Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
αβ検出装置 - 特開2008−14953 | j-tokkyo
トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 αβ検出装置
【発明者】 【氏名】前川 立行

【氏名】隅田 晃生

【氏名】小原 快章

【氏名】森本 総一郎

【要約】 【課題】β線の余分なエネルギー損失をなくし、α線、β線の感応部が独立して扱え、β線の感度保持とγ線の感度の抑制についてα線の影響を考慮せずに最適化できるようにする。

【構成】β線検出部30と、そのβ線入射面側に確保した一定容積の密閉された空気層31と、その空気層内に配置され、α線による空気の電離電流を測定するための電極32と、この電極に印加電圧を加える電源装置と、電離電流そのものを測定するための微少電流計測手段34とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β線検出部と、そのβ線入射面側に確保した一定容積の密閉された空気層と、その空気層内に配置され、α線による空気の電離電流を測定するための電極と、この電極に印加電圧を加える電源装置と、電離電流そのものを測定するための微少電流計測手段とを備えたことを特徴とするαβ検出装置。
【請求項2】
β線検出部と、そのβ線入射面側に確保した一定容積の空気層と、α線による電離空気を一定流量あるいは一定体積で吸引する手段と、吸引した空気の電離電流を測定するための電極と、この電極に印加電圧を加える電源装置と、電離電流そのものを測定するための微少電流計測手段とを備えたことを特徴とするαβ検出装置。
【請求項3】
請求項2記載のαβ検出装置において、α線検出相となる空気層を形成する一定体積内に外部から新たに取り入れられる空気の換気口に塵埃を吸着するフィルタを備えたことを特徴とするαβ検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば原子力発電所等の放射性物質取扱い施設で用いられる放射線測定技術に係り、特にα線とβ線とを同位置で同時に独立して測定することができ放射線モニタ用としての実用に好適なαβ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来例としてα線とβ線の同時検出を目的としたホスイッチ型検出装置を示している。
【0003】
この装置では、α,β線が透過可能で、かつ外部からの光を遮断可能な遮光膜1の下層に、第1のシンチレータ2と第2のシンチレータ3とが重合されている。第1のシンチレータ2にはα線を検出するZnS(Ag)などが適用され、第2のシンチレータ2にはβ線を検出するためプラスチックなどが適用されることが多い。この2層に重ねられた第1,第2のシンチレータ2,3が光検出器5に直接装着されてケース6に収納されている。光検出器5としては、一般に高速応答可能かつ高感度の光電子増倍管が用いられる。
【0004】
第1のシンチレータ2を構成するZnS(Ag)の発光減衰時定数はμsecオーダであるが、第2のシンチレータ3を構成するプラスチックの発光減衰時定数は数十nsecオーダであり、プラスチックシンチレータの発光減衰時定数の方がはるかに短い。光検出器5の出力電流信号を各シンチレータ2,3の発光減衰時間よりも充分長い時定数のRC積分回路によって電圧信号に変換した場合、そのパルスの立ち上がり時間は発光減衰時間にほぼ等しくなり、抵抗Rと容量Cとで決まる時定数の指数減衰波形を示す。この信号変換処理は、光検出器5に含まれる、例えば光電子増倍管に付帯するプリアンプ部等で行なうことができる。
【0005】
この信号を必要に応じて、波形弁別処理装置7で分析可能な電圧レベルまで増幅する。波形弁別処理装置7は、信号が入力されると、立ち上りがり時間に比例したパルス波高の信号を出力するため、そのパルス波高をアナログ−ディジタルコンバータでディジタル値に変換し、一般的な多重波高分析装置により波高分布を測定するものである。
【0006】
この波形弁別処理装置7により得られた立ち上がり時間を表すスペクトルデータから、第1のシンチレータ2での発光と第2のシンチレータ2での発光を識別することができる。
【0007】
図5は他の従来例として、エネルギスペクトル測定用センサ8を用いたαβ検出装置を示している。
【0008】
この装置のエネルギスペクトル測定用センサ8には、例えばSi半導体センサなどが用いられるが、このセンサは放射線以外の室内光などにも感度を有するため、前記同様に遮光膜1を装着したうえでケース6内に収納されている。
【0009】
エネルギスペクトル測定用センサ8の出力信号は、波高分析処理系9で信号処理され、エネルギスペクトルとして測定される。この波高分析処理系9には一般に、センサ出力信号を処理する電荷有感型前置増幅器、線形増幅器、アナログ−ディジタル変換器、多重波高分析器などが含まれる。波高分析処理系9によって得られるエネルギスペクトル上では、α線の信号とβ線の信号とが異なる分布およびピーク形状を示しており、これらの信号のデータ処理によってα線とβ線との識別を行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図4に示した従来のホスイッチ型検出装置に必要とされる波形弁別処理装置7は、立ち上がり分析用の波形弁別処理装置であって、これは非常に高価である。このため、実験室レベルでの研究には有用であるが、実際の原子力施設等で用いるモニタ装置に搭載する検出装置としては、コストの面で問題がある。また本来、立ち上がり時間自体を分析するものであり、立ち上がり時間が異なるものを単に弁別するという目的の場合にはオーバースペックでもある。
【0011】
さらに原理的な観点からみると、立ち上がり時間を求めるために、例えば入力波高値の10%,90%レベルでの信号検出を行う必要があり、もともと波高値の低い信号に対しては分析・測定ができないという問題がある。これは、信号の波高値のダイナミックレンジにも関与する問題であり、例えばZnS(Ag)のα線による発光量がプラスチックシンチレータのβ線の発光量よりもかなり大きく、実際に光電子増倍管出力では電圧信号に変換した時点の比較において10倍以上、ZnS(Ag)の方が大きい。
【0012】
このため、波高値が小さく、しかも低エネルギ側に連続分布しているβ線信号にとっては計測上不利であり、特に波高値の小さい成分は分析・計測されなくなり、このため実効的なβ線感度が低くなるという重大な欠点がある。特に、γ線感度を抑制するためにプラスチックシンチレータの厚さを薄くした場合には、その発光量がさらに低下するため一層、上記現象を加速することになる。
【0013】
また、図5に示したエネルギスペトクル測定用センサ8を用い装置の場合においても、前記同様の波高分析装置が必要で高コストとなる問題があり、さらにエネルギスペクトル測定用センサ8の母材料の実効原子量がプラスチックシンチレータに比して大きいため、γ線感度が高く、β線信号にγ線信号が混入するという欠点がある。
【0014】
さらに、測定が真空中でない場合、あるいは濾紙に吸着したα線放出核種からのα線を測定するような場合には、α線のエネルギ損失が大きく、かつ飛程の揺らぎも大きい。このため、真空中で得られるようなガウシアンピークが得られず、β線のエネルギスペクトルと重なってしまう場合もあり、エネルギスペクトルを測定したにも拘らず、α線とβ線との明確な分離が難しい場合もある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、放射線モニタ用検出器としての実用が充分可能であるとともに低コストで製作することができ、しかもγ線感度を充分に抑制しつつ、α線およびβ線のいずれも最大限の感度を確保しながら独立して、かつ同時に検出することができるαβ検出器および同検出器を用いたαβ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
αβ検出器においては、前述したように、α線用の第1のシンチレータで発光した光がβ線用の第2のシンチレータを透過して、集光手段により光検出器に導かれる。この場合、従来では各シンチレータの発光減衰時間とほぼ等しいRC積分回路による変換信号のパルス立ち上がり時間に着目して、立ち上がり分析用の波形弁別処理装置を適用していたものである。
【0017】
この点に関し、発明者においては、使用するシンチレータと発光波長、発光量に応じてこれらを調整、最適化することにより、従来必要とされていた立ち上がり分析用の波形弁別処理装置を不要化することができるとの着想を得たものである。
【0018】
すなわち、光検出器としては、応答速度と感度の点から光電子増倍管の適用が好ましいが、この場合、第1のシンチレータの発光波長で最大感度が得られるように光電子増倍管を選定すれば、第2のシンチレータのより長い波長帯での感度は下がる。一方、第2のシンチレータに対して最適化した光電子増倍管を使用する場合には、第1のシンチレータのより短い波長帯での量子効率は下がる。このことは逆に言うと、第1のシンチレータの発光波長と第2のシンチレータの発光波長とを異なる設定とすれば、使用するシンチレータと発光波長、発光量に応じてこれらを調整、最適化することができるのである。さらに、発光減衰時間のみならず、意図的に発光波長を変えてセンサを構成することで、光学的に波長を識別する手段を併用することができるようになる。
【0019】
また、発明者においては前記の点と合せて、α線およびβ線のいずれも最大限の感度を確保しながら独立して、かつ同時に検出する手段として、第1シンチレータと第2シンチレータとの配置関係によってシンチレータ内部に光を閉じ込め易くし、集光密度を高めることを想到した。すなわち、α線によって発光する第1のシンチレータは、β線およびγ線感度を抑制するため極めて薄く、例えば粉末や焼結体などによって構成される場合が多い。したがって、この第1のシンチレータでは、それ自身の内部における乱反射の結果として、光が放出されることになる。この発光が、β線用の第2のシンチレータを透過して、集光手段により光検出器に導かれる第1のシンチレータと第2のシンチレータとの間に空気を介在させた場合、第1のシンチレータの光が第2のシンチレータを透過する際にフレネル反射を起こす確率は増えるものの、第2のシンチレータは周囲を自身の屈折率よりも低い値を持つ空気で包囲されているため、シンチレータ内部に光を閉じ込め易い。このため、第2のシンチレータに対する集光手段として、その縁部側で高密度に集まる光を利用する手法を適用し易くなるという利点が得られるものである。
【0020】
以上の着想に基づき、請求項1の発明では、β線検出部と、そのβ線入射面側に確保した一定容積の密閉された空気層と、その空気層内に配置され、α線による空気の電離電流を測定するための電極と、この電極に印加電圧を加える電源装置と、電離電流そのものを測定するための微少電流計測手段とを備えたことを特徴とするαβ検出装置を提供する。
【0021】
本発明においては、β線検出部の前面に存在する空気に着目し、その電離を測定するための最低限の電離電流測定用の電極を配備している。電極は板状である必要はなく、細い導線で構成できるため、β線入射の妨害効果を最低限に抑えることができる。電極に電位差を与えておき、電離空気により流れる微少電流を微少電流計で測定することで、α線の量に応じた信号が得られる。β線の電離能力はα線には極めて小さいため、この電離電流へのβ線による寄与分は無視することができる。
【0022】
請求項2の発明では、β線検出部と、そのβ線入射面側に確保した一定容積の空気層と、α線による電離空気を一定流量あるいは一定体積で吸引する手段と、吸引した空気の電離電流を測定するための電極と、この電極に印加電圧を加える電源装置と、電離電流そのものを測定するための微少電流計測手段とを備えたことを特徴とするαβ検出装置を提供する。
【0023】
本発明においても、請求項1の発明と同様に、最適化したβ線検出部の前面にできる限りβ線の入射を妨害するものを配置しないことを考え、先の電離電流測定用電極を別の容器内に配備し、その容器とβ線検出部前面の密閉空間を繋ぎ、密閉空間の空気を吸引しながら電離電流を測定する構成としている。この構成によれば、β線入射面に一切の付加物を配備する必要がないことに加え、測定時間中に吸引しながら常に収集電荷を積分していくことで、電流測定系の漏洩電流の影響を抑制する効果が得られる。
【0024】
請求項3の発明では、請求項2記載のαβ検出装置において、α線検出相となる空気層を形成する一定体積内に外部から新たに取り入れられる空気の換気口に塵埃を吸着するフィルタを備えたことを特徴とするαβ検出装置を提供する。
【0025】
本発明では、請求項2の構成において、吸引により換気される外部の空気中に含まれる天然放射性核種ラドン・トロンの日変動、季節変動等が問題となるような場合、換気口にフィルタを装着し、ラドン・トロン等が付着した浮遊塵を吸着して密閉空間内に取り入れないようにすることで、ラドン・トロンからのα線、β線寄与分の影響を抑制する効果が得られる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1〜3の発明によれば、同時に、しかも独立した測定のためにβ線が透過しなければならないα線検出層を空気とし、空気電離によりα線を検出する方式を組み合せる構造とすることで、β線の余分なエネルギー損失をなくすることができる。また、α線、β線の感応部が独立して扱えるため、β線の感度保持とγ線の感度の抑制については、α線の影響を考慮せずに最適化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るαβ検出器および同検出器を用いたαβ検出装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
[第1実施形態(図1)]
図1は本発明の第1実施形態によるαβ検出器を示している。
【0029】
本実施形態では、ケース13内にβ線検出部30を収納し、このケース13のα線、β線の入射面に遮光膜12を装着し、β線検出部30と遮光膜12とケース13とで形成される閉空間を設けた構成となっている。この空間に空気31が満たされており、2つ以上の電極32がセットされている。
【0030】
これらの電極32にバイアス用電源33により電圧が印加され、プラス電離イオン、電離電子あるいはマイナス電離イオンを収集するために必要な極性が形成されるようになっている。そして、イオンまたは電子が電極33に収集され、誘起された電流が微少電流計34によって測定される。
【0031】
β線の空気電離能力は極めて低く、一般的な微少電流計34の漏洩電流レベル以下程度の誘起電流しか生じさせないが、α線の電離能力はβ線に比べて格段に大きいため、微少電流計34で測定が可能である。電極32は、2つの場合には、接地電位に対して単極性とするが、3つの場合には正負の収集電極として作用させることができる。
【0032】
本実施形態によれば、α線はβ線検出部30の入射面側にある空気の電離電流から計測可能であり、β線検出については専用検出器により独立して測定することができる。また、α線検出層が基本的には空気から成り立っているため、β線がα線検出層を透過する際に失うエネルギーを最小限に留めておくことができる。
【0033】
[第2実施形態(図2)]
図2は本発明の第2実施形態によるαβ検出器を示している。
【0034】
本実施形態は、第1の実施形態が閉空間の一定体積中の電離電流を測定していたことに対して、空気を吸引しながら、ケース13の外部で測定を行う方式としたものである。
【0035】
即ち、本実施形態でも、ケース13の中に何らかのβ線検出部30を収納し、ケース13のα線、β線の入射面に遮光膜12を装着し、β線検出部30と遮光膜12膜とケース13とで形成される空間を設けてある。このケース13には、外部から空気を取り込むことができる換気口35が設けられており、外部に配置した吸引装置36とケース13の間を、吸気ライン37で結合してある。吸引装置36と吸気ライン37との間には、空気の電離電流を測定するための2個以上の電極38を配置し、この電極38にはバイアス用電源39から必要な極性の電圧を印加し、流れる電離電流を測定するための微少電流計34を接続してある。
【0036】
このような構成によれば、閉空間の体積以上の空気の電離電流を測定することができるため、実効的なα線検出限界値を向上させることができる。また、第1実施形態に比較して、付加装置が必要ではあるものの、β線通過部分に電極が存在しないめ、β線がα線検出層を透過する際のエネルギー損失は空気による最小限の値に留めておくことかできる。
【0037】
[第3実施形態(図3)]
本実施形態は、第3実施形態における換気口35の部分に交換可能な微粒子吸着用の吸着フィルタ40を装着したものである。
【0038】
この吸着フィルタ40としては、放射線ダストの集塵装置に使用されものと同様な、一般的な浮遊塵吸着用のフィルタが使用できる。他の構成については、図2と同様である。
【0039】
このような構成によれば、外部かに取り入れる空気中に含まれる天然のウラン・トリウム系列からの放射性核種を起源とする娘核種のラドン・トロン、あるいはそれが電離吸着した塵埃を吸着フィルタ40によって濾過することができる。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、吸気する側の空気層中のα線バックグラウンドの変動による影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態によるαβ検出装置を示す図。
【図2】本発明の第2実施形態によるαβ検出装置を示す図。
【図3】本発明の第3実施形態によるαβ検出装置を示す図。
【図4】従来技術の一例を示す図。
【図5】従来技術の他の例を示す図。
【符号の説明】
【0042】
11 αβ検出器
12 遮光膜
13 ケース
30 β線検出部
31 空気
32 電極
33 バイアス用電源
34 微少電流計
35 換気口
36 吸引装置
37 吸気ライン
38 電極
39 バイアス用電源
40 吸着フィルタ
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成19年8月6日(2007.8.6)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三


【公開番号】 特開2008−14953(P2008−14953A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−204742(P2007−204742)