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【発明の名称】 物体の通過検出装置
【発明者】 【氏名】藤田 修平

【氏名】吉岡 邦彦

【氏名】大西 孝生

【要約】 【課題】物体の通過検出のS/N比を向上する。

【構成】通過検出装置300は、特定空間300a内における物体LDの通過を検出し得るように構成されていて、発信素子310と、受信素子320と、遮蔽部材330と、を備えている。発信素子310には、振動発生源が備えられている。受信素子320は、特定空間300aを挟んで発信素子310と対応する位置に配置されている。遮蔽部材330は、貫通孔332を有していて、発信素子310と受信素子320との間に介在するように配置されている。発信素子310から発せられた振動は、貫通孔332、及び物体LDの通過経路を通って、受信素子320に達する。一方、特定空間300a内にて反射した振動の受信素子320による受信は、遮蔽部材330によって抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定空間内における物体の通過を検出し得るように構成された、物体の通過検出装置であって、
振動発生源を備えた発信素子と、
前記特定空間を挟んで前記発信素子と対応する位置に配置されていて、前記発信素子から発せられて当該特定空間内の媒質を介して伝播する振動に応じた出力を発生可能に構成された受信素子と、
前記物体の通過する経路に対向するように前記発信素子と前記受信素子との間に設けられた貫通孔を備えていて、前記発信素子と前記受信素子との間に介在するように配置された遮蔽部材と、
を備えたことを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、物体の通過検出装置であって、
前記遮蔽部材は、前記発信素子と前記受信素子とを結ぶ方向である直接振動伝播方向と交差する方向を法線とする傾斜面を有するように構成されたことを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、物体の通過検出装置であって、
前記貫通孔の円相当径をd1、前記物体の円相当径をd2、前記貫通孔における前記物体の平均速度をv、前記振動の周期をTとした場合に、
d22/d12≧0.6、(d1−d2)/v≧3T
となるように構成されていることを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の、物体の通過検出装置であって、
前記受信素子は、所定の電位に設定される基準電極と、前記振動及び前記物体の通過の有無に基づいて電位が変動する信号出力電極と、を備えていて、
前記遮蔽部材は、前記基準電極と同電位に設定されたことを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の、物体の通過検出装置であって、
第1の振動モードにて前記発信素子における共振周波数と前記受信素子における共振周波数とが略等しく、前記第1の振動モードとは異なる第2の振動モードにて前記発信素子における共振周波数と前記受信素子における共振周波数とが異なるように、前記発信素子及び前記受信素子が構成されていることを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の、物体の通過検出装置において、
前記受信素子における前記出力に基づいて、前記特定空間内における物体の通過を判定する判定部と、
前記発信素子及び/又は前記受信素子を覆うように設けられた素子ノイズ低減シールド部、及び/又は前記判定部を覆うことで当該判定部に及ぼされる電気的なノイズを除去し得るように構成された回路ノイズ低減シールド部と、
をさらに備えたことを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の、物体の通過検出装置において、
前記受信素子における前記出力の周波数を所定の共振周波数の周辺の帯域に限定し得るように構成されたバンドパスフィルターをさらに備えたことを特徴とする、物体の通過検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の、物体の通過検出装置において、
前記物体の通過方向と交差するように、前記特定空間における前記物体の入口側の端部に配置された、平板状のアパチャープレートをさらに備え、
前記アパチャープレートには、前記物体が通過可能な貫通孔であるアパチャーが形成されていて、
前記アパチャーは、前記物体の前記通過方向と垂直な断面における前記特定空間の大きさよりも小さく形成されていることを特徴とする、物体の通過検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特定空間内における物体の通過を検出し得る物体の通過検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、いわゆるDNAチップ(DNAマイクロアレイ)を製造するための製造方法として、様々なものが知られている。このDNAチップは、数千から一万種類以上の異なる種類のDNA断片の微小スポットを、顕微鏡スライドグラス等の基板上に高密度に整列・固定させることによって構成されている。
【0003】
このDNAチップの製造方法として、微小体積の液滴を吐出し得るマイクロピペットを用いた方法が知られている(例えば、特開2001−124789号公報[特許文献1]、特開2001−186881号公報[特許文献2]参照)。このマイクロピペットは、外部から試料を注入するための注入口と、その注入口から注入された試料が充填されるキャビティと、そのキャビティと連通する吐出口と、その吐出口から試料を吐出させるためにキャビティ内の体積を変化させ得るように構成された圧電/電歪素子と、を備えている。
【0004】
上述のDNAチップの製造方法によれば、圧電/電歪素子が駆動されることにより、キャビティの体積が変化する。このキャビティの体積変化により、試料溶液が、キャビティから吐出口に向かって層流で移動する。すなわち、一定量の試料溶液が、キャビティから吐出口に向けて送られる。この一定量の試料が当該吐出口から吐出されることで、試料溶液の微小液滴が発生する。このようにしてマイクロピペットから吐出された試料溶液の微小液滴が、基板上に付着して、当該基板上に微小スポットとして整列・固定されることによって、DNAチップを作製することができる。
【0005】
上述のような、DNAチップの製造方法に用いられるマイクロピペット等のように、微小物体を吐出し得るように構成された装置(以下、単に「微小物体吐出装置」と称する。)は、様々な技術分野にて利用可能である。
【特許文献1】特開2001−124789号公報
【特許文献2】特開2001−186881号公報
【発明の開示】
【0006】
この種の微小物体吐出装置において、より微小なサイズの前記物体の検出を、より正確に行うことが求められている。これは、当該物体の通過検出のS/N比を向上することによって達成され得る。
【0007】
本発明の物体の通過検出装置(以下、単に「通過検出装置」と称する)は、特定空間内における物体の通過を検出し得るように構成されている。本通過検出素子は、発信素子と、受信素子と、遮蔽部材と、を備えている。本発明の特徴は、本通過検出素子が、前記遮蔽部材を備えたことにある。
【0008】
前記発信素子には、振動発生源が備えられている。前記受信素子は、前記特定空間を挟んで前記発信素子と対応する位置に配置されている。この受信素子は、前記発信素子から発せられて当該特定空間内の媒質を介して伝播する振動に応じた出力を発生可能に構成されている。ここで、前記媒質を構成する物質の種類には、特に限定はない。例えば、前記媒質としては、空気等の気体、水や油等の液体が用いられ得る。
【0009】
前記遮蔽部材は、前記発信素子と前記受信素子との間に介在するように配置されている。前記遮蔽部材には、貫通孔が形成されている。この貫通孔は、前記物体の通過する経路に対向するように前記発信素子と前記受信素子との間に設けられている。
【0010】
かかる構成を有する本発明の通過検出装置においては、前記発信素子から、前記遮蔽部材における前記貫通孔及び前記物体の通過経路を通って、前記受信素子に達する、前記振動の直接的な伝播経路が形成される。一方、前記特定空間内にて多重反射した前記振動の、前記受信素子による受信は、前記遮蔽部材によって抑制され得る。すなわち、前記遮蔽部材は、前記受信素子を多重反射振動からシールドするという効果を奏する。
【0011】
かかる構成によれば、前記物体の通過検出のS/N比が向上する。よって、より微小なサイズの前記物体の検出を、より正確に行うことが可能となる。
【0012】
前記遮蔽部材は、直接振動伝播方向と交差する方向を法線とする傾斜面を有するように構成されていてもよい。ここで、前記直接振動伝播方向とは、前記発信素子と前記受信素子とを結ぶ方向である。すなわち、前記直接振動伝播方向とは、前記発信素子から発せられた前記振動が前記特定空間内にて(多重)反射することなく前記貫通孔を通って直接的に前記受信素子に達する際の、振動伝播方向である。前記直接振動伝播方向と前記傾斜面とのなす角は、40度ないし55度が好適である。
【0013】
かかる構成においては、前記特定空間内にて多重反射した前記振動が、前記遮蔽部材における前記傾斜面によって反射される。これにより、当該反射した前記振動の伝播方向が、前記貫通孔と前記受信素子とを結ぶ前記直接振動伝播方向から大きくズレ得る。これにより、多重反射に係る前記振動の、前記受信素子による受信が、より効果的に抑制され得る。
【0014】
かかる構成によれば、前記物体の通過検出のS/N比がより向上する。よって、より微小なサイズの前記物体の検出を、さらに正確に行うことが可能となる。
【0015】
前記通過検出装置は、前記貫通孔の円相当径をd1、前記物体の円相当径をd2、前記貫通孔における前記物体の平均速度をv、前記振動の周期をTとした場合に、
d22/d12≧0.6、(d1−d2)/v≧3T
となるように構成されていてもよい。
【0016】
ここで、前記貫通孔の円相当径とは、前記発信素子と前記受信素子とを結ぶ直線(前記直接振動伝播方向と平行な直線)を法線とする平面に、前記貫通孔を射影した場合の、当該平面上の当該貫通孔の面積と同一の面積を有する円の直径をいうものとする。前記物体の円相当径も同様である。
【0017】
かかる構成においては、前記振動が前記貫通孔を通過する際に、前記直線上にて前記貫通孔と前記物体とが重なった状態が、当該物体の通過検出に充分な時間だけ継続し得る。よって、前記物体の通過による前記受信素子における出力信号の変化率が、当該物体の通過検出に充分なだけ生じ得る。したがって、かかる構成によれば、前記物体の通過検出が、より安定的に行われ得る。
【0018】
前記通過検出装置は、さらに以下の構成を備えていてもよい:前記受信素子は、所定の電位に設定される基準電極と、前記振動及び前記物体の通過の有無に基づいて電位が変動する信号出力電極と、を備えている。そして、前記遮蔽部材は、前記基準電極と同電位に設定されている。
【0019】
かかる構成においては、前記物体の通過検出に際して、前記受信素子における前記基準電極が所定の基準電位に設定される。そして、前記物体の通過検出の有無に基づいて、前記信号出力電極の電位が変動する。この信号出力電極の電位と基準電極電位との差、すなわち、前記基準電極と前記信号出力電極との間の電圧に基づいて、前記受信素子における出力信号が得られる。
【0020】
ここで、本構成においては、前記遮蔽部材の電位が、前記基準電極電位に設定されている。これにより、当該遮蔽部材が、多重反射振動に対するシールド効果のみならず、電磁的ノイズに対するシールド効果をも奏することになる。
【0021】
かかる構成によれば、前記物体の通過検出のS/N比がよりいっそう向上する。よって、より微小なサイズの前記物体の検出を、さらに正確に行うことが可能となる。
【0022】
前記通過検出装置は、さらに以下の構成を備えていてもよい:第1の振動モードにて前記発信素子における共振周波数と前記受信素子における共振周波数とが略等しく、前記第1の振動モードとは異なる第2の振動モードにて前記発信素子における共振周波数と前記受信素子における共振周波数とが異なるように、前記発信素子及び前記受信素子が構成されている。
【0023】
かかる構成においては、前記振動発生源における前記第1の振動モード以外の前記発信素子の振動に基づく、前記受信素子の前記出力が抑制される。これにより、前記物体の通過検出のS/N比がよりいっそう向上する。したがって、かかる構成によれば、より小さな前記物体の検出をより高精度で行うことが可能となる。
【0024】
前記通過検出装置は、さらに、判定部と、素子ノイズ低減シールド部、及び/又は回路ノイズ低減シールド部と、を備えていてもよい。ここで、前記判定部は、前記受信素子における前記出力に基づいて、前記特定空間内における物体の通過を判定し得るように構成されている。また、前記素子ノイズ低減シールド部は、前記発信素子及び/又は前記受信素子を覆うように設けられている。また、前記回路ノイズ低減シールド部は、前記判定部を覆うことで当該判定部に及ぼされる電気的なノイズを除去し得るように構成されている。
【0025】
かかる構成においては、前記シールド部によって電気的なノイズが除去される。これにより、前記物体の通過検出のS/N比が向上する。したがって、かかる構成によれば、より小さな前記物体の検出をより高精度で行うことが可能となる。
【0026】
前記通過検出装置は、さらに、バンドパスフィルターをさらに備えていてもよい。このバンドパスフィルターは、前記受信素子における前記出力の周波数を所定の共振周波数の周辺の帯域に限定し得るように構成されている。このバンドパスフィルターは、前記受信素子における前記出力の周波数を、所望の共振周波数の周辺の帯域(具体的には、例えば、前記所望の共振周波数の±10%の範囲)に限定し得るように構成されている。
【0027】
前記バンドパスフィルターは、前記受信素子と前記判定部との間に介装され得る。あるいは、前記バンドパスフィルターは、前記判定部に備えられ得る。
【0028】
かかる構成においては、周囲からの音波や、前記所望の共振周波数に対応する所望のモードの振動以外の不要なモードの振動等に基づく、機械的なノイズが除去される。これにより、前記物体の通過検出のS/N比が向上する。したがって、かかる構成によれば、より小さな前記物体の検出をより高精度で行うことが可能となる。
【0029】
前記通過検出装置は、さらに以下の構成を備えていてもよい:本通過検出装置は、さらに、アパチャープレートを備えている。このアパチャープレートは、平板状の部材であって、前記物体の通過方向と交差するように、前記特定空間における前記物体の入口側の端部に配置されている。前記アパチャープレートには、前記物体が通過可能な貫通孔であるアパチャーが形成されている。前記アパチャーは、前記物体の前記通過方向と垂直な断面における前記特定空間の大きさよりも小さく形成されている。
【0030】
かかる構成によれば、前記特定空間と前記アパチャーとの位置関係を適宜に設定することで、前記物体の前記特定空間内における飛翔態様(例えば、進行方向や直進性等)がより簡易な装置構成で検出され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において出願人が今のところ最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
<DNAチップの構成>
図1は、DNAチップの概略構成を示す外観図(斜視図)である。図2は、図1に示されているDNAチップを拡大した断面図である。
【0033】
図1に示されているように、DNAチップ10は、顕微鏡スライドグラスからなるDNAチップ基板12上に、試料溶液の微小液滴による微小スポットSが多数配列されることによって構成されている。
【0034】
図2に示されているように、このDNAチップ基板12上における、微小スポットSが形成されるべき位置には、突起12aが形成されている。この突起12aは、微小スポットSが規定の位置からずれて滴下された場合に、その位置ずれを補正するために形成されている。すなわち、図2に示されているように、微小スポットSの一部が突起12aにかかることで(二点鎖線参照)、当該微小スポットSの表面張力によって、当該微小スポットSが正規の位置に移動するようになっている。
【0035】
また、DNAチップ基板12の表面には、親水性を有するpoly-L-lysine層からなる試料担持層14が形成されている。
【0036】
<マイクロピペットの構成>
以下、上述のDNAチップ10を製造するために用いられるマイクロピペットの構成について説明する。図3は、当該マイクロピペット100を拡大した断面図である。図4は、当該マイクロピペット100における試料溶液の流路の構成を透視して示す斜視図である。図5は、当該マイクロピペット100の平面図である。
【0037】
図3を参照すると、マイクロピペット100は、ノズルプレート110と、そのノズルプレート110の上面に固定されたキャビティユニット120と、そのキャビティユニット120の上面に固定されたアクチュエータユニット130とから構成されている。ノズルプレート110には、試料液体が通過可能な貫通孔であるノズル112が形成されている。
【0038】
ノズルプレート110は、セラミックス製の薄板から構成されている。ノズルプレート110を構成する材料としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化珪素が、好適に用いられ得る。また、酸化ジルコニウムの中でも、完全安定化酸化ジルコニウムを主成分とする材料、及び部分安定化酸化ジルコニウムを主成分とする材料が、機械的強度の観点、及び圧電/電歪膜や電極膜の材料との反応性の観点から、最も好適に用いられ得る。
【0039】
キャビティユニット120は、接続プレート121と、流路プレート122と、オリフィスプレート123と、キャビティプレート124と、注入口プレート125とから構成されている。これらの接続プレート121、流路プレート122、オリフィスプレート123、キャビティプレート124、及び注入口プレート125は、セラミックス製の薄板から構成されている。接続プレート121と、流路プレート122と、オリフィスプレート123と、キャビティプレート124と、注入口プレート125と、ノズルプレート110とは、この順に上から積層された状態で焼成されることで、一体に形成されている。
【0040】
接続プレート121は、当該キャビティユニット120とノズルプレート110との接続部に配置されていて、ノズルプレート110の上面に接合されている。この接続プレート121には、ノズル112と同じ径の貫通孔であるノズル連通孔121aが形成されている。このノズル連通孔121aは、キャビティプレート124に形成されたキャビティ124aと、試料送出孔126を介して接続されている。この試料送出孔126は、ノズル連通孔121aよりも大きな径の貫通孔であり、流路プレート122及びオリフィスプレート123を貫通するように形成されている。
【0041】
流路プレート122には、キャビティ124aに向けて試料溶液を供給するための試料供給流路122aが形成されている。この試料供給流路122aとキャビティ124aとは、オリフィスプレート123に形成された小径の貫通孔であるオリフィス123aを介して接続されている。
【0042】
注入口プレート125は、キャビティユニット120の最上層に配置されている。この注入口プレート125には、流路プレート122に形成された試料供給流路122aに向けて試料溶液を注入するための貫通孔である試料注入口125aが形成されている。この試料注入口125aと、流路プレート122に形成された試料供給流路122aとは、貫通孔である試料導入孔127を介して接続されている。この試料導入孔127は、オリフィスプレート123及びキャビティプレート124を貫通するように形成されている。
【0043】
上述の通りに構成されたキャビティユニット120においては、図4に示されているような、試料注入口125aからノズル112に至る試料溶液の流路が形成されている。すなわち、キャビティ124aが加圧されることで、当該キャビティ124a内の試料溶液が、小径のオリフィス123aを介して試料供給流路122aに逆流することなく、試料送出孔126を介してノズル112に向けて送出され、当該ノズル112から試料溶液の微小液滴が外部に吐出されるように、オリフィス123aの寸法が設定されている。
【0044】
再び図3を参照すると、アクチュエータユニット130は、圧電/電歪層131と、その圧電/電歪層131の下面に固着して設けられた下部電極132と、圧電/電歪層131の上面に固着して設けられた上部電極133とを備えている。圧電/電歪層131は、キャビティ124aに対応する位置(真上)に配置されている。下部電極132が注入口プレート125の上面に固着されることで、アクチュエータユニット130は、キャビティユニット120の上面に固定されている。このアクチュエータユニット130は、下部電極132と上部電極133との間に駆動電圧が印加されることで、キャビティ124aの体積を変化させ、所定量の試料溶液をノズル112から吐出させ得るように構成されている。
【0045】
下部電極132は、注入口プレート125の上面に形成された導電膜である下部電極配線パターン132aと接続されている。上部電極133は、注入口プレート125の上面に形成された導電膜である上部電極配線パターン133aと接続されている。
【0046】
図5に示されているように、注入口プレート125の上面には、下部電極配線パターン132aと接続された下部電極入力端子141が形成されている。また、注入口プレート125の上面には、上部電極配線パターン133aと接続された上部電極入力端子142が形成されている。これらの下部電極入力端子141及び上部電極入力端子142は、アクチュエータユニット130を駆動するための外部機器と接続され得るように構成されていて、当該外部機器を介して下部電極入力端子141と上部電極入力端子142との間に駆動電圧が印加されることでアクチュエータユニット130が駆動されるようになっている。
【0047】
<分注装置の構成>
次に、上述の構成を有するマイクロピペット100を備えた分注装置の構成について説明する。図6A及び図6Bは、図5に示されているマイクロピペット100を備えた分注装置200の外観図であり、図6Aが平面図、図6Bが側面図である。図7は、当該分注装置200の分解斜視図である。
【0048】
図6Aに示されているように、分注装置200は、複数個(図中では10個)のマイクロピペット100が2次元的に配列されることによって構成されている。これら複数のマイクロピペット100における、上述のノズルプレート110は、1枚のセラミック板として一体に成形されている。
【0049】
分注装置200は、マイクロピペット100における各試料注入口125a(図5参照)に試料溶液を導入するための試料導入部材210を備えている。この試料導入部材210は、図6A及び図6Bに示されているように、2次元的に配列されたマイクロピペット100の上面に接続されている。試料導入部材210は、図7に示されているように、ノズルプレート110に形成されたネジ穴114、及び固定ボルト212によって、当該ノズルプレート110の上面にて固定されている。
【0050】
図6Bを参照すると、試料導入部材210には、貫通孔からなる試料注入流路214が形成されている。この試料注入流路214の下端における開口は、マイクロピペット100における各試料注入口125a(図5参照)と接続されている。また、試料注入流路214の上端における開口は、上方に向けて広がるラッパ状の管からなる導入チューブ216の下端と接続されている。
【0051】
図7を参照すると、2次元的に配列された複数の導入チューブ216は、試料溶液を貯留するためのカートリッジ220にて下方に突出するように形成された複数の試料貯留部222と係合し得るように配置及び形成されている。カートリッジ220は、柔らかい合成樹脂を射出成形することで形成されている。このカートリッジ220は、試料貯留部222の底部に針等で孔を開けることで、当該試料貯留部222に貯留された試料溶液が導入チューブ216内に流入し、各試料注入口125aに対してそれぞれ種類の異なる試料溶液が供給され得るように構成されている。
【0052】
<実施形態の通過検出装置の概略構成>
次に、本発明の通過検出装置の実施形態について説明する。図8は、図7に示されている分注装置200における試料溶液の吐出口を有するノズルプレート110と、図1に示されているDNAチップ10を構成するDNAチップ基板12との間に、本実施形態の通過検出装置300が配置された状態を示す側面図である。図9は、図8に示されている本実施形態の通過検出装置300を拡大した斜視図である。図10は、図9に示されている本実施形態の通過検出装置300の断面図である。
【0053】
図8を参照すると、通過検出装置300は、分注装置200における各マイクロピペット100からDNAチップ基板12へ、試料溶液が正しく吐出されたか否かを検出し得るように、以下の通り構成されている。
【0054】
図9を参照すると、特定空間300aを挟んで対向するように、一対の発信素子310及び受信素子320が備えられている。ここで、特定空間300aは、通過検出装置300の内側の空間であって、試料溶液の微小液滴LDが通過する空間である。
【0055】
<<発信素子の構成>>
図10を参照すると、発信素子310は、振動発生源としての第1圧電/電歪素子311を備えている。第1圧電/電歪素子311は、第1圧電/電歪層311aと、駆動電極311bと、第1基準電極311cとから構成されている。
【0056】
第1圧電/電歪層311aは、いわゆる圧電/電歪材料(PZT等)の薄板から構成されている。駆動電極311b及び第1基準電極311cは、第1圧電/電歪層311aの両面に形成された金属膜から構成されている。
【0057】
第1圧電/電歪素子311は、セラミックス製の薄板である第1基板312上に支持されている。この第1圧電/電歪素子311は、第1基板312における、特定空間300aと面する内側表面312aとは反対側の外側表面312b上に固着して設けられている。すなわち、第1圧電/電歪素子311は、第1圧電/電歪層311a、駆動電極311b、及び第1基準電極311cの基となる塗布層を形成した後に焼結することで、当該第1基板312と一体に形成されている。
【0058】
第1圧電/電歪素子311における駆動電極311bには、パルス信号を発生するパルス発生源313の高電圧側の出力端子が接続されている。第1基準電極311cは、接地されている。この第1基準電極311cは、第1基板312側(特定空間300a側)に設けられている。
【0059】
このように、第1圧電/電歪素子311は、パルス発生源313によって駆動電極311bと第1基準電極311cとの間にパルス状の電圧が印加されることで、振動を発生するように構成されている。そして、発信素子310は、この第1圧電/電歪素子311の振動によって、特定空間300a内の媒質(空気等)に超音波を伝播させ得るように構成されている。
【0060】
<<受信素子の構成>>
図9及び図10を参照すると、受信素子320は、特定空間300aを挟んで発信素子310と対向する位置に配置されている。この受信素子320は、発信素子310から発せられて特定空間300a内の媒質Mを介して伝播する振動に応じた出力を発生し得るように構成されている。
【0061】
具体的には、図10を参照すると、受信素子320は、第2圧電/電歪素子321を備えている。第2圧電/電歪素子321は、第2圧電/電歪層321aと、信号出力電極321bと、第2基準電極321cとから構成されている。この第2圧電/電歪素子321も、上述の第1圧電/電歪素子311と同様の構造を有している。
【0062】
すなわち、第2圧電/電歪素子321は、セラミックス製の薄板である第2基板322上に支持されている。この第2圧電/電歪素子321は、第2基板322における、特定空間300aと面する内側表面322aとは反対側の外側表面322b上に固着して設けられている。
【0063】
第2圧電/電歪素子321は、第2基板322の振動によって第2圧電/電歪層321aに発生する応力に応じて、信号出力電極321bと第2基準電極321cとの間に電圧を発生させ得るように構成されている。
【0064】
この第2圧電/電歪素子321には、信号出力電極321bと第2基準電極321cとの間の電圧を取得し得るように、電圧計323が接続されている。また、接地された第2基準電極321cは、第2基板322側(特定空間300a側)に設けられている。
【0065】
すなわち、この第2圧電/電歪素子321は、特定空間300a内の媒質M(例えば空気)を介して第2基板322に超音波が伝播することで当該第2基板322が振動し、この第2基板322の振動によって第2圧電/電歪素子321が受ける応力に応じて、電圧計323の両端に電圧が発生するように構成されている。
【0066】
このように、本実施形態の通過検出装置300は、電圧計323の両端の電圧の変化に基づいて、特定空間300a内の超音波の伝播状態の変化を検知することで、当該特定空間300a内における試料溶液の微小液滴LD(図9参照)の通過の有無や当該微小液滴LDの体積が判定され得るように構成されている。
【0067】
<<発信素子及び受信素子の配置>>
図10を参照すると、本実施形態においては、第1基準電極311cと第2基準電極321cとの間に特定空間300aが形成されるように、第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321が配置されている。すなわち、駆動電極311bよりも第1基準電極311cの方が特定空間300aに近接するように、第1圧電/電歪素子311が配置されている。また、信号出力電極321bよりも第2基準電極321cの方が特定空間300aに近接するように、第2圧電/電歪素子321が配置されている。
【0068】
このように、本実施形態の通過検出装置300においては、特定空間300aが、接地された第1基準電極311cと、接地された第2基準電極321cとの間で挟まれるように配置されている。すなわち、本実施形態の通過検出装置300は、特定空間300a内における電界の発生が抑制されることで、試料溶液の微小液滴LD(図9参照)が帯電している場合に当該微小液滴LDの飛翔経路が電界によって曲げられることが抑制されるように構成されている。
【0069】
ここで、特定空間300aの幅Wは、当該特定空間300a内の媒質M(空気等)を伝播する振動の波長をλとし、nを自然数とした場合に、以下の式を満たすように設定されている。
W=(n/2)λ
【0070】
また、本実施形態においては、第1圧電/電歪素子311は、第1基板312の外側表面312b上に設けられている。また、第2圧電/電歪素子321は、第2基板322の外側表面322b上に設けられている。すなわち、第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321は、特定空間300aの外側に(特定空間300a内に露出しないように)配置されている。
【0071】
<<遮蔽部材の構成>>
図9及び図10を参照すると、発信素子310と受信素子320との間に介在するように、遮蔽部材330が配置されている。この遮蔽部材330は、導電性材料である金属製の板状部材から構成されている。
【0072】
図10を参照すると、遮蔽部材330は、受信素子320における第2基準電極321cと同電位となるように、当該第2基準電極321cと電気的に接続されている。また、遮蔽部材330は、接地されている。すなわち、遮蔽部材330は、受信素子320を電磁気的にシールドするシールド板として機能し得るように構成されている。
【0073】
図9及び図10を参照すると、遮蔽部材330は、板状の部材からなる遮蔽板331を備えている。この遮蔽板331は、所定の飛翔方向DOF1と平行な、試料溶液の微小液滴LDの通過する経路に沿った方向から見た場合に、楔のような形状に形成されている。
【0074】
遮蔽板331の、直接振動伝播経路Prに沿った方向における一方の表面である、第1対向面331aは、発信素子310と対向するように設けられている。また、遮蔽板331の、前記方向における他方の表面である、第2対向面331bは、受信素子320と対向するように設けられている。ここで、直接振動伝播経路Prとは、発信素子310の中心と受信素子320の中心とを結ぶ直線をいうものとする。
【0075】
本実施形態においては、第1対向面331aは、傾斜面として設けられている。すなわち、第1対向面331aの法線が、直接振動伝播経路Prと交差する方向となるように、遮蔽板331が配置されている。なお、第2対向面331bは、直接振動伝播経路Prとほぼ直交するように設けられている。
【0076】
遮蔽板331には、貫通孔332が形成されている。貫通孔332は、試料溶液の微小液滴LDの通過する経路に対向するように設けられている。また、貫通孔332は、試料溶液の微小液滴LDの通過する経路と略直交する直接振動伝播経路Prの上に設けられている。
【0077】
ここで、本実施形態においては、貫通孔332の円相当径をd1、試料溶液の微小液滴LDの円相当径をd2、貫通孔332における試料溶液の微小液滴LDの平均速度をv、発信素子310から発せられる振動の周期をTとした場合に、
d22/d12≧0.6、(d1−d2)/v≧3T
となるように、遮蔽部材330が構成されている。
【0078】
なお、貫通孔332の円相当径とは、直接振動伝播経路Prと平行な直線を法線とする平面(本実施形態の場合は第2対向面331b)に、貫通孔332を射影した場合の、当該平面上の貫通孔332の面積と同一の面積を有する円の直径をいうものとする。試料溶液の微小液滴LDの円相当径も同様である。
【0079】
本実施形態においては、貫通孔332は、直接振動伝播経路Prを中心軸とする略円筒状に形成されている。すなわち、貫通孔332は、直接振動伝播経路Prに沿った方向から見た場合に、略円形となるような形状に形成されている。
【0080】
<<アパチャープレートの構成>>
発信素子310、受信素子320、及び遮蔽部材330を挟んで、DNAチップ基板12と対向するように、平板状のアパチャープレート340が配置されている。アパチャープレート340は、試料溶液の微小液滴LDの通過方向と交差するように、特定空間300aにおける当該微小液滴LDの入口側の端部に配置されている。
【0081】
アパチャープレート340には、試料溶液の微小液滴LDが通過可能な貫通孔である液滴通過アパチャー341が設けられている。この液滴通過アパチャー341は、特定空間300aの幅よりも充分小さなサイズで形成されている。すなわち、液滴通過アパチャー341は、試料溶液の微小液滴LDの通過方向と垂直な断面における特定空間300aの大きさよりも充分小さなサイズに形成されている。
【0082】
本実施形態においては、試料溶液の微小液滴LDの飛翔方向が所定の飛翔方向DOF1と一致した場合に、当該微小液滴LDが液滴通過アパチャー341の中心及び直接振動伝播経路Prを通過するように、発信素子310、受信素子320、遮蔽部材330、及びアパチャープレート340が構成・配置されている。
【0083】
<物体通過判定のための回路構成>
図11は、図10に示されている通過検出装置300に適用される電気回路構成の概略を示すブロック図である。以下、図11を用いて、図8に示されているマイクロピペット100からの試料溶液の微小液滴の吐出状態を判定するための回路構成について説明する。
【0084】
判定・制御部350は、CPU等を備えていて、本装置の全体の動作を制御し得るように構成されている。この判定・制御部350は、受信素子320、駆動電圧印加部360、及びアクチュエータ駆動部370と接続されている。
【0085】
駆動電圧印加部360は、図10におけるパルス発生源313を備えていて、発信素子310(図10における第1圧電/電歪素子311)に対して駆動電圧を印加するように構成されている。そして、判定・制御部350は、駆動電圧印加部360を制御することで、発信素子310に対して任意の波形の駆動電圧を印加し得るように構成されている。
【0086】
判定・制御部350は、受信素子320(図10における第2圧電/電歪素子321)と接続されていて、当該受信素子320からの出力信号を受信し得るように構成されている。すなわち、判定・制御部350は、図10における電圧計323を含むように構成されている。そして、判定・制御部350は、受信素子320から発せられる出力を受け取り、この出力に基づいて、試料溶液の微小液滴の吐出状態を判定し得るように構成されている。
【0087】
アクチュエータ駆動部370は、アクチュエータユニット130における下部電極入力端子141及び上部電極入力端子142(図5参照)と接続されている。そして、判定・制御部350は、このアクチュエータ駆動部370を介してアクチュエータユニット130の駆動(すなわち試料溶液の微小液滴の吐出)を制御し得るように構成されている。
【0088】
<実施形態の装置の動作説明>
次に、本実施形態の装置構成の動作について、図面を参照しつつ説明する。
【0089】
<<DNAチップの製造工程>>
最初に、図1に示されているDNAチップ10の製造工程について説明する。この製造工程は、DNAチップ基板12の表面にpoly-L-lysine層からなる試料担持層14(図2参照)を形成する前処理工程と、DNA断片を含む試料溶液を調製する試料調製工程と、得られた試料溶液をDNAチップ基板12上に供給する供給工程と、からなる。
【0090】
前処理工程は、以下のように行われる。まず、DNAチップ基板12は、室温で少なくとも2時間、所定のアルカリ溶液に浸される。このアルカリ溶液としては、例えば、NaOHを蒸留水に溶かした後、更にエタノールを加えて、完全に透明になるまで攪拌することによって得られた溶液が用いられ得る。その後、DNAチップ基板12は、当該アルカリ溶液から取り出されて蒸留水中で洗浄される。続いて、DNAチップ基板12は、蒸留水中にpoly-L-lysineを加えることにより調製されたpoly-L-lysine液中に1時間程度浸される。その後、DNAチップ基板12がpoly-L-lysine液から取り出され、遠心分離によって余分なpoly-L-lysine液がDNAチップ基板12から除去される。続いて、DNAチップ基板12は、40℃にて5分程度ほど乾燥される。これにより、表面にpoly-L-lysine試料担持層14が形成されたDNAチップ基板12が得られる。
【0091】
試料調製工程は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によってDNA断片の塩基配列を増幅することでPCR産物を得る増幅工程と、得られたPCR産物を乾燥してDNA粉末を得る粉末生成工程と、得られたDNA粉末を緩衝液に溶かす混合工程とを含む。粉末生成工程においては、まず、PCR産物に、3M(=3mol/l)の酢酸ナトリウムとイソプロパノールとが加えられ、数時間放置される。その後、この溶液が遠心分離されることで、DNA断片が沈殿する。この沈殿したDNA断片がエタノールでリンスされ、遠心分離された後、乾燥されることで、DNA粉末が生成される。混合工程においては、DNA粉末にトリス−EDTA(TE)緩衝液が加えられ、完全に溶解するまで数時間放置される。これにより、試料溶液が調製される。この段階での試料溶液の濃度は1〜10μg/μlである。
【0092】
こうして得られた試料溶液は、図7に示されているカートリッジ220の試料貯留部222に貯留される。このカートリッジ220が、図6に示されている分注装置200に装着されることによって、試料溶液が当該分注装置200における各マイクロピペット100に供給される。そして、試料溶液の微小液滴が各マイクロピペット100からDNAチップ基板12(図1参照)に向けて吐出されることで、当該DNAチップ基板12上に試料溶液の微小液滴が供給され、当該DNAチップ基板12上に、多数個の試料溶液の微小スポットSが、所定の配列となるように形成される。このようにして、DNAチップ10が製造される。
【0093】
ここで、試料溶液の微小液滴は、通常、目視が困難である。よって、当該微小液滴がDNAチップ基板12上に所定の配列で正しく形成されているか否か(特定のマイクロピペット100における不吐出等の吐出不良がないかどうか)は、目視では判定できない。一方、当該微小液滴の吐出経路の途中をレーザー光等でスキャンすることで、当該不吐出を判定することは可能である。しかし、そのようにレーザー光をスキャンして各マイクロピペット100における吐出不良を判定するための装置構成は、非常に高価である。
【0094】
そこで、図8に示されているように、本実施形態の通過検出装置300を用いることによって、分注装置200における各マイクロピペット100の吐出不良が判定される。この通過検出装置300は、上述したような、きわめて簡略で製造コストが低廉となり得る構成を有している。もっとも、このような簡略な構成を有するにもかかわらず、当該通過検出装置300による吐出不良の判定は確実に行われ得る。
【0095】
<<実施形態の物体通過判定の動作説明>>
次に、本実施形態の通過検出装置300を用いた、マイクロピペット100における試料溶液の微小液滴の吐出状態の判定動作について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0096】
図8に示されているように、通過検出装置300は、マイクロピペット100におけるノズルプレート110の下方に配置される。すなわち、ノズルプレート110と通過検出装置300におけるアパチャープレート340(図9参照)とが対向するように、当該通過検出装置300は分注装置200の下方に配置される。そして、分注装置200が外部装置によって駆動される。すなわち、分注装置200に備えられた各マイクロピペット100におけるアクチュエータユニット130(図5参照)が駆動される。これにより、各マイクロピペット100にて、試料溶液の微小液滴が吐出される。
【0097】
ここで、ノズル112(図3参照)と、液滴通過アパチャー341(図9参照)とが、所定の飛翔方向DOF1(図9参照)と平行な直線上に配置されるように、通過検出装置300が配置される。これにより、マイクロピペット100から試料溶液の微小液滴LD(図9参照)が吐出された場合であっても、吐出方向が適正でない(図9に示されている所定の飛翔方向DOF1と平行でない)場合には、当該微小液滴LDは、アパチャープレート340に衝突して液滴通過アパチャー341を通過できなくなる。
【0098】
図9を参照すると、試料溶液の微小液滴LDが所定の飛翔方向DOF1と平行に吐出された場合、液滴通過アパチャー341を通過する。この液滴通過アパチャー341を通過した微小液滴は、特定空間300a内に進入する。これにより、当該特定空間300a内の状態(超音波の伝播状態や誘電率等)が変化する。この変化の度合いは、当該微小液滴LDの性質によって異なる。したがって、このような特定空間300a内の状態を、受信素子320によって検知することにより、当該特定空間300a内における微小液滴LDの通過状態が検出され得る。すなわち、当該特定空間300a内に微小液滴LDが進入したか、及び当該微小液滴LDのサイズが判定され得る。
【0099】
<<<物体通過判定の動作説明>>>
図10及び図11を参照すると、本実施形態の構成においては、発信素子310(第1圧電/電歪素子311)の駆動と、アクチュエータユニット130の駆動とが同期するように、当該アクチュエータユニット130と発信素子310(第1圧電/電歪素子311)の駆動が、判定・制御部350によって制御される。これにより、第1圧電/電歪素子311及び第1基板312が振動し、超音波が発生する。この超音波は、特定空間300a内の媒質Mを伝播して、第2基板322に到達する。これにより、当該第2基板322が励振される。この第2基板322の振動によって、受信素子320(第2圧電/電歪素子321)に電圧が発生する。
【0100】
例えば、図12を参照すると、タイムチャート(a)に示されているように、アクチュエータユニット130(図11参照)が、所定の周期(周波数f1)のパルス波により周期的に駆動される。このアクチュエータユニット130の駆動パルスは、タイムチャート(b)に示されているような、図11における発信素子310(図10における第1圧電/電歪素子311)を駆動するための所定の周期(周波数f2)のパルス波と同期して発生される。このとき、周波数f1は、周波数f2とほぼ等しい。また、周波数f2は、発信素子310(第1圧電/電歪素子311)の共振周波数である。これにより、受信素子320(図10における第2圧電/電歪素子321)には、タイムチャート(c)に示されているような波形が発生する。この波形は、所定の周期(周波数f3)で生じる。このとき、周波数f3は、周波数f1及びf2とほぼ等しい。
【0101】
ここで、第2基板322の励振状態は、特定空間300a内の振動の伝播状態に応じて変化する。また、この特定空間300a内の振動の伝播状態は、当該特定空間300a内における微小液滴の有無や大きさによって異なる。よって、この振動の伝播状態の変化を受信素子320によって検知することで、当該特定空間300a内に微小液滴が進入したか、及び当該微小液滴のサイズが判定され得る。
【0102】
図12を参照すると、アクチュエータユニット130(図11参照)が駆動される前の受信素子320の出力波形(タイムチャート(c)参照)においては、電圧Vpp(ピーク間電圧)がV1である。一方、アクチュエータユニット130(図11参照)が駆動された後であって、微小液滴が特定空間300a(図10参照)内に進入している場合の受信素子320の出力波形(タイムチャート(c)参照)においては、電圧Vpp(ピーク間電圧)がV1より小さいV2となる。このように、受信素子320の出力電圧を取得することで、当該特定空間300a内に微小液滴が進入したか、及び当該微小液滴のサイズが判定され得る。
【0103】
<実施形態の装置構成による作用・効果>
次に、本実施形態の装置構成による作用・効果について、図面を参照しつつ説明する。
【0104】
図9及び図10を参照すると、本実施形態の通過検出装置300においては、発信素子310から、遮蔽部材330における貫通孔332及び試料溶液の微小液滴LDの通過経路を通って、受信素子320に達する、振動の直接的な伝播経路(直接振動伝播経路Pr)が形成される。一方、特定空間300a内にて多重反射した振動の、受信素子320による受信は、遮蔽部材330によって抑制され得る。すなわち、遮蔽部材330によって、受信素子320が多重反射振動からシールドされ得る。
【0105】
かかる構成によれば、試料溶液の微小液滴LDの通過検出のS/N比が向上する。よって、より微小なサイズの微小液滴LDの通過検出を、より正確に行うことが可能となる。
【0106】
本実施形態の通過検出装置300においては、遮蔽部材330における遮蔽板331によって、直接振動伝播経路Pr(直接振動伝播方向)と交差する方向を法線とする傾斜面である第1対向面331aが形成される。この第1対向面331aによって、特定空間300a内にて多重反射した振動が、貫通孔332と受信素子320とを結ぶ直接振動伝播経路Prから大きくズレた方向に反射され得る。
【0107】
これにより、多重反射に係る振動の、受信素子320による受信が、より効果的に抑制され得る。したがって、試料溶液の微小液滴LDの通過検出のS/N比がより向上する。
【0108】
本実施形態の通過検出装置300においては、貫通孔332の円相当径をd1、試料溶液の微小液滴LDの円相当径をd2、貫通孔332における微小液滴LDの平均速度をv、発信素子310による振動の周期をTとした場合に、
d22/d12≧0.6、(d1−d2)/v≧3T
となる。
【0109】
これにより、発信素子310から発せられた振動が貫通孔332を通過する際に、当該貫通孔332と試料溶液の微小液滴LDとが重なった状態が、当該微小液滴LDの通過検出に充分な時間だけ継続し得る。よって、当該微小液滴LDの通過による受信素子320における出力信号の変化率が、当該微小液滴LDの通過検出に充分なだけ生じ得る。したがって、当該微小液滴LDの通過検出が、より安定的に行われ得る。
【0110】
本実施形態の通過検出装置300においては、遮蔽部材330は、受信素子320における第2基準電極321cと同電位の接地電位に設定されている。
【0111】
これにより、当該遮蔽部材330が、多重反射振動に対するシールド効果のみならず、電磁的ノイズに対するシールド効果をも奏することになる。よって、試料溶液の微小液滴LDの通過検出のS/N比がよりいっそう向上する。したがって、より微小なサイズの試料溶液の微小液滴LDの検出を、さらに正確に行うことが可能となる。
【0112】
本実施形態の通過検出装置300においては、アパチャープレート340には、試料溶液の微小液滴LDが通過可能な貫通孔である液滴通過アパチャー341が形成されている。
【0113】
よって、特定空間300aと液滴通過アパチャー341との位置関係を適宜に設定することで、試料溶液の微小液滴LDの特定空間300a内における飛翔態様(例えば、進行方向や直進性等)がより簡易な装置構成で検出され得る。
【0114】
本実施形態の通過検出装置300においては、特定空間300aが、接地された第1基準電極311cと、接地された第2基準電極321cとの間で挟まれている。よって、試料溶液の微小液滴が帯電している場合に、当該微小液滴の飛翔経路が電界によって曲げられることが抑制され、確実な吐出状態の検出が行われる。
【0115】
本実施形態の通過検出装置300においては、特定空間300aの幅Wは、当該特定空間300a内の媒質Mを伝播する振動の波長をλとし、nを自然数とした場合に、以下の式を満たすように設定されている。
W=(n/2)λ
【0116】
よって、当該特定空間300a内における振動の伝播がより効率的に行われる。したがって、振動発生源を構成する第1圧電/電歪素子311の省電力化が可能となる。また、第2圧電/電歪素子321の感度向上が達成され得る。
【0117】
本実施形態の通過検出装置300においては、第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321が、特定空間300aの外側に(特定空間300a内に露出しないように)配置されている。すなわち、特定空間300aの内壁面が誘電体表面によって構成されている。よって、試料溶液が第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321に付着することで当該第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321に障害が生じることが防止され得る。
【0118】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において種々の変形を施すことができることは当然である。
【0119】
以下、変形例について幾つか例示する。しかしながら、変形例とてこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。本願発明を、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づき限定解釈すること(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素を、実施形態等の記載に基づき限定解釈すること)は、許されない(かかる限定解釈は、特に、先願主義の下では、出願を急ぐ出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものである)。また、下記変形例が、互いに矛盾しない範囲で、それぞれ適宜組み合わされ得ることはいうまでもない。
【0120】
(1)本発明の適用対象は、上述の実施形態のような、マイクロピペットに限定されない。微小物体の飛翔方向も、鉛直下方に限定されない。また、通過検出のために用いられる振動としては、超音波の他に、音波や熱等も利用可能である。さらに、微小物体が通過する媒質にも限定はない。例えば、空気の他の各種気体や、水・油等の液体を媒質とした場合にも、本発明は好適に適用され得る。
【0121】
(2)図9を参照すると、直接振動伝播経路Prに沿った方向から見た場合の、貫通孔332の形状は、円形に限定されない。貫通孔332は、例えば、楕円形、多角形、不定形等の様々な形状に形成され得る。また、検出感度の観点から、直接振動伝播経路Prと平行な直線を法線とする平面(第2対向面331b)に試料溶液の微小液滴LDを射影した場合の面積が、貫通孔332の開口面積の60%以上となるように、試料溶液の微小液滴LDの大きさに合わせて貫通孔332の形状や円相当径が設定されていることが好ましい。
【0122】
(3)図9を参照すると、第1対向面331aと直接振動伝播経路Prとのなす角は、40度ないし55度に設定されていてもよい。
【0123】
かかる構成においては、特定空間300a内にて多重反射した振動が、遮蔽板331によって形成された傾斜面である第1対向面331aによって反射される。これにより、当該反射した振動の伝播方向が、貫通孔332と受信素子320とを結ぶ直接振動伝播経路Prから大きくズレ得る。これにより、多重反射に係る振動の、受信素子320による受信が、より効果的に抑制され得る。
【0124】
かかる構成によれば、試料溶液の微小液滴LDの通過検出のS/N比がより向上する。よって、より微小なサイズの微小液滴LDの検出を、さらに正確に行うことが可能となる。
【0125】
(4)図9を参照すると、第1対向面331aが直接振動伝播経路Prとほぼ直交する面であって、第2対向面331bが傾斜面であってもよい。あるいは、第1対向面331a及び第2対向面331bのいずれもが傾斜面であってもよい。
【0126】
(5)遮蔽部材330は、半導電性や絶縁性の材料から構成されていてもよい。
【0127】
(6)図13は、図9に示されている通過検出装置300の1つの変形例の構成を示す斜視図である。図13に示されているように、一対の発信素子310及び受信素子320の組は、複数組備えられていてもよい。
【0128】
この場合、発信素子310及び受信素子320は、遮蔽部材330の長手方向(直接振動伝播経路Pr及び所定の飛翔方向DOF1と直交する方向:図中左下から右上に向かう方向)に沿って配列されている。そして、遮蔽部材330は、前記長手方向に沿って配列された複数の遮蔽板331を備えている。すなわち、図13に示されているように、複数の発信素子310及び受信素子320の組のそれぞれに対応するように、貫通孔332が形成された遮蔽板331が配置されている。これら複数の遮蔽板331は、継ぎ目なく一体に成形されている。
【0129】
本変形例においては、複数の遮蔽板331における第2対向面331bが、同一平面上に位置するように、遮蔽部材330が構成されている。そして、互いに平行な隣り合う第1対向面331aを接続する平面である接続面331cと、第1対向面331aとが、略直交するように、遮蔽部材330が構成されている。
【0130】
このように、本変形例の遮蔽部材330は、楔状の遮蔽板331を接続した、のこぎり刃状に形成されている。
【0131】
かかる構成においては、隣り合う受信素子320同士のクロストークの発生が、各受信素子320に対向する遮蔽板331によって効果的に抑制され得る。したがって、より微小なサイズの物体の通過検出を、さらに正確に行うことが可能となる。
【0132】
(7)図13に示されているように、アパチャープレート340(図9参照)は、適宜省略され得る。
【0133】
(8)遮蔽部材330の形状は、図9や図13に示されているような形状に限定されない。
【0134】
(8−1)図14は、図9又は図13に示されている遮蔽部材330の変形例の構成を示す斜視図である。
【0135】
図14に示されているように、遮蔽部材330が、遮蔽板331と、突起部333と、から構成されていてもよい。突起部333は、遮蔽板331の両端部から、直接振動伝播経路Prに沿って突出するように設けられている。遮蔽板331及び突起部333は、継ぎ目なく一体に成形されている。
【0136】
本変形例においては、突起部333は、所定の飛翔方向DOF1と略平行な方向を中心軸線とする三角柱状に形成されている。この突起部333の、発信素子310と対向する表面である、第1傾斜面333a及び第2傾斜面333bは、直接振動伝播経路Prとのなす角が40度ないし55度となるように設けられている。なお、第1傾斜面333aと直接振動伝播経路Prとのなす角と、第2傾斜面333bと直接振動伝播経路Prとのなす角とは、異なっていてもよい。
【0137】
かかる構成によっても、上述の実施形態と同等の作用・効果が奏され得る。
【0138】
なお、上述の構成において、遮蔽板331は、楔状であってもよいし、平板状であってもよい。
【0139】
また、第1傾斜面333a及び第2傾斜面333bが、受信素子320と対向するように、遮蔽部材330が構成されていてもよい。
【0140】
さらに、第1傾斜面333a及び第2傾斜面333bのいずれか一方は、直接振動伝播経路Prとのなす角が40度未満であってもよい。
【0141】
(8−2)図15は、図14に示されている遮蔽部材330の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【0142】
図15に示されているように、突起部333が、所定の飛翔方向DOF1に沿って複数(図15においては2つ)に分割されていてもよい。すなわち、例えば、突起部333が、遮蔽板331から突出する四角錐状の突起から構成されていてもよい。
【0143】
(8−3)図16は、図9又は図13に示されている遮蔽部材330の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【0144】
図16に示されているように、遮蔽板331が、薄板状の部材から構成されていてもよい。
【0145】
また、遮蔽部材330は、複数の遮蔽板331を備えていてもよい。この場合、隣り合う遮蔽板331は、接続板334によって接続されている。遮蔽板331は、その表面が、直接振動伝播経路Prと交差する方向を法線とする傾斜面を構成するように配置されている。遮蔽板331と接続板334とは、継ぎ目なく一体に成形されている。
【0146】
これにより、発信素子310及び受信素子320の双方に対して傾斜面が対向する構成が、きわめて簡略に実現され得る。
【0147】
(9)図17は、図9に示されている通過検出装置300の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【0148】
図17に示されているように、素子ノイズ低減シールド部382が備えられていてもよい。この素子ノイズ低減シールド部382は、発信素子310及び受信素子320の互いに対向している部分同士を露出させつつ、それ以外の部分を全方向にわたって覆うように設けられている。
【0149】
かかる構成においては、素子ノイズ低減シールド部382により、発信素子310及び受信素子320に対する電気的なノイズが除去される。これにより、受信素子320による物体通過検出のS/N比が向上する。したがって、より小さな物体の検出をより高精度で行うことが可能となる。
【0150】
なお、発信素子310及び受信素子320のうちのいずれか一方(好ましくは受信素子320)のみが、素子ノイズ低減シールド部382によってシールドされていてもよい。
【0151】
(10)図18は、図11に示されている、試料溶液の微小液滴の吐出状態を判定するための回路構成の、1つの変形例を示すブロック図である。
【0152】
図18に示されているように、当該回路構成には、回路ノイズ低減シールド部384が備えられていてもよい。この回路ノイズ低減シールド部384は、判定・制御部350等の電気回路を覆うことで、当該電気回路に及ぼされる電気的なノイズを除去し得るように構成されている。
【0153】
かかる構成においては、回路ノイズ低減シールド部384により、判定・制御部350等の電気回路に対する電気的なノイズが除去される。これにより、物体通過検出のS/N比が向上する。したがって、より小さな物体の検出をより高精度で行うことが可能となる。
【0154】
(11)なお、ノイズ低減による高感度化は、発信素子310を覆う素子ノイズ低減シールド部382、受信素子320を覆う素子ノイズ低減シールド部382、及び回路ノイズ低減シールド部384のうちの、少なくともいずれか1つが採用されることで実現され得る。また、回路ノイズ低減シールド部384は、少なくとも判定・制御部350をシールドすれば足りる。
【0155】
(12)図18に示されているように、試料溶液の微小液滴の吐出状態を判定するための回路構成には、バンドパスフィルター390が備えられていてもよい。このバンドパスフィルター390は、受信素子320と判定・制御部350との間に介装され得る。このバンドパスフィルター390は、受信素子320における出力の周波数を、所望の共振周波数の周辺の帯域(具体的には、例えば、前記所望の共振周波数の±10%の範囲)に限定し得るように構成されている。
【0156】
かかる構成においては、周囲からの音波や、前記所望の共振周波数に対応する所望のモードの振動以外の不要なモードの振動等に基づく、機械的なノイズが除去される。これにより、物体通過検出のS/N比が向上する。したがって、かかる構成によれば、より小さな物体の検出をより高精度で行うことが可能となる。
【0157】
なお、バンドパスフィルター390は、判定・制御部350の内部に備えられ得る。
【0158】
(13)発信素子310及び受信素子320の構成についても、上述の実施の形態に開示されたものに限定されない。
【0159】
(13−1)図19は、図10に示されている発信素子310及び受信素子320の1つの変形例の構成を示す断面図である。
【0160】
図19に示されている本変形例の構成においては、第1圧電/電歪素子311は、第1基板312の内側表面312a上に設けられている。また、第2圧電/電歪素子321は、第2基板322の内側表面322a上に設けられている。すなわち、第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321は、特定空間300aに面するように配置されている。
【0161】
これにより、受信素子320を構成する第2圧電/電歪素子321における超音波の受信感度をさらに高めることができる。また、通過検出装置300のさらなる小型化を図ることができ、より微小なサイズの液滴の通過検出が良好に行われ得る。
【0162】
(13−2)第1圧電/電歪素子311の第1基板312に対する取り付け態様、及び第2圧電/電歪素子321の第2基板322に対する取り付け態様は、上述のもの以外の態様にも適宜変更され得る。
【0163】
例えば、第1圧電/電歪素子311と第2圧電/電歪素子321とのうちの一方が、特定空間300aに面するように配置され、他方が特定空間300aの外側に配置されていてもよい。
【0164】
また、駆動電極311bが特定空間300aに面するように、第1圧電/電歪素子311が配置されていてもよい。あるいは、信号出力電極321bが特定空間300aに面するように、第2圧電/電歪素子321が配置されていてもよい。
【0165】
このような、発信素子310及び受信素子320と、第1基板312及び第2基板322との配置関係は、試料溶液の微小液滴の性質(体積・重さ・電気伝導度・帯電量等の物理的性質、pH・腐食性等の化学的性質、移動速度、吐出周期等)、特定空間300aの幅(第1基板312の内側表面312aと第2基板322の内側表面322aとの距離)、発信素子310及び受信素子320の構成等によって、適宜選択され得る。
【0166】
(13−3)図20は、図10に示されている発信素子310及び受信素子320の他の変形例の構成を示す断面図である。
【0167】
図20に示されている本変形例の通過検出装置300は、特定空間300a内の誘電率(仮想コンデンサの静電容量)の変化と、当該特定空間300a内の超音波の伝播状態とに基づいて、当該特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得るように構成されている。かかる本変形例の通過検出装置300の具体的構成は、以下の通りである。
【0168】
本変形例においては、上述の実施形態の構成と同様に、発信素子310を構成する第1圧電/電歪素子311には、パルス発生源313が接続されている。また、受信素子320を構成する第2圧電/電歪素子321には、電圧計323が接続されている。
【0169】
第1圧電/電歪素子311は、駆動電極311bが特定空間300a側に位置するように配置されている。この駆動電極311bは、既知の静電容量のコンデンサC1を介して、直流電源PSと接続されている。また、第2圧電/電歪素子321は、第2基準電極321cが特定空間300a側に位置するように配置されている。この第2基準電極321cは、遮蔽板331とともに、接地されている。
【0170】
駆動電極311b及び第2基準電極321cは、電圧計324によって両者の間の電圧が取得され得るように、電圧計324と接続されている。また、第2圧電/電歪素子321には、信号出力電極321bと第2基準電極321cとの間の電圧が取得され得るように、電圧計323が接続されている。
【0171】
すなわち、本変形例においては、第1圧電/電歪素子311における特定空間300aに近接する側の電極である駆動電極311bと、接地された遮蔽板331との間に、仮想的なコンデンサC2が形成されている。この仮想コンデンサC2は、当該特定空間300a内の誘電率の変化(当該特定空間300a内における物体の有無や大きさ)によって、静電容量が変化するように構成されている。また、当該仮想コンデンサC2が、上述の既知のコンデンサC1と直列に接続されている。そして、直流電源PSの両端の電圧のうちの、当該仮想コンデンサC2の分圧が、電圧計324によって取得され得るようになっている。
【0172】
このように、本変形例の通過検出装置300は、第1圧電/電歪素子311における駆動電極311bと遮蔽板331との間に形成される仮想コンデンサC2の分圧の変化、及び第2圧電/電歪素子321による出力電圧の変化に基づいて、特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得るように構成されている。
【0173】
なお、本実施例においても、上述の図11の回路構成が用いられ得る。この場合、図11における判定・制御部350は、図20における電圧計323、電圧計324、コンデンサC1、及び直流電源PSを含むように構成されている。
【0174】
本変形例の構成においても、図11に示されているような回路構成を用いて、図12に示されているように、第1圧電/電歪素子311等の駆動制御や、微小液滴の通過等が、以下のようにして判定され得る。
【0175】
図20を参照すると、発信素子310を構成する第1圧電/電歪素子311が所定のタイミングで駆動されることで、超音波が発生する。この超音波は、特定空間300a内の媒質を伝播して、第2基板322に到達する。これにより、当該第2基板322が励振される。この第2基板322の振動によって、第2圧電/電歪素子321に電圧が発生する。この第2圧電/電歪素子321に発生した電圧が、電圧計323によって取得される。
【0176】
また、第1圧電/電歪素子311における駆動電極311bと遮蔽板331との間に形成される仮想コンデンサC2の分圧の変化が、電圧計324によって取得される。そして、電圧計323及び電圧計324の出力に基づいて、特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得る。例えば、図11における判定・制御部350によって、電圧計323の出力に基づく検出結果と、電圧計324の出力に基づく検出結果とに対して、適宜の統計処理が施されることで、前記物体の特性(大きさや帯電性等)にかかわらず、より信頼性の高い当該物体の通過等の検出が行われ得る。
【0177】
なお、遮蔽板331の厚さ、断面形状、位置(第1圧電/電歪素子311及び第2圧電/電歪素子321との位置関係)は、任意に調整され得る。これにより、物体の通過検出の感度や安定性等が向上され得る。
【0178】
(13−4)図21は、図10に示されている発信素子310及び受信素子320の他の変形例の構成を示す断面図である。
【0179】
本変形例においては、発信素子310は、上述の実施形態と同様の第1圧電/電歪素子311から構成されている。一方、受信素子320は、上述の実施形態とは異なり、静電マイク325から構成されている。
【0180】
静電マイク325は、振動板325aと、支持板325bと、スペーサー325cと、第1検出電極325dと、第2検出電極325eと、を備えていて、受けた外力に応じた電圧が第1検出電極325dと第2検出電極325eとの間に発生するように構成されている。
【0181】
振動板325aは、薄板状の誘電体層からなり、特定空間300aを囲む外壁を構成する部材である(上述の実施形態における第2基板322[図10参照]に相当する部材である)。すなわち、当該静電マイク325の、特定空間300aに面する内側表面は、振動板325aの内側表面325a1によって構成されている。
【0182】
支持板325bは、薄板状の誘電体層からなり、所定のギャップを隔てて、振動板325aと平行に配設されている。スペーサー325cは、多数の貫通孔が形成された板状部材であって、当該貫通孔によって上述の振動板325aと支持板325bとの所定のギャップが形成されるように、振動板325aと支持板325bとの間に配置されている。
【0183】
このように、振動板325aは、スペーサー325cに形成された貫通孔内にて架け渡されるように配置されている。そして、当該振動板325aは、振動発生源としての第1圧電/電歪素子311と対向する位置に設けられていて、当該第1圧電/電歪素子311から発せられた振動が特定空間300a内の媒質を介して伝播されることで励振されるように構成されている。
【0184】
第1検出電極325dは、振動板325aにおける、内側表面325a1の裏側の外側表面325a2上に形成されている。この第1検出電極325dは、既知の静電容量のコンデンサC3を介して、直流電源PSと接続されている。
【0185】
第2検出電極325eは、支持板325bにおける、振動板325aと対向する内側表面325b1上に形成されていて、第1検出電極325dと平行に配設されている。この第2検出電極325eは、接地されている。
【0186】
第1検出電極325d及び第2検出電極325eは、電圧計323によって両者の間の電圧が取得されるように、電圧計323と接続されている。
【0187】
すなわち、静電マイク325においては、第1検出電極325d及び第2検出電極325eによって仮想的なコンデンサC4が形成されている。この仮想コンデンサC4は、振動板325aの振動に伴う第1検出電極325dと第2検出電極325eとの間のギャップの距離の変化によって静電容量が変化するように構成されている。また、当該仮想コンデンサC4が、上述の既知のコンデンサC3と直列に接続されている。そして、直流電源PSの両端の電圧のうちの、当該仮想コンデンサC4の分圧が、電圧計323によって取得され得るように、電圧計323が第1検出電極325d及び第2検出電極325eと接続されている。
【0188】
このように、本変形例の静電マイク325は、当該仮想コンデンサC4の分圧の変化に基づいて、振動板325aの振動状態に応じた信号を出力し得るように構成されている。そして、本変形例の通過検出装置300は、電圧計323の両端の電圧の変化に基づいて、特定空間300a内の超音波の伝播状態の変化を検知することで、当該特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得るように構成されている。
【0189】
なお、本変形例においても、上述の図11の回路構成が用いられ得る。この場合、図11における判定・制御部350は、図21における電圧計323、コンデンサC3、及び直流電源PSを含むように構成されている。
【0190】
以下、各図面に基づいて、本変形例の構成による物体通過判定の動作を説明する。
【0191】
図21を参照すると、発信素子310を構成する第1圧電/電歪素子311が所定のタイミングで駆動されることで超音波が発生する。
【0192】
本変形例においては、特定空間300a内の媒質を介して受信素子320に伝播してきた超音波によって、振動板325aが振動する。この振動板325aの振動によって、第1検出電極325dと第2検出電極325eとの間のギャップの距離が変化する(すなわち仮想コンデンサC4の静電容量が変化する)。この仮想コンデンサC4の静電容量の変化に伴って、仮想コンデンサC4の分圧の変化が、電圧計323によって取得される。この分圧の変化の様子は、図12(c)に示されているように、特定空間300a内に微小液滴が進入したか否か、及び当該微小液滴のサイズによって変動する。これにより、当該特定空間300a内に微小液滴が進入したか、及び当該微小液滴のサイズが判定され得る。
【0193】
本変形例の構成によれば、振動板325aの材質として様々なものが選択され得る。例えば、振動板325aとして、合成樹脂製のフィルムが用いられ得る。この場合、第1検出電極325dも、金属蒸着膜等の適用により、容易に薄膜化され得る。これにより、当該振動板325a及び第1検出電極325dの全体的な剛性が低下し、特定空間300a内の媒質における微弱な振動によっても当該振動板325aが大きく振動する。よって、前記媒質における僅少な振動状態の変化が、当該振動板325aにおける大きな振動状態の変化として現れ得る。したがって、本変形例の構成によれば、物体の通過検出の感度がさらに向上し得る。
【0194】
(13−5)図22は、図10に示されている発信素子310及び受信素子320の他の変形例の構成を示す断面図である。
【0195】
本変形例の通過検出装置300は、図20に示されている変形例と、図21に示されている変形例と、を組み合わせた構成を有している。
【0196】
すなわち、本実施例の通過検出装置300は、図20に示されている変形例と同様に、特定空間300a内の静電容量の変化と、当該特定空間300a内の超音波の伝播状態とに基づいて、当該特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得るように構成されている。そして、本変形例の構成は、第2圧電/電歪素子321(図20参照)に代えて静電マイク326が用いられている点、及びこれに付随する電気回路構成が若干異なる点以外は、図20に示されている変形例の構成と同様の構成を有している。
【0197】
具体的には、第1圧電/電歪素子311は、駆動電極311bが特定空間300a側に位置するように配置されている。この駆動電極311bは、既知の静電容量のコンデンサC1を介して、直流電源PS1と接続されている。駆動電極311b及び第1基準電極311cには、パルス発生源313が接続されている。
【0198】
本実施形態の静電マイク326は、図21の静電マイク325における振動板325a、支持板325b、スペーサー325c、第1検出電極325d、及び第2検出電極325eと同様の、振動板326a、支持板326b、スペーサー326c、第1検出電極326d、第2検出電極326eを備えている。第1検出電極326dは、既知の静電容量のコンデンサC3を介して、直流電源PS2と接続されている。第2検出電極326eは、接地されている。
【0199】
また、第1圧電/電歪素子311と、静電マイク326における内側表面326a1との間には、遮蔽板331が配置されている。この遮蔽板331は、接地されている。
【0200】
さらに、第1検出電極325d及び第2検出電極325eは、電圧計323と接続されている。そして、遮蔽板331及び第1圧電/電歪素子311における駆動電極311bは、電圧計324に接続されている。
【0201】
このように、本変形例の通過検出装置300は、既知のコンデンサC1と仮想コンデンサC2との直列回路における当該仮想コンデンサC2の分圧の変化、及び既知のコンデンサC3と静電マイク326にて形成される仮想コンデンサC4との直列回路における当該仮想コンデンサC4の分圧の変化に基づいて、特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得るように構成されている。
【0202】
本変形例の構成においても、図11に示されているような回路構成を用いて、図12に示されているように、第1圧電/電歪素子311等の駆動制御や、微小液滴の通過等が、以下のようにして判定され得る。
【0203】
図22を参照すると、発信素子310を構成する第1圧電/電歪素子311が所定のタイミングで駆動されることで超音波が発生する。この超音波は、特定空間300a内の媒質内を伝播して、振動板326aに到達する。これにより、当該振動板326aが励振される。この振動板326aの振動によって、第1検出電極326dと第2検出電極326eとの間のギャップの距離が変化する(すなわち仮想コンデンサC4の静電容量が変化する)。この仮想コンデンサC4の静電容量の変化に伴って、当該仮想コンデンサC4と既知のコンデンサC3との直列回路における、仮想コンデンサC4の両端に発生する分圧が変化する。すなわち、静電マイク326に発生する電圧が変化する。この静電マイク326に発生した電圧が、電圧計323によって取得される。
【0204】
また、第1圧電/電歪素子311における駆動電極311bと遮蔽板331との間に形成される仮想コンデンサC2の分圧の変化が、電圧計324によって取得される。そして、電圧計323及び電圧計324の出力に基づいて、特定空間300a内における試料溶液の微小液滴の通過の有無や当該微小液滴の体積が判定され得る。例えば、図11における判定・制御部350によって、電圧計323の出力に基づく検出結果と、電圧計324の出力に基づく検出結果とに対して、適宜の統計処理が施されることで、前記物体の特性(大きさや帯電性等)にかかわらず、より信頼性の高い当該物体の通過等の検出が行われ得る。
【0205】
(13−6)図23は、図10に示されている発信素子310の他の変形例の構成を示す断面図である。
【0206】
発信素子310における振動発生源として、図23に示されているような、多層型圧電/電歪素子315が適用され得る。これにより、発生される超音波の強度が向上し、より高感度の通過検出が行われ得る。
【0207】
この場合、図24に例示されているように、発信素子310における振動発生源を構成する多層型圧電/電歪素子315が、受信素子320とは異なる構造となる。すると、発信素子310と受信素子320との1次共振周波数が等しい場合であっても、両者の高次の共振周波数は異なることとなる。
【0208】
かかる構成においては、発信素子310における所望の振動モード以外の振動に基づく、受信素子320の出力が抑制される。これにより、物体通過検出のS/N比が向上する。したがって、かかる構成によれば、より小さな物体の検出が可能となる。
【0209】
(14)図10を参照すると、発信素子310における第1基板312の構成も、様々なものが採用され得る。
【0210】
図25は、図10に示されている第1基板312の1つの変形例の構成を示す断面図である。なお、図25においては、変形例の第1基板312に、第1圧電/電歪素子311が着接された構成が図示されている。もっとも、本変形例が、かかる構成に限定されないこと(例えば、第1圧電/電歪素子311に代えて、多層型圧電/電歪素子315が用いられ得ること)は、いうまでもない。
【0211】
図25に示されているように、第1基板312は、薄肉平板状のダイヤフラム312cと、そのダイヤフラム312cの両側に形成された平板状のダイヤフラム支持厚肉部312dと、を備えている。ダイヤフラム支持厚肉部312dは、ダイヤフラム312cと同材質からなり、当該ダイヤフラム312cよりも厚く形成されている。ダイヤフラム312c及びダイヤフラム支持厚肉部312dは、継ぎ目なく一体に成形されている。そして、振動発生源(第1圧電/電歪素子311)が、ダイヤフラム312cに着接されている。
【0212】
かかる構成によれば、隣り合うダイヤフラム支持厚肉部312dの間にてダイヤフラム312cが架け渡されるように、本変形例の第1基板312が構成されている。よって、発信素子310より、高い出力で振動が発生し得る。
【0213】
また、図25に示されているように、本変形例の第1基板312における外側表面312bは、ダイヤフラム312c及びダイヤフラム支持厚肉部312dの外側表面から構成されている。すなわち、ダイヤフラム312cの外側表面と、ダイヤフラム支持厚肉部312dの外側表面とが、同一平面上で連続するように、当該変形例に係る第1基板312が構成されている。
【0214】
そして、ダイヤフラム312cの内側表面からなる第1基板312の内側表面312aと、ダイヤフラム支持厚肉部312dのキャビティ側面312eとで囲まれた空間(第1基板312の内側表面312a側に形成された凹部の内側の空間)が、特定空間300aに含まれるように、当該第1基板312が構成されている。
【0215】
かかる構成によれば、特定空間300aを構成する上述の凹部が、第1基板312の内側表面312a側に形成される。よって、第1基板312の厚さの範囲内に、特定空間300aの一部を構成することができる。したがって、通過検出装置の小型化が可能となる。
【0216】
また、図25に示されている、ダイヤフラム支持厚肉部312dのキャビティ側面312eは、音波又は超音波を反射し得るように構成されていてもよい。
【0217】
かかる構成によれば、特定空間300aを構成する上述の凹部の内側の壁面を構成する、ダイヤフラム支持厚肉部312dのキャビティ側面312eによって、音波又は超音波が高い効率で反射される。よって、音波又は超音波が特定空間300a内の媒質を伝播する際の指向性が向上する。したがって、振動発生源(第1圧電/電歪素子311)の出力を小さくして、消費電力を小さくしても、通過検出が良好に行われ得る。
【0218】
なお、図25においては、振動発生源(第1圧電/電歪素子311)が第1基板312(ダイヤフラム312c)の外側表面312bに着接されているように図示されているが、本変形例はこれに限定されるものではない。すなわち、振動発生源(第1圧電/電歪素子311)は第1基板312(ダイヤフラム312c)の内側表面312aに着接されていてもよい。
【0219】
(15)図10を参照すると、受信素子320における第2基板322の構成も、様々なものが採用され得る。
【0220】
図26は、図10に示されている第2基板322の1つの変形例の構成を示す断面図である。なお、図26においては、変形例の第2基板322に、第2圧電/電歪素子321が着接された構成が図示されている。もっとも、本変形例が、かかる構成に限定されないこと(例えば、図21における静電マイク325や、図22における静電マイク326等が用いられ得ること)は、いうまでもない。
【0221】
図26に示されているように、第2基板322は、薄肉平板状のダイヤフラム322cと、そのダイヤフラム322cの両側に形成された平板状のダイヤフラム支持厚肉部322dと、を備えている。ダイヤフラム支持厚肉部322dは、ダイヤフラム322cと同材質からなり、当該ダイヤフラム322cよりも厚く形成されている。ダイヤフラム322c及びダイヤフラム支持厚肉部322dは、継ぎ目なく一体に成形されている。そして、第2圧電/電歪素子321等の、受信素子320の主要部をなす信号発生部が、ダイヤフラム322cに着接されている。
【0222】
かかる構成によれば、隣り合うダイヤフラム支持厚肉部322dの間にてダイヤフラム322cが架け渡されるように、本変形例の第2基板322が構成されている。したがって、特定空間300a内の媒質を介して伝播した振動によって、ダイヤフラム322cが高い効率で励振され得る。これにより、受信素子320における振動の受信が高感度で行われ、以て物質の通過等が高感度で検出され得る。
【0223】
また、図26に示されているように、本変形例の第2基板322における外側表面322bは、ダイヤフラム322c及びダイヤフラム支持厚肉部322dの外側表面から構成されている。すなわち、ダイヤフラム322cの外側表面と、ダイヤフラム支持厚肉部322dの外側表面とが、同一平面上で連続するように、当該変形例に係る第2基板322が構成されている。そして、ダイヤフラム322cの内側表面からなる第2基板322の内側表面322aと、ダイヤフラム支持厚肉部322dのキャビティ側面322eとで囲まれた空間(第2基板322の内側表面322a側に形成された凹部の内側の空間)が、特定空間300aに含まれるように、当該第2基板322が構成されている。
【0224】
かかる構成によれば、特定空間300aを構成する上述の凹部が、第2基板322の内側表面322a側に形成される。よって、第2基板322の厚さの範囲内に、特定空間300aの一部を構成することができる。したがって、通過検出装置の小型化が可能となる。
【0225】
また、図26に示されている、ダイヤフラム支持厚肉部322dのキャビティ側面322eは、音波又は超音波を反射し得るように構成されていてもよい。
【0226】
かかる構成によれば、特定空間300aを構成する上述の凹部の内側の壁面を構成する、ダイヤフラム支持厚肉部322dのキャビティ側面322eによって、音波又は超音波が高い効率で反射される。よって、音波又は超音波が特定空間300a内の媒質を伝播する際の指向性が向上する。
【0227】
なお、図26においては、前記信号発生部が第2基板322(ダイヤフラム322c)の外側表面322bに着接されているように図示されているが、本変形例はこれに限定されるものではない。すなわち、前記信号発生部は第2基板322(ダイヤフラム322c)の内側表面322aに着接されていてもよい。
【0228】
(16)図20〜図22における、既知のコンデンサC1及びC3は、抵抗器に置換することができる。その他、上述の各図面における回路構成は、任意のものが採用され得る。
【0229】
(17)図21における振動板325a及び支持板325bは、導電性材料で構成されていてもよい。これにより、振動板325a及び支持板325b自体に第1検出電極325d及び第2検出電極325eの機能を備えさせることができる。
【0230】
(18)その他、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態・実施例や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能な、いかなる構造をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】DNAチップの概略構成を示す外観図(斜視図)である。
【図2】図1に示されているDNAチップを拡大した断面図である。
【図3】図1に示されているDNAチップを製造するために用いられるマイクロピペットを拡大した断面図である。
【図4】図3に示されているマイクロピペットにおける試料溶液の流路の構成を拡大しつつ透視して示す斜視図である。
【図5】図3に示されているマイクロピペットを拡大した平面図である。
【図6A】図3に示されているマイクロピペットを備えた分注装置の平面図である。
【図6B】図3に示されているマイクロピペットを備えた分注装置の側面図である。
【図7】図6A及び図6Bに示されている分注装置の分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る通過検出装置が、図6A及び図6Bに示されている分注装置に装着された状態を示す側面図である。
【図9】図8に示されている通過検出装置を拡大した斜視図である。
【図10】図9に示されている通過検出装置の断面図である。
【図11】図10に示されている通過検出装置に適用される電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【図12】図11に示されている判定・制御部における、分注装置の駆動制御、及び物体通過検出の様子を示す信号チャートである。
【図13】図9に示されている通過検出装置の1つの変形例の構成を示す斜視図である。
【図14】図9又は図13に示されている遮蔽部材の変形例の構成を示す斜視図である。
【図15】図14に示されている遮蔽部材の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【図16】図9又は図13に示されている遮蔽部材の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【図17】図9に示されている通過検出装置の他の変形例の構成を示す斜視図である。
【図18】図11に示されている、試料溶液の微小液滴の吐出状態を判定するための回路構成の、1つの変形例を示すブロック図である。
【図19】図10に示されている発信素子及び受信素子の1つの変形例の構成を示す断面図である。
【図20】図10に示されている発信素子及び受信素子の他の変形例の構成を示す断面図である。
【図21】図10に示されている発信素子及び受信素子の他の変形例の構成を示す断面図である。
【図22】図10に示されている発信素子及び受信素子の他の変形例の構成を示す断面図である。
【図23】図10に示されている発信素子の他の変形例の構成を示す断面図である。
【図24】図23に示されている発信素子を備えた変形例の通過検出装置の構成例を示す斜視図である。
【図25】図10に示されている第1基板の1つの変形例の構成を示す断面図である。
【図26】図10に示されている第2基板の1つの変形例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0232】
10…DNAチップ 12…DNAチップ基板 100…マイクロピペット
110…ノズルプレート 112…ノズル 120…キャビティユニット
123a…オリフィス 124a…キャビティ 125a…試料注入口
130…アクチュエータユニット
200…分注装置 210…試料導入部材 214…試料注入流路
216…導入チューブ 220…カートリッジ 222…試料貯留部
300…通過検出装置 300a…特定空間 310…発信素子
311…第1圧電/電歪素子 311a…第1圧電/電歪層 311b…駆動電極
311c…第1基準電極 313…パルス発生源 320…受信素子
321…第2圧電/電歪素子 321a…第2圧電/電歪層 321b…信号出力電極
321c…第2基準電極 322…第2基板 330…遮蔽部材
331…遮蔽板 331a…第1対向面 331b…第2対向面
332…貫通孔 333…突起部 333a…第1傾斜面
333b…第2傾斜面 334…接続板
340…アパチャープレート 341…液滴通過アパチャー 350…判定・制御部
360…駆動電圧印加部 370…アクチュエータ駆動部
382…素子ノイズ低減シールド部 384…回路ノイズ低減シールド部
390…バンドパスフィルター DOF1…飛翔方向
W…幅 LD…微小液滴
Pr…超音波伝播経路 S…微小スポット
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】 【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所


【公開番号】 特開2008−20222(P2008−20222A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−190018(P2006−190018)