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【発明の名称】 金属検出装置
【発明者】 【氏名】野崎 隆次

【氏名】草木 謙太郎

【要約】 【課題】複数の磁気センサの磁気検出信号に基づく的確な判定処理を実行し、被検査物の姿勢変化等によって磁性部の位置がばらついても誤判定を確実に防止することのできる金属検出装置を提供する。

【構成】ワーク通過領域10aの近傍に第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12を有する磁気検出部10と、両センサからの磁気検出信号に基づいてワークWの品質状態を判定する判定部20とを備えた金属検出装置において、判定部20は、第1の磁気検出信号が予め設定された第1の閾値を超えるか否かの第1の判定を行う第1の判定手段21と、第2の磁気検出信号が予め設定された第2の閾値を超えるか否かの第2の判定を行う第2の判定手段22とを備え、第1の判定及び第2の判定の結果を基に論理演算を行い、磁性部が適量か否かを判定する総合判定手段25を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性部(Pm;51)を有する被検査物(W)が通過する領域(10a)の近傍に前記磁性部からの磁気を検出する第1の磁気センサ(11)及び第2の磁気センサ(12)を有し、前記第1の磁気センサ(11)の出力に基づいて第1の磁気検出信号を出力するとともに、前記第2の磁気センサ(12)の出力に基づいて第2の磁気検出信号を出力する磁気検出部(10)と、
前記第1の磁気検出信号及び前記第2の磁気検出信号に基づいて、前記被検査物の品質状態を判定する判定部(20)と、を備えた金属検出装置において、
前記判定部は、
前記第1の磁気検出信号に対応して予め設定された第1の閾値(J1)と前記第1の磁気検出信号とを比較し、前記第1の磁気検出信号が前記第1の閾値(J1)を超えるか否かの第1の判定を行う第1の判定手段(21)と、
前記第2の磁気検出信号に対応して予め設定された第2の閾値(J2)と前記第2の磁気検出信号とを比較し、前記第2の磁気検出信号が該第2の閾値(J2)を超えるか否かの第2の判定を行う第2の判定手段(22)とを備え、
前記第1の判定及び前記第2の判定の結果を基に論理演算を行い、前記磁性部が適量か否かを判定する総合判定手段(25)を備えたことを特徴とする金属検出装置。
【請求項2】
前記判定部が、複数の論理式を記憶する論理式記憶手段と、前記複数の論理式のうち何れかの論理式を選択する論理式選択手段とを備え、前記論理式選択手段により選択された論理式を用いて前記総合判定手段の論理演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の金属検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記論理式記憶手段に記憶させる複数の論理式を任意に設定可能な論理式設定手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の金属検出装置。
【請求項4】
前記論理式記憶手段に記憶された前記複数の論理式は、前記磁性部が過多であると判定する論理式を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の金属検出装置。
【請求項5】
前記論理式記憶手段に記憶された前記複数の論理式は、前記磁性部が過少であると判定する論理式を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の金属検出装置。
【請求項6】
前記論理式記憶手段に記憶された前記複数の論理式は、前記第1の判定及び前記第2の判定の結果を基に、前記磁性部が適量であるか否かを判定する論理式を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の金属検出装置。
【請求項7】
前記総合判定手段は、前記論理式を用いる論理演算の結果に基づき前記磁性部の適量、過多若しくは過少の判定結果が予め定められた判定テーブルによって、前記磁性部の過不足を判定することを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の金属検出装置。
【請求項8】
前記第1の磁気センサから前記被検査物までの距離と前記第2の磁気センサから前記被検査物までの距離とが同等であるとき、前記第1の閾値と前記第2の閾値が同一の値であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の金属検出装置。
【請求項9】
前記被検査物に所定の磁界を印加して前記被検査物の一部又は全部に前記磁性部を形成する磁化手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の金属検出装置。
【請求項10】
前記総合判定手段は、前記総合判定手段で判定された前記被検査物に含まれる前記磁性部の状態を表す信号を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の金属検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物中の磁性を有する部分の磁気を磁気センサにより検出して異物検出や欠品検査を行う金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物の磁気や磁気抵抗効果を応用して被検査物中への異物の混入や被検査物に含まれるべき物品や添付品等の構成要素の欠落(欠品)を検出することができる金属検出装置が知られており、金属異物が混入し得る使用環境や磁化され易い構成要素が被検査物に含まれる場合には、それを予め磁化させることで磁気センサを用いて高精度な異物検出や欠品検出、あるいは内容物数の適否判定等を行うことができる磁気反射型の金属検出装置が多用されている。
【0003】
この種の金属検出装置としては、例えば特許文献1に記載のように、被検査物を搬送する搬送路の上流側に被検査物に直流磁界を印加する磁化手段を設けるとともに、その下流側の搬送路の両側(搬送路を挟む両側方又は上下)に複数の磁気センサを配置したものがあり、この装置では、被検査物の磁気を検出して、それら検出信号を互いに異なる複数の閾値と比較することで、被検査物内の磁気印刷物の有無及び収容数の適否を判定できるようになっている。
【特許文献1】特開2005−156437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の金属検出装置にあっては、磁気印刷物のような構成要素が規定数収納されたワーク中でその磁気印刷物の収納位置がばらついたり、ワークの搬送姿勢がばらついたりして、磁気センサに対する磁気印刷物やワークの通過姿勢が変化すると、磁気センサと検出対象とする磁気印刷物との距離が変化するので、検出対象物に近いほど検出出力が大きいという磁気センサの特性より、磁気センサ出力も大きく変動することがあり、そのような場合に前記構成要素が含まれているにもかかわらず、それが検出できない可能性があり、良品を不良品と判定することがあった。
【0005】
例えば、搬送路の上下にそれぞれ配置された磁気センサに対して、通常は被検査物の上面側に添付された添付品の磁気によって上側の磁気センサで大きな出力が得られるような場合、搬送姿勢が固定であれば、この上側の磁気センサ出力を閾値と比較することで、欠品の有無を把握することで確実な欠品検出が可能であるので、複数の閾値は特定の搬送姿勢に対応して大小に大きく異なる値に設定されていた。そのため、搬送姿勢が逆転したり転倒したりすると、通常ならば大きな出力が得られる一方の磁気センサ側で閾値を超える検出信号出力が得られず、欠品していないのに不良と判定してしまう場合があった。なお、搬送路の左右にそれぞれ配置された磁気センサに対して、被検査物の搬送姿勢が左右反転する場合も同様である。
【0006】
また、被検査物の内部の構成要素を検査直前に磁化させる際に被検査物の搬送姿勢が逆転(被検査物の構成要素の位置が大きく変化)したり、あるいはその構成要素に変形や破損等が生じたりしていると、両側のいずれの磁気センサでも通常の搬送姿勢に対応する閾値を超えるような検出信号出力が得られ難くなる場合があり、その場合にも、特許文献1に記載のように複数の磁気センサの検出量を加算した値を用いて閾値判定すれば誤判定の可能性は抑えられるものの、個々のセンサ出力を閾値判定するだけでは誤判定の可能性があった。
【0007】
さらに、被検査物の搬送姿勢自体は安定していても、磁性部の位置が大きくばらつくような場合も、同様な問題が生じていた。
【0008】
そこで、本発明は、複数の磁気センサの磁気検出信号に基づく的確な判定処理を実行することにより、被検査物の姿勢変化等によって磁性部の位置がばらついたりしても誤判定を確実に防止することのできる金属検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的達成のため、(1)磁性部を有する被検査物が通過する領域の近傍に前記磁性部からの磁気を検出する第1の磁気センサ及び第2の磁気センサを有し、前記第1の磁気センサの出力に基づいて第1の磁気検出信号を出力するとともに、前記第2の磁気センサの出力に基づいて第2の磁気検出信号を出力する磁気検出部と、前記第1の磁気検出信号及び前記第2の磁気検出信号に基づいて、前記被検査物の品質状態を判定する判定部と、を備えた金属検出装置において、前記判定部は、前記第1の磁気検出信号に対応して予め設定された第1の閾値と前記第1の磁気検出信号とを比較し、前記第1の磁気検出信号が前記第1の閾値を超えるか否かの第1の判定を行う第1の判定手段と、前記第2の磁気検出信号に対応して予め設定された第2の閾値と前記第2の磁気検出信号とを比較し、前記第2の磁気検出信号が該第2の閾値を超えるか否かの第2の判定を行う第2の判定手段とを備え、前記第1の判定及び前記第2の判定の結果を基に論理演算を行い、前記磁性部が適量か否かを判定する総合判定手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、被検査物中の磁性部の磁気を検出する第1、第2の磁気センサの出力をそれぞれに対応する閾値と比較して第1の判定及び第2の判定がなされ、両判定の結果を基に論理演算がなされて、被検査物中の磁性部が適量か否かの的確な判定がなされることになる。なお、ここにいう磁性部は、被検査物に混入した異物金属であってもよいし、被検査物に含まれるべき構成要素であってもよい。
【0011】
本発明の金属検出装置においては、好ましくは、(2)前記判定部が、複数の論理式を記憶する論理式記憶手段と、前記複数の論理式のうちいずれかの論理式を選択する論理式選択手段とを備え、前記論理式選択手段により選択された論理式を用いて前記総合判定手段の論理演算を行うのがよい。
【0012】
この構成により、例えば欠品検査の内容といった、検査の種類や判定条件等に応じた複数の論理式を記憶させ、検査内容に応じた論理式を選択して使用することで、検査結果についての論理演算による的確な総合判断が可能となる。
【0013】
上記構成の金属検出装置においては、(3)前記判定部は、前記論理式記憶手段に記憶させる複数の論理式を任意に設定可能な論理式設定手段を備えているのが好ましい。これにより、ユーザは検査の内容に応じて論理式を作成して論理式記憶手段に記憶させることで、ユーザが行う検査の目的に合致する的確な論理演算を実行させることが可能となる。
【0014】
また、上記構成を有する金属検出装置においては、(4)前記論理式記憶手段に記憶された前記複数の論理式は、前記磁性部が過多であると判定する論理式を含むのが好ましい。この構成により、磁性部の量が「過多」の被検査物であるか否かを的確に判定可能となる。
【0015】
上記構成を有する金属検出装置においては、あるいは、(5)前記論理式記憶手段に記憶された前記複数の論理式は、前記磁性部が過少であると判定する論理式を含むのが好ましい。この構成により、磁性部の量が「過少」の被検査物であるか否かを的確に判定可能となる。
【0016】
また、上記構成を有する金属検出装置においては、(6)前記論理式記憶手段に記憶された前記複数の論理式は、前記第1の判定及び前記第2の判定の結果を基に、前記磁性部が適量であるか否かを判定する論理式を含むものであっても好ましい。この構成により、磁性部の量が「適量」の被検査物であるか否かを的確に判定可能となる。
【0017】
さらに、本発明の金属検出装置においては、(7)前記総合判定手段は、前記論理式を用いる論理演算の結果に基づき前記磁性部の適量、過多若しくは過少の判定結果が予め定められた判定テーブルによって、前記磁性部の過不足を判定するのがよい。この場合、磁性部が適量か否かの判定のみならず、過多又は過少である場合も的確に判定可能となる。
【0018】
本発明の金属検出装置においては、(8)前記第1の磁気センサから前記被検査物までの距離と前記第2の磁気センサから前記被検査物までの距離とが同等であるとき、前記第1の閾値と前記第2の閾値が同一の値であるのがよい。これにより、予め判定閾値を設定する際の設定作業を軽減することが可能となる。
【0019】
本発明の金属検出装置は、望ましくは、(9)前記被検査物に所定の磁界を印加して前記被検査物の一部又は全部に前記磁性部を形成する磁化手段を備えたものである。この構成により、磁化され易い混入異物や構成要素を磁化手段により磁化させ、異物検出や欠品検出を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の金属検出装置においては、(10)前記総合判定手段は、前記総合判定手段で判定された前記被検査物に含まれる前記磁性部の状態を表す信号を出力するのがよい。この場合、被検査物に含まれる磁性部の状態を表示したり他の形式で出力したりすることができ、ユーザが検査結果を容易に把握可能となる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、第1の判定及び第2の判定の結果を基にした論理演算によって磁性部が適量か否かを的確に判断するので、被検査物の姿勢変化等によって磁性部の位置がばらついたりしても誤判定を確実に防止することのできる金属検出装置を提供することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、検査の種類や判定条件等に応じた複数の論理式を記憶させ、検査内容に応じた論理式を的確に使用するので、検査結果について論理演算による的確な総合判断を行うことができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、ユーザが検査内容に応じ論理式を作成して論理式記憶手段に記憶させることで、ユーザが行う検査の目的に合致する的確な論理演算を実行させることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、磁性部の量が「過多」の被検査物であるか否かを的確に判定することができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、磁性部の量が「過少」の被検査物であるか否かを的確に判定することができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、磁性部の量が「適量」の被検査物であるか否かを的確に判定することができる。
【0027】
請求項7の発明によれば、磁性部が適量か否かの判定のみならず、過多又は過少である場合にも的確に判定することができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、予め判定閾値を設定する際の設定作業を軽減することができる。
【0029】
請求項9の発明によれば、被検査物中の磁化され易い混入異物や構成要素を磁化手段により磁化させ、確実な異物検出や欠品検出を行うことができる。
【0030】
請求項10の発明によれば、被検査物に含まれる磁性部の状態を表示したり他の形式で出力したりすることができ、ユーザに検査結果を容易に把握させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
[第1の実施の形態]
図1〜図3は本発明の金属検出装置の一実施形態を示す図である。
【0033】
図1及び図2において、本実施形態の金属検出装置は、ワークWの搬送路5を挟んで対向するように配置された第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12を有し、第1の磁気検出信号及び第2の磁気検出信号を出力する検出部10(磁気検出部)と、第1の磁気検出信号及び前記第2の磁気検出信号に基づいてワークWの品質状態の良否を判定する判定部の機能を有する制御回路20と、を具備している。
【0034】
検出部10の第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12は、公知のホール素子や磁気抵抗(MR)素子を有するもの、あるいはフラックス・ゲート(磁気同調)型磁気センサや検出コイルからなり、コンベア4(搬送手段)により所定方向に搬送されるワークW(被検査物)が通過する磁気検出領域10aを形成するとともに、この磁気検出領域10aの近傍に位置している。また、第1の磁気センサ11の磁気検出信号は信号生成部16に、第2の磁気センサ12の磁気検出信号は信号生成部17に、それぞれ入力されるようになっており、各ワークWが磁気検出領域10aを通過する間、第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12の検出磁気信号が信号生成部16及び17においてそれぞれA/D変換され、第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2が信号生成部16及び17から出力されるようになっている。すなわち、検出部10は、複数の磁気センサ11、12に対応する信号生成部16、17を有している。
【0035】
コンベア4は、無端のコンベアベルト1を複数対の搬送ローラ2a、2b、3a及び3bに巻回し、そのコンベアベルト1の上走部1aによってその上流側及び下流側のコンベア5a、5bと共に図1中の左から右へとワークWを搬送する搬送路5を形成している。
【0036】
また、ワークWは、包装材で包装された任意の製品、例えば包装容器内に食品を収容し、直方体形状の包装箱の表面に磁化可能な個体識別用のラベル若しくはタグ、おまけのカード等を貼付又は添付したものである。ワークWは、あるいは、包装箱内に薬品と磁性インクで印刷された磁気印刷物を収納したものである。
【0037】
図2に示すように、搬送路5の磁気検出領域10aより上流側の所定位置には、搬送路5を挟んで上下に対向する公知の直流磁界印加用磁石31、32(磁化手段)が必要に応じて設置されるようになっており、これら直流磁界印加用磁石31、32は例えば第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12と同一の上下方向離間距離を隔てた電磁石又は永久磁石からなる。なお、直流磁界印加用磁石31、32は搬送路5の搬送方向にずれて配置されていてもよく、両磁石31、32の離間距離や位置は任意である。
【0038】
直流磁界印加用磁石31、32が設置される場合、ワークWは磁気検出領域10aより上流側の所定位置で直流磁界印加用磁石31、32により直流磁界を印加され、前記磁化可能な識別用のラベル若しくはタグ、おまけのカード等といった特定の構成要素Pnが、所定の残留磁化レベルで磁化された部分Pm(磁性部)となるようになっている。また、ワークWの包装箱内に磁化可能な金属異物が混入した場合には、その異物もまた磁性部となる。すなわち、直流磁界印加用磁石31、32はワークWに所定の磁界を印加してワークWの一部に磁化された部分Pm(磁性部)を形成するようになっている。
【0039】
金属検出装置の外部で予め磁化されるなどして、ワークWが磁気検出に足る磁性を有する磁性部を最初から備えているような場合には、直流磁界印加用磁石31、32が設置される必要はなく、図1に示すように直流磁界印加用磁石31、32を設けない装置構成とすることができる。以下、ワークW中における磁化された部分Pm、ワークWに含まれるべき構成要素としての磁性部Pm、ワークW中のその他の磁気検出に足る磁性を有する部分を総称して磁性部Pmという。
【0040】
制御回路20は、具体的なハードウェア構成を図示しないが、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース回路に加えて、不揮発性メモリとしてのEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)やハードディスク等を含んで構成されており、ROMやEEPROM、ハードディスク等に格納された所定の金属検出制御プログラムに従って、第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12からの磁気検出信号やEEPROMに不揮発に記憶保持された判定閾値情報(後述する)等に基づいて、ワークWにおける磁性部Pmが適量か否かの判定を実行するようになっている。
【0041】
この制御回路20は、機能的には、第1の磁気センサ11の磁気検出信号がこの第1の磁気検出信号に対応する第1の判定閾値j1を超えるか否かによってワークW中における磁性部Pmの有無に関わる第1の判定信号を生成する第1の個別判定手段21(第1の判定手段)と、第2の磁気センサ12の磁気検出信号がこの第2の磁気検出信号に対応する第2の判定閾値j2を超えるか否かによってワークW中における磁性部Pmの有無に関わる第2の判定信号を生成する第2の個別判定手段22(第2の判定手段)と、これら第1の判定信号及び第2の判定信号に基づいて磁性部Pmの量が適量か否か、例えば磁性部Pmの量が「適量」か「過多」か「過少」かを判定する総合判定手段25と、を有しており、判定部として機能する。
【0042】
具体的には、制御回路20の第1の個別判定手段21及び第2の個別判定手段22は、それぞれ第1の磁気検出信号の信号レベル及び第2の磁気検出信号の信号レベルをそれぞれの磁気検出信号に対応し予め設定され前記EEPROMに記憶保持された第1の判定閾値J1及び第2の判定閾値J2と比較して、第1の磁気検出信号の信号レベルが第1の判定閾値J1を越えるか否か、第2の磁気検出信号の信号レベルが第2の判定閾値J2を越えるか否かの判定処理、すなわち、ワークWが前記特定の構成要素としての磁性部Pmあるいは混入した金属異物を有するか否かに関連する判定処理を実行するようになっており、その判定処理は、磁気検出領域10aを通過するワークWの通過姿勢が異なる複数の通過姿勢のうちいずれであるかに関係なく共通の判定閾値を用いて実行される。
【0043】
例えば、図1に実線で示すように磁性部Pm又は磁化前の特定の構成要素PnがワークWの上面側に位置する第1の搬送姿勢と、図1に仮想線で示すように磁性部Pm又は磁化前の特定の構成要素PnがワークWの下面側に位置する第2の搬送姿勢と(あるいは、更に磁化された部分Pm又は磁化前の特定の構成要素Pnが搬送路5と略直交するワークWの側面に位置する第3の搬送姿勢と)に対して、第1の個別判定手段21及び第2の個別判定手段22では、それぞれ予め設定された各通過姿勢に共通の判定閾値によって共通する判定処理が実行され、第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2が出力されるようになっている。
【0044】
そして、制御回路20の総合判定手段25は、第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2の論理値(「1」、「0」)の組合せから、ワークW中における磁性部Pmの量が「適量」か否かを判定し、あるいは更に必要に応じて、適量でない場合にその量が「過多」であるのか「過少」であるのかの判定を行うようになっている。
【0045】
具体的には、総合判定手段25は、複数の論理式を記憶する論理式記憶部25a(論理式記憶手段)と、複数の論理式のうちいずれかの論理式を選択する論理式選択部25bとを備えており、論理式選択部25b(論理式選択手段)により選択された論理式を用いて論理演算を行うようになっている。また、総合判定手段25は、設定操作部27からの操作入力により論理式記憶部25aに記憶させる複数の論理式を任意に設定可能な論理式設定部25c(論理式設定手段)を具備している。
【0046】
ここにいう複数の論理式は、例えば異物検出や、欠品検査、これらを含む複合検査等における判定アルゴリズムに対応するものであり、総合判定手段25では、各検査モードに対応する論理式による論理演算が選択的に実行される。また、論理式記憶部25aに記憶された複数の論理式は、第1の判定信号R1(第1の判定の結果)及び第2の判定信号R2(第2の判定の結果)を基に、磁性部が適量であるか否かを判定する論理式を含んでおり、あるいは更に、ワークWの構成要素となる磁性部Pmが過多である若しくは過少であると判定する論理式を含んでいる。
【0047】
より具体的には、例えば異物検出モードでは、複数のワークについて、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた異物判定閾値を超えるか否かでNG判定である「0」かOK判定である「1」かの第1、第2の判定信号として、それぞれ総合判定手段25に入力される。そして、総合判定手段25では、例えば「A・B」(論理積)の論理演算処理によって、ワークW中に混入異物がなく、A=1(OK)かつB=1のときに限って総合判定OKとなり、それ以外の場合には、すべて総合判定はNGとなる。
【0048】
また、複数種類の欠品検査モードのうちいずれかの欠品検査モードでは、複数のワークについて、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、これらに対応する判定閾値j1、j2を超えるOK判定である「1」か、判定閾値j1、j2を超えずNG判定である「0」かを示す第1、第2の判定信号R1、R2(not(A)、not(B))として、それぞれ総合判定手段25に入力される。そして、総合判定手段25では、第1、第2の判定信号R1、R2についての論理演算処理により、ワークWに構成要素の欠落がなく、not(A)=1(OK)かつnot(B)=1のときに総合判定OKとなり、それ以外の場合には総合判定はNGとなる。
【0049】
磁性部Pmが存在すれば良品であるが磁気が比較的弱く、上述のような欠品判定の論理では正しい欠品検査ができないと考えられる場合、若しくは、試験的に行った上記欠品検査モードでは正しい欠品検査ができなかった場合、ユーザが別の欠品検査モードを設定操作部27から指定すれば、例えば第1、第2の判定信号R1、R2(not(A)、not(B))の論理和を求める演算処理により、ワークWに構成要素の欠落がなく、not(A)=1かつnot(B)=1のときのみならず、not(A)=1かつnot(B)=0のとき、若しくはnot(A)=0かつnot(B)=1のときにも、総合判定OKとなり、それ以外の場合に総合判定がNGとなる。
【0050】
一方、磁性部Pmが適量ならばnot(A)とnot(B)のいずれか一方のみ「1」となるようなセンサ出力となり、not(A)=1かつnot(B)=1のように磁性部が過多のワークまで良品と判定してしまうと問題になる場合には、ユーザーが更に別の欠品検査モードを設定操作部27から指定すれば、総合判定手段25では、例えば第1、第2の判定信号R1、R2の論理積を求める欠品検査モードの論理演算の結果が「1」(not(A)=1かつnot(B)=1)であれば、磁性部Pmの量を「過多」と判定し、それ以外の場合には、第1、第2の判定信号R1、R2の論理和を求める論理演算処理を実行して、not(A)とnot(B)の論理和が「1」であるときに磁性部Pmの量が「適量」であると判定する。このように本実施形態では、複数種類の検査モードを選択して使用し、その検査の目的に最適な判定論理を使用した的確な判定を行うことができるようにしている。
【0051】
一方、制御回路20の総合判定手段25はこの総合判定手段25で判定されたワークWに含まれる磁性部Pmの状態を表す信号を出力するようになっており、この出力信号に基づく所定表示形式での検査・判定結果の表示が制御回路20に付設されたフラットパネルディスプレイ等の表示部26によって実行されるようになっている。制御回路20は、ワークWに含まれる磁性部Pmの状態を表す信号を、表示するのでなくあるいは表示と共に、他の形式で出力するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0052】
なお、制御回路20の入力インターフェースには、設定操作部27から入力されるモード選択操作信号や設定入力信号、信号生成部16及び17からの第1の磁気検出信号及び第2の磁気検出信号等が入力される他に、例えば、外部通信による受信信号、磁気検出領域10aへのワークWの接近又は進入を検出するワークセンサからのワーク検知信号等が入力されてもよい。また、制御回路20の出力インターフェースは、異物の有無の判定結果を示す判定信号を、例えば下流側の選別機(図示していない)等に出力するとともに、直流磁界印加用磁石31、32が電磁石である場合にその電力供給回路への電源制御信号等も出力されるようになっている。
【0053】
次に、動作について説明する。
【0054】
図3は、本実施形態の金属検出装置で実行される閾値設定処理の流れを示す図であり、運転に先立って同図に示すような閾値設定処理が実行される。
【0055】
図3に示す閾値設定処理では、設定操作部27で閾値設定のモードが選択されたとき、所定数量のサンプルとしてのワークWを用いた欠品検査用の閾値設定がなされる。
【0056】
同図において、まず、ワークWが第1の搬送姿勢、すなわち磁性部Pmを上に向ける姿勢で搬送され(ステップS11)、第1及び第2の磁気センサ11、12でそれぞれ磁気検出され(ステップS12)、信号生成部16、17でワークWが磁気検出領域10aを通過する期間における磁気検出量に対応する第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2が総合判定手段25に入力される(ステップS13)。このとき、第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2のうち、信号レベルの高い一方の磁気検出信号(例えばM1)の信号レベルが磁気センサ11、12のうちいずれからの検出信号であるかの情報と共に制御回路20内のRAMに格納されるという一連の検出処理が、所定のサンプルワーク数量に達するまで繰り返される(ステップS14でNOの場合)。そして、所定サンプル数量に達すると(ステップS14でYESの場合)、RAMに格納された検出信号レベルの最大値V1を選択して(ステップS15)、これに所定の係数K1、例えば0.7をかけて第1の判定閾値J1(J1=V1*K1)が算出される(ステップS16)。
【0057】
次いで、ワークWが第2の搬送姿勢、すなわち磁性部Pmを下に向ける姿勢で搬送され(ステップS17)、第1及び第2の磁気センサ11、12でそれぞれ磁気検出され(ステップS18)、信号生成部16、17でそれぞれワークWが磁気検出領域10aを通過する期間における磁気検出量に対応する第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M1が総合判定手段25に入力される(ステップS19)。このとき、第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2のうち信号レベルの高い一方の磁気検出信号(例えばM2)の信号レベルが磁気センサ11、12のうちいずれからの検出信号であるかの情報と共に制御回路20内のRAMに格納されるという一連の検出処理が、所定のサンプルワーク数量に達するまで繰り返される(ステップS20でNOの場合)。そして、所定サンプル数量に達すると(ステップS20のYESの場合)、RAMに格納された検出信号レベルの最大値V2を選択して(ステップS21)、これに所定の係数K2、例えば0.7をかけて第2の判定閾値J2(J2=V2*K)が算出される(ステップS22)。なお、他の搬送姿勢があり得る場合には、その搬送姿勢についても、ステップS17〜S22と同様な処理がステップS23以降として更に実行されることになる。
【0058】
通常、閾値設定処理中で求められる検出信号レベルの最大値V1は、磁化される部分Pmが上側にある良品のワークWについての検出信号レベルの最大値であるから、第1の磁気検出信号M1の信号レベルの最大値である。また、第1の判定閾値J1がこの最大値V1を確実に下回り、かつ、第2の搬送姿勢でのワークWの搬送時における第1の磁気センサ11の検出信号レベルの最大値よりは確実に上回るように、所定の係数K1の値が予め設定されている。同様に、検出信号レベルの最大値V2は、磁化される部分Pmが下側にある良品のワークWについての検出信号レベルの最大値であるから、第2の磁気検出信号M2の信号レベルの最大値であり、第2の判定閾値J2がこの最大値V2を確実に下回り、かつ、第1の搬送姿勢でのワークWの搬送時における第2の磁気検出信号M2の信号レベルの最大値よりは確実に上回るように、所定の係数K2の値が予め設定されている。また、検出信号レベルの最大値V1、V2は、専ら磁化される部分Pmの残留磁化レベルにより定まるので、第1及び第2の磁気センサ11、12がワークWを挟むように配置された場合、ほぼ等しいか比較的近い値となり、一方、第2の磁気検出信号M2の信号レベルも、第2の判定閾値J2を超えないときは、第1の判定閾値J1を超える第1の磁気検出信号M1の信号レベルよりは小さい値となる。
【0059】
一方、異物検出用の閾値を設定する場合は、例えば、異物サンプルピースを経験的に最も混入し易い位置に入れた不良サンプルワークを用いて、上述と同様に異なる複数の搬送姿勢で、第1及び第2の磁気センサ11、12によりそれぞれ磁気検出がなされ、信号生成部16、17で生成された磁気検出量に対応する第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2が検出されて、その磁気検出量と前記検出信号レベルの最大値V1、V2との差分がそれぞれ算出される。そして、その差分を基に、最大値V1、V2を上回る第1の異物判定閾値f1と第2の異物判定閾値f2とがそれぞれ設定される。
【0060】
このようにして、判定閾値が設定されると、設定操作部27からの選択操作入力に従って検査モードが選択され、上述したような複数種類のうちいずれかの判定論理で異物検出や欠品検査処理等が実行される。
【0061】
このような検査において、本実施形態では、ワークW中の磁性部Pmの磁気を検出する第1、第2の磁気センサ11、12の出力をそれぞれに対応する閾値J1、J2と比較して第1の判定及び第2の判定がなされ、両判定の結果を基に論理演算がなされて、ワークW中の磁性部Pmが適量か否かの的確な判定がなされる。したがって、ワークWの姿勢変化等によって磁性部Pmの位置がばらついたりしても誤判定を確実に防止することのできる金属検出装置を提供することができ、磁性部Pmの量が「適量」か否か、あるいは更に磁性部Pmの量が「過多」か「過少」を的確に判定することができる。しかも、検査の種類や判定条件等に応じて検査内容に応じた判定論理を選択して使用するので、検査結果について論理演算による的確な総合判断を行うことができる。なお、ユーザが検査内容に応じ論理式を作成して総合判定手段25の論理式記憶部25aに記憶させることができるようにすれば、ユーザが行う検査の目的に合致するより的確な論理演算を実行させることができる。
【0062】
さらに、ワークWに含まれる磁性部Pmの状態を表示部26により表示したり、他の形式(例えばプリント出力、警報音、ランプ表示、他のメディアへの記録出力)で出力したりすることができるので、ユーザは検査結果を容易に把握できる。
【0063】
また、ワークWの種類によっては、所定の信号レベルである判定閾値J1又はJ2を超えかつ他方の磁気検出信号M2又はM1の信号レベル値より大きい一方の磁気検出信号M1又はM2を用いるようにすれば、検査対象のワークWが構成要素として必要な磁性部Pmを有しているか否かを確実に判定でき、ワークWの姿勢変化等によって磁性部Pmの位置が大きくばらついても、誤判定をより確実に防止することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、ワークWに所定の磁界を印加してワークWの一部に磁性部Pmを形成する直流磁界印加用磁石31、32を備えているので、磁化され易い混入異物や構成要素Pnの着磁量を増加させ、より高感度に異物検出や欠品検出を行うことができる。なお、これらの直流磁界印加用磁石31、32は、金属検出装置の外部に備えられたものであってもよく、被検査物が磁性を有する部分(磁性部)を持つか予め磁化された磁性部を持つ物である場合には必要でなく、金属検出装置として必須の構成要素でないことは上述の通りである。
【0065】
また、制御回路20が、第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12からの磁気検出信号M1、M2を基に、欠品検査や異物検出といった検査内容が異なる複数種類の判定処理を同一の被検査物に対して実行するので、各一種類の検査のみならず、必要時には複合検査を行うことができる。しかも、制御回路20が、ワークW中に混入する磁化可能な異物を検出する異物有無判定処理と、ワークWに含まれるべき磁化可能な必要部分の欠落を検出する欠品判定処理とのうち、選択したいずれか一方又は双方の判定処理に対応する検査を実行するので、検出部10を共用しながら、欠品検査と異物検出を並行して実行する複合検査を行うことができる。
【0066】
上述の実施形態においては、欠品検査の処理において、第1の磁気センサ11からの磁気検出信号M1をそれに対応する第1の判定閾値J1と比較した後に、第2の磁気センサ12からの第2の磁気検出信号M2をそれに対応する第2の判定閾値J2と比較していたが、磁性部Pmの量を判別する処理はこれに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0067】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、第1の実施の形態とほぼ同様な装置構成で、総合判定手段25における検査の処理内容が相違し、ワークWについては磁性部Pmが所定数を超えて複数付加されている場合に不良と判定することが要求される。したがって、図1〜図3に示した上述の第1の実施の形態と同一の構成及び動作については同一符号を用いて重複説明を省略し、相違点について説明する。
【0068】
本実施形態では、総合判定手段25は、第1の個別判定手段21からの第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2の排他的論理和(XOR)を求める演算処理によって、磁性部Pmの量に関して「適量」の状態か否かの判定を実行する。
【0069】
すなわち、第1の個別判定手段21及び第2の個別判定手段22は、上述のように、それぞれ第1の磁気検出信号M1の信号レベル及び第2の磁気検出信号M2の信号レベルを予め設定され前記EEPROMに記憶保持された第1の判定閾値J1及び第2の判定閾値J2と比較して、ワークWが特定の構成要素である磁性部Pmを有するか否か個別判定した第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2を出力する。
【0070】
このとき、磁性部Pmを有するとの判定信号を「OK」、磁性部Pmを有しないとの判定信号を「NG」とすれば、総合判定手段25では、第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2の排他的論理和(XOR)を求める演算処理により、ワークWの上部に磁性部Pmがあって、R1=OK、R2=NGとなるとき、及び、ワークWの下部に磁性部Pmがあって、R1=NG、R2=OKとなるときには、それぞれOKの総合判定となる。
【0071】
具体的には、例えば第1及び第2の判定閾値J1、J2がそれぞれ700と設定された状態で、ワークWの上部に磁性部Pmがあり、第1の磁気検出信号M1の信号レベルが1000、第2の磁気検出信号M2の信号レベルが110となった場合、R1=OK、R2=NGとなるが、このとき、ワークWは正常品であるから、総合判定手段25でのOKの総合判定はワークWの品質状態に対応するものとなっている。また、ワークWの搬送姿勢が逆転し、ワークWの下部に磁性部Pmがあり、第1の磁気検出信号M1の信号レベルが110、第2の磁気検出信号M2の信号レベルが900となった場合、R1=NG、R2=OKとなるが、このとき、ワークWは正常品であるから、総合判定手段25でのOKの総合判定はワークWの品質状態に対応するものとなっている。
【0072】
ここで、第1の磁気センサ11からワークWまでの距離と、第2の磁気センサ12からワークWまでの距離とが、実質的に等しい同等の距離であるとき、第1の判定閾値j1と第2の判定閾値j2は同一の値に設定される。
【0073】
一方、ワークWから磁性部Pmが欠落して、R1=NG、R2=NGとなるときには、総合判定手段25ではNGの総合判定となり、ワークWに磁性部Pmが複数付加されている場合には、R1=OK、R2=OKとなるが、総合判定手段25ではNGの総合判定となる。これらの場合も、総合判定手段25での総合判定はワークWの品質状態に対応するものとなっている。
【0074】
このように、本実施形態では、第1の個別判定手段21からの第1の判定信号R1と第2の個別判定手段22からの第2の判定信号R2との排他的論理和を求める単一の判定アルゴリズムによって、磁性部Pmが適量か否かを確実に検出することができ、上述の第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、第1の磁気センサ11からワークWまでの距離と第2の磁気センサ12からワークWまでの距離とが同等であるとき、第1の判定閾値j1と第2の判定閾値j2は同一値に設定されるので、予め判定閾値を設定する際の設定作業を軽減することができる。
【0075】
なお、上述の場合、ワークWについては磁性部Pmが所定数1を超えて複数付加されている場合に不良と判定するものとしているが、所定数が複数であってもよく、所定数2を超えて複数付加された場合を不良と判定する場合にも適用することができるのは勿論である。
【0076】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、第1の実施の形態とほぼ同様な装置構成であるが、検出部10の磁気センサの配置が第1の実施の形態とは相違する。したがって、図1〜図3に示した上述の第1の実施の形態と同一の構成及び動作については同一符号を用いて重複説明を省略し、相違点について説明する。
【0077】
本実施形態の金属検出装置は、図4に示すように、ワークWの搬送路5を挟んで互いに直交するように配置された第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12を有する検出部10を具備している。直交配置された第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12は、第1の磁気センサ11が搬送路5を構成するコンベアベルト1の上走部1aの下方側に位置する一方で、第2の磁気センサ12が搬送路5の左右一側方に位置し、搬送路5上にワークWが通過する磁気検出領域10aを形成している。また、第1の磁気センサ11の磁気検出信号が信号生成部16に、第2の磁気センサ12の磁気検出信号が信号生成部17に、それぞれ入力されるのは上述の実施形態と同様であり、各ワークWが磁気検出領域10aを通過する間、第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12の検出磁気信号が信号生成部16及び17においてそれぞれA/D変換され、第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2が信号生成部16及び17から出力され、総合判定手段25に入力されるようになっている。
【0078】
本実施形態におけるワークWは、例えば能書51(効能書、説明書等)とボトル入りの薬剤液52とを包装箱53内に同梱したものであり、能書51は磁性インクで書画像が印刷された磁化可能な印刷部分を有している。すなわち、ワークWが搬送路5の上流側で直流磁界印加用磁石31、32により所定の直流磁界を印加されたとき、能書51は磁性部となる。また、ボトル入り薬剤液52中に磁化可能な何らかの異物F、例えば磁性金属が混入した場合には、その異物Fも磁性部となる。この場合、異物Fはボトル入り薬剤液52中で沈むことになり、その残留磁化レベルの影響は第1の磁気センサ11に大きく現れ、磁化された能書51の影響は第2の磁気センサ12に大きく現れる。
【0079】
このように構成された本実施形態では、第2及び第3の磁気センサ12、13の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた判定閾値j2、j3を超えるか否かでNG判定である「0」かOK判定である「1」かの第2、第3の判定信号(not(A)、not(B))として、それぞれ総合判定手段25に入力されるとともに、第1の磁気センサ11の出力が、予めの設定処理で定められた異物判定閾値を超えるか否かでOK判定である「1」かNG判定である「0」かの第1の判定信号Cとして、それぞれ総合判定手段25に入力される。
【0080】
このとき、総合判定手段25では、論理演算処理により、ワークW中に混入異物がなく欠品もないため、not(A)=1(OK)、not(B)=1、C=1となるときに限って、総合判定OKとなり、それ以外の場合、すなわち第1〜第3の磁気センサ11〜13の出力のいずれか1つでも異物又は欠品を検出する値となった場合には、すべて総合判定はNGとなる。
【0081】
本実施形態でも、ワークW中の磁性部Pmの磁気を検出する第2及び第3の磁気センサ12、13の出力をそれぞれに対応する閾値J1、J2と比較して第1の判定及び第2の判定がなされ、両判定の結果を基に論理演算がなされて、ワークW中の磁性部Pmが適量か否かの的確な判定がなされることから、上述した第1の実施形態と同様な効果が期待できる。
【0082】
第1の磁気検出信号M1と第2の磁気検出信号M2のうちいずれの信号レベル値も対応する判定閾値J1、J2以下であった場合には、欠品判定がなされる。また、第1の磁気検出信号M1と第2の磁気検出信号M2のうちいずれの信号レベル値も対応する判定閾値J1、J2を超え、かつ、所定の異物判定閾値を超えていない場合には、磁性部である能書51が過多と判定される。一方、例えば第1の磁気検出信号M1が所定の異物判定閾値を超えていた場合には、異物の混入有りと判定される。
【0083】
このような本実施形態においても、ワークW中の磁性部である能書51や異物Fの磁気を検出する第1、第2の磁気センサ11、12の出力をそれぞれに対応する閾値J1、J2等と比較して個別判定がなされ、それら個別判定の結果を基に論理演算がなされて、ワークW中の磁性部Pmが適量か否かあるいは異物Fが存在するか否かの的確な判定がなされる。したがって、上述した第1の実施形態と同様に、ワークWの姿勢変化等によって磁性部Pmの位置がばらついたりしても誤判定を確実に防止することのできる金属検出装置を提供することができ、磁性部Pmの量が「適量」か否か、あるいは更に磁性部Pmの量が「過多」か「過少」を的確に判定することができる。しかも、検査の種類や判定条件等に応じて検査内容に応じた判定論理を選択して使用することで、検査結果について論理演算による的確な総合判断を行うことができ、ユーザが検査内容に応じ論理式を作成して総合判定手段25の論理式記憶部25aに記憶させることができるようにすれば、ユーザが行う検査の目的に合致するより的確な論理演算を実行させることができる。
【0084】
さらに、ワークWの種類によっては、所定の信号レベルJ1又はJ2を超えかつ他方の磁気検出信号M2又はM1の信号レベル値より大きい一方の磁気検出信号M1又はM2を用いて、検査対象のワークWが構成要素として必要な能書51を所定数だけ有しているか否かを確実に検出できるので、ワークWの姿勢変化等によって能書51の位置がばらついたとしても、誤判定を確実に防止することができる。
【0085】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、第1、第3の実施の形態とほぼ同様な装置構成であるが、検出部10の磁気センサの数が相違する。したがって、図1〜図3及び図4に示した上述の第1、第3の実施の形態と同一の構成及び動作については同一符号を用いて重複説明を省略し、相違点について説明する。
【0086】
本実施形態の金属検出装置は、図5に示すように、ワークWの搬送路5の下方側にはコンベアベルト1の上走部1aに対面する第1の磁気センサ11を有し、搬送路5の上方側には搬送路5の搬送方向と直交する幅員方向に対向する第2の磁気センサ12及び第3の磁気センサ13を有する検出部10を具備している。第1〜第3の磁気センサ11〜13は、搬送路5上にワークWが通過する磁気検出領域10aを三方から取り囲んでいる。
【0087】
また、第1の磁気センサ11の磁気検出信号が信号生成部16に、第2の磁気センサ12の磁気検出信号が信号生成部17に、それぞれ入力されるのは上述の実施形態と同様であり、各ワークWが磁気検出領域10aを通過する間、第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12の検出磁気信号が信号生成部16及び17においてそれぞれA/D変換された後にその検出磁気量が積分され、その積分値に対応する第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2が信号生成部16及び17から出力され、総合判定手段25に入力されるようになっている。
【0088】
本実施形態における総合判定手段25は、第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2の組合せによって、磁性部Pmの量が適量か否か、あるいは更に過多か過少かを判定するものであり、例えば第1の磁気検出信号M1及び第2の磁気検出信号M2のそれぞれが所定の信号レベルを超えたとき、磁性部Pmが過多であると判定する。また、総合判定手段25は、選択的に異物判定を行うことができるようになっている。さらに、総合判定手段25は、第1の判定信号R1及び第2の判定信号R2のそれぞれが示す磁性部Pmの有無についての個別判定結果が互いに相違するときには、信号レベルが大きい一方の磁気検出信号M1又はM2に対応する一方の判定信号R1又はR2のみに基づいて、磁性部Pmが有ると判定することができる検査モードを有している。
【0089】
この総合判定手段25では、第1の実施形態とほぼ同様に、第1の磁気センサ11及び第2の磁気センサ12からの磁気検出信号を基に、前記特定の構成要素や混入した金属異物といった検査対象毎に異なる複数種類の判定処理を選択的に又は並行して実行するモード切換えが可能であって、そのモード設定が設定操作部27からの操作入力によってなされるようになっており、前記特定の構成要素の欠落を検出する欠品検査モード、若しくは混入異物を検出する異物検出モードのいずれか一種類の検査、又は欠品検査と異物検出を同時に並行して実行する複合検査モードでの運転が可能となっている。すなわち、制御回路20は、ワークW中に混入する磁化可能な異物を検出する異物有無判定処理と、ワークWに含まれるべき磁化可能な必要部分の欠落を検出する欠品判定処理と、のうち選択したいずれか一方又は双方の判定処理に対応する検査を実行することができるようになっており、いずれの検査の処理に対しても検出部10を使用する構成となっている。
【0090】
具体的には、制御回路20では、図6にそれぞれの判定論理を示すように、異物検出モード、欠品検査モード(I)、(II)、特殊欠品検査モード、及び複合検査モードのうちいずれか1つのモードで運転可能であり、総合判定手段25では、各モードにおいて図6(a)〜図6(e)に示すような複数種類の判定処理が選択的に実行される。なお、同図において、Aは第1の磁気センサ11の出力に基づく第1の個別判定手段21からの第1の判定信号R1を、Bは第2の磁気センサ12の出力に基づく第2の個別判定手段22からの第2の判定信号R2を、Cは第3の磁気センサ13の出力に基づく第3の個別判定手段(図示していないが個別判定手段21、22と同様なもの)からの第3の判定信号を、それぞれ示している。
【0091】
さらに、総合判定手段25の論理式記憶部25aは、図6(a)〜図6(e)の表中に示す複数の論理式を記憶するようになっており、これら複数の論理式のうち少なくともいずれか1つの論理式を設定操作部27からの選択設定内容に基づいて論理式選択部25bにより選択するようになっている。また、設定操作部27からの操作入力により論理式記憶部25aに記憶させる複数の論理式を論理式設定部25cにより任意に設定できる。
【0092】
また、論理式記憶部25aに記憶された複数の論理式は、例えば第3実施形態における能書51のような磁性部が過多である若しくは過少であると判定する論理式を含み、あるいは、前記第1の判定及び第2の判定の結果を基に、磁性部が適量であるか否かを判定する論理式を含んでいる。また、総合判定手段25は、複数のうち少なくとも1つの論理式を用いる論理演算の結果に基づき、磁性部の適量、過多若しくは過少の判定結果が予め定められた判定テーブルによって、磁性部の過不足を判定するようになっている(後述する)。
【0093】
図6(a)に示す異物検出モードでは、複数のワーク1〜5について、第1〜第3の磁気センサ11〜13の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた異物判定閾値f1〜f3(同図中ではfで示す)を超えるか否かでNG判定である「0」かOK判定である「1」かの第1〜第3の判定信号A〜Cとして、それぞれ総合判定手段25に入力される。
【0094】
このとき、総合判定手段25では、同図に示すように「A・B・C」の論理演算処理により、ワークW中に混入異物がなく、A=1(OK)、B=1、C=1のときに限って、総合判定OKとなり、それ以外の場合、すなわち第1〜第3の磁気センサ11〜13の出力のいずれか1つでも異物判定閾値f1〜f3を超えて場合には、すべて総合判定はNGとなる。
【0095】
図6(b)に示す欠品検査モード(I)では、複数のワーク1〜4について、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた判定閾値j1、j2(同図中ではjで示す)を超えるか否かによって、判定閾値j1、j2を超えるOK判定である「1」か、判定閾値j1、j2を超えずNG判定である「0」かを示す第1、第2の判定信号(not(A)、not(B);図中ではそれぞれAバー、Bバーで表示)として、それぞれ総合判定手段25に入力される。このように、従来から異物検出モードと欠品検査モードでは互いに論理を反転させることが行われている。
【0096】
このとき、総合判定手段25では、同図(b)の表中に示すような第1、第2の判定信号の論理積を求める演算処理により、ワークWに構成要素の欠落がなく、not(A)=1(OK)かつnot(B)=1のときに限って、総合判定OKとなり、それ以外の場合、すなわち第1、第2の磁気センサ11、12の出力のいずれか1つでも対応する判定閾値j1又はj2を超えない場合には、すべて総合判定はNGとなる。
【0097】
図6(c)に示す欠品検査モード(II)では、複数のワーク1〜4について、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた判定閾値j1、j2(同図中ではjで示す)を超えるか否かによって、判定閾値j1、j2を超えるOK判定である「1」か、判定閾値j1、j2を超えずNG判定である「0」かを示す第1、第2の判定信号(not(A)、not(B))として、それぞれ総合判定手段25に入力される。
【0098】
このとき、総合判定手段25では、同図(c)の表中に示すような第1、第2の判定信号の論理和を求める演算処理により、ワークWに構成要素の欠落がなく、not(A)=1(OK)かつnot(B)=1のときのみならず、not(A)=1(OK)若しくはnot(B)=1のときにも、総合判定OKとなり、それ以外の場合、すなわち第1、第2の磁気センサ11、12の出力のいずれも判定閾値j1又はj2を超えない場合(not(A)=0かつnot(B)=0の場合)には、総合判定はNGとなる。
【0099】
ワーク2やワーク3のようにnot(A)=1(OK)かつnot(B)=1でない場合、上述した図6(b)に示す欠品検査モード(I)では総合判定がNGとなるのに対して、図6(c)に示す欠品検査モード(II)では総合判定がOKとなる。したがって、ワーク2やワーク3のようなセンサ出力となるワーク(磁性部が有れば良いワーク)を良品とすべき場合に、的確な欠品検査ができることになる。
【0100】
一方、図6(c)に示す欠品検査モード(II)では、磁性部が適量ならばnot(A)=1(OK)若しくはnot(B)=1のようなセンサ出力となるような場合に、not(A)=1(OK)かつnot(B)=1のように磁性部が過多のワークまで良品と判定してしまう場合があるという問題がある。
【0101】
図6(d)に示す特殊欠品検査モードでは、複数のワーク1〜4について、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた判定閾値j1、j2(同図中ではjで示す)を超えるか否かによって、OK判定である「1」か、NG判定である「0」かを示す第1、第2の判定信号(いずれもnot(A)、not(B))として、それぞれ総合判定手段25に入力される。
【0102】
このとき、総合判定手段25では、これら判定信号の排他的論理和(XOR)を求める演算処理により、ワークWに1つの構成要素が添付され、通常の搬送姿勢に対応するnot(A)=1(OK)かつnot(B)=O(NG)となるか、他の搬送姿勢に対応するnot(A)=Oかつnot(B)=1となったときに限って、総合判定OKとなり、それ以外の場合、すなわち第1、第2の磁気センサ11、12の出力のいずれも対応する判定閾値j1又はj2を超えない欠品(ワーク4)の場合と、第1、第2の磁気センサ11、12の出力のいずれも対応する判定閾値j1又はj2を超えてしまう添付品過多(ワーク1)の場合には、それぞれ総合判定はNGとなる。
【0103】
なお、複数のワーク1〜4について、第2及び第3の磁気センサ12、13の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた判定閾値j2、j3を超えるか否かによって、OK判定である「1」か、NG判定である「0」かを示す第1、第2の判定信号として、それぞれ総合判定手段25に入力されるようにしても同様である。
【0104】
図6(e)に示す複合検査モードでは、複数のワーク1〜4について、第2及び第3の磁気センサ12、13の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた判定閾値j2、j3を超えるか否かでNG判定である「0」かOK判定である「1」かの第2、第3の判定信号(not(A)、not(B))として、それぞれ総合判定手段25に入力されるとともに、第1の磁気センサ11の出力が、予めの設定処理で定められた異物判定閾値f1を超えるか否かでOK判定である「1」かNG判定である「0」かの第1の判定信号Cとして、それぞれ総合判定手段25に入力される。
【0105】
このとき、総合判定手段25では、同図中に示す論理演算処理により、ワークW中に混入異物がなく欠品もないため、not(A)=1(OK)、not(B)=1、C=1となるときに限って、総合判定OKとなり、それ以外の場合、すなわち第1〜第3の磁気センサ11〜13の出力のいずれか1つでも異物又は欠品を検出する値となった場合には、すべて総合判定はNGとなる。
【0106】
本実施形態の総合判定手段25では、さらに、複数の論理式による論理演算、例えば図6(b)に示す欠品検査モード(I)の論理積の演算処理と、図6(d)に示す排他的論理和の演算処理とを、各ワークWについてそれぞれ実行し、これら複数の論理式を用いる論理演算の結果に基づいて、能書51等の磁性部の適量、過多若しくは過少の判定結果が予め定められた判定テーブルTによって、磁性部の過不足を判定することができる。
【0107】
この欠品検査モード(II)では、図7に示すように、not(A)とnot(B)の論理積が「0」で、図6(b)に示す欠品検査モード(I)の論理演算処理による判定結果がNGであるときに、その判定結果(「0」)と図6(d)に示す欠品検査モード(II)の論理演算処理による判定結果(not(A)とnot(B)の排他的論理和(XOR))との論理和(OR)をとるようになっている。これにより、例えばワークWに1つの構成要素が添付され、not(A)=1(OK)かつnot(B)=O(NG)となるか、not(A)=Oかつnot(B)=1となったときには、総合判定OKとなるようにする判定処理が可能となる。すなわち、判定テーブルTを用いることで、欠品検査モード(I)の判定結果から磁性部の過多が判明した場合には、欠品検査モード(II)の論理演算処理を実行しないで、総合判定結果を磁性部の「過多」とするが、それ以外の場合には、欠品検査モード(II)の論理演算処理による判定結果(not(A)とnot(B)の排他的論理和(XOR))に応じて「適量」か「過少」かの判定を行う。
【0108】
このように構成された本実施形態では、第1〜第3の個別判定手段21、22等からの第1〜第3の判定信号に基づく複数種類の判定アルゴリズム(複数の論理式)を準備し、異なる検査条件のうち検査対象に好適な検査条件を選択するモード切換えを実行することで、ワークWに好適な欠品検査や異物検出を確実かつ容易に実行することができ、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
しかも、総合判定手段25にて判定テーブルTを用いるので、磁性部が適量か否かの判定のみならず、過多又は過少である場合も容易な論理の組合せで的確に判定することができる。
【0110】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、第1の実施の形態とほぼ同様な装置構成であるが、検出部10の磁気センサのタイプが相違する。したがって、図1〜図3に示した上述の第1の実施の形態と同一の構成及び動作については同一符号を用いて重複説明を省略し、相違点について説明する。
【0111】
本実施形態の金属検出装置は、図8に示すように、ワークWの搬送路5を挟んで上下に対向する公知の面型の磁気検出コイルからなる第1の磁気センサ61及び第2の磁気センサ62を具備している。ここで、第1の磁気センサ61は、発信コイル部61aと、発信コイル部61aで発生された磁界の変化を検出するよう配置され互いに差動接続された一対の検出コイル61b(詳細は図示していない)を有しており、搬送路5にその下方側から対面している。また、第2の磁気センサ62は、発信コイル部62aと、発信コイル部62aで発生された磁界の変化を検出するよう配置され互いに差動接続された一対の検出コイル62b(詳細は図示していない)を有しており、搬送路5にその上方側から対面している。なお、ワークWが磁気検出領域10aを通過するときの発信コイル部61a、62aによる発生磁界の変化を各一対の検出コイル61b、62bを用いて検出するための構成や動作は上述した特許文献1にも記載されるように公知であるので、ここではその説明を割愛する。
【0112】
本実施形態においては、各一対の検出コイル61b、62bの差動検出信号から得られる第1、第2の磁気検出信号M1、M2を基に、第1、第2の判定信号R1、R2が総合判定手段25に入力され、第1の実施の形態と同様な処理が実行される。
【0113】
したがって、その動作は磁気センサ61、62を用いる差動検出の処理以外は第1の実施の形態と同様であり、本実施形態においても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0114】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、上述の第1、第4の実施の形態とほぼ同様な装置構成であるが、制御回路20に付設された表示部26及び設定操作部27に図9及び図10に示すような画面を採用した点で相違する。したがって、図1〜図3に示した上述の第1の実施の形態や図6及び図7に示した第4の実施の形態と同一の構成及び動作については、同一符号を用いて重複説明を省略し、相違点について説明する。
【0115】
本実施形態の金属検出装置においても、総合判定手段25は、論理式選択部25bにより選択された論理式を用いて論理演算を行うようになっており、設定操作部27からの操作入力により論理式記憶部25aに記憶させる複数の論理式を論理式設定部25cによって任意に設定可能になっている。なお、ここにいう複数の論理式は、図6に示した第4の実施の形態における複数の論理式に相当するものであり、総合判定手段25では各検査モードに対応する論理式による論理演算が選択的に実行される。
【0116】
図9は論理式設定画面を用いた論理式の設定手順を説明する図であり、図9(a)及び図9(b)にそれぞれ示した論理式設定画面70の上部には「論理式設定」のための画面である旨の表示71がなされ、その下方にモード名入力要求表示又は入力されたモード名を表示するモード名入力/表示部72と、設定対象部分である例えば3つ(複合検査等に対応すべく3つ以上としてもよい)の記号入力/表示部73a、73b、73cと、各記号入力/表示部73a、73b、73cの候補となる複数の候補記号74a、74bを択一的に選択指定可能に表示する設定候補表示部74と、が設けられている。
【0117】
具体的には、図9に示す欠品検査モードの論理式設定では、例えば記号入力/表示部73a又は73cにカーソル(画面上のどの項目が選択されているかを示す図中の反転表示部分;反転表示でなく他の強調表示の形態でもよい)が移動すると、記号入力/表示部73aにディフォルトで「A」又は「B」が表示されるのと同時に、設定候補表示部74に複数の候補記号74a、74bが「A」及びその反転した「Aバー」記号すなわちnot(A)として表示される。そして、設定操作部27の図示しないカーソル移動キーや確定操作キーの操作により、いずれかの候補記号74a又は74bの選択設定が可能になる。また、記号入力/表示部73bにカーソルが移動すると、記号入力/表示部73bにディフォルトで論理積を表す「+」記号が表示されるのと同時に、設定候補表示部74に複数の候補記号75a、75b、75cが例えば論理積、論理和及び排他的論理和を示す記号として表示され、設定操作部27の図示しないカーソル移動キーや確定操作キーの操作により、いずれかの候補記号候補記号75a、75b又は75cの選択設定が可能になっている。
【0118】
この論理式設定画面71上での設定操作により、例えば異物検出モードとして「A・B」の論理式が設定でき、欠品検査モードとしてnot(A)とnot(B)の論理積や論理和、あるいは排他的論理和等が設定できる。
【0119】
このようにして論理式設定画面71上で検査モード名とそれに対応する論理式が設定されると、設定済みの検査モードのそれぞれが、図10に示すモード選択画面80(論理式選択画面)に選択肢として表示される。
【0120】
図10に示すモード選択画面80においては、設定済みの複数の検査モード名がそれぞれモード番号に続いて表示されるモード名表示部81が設けられており、設定済みの複数の検査モード名が例えば「1.異物検出モード」、「2.欠品検査モードI」として表示され、更に、例えば「3.欠品検査モードII」、「4.複合検査モード」等として表示される。なお、複合検査モードの設定を行うために、上述の論理式設定画面71に記号入力/表示部73a、73b、73cに続く記号入力/表示部を追加するとともに、必要な複数の候補記号(括弧等を含む)を表示する設定候補表示部74を準備し、あるいは、そのような論理式設定画面を上述の論理式設定画面71とは別個に設けることができる。
【0121】
モード選択画面80上においても選択された選択肢が反転表示され、モード選択画面80の右上部に配置された論理式表示部81に、選択されている検査モードに対応する論理式が表示されるようになっている。
【0122】
本実施形態においても、例えば異物検出モードでは、複数のワークについて、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、それぞれ予めの設定処理で定められた異物判定閾値を超えるか否かでNG判定である「0」かOK判定である「1」かの第1、第2の判定信号として、それぞれ総合判定手段25に入力され、総合判定手段25では、例えば「A・B」(論理積)の論理演算処理によって、ワークW中に混入異物がなく、A=1(OK)かつB=1のときに限って総合判定OKとなり、それ以外の場合には、すべて総合判定はNGとなる。
【0123】
また、複数種類の欠品検査モードのうちいずれかの欠品検査モードでは、複数のワークについて、第1及び第2の磁気センサ11、12の出力が、これらに対応する判定閾値j1、j2を超えるOK判定である「1」か、判定閾値j1、j2を超えずNG判定である「0」かを示す第1、第2の判定信号R1、R2(not(A)、not(B))として、それぞれ総合判定手段25に入力され、総合判定手段25では、図10の選択状態において、例えば第1、第2の判定信号R1、R2についての論理演算処理により、ワークWに構成要素の欠落がなく、not(A)=1(OK)かつnot(B)=1のときに総合判定OKとなり、あるいは、not(A)=1かつnot(B)=1のときのみならず、not(A)=1かつnot(B)=0のとき、若しくはnot(A)=0かつnot(B)=1のときにも、総合判定OKとなる。
【0124】
本実施形態においても、ワークWやその検査条件に応じた判定アルゴリズムとなる論理式を設定することができ、ワークWの姿勢変化等によってそのワーク中の磁性部の位置がばらついたりても、誤判定を確実に防止することができ、上述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上説明したように、本発明は、被検査物の姿勢変化等によって磁性部の位置が大きくばらついても、誤判定を確実に防止することのできる金属検出装置を提供することができるという効果を奏するものであり、被検査物中の磁性部の磁気を磁気センサにより検出して異物検出や欠品検出を行う金属検出装置全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る金属検出装置を示すその概略ブロック構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る金属検出装置に選択的に設置される直流磁界印加用磁石を設置した態様を示すその金属検出装置の概略ブロック構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る金属検出装置における閾値設定処理の概略の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る金属検出装置を示すその要部概略構成図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る金属検出装置を示すその要部概略構成図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る金属検出装置における複数の検査モードで使用する判定論理を例示する説明図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る金属検出装置における判定テーブルの説明図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る金属検出装置を示すその概略ブロック構成図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る金属検出装置を示すその論理式設定画面の説明図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る金属検出装置を示すその論理式選択画面の説明図である。
【符号の説明】
【0127】
4 コンベア(搬送手段)
5 搬送路
10 検出部(磁気検出部)
10a 磁気検出領域
11、61 第1の磁気センサ
12、62 第2の磁気センサ
13 第3の磁気センサ
16、17 信号生成部
20 制御回路(判定部)
21 第1の個別判定手段
22 第2の個別判定手段
25 総合判定手段
26 表示部
27 設定操作部
31、32 直流磁界印加用磁石(磁化手段)
51 能書(磁性部)
70 論理式設定画面
80 論理式選択画面
F 異物
J1 第1の判定閾値(第1の閾値)
J2 第2の判定閾値(第2の閾値)
M1 第1の磁気検出信号(第1の判定手段)
M2 第2の磁気検出信号(第2の判定手段)
Pm 磁化された部分、磁性部
T 判定テーブル
【出願人】 【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツ産機システム株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎


【公開番号】 特開2008−58223(P2008−58223A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−237552(P2006−237552)