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【発明の名称】 物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラム
【発明者】 【氏名】鈴木 浩二

【要約】 【課題】物体の方位角に拘わらず、高精度に停止物体を判定することが可能な物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムを提供することを目的とする。

【解決手段】本発明に係る物体検出装置は、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と物体との相対速度を取得する第1の相対速度取得手段と、物体の方位角を取得する方位角取得手段と、自車速度を検出する自車速度検出手段と、相対速度の方位角依存性を考慮して、前記自車速度検出手段で取得した自車速度、前記第1の相対速度取得手段で取得した相対速度、および方位角取得手段で取得した方位角に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第1の静止物判定手段と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される物体検出装置において、
信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と物体との相対速度を取得する第1の相対速度取得手段と、
前記物体の方位角を取得する方位角取得手段と、
自車速度を検出する自車速度検出手段と、
相対速度の方位角依存性を考慮して、前記自車速度検出手段で取得した自車速度、前記第1の相対速度取得手段で取得した相対速度、および前記方位角取得手段で取得した方位角に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第1の静止物判定手段と、
を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記第1の静止物判定手段は、前記取得した相対速度を前記取得した方位角で補正した値と、前記取得した自車速度との差分が所定範囲内である場合に、前記物体を静止物であると判定することを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記第1の相対速度取得手段は、車両に対して第1の方向に配置されており、
さらに、前記車両に対して第2の方向に配置され、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と前記物体との相対速度を取得する第2の相対速度取得手段と、
前記自車速度検出手段で取得した自車速度および前記第2の相対速度取得手段で取得した相対速度に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第2の静止物判定手段と、
を備え、
前記第1の静止物判定手段は、前記第2の静止物判定手段が静止物であると判定した物体については、静止物であると仮定して静止物であるか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記第1の方向は前方方向であり、前記第2の方向は前側方方向または側方方向であることを特徴とする請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と物体との相対速度を取得する第1の相対速度取得工程と、
前記物体の方位角を取得する方位角取得工程と、
自車速度を検出する自車速度検出工程と、
相対速度の方位角依存性を考慮して、前記自車速度検出工程で取得した自車速度、前記第1の相対速度取得工程で取得した相対速度、および前記方位角取得工程で取得した方位角に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第1の静止物判定工程と、
を含むことを特徴とする物体検出方法。
【請求項6】
前記第1の静止物判定工程では、前記取得した相対速度を前記取得した方位角で補正した値と、前記自車速度との差分が所定範囲内である場合に、前記物体を静止物であると判定することを特徴とする請求項5に記載の物体検出方法。
【請求項7】
信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と前記物体との相対速度を取得する第2の相対速度取得工程と、
前記自車速度検出工程で取得した自車速度および前記第2の相対速度取得工程で取得した相対速度に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第2の静止物判定工程と、
を含み、
前記第1の静止物判定工程では、前記第2の静止物判定工程で静止物であると判定した物体については、静止物であると仮定して静止物であるか否かを判定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の物体検出方法。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の物体検出方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムに関し、詳細には、物体の方位角に拘わらず、高精度に停止物を検出することが可能な物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、先行車を検知して車間距離を適切に保つACC(自動車間制御)、車間距離が必要以上に接近した場合に作動させるPBA(プリクラッシュブレーキアシスト)やPSB(プリクラッシュシートベルト)等の車両走行安全システムに利用される車載レーダの一つとして、ミリ波帯を使用するFMCW方式のレーダ(以下「FMCWレーダ」という)が知られている。
【0003】
かかるFMCWレーダでは、時間に対して周波数が三角波状に直線的に増減するよう変調されたレーダ波を使用し、このレーダ波の送信信号と、物標に反射したレーダ波(反射波)の受信信号とを混合することにより得られるビート信号に基づいて、レーダ波を反射した物標についての情報を得るようにされている。
【0004】
具体的には、レーダ波の周波数が増加する上り区間、及び周波数が減少する下り区間のそれぞれについて、ビート信号に対し高速フーリエ変換(FFT)に代表される周波数解析処理を施すことにより、ビート信号の区間毎のパワースペクトルを求める。そして、パワースペクトルから抽出したピーク周波数成分を両区間の間で適宜組み合わせて、その組み合わせたピーク周波数成分(以下では「ピークペア」という)の周波数を、FMCWレーダにおいて周知の計算式に当てはめることにより、そのピークペアにて特定される物標との距離や相対速度を求めている。
【0005】
例えば、特許文献1のFM−CWレーダ装置では、車速のデータと個々の物標の相対速度のデータを比較し、両者が実質的に等しい物標を静止物標と判定し、それ以外の物標を移動物標と判定している。
【0006】
特許文献1のように、レーダ装置を車両に対して前方方向に配置する場合は、自車進行方向に対する物体の方位角はあまり問題とならないが、レーダ装置を、車両に対して前側方方向や側方方向に配置する場合は、そのレーダ中心軸は自車両の進行方向と異なり、自車両が走行していると、車両前方路側物に対する相対速度が距離に応じて変化するため、自車両に接近してくる物体が路側物(静止物)か否かの判定が難しい。これは、レーダ中心軸と自車両の進行方向が異なることにより、物体の方位角によって相対速度が自車両速度からゼロまで変化するためである(相対速度の方位角依存性)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−233090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、物体の方位角に拘わらず、高精度に停止物体を判定することが可能な物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決して、本発明の目的を達成するために、本発明は、車両に搭載される物体検出装置において、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と物体との相対速度を取得する第1の相対速度取得手段と、前記物体の方位角を取得する方位角取得手段と、自車速度を検出する自車速度検出手段と、相対速度の方位角依存性を考慮して、前記自車速度検出手段で取得した自車速度、前記第1の相対速度取得手段で取得した相対速度、および前記方位角取得手段で取得した方位角に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第1の静止物判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1の静止物判定手段は、前記取得した相対速度を前記取得した方位角で補正した値と、前記自車速度との差分が所定範囲内である場合に、前記物体を静止物であると判定することが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1の相対速度取得手段は、自車両に対して第1の方向に配されており、さらに、自車両に対して第2の方向に配されており、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と前記物体との相対速度を取得する第2の相対速度取得手段と、自車速度および前記第2の相対速度取得手段で取得した相対速度に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第2の静止物判定手段と、を備え、前記第1の静止物判定手段は、前記第2の静止物判定手段が静止物であると判定した物体については、静止物であると仮定して静止物であるか否かを判定することが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1の方向は、前方方向であり、前記第2の方向は、前側方方向または側方方向であることが望ましい。
【0013】
上記した課題を解決して、本発明の目的を達成するために、本発明は、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と物体との相対速度を取得する第1の相対速度取得工程と、前記物体の方位角を取得する方位角取得工程と、自車速度を検出する自車速度検出工程と、相対速度の方位角依存性を考慮して、前記自車速度検出工程で取得した自車速度、前記第1の相対速度取得工程で取得した相対速度、および前記方位角取得工程で取得した方位角に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第1の静止物判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1の静止物判定工程では、前記取得した相対速度を前記取得した方位角で補正した値と、前記自車速度との差分が所定範囲内である場合に、前記物体を静止物であると判定することが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と前記物体との相対速度を取得する第2の相対速度取得工程と、自車速度および前記第2の相対速度取得工程で取得した相対速度に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第2の静止物判定工程と、を含み、前記第1の静止物判定工程では、前記第2の静止物判定手段が静止物であると判定した物体については、静止物であると仮定して静止物であるか否かを判定することが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明の各工程をコンピュータがプログラムを実行することにより実現することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、信号波を送信し、この送信した信号波の反射波に基づいて、自車両と物体との相対速度および当該物体の方位角を取得する第1の相対速度取得手段と、自車速度を検出する自車速度検出手段と、相対速度の方位角依存性を考慮して、前記自車速度検出手段で取得した自車速度、前記第1の相対速度取得手段で取得した相対速度および方位角に基づいて、前記物体が静止物であるか否かを判定する第1の静止物判定手段と、を備えているので、物標の方位角に拘わらず、高精度に停止物を判定することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、この発明に係る物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る物体検出装置の機能構成を示すブロック図である。同図に示す物体検出装置1は、四輪自動車等の車両に搭載され、車両の周囲の所定の範囲に存在する物体を検出する装置である。物体検出装置1は、ミリ波を用いて、車両進行方向に対して前方方向の物標を検出するための前方ミリ波レーダ11(第2の相対速度取得手段)と、ミリ波を用いて、車両進行方向に対して前側方方向の物標を検出するための前側方ミリ波レーダ12(第1の相対速度取得手段、方位角取得手段)と、自車両の速度を検出する車速センサ20(自車速度検出手段)と、前方ミリ波レーダ11および前側方ミリ波レーダ12から出力される信号を用いて物標を検出するための演算を行う演算部30(第1の相対速度取得手段、第2の相対速度取得手段、第1の静止物判定手段、第2の静止物判定手段)と、演算部30における演算結果や各種設定情報を記憶する記憶部40と、を備える。
【0020】
前方ミリ波レーダ11および前側方ミリ波レーダ12は、所定の範囲にミリ波を送信アンテナから送出する一方、物標からの反射波を受信アンテナ(送信アンテナと同じで場合もある)によって受信し、この受信した反射波のフィルタリングやA/D変換などの信号処理を行う。かかる前方ミリ波レーダ11および前側方ミリ波レーダ12としては、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式などの通常用いられる方式を適用することができる。
【0021】
演算部30は、前方ミリ波レーダ11および前側方ミリ波レーダ12で受信した信号を用いて物標を検出する検出部31と、検出部31の検出結果に基づいて物標をトラッキング(追尾)する物標追尾処理部32とを備える。検出部31は、前方ミリ波レーダ11で受信した信号を用いて物標の物標情報(相対速度、相対距離)を取得するとともに、前側方ミリ波レーダ12で受信した信号を用いて物標の物標情報(相対速度、相対距離、物標の方位角)を取得する。また、検出部31は、前方ミリ波レーダ11および前側方ミリ波レーダ12から受信した信号に基づいて検出した物標の物標情報と、車速センサ20で検出された自車速度とに基づいて、物標が静止物であるか否かを判定し、前方ミリ波レーダ11と前側方ミリ波レーダ12のフュージョンにより静止物標の確定を行う。
【0022】
かかる演算部30は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、各種演算処理プログラムを記憶部40から読み出すことにより、その読み出したプログラムに対応する処理を実行する。
【0023】
記憶部40は、演算処理プログラムが記録されたROM(Read Only Memory)および各種パラメータやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)を用いて実現される。
【0024】
物体検出装置1で検出した物標情報は、車両制御装置50に出力される。車両制御装置50は、物体検出装置1からの出力に応じて車間距離制御や自動ブレーキ制御等の制御を行う。このように、物体検出装置1および車両制御装置50は、全体として、ACC(自動車間制御装置)、PBA(プリクラッシュブレーキアシスト)、PSB(プリクラッシュシートベルト)等のシステムを構成する。この意味で、物体検出装置1は、センサとしての機能を有している。
【0025】
図2は、物体検出装置1に搭載される前方ミリ波レーダ11および前側方ミリ波レーダ12の配置位置を説明するための図である。前方ミリ波レーダ11は、車両C0に対して、前方に配置され、そのレーダ光軸L1と車両進行方向との角度は略一致している。前側方ミリ波レーダ12は、車両C0に対して、左側前側方に配置され、そのレーダ光軸L2と車両進行方向とは、所定角度α(0<α<90°)を有している。
【0026】
図3は、前方ミリ波レーダ11と前側方ミリ波レーダ12の検出範囲および相対速度の方位角依存性を説明するための図である。同図において、R1は前方ミリ波レーダ11の検出範囲、R2は前側方ミリ波レーダ12の検出範囲を示している。検出範囲R1と検出範囲R2とは、検出範囲が一部重複しており、同図において、重複範囲をR12で図示している。前方ミリ波レーダ11は、遠距離狭角レーダであり、検出角度は小さく遠距離の検出が可能となっている。また、前側方ミリ波レーダ12は、近距離広角レーダであり、検出角度が大きく近距離の検出が可能となっている。
【0027】
同図において、自車C0が道路Rdに沿って速さV0で走行しており、前側方ミリ波レーダ12の中心軸L2に対して角度βの方向に路側物(静止物)Sが存在しているものとする。方位角βは、検出部31において前側方ミリ波レーダ12で受信した信号に基づいて検出される。同図は、路側物(静止物)Sが前方ミリ波レーダ11の検出範囲R1から前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2に切り替わる場合を示している。ここで、V0を自車C0の車速、Vrを前側方ミリ波レーダ12で測定される自車と路側物(静止物)Sの相対速度とすると、車速V0と相対速度Vrの間には下記(1)式の関係が成立つ。
【0028】
Vr=V0・cos(α−β)・・・(1)
【0029】
ここで、自車C0と路側物(静止物)Sの相対速度Vrは、自車の車速V0となるはずであるが、前側方ミリ波レーダ12では、自車C0と路側物(静止物)Sの相対速度Vrは、Vr=V0・cos(α−β)と測定される。このように、前側方ミリ波レーダ12で検出される自車C0と路側物(静止物)の相対速度Vrは、相対速度の方位角依存性、具体的には、cos(α−β)により、V0〜0の間で変位してしまう。
【0030】
本実施の形態では、前側方ミリ波レーダ12の検出結果に基づいて、物標が路側物(静止物)か否かを判定する場合に、相対速度の方位角依存性を考慮して、前側方ミリ波レーダ12で検出した相対速度Vrを下式(2)のように補正(角度変換)した相対速度Vr’を算出する。
【0031】
Vr’=Vr/cos(α−β) ・・・(2)
【0032】
そして、下式(3)を満たす場合、すなわち、補正(角度変換)した相対速度Vr’と、車速センサ20で検出された自車速度V0との差分の絶対値が閾値範囲内となる場合に、物標を停止物と判定する。
【0033】
|Vr’−V0|<N(閾値) ・・・(3)
【0034】
図4は、上記構成の物体検出装置1の検出部31が行う処理のうち、上記図3に示すように、路側物(静止物)Sが前方ミリ波レーダ11の検出範囲R1から前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2に切り替わる場合に、前側方ミリ波レーダ12でその路側物(静止物)Sの検出を行う静止物検出処理の概要を示すフローチャートである。
【0035】
図4において、まず、前方ミリ波レーダ11の検出範囲R1で路側物標(静止物)を検知したか否かを判定する(ステップS1)。前方ミリ波レーダ11で受信した信号に基づいて検出した物標の相対速度Vrと、車速センサ20で検出された自車速度V0の差分の絶対値が、閾値範囲内の場合に、静止物と判定する。
【0036】
前方ミリ波レーダ11の検知範囲R1で路側物標(静止物)を検知していない場合には(ステップS1の「No」)、当該フローを終了する一方、路側物標(静止物)を検知した場合には(ステップS1の「Yes」)、前方ミリ波レーダ11により検出した路側物標(停止物)の今回位置または今回予測位置が前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2内にあるか否かを判定する(ステップS2)。
【0037】
前方ミリ波レーダ11が検知した路側物標(静止物)の今回位置または今回予測位置が前側方ミリ波レーダ12の検出範囲D2内にない場合には(ステップS2の「No」)、当該フローを終了する一方、前方ミリ波レーダ11が検知した路側物標(静止物)の今回位置または今回予測位置が前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2内にある場合には(ステップS2の「Yes」)、今回位置または今回予測位置±閾値範囲内で、前側方ミリ波レーダ12で物標を検知したか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、前方ミリ波レーダ11が検出した路側物標(静止物)が、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2内に入った場合に、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2内に該当する物標があるか否かを確認する。
【0038】
今回位置または今回予測位置±閾値範囲内で、前側方ミリ波レーダ11が物標を検出していない場合には(ステップS3の「No」)、当該フローを終了する。他方、今回位置または今回予測位置±閾値範囲内で、前側方ミリ波レーダ12が物標を検出している場合には(ステップS3の「Yes」)、相対速度の方位角依存性を考慮し、上記式(2)および式(3)により、前側方ミリ波レーダ12で検出した相対速度Vrを補正(角度変換)した相対速度Vr’=Vr/cos(α−β)を算出し、補正した相対速度Vr’と車速センサ20で検出された自車速度V0との差分の絶対値が、閾値範囲内であるか否かを判定する(ステップS4)。すなわち、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2内に路側物標(静止物)と予想される物標がある場合には、実際に路側物標(静止物)であるか否かを確認する。このように、前方ミリ波レーダ11で路側物標(静止物)であると判定された物標については、前側方ミリ波レーダ12でも路側物標(静止物)と仮定して、路側物標(静止物)か否かの判定を行っている。
【0039】
補正した相対速度Vr’と車速センサ20で検出された自車速度V0との差分の絶対値が、閾値範囲内にない場合には(ステップS4の「No」)、当該フローを終了する。他方、補正した相対速度Vr’と車速センサ20で検出された自車速度V0との差分の絶対値が、閾値範囲内にある場合には(ステップS4の「Yes」)、路側物(静止物)として、物標を即時に確定する(ステップS5)。
【0040】
図5は、上記構成の物体検出装置1の物標追尾処理部32が行う処理のうち、前側方ミリ波レーダ12の検出結果に基づく路側物(静止物)のトラッキングの概略を説明するためのフローチャートである。図6は、路側物(停止物)による相対速度変化を考慮した次回予測ピークを説明するための図である。同図は、前側方ミリ波レーダ12の受信信号の周波数スペクトルを示しており、横軸は周波数f、縦軸は受信パワー(dBV)を示している。同図において、P1は今回実測ピークを示しており、P2は路側物(停止物)による相対速度変化を考慮した次回予測ピークを示している。
【0041】
図5において、まず、前方ミリ波レーダ11とのフュージョンにより確定した路側物(静止物)が存在するか否かを判定する(ステップS11)。前方ミリ波レーダ11とのフュージョンにより確定した路側物(静止物)が存在しない場合には(ステップS11の「No」)、当該フローを終了する一方、前方ミリ波レーダ11とのフュージョンにより確定した路側物(静止物)が存在する場合には(ステップS11の「Yes」)、次回予測ピーク位置を推定する際に、路側物(静止物)であることを考慮し、トラッキングピーク位置を算出する(ステップS12)。すなわち、前方ミリ波レーダ11とのフュージョンにより確定した路側物(静止物)については、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2を外れるまで自車速度V0と、カーブRから今回予測位置を追従する。この場合、前側方ミリ波レーダ12の中心軸L2と自車両進行方向が異なることにより発生する相対速度変化に追従するため、上述した角度変換を行って、路側物(静止物)の次回予測ピーク位置を正確に推定して、トラッキングを容易にする。
【0042】
以上説明したように、実施の形態1によれば、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2については、相対速度の方位角依存性を考慮し、車速センサ20で取得した自車速度V0および前側方ミリ波レーダ12で取得した相対速度Vrおよび方位角βに基づいて、物体が静止物であるか否かを判定することとしたので、物標の相対速度の方位角依存性に拘わらず、高精度に停止物を判定することが可能となる。付言すると、広角型やレーダ中心軸が自車両進行方向と異なるレーダ装置において、検出される相対速度が物標の方位角により大きく変動する場合においても、高精度に停止物を判定することが可能となる。
【0043】
また、前側方ミリ波レーダ12で取得した相対速度Vrを取得した方位角βで補正した相対速度Vr’と、自車速度V0との差分が閾値範囲内である場合に、物体を静止物であると判定することとしたので、簡単かつ高精度に停止物を判定することが可能となる。
【0044】
また、前方ミリ波レーダ11の検出範囲R1で停止物と判定された物標については、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2でも停止物と仮定して、停止物か否かの判定を行うこととしたので、前側方ミリ波レーダ12の検出範囲R2において、自車両に向かってくる接近移動物または路側物(停止物)かの判定を短時間で行うことができ、路側物(停止物)を確実かつ即時に確定させることができる。また、路側物(停止物)を早い段階で見極めることができるので、前側方ミリ波レーダ12の中心軸L2と自車両進行方向が異なることにより、相対速度が自車両速度からゼロまで変化するトラッキングに予測追従することができる。
【0045】
なお、実施の形態1では、前側方ミリ波レーダ12が相対速度Vrおよび方位角βを取得することとしたが、方位角βを検出するための方位角取得手段を別個に設ける構成としてもよい。
【0046】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、前方ミリ波レーダ11と車両前方左側に配置した前側方ミリ波レーダ12をフュージョンさせて路側物標(静止物)を確定することとしたが、路側物標(静止物)を確定する場合にフュージョンさせるレーダの組み合わせは、必ずしも上述した組み合わせに限定されるわけではなく、レーダの検出範囲が異なり、かつ検出範囲が一部重複していれば如何なる形式のレーダを組み合わせることにしてもよい。
【0047】
図7は、本発明の実施の形態2に係る物体検出装置の機能構成を示すブロック図である。図7において、図1と同等機能を有する部位には同一符号を付している。図8は、図7の物体検出装置に搭載されるレーダの配置位置を説明するための図である。
【0048】
図7に示す物体検出装置1は、図8に示すように、さらに、車両前方右側に配置された前側方ミリ波レーダ13、車両左側側方に配置された側方ミリ波レーダ14、車両右側側方に配置された側方ミリ波レーダ15、車両後方に配置された後方ミリ波レーダ16、車両後方左側に配置された後側方ミリ波レーダ17、車両後方右側に配置された後側方ミリ波レーダ18を備えている。レーダ13〜18は、近距離広角レーダであり、前側方ミリ波レーダ12と同様に、相対速度の方位角依存性を考慮して、路側物標(静止物)の判定を行う。
【0049】
図8において、L13、L14,L15,L16,L17,L18は、前側方ミリ波レーダ13、側方ミリ波レーダ14、側方ミリ波レーダ15、後方ミリ波レーダ16、後側方ミリ波レーダ17、後側方ミリ波レーダ18のレーダ中心軸をそれぞれ示している。
【0050】
前方ミリ波レーダ11と前側方ミリ波レーダ12、前側方ミリ波レーダ12と側方ミリ波レーダ14、側方ミリ波レーダ14と後側方ミリ波レーダ17、後側方ミリ波レーダ17と後方ミリ波レーダ16は、それぞれ検出範囲が一部重複しており、実施の形態1と同様に、路側物標(静止物)を確定する際にフュージョンさせる。
【0051】
また、前方ミリ波レーダ11と前側方ミリ波レーダ13、前側方ミリ波レーダ13と側方ミリ波レーダ15、側方ミリ波レーダ15と後側方ミリ波レーダ18、後側方ミリ波レーダ18と後方ミリ波レーダ16は、それぞれ検出範囲が一部重複しており、実施の形態1と同様に、路側物標(静止物)を確定する際にフュージョンさせる。
【0052】
なお、上記した実施の形態では、レーダとして、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式を使用することとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、他の方式のレーダを使用することにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る物体検出装置、物体検出方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムは、ACC(自動車間制御)、PBA(プリクラッシュブレーキアシスト)、PSB(プリクラッシュシートベルト)等の走行安全システムに使用されるレーダ装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係る物体検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】前方ミリ波レーダおよび前側方ミリ波レーダの配置位置を説明するための図である。
【図3】前方ミリ波レーダと前側方ミリ波レーダの検出範囲および相対速度の方位角依存性を説明するための図である。
【図4】静止物検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】前側方ミリ波レーダにおける追跡処理の概略を説明するためのフローチャートである。
【図6】路側物標(静止物)による相対速度変化を考慮した次回予測ピークを説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る物体検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】レーダの配置位置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 物体検出装置
11 前方ミリ波レーダ
12 前側方ミリ波レーダ
13 前側方ミリ波レーダ
14 側方ミリ波レーダ
15 側方ミリ波レーダ
16 後方ミリ波レーダ
17 後側方ミリ波レーダ
18 後側方ミリ波レーダ
20 車速センサ
30 演算部
31 検出部
32 物標追尾処理部
40 記憶部
50 車両制御装置
R1、R2,R12 検出範囲
L11〜L18 レーダ中心軸
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−82974(P2008−82974A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−265734(P2006−265734)