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【発明の名称】 モードS二次監視レーダ
【発明者】 【氏名】武田 孝文

【氏名】久慈 義則

【要約】 【課題】オールコールにおける同一モードSアドレスが重複受信されたときでもロールコールによる監視への移行が可能となり、また以降のオールコールにおけるターゲット検出率の低下を回避する。

【構成】オールコール期間に送信されたモードS一括質問に対する応答を受信したとき、監視処理器39は、受信されたモードSアドレスが他の応答のモードSアドレスと重複しているか否かを判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オールコール期間にモードS一括質問(オールコール)を送信する第1の送信手段と、
この第1の送信手段によって送信された前記モードS一括質問に対する応答を受信し、受信された応答のモードSアドレスに重複したものがあるか否かを判定する第1の判定手段と、
この第1の判定手段により、前記応答のモードSアドレスに重複したものがあると判定されたとき、その重複するモードSアドレスに対応し、かつトランスポンダ固有のGICBレジスタ情報の送信要求を含む個別質問をスケジュールして送信する第2の送信手段と、
この第2の送信手段による応答から、オールコールにて監視対象とするべきか否かを判定する第2の判定手段と
を具備することを特徴とするモードS二次監視レーダ。
【請求項2】
前記第2の送信手段は、前記応答のモードSアドレスに重複したものがないと前記判定手段において判定したとき、高度情報または識別情報の送信要求を含む前記応答に対応した個別質問をスケジュールして送信することを特徴とする請求項1に記載のモードS二次監視レーダ。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モードSトランスポンダ搭載の航空機を監視可能なモードS二次監視レーダの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
地上局の二次監視レーダ(以下、SSRと称する)のターゲットには、ATCRBSトランスポンダを搭載した航空機とモードSトランスポンダを搭載した航空機とがある。
【0003】
ATCRBSトランスポンダやモードSトランスポンダを監視するSSRでは、ビームドエルタイムT内を複数に分割し(この分割した単位をスイープとする)、各スイープ内はさらにオールコール期間とロールコール期間に分けた監視が行なわれる。ビームドエルタイムTとは、SSRの方位方向に回転走査(スキャン)する空中線の回転速度と送信ビーム幅とに基づく角度範囲に対応した時間であり、一義的に決定される。
【0004】
そこで、オールコール期間では、ATCRBSトランスポンダを搭載した航空機を対象とするモードA/C専用(一括)質問応答とモードSトランスポンダを搭載した航空機を対象とするモードS専用一括質問応答が行われ、ロールコール期間では、モードS専用一括質問に対するトランスポンダの応答から得られるモードSアドレスやターゲット(航空機)の位置情報(距離,方位)に基づき、質問応答が重ならないようにスケジューリングが行われ、モードS個別質問応答が行われる。(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
図4は、従来のモードS二次監視レーダの構成と、これに監視されるターゲット(航空機)との位置関係を示した概観図で、図5は図4に示した処理部の具体的構成図、また図6は、従来のオールコール期間TA及びロールコール期間TRにおける質問応答のタイミング並びにスケジューリングの説明図である。
【0006】
そこで、図4及び図5に示したように、センサである地上のモードS二次監視レーダは、空中線1と、空中線1に接続され、送受切替器21、送信器22及び受信器23とからなる送受信部2と、コンピュータを内蔵し、送受信部2とともにインタロゲータを構成するた処理部3とで構成される。
【0007】
処理部3は、図5に示したように、送信器22に接続された送信制御器31と、受信器23に接続されたモードS応答処理器32及びATCRBS応答処理器33と、モードS応答処理器32及び送信制御器31に接続されたチャネル管理器34と、このチャネル管理器34、送信制御器31、並びにモードS及びATCRBSの各応答処理器32,33に接続された監視処理器35と、処理部3全体のシステムを統括制御すべく、空中線1の方位方向におけるシステムの動作や質問信号形成等のためのタイミングを形成して供給するタイミング信号発生器36とで構成されている。
【0008】
一方、ターゲット(航空機)側は、モードS二次監視レーダの空中線1から送信された質問を受信するとともに、その質問に対する応答すなわちモードA/C応答やモードS応答を、地上局(モードS二次監視レーダ)に向けて送信する空中線4と、その空中線4に接続された送受信機5と、送受信機5に接続された信号処理器6とからなり、送受信機5と信号処理器6とでトランスポンダを構成する。
【0009】
なお、モードS二次監視レーダの処理部3に関し、監視処理器35には、ターゲットとの間の質問応答に必要な自サイトID(識別符号)やPR(応答確率)値等のパラメータが予め設定されている。
【0010】
また、監視処理器35には、ターゲットの距離や方位、並びに高度等のいわゆるターゲット情報が複数スキャンで得られたとき、その複数スキャン間で得られたターゲット情報が互いに相関の範囲内にあるか否かの判断基準となるパラメータ、すなわち相関値も予め設定され、メモリに記憶されている。
【0011】
チャネル管理器34は、タイミング信号発生器36からの信号に基づき、図6(a)に示したように、ビームドエルタイムTにおけるオールコール期間TA及びロールコール期間TRの割り当て設定を行う。
【0012】
またチャネル管理器34は、オールコール時における図6(b)に示したモードS専用一括質問QA及びモードA/C専用質問Qに対する応答を受信するための、図6(c)に示した検出ウィンドウ(有効期間W)を設定するとともに、その検出ウィンドウWを介した図6(d)に示すモードS応答A1,A2の受信に基づく、ロールコール時における個別質問R1,R2と、その質問に対応した個別応答A11,A21を受信するための、図6(c)に示した検出ウィンドウ(有効期間W1,W2)のスケジューリングを実行する。
【0013】
さらに、チャネル管理器34は、送信制御器31及びモードS応答処理器32のRFチャネルにおける動作を統括制御する。
【0014】
なお、チャネル管理器34におけるロールコール時のスケジューリングでは、RFチャネルの有効活用のために、距離がより遠い方のターゲット(航空機)から順番に、各質問応答が重ならないようにスケジュールされる。
【0015】
チャネル管理器34により制御された送信制御器31は、まず監視処理器35から供給される自サイトID(識別符号)及びPR(応答確率)値に基づき、オールコール期間TA(TA1)にモードS専用一括質問QAとモードA/C専用質問Qを生成し、生成したスイープ1の各質問QA,Qは、送信機22、送受切替器21を介して空中線1から送信される。
【0016】
空中線1のビーム内において、モードS専用一括質問QAやモードA/C専用質問Qに対するターゲットからの応答は、空中線1、送受切替器21を介して受信器23に供給され、受信器23において、増幅検波及び量子化によるディジタル化された後、モードS応答処理器32及びATCRBS応答処理器33に供給される。
【0017】
すなわち、図6(b)に示したモードS専用一括質問QAに対し、図6(d)に示したように、2機のターゲットからの応答A1,A2が、図6(c)に示した検出ウィンドウWを介してモードS応答処理器32に供給される。
【0018】
なお、図6では、ターゲット(トランスポンダ)からの各応答A1,A2は、各ターゲット固有のモードSアドレス(861111,860123)を含むDF(Downlink Format)=11で送信されたことを示したものである。また、図6では、説明の複雑化を避けるため、モードA/C専用質問Qに対する応答(ターゲット)はなかったものとし、図示していない。
【0019】
応答A1,A2を導入したモードS応答処理器32では、各応答A1,A2の有するモードSアドレス(861111,860123)や位置等のターゲット情報から、自サイト(地上局)から当該ターゲットまでの距離やターゲットの方位等を測定するとともに、自サイトIDとPI( Parity/InterrogatorID )フィールドが一致するか否かを判定し、一致した応答を処理対象応答として、チャネル管理器34及び監視処理器35に供給し、一致しない不一致応答データは処理対象外として破棄される。
【0020】
オールコール時において、自サイトIDとPIフィールドの一致が確認され、処理対象とされた応答の供給を受けた監視処理器35は、空中線1における前回スキャンの同方位で得られた応答との間で、モードSオールコールが一致し、かつ距離及び方位が予め指定(予測)された範囲内にあり、しかも予め設定された相関の範囲内にある応答について、検出レポートを作成して登録し出力する。ここで、相関がとれない応答データは破棄される。
【0021】
また、スキャン間で相関を有するとされた応答のターゲット情報は、監視処理器35からチャネル管理器34に供給される。
【0022】
また、監視処理器35は、オールコールで受信した各応答A1,A2のモードSアドレスが所管の監視覆域内で重複するものがないことを確認して、ロールコール時における個別質問R1,R2をスケジューリングするようチャネル管理器34に指令する。
【0023】
ここで、もしも受信した各応答A1,A2のモードSアドレスが互いに重複した場合、あるいは所管の監視覆域内で既に捕捉してターゲットとの間で重複するものを受信したとすると、いずれかがフォルス(誤り)であることが考えられるので、航空機の安全上、その重複したトランスポンダ(ターゲット)全てが改めてオールコールによる初期捕捉の対象とされる。
【0024】
従って、重複した相手方のターゲットがたとえ既にロールコールの監視対象となっていたとしても、その重複した相手方のトランスポンダに対するロールコールは中止され、改めてオールコールによる初期捕捉が行われる。
【0025】
図6では、応答A1,A2はいずれもモードSアドレスの重複はなく、また自サイトIDとPIフィールドとの一致が確認されるとともに、前回スキャンの同方位で得られた応答との間でのモードSオールコールが一致し、かつ距離及び方位等が予め指定された範囲内で互いに相関がとれたものであり、正常に受信処理されたものであることを示している。
【0026】
従って、監視処理器35から応答A1,A2に関するターゲット情報(距離,方位情報)を受けたチャネル管理器34は、距離の遠いターゲットから順にスケジューリングを行い、スケジュール結果を送信制御器31及びモードS応答処理器32に供給される。
【0027】
なお、ロールコールに移行したターゲットには、オールコールに応答しないようにロックアウトが指示される。
【0028】
チャネル管理器34による、図6(b)及び図6(c)に示された応答A1,A2に対応した個別質問R1,R2のスケジューリングにより、送信制御器31はその個別質問R1,R2が空中線1を介して送信されるので、これを受信した各対応するトランスポンダからの個別応答A11,A21は、空中線1、送受切替器21、受信器23を介して受信され、オールコール時と同様に、増幅検波及びディジタル化されてモードS応答処理器32に供給される。
【0029】
図6(c)に示したパターンの検出ウィンドウW1,W2を介して個別応答A11,A21を取り込んだモードS応答処理器32は、プリアンブル検出及びメッセージ解読等を行うと同時に、先のオールコールで捕捉したターゲットのモードSアドレスを予測モードアドレスとし、その予測モードアドレスとロールコール時に受信して解読したモードSアドレスとが一致するか否か判定し、アドレスが一致したターゲットの個別応答A11,A21を処理対象として監視処理器35に供給する。なお、図6では、個別質問R1,R2はUF(Uplink Format)=4で送信され(図6(b))、それに対するターゲットからの個別応答A11,A21は、DF(Downlink Format)=4で送信されたことを示している(図6(d))。
【0030】
モードS応答処理器32において処理対象と判定された個別応答は、監視処理器35において、検出レポートの作成、登録、及び出力が行われ、処理対象外のデータは破棄される。
【0031】
なお、モードS二次監視レーダにおいてSSRモードA/C専用の応答は、オールコール時におけるATCRBS応答処理器33での受信処理、及び監視処理器35におけるスキャン間の相関の有無の判定を経てレポート出力される。
【0032】
上記のように、オールコール期間に正しく捕捉されたモードSトランスポンダのターゲット(航空機)は、ロックアウトの指示を受けつつ個別質問(ロールコール)での監視が行なわれる。
【0033】
上記説明のように、図6では、オールコールにおけるモードS一括質問(QA)に対するターゲット2機のトランスポンダから、それぞれ固有のモードSアドレス(861111,860123)が重複することなく、適正に応答A1,A2受信されたものとして説明したが、例えばマルチパス等により、あるいは何らかのトラブルにより、ターゲット1機からの応答がタイミングを異にし、重複して受信されることがある。
【0034】
また、同一のモードSアドレスを持つ複数のターゲットからの応答により、重複することがある。
【0035】
すなわち、図7(d)に示したように、オールコール期間TA1における図7(b)に示したモードS専用一括質問QAに対する応答A1,A2が、同一モードSアドレス(861111,861111)を有するものとの重複した受信が行なわれ、モードS応答処理器32を介して監視処理器35に供給されると、監視処理器35は、一旦これら同一モードSアドレス(861111,861111)をメモリに記憶するとともに、今回記憶した各モードSアドレスをキーにした読み出しを行い、重複したモードSアドレスの有無を判定する。
【0036】
重複したモードSアドレスの有無の判定は、今回取得したモードSアドレス間の判定のみならず、所管の監視領域内のターゲット全てが対象とされる。
【0037】
そこで、図7(d)に示したように、監視処理器35が、判定により、同一オールコールにおける応答A1,A2の各モードSアドレス(861111,861111)が重複していることを検知すると、航空機の安全上、図7に示したように、モードSアドレス(861111,861111)が重複した応答A1,A2に対するロールコールでのスケジュールは実行されることなく、当該応答A1,A2のトランスポンダは、次のスイープ2以降も、改めてオールコール(TA2〜)による初期捕捉の対象とされる。
【0038】
なお、上記説明は、二つの応答A1,A2が同一モードSアドレスを示して重複したものとして説明したが、モードSアドレスが3つ以上の重複した場合も同様に処理される。
【非特許文献1】吉田 孝 監修「改定 レーダ技術」社団法人電子情報通信学会、平成8年10月1日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
上記のように、従来のモードS二次監視レーダでは、オールコール期間において受信された応答のモードSアドレスが、当該地上局の監視覆域内で互いに重複するものがある場合は、たとえそれらが同一ターゲットからのものであったとしても、航空機の安全上から、その重複したターゲットに対するロールコールは行われることなく、引き続きオールコールによる初期捕捉の対象となる。
【0040】
このように、モードSアドレスの重複受信があったとき、たとえそれら重複したモードSアドレスが1ターゲットからの適正なモードSアドレスからなる応答であったとしても、ロールコールの対象とされることなく、引き続きオールコールの対象とされて残る。
【0041】
その結果、本来、監視対象となるはずの航空機を監視できない要因となった。また、限られた時間長のオールコール期間にあっては、監視区域内に新たに入ってくる航空機の捕捉を制限することとなり、モードSトランスポンダ搭載機はもとより、ATCRBSトランスポンダ航空機の検出率をも低下させる要因となった。
【0042】
そこで本発明は、モードSトランスポンダからの応答のモードSアドレスが、たとえ重複受信されたとしても、ロールコールによる監視対象への判定精度の向上とオールコール期間における検出率低下を抑制可能なモードS二次監視レーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明のモードS二次監視レーダは、オールコール期間にモードS一括質問(オールコール)を送信する第1の送信手段と、この第1の送信手段によって送信された前記モードS一括質問に対する応答を受信し、受信された応答のモードSアドレスに重複したものがあるか否かを判定する第1の判定手段と、この第1の判定手段により、前記応答のモードSアドレスに重複したものがあると判定されたとき、その重複するモードSアドレスに対応し、かつトランスポンダ固有のGICBレジスタ情報の送信要求を含む個別質問をスケジュールして送信する第2の送信手段と、この第2の送信手段による応答から、オールコールにて監視対象とするべきか否かを判定する第2の判定手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
上記のように、本発明のモードS二次監視レーダは、検出されたモードSアドレスが重複していると判定されたとき、その重複するモードSアドレスを送信したと見られるトランスポンダに対して、GICB(Ground Initiated Comm-B)レジスタ情報の送信要求を含むロールコールを送信する。
【0045】
すなわち、本発明によれば、たとえモードSアドレスが重複したターゲットでも、従来のように、オールコール対象として残存することなく、ロックアウト指示されてロールコールに移行することができる。また、モードSアドレスが重複したターゲットが、引き続き次のスイープでもオールコールの対象として残存しないことから、当該監視覆域に新たに入ってくるターゲットの検出率が低下するのを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明によるモードS二次監視レーダの一実施例を図1ないし図3を参照して詳細に説明する。なお、図4ないし図7に示した従来のモードS二次監視レーダと同一構成には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0047】
図1は、本発明に係るモードS二次監視レーダの一実施例を示した構成図である。
【0048】
図1に示したように、センサである地上局のモードS二次監視レーダは、空中線1と、空中線1に接続された送受信部2と、送受信部2に接続されてコンピュータを内蔵した処理部3とで構成される。
【0049】
空中線1は、送受信部2の送受切替器21を介して、送信器22及び受信器23に接続され、送信器22及び受信器23は処理部3に接続されている。
【0050】
処理部3は、送信器22に接続された送信制御器37と、受信器23に接続されたモードS応答処理器32及びATCRBS応答処理器33と、モードS応答処理器32及び送信制御器37に接続されたチャネル管理器38と、このチャネル管理器38、送信制御器37、並びにモードS及びATCRBSの各応答処理器32,33に接続された監視処理器39と、処理部3全体のシステムを統括制御し、空中線1の方位方向におけるビーム走査のタイミング信号を生成して供給するタイミング信号発生器36とで構成される。
【0051】
監視処理器39には、ターゲット(航空機)に対する質問応答に必要な自サイトIDやPR値等のパラメータが予め設定され、また、ターゲットとの間の質問応答により、ATCRBSトランスポンダ及びモードSトランスポンダからの応答データに基づいて得られたターゲット情報を導入し、モードS専用一括質問に対する応答の中に同一モードSアドレスの重複受信があるか否かを判定し、モードSアドレスの重複受信が無いと判定したときには、従来と同様にターゲット情報を生成し、各対応する個別質問に対するスケジューリングによりロールコールを行うようチャネル管理器38及び送信制御器37に指令するとともに、検出レポートを作成し、登録し、出力する。
【0052】
なお、監視処理器39には、従来と同様に、モードSトランスポンダ搭載のターゲットに関し、相関処理を行うための相関値が予め設定されている。
【0053】
また、監視処理器39は、従来と同様に、ターゲットへのオールコールに対する応答に、モードSアドレスの重複があるか否かの判定を行う(第1の判定手段)ものであるが、この実施例の監視処理器39は、それに加えて、もしもモードSアドレスの重複があると判定したときには、そのモードSアドレスが重複したと見られるトランスポンダ(ターゲット)に向けて、GICB(Ground Initiated Comm-B)レジスタにある個別情報、すなわちGICBレジスタ情報(例えば、航空機識別符号)の送信要求のシーケンスを付加した個別質問のスケジューリングを行うよう、チャネル管理器38及び送信制御器37に指令する。
【0054】
従って、監視処理器39から、モードSアドレスが重複したと見られるトランスポンダ(ターゲット)に向けて、GICBレジスタ情報の送信要求のシーケンスを付加した個別質問のスケジューリングを行うよう指令を受けたチャネル管理器38は、タイミング信号発生器36からの信号に基づき、従来と同様に、ビームドエルタイムTにおけるオールコール期間及びロールコール期間の割り当てと、監視処理器39からのターゲット情報に基づくロールコール期間内のスケジューリングにより、送受切替器21の切り替え動作に同期した検出ウィンドウを設定する。
【0055】
なお、この実施例に係るモードS二次監視レーダでも、ATCRBSトランスポンダ搭載機からの応答信号を受信し、その検出レポートの作成し、登録し、出力する。
【0056】
図1の構成図、図2に示したスケジュール図、及び図3に示したフローチャートを参照し、上記説明のこの実施例に係るモードS二次監視レーダの動作手順を詳細説明する。なお、図2に示したスケジュール図は、図7に示した従来のモードS二次監視レーダにおけるスケジュール図に対応して示したものである。
【0057】
すなわち、図2(a)に示したオールコール期間TA1において、送信器22及び空中線1を介して送信された、図2(b)に示す応答確率1のモードS専用一括質問QAに対し、ターゲット側からの応答A1,A2は、空中線1、受信器23を介して受信され、図2(c)に示した検出ウィンドウWによりモードS応答処理器32に供給される(ステップ3A)。
【0058】
図2は、オールコール期間TA1におけるモードS専用一括質問QAに対し、二つのモードSアドレス(861111,861111)が共通した応答A1,A2が重複受信されたことを示している。なお、図2では、説明の複雑さを避けるために、ATCRBS一括質問Q及びその応答の図示を省略し、示していない。
【0059】
そこで、モードS応答処理器32は、各応答A1,A2に関し、自サイトIDとPIフィールドが一致するか否か判定し(ステップ3B)、ここで自サイトIDとPIフィールドが一致する(YES)と判定された応答のターゲット(距離及び方位)情報は、処理対象として監視処理器39に供給されメモリ(記憶)される(ステップ3C)。
【0060】
ステップ3Bにおいて、自サイトIDとPIフィールドが一致しない(NO)と判定された応答は、モードS応答処理器32では処理対象外とされ、破棄される。
【0061】
ステップ3Bで自サイトIDとPIフィールドが一致する(YES)と判定された応答(A1,A2)は適正なものと判定され、ステップ3Cに移行し、ターゲット情報(距離・方位)の取得操作及びメモリへの記憶操作が実行される。
【0062】
ステップ3Cの後、ステップ3Dに移行し、監視処理器39はまず、従来と同様に、メモリをサーチして前回スキャンのターゲット情報を読み出し、モードS専用一括質問の応答であり、その読み出したターゲット情報と、今回のターゲット情報とが予め指定された相関の範囲内にあるか否かを判定する。
【0063】
ステップ3Dにおいて、読み出したターゲット情報がモードS専用一括質問の応答でない場合はもちろんのこと、読み出したターゲット情報がモードS専用一括質問の応答であっても、両者の相関が所定範囲内にないとき(NO)は、そのデータは破棄される。
【0064】
ステップ3Dにおいて、モードS専用一括質問の応答であり、その読み出したターゲット情報と、今回のターゲット情報とが予め指定された相関の範囲内にある(YES)と判定されたとき、ステップ3Eに移行する。
【0065】
ステップ3Eにおいて、監視処理器39は、メモリをサーチして読み出し、同一のモードSアドレスが存在するか否か、すなわち重複したモードSアドレスの有無を判定する(第1の判定手段)。
【0066】
そこで、ステップ3Eにおいて、図2(d)に示したように、応答A1,A2が受信され、各応答A1,A2のモードSアドレス(861111,861111)が共通し、重複している(YES)と判定されたときには、図2(b),(c)に示したように、各応答A1,A2に対応したロールコールのスケジューリングを行い、そのスケジュールされたロールコールの質問に、トランスポンダ固有のGICBレジスタ情報(例えば、固有の航空機識別符号)の送信を要求するシーケンスを付加するよう、チャネル管理器38及び送信制御器31に指令する(ステップ3F)。
【0067】
すなわち、ステップ3Fにおいて、チャネル管理器38における、同一モードSアドレス(861111,861111)の応答A1,A2に対するスケジューリングにより、送信制御器31は、その同一モードSアドレス応答A1,A2のトランスポンダに向けて、GICBレジスタ情報の送信要求のシーケンスを追加し、図2(b)に示す個別質問(ロールコール)R1(A1),R2(A2)を送信する。
【0068】
従って、ステップ3Fでは、そのロールコールR1(A1),R2(A2)に対応し、同一モードSアドレス応答A1,A2の各トランスポンダからは、図2(d)に示したように、それぞれ固有のGICBレジスタ情報(#A1,#A2)を含む応答A11,A21が、図2(c)に示したウィンドウW1,W2を介して受信される。
【0069】
なお、ステップ3Eにおいて、監視処理器39が同一モードSアドレスの応答A1,A2が受信されない(NO)と判定したときには、ステップ3Gに移行し、従来と同様に、チャネル管理器34及び送信制御器31は、相関が取れたターゲット情報に基づくスケジューリングによるロールコールを実行し、続くステップ3Hにおける、対応するターゲットからの応答が、検出ウィンドウを介してモードS応答処理器32に導入されるので、モードS応答処理器32は、プリアンブル検出等によるデータ解読を行って出力するとともに、今回取得のモードSアドレスが前回のスキャンにより予測されたアドレスと一致するか否か判定する。
【0070】
ステップ3Hにおいて、ここでモードSアドレス等のデータが予め予測されたアドレスと一致している(YES)と判定したときには、処理対象として監視処理器35に供給され、ここで監視処理器35は、検出レポートの作成、登録、及び出力が行なわれる(ステップ3I)、と同時に、ステップ3Jに移行するので、チャネル管理器34及び送信制御器31は、応答確率1による次のオールコールを実行し、ステップ3Aに戻る。
【0071】
なお、ステップ3Hにおいて、モードSアドレス等のデータが予め予測されたアドレスと一致していない(NO)と判定されたとき、データは破棄される。
【0072】
そこで、上記ステップ3Fに戻り、同一モードSアドレスの応答に対し、GICBレジスタ情報送信要求のロールコールの実行により、GICBレジスタ情報の応答を受信し、解読された信号は、監視処理器39において、GICBレジスタ情報が一致する受信応答があるか否かを判定する(ステップ3K)。
【0073】
ステップ3Kにおいて、GICBレジスタ情報が一致する受信応答である(YES)と判定されたとき、先のオールコールにおいて同一のモードSアドレス(861111)が重複して受信された応答A1,A2は、同一ターゲットからの応答であることを意味するので、次のスイープにおいて、いずれか1の応答(A1またはA2)を選択し(ステップ3L)、前述のステップ3Gに移行する。選択されない方の応答は破棄される。つまり、ステップ3K,3Lにおいて、監視制御器39は、GICBレジスタ情報の送信要求を含む個別質問に対する応答から、重複した機数の検出により、オールコールにて監視対象とするべきか否かを判定する(第2の判定手段)ものである。
【0074】
そこで、先に同一のモードSアドレス(861111)が重複して受信された応答A1,A2は、結局は1個のターゲットからの送信された適正な応答であることが判明するので、続くステップ3Gにおいて、その選択された応答のターゲットに対し、そのターゲット情報に基づく通常のスケジューリングにより個別質問(ロールコール)が実行される。
【0075】
なお、先のステップ3Kにおいて、GICBレジスタ情報が一致しない受信応答である(NO)と判定された場合は、同一モードSアドレス(861111)を有する応答A1,A2は、互いに異なるターゲットからの応答であることを意味する。従って、ステップ3Kにおいて、GICBレジスタ情報が一致しない受信応答である(NO)と判定された場合も、ステップ3Gに移行し、各応答A1,A2にそれぞれ対応した個別質問が実行される。
【0076】
この実施例に関する上記説明では、ステップ3Eの操作において、メモリをサーチして同一モードSアドレスがあるか否かの判定を行ったとき、図2に示したように、そのスキャンのビームドエル期間内あるいは1オールコール期間内における応答(A1,A2)間で、モードSアドレスが共通する応答が存在するものとして説明したが、航空機管制上、当該地上局が監視対象とする覆域内のターゲット(航空機)間に、モードSアドレスが一致するターゲットの存在はあってはならないことから、メモリをサーチして同一モードSがあるか否かの判定は、当該地上局が監視対象としている覆域内での他のスキャンにおいて既に捕捉され、既にロールコール対象となっているターゲットのモードSアドレスとの間でも、重複の有無が判定される。
【0077】
従って、上記ステップ3Fでは、モードSアドレスが重複したターゲットの他方が、既スキャンにおいて、既にロールコール対象となっているとしても、そのターゲットに対して、改めてGICBレジスタ情報送信要求のロールコールがスケジューリングされ実行される。
【0078】
上記実施例の説明では、説明の便宜上、オールコールにおいて、二つのモードS応答A1,A2のモードSアドレスが重複していたものとして説明したが、三つ以上のモードSアドレスが重複した場合にも、同様に、それぞれGICBレジスタ情報の送信要求のロールコールが実行され、上記ステップ3Kにおける各応答の航空機識別符号の一致及び不一致の場合分けに応じて、ステップ3Lを介してあるいは直接、ステップ3G以下の通常のロールコールによる個別質問の応答受信処理へと移行するので、モードSアドレスが重複受信された応答の中で、真に実在するターゲット(航空機)数を検出することができる。
【0079】
なお、同一モードSアドレスが重複して受信される要因としては、前述のように、反射によるマルチパス受信による場合も考えられる。マルチパスによる場合は、反射位置に対する地上局と当該ターゲット(航空機)との間の相対位置関係が起因していることが多いことから、時間が経過し、地上局とターゲットとの位置関係の変化から、同一モードSアドレスの重複受信が解消されることもある。
【0080】
また、ステップ3Jでは、図2に示したように、次のスイープ2におけるオールコール期間TA2におけるオールコール質問QAが実行されるが、この実施例に係るモードS二次監視レーダによれば、前回スイープ1におけるオールコールTA1において、たとえモードSアドレスが複数重複して受信されたとしても、従来のように、後続のスイープにおいてオールコールの対象とされることがなく、ロックアウト指示が掛けられてロールコールに移行するので、次のオールコールTA2以降におけるモードSトランスポンダ搭載機はもとより、ACTRBSトランスポンダ航空機に対する検知率低下を回避できる。
【0081】
また、上記実施例の説明において、処理部3はハードウエアで構成されているかのように説明したが、実際には、処理部3における各信号処理はコンピュータのソフトウエア上で実現される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係るモードS二次監視レーダの一実施例を示した構成図である。
【図2】図1に示したモードS二次監視レーダにおいて、重複してモードSアドレスを検出したときのスケジュール説明図である。
【図3】図1に示したモードS二次監視レーダの動作手順を示したフローチャートである。
【図4】従来のモードS二次監視レーダによる監視状態を示した概観図である。
【図5】図4に示したモードS二次監視レーダの構成図である。
【図6】図4に示したモードS二次監視レーダのスケジュール説明図である。
【図7】図4に示したモードS二次監視レーダが重複してモードSアドレスを検出したときのスケジュール説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 空中線
2 送受信部
21 送受切替器
22 送信器
23 受信器
3 処理部
31 送信制御器
32 モードS応答処理器
33 ATCRBS応答処理器
34 チャネル管理器
35 監視処理器
36 タイミング信号発生器
37 送信制御器(第1,第2の送信手段)
38 チャネル管理器(第1,第2の送信手段)
39 監視処理器(第1,第2の送信手段、第1,第2の判定手段)
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100108707
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 友之

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−8865(P2008−8865A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182227(P2006−182227)