に気象予測を行う気象予測システムにおいて、気象要素の観測データを入力する入力手段と、前記気象予測モデルに前記観測データを同化して気象予測を行う予測手段と、前記予測手段の演算に用いる演算パラメータを予測時刻に応じて変更するパラメータ制御手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
また、この発明に係わる気象予測方法は、気象予測モデルを用いて定期的に気象予測を行う気象予測システムに用いられ、気象要素の観測データを入力する入力ステップと、前記気象予測モデルに前記観測データを同化して気象予測を行う予測ステップと、前記予測ステップの演算に用いる演算パラメータを予測時刻に応じて変更するパラメータ制御ステップとを具備することを特徴とする。
【0007】
上記構成による気象予測システム及び気象予測方法では、例えば、予め複数の異なる演算パラメータセットを備え、予測時刻に応じて適切な演算パラメータを選択して気象予測計算を行うようにする。このように気象予測の演算パラメータを予測時刻に応じてフレキシブルに変化させることで、常に高精度な気象予測が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明によれば、信頼性の高い気象予測情報を提供することができる気象予測システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる気象予測システムの一実施形態を示すブロック構成図である。この気象予測システム1は、ネットワークNTを介して気象庁データサーバDS0、及びレーダサイトサーバDS1,DS2に接続されている。気象予測システム1は、ネットワークNTと接続される通信インターフェース12と、通信処理部11と、観測データ格納部13と、気象予測モデル演算部14と、予測データ格納部15と、予測データ解析部16とを備える。
【0010】
通信処理部11は、気象庁データサーバDS0やレーダサイトサーバDS1,DS2で気象予測のもとになる観測データ・予測データ(GPVデータ)をネットワークNTを介して入手する。この通信処理部11で入手された気象観測データは観測データ格納部13に格納され、気象予測モデル演算部14からの要求に応じて選択的に気象予測モデル演算部14に送られる。
【0011】
気象予測モデル演算部14は、気象予測のもととなるデータが観測データ格納部13に格納されると起動する。気象予測モデル演算部14は、予め複数の異なる演算パラメータセットを備え、予測時刻に応じて適切な演算パラメータを選択して気象予測演算を行う。求められた気象予測データは予測データ格納部15に記憶される。また、観測データ格納部13に新たな観測データが入力されると、気象予測モデル演算部14は再び起動し、観測と予測のズレを補正するために気象予測演算を再実行する。その際には、以前用いた演算パラメータとは異なる演算パラメータを選択して気象予測演算を行う。
【0012】
予測データ解析部16は、気象予測モデル演算部14から出力される複数の予測時刻における予測データをもとに所定の地点の予測解析を行い、この解析結果に基づいて気象予測情報を提供するための表示用データを作成する。そして、作成された表示用データをモニタ等に出力する。
【0013】
ここで、気象予測モデル演算部14における気象予測演算処理の手順について説明する。図2は、気象予測演算処理の手法を示す図である。この例では、演算パラメータの1つである気象予測モデルの初期値を予測時間に応じて変更する。
気象庁データサーバDS0は、12時間毎に水平20kmメッシュの気象予測計算結果(RSM:Regional Spectral Model)を提供している。気象予測モデル演算部14は、RSMが到来すると、このRSMを気象予測モデルの初期値として51時間先までの気象予測演算を開始する(Run1)。
【0014】
例えば3時間後にRun1が完了すると、レーダサイトデータサーバDS1,DS2から定期的に得られる雨量・風速等の観測データを気象予測モデルに同化して、3時間後から51時間後までの気象予測演算を行う(Run2)。これは、一般的に“データ同化”と呼ばれ、観測値を気象予測モデルに同化させて予測値と整合をとることによって、予測計算の精度を向上させることができる。
【0015】
さて、Run2が完了すると、Run2の結果を初期値として6時間後から51時間先までの気象予測演算を開始する(Run3)。従来の予測演算は、気象庁から1日2回配信されるRSMを初期値としていたため、予測先時間が長くなるにつれて初期値による誤差が大きく、観測値との一致に時間がかかっていた。このように、データ同化を行った予測結果を次回の計算の際の初期値として用いることで、初期値による誤差を低減し、短時間で精度良く気象予測演算を行うことが可能となる。
【0016】
同様にRun3の完了後、Run3の結果を初期値として9時間後から51時間先までの気象予測演算を行う(Run4)。そして、12時間後には次のRSMが到来し、このRSMを気象予測モデルの初期値として51時間先までの気象予測演算を開始する(Run5)。
【0017】
次に、このように得られた気象予測データの提供方法について説明する。図3は、予測データ解析部16の処理手順を示す図である。
ステップS31において、特定地点・特定時間の複数モデルの演算結果を取得する。ステップS32において、まず複数モデルの演算結果の標準偏差σを算出し、誤差データの除去を行う。例えば、正規分布に当てはめて、6σ以上離れた許容範囲外のデータを除去する。そして、誤差データを除去した後のデータからステップS33では最大値・最小値を算出し、ステップS34では平均値を算出する。また、ステップS35において、誤差データを除去した後のデータをもとに加重平均を算出する。例えば、後に計算されたデータほど重み付けするようにする。そして、ステップS36においてこれらの解析計算の結果をモニタ等に表示するための表示用データを作成する。この表示用データをもとに表示される画面構成の一例を図4に示す。
【0018】
以上のように上記実施形態では、気象予測に用いる演算パラメータを予測時刻に応じてフレキシブルに変更することで常に高精度な気象予測が可能となる。さらに、複数の予測時刻における予測データについて統計処理を行い、その統計結果を提供している。これにより、予測情報の不確実性をできる限り排して、気象予測データから得られる情報を的確に提供することができる。このような情報の提供により、住民の避難誘導や、ダム放水の運用・都市下水道のポンプ場運転など、気象現象の危険度判断を必要とするユーザに対し、判断を支援する信頼性の高い気象情報を提供することができる。
【0019】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係わる気象予測システムの一実施形態を示すブロック構成図。
【図2】気象予測演算処理の手法を示す図。
【図3】気象予測システムにおける予測データ解析部の処理手順を示す図。
【図4】気象予測システムから提供される表示用データをもとに表示される画面構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0021】
1…気象予測システム、11…通信処理部、12…通信インターフェース、13…観測データ格納部、14…気象予測モデル演算部、15…予測データ格納部、16…予測データ解析部、NT…ネットワーク、DS0…気象データサーバ、DS1,DS2…レーダサイトデータサーバ。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−8772(P2008−8772A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179789(P2006−179789)