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【発明の名称】 移動体用エネルギー伝送システム
【発明者】 【氏名】深田 善樹

【要約】 【課題】本発明は、エネルギーの伝送に用いる電磁波の送信元と移動体(送信先)との間の障害物を的確に検出するとともに、その検出構成を簡易化した、移動体用エネルギー伝送システムの提供を目的とする。

【解決手段】マイクロ波等の電磁波によって移動体100にエネルギーを伝送する移動体用エネルギー伝送システムであって、前記電磁波を移動体100に向けて送信するエネルギー伝送装置50と、移動体100側に備えられ、エネルギー伝送装置50によって送信された電磁波の一部又は全部を覆うように特性の異なる複数の信号波を発信する信号発信機30と、エネルギー伝送装置50側に備えられ、信号発信機30によって発信された信号波を受信する単一の信号受信機40とを備え、信号受信機40によって受信された信号波の受信結果に基づいて移動体100とエネルギー伝送装置50との間の障害物を検出することを特徴とする、移動体用エネルギー伝送システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波によって移動体にエネルギーを伝送する移動体用エネルギー伝送システムであって、
前記電磁波を前記移動体に向けて送信するエネルギー伝送手段と、
前記移動体側に備えられ、前記エネルギー伝送手段によって送信された電磁波の一部又は全部を覆うように特性の異なる複数の信号波を発信する発信手段と、
前記エネルギー伝送手段側に備えられ、前記発信手段によって発信された信号波を受信する単一の受信手段とを備え、
前記受信手段によって受信された信号波の受信結果に基づいて、前記移動体と前記エネルギー伝送手段との間の障害物を検出することを特徴とする、移動体用エネルギー伝送システム。
【請求項2】
電磁波によって移動体にエネルギーを伝送する移動体用エネルギー伝送システムであって、
前記電磁波を前記移動体に向けて送信するエネルギー伝送手段と、
前記エネルギー伝送手段側に備えられ、前記エネルギー伝送手段によって送信された電磁波の一部又は全部を覆うように特性の異なる複数の信号波を発信する発信手段と、
前記移動体側に備えられ、前記発信手段によって発信された信号波を受信する単一の受信手段とを備え、
前記受信手段によって受信された信号波の受信結果に基づいて、前記移動体と前記エネルギー伝送手段との間の障害物を検出することを特徴とする、移動体用エネルギー伝送システム。
【請求項3】
前記複数の信号波の特性が、更に、移動体毎に異なることを特徴とする、請求項1に記載の移動体用エネルギー伝送システム。
【請求項4】
前記エネルギー伝送手段は、前記受信手段によって受信される信号波の受信が停止した場合、前記電磁波の送信を停止する、請求項1から3のいずれかに記載の移動体用エネルギー伝送システム。
【請求項5】
前記発信手段は、前記エネルギー伝送手段によって送信された電磁波の進路に対し地面側の空間を前記複数の信号波の一部又は全部が通るように発信する、請求項1から4のいずれかに記載の移動体用エネルギー伝送システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波によって移動体にエネルギーを伝送する移動体用エネルギー伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指向性電磁波を用いて給電器からエネルギーを送出することによって、充電ケーブルを接続することなく無配線で、電気自動車に搭載されるバッテリを充電する充電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、電気自動車側から発信された信号光が給電器側に設置された受光板に達しない場合には、給電器と電気自動車との間に障害物があるとして、指向性電磁波の送出を停止させることが開示されている。さらに、その信号光は、給電器側の給電口を包絡するように円を描いて電気自動車側の受電口の周囲から発信されてもよい旨が開示されている。
【特許文献1】特開平7−236204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の開示内容では、信号光を発信する発信機を複数配置すると、各発信機が発信した信号光をそれぞれ受信する受信機を発信機と同数配置しなければならないという考えに至らざるを得ず、障害物の検出構成の簡易化というニーズを満足させることができない。
【0004】
そこで、本発明は、エネルギーの伝送に用いる電磁波の送信元と移動体(送信先)との間の障害物を的確に検出するとともに、その検出構成を簡易化した、移動体用エネルギー伝送システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムは、
電磁波によって移動体にエネルギーを伝送する移動体用エネルギー伝送システムであって、
前記電磁波を前記移動体に向けて送信するエネルギー伝送手段と、
前記移動体側に備えられ、前記エネルギー伝送手段によって送信された電磁波の一部又は全部を覆うように特性の異なる複数の信号波を発信する発信手段と、
前記エネルギー伝送手段側に備えられ、前記発信手段によって発信された信号波を受信する単一の受信手段とを備え、
前記受信手段によって受信された信号波の受信結果に基づいて、前記移動体と前記エネルギー伝送手段との間の障害物を検出することを特徴とする。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムは、
電磁波によって移動体にエネルギーを伝送する移動体用エネルギー伝送システムであって、
前記電磁波を前記移動体に向けて送信するエネルギー伝送手段と、
前記エネルギー伝送手段側に備えられ、前記エネルギー伝送手段によって送信された電磁波の一部又は全部を覆うように特性の異なる複数の信号波を発信する発信手段と、
前記移動体側に備えられ、前記発信手段によって発信された信号波を受信する単一の受信手段とを備え、
前記受信手段によって受信された信号波の受信結果に基づいて、前記移動体と前記エネルギー伝送手段との間の障害物を検出することを特徴とする。
【0007】
これらの移動体用エネルギー伝送システムであれば、前記複数の信号波のそれぞれの特性が互いに異なるので、複数の信号波を複数の受信手段によって受信するのではなく単一の受信手段によって受信したとしても、障害物がどの信号波を遮蔽したのかを的確に判別することができるので、どの信号波の進路上に障害物が存在するのかを特定することができる。
【0008】
ここで、前記複数の信号波の特性を更に移動体毎に異ならせると、前記電磁波の送信対象である移動体が複数存在する場合、どの移動体と前記エネルギー伝送手段との間に障害物が存在するのかを判断することができる。
【0009】
また、前記エネルギー伝送手段は、前記受信手段によって受信される信号波の受信が停止した場合、前記電磁波の送信を停止すると好適である。
【0010】
また、前記発信手段は、前記エネルギー伝送手段によって送信された電磁波の進路に対し地面側の空間を前記複数の信号波の一部又は全部が通るように発信すると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エネルギーの伝送に用いる電磁波の送信元と移動体(送信先)との間の障害物を的確に検出するとともに、その検出構成を簡易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムとは、マイクロ波等の電磁波(エネルギービーム)を移動体に送信することによってエネルギーを移動体に伝送するシステムである。図1は、本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムの第1の実施形態を示す図である。
【0013】
車両100は、レクテナ10を備えるエネルギー受信装置20を搭載する。レクテナ10は、後述するエネルギー伝送装置50が送信したマイクロ波を受信し、受信したマイクロ波を電気エネルギーに変換し、マイクロ波のエネルギーを直流電流に整流変換するアンテナである。変換された電気エネルギーは、バッテリやキャパシタなどの車載の蓄電装置15に充電され、車両100に存在する各電気負荷の電力供給源となる。レクテナ10は、車両100の上方からマイクロ波を受信できるように、車両100のルーフ等の車体上面に位置する。
【0014】
一方、車両100に向けてマイクロ波を送信するエネルギー伝送装置50は、マイクロ波送信アンテナ5とマイクロ波生成器8を備える。マイクロ波送信アンテナ5は、マイクロ波生成器8が生成したマイクロ波を車両100に向けて送信可能なアンテナである。マイクロ波送信アンテナ5は、車両100の上方からマイクロ波を送信できるように地面から所定の高さ(例えば、地面から10m)の位置に設置される。例えば、マイクロ波送信アンテナ5は、家屋やビル等の建物、高架、電柱、塔、信号機などの地上設備200に取付けられたり、飛行機、人工衛星、宇宙ステーションなどに取り付けられたりする。マイクロ波生成器8は、直流または交流の電力をマイクロ波に変換して生成する。マイクロ波生成器8の具体例として、電子レンジにも使用されるマグネトロンが挙げられる。
【0015】
ところで、マイクロ波などの電磁波によるエネルギー伝送は空間を介して無配線で行われるため、電磁波の送信側と受信側との間にその電磁波を遮るような人や物体などの障害物が存在する場合には、車両100に対するエネルギー伝送を確実に行うことができなくなる。
【0016】
そこで、図1に示される本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムの第1の実施形態では、そのような障害物を検出するために、マイクロ波の受信側には所定の信号波を発信する複数の信号発信機30*から構成されるアレイ30を備えるとともに、マイクロ波の送信側にはその複数の信号発信機30*が発信した信号波を受信する単一の信号受信機40を備える。複数の信号発信機30*から発信された信号波のいずれかが信号受信機40によって受信されない場合、その間に障害物が存在するとみなすことができる。
【0017】
アレイ30を構成する複数の信号発信機30*は、信号波として、例えば、所定の波長を有するレーザーを照射する。信号発信機30*は、YAGレーザーや半導体レーザー等を発生させるレーザー発生器、レーザー整形レンズ及び回折光学素子を備えている。レーザー発生器は、所定の波長を有するレーザー、例えば可視光領域である0.55μmの波長を有するレーザーを発生させる。図示しない所定の制御装置からの制御指令に従って、レーザー発生器は、レーザーを発生させる。このとき、レーザー発生器は、その制御装置からの指令に基づいて、発生するレーザーの明度、色相を変更することができるようにしてもよい。また、レーザー整形レンズは、レーザー発生器で発生したレーザーを整形する機能を有している。回折光学素子は、回折格子の格子ピッチの変化によりレーザー整形レンズから出力されたレーザーの進行方向を変化させる機能を有している。
【0018】
また、複数の信号発信機30*は、光通信に係る通信光を発光する発光手段でもよく、例えば可視光や赤外線等に相当する光を信号波として発光してもよい。信号発信機30*は、発光ダイオードや半導体レーザーなどの発光素子によって形成される。信号発信機30*は、エンコーダの駆動によって通信光(信号波)を点滅させる。信号発信機30*は、図示しない所定の制御装置からの制御指令に従って、通信相手に伝達すべき情報に応じた通信光を発光する。その制御装置は、所定の光通信フォーマットに従い、通信相手に伝達すべき情報に、その情報の送信元を特定するための送信元IDや送信先を特定するための送信先IDなどを付与して、エンコード処理を行って、信号発信機30*を発光させる。
【0019】
また、各信号発信機30*は、マイクロ波送信アンテナ5が送信したマイクロ波が入射する受電部(レクテナ10)の周囲に配置され、そのマイクロ波の一部又は全部を覆うように信号波を発信する。レクテナ10の周囲に配置された信号発信機30*同士の配置間隔は、検出対象とする障害物の大きさに応じて決める。すなわち、二つの隣り合う信号発信機30*が発信した信号波の間隔が、想定する障害物の大きさより狭い間隔となるように、当該二つの隣り合う信号発信機30*を配置する。例えば、各信号発信機30*が発信した信号波の間隔が人の頭部の大きさより狭い間隔となるように各信号発信機30*を配置する。
【0020】
なお、障害物によってマイクロ波の遮られ得る箇所によっては、信号発信機30*をレクテナ10の全周に配置するのではなく、レクテナ10の周囲の一部に配置するようにしてもよい。例えば、車両100におけるレクテナ10の搭載位置より高い位置に設置したマイクロ波送信アンテナ5が送信したマイクロ波をレクテナ10で受信する場合であって、レクテナ10の搭載位置が人の想定身長より高い位置にある場合、レクテナ10の周囲のうち地面に平行な水平面に対して下側の部分のみに信号発信機30*を配置するようにしてもよい。
【0021】
また、各信号発信機30*は、互いに異なる特性の信号波を送信する。各信号発信機30*からそれぞれ異なる特性の信号波を送信することによって、各信号発信機30*が発信した複数の信号波のうちどの信号波が遮断されたのかを信号受信機40側で判別することができるようになる。なお、遮断される信号波の特定について高精度の検出が要求されない場合には、各信号発信機30*が発信する全ての信号波の特性を異ならせるのではなく、いくつかの信号波ごとにその特性を異ならせるようにしてもよい。
【0022】
それぞれの信号発信機30*が送信する信号波に異なる特性を与えるために、例えば、信号波の波長をそれぞれ異なるようにすればよい。信号受信機40は、受信した信号波(検出光)を回折格子やプリズムによって波長毎に分離する。これにより、どの信号波が遮断されたのかを判別することができる。
【0023】
また、信号波に異なる特性を与えるために、パルス状の信号波を各信号発信機30*が順番に送信するようにしてもよい。図2は、パルス状の信号波を順番に送信した場合を説明するための図である。図2(a)に示されるように、第1の信号発信機が所定の固定周期でパルス状の信号波を送信し、第2の信号発信機が第1の信号発信機と同じ固定周期で同じパルス状の信号波を所定量だけ位相をずらして送信する。これにより、信号受信機40は、図2(b)に示されるように、各信号発信機が発信した信号波がまとまった固定周期のパルス状の受信信号を受信する。このように、各信号発信機30*が送信するパルス状の信号波の送信タイミングを所定時間ずつ遅延させて送信することによって、どの信号波が遮断されたのかを判別することができる。例えば、信号発信機30が発信した信号波が遮断された場合には、信号受信機40はその部分のパルスが欠けていることをパルスのカウントにより認識することができるため、信号発信機30が発信した信号波が通る空間に障害物があると判断することができるようになる。
【0024】
また、信号波に異なる特性を与えるために、各信号発信機30*からの光強度を周波数変調し、信号発信機30*ごとに異なった周波数で変調するようにしてもよい。図3は、光強度を周波数変調した場合を説明するための図である。図3に示されるように、各信号発信機30が発信する通信光の光強度を信号発信機30*毎に異なる周波数で変調することによって、その信号波が遮断されたのかを判別することができる。
【0025】
一方、信号受信機40は、エネルギー伝送装置50側(マイクロ波の送信側)に一つだけ設置され、複数の信号発信機30*が発信した信号波を全て受信する。信号受信機40が受信した信号波に基づいて、エネルギー伝送装置50側(マイクロ波の送信側)と車両100側(マイクロ波の受信側)との間に障害物が存在するか否かが判別可能となる。すなわち、複数の信号発信機30*が発信した信号波は上述のように互いに異なる特性を有しているので、エネルギー伝送装置50は、各信号発信機30*が発信した複数の信号波のうちどの信号波が遮断されたのかを信号受信機40によって判別し、その遮断された信号波が通る空間に障害物があると判断することができる。
【0026】
なお、信号受信機40は、複数の信号発信機30*が発信した信号波が通信光の場合、その通信光を受光する受光部を備える。受光部は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子によって形成される。受光部は、車両100が搭載する信号発信機30の発光部16が発光した通信光を受光し、その受光結果を所定の通信制御部(特に図示せず)に伝送する。通信制御部は、受光部から出力される受光結果をデコード処理することによって、受信した情報を取得し、受信情報に応じた所定の処理を実行する。
【0027】
エネルギー受信装置20がエネルギー伝送装置50に対してマイクロ波の送信の開始を要求する場合、信号発信機30*が信号波の発信を開始する。エネルギー伝送装置50は、信号発信機30*が発信した信号波を信号受信機40によって受信した場合に、マイクロ波の送信を要求する要求信号を受信したとして、マイクロ波の送信を開始する。エネルギー伝送装置50は、信号発信機30*が発信した信号波を信号受信機40によって受信している状態では、マイクロ波の送信を継続する。
【0028】
エネルギー伝送装置50は、信号受信機40の受信結果に基づいて信号発信機30*のいずれかの信号波が遮断したと判断した場合、マイクロ波送信アンテナ5から送信されるマイクロ波の送信を停止する。このとき、マイクロ波を停止するのではなく、マイクロ波の出力を制限してもよい。したがって、エネルギー伝送装置50側と車両100側との間に障害物が存在しても、その障害物にマイクロ波が照射されないようにすることができる。マイクロ波を出力制限した場合には、その障害物に照射されるマイクロ波を弱めることができる。
【0029】
また、エネルギー伝送装置50は、信号発信機30*が発信した信号波がマイクロ波の送信の開始や停止を要求する通信光である場合に、マイクロ波送信アンテナ5から送信されるマイクロ波の送信を開始したり停止したりしてもよい。例えば、車両100側に異常が発生した場合に、信号発信機30*がマイクロ波の停止を要求する通信光を送信する。信号受信機40の受光部はマイクロ波の停止を要求する通信光を受光し、上述の通信制御部はその通信光の情報に従って、マイクロ波の送信を停止させるための処理を実行する。
【0030】
図4は、エネルギー伝送装置50が車両100に向けて送信したマイクロ波と車両100に搭載される信号発信機30が送信した信号波との関係を説明するための図である。信号波の指向角(広がり度合い)は、各信号発信機30*の取り付け位置を中心に所定角θをもって広がる。すなわち、信号波は各信号発信機30*の取り付け位置を頂点として錘状に拡がっている。取付け位置からの信号波の伝送距離が長くなるにつれてその錘状の底の大きさ(面積)は拡がる。したがって、信号受信機40は、各信号発信機30*が発信した指向角θを有する信号波をすべて受信できるような位置に調整されて設置される。例えば、図4に示されるように、地面からの高さがh4の位置に設置された信号受信機41は、信号発信機30,30の発信した信号波を受信できるが、信号発信機30,30の発信した信号波を受信できない。一方、地面からの高さがh2の位置に設置された信号受信機40は、信号発信機30,30,30,30の発信した信号波をすべて受信できる。
【0031】
図4の場合、信号発信機30*は、マイクロ波アンテナ5が送信したマイクロ波の進路(図4上では一点鎖線で表示)に対し地面側の空間を信号波の少なくとも一部が通るように発信する。このように信号波を発信することで、マイクロ波の進路の地面側に存在する障害物を的確に検出することができる。さらに、レクテナ10の設置高さより高い位置からマイクロ波を送信する場合には、信号受信機40をマイクロ波送信アンテナ5の設置高さより低い位置に設置することで、信号発信機30*が送信した信号波の少なくとも一部がマイクロ波の進路に対し地面側の空間を通るように調整しやすくなる。
【0032】
したがって、本発明の第1の実施形態によれば、複数の信号波のそれぞれの特性を異ならせることによって、信号受信機40を複数取付けるのではなく一つの信号受信機40さえあれば、マイクロ波の送信側と受信側との間に存在する障害物がどの信号波を遮断したのかを判別することができるので、どの信号波の進路上に当該障害物が存在するのかを特定することができる。各信号波発信機30*が発信する信号波が同じ信号波であれば、どの信号波が遮断されたか否かを判断するためには、その信号波のそれぞれに対応する信号受信機が同数必要であるからである。また、各信号波発信機30*が発信する信号波が同じ信号波であれば、マイクロ波の送信側と受信側との距離が長くなるにつれて、各信号発信機30*が発信した信号波(信号光)が干渉しやすくなるため、障害物の検出精度が低下するおそれがあるが、複数の信号波のそれぞれの特性を異ならせることによって、そのような干渉を防ぐことができ、障害物の検出精度の低下を抑えることができる。
【0033】
図5は、本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムの第2の実施形態を示す図である。第2の実施形態の構成のうち第1の実施形態と同一または同様の機能を有する部分は、第1の実施形態と同一の符号を付与して、それらの説明を省略又は簡略する。
【0034】
図5に示される第2の実施形態では、電磁波の送信側と受信側との間の障害物を検出するために、所定の信号波を発信する複数の信号発信機30*から構成されるアレイ30は、第1の実施形態のようにマイクロ波を受信するエネルギー受信装置20側に備えるのではなく、マイクロ波を送信するエネルギー伝送装置50側に備える。さらに、複数の信号発信機30*が発信した信号波を受信する単一の信号受信機40は、第1の実施形態のようにマイクロ波を送信するエネルギー伝送装置50側に備えるのではなく、マイクロ波を受信するエネルギー受信装置20(車両100)側に備える。複数の信号発信機30*から発信された信号波のいずれかが信号受信機40によって受信されない場合、その間に障害物が存在するとみなすことができる。
【0035】
各信号発信機30*は、マイクロ波送信アンテナ5の周囲に配置され、マイクロ波送信アンテナ5が送信するマイクロ波の一部又は全部を覆うように信号波を発信する。マイクロ波送信アンテナ5の周囲に配置された信号発信機30*同士の配置間隔は、検出対象とする障害物の大きさに応じて決める。すなわち、二つの隣り合う信号発信機30*が発信した信号波の間隔が、想定する障害物の大きさより狭い間隔となるように、当該二つの隣り合う信号発信機30*を配置する。例えば、各信号発信機30*が発信した信号波の間隔が人の頭部の大きさより狭い間隔となるように各信号発信機30*を配置する。
【0036】
なお、障害物によってマイクロ波の遮られ得る箇所によっては、信号発信機30*をマイクロ波送信アンテナ5の全周に配置するのではなく、マイクロ波送信アンテナ5の周囲の一部に配置するようにしてもよい。例えば、車両100におけるレクテナ10の搭載位置より高い位置に設置したマイクロ波送信アンテナ5が送信したマイクロ波をレクテナ10で受信する場合であって、レクテナ10の搭載位置が人の想定身長より高い位置にある場合、マイクロ波送信アンテナ5の周囲のうち地面に平行な水平面に対して下側の部分のみに信号発信機30*を配置するようにしてもよい。
【0037】
また、上述の第1の実施形態と同様に、各信号発信機30*は、互いに異なる特性の信号波を送信する。
【0038】
一方、信号受信機40は、車両100側(マイクロ波の受信側)に一つだけ設置され、複数の信号発信機30*が発信した信号波を全て受信する。車両100側のエネルギー受信装置20は、複数の信号発信機30*が発信した信号波は上述のように互いに異なる特性を有しているので、各信号発信機30*が発信した複数の信号波のうちどの信号波が遮断されたのかを信号受信機40によって判別し、その遮断された信号波が通る空間に障害物があると判断することができる。
【0039】
さらに、第2の実施形態では、車両100側にはマイクロ波の伝送をエネルギー伝送装置50に要求する信号を送信する手段(第2の信号発信機60)を備えるとともに、エネルギー伝送装置50側には第2の信号発信機60が発信した要求信号を受信する第2の信号受信機70を備える。
【0040】
エネルギー受信装置20がエネルギー伝送装置50に対してマイクロ波の送信の開始を要求する場合、第2の信号発信機60がマイクロ波の送信を要求する要求信号の発信を開始する。エネルギー伝送装置50は、第2の信号発信機60が発信した当該要求信号を第2の信号受信機70によって受信した場合に、マイクロ波の送信を要求する要求信号を受信したとして、マイクロ波の送信を開始する。エネルギー伝送装置50は、第2の信号発信機60が発信した要求信号を第2の信号受信機70によって受信している状態では、マイクロ波の送信を継続する。
【0041】
エネルギー伝送装置50は、第2の信号発信機60が発信した要求信号が第2の信号受信機70によって検出されない場合に、マイクロ波の送信を停止する。このようにすることによって、当該要求信号が上述のような障害物によって遮断されるおそれがあるため、マイクロ波が障害物に照射され続けないようにすることができる。
【0042】
また、エネルギー受信装置20は、信号受信機40の受信結果に基づいて信号発信機30*のいずれかの信号波が遮断したと判断した場合に、第2の信号発信機60による要求信号の発信を停止させることによって、マイクロ波送信アンテナ5から送信されるマイクロ波の送信を停止する。このとき、マイクロ波を停止するのではなく、マイクロ波の出力を制限してもよい。したがって、エネルギー伝送装置50側と車両100側との間に障害物が存在しても、その障害物にマイクロ波が照射されないようにすることができる。マイクロ波を出力制限した場合には、その障害物に照射されるマイクロ波を弱めることができる。
【0043】
なお、第2の実施形態においても、図4と同様の考えで、信号受信機40は、各信号発信機30*が発信した指向角θを有する信号波をすべて受信できるような位置に調整されて設置される。
【0044】
したがって、本発明の第2の実施形態によれば、複数の信号波のそれぞれの特性を異ならせることによって、信号受信機40を複数取付けるのではなく一つの信号受信機40さえあれば、マイクロ波の送信側と受信側との間に存在する障害物がどの信号波を遮断したのかを判別することができるので、どの信号波の進路上に当該障害物が存在するのかを特定することができる。各信号波発信機30*が発信する信号波が同じ信号波であれば、どの信号波が遮断されたか否かを判断するためには、その信号波のそれぞれに対応する信号受信機が同数必要であるからである。また、各信号波発信機30*が発信する信号波が同じ信号波であれば、マイクロ波の送信側と受信側との距離が長くなるにつれて、各信号発信機30*が発信した信号波(信号光)が干渉しやすくなるため、障害物の検出精度が低下するおそれがあるが、複数の信号波のそれぞれの特性を異ならせることによって、そのような干渉を防ぐことができ、障害物の検出精度の低下を抑えることができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0046】
例えば、エネルギー伝送の対象となる移動体の具体例として「車両」を挙げて本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムが対象とする移動体は、飛行機、船舶、ロボットなどでもよい。
【0047】
また、エネルギーを伝送する電磁波の具体例として「マイクロ波」を挙げて本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムがエネルギー伝送に用いる電磁波は、効率や信号波との干渉などを考慮の上、赤外線等の他の周波数帯の電磁波でもよい。
【0048】
また、第1の実施形態では、各信号発信機30*が発信する信号波の特性がそれぞれ異なるようにしたが、さらに、車両毎に信号機30*が発信する信号波の特性がそれぞれ異なるようにしてもよい。エネルギー受信装置20を搭載する車両100が複数存在する場合に、エネルギー伝送装置50は、どの車両がマイクロ波の送信要求をしているのかを判別することができるとともに、どの車両との間に障害物が存在しているのかを判別することができる。
【0049】
また、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせた実施形態も考えられ得る。電磁波の送信側と受信側との間の障害物を検出するために、所定の信号波を発信する複数の信号発信機30*から構成されるアレイ30を、第1の実施形態のようにマイクロ波を受信するエネルギー受信装置20側に備えるとともに、第2の実施形態のようにマイクロ波を送信するエネルギー伝送装置50側にも備える。さらに、複数の信号発信機30*が発信した信号波を受信する単一の信号受信機40を、第1の実施形態のようにマイクロ波を送信するエネルギー伝送装置50側に備えるとともに、第2の実施形態のようにマイクロ波を受信するエネルギー受信装置20(車両100)側に備える。エネルギー伝送装置50側又は車両100側のいずれかの複数の信号発信機30*から発信された信号波のいずれかが、車両100側又はエネルギー伝送装置50側のいずれかの信号受信機40によって受信されない場合、その間に障害物が存在するとみなすことができる。このように二つ組み合わせることで、障害物の検出精度は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムの第1の実施形態を示す図である。
【図2】パルス状の信号波を順番に送信した場合を説明するための図である。
【図3】光強度を周波数変調した場合を説明するための図である。
【図4】エネルギー伝送装置50が車両100に向けて送信したマイクロ波と車両100に搭載される信号発信機30が送信した信号波との関係を説明するための図である。
【図5】本発明に係る移動体用エネルギー伝送システムの第2の実形態を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
5 マイクロ波送信アンテナ
10 レクテナ
15 蓄電装置
20 エネルギー受信装置
30 アレイ
30 信号発信機
40 信号受信機
50 エネルギー伝送装置
60 第2信号発信機
70 第2信号受信機
100 車両
200 エネルギー伝送装置設置設備
300 障害物
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年9月20日(2006.9.20)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦


【公開番号】 特開2008−76186(P2008−76186A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−254792(P2006−254792)