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【発明の名称】 情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
【発明者】 【氏名】峠 宗志

【要約】 【課題】低コストで且つ容易に障害物等の物体の位置を計算する。

【構成】情報処理装置100において、送信部101の送信機は情報処理装置100の周囲に超音波を送信する。受信部102の受信機はこの超音波の反射波を受信する。受信部102が障害物による反射波を検出すると、制御部109は、障害物と送信機・受信機との距離が、送信機と受信機との距離より十分小さいと近似して、障害物の位置及び障害物までの距離を求める。制御部109は計算結果を出力部105から出力し、計算結果に基づいて可動部103の動作・非動作を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の位置と当該物体までの距離を求める情報処理装置であって、
空間を伝播する波を送信する送信機と、
前記送信機から送信された波の、前記物体による反射波を受信する第1の受信機、第2の受信機、及び、第3の受信機と、
前記第1から第3の受信機のそれぞれが受信した前記反射波と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの時間とに基づいて、前記物体の位置と前記物体までの距離を計算する計算部と、
前記計算部による計算結果を出力する出力部と、
を備え、
前記計算部は、前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離を、前記波の伝播速度と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの各時間とに基づいて計算し、
さらに、前記物体の位置を、
(a)計算された前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離と、
(b)前記第1の受信機と前記第2の受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
(c)前記第2の受信機と前記第3の受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
に基づいて計算する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部により出力される前記計算結果に基づいて、当該情報処理装置に接続される可動装置を制御する制御部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、第1の時刻に、前記計算部により計算された前記物体の位置が所定範囲内にあり、且つ、前記可動装置が前記物体の存在する第1の方向に動いていると判断された場合、前記制御部は、当該可動装置を非動作にするか又は当該第1の方向と異なる第2の方向に動かすように制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の時刻より後の第2の時刻に、前記計算部により計算された前記物体の位置が前記所定範囲内にない場合、前記制御部は、前記可動装置を前記第1の方向に動かすように制御する、
ことを特徴とする請求項2又は3に情報処理装置。
【請求項5】
空間を伝播する波を送信し、
前記波の反射波を少なくとも第1から第3の三地点で受信し、
前記波を送信してから前記三地点でそれぞれが前記反射波を受信するまでの時間に基づいて、前記物体の位置と前記物体までの距離を計算する計算ステップと、
前記計算ステップによる計算結果を出力する出力ステップと、
を備え、
前記計算ステップは、前記三地点でそれぞれ受信した前記反射波を生成した物体との距離を、前記波の伝播速度と、前記波を送信してから前記三地点で前記反射波を受信するまでの各時間とに基づいて計算し、
さらに、前記物体の位置を、
(a)計算された前記三地点と前記物体との距離と、
(b)前記第1地点と前記第2地点を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記三地点を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
(c)前記第2地点と前記第3地点を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記三地点を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
に基づいて計算する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
空間を伝播する波を送信する送信機と、前記送信機から送信された波の、物体による反射波を受信する、第1の受信機、第2の受信機、及び、第3の受信機を含む複数の受信機と、を有し、前記物体の位置と前記物体までの距離を求めるコンピュータを、
前記第1から第3の受信機のそれぞれが受信した前記反射波と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの時間とに基づいて、前記物体の位置と前記物体までの距離を計算する計算部、
前記計算部による計算結果を出力する出力部、
として機能させ、
前記計算部が、前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離を、前記波の伝播速度と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの各時間とに基づいて計算し、
さらに、前記物体の位置を、
(a)計算された前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離と、
(b)前記第1の受信機と前記第2の受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
(c)前記第2の受信機と前記第3の受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
に基づいて計算するように制御する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、低コストで容易に物体の位置計算を行うために好適な情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲に障害物があるかを検知してユーザに検出結果を通知する装置が普及してきている。例えば、特許文献1には、超音波を用いて監視対象物の動きや位置を検出する装置が開示されている。これによれば、この装置は1つの超音波発信機と複数の超音波受信機とを備え、発信機から発信され超音波の監視対象物で反射された反射波を複数の受信機で受信する。そして、異なる時刻で受信した超音波の波形の差を求めて、監視対象物の位置座標を得る。
【特許文献1】特開2005−030838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の方法によれば、監視対象物の位置を求めることはできるものの、プロセッサの限られた処理能力を考慮すれば、位置計算のための演算量が多く、プロセッサへの負荷がとても大きいという問題があった。そのため、正確にかつ迅速に処理を行うためには、より性能の高いプロセッサを導入しなければならず、コストが多くかかってしまうという問題があった。
【0004】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低コストで容易に物体の位置計算を行うために好適な情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る情報処理装置は、物体の位置とその物体までの距離を求める情報処理装置であって、
空間を伝播する波を送信する送信機と、
前記送信機から送信された波の、前記物体による反射波を受信する第1の受信機、第2の受信機、及び、第3の受信機と、
前記第1から第3の受信機のそれぞれが受信した前記反射波と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの時間とに基づいて、前記物体の位置と前記物体までの距離を計算する計算部と、
前記計算部による計算結果を出力する出力部と、
を備え、
前記計算部は、前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離を、前記波の伝播速度と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの各時間とに基づいて計算し、
さらに、前記物体の位置を、
(a)計算された前記第1から第3受信機のそれぞれと前記物体との距離と、
(b)前記第1の受信機と前記第2の受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
(c)前記第2の受信機と前記第3の受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
に基づいて計算する、ことを特徴とする。
【0006】
前記出力部により出力される前記計算結果に基づいて、当該情報処理装置に接続される可動装置を制御する制御部を更に配置してもよい。
【0007】
前記制御部は、例えば、第1の時刻に、前記計算部により計算された前記物体の位置が所定範囲内にあり、且つ、前記可動装置が前記物体の存在する第1の方向に動いていると判断された場合、前記制御部は、当該可動装置を非動作にするか又は当該第1の方向と異なる第2の方向に動かすように制御する。
【0008】
前記制御部は、例えば、前記第1の時刻より後の第2の時刻に、前記計算部により計算された前記物体の位置が前記所定範囲内にない場合、前記制御部は、前記可動装置を前記第1の方向に動かすように制御する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る情報処理方法は、
空間を伝播する波を送信し、
前記波の反射波を少なくとも第1から第3の三地点で受信し、
前記波を送信してから前記三地点でそれぞれが前記反射波を受信するまでの時間に基づいて、前記物体の位置と前記物体までの距離を計算する計算ステップと、
前記計算ステップによる計算結果を出力する出力ステップと、
を備え、
前記計算ステップは、前記三地点でそれぞれ受信した前記反射波を生成した物体との距離を、前記波の伝播速度と、前記波を送信してから前記三地点で前記反射波を受信するまでの各時間とに基づいて計算し、
さらに、前記物体の位置を、
(a)計算された前記三地点と前記物体との距離と、
(b)前記第1地点と前記第2地点を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記三地点を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
(c)前記第2地点と前記第3地点を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記三地点を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
に基づいて計算する、ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るコンピュータプログラムは、
空間を伝播する波を送信する送信機と、前記送信機から送信された波の、物体による反射波を受信する、第1受信機、第2受信機、及び、第3受信機を含む複数の受信機と、
を有し、前記物体の位置と前記物体までの距離を求めるコンピュータを、
前記受信機のそれぞれが受信した前記反射波と、前記送信機が前記波を送信してから前記受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの時間とに基づいて、前記物体の位置と前記物体までの距離を計算する計算部、
前記計算部による計算結果を出力する出力部、
として機能させ、
前記計算部が、前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離を、前記波の伝播速度と、前記送信機が前記波を送信してから前記第1から第3の受信機のそれぞれが前記反射波を受信するまでの各時間とに基づいて計算し、
さらに、前記物体の位置を、
(a)計算された前記第1から第3の受信機のそれぞれと前記物体との距離と、
(b)前記第1受信機と前記第2受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
(c)前記第2受信機と前記第3受信機を結ぶ線分の中点と前記物体とを結ぶベクトルと、前記第1から第3の受信機を含む平面に垂直なベクトルと、のなす角度と、
に基づいて計算するように制御する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、低コストで容易に物体の位置計算を行うために好適な情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、情報処理装置100として、車両のドアの開閉を制御して、開閉時にドアの周囲の障害物などを検知する装置を用いて説明する。ただし、本実施形態は一例に過ぎず本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
図1は、本実施形態の情報処理装置100の構成を示す図である。情報処理装置100は、送信部101、受信部102、可動部103、入力部104、出力部105、記憶部106、ROM107、RAM108、制御部109、及び、システムバス110を備える。
【0015】
送信部101は、所定の周波数(例えば、40キロヘルツ)の超音波を情報処理装置100の周囲に発信する発信機を備える。送信機が設置される場所は任意である。送信部101は、制御部109の制御により、発信機から超音波を発信する。本実施形態では情報処理装置100は1つの発信機を備える。情報処理装置100の周囲に障害物などが存在すると、この発信機から発信された超音波は障害物によって反射される。
【0016】
受信部102は、送信部101から送信され障害物などによって反射された超音波を受信する受信機を備える。受信部102は、制御部109の制御により、障害物などで反射した反射波を情報処理装置100の周囲からこの受信機で受信する。本実施形態では、受信部102は3つの受信機を備えるが、受信機の個数を任意に変更した実施形態を採用することも可能である。受信機が設置される場所は任意である。
【0017】
なお、本実施形態では超音波を用いるが、所定の周波数の電磁波であってもよい。この場合、送信部101は所定の周波数の電磁波を情報処理装置100の周囲に発信する1つ以上の発信機を備え、受信部102は情報処理装置100の周囲からこの電磁波の反射波を受信する複数の受信機を備えていればよい。また、発信機と受信機との両方の機能を有する機器を用いてもよい。
【0018】
可動部103は、モータ(図示せず)を制御して車両のドアを開閉する開閉装置を備える。可動部103は、制御部109の制御により、可動部分(本実施形態では、車両のドア)を開閉する。受信部102が備える受信機は、可動部分に搭載される。送信部101が備える送信機も同様にこの可動部分に搭載してもよい。
【0019】
例えば、図2は、本実施形態の情報処理装置100を車両に搭載した場合の構成例を示す図である。本図では、可動部103は、モータを制御して車両後部のドアを矢印方向に開閉する。このドアには、車両の外側の所定角度範囲に向けて超音波を発信する発信機を備える送信部101と、車両の外側の所定角度範囲から超音波の反射波を受信する受信機を備える受信部102とが取り付けられている。
【0020】
なお、本実施形態の情報処理装置100は可動部103を備えているが、可動部103を備えない他の構成を採用することも可能である。すなわち、情報処理装置100は可動装置を備える他の機器等と接続され、受信部102がこの可動装置に搭載されるようにしてもよい。
【0021】
入力部104は、ユーザから情報処理装置100への指示入力を受け付ける。入力部104は、入力部104に接続される操作ボタン(図示せず)等から入力された指示入力を受け付けて、その指示入力に対応する指示信号を制御部109に入力する。例えば、入力部104は、後述する位置計算処理を開始することを示す所定の操作指示を受け付けると、その旨を制御部109に通知し、制御部109は後述する位置計算処理を行う。例えば、入力部104は、可動部103の備える開閉装置を開閉する指示入力を受け付けると、その旨を制御部109に通知し、制御部109は、送信部101、受信部102、可動部103を制御して、開閉装置の可動部分が障害物等に接触しないように制御する。
【0022】
出力部105は、制御部109が位置計算処理を行って得た計算結果データなどを出力する。例えば、出力部105は、スピーカやモニタなどの出力装置に接続され、計算結果や障害物等が周辺に存在する旨の警告音、警告表示などを出力する。出力部105は、音声データをD/Aコンバータ(図示せず)で変換してスピーカなどに音声を出力する。これにより、各種の音声出力が可能となる。また、出力部105は、制御部109から入力される画像データを画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを出力部105が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され出力部105に接続されるモニタへ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0023】
記憶部106は、受信部102により得られた反射波データや、制御部109により得られた位置計算の結果データなどを記憶する。例えば、記憶部106は、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどから構成される。
【0024】
ROM107は、情報処理装置100全体の制御に必要なオペレーティングシステム(以下、「OS」と呼ぶ)やプログラム等を記憶する不揮発性メモリである。
【0025】
RAM108は、制御部109が行う処理に必要なデータやプログラム等を一時的に記憶する。制御部109は、RAM108に変数領域を設け、この変数領域に格納された値に対して演算を行う。あるいは、制御部109は、RAM108に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をRAM108に書き戻す、などの処理を行う。
【0026】
制御部109は、例えばCPU(Central Processing Unit)から構成され、ROM107に記憶されたOSや制御プログラムに従って、情報処理装置100全体の制御を行う。制御部109は、制御の必要に応じて、各部に制御信号およびデータを送信、または、各部から応答信号およびデータを受信する。制御部109は、受信部102が受信した反射波を示すデータを記憶部106に記憶する。制御部109は、情報処理装置100の周辺の障害物の位置を求める処理(以下、「位置計算処理」と呼ぶ)を行うが、詳細は後述する。
【0027】
システムバス110は、送信部101、受信部102、可動部103、入力部104、出力部105、記憶部106、ROM107、RAM108、及び、制御部109との間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0028】
次に、本実施形態の制御部109が行う位置計算処理について説明する。なお、本実施形態では、制御部109は所定の時間間隔で、あるいは、ユーザから位置計算処理を開始する旨の指示入力を受け付けたときに位置計算処理を行うこととするが、これに限られるものではなく、位置計算処理を行うタイミングを任意に変更した実施形態を採用することもできる。以下詳述する。
【0029】
図3は、送信機、受信機、及び、障害物の位置関係を示す図である。本実施形態では、情報処理装置100は1つの送信機と、3つの受信機(以降、それぞれ、第1受信機、第2受信機、第3受信機と呼ぶ)を備える。本実施形態では、送信機と各受信機は同一平面内に等間隔で配置されるものとする。また、3次元空間内に配置された送信機と送信機を含む平面内の任意の位置を原点として互いに直交するX,Y,Z軸を設定する。Z軸は3つの受信機を含む平面に垂直な方向にとる。障害物の位置座標を(x,y,z)、第1受信機の位置座標を(x1,y1,z1)、第2受信機の位置座標を(x2,y2,z2)、第3受信機の位置座標を(x3,y3,z3)、送信機の位置座標を(x4,y4,z4)とする。
【0030】
図4は、制御部109が行う位置計算処理を説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、制御部109は、送信部101を制御して、送信機から所定の波長の超音波を発信する(ステップS401)。具体的には、発信機は、所定の周波数(例えば40キロヘルツ)の超音波を、昇圧コイルで駆動電圧を上げた後、連続発信する。送信機からは、所定角度範囲の方向に超音波が発信される。
【0032】
制御部109は、受信部102を制御して第1〜第3受信機で反射波を受信する(ステップS402)。例えば、送信機の周囲に壁などの障害物や人などが存在すると、これによって超音波が反射されて任意の方向に反射波が発生する。受信機の受信素子は、任意の方向に反射された反射波のうち、受信機方向に反射された反射波成分を検出する。受信部102は、受信素子で超音波信号を検出する。さらに、受信部102は、アンプでこの信号を増幅し、整流器で整流し、A/Dコンバータでアナログ/ディジタル変換して、反射波を示すデータを得て制御部109に入力する。制御部109は、取得した反射波を示すデータを記憶部106に記憶する。
【0033】
典型的には、制御部109は、反射波を示すデータとして、図5に示すような超音波信号の電圧値(信号強度)の時系列変化を示すデータを得る。そして、各受信機が受信した反射波信号を包絡線で結んで反射波の波形を得る。なお、制御部109は、送信部101から発信されてから所定の経過時間内に検出された超音波を、送信部101で送信された超音波の反射波であるとみなす。
【0034】
制御部109は、ステップS401で発信された超音波の反射波があるか否かを判別する(ステップS403)。
【0035】
反射波がないと判別された場合(ステップS403;NO)、制御部109は位置計算処理を終了する。例えば、第1〜第3受信機が所定の電圧値(信号強度)以上の反射波を検出しない場合、制御部109は反射波がないと判定する。
【0036】
一方、反射波があると判定された場合(ステップS403;YES)、制御部109は、超音波を反射した対象物(例えば、障害物)の位置を求める(ステップS404)。
【0037】
本実施形態では、制御部109は、図3に示すように、第1受信機、第2受信機、第3受信機、送信機がそれぞれ等間隔に同一平面内に配置されているものとして、これらの重心の位置を原点としてX,Y,Z軸を設定する。
また、第1受信機から第3受信機を含む平面に垂直なベクトル(第1受信機と第2受信機とを結ぶベクトルのZ軸方向の法線ベクトル)と、第1受信機と第2受信機の中点PAと障害物とを結ぶベクトルと、のなす角をθとする。同様に、第1受信機から第3受信機を含む平面に垂直なベクトル(第2受信機と第3受信機とを結ぶベクトルのZ軸方向の法線ベクトル)と、第2受信機と第3受信機の中点PBと障害物とを結ぶベクトルと、のなす角をφとする。
また、障害物と第1受信機との距離をL1、障害物と第2受信機との距離をL2、障害物と第3受信機との距離をL3、障害物と中点PAとの距離をLA、障害物と中点PBとの距離をLBとする。
【0038】
例えば、特許文献1のような従来の方法で障害物の位置座標を求めるためには、次に示すような計算を行う必要がある。すなわち、障害物で反射された反射波が第1、第2、第3受信機に到達するまでの時間をそれぞれT1,T2,T3とし、音速をVとすると、式(1)〜(3)の連立方程式が立てられる。
【0039】
L1^2=(V・T1)^2
=(x−x1)^2+(y−y1)^2+(z−z1)^2 ・・・(1)
L2^2=(V・T2)^2
=(x−x2)^2+(y−y2)^2+(z−z2)^2 ・・・(2)
L3^2=(V・T3)^2
=(x−x3)^2+(y−y3)^2+(z−z3)^2 ・・・(3)
【0040】
ここで、演算子「^」は、べき乗を表し、例えば「A^B」は「AのB乗」であることを示す。この連立方程式を解くことにより、障害物の位置座標(x,y,z)を求めることができる。しかし、仮に第1受信機、第2受信機、第3受信機が同一平面(Z=0)上にあると仮定しても、この連立方程式を解くためには計算量が多く時間がかかるため、高性能なCPUを用いる必要がある。本発明によれば、このような複雑な連立方程式を立てて計算する必要はない。
【0041】
すなわち、本実施形態では、第1受信機、第2受信機、第3受信機、送信機との間のそれぞれの距離は、L1、L2、L3、LA、LBに比べて十分に小さいと仮定して近似を行う。障害物の位置座標(x,y,z)のうちx座標とy座標は次の式(4)〜(5)で表すことができる。
【0042】
x = LA・sinθ ・・・(4)
y = LB・sinφ ・・・(5)
【0043】
角度θ、φは、一般に用いられている三角法などによって求めることができる。さらに、LA、LBは、式(6)のように、L1,L2,L3の平均値に近似することができる。AVE( )は平均値をとる演算子である。
【0044】
LA = LB =AVE(L1,L2,L3) = R ・・・(6)
【0045】
また、音速Vと、発信機から超音波が発信されて各受信機が反射波を受信するまでの往復時間T4,T5,T6とを用い、送信機(及び受信機)と障害物との距離が十分に大きいとして近似を行うと、距離L1,L2,L3は式(7)〜(9)から求められる。
【0046】
L1 = V・T4/2 ・・・(7)
L2 = V・T5/2 ・・・(8)
L3 = V・T6/2 ・・・(9)
【0047】
そして、式(4)〜(9)から、障害物の位置座標(x,y,z)のz座標は次の式(10)で表すことができる。
【0048】
z = (R^2−x^2−y^2)^(0.5) ・・・(10)
【0049】
すなわち、送信機と受信機が障害物より十分離れているとして近似すると、上述の式(4)〜(10)を用いて障害物の位置座標と、障害物までの距離とを容易に求めることができる。
【0050】
図4に戻り、制御部109は、ステップS404で求めた障害物の位置が、所定の範囲内か否かを判別する(ステップS405)。
【0051】
所定の範囲内にはないと判別された場合(ステップS405;NO)、制御部109は位置計算処理を終了する。
【0052】
所定の範囲内にあると判別された場合(ステップS405;YES)、制御部109は、受信機(あるいは情報処理装置100を搭載した車両など)の近くの所定範囲内に障害物がある旨の通知を行う(ステップS406)。例えば、この通知は、出力部105が備えるモニタに出力される障害物がある旨の警告表示や、出力部105が備えるスピーカから出力される障害物がある旨の警告音などである。あるいは、制御部109は、外部に接続された他の装置に、障害物があることを示す信号を出力することにより通知を行ってもよい。
【0053】
制御部109は、障害物がある旨の通知の代わりに、あるいはこの通知とともに、可動部103を制御して可動部分を動かす動作を停止させたり、障害物が存在しない方向(接触しないと推測される方向)に稼動させたりする制御を行うこともできる。
【0054】
例えば、可動部103の開閉装置が可動部分を所定方向に向かって(例えば、車両の内側方向にドアを閉じるように)動作させ、その動かす所定方向に障害物などが存在すると判断されると、制御部109は、開閉装置の可動部分を停止させる(非動作にする)か、もしくは、所定の逆方向に向かって(例えば、車両の外側方向にドアを開くように)動作させるように制御することができる。
【0055】
例えば、可動部103の開閉装置が可動部分を所定方向(例えば、車両の外側方向または内側方向)に動作させているとき、第1の時刻に、その所定方向に障害物などが存在すると判断されると、制御部109は、開閉装置の可動部分を停止させるか、もしくは、所定の逆方向(例えば、車両の内側方向または外側方向)に動作させる。そして、第1の時刻より後の第2の時刻に、前回動かしていた所定方向に障害物などが存在しないと判断されると、制御部109は、開閉装置の可動部分を前回動かしていた所定方向に再び動かすように制御することもできる。
【0056】
記憶部106は、所定の範囲を示す情報を予め記憶しておき、制御部109は随時この情報を読み出して物体の位置が所定の範囲内にあるか否かを判断することができる。例えば、所定の範囲とは、送信機(あるいは受信機)を中心とした所定半径の球で囲まれる範囲などである。入力部104がこの所定の範囲を示す情報の入力を受け付けて、所定の範囲を示す情報を記憶部106等に記憶するように構成してもよい。
【0057】
なお、制御部109は、距離LA,LBの大きさを距離L1,L2,L3の平均値として求めているが、他の統計演算によって求めてもよい。あるいは、受信機ごとに重みを設定し、特定の受信機と障害物との距離を優先して用いることにより求めてもよい。
【0058】
このように、本実施形態によれば、情報処理装置100は、複雑な計算を必要とせず、容易に物体の位置計算を行うことができる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0060】
上述の実施形態では、情報処理装置100は入力部104、出力部105を備えているが、これらを省略した構成を採用することもできる。すなわち、制御部109は、可動部103の開閉装置などを動作させているときに位置計算処理を行い、障害物があると判別されると、ステップS406で通知する代わりに、可動部103の開閉装置などを動作を停止させたり逆方向に動作させたりする。これにより、最小限の構成でこの情報処理装置100を実現することができる。
【0061】
上述の実施形態では、情報処理装置100は可動部103を備えているが、これを省略した構成を採用することもできる。すなわち、本発明を、周囲に障害物があるか否かを判別し、その障害物の位置を計算する装置・方法として用いることもできる。
【0062】
上述の実施形態では、送信機と受信機は可動部103の可動部分に搭載されるものとして説明したが、これに限られず任意の場所に設置された実施形態を採用することができる。例えば、送信機が超音波を情報処理装置100の周囲に発信できる固定位置に配置されていてもよい。ただし、送信機と受信機との距離は、障害物との距離に比べて十分小さいと近似できる程度であることが望ましい。
【0063】
本発明は、車両のドアを開閉する装置とともに用いられるのに限られず、他の任意の装置とともに、あるいは単独で、障害物などの物体や人物の位置を求める装置・方法として用いることができることは言うまでもない。また、上述の実施形態では障害物の位置を求めているが、障害物以外の他の任意の物体、人物、生物などの位置を求めてもよい。
【0064】
以上説明したように、この発明によれば、低コストで容易に物体の位置計算を行うために好適な情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】情報処理装置の構成を示す図である。
【図2】情報処理装置を車両に搭載したときの構成例を示す図である。
【図3】送信機、第1乃至第3受信機、障害物の位置関係を説明するための図である。
【図4】位置計算処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】制御部が取得した反射波の波形の例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
100 情報処理装置
101 送信部(送信機)
102 受信部(第1の受信機、第2の受信機、第3の受信機)
103 可動部(可動装置)
104 入力部
105 出力部
106 記憶部
107 ROM
108 RAM
109 制御部(計算部)
110 システムバス
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満

【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典


【公開番号】 特開2008−8851(P2008−8851A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181914(P2006−181914)