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【発明の名称】 無線周波信号源の位置標定装置
【発明者】 【氏名】永田 裕樹

【氏名】小林 正明

【要約】 【課題】無線周波信号源の位置標定性能を向上することのできる改良された無線周波信号源の位置標定装置を提案するものである。

【構成】無線周波信号源で発生された無線周波信号を位置が既知の少なくとも2つの受信局で受信した第1、第2の無線周波受信信号について、それらの到来時間差を測定する到来時間差測定手段、および到来時間差と受信局の位置とに基づいて、無線周波信号を発生した無線周波信号源の位置を決定する位置決定手段を備えた無線周波信号源の位置標定装置であって、前記到来時間差測定手段は、第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれからその振幅変化部分を含んだ過渡応答部分を抜出す信号抜出手段と、第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれから抜き出した前記各過渡応答部分の全体比較に基づき、到来時間差を算出する過渡応答部分到来時間差算出手段とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波信号源で発生された無線周波信号を位置が既知の少なくとも2つの受信局で受信した第1、第2の無線周波受信信号について、それらの到来時間差を測定する到来時間差測定手段、および前記到来時間差と前記受信局の位置とに基づいて、前記無線周波信号を発生した無線周波信号源の位置を決定する位置決定手段を備えた無線周波信号源の位置標定装置であって、
前記到来時間差測定手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれからその振幅変化部分を含んだ過渡応答部分を抜出す信号抜出手段と、
前記第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれから抜き出した前記各過渡応答部分の全体比較に基づき、前記到来時間差を算出する過渡応答部分到来時間差算出手段とを有することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、
前記過渡応答部分到来時間差算出手段は、前記第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれから抜出した前記各過渡応答部分の全体の相互相関に基づいて、前記到来時間差を算出することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項3】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、
前記過渡応答部分到来時間差算出手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号から抜き出した前記各過渡応答部分における振幅変化を抽出する振幅抽出手段と、
前記各過渡応答部分における位相変化を抽出する位相抽出手段と、
前記振幅抽出手段で抽出された前記振幅変化と、前記位相抽出手段で抽出された前記位相変化に基づき、前記第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれの前記振幅変化に対する前記位相変化を表わす振幅対位相特性を、前記第1、第2の無線周波受信信号の特徴パターンとして出力する信号特徴パターン出力手段と、
前記第1、第2の無線周波受信信号の信号特徴パターンを相互に照合して、前記第1、第2の無線周波受信信号の過渡応答部分が同一の無線周波信号源に対応することを確認する同定手段とを有することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項4】
請求項3記載の無線周波信号源の標定装置であって、
前記過渡応答部分到来時間差算出手段は、前記同定手段の出力に基づき、前記第1、第2の無線周波受信信号の各過渡応答部分について、それぞれ前記到来時間差を算出することを特徴とする無線周波信号減の位置標定装置。
【請求項5】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、前記第1、第2の無線周波受信信号が間欠的に繰返して受信され、それぞれ第1、第2の無線周波受信信号列を構成する場合において、
前記過渡応答部分到来時間差算出手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号列における前記第1、第2の各無線周波受信信号から抜出した前記各過渡応答部分に基づき、それぞれ前記到来時間差を算出し、これらの到来時間差を含む到来時間差群を出力する到来時間差群算出手段を有し、
また、前記位置決定手段は、
前記到来時間差群の中の前記各到来時間差を、前記各受信局間の距離を電波が伝搬する電波伝搬時間と比較し、前記到来時間差群の中で、前記電波伝搬時間より大きい到来時間差を削除して、残りの各到来時間差を出力する同一時刻性判定手段を有し、
前記同一時刻性判定手段の出力に基づき、前記無線周波信号源の位置を決定することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項6】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、前記第1、第2の無線周波受信信号が間欠的に繰返して受信され、それぞれ第1、第2の無線周波受信信号列を構成し、これらの第1、第2の無線周波受信信号列における前記第1、第2の無線周波受信信号の繰返しパターンが擬似ランダムパターンを含む場合において、
前記過渡応答部分到来時間差算出手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号列に含まれる前記第1、第2の各無線周波受信信号から抜出した前記各過渡応答部分の到来時刻間隔に基づき、前記擬似ランダムパターンを判定する擬似ランダムパターン判定手段と、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれから擬似ランダムパターンを抜出す擬似ランダムパターン抜出手段と、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれから抜出した2つの前記擬似ランダムパターンについて、それぞれに含まれる前記第1、第2の各無線周波受信信号の各過渡応答部分に基づき、それぞれ前記到来時間差を算出し、これらの到来時間差を含む到来時間差群を出力する到来時間差群算出手段を有し、
前記位置決定手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれから抜出した前記2つの擬似ランダムパターンに含まれる前記第1、第2の各無線周波受信信号の各過渡応答部分の到来時刻間隔を比較し、前記到来時間差群の中で、同一でない前記到来時刻間隔に対応する前記過渡応答部分から算出された前記到来時間差を除去して、残りの前記到来時間差を出力する同一時刻性判定手段を有し、
前記同一時刻性判定手段の出力に基づき、前記無線周波信号源の位置を標定することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項7】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、前記第1、第2の無線周波受信信号が無線周波搬送波をパルス信号で振幅変調した信号である場合において、
前記信号抜出し手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号の立上り部分と立下り部分の両方から、それらの振幅変化部分を含む過渡応答部分をそれぞれ抜出す過渡応答選択手段を有することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項8】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、前記第1、第2の無線周波受信信号が、無線周波搬送波をパルス信号で振幅変調した信号であって、それぞれ間欠的に繰返して受信されて第1、第2の無線周波受信信号列を構成し、これらの第1、第2の無線周波受信信号列における前記第1、第2の各無線周波受信信号の繰返しパターンがパルス繰返しパターンを含み、このパルス繰返しパターンが、PRIジッタ―、PRIスタガ、および擬似ランダムパターンを含む場合において、
前記過渡応答部分到来時間差算出手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれに含まれる前記第1、第2の各無線周波受信信号の到来時刻間隔を用いて、前記パルス繰返しパターンが、PRIジッター、PRIスタガ、および擬似ランダムパターンであることを判定するパルス繰返しパターン判定手段と、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれから前記パルス繰返しパターンを抜出すパルス繰返しパターン抜出し手段と、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれから抜出した2つの前記パルス繰返しパターンに含まれる前記第1、第2の各無線周波受信信号の各過渡応答部分に基づき、それぞれ前記到来時間差を算出し、これらの到来時間差を含む到来時間差群を出力する到来時間差群算出手段を有し、
前記位置決定手段は、
前記第1、第2の無線周波受信信号列のそれぞれから抜出した前記2つのパルス繰返しパターンに含まれる前記第1、第2の各無線周波受信信号の各過渡応答部分の到来時刻間隔を比較し、前記到来時間差群の中で、同一でない前記到来時刻間隔に対応する前記過渡応答部分から算出された前記到来時間差を除去し、残りの前記到来時間差を出力する同一時刻性判定手段を有し、
前記同一時刻性判定手段の出力に基づき、前記無線周波信号源の位置を標定することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【請求項9】
請求項1記載の無線周波信号源の位置標定装置であって、
前記位置決定手段は、
各受信局から前記無線周波信号源までの距離を示す距離信号と、各受信局における電波の見通し距離とを比較し、前記電波の見通し距離よりも大きな距離を示す前記距離信号を除去する距離判定手段を有することを特徴とする無線周波信号源の位置標定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、無線周波信号源の位置を標定する無線周波信号源の位置標定装置に関するものである。この発明による無線周波信号源の位置標定装置は、例えば多数の無線機器が無線周波信号を放射する環境に設置され、多数の無線周波信号が存在する中で、位置が既知の少なくとも2つの受信局において受信した無線周波受信信号からその無線周波信号を放射した無線周波信号源の位置を標定するのに使用される。
【背景技術】
【0002】
無線標定を行なうレーダ装置等の無線機器が放射する無線周波信号は、無線機器の運用目的に応じて、無線周波搬送波を変調したものである。これらの無線周波信号は、無線周波搬送波とその変調に応じた各種の特徴データを含んでいるが、特徴は付与された変調により意図的に生成されたもので、特徴データとして、変調される無線周波搬送波の周波数、およびこの無線周波搬送波に付与される変調の変調方式と変調諸元がある。
【0003】
例えば、特開2000−304849号公報(特許文献1)には、パルスレーダ信号識別装置が開示されている。このパルスレーダ信号識別装置では、受信したパルスレーダ信号について、付与された変調により直接的に生成される特徴データ、例えば変調される無線周波搬送波の周波数、この無線周波搬送波に付与される変調信号のパルス幅、パルス振幅、パルス繰返し周波数、および無線周波搬送波成分に付与されるパルス内角度変調方式とそのパルス内変調諸元が抽出される。パルス内角度変調方式の一例はチャープ変調であり、そのパルス内角度変調諸元の一例は、周波数変化幅、周波数変化率である。
【0004】
従来の無線周波信号源の位置標定装置は、多数の無線機器が放射する無線周波信号が存在する中で、付与された変調により直接的に生成される信号の特徴により特定の無線周波信号を見分けて、少なくとも2つの受信局が、同一の無線周波信号について位置標定処理をするように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−30484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無線周波信号源の位置標定装置では、同一の電波形式で運用される多数の無線機器が放射する無線周波信号が存在する中では、付与された変調により直接的に生成される信号の特徴が、一般に極めて類似したものとなるため、特定の無線周波信号を見分けて、少なくとも2つの受信局が受信した無線周波受信信号に基づき、位置標定処理をするのが困難であるという問題がある。
また、パルスレーダ信号のように特徴が繰り返し送信されている場合には、各受信局で受信した無線周波受信信号が、同一の無線周波信号源から同時刻に放射されたものであることを保証するのが困難なため、その後の適正な位置標定処理も困難となる問題がある。
さらに、パルスレーダ信号は、パルスの立上りが急峻ではないため、パルスの振幅が閾値を越えた時点をパルスの到来時刻とする方式では、到来時刻の測定精度がパルス幅程度に制限され、高精度の到来時間差測定結果に基いた正確な位置が標定できないと言う問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題に着目し、無線周波信号源の位置標定性能を向上することのできる改良された無線周波信号源の位置標定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による無線周波信号源の位置標定装置は、無線周波信号源が発生した無線周波信号を位置が既知の少なくとも2つの受信局で受信した第1、第2の無線周波受信信号について、それらの到来時間差を測定する到来時間差測定手段、および前記到来時間差と前記受信局の位置とに基づいて、前記無線周波信号を発生した無線周波信号源の位置を決定する位置決定手段を備えた無線周波信号源の位置標定装置であって、前記到来時間差測定手段は、前記第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれからその振幅変化部分を含んだ過渡応答部分を抜出す信号抜出手段と、前記第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれから抜出した前記各過渡応答部分の全体比較に基づき、前記到来時間差を算出する過渡応答部分到来時間差算出手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明による無線周波信号源の位置標定装置では、到来時間差測定手段が、第1、第2の無線周波受信信号のそれぞれからその振幅変化部分を含んだ過渡応答部分を抜出す信号抜出手段と、前記第1、第2の無線周波受信信号から抜出した前記各過渡応答部分の全体比較に基づき、到来時間差を算出する過渡応答部分到来時間差算出手段とを有し、前記過渡応答部分到来時間差算出手段が、前記第1、第2の無線周波受信信号から抜出した前記各過渡応答部分の全体比較に基づき、到来時間差を算出するので、各過渡応答部分の全体比較により、それらが同一の無線周波信号源から放射されたものであることを判定しながら、しかも、各無線周波受信信号の包絡線の立上りからの閾値判定により到来時刻を求め、各到来時刻から到来時間差を算出する従来技術に比べて、到来時間差をより精密に算出することができ、無線周波信号源の位置標定をより正確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明のいくつかの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の全体構成図である。この発明による位置標定装置100は、図1に示すように、例えば3つの受信局1A、1B、1Cに接続される。これらの受信局1A、1B、1Cは、空間2を取り囲むようにして、地上に設置される。空間2は、位置を標定しようとする無線周波信号源3が存在すると想定される空間であり、位置標定装置100は、受信局1A、1B、1Cと協働して、無線周波信号源3の位置を標定する。空間2には、多数の無線周波信号源が存在すると想定される。これらの各無線周波信号源は、それぞれ固有の特徴を持った無線周波信号信号を空間2に放射する。位置標定装置100は、多数の無線周波信号源の中で、ある固有の特徴を含んだ無線周波信号を放射する無線周波信号源3を探知し、その無線周波信号源3を含む標定区域5を標定する。図1では、位置標定装置100は、受信局1A、1B、1Cのそれぞれから離れた位置に設置されるが、何れかの受信局内に設置することもできる。
【0012】
無線周波信号源3は、無線周波信号SRを空間2に放射する。受信局1A、1B、1Cは、無線周波信号SRを受信し、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを発生する。無線周波信号源3が、無線周波信号SRを間欠的に繰返し発信する場合には、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも繰返して受信され、それぞれ無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCを構成する。位置標定装置100は、受信局1A、1B、1Cから、それぞれ無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを受ける。この位置標定装置100は、例えば、受信局1A、1Bからの無線周波受信信号SRa、SRbにより、双曲線の性質に基づいて、無線周波信号源3の存在する帯状の距離範囲DRaを探知し、また、例えば受信局1B、1Cからの無線周波受信信号SRb、SRcにより、無線周波信号源3の存在する帯状の距離範囲DRcを探知する。無線周波信号源3は、これらの距離範囲DRa、DRcの交差する標定区域5に存在するものと特定される。
【0013】
なお、位置標定装置100と協働する受信局は、図1では、3つの受信局1A、1B、1Cとしているが、3つ以上の受信局とすることもでき、また、2つの受信局、例えば1A、1Bとすることもできる。この2つの受信局1A、1Bを用いる場合には、受信局1A、1Bからの無線周波受信信号SRa、SRbにより、距離範囲DRaが特定され、これに他の方位探査機からの方位探査信号が組み合わされ、探査範囲DRaと他の方位探査信号との交差ライン上に無線周波信号源3が存在すると特定される。
【0014】
図2は、この発明による無線周波信号の位置標定装置の実施の形態1の構成を示すブロック図である。この図2に示す無線周波信号の位置標定装置100Aは、3つのA/D変換器10a、10b、10cと、情報付与手段20a、20b、20cと、到来時間差測定手段30Aと、位置標定手段70Aを備えている。到来時間差測定手段30Aは、信号抜出手段40と、過渡応答部分到来時間差算出手段50Aを含む。この過渡応答部分到来時間差算出手段50Aは、時間差算出手段51を有する。また、位置標定手段70Aは、位置決定手段71を含む。この無線周波信号源の位置標定装置100Aにおける到来時間差測定手段30Aと、位置標定手段70Aは、例えばコンピュータによって構成される。到来時間差測定手段30Aと、位置標定手段70Aは、CPUによって実行される機能ブロックである。情報付与手段20a、20b、20cは、例えばGPS受信装置などによって構成される。
【0015】
この図1の位置標定装置100Aには、3つの受信局1A、1B、1Cから、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcが供給される。これらの無線周波受信信号SRa、SRb、SRcは、それぞれA/D変換器10a、10b、10cによりデジタル化され、また、情報付与手段20a、20b、20cにより、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの到来時刻情報および受信位置情報が付与される。情報付与手段20a、20b、20cは、A/D変換器10a、10b、10cからデジタル化された無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを受け取り、各々が備えるGPS受信機を用いて、各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcにそれぞれの到来時刻情報および受信位置情報を付与する。この受信位置情報は、受信局1A、1B、1Cの位置情報である。ここで、各情報付与手段20a、20b、20cにGPS受信機を用いることにより、各受信局1A、1B、1Cにおける設定時刻は同期が取れたものとなる。また、受信位置情報についてもGPS受信機を利用する。
【0016】
到来時間差測定手段30Aの信号抜出手段40は、A/D変換器10a、10b、10cでデジタル化され、情報付与手段20a、20b、20cで時刻情報を与えた無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを受けて、その各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPを抜出す。過渡応答部分到来時間差算出手段50Aの時間差算出手段51は、各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの各過渡信号部分SRPに基づき、過渡応答部分到来時間差DTを算出する。位置標定手段70Aの位置決定手段71は、3つの過渡応答部分到来時間差DTに基づき、無線周波信号源3の存在する標定区域5を決定する。
【0017】
実施の形態1における無線周波信号SRと、それを受信した無線周波受信信号SRa、SRb、SRcは、その過渡応答波形SRPが、瞬時周波数fの変動を含む。無線周波信号源3が発生する無線周波信号SRは、無線周波搬送波を、変調信号に基づいて変調した信号である。この無線周波信号SRは、例えばパルスレーダ信号SR1または無線通信信号SR2である。まず、パルスレーダ信号SR1は、空間における目的物体の標定を行うために、パルスレーダ機器から放射される無線周波信号である。このパルスレーダ信号SR1の一例が、図3(a)に示される。無線周波信号SRがこのパルスレーダ信号SR1である場合、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも、図3(a)に示す波形となる。図3(a)において、縦軸はパルスレーダ信号SR1の振幅Aであり、横軸は時間tである。
【0018】
図3(a)に示すパルスレーダ信号SR1は、1つのパルス波形11を含み、このパルス波形11は、立上り部分11aと立下り部分11bを含む。立上り部分11aでは、パルスレーダ信号SR1の振幅が0からピーク値PPまで過渡的に上昇している。立下り部分11bでは、パルスレーダ信号SR1の振幅がピーク値PPから0まで過渡的に減少している。パルスレーダ信号SR1は、無線周波数帯の無線周波搬送波をパルス変調した信号である。
【0019】
パルスレーダ信号SR1は、立上り部分11aおよび立下り部分11bに、それぞれ振幅変化部分ACを含んでいる。この各振幅変化部分ACは、閾値THとピーク値PPとの間の振幅変化部分であり、立上り部分11aにおける振幅変化部分ACは、無線周波信号SRの振幅が上昇する部分であり、立下り部分11bにおける振幅変化部分ACは、無線周波信号SRの振幅が減少する部分である。図3(a)には、2つの過渡応答部分SRPが例示される。この各過渡応答部分SRPは、それぞれ振幅変化部分ACとそれに連続した振幅飽和部分APとを含んでいる。図3(a)には、各過渡応答部分SRPに対する信号抜出期間TPが過渡応答部分SRPに対応して図示されている。到来時間差算出手段30Aの信号抜出手段40は、信号抜出期間TPで過渡応答部分SRPを抜き出す。各過渡応答部分SRPでは、パルスレーダ信号SR1の振幅が閾値THとピーク値PPとの間で変化している。
【0020】
図3(b)は、無線通信信号SR2の一例として、PSK信号を示す。無線周波信号SRがこの無線通信信号SR2である場合、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも、図3(b)に示す波形となる。この図3(b)において、縦軸は無線通信信号SR2の振幅Aであり、横軸は時間tである。
【0021】
図3(b)に示す無線通信信号SR2は、あるビット値に対応する波形部分12Aと、それに続く他のビット値に対応する波形部分12Bと、それらの間で振幅Aが過渡的に変化し、位相θがステップ状に変化する信号変化部分12Cを含んでいる。波形部分12A、12Bでは、無線通信信号SR2の変調位相が反転している。信号変化部分12Cでは、無線通信信号SR2の包絡線が一定ではなく、位相θの変化点を中心にその両側で包絡線の大きさ、すなわち振幅が0近くまで落ち込んでいる。この振幅の落ち込みに伴い、波形部分12Aは、その終期に無線通信信号SR2の振幅が減少する立下り部分12aを含み、波形部分12Bはその初期に無線通信信号SR2の振幅が増大する立上り部分12bを含んでいる。
【0022】
無線通信信号SR2は、立下り部分12aと立上り部分12bに、それぞれ振幅変化部分ACを含んでいる。これらの振幅変化部分ACは、閾値THとピーク値PPとの間の振幅変化部分であり、立下り部分12aの振幅変化部分ACでは、無線通信信号SR2の振幅がピーク値PPから閾値THまで減少し、また立上り部分12bの振幅変化部分ACでは、無線通信信号SR2の振幅が閾値THからピーク値PPまで増大する。図3(b)にも、2つの過渡応答部分SRPが例示される。この各過渡応答部分SRPは、それぞれ振幅変化部分ACとそれに連続した振幅飽和部分APとを含んでいる。図3(b)には、各過渡応答部分SRPに対する信号抜出期間TPが過渡応答部分SRPに対応して図示されている。到来時間差算出手段30Aの信号抜出手段40は、信号抜出期間TPで過渡応答部分SRPを抜き出す。各過渡応答部分SRPでは、無線通信信号SR2の振幅が閾値THとピーク値PPとの間で変化している。
【0023】
図4(a)(b)は、パルスレーダ信号SR1と、無線通信信号SR2について、図3(a)(b)と異なる過渡応答部分SRPと信号抜出期間TPを例示する。図4(a)(b)では、過渡応答部分SPRは、振幅飽和部分APを含まずに、振幅変化部分ACだけを含む。図4(a)では、信号抜出期間TPは、立上り部分11aでは、その振幅Aが、閾値THに達してからピーク値PPに達するまでの期間とされ、また立下り部分11bでは、振幅Aが減少し始める直前のピーク値PPと振幅Aが閾値THに達するまでの期間とされ、振幅変化部分ACだけが過渡応答部分SRPとして抜き出される。図4(b)では、信号抜出期間TPは、立下り部分12aでは、振幅Aが減少し始める直前のピーク値PPと振幅Aが閾値THに達するまでの期間とされ、また立上り部分12bでは、振幅Aが閾値THに達してからピーク値PPに達するまでの期間とされ、振幅変化部分ACだけが過渡応答部分SRPとして抜き出される。
【0024】
図2の信号抜出手段40は、デジタル化した未知の無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを受けて、図3(a)(b)または図4(a)(b)の信号抜出期間TPにおける過渡応答部分SRPを抜出す。この信号抜出手段40は、各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcのついて、所定の過渡応答部分SRPを抜出す。例えば、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcのそれぞれについて、図3(a)または図4(a)に立上り部分11aにおける過渡応答部分SPRを抜出す。勿論、図3(a)、図4(a)の立下り部分、または図3(b)、図4(b)の立上り部分12b、または立下り分12aにおける過渡応答部分SRPを抜出すように構成することもできる。
【0025】
図3(b)、図4(b)の無線通信信号SR2では、位相変調された無線周波信号の急激な位相のステップ変化に伴って現れる信号の占有帯域幅の拡大を抑える目的で無線通信信号SR2に施されたろ波の結果として生じる振幅変化部分AC、または位相変調回路の帯域幅に起因して急激な位相のステップ変化部分の現れる振幅変化部分ACを含んだ過渡応答部分SRPを、信号抜出手段40が抜出すように構成することも出来る。
【0026】
図5は、信号抜出手段40が、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの所定の各過渡応答部分SRPを抜出す動作のフローチャートである。この図5のフローチャートは、3つのステップS11、S12、S13を含む。ステップS11では、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの振幅Aのピーク値PPを測定する。ステップS12では、ピーク値PPの規定割合を閾値THとして演算する。次のステップS13では、信号抜出期間TPを設定する。無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの所定の各過渡応答部分をそれぞれSRPa、SRPb、SRPcとする。
【0027】
過渡応答部分到来時間差算出手段50Aの時間差算出手段51は、3つの無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの所定の過渡応答部分SPRa、SRPb、SRPcを用いて、到来時間差DTの算出処理を行う。この到来時間差DTは、3つの到来時間差DTab、DTbc、DTcaを含む。到来時間差DTabは、無線周波受信信号SRaの過渡応答部分SRPaと無線周波受信信号SRbの過渡応答部分SRPbとの間の到来時間差である。到来時間差DTbcは、無線周波受信信号SRbの過渡応答部分SRPbと無線周波受信信号SRcの過渡応答部分SRPcとの間の到来時間差である。また、到来時間差DTcaは、無線周波受信信号SRcの過渡応答部分SRPcと無線周波受信信号SRaの過渡応答部分SRPaとの間の到来時間差である。
【0028】
図6は、過渡応答部分到来時間差算出手段50により到来時間差DTを算出するフローチャートを示す。このフローチャートは、2つのステップS21、S22を含む。ステップS21では、到来時間差DTを算出する2つの無線周波受信信号の過渡応答部分について、それらの相互相関処理を行ない、またステップS22では、その相互相関処理により求められた相互相関係数の絶対値が最大となる最大点から、到来時間差DTを算出する。例えば、無線周波受信信号SRa、SRbの各過渡応答部分SRPa、SRPbの間の到来時間差DTabを算出するには、ステップS21で各過渡応答部分SRPa、SRPbの相互相関処理を行ない、ステップS22でそれらの間の到来時間差DTabを算出する。無線周波受信信号SRb、SRcの各過渡応答部分SPRb、SPRcの間の到来時間差DTbc、無線周波受信信号SRa、SRcの各過渡応答部分SRPa、SRPcとの間の到来時間差DTcaも同様に算出される。
【0029】
図7(a)(b)は、到来時間差DT、例えば到来時間差DTabを求める2つの過渡応答部分SRPa、SRPbの波形を例示する。過渡応答部分SRPa、SRPbは、共通の時間軸で表示され、これらの過渡応答部分SRPa、SRPbの間には、到来時間差DTabが存在する。ステップS21における相互相関処理は、これらの過渡応答部分SRPaS、SRPbの一方を、時間軸に沿って移動させながら、過渡応答部分SRPa、SRPbの重なりを相互相関係数として検出する。図8は、この相互相関処理で得られた相互相関係数の時間に対する変化を示す。横軸は時間であり、縦軸は相互相関係数である。この図8では、相互相関係数の最大点Pmの時間0からの隔たりが、到来時間差DT、例えば到来時間差DTabに相当し、ステップS22では、この到来時間差DTabが算出される。過渡応答部分SRPb、SRPcの間の到来時間差DTbc、および過渡応答部分SRPc、SRPaの間の到来時間差DTcaも同様に算出される。
【0030】
ステップS21、S22における相互相関処理は、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcの中から2つを順次組合せ、それらの過渡応答部分の全体比較に基づき、到来時間差DTを算出する。過渡応答部分SRPa、SRPbを組合せ、それらの全体比較に基づき到来時間差DTabが算出される。過渡応答部分SRPb、SRPcを組合せ、それらの全体比較に基づき到来時間差DTbcが算出される。過渡応答部分SRPc、SRPaを組合せ、それらの全体比較に基づき、到来時間差DTcaが算出される。相互相関処理は、相関処理する2つの過渡応答部分の全体比較に基づき、到来時間差DTab、DTbc、DTcaを算出するものであり、図8に示す相互相関係数の最大点Pmは僅かな時間幅で精密に算出することができ、したがって各到来時間差DTabも、DTbc、DTcaも僅かな時間幅Δtで精密に算出することができる。なお、図8では、最大点Pmは単に一点で示したが、実際には、最大点Pmは僅かな拡がりを持つので、到来時間差DTab、DTbc、DTcaに、僅かな時間幅Δtが含まれる。
【0031】
時間差算出手段51における相互相関処理では、2つの過渡応答部分の全体比較に基づき、到来時間差DTab、DTbc、DTcaが算出されるので、同時に、相互相関処理を行なう各過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcの波形の同一性も判定することができる。過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcが、同じ無線周波信号源3から放射された無線周波受信信号SRa、SRb、SRcから抜出された過渡応答部分であれば、各過渡応答部分が実質的に同じ波形をもつので、図8に示す相互相関係数は、所定値以上の最大値Pmを含む。もし、過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcが、異なる無線周波信号源3から放射された無線周波受信信号SRa、SRb、SRcから抜出された過渡応答部分であれば、各過渡応答部分の波形が相違するので、相互相関係数には、所定値以上の最大値Pmが含まれない。時間差算出手段51は、所定値以上の最大値Pmに基づいて、到来時間差DTab、DTbc、DTcaを算出するので、互いの波形が実質的に同一である過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcについて、到来時間差DTab、DTbc、DTcaを算出する。
【0032】
従来の各無線周波受信信号の包絡線の立上りからの閾値判定により到来時刻を求め、到来時間差を算出するものでは、無線周波受信信号がノイズなどで変動するため、到来時間差の時間幅Δtが大きくなり、到来時間差を精密に算出することが困難であるが、実施の形態1では、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcの全体比較に基づき到来時間差DTab、DTbc、DTcaを算出するので、これらの到来時間差DTab、DTbc、DTcaを、小さな時間幅Δtで、精密に算出することができる。
【0033】
位置標定手段70Aの位置決定手段71は、到来時間差DTab、DTbc、DTcaに基づき、無線周波信号源3の存在する標定区域5を決定する。図9は、位置決定手段71による位置決定のフローチャートを示す。このフローチャートは、ステップS31からステップS34を含む。ステップS31では、到来時間差DTab、DTbc、DTcaに基づき、距離範囲DRを算出する。距離範囲DRは、3つの距離範囲DRa、DRb、DRcを含む。ステップS31は、3つの処理S31a、S31b、S31cを含み、これらの処理S31a、S31b、S31cにより、それぞれ距離範囲DRa、DRb、DRcが算出される。距離範囲DRaは無線周波信号源3と受信局1Aとの距離範囲であり、距離範囲DRbは、無線周波信号源3と受信局1Bとの距離範囲であり、距離範囲DRcは、無線周波信号源3と受信局1Cとの距離範囲である。
【0034】
距離範囲DRa、DRb、DRcは、それぞれ次の式(1)(2)(3)に基づいて算出される。到来時間差DTab、DTbc、DTcaが僅かな時間幅Δtを含むため、距離範囲DRa、DRb、DRcも、僅かな距離幅Δdを含む。なお、これらの式において、Cは光速である。
(DTab×C)=DRa−DRb
したがって、DRa=(DTab×C)+DRb・・・(1)
(DTbc×C)=DRb−DRc
したがって、DRb=(DTbc×C)+DRc・・・(2)
(DTac×C)=DRc−DRa
したがって、DRc=(DTac×C)+DRa・・・(3)
【0035】
ステップS32は、距離範囲DRa、DRb、DRcを地形上にプロットする。このステップS32も3つの処理S32a、S32b、S32cを含み、これらの3つの処理S32a、S32b、S32cにより、それぞれ距離範囲DRa、DRb、DRcを地形上にプロットされる。各受信局1A、1B、1Cの位置情報は、情報付与手段20a、20b、20cにより、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcに付与され、各過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcにも付与されているので、この各過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcの位置情報から、受信局1A、1B、1Cの位置を特定し、この受信局1A、1B、1Cからの距離情報DRa、DRb、DRcが地形上のプロットされる。距離DRa、DRb、DRcが僅かな距離幅Δdを含むので、プロットされる距離範囲DRa、DRb、DRcは、僅かな距離幅を持った帯状の範囲となる。この帯状の距離範囲DRa、DRcが、図1にも示される。なお、図1では、無線周波信号源3に対して、受信局1Aは受信局1Bよりも近く、また受信局1Cは受信局1Bよりも近いので、式(2)で算出した距離範囲DRbは、削除される。
【0036】
次のステップS33では、複数の距離範囲、すなわち距離範囲DRa(4a)と、距離範囲DRc(4c)とを地形上に重畳し、次のステップS34では、これらの距離範囲dRa(4a)、DRc(4c)の交差する区域を、無線周波信号源3の存在する標定区域5として決定する。
【0037】
図10は、実施の形態1による無線周波信号源3の標定区域5と、従来の位置標定装置装置による標定区域5aとを対比して示す。従来の位置標定装置では、到来時間差が大きな時間幅を持つために大きな標定区域5aしか特定できないが、実施の形態1の位置標定装置100では、過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcの全体比較に基づき、到来時間差DTab、DTbc、DTcaが算出され、その時間幅Δtが小さくなるので、小さな標定区域5に絞ることができ、無線周波信号源3の位置標定をより精密に行なうことができる。
【0038】
以上のように、実施の形態1によれば、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcに対する相互相関処理により、各受信局1A、1B、1C間での到来時間差DTab、DTbc、DTcaを求めるので、各過渡応答部分の全体比較により、それらが同一の無線周波信号源から放射されたものであることを判定しながら、到来時間差を精密に測定することができる。そのため、従来の立上りが急峻ではない無線周波受信信号の包絡線の立上り部分に対して閾値を用いて求めた到来時刻を用いて、到来時間差を求める位置標定装置と比較して、位置標定の精度を向上させることができる。
【0039】
なお、実施の形態1は、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcをA/D変換器10a、10b、10cによりディジタル化した後、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcを抜出し、これらの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcに、時間差算出手段51により相互相関処理を行なうように構成したが、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcをアナログ信号のままで扱うこともできる。この場合、信号抜出手段40により、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcから過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcをアナログ的に抜出し、時間差算出手段51により、過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcのアナログ的な全体比較を行なうことにより、前記と同じ効果を得ることができる。この場合、時間差算出手段51には、例えば、SAWデバイスを用いたコンボルバーなどを使用することにより、過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcをアナログ的に全体比較することができる。
【0040】
実施の形態2.
図11は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態2を示すブロック図である。
【0041】
この実施の形態2の無線周波信号源の位置標定装置100Bは、実施の形態1における到来時間差算出手段30Aが、到来時間差算出手段30Bに置き換えられる。この到来時間算出手段30Bでは、実施の形態1における過渡応答部分到来時間差算出手段50Aが、過渡応答部分到来時間差算出手段50Bに置き換えられ、この過渡応答部分到来時間差算出手段50Bは、時間差算出手段51と、振幅抽出手段52と、位相抽出手段53と、信号特徴パターン出力手段54と同定手段55を有する。その他は、実施の形態1と同じに構成される。信号抜出手段40および位置標定手段70Aは、実施の形態1と同じである。
【0042】
図11の振幅抽出手段52は、信号抜出手段40で抜出された無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcを受け、それぞれの信号抜出期間TPにおける時間tに対する振幅変化PAを抽出する。位相抽出手段53は、信号抜出手段40で抜出された無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcを受け、それぞれの信号抜出期間TPにおける時間tに対する位相変化Pθを抽出する。この位相抽出手段53は、例えば、高速フーリエ変換を用いて、図12に示した2つの代表サイクルPi、Pjの位相θi、θjと同様に、過渡応答部分SRPのすべてのサイクルの代表θを求め、時間tに対する位相変化Pθを抽出する。図13(a)は、振幅変化PAを例示し、図13(b)は、位相変化Pθを例示する。
【0043】
なお、図12および図13(a)(b)は、図3(a)の立上り部分11aにおける過渡応答部分SRPと信号抜出期間TPに対応するが、図3(a)の立下り部分11b、図3(b)の立上り部分12b、立下り部分12aから過渡応答部分SRPを抜き出す場合にも、同様にその振幅変化PAと位相変化Pθが抽出される。また、図4(a)(b)に示す過渡応答部分SRPの何れかを抜き出す場合にも、同様にその振幅変化PAと位相変化Pθが抽出される。
【0044】
特徴パターン出力手段54は、振幅抽出手段52から振幅変化PAを、位相抽出手段53から位相変化Pθを受け取り、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの各過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcのそれぞれについて、振幅対位相特性PAθを抽出する。この振幅対位相特性PAθは、信号抜出期間TPにおける過渡応答波形SRPa、SRPb、SRPcの振幅Aの変化に対する瞬時位相θの変化である。特徴パターン出力手段54は、この振幅対位相特性PAθを、過渡応答波形SRPa、SRPb、SRPcの信号特徴パターンCPa、CPb、CPcとして出力する。
【0045】
同定手段55は、特徴パターン出力手段54から受け取った信号特徴パターンCPa、CPb、CPcを相互に比較することで、これらが同一の無線周波信号源3から放射されたものか否かを同定する。具体的には、信号特徴パターンCPa、CPbの差であるパターン差L2ノルムPDLab、信号特徴パターンCPb、CPcの差であるパターン差L2ノルムPDLbc、および信号特徴パターンCPc、CPaの差であるパターン差L2ノルムPDLcaが、すべて閾値以下であれば、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcが同一の無線周波信号源3から放射されたものと判断できる。
【0046】
図3(a)(b)および図4(a)(b)の各振幅変化部分ACでは、無線周波信号SR、例えばパルスレーダ信号SR1、無線通信信号SR2の振幅Aの変化に対応して、その位相θが変化することが知られている。この無線周波信号SRの振幅変化に対応する位相変化が振幅対位相特性PAθである。この振幅対位相特性PAθは、無線機器、例えば多くのパルスレーダ機器、無線通信機器のそれぞれにおいて、固有に変化する特性であり、実施の形態2の同定手段55では、この振幅対位相特性PAθが、各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcが同一の無線周波信号源3から放射されたものかを確認するために使用される。無線機器の送信機または送信回路は、電力増幅器を含んでいる。振幅対位相特性PAθは、この送信機または送信回路の電力増幅器に固有の特徴である。この振幅対位相特性PAθは、無線機器の運用目的に応じて、その変調方式、変調回路、変調諸元が切り替えられても、そのまま残存するので、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcを同定し、またその無線周波信号SRを放射した無線機器を特定するのに有効である。
【0047】
実施の形態2における時間差算出手段51は、同定手段55により、無線周波信号源3の同一性が保証された3つの無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPs、SRPb、SRPcに対して、実施の形態1と同様に相互相関処理を行ない、それらの到来時間差DTab、DTbc、DTcaの算出を行なう。位置標定手段70Aの位置決定手段71は、実施の形態1と同様に、無線周波信号源3の標定区域5を特定する。
【0048】
実施の形態2では、実施の形態1と同様に、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcに対する相互相関処理により、各受信局1A、1B、1C間での到来時間差DTab、DTbc、DTcaを求めるので、各過渡応答部分の全体比較により、到来時間差を精密に測定することができる。そのため、従来の立上りが急峻ではない無線周波受信信号の包絡線の立上り部分に対して閾値を用いて求めた到来時刻を用いて、到来時間差を求める位置標定装置と比較して、位置標定の精度を向上させることができる。また、多数の無線周波信号発生源が存在する環境下においても、無線周波信号源に固有の振幅対位相特性PAθを信号特徴パターンとして同定手段55により同定することにより、過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcが同じ無線周波信号源3から放射されたことを、より確実に保証することができる。
【0049】
実施の形態3.
図14は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態3を示すブロック図である。
【0050】
この実施の形態3の無線周波信号源の位置標定装置100Cでは、実施の形態1における到来時間差測定手段30Aが、到来時間差測定手段30Cに置き換えられ、また実施の形態1における位置標定手段70Aが、位置標定手段70Cに置き換えられる。到来時間差測定手段30Cでは、実施の形態1の過渡応答部分到来時間差算出手段50Aが、過渡応答部分到来時間差算出手段50Cに置き換えられる。この過渡応答部分到来時間差算出手段50Cでは、時間差算出手段51が到来時間差群算出手段56に置き換えられる。また、位置標定手段70Cでは、実施の形態1の位置決定手段71に加えて、同一時刻性判定手段72が使用される。その他は、実施の形態1と同じである。
【0051】
この実施の形態3では、無線周波信号源3が、実質的に同じ波形の無線周波信号SRを間欠的に繰返して放射し、各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも、それぞれ実質的に同じ波形で間欠的に繰返して受信され、それぞれ無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCを構成する。無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCは、それぞれ繰返し受信される複数の無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを含み、これらの各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcは、それぞれ実質的に同じ波形の過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcを含む。
【0052】
図15は、これらの無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCの中の2つの無線周波受信信号列SRA、SRBを例示する。図15(a)に示す無線周波受信信号列SRAは、間欠的に繰返して受信される実質的に同じ波形の複数の無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・SRa7を含む。図15(b)に示す無線周波受信信号列SRBは、間欠的に繰返し受信される実質的に同じ波形の複数の無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・SRb7を含み、これらの無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7は、各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7からそれぞれ到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTab7だけ遅れて、順次繰返して受信される。他の無線周波受信信号SRCも、同様にある到来時間差だけ遅れて受信される実質的に同じ波形の複数の無線周波受信信号SRc1、SRc2、・・・SRc7を含むものとする。
【0053】
信号抜出手段40は、各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7、SRb1、SRb2、・・・、SRb7、およびSRc1、SRc2、・・・、SRc7の所定の過渡応答部分、例えば図3(a)、または図4(a)の立上り部分11aに含まれる過渡応答部分SRPを抜き出す。勿論、図3(a)、図3(b)の立下り部分11b、12a、図4(a)の立下り部分11b、図4(b)の立下り部分12a、または立上り部分12bに含まれる過渡応答部分SRPを抜き出すこともできる。各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7、SRb1、SRb2、・・・、SRb7、およびSRc1、SRc2、・・・、SRc7の所定の過渡応答部分をSRPa1、SRPa2、・・・、SRPa7、SRPb1、SRPb2、・・・SRPb7、SRPc1、SRPc2、・・・、SRPc7とする。
【0054】
到来時間差群算出手段56は、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCに含まれる複数の無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa、SRb1、SRb2、・・・、SRb7、およびSRc1、SRc2、SRc7の過渡応答部分SRPa1、SRPa2、・・・、SRPa7、SRPb1、SRPb2、・・・、SRPb7、およびSRPc1、SRPc2、・・・、SRPc7中から、互いに異なる無線周波受信信号列に含まれる2つの対応する過渡応答部分の組合せを順次選択し、それらの過渡応答部分の組合せに対する到来時間差を、実施の形態1の時間差算出手段51と同様に、相互相関処理を行なって順次算出し、それらの到来時間差を含む到来時間差群を出力する。
【0055】
例えば、無線周波受信信号列SRA、SRBの間で各到来時間差DTabを算出する場合には、過渡応答部分SRPa1、SRPb1の組合せ、過渡応答部分SRPa2、SRPb2の組合せ、・・・、過渡応答部分SRPa7、SRPb7の組合せのそれぞれの組合せについて、順次到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTab7を算出する。他の無線周波受信信号列SRB、SRCの間、および無線周波受信信号列SRC、SRAの間で各到来時間差DTbc、DTcaを算出する場合も、同様である。
【0056】
位置標定手段70Cの同一時刻性判定手段62では、到来時間差群算出手段56から出力された到来時間差群に含まれるすべての到来時間差DTのそれぞれを、その到来時間差DTを算出する組合せの対象とした2つの対応受信局の間の電波伝播時間TCと比較し、対応受信局の間の電波伝播時間TCより大きい到来時間差DTが除去され、対応受信局の間の電波伝播時間TCより小さい到来時間差DTが、その無線周波信号の送信時刻に関して同一時刻性があると判定され、この対応受信局の間の電波伝播時間TCよりも小さい残りの到来時間差DTだけを含む到来時間差群を出力する。
【0057】
同一時刻性判定手段62では、到来時間差群算出手段56からの到来時間差群の中で、次の式(4)を満足する到来時間差DTが、同一時刻性を有するとされ、位置決定手段71に出力される。
DT<Tc・・・(4)
この式(4)を満足しない到来時間差DTは不正であるとして除去され、位置決定手段71へ、出力されない。この不正な到来時間差を除去することにより、無線周波信号源3から繰返し送信される複数の過渡応答部分の中で、同一送信時刻の過渡応答部分であるか否かの曖昧さを解消または低減することができ、位置決定手段71による無線周波信号源3の標定区域5の特定をより正確に行なうことができる。
【0058】
例えば、受信局1A、1Bからの無線周波受信信号列SRA、SRBに含まれる無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7の過渡応答部分SRPa1、SRPa2、・・・、SRPa7と、無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7の過渡応答部分SRPb1、SRPb2、・・・、SRPb7との組合せから算出された各到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTab7は、受信局1A、1Bの間の電波伝播時間TCabと比較される。受信局1Bからの無線周波受信信号列SRBに含まれる無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7の過渡応答部分SRPb1、SRPb2、・・・、SRPb7と、受信局1Cからの無線周波受信信号列SRCに含まれる無線周波受信信号SRc1、SRc2、・・・、SRc7の過渡応答部分SRPc1、SRPc2、・・・、SRPc7の組合せから算出された各到来時間差DTbc1、DTbc2、・・・、DTbc7は、受信局1B、1C間の電波伝播時間TCbcと比較される。また、受信局1Cからの無線周波受信信号列SRCに含まれる無線周波受信信号SRc1、SRc2、・・・、SRc7の過渡応答部分SRPc1、SRPc2、・・・、SRPc7と、受信局1Aからの無線周波受信信号列SRAに含まれる無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7の過渡応答部分SRPa1、SRPa2、・・・、SRPa7の組合せから算出された各到来時間差DTca1、DTca2、・・・、DTca7は、受信局1C、1A間の電波伝播時間TCcaと比較される。式(4)を満足しない到来時間差DTは不正であるとして除去される。
【0059】
実施の形態3では、位置決定手段71は、不正な到来時間差が除去された残りの到来時間差に基づき、距離範囲DRを算出し、無線周波信号源3の存在する標定区域5を決定する。同一時刻性判定手段72から出力される複数の到来時間差は、所定時間内で平均化されて平均値とされるか、またはそれらの中間値が選択され、この平均値または中間値に基づき、距離範囲DRが算出され、標定区域5が算出される。
【0060】
以上のように、実施の形態3によれば、無線周波受信信号の過渡応答部分が実質的に同じ波形で繰返される場合に、各無線周波受信信号の過渡応答部分の組合せに対する相互相関処理から到来時間差群を求めることにより、到来時間差の測定を精密に行なうことができる。そのため、従来の立上りが急峻ではない無線周波信号の包絡線の立上り部分に対する閾値を用いて求めた無線周波信号到来時刻を利用する時間差方探を用いた位置標定装置と比較して、位置標定の精度を向上させることができる。また、到来時間差群中の各到来時間差を受信局間の電波伝播時間と比較することで、同一送信時刻の過渡応答部分であるのか否かの曖昧さを解消または低減できる。
【0061】
実施の形態3における到来時間差群算出手段56および位置標定手段70Cは、実施の形態2にも適用することができる。この場合、図11に示す実施の形態2の時間差算出手段51が、図14に示す実施の形態3の到来時間差群算出手段56に置き換えられ、また図11に示す位置標定手段70Aが、図14に示す位置標定手段70Cに置き換えられる。
【0062】
実施の形態4.
図16は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態4を示すブロック図である。
【0063】
この実施の形態4の無線周波信号源の位置標定装置100Dでは、実施の形態1における到来時間差測定手段30Aが、到来時間差測定手段30Dに置き換えられ、また実施の形態1における位置標定手段70Aが、位置標定手段70Dに置き換えられる。到来時間差測定手段30Dでは、実施の形態1の過渡応答部分到来時間差算出手段50Aが、過渡応答部分到来時間差算出手段50Dに置き換えられる。この過渡応答部分到来時間差算出手段50Dでは、時間差算出手段51が到来時間差群算出手段56に置き換えられ、この到来時間差群算出手段56に、擬似ランダムパターン判定手段57と、擬似ランダムパターン抜出手段58が組合される。また、位置標定手段70Dでは、実施の形態1の位置決定手段71に加えて、同一時刻性判定手段73が使用される。その他は、実施の形態1と同じである。
【0064】
この実施の形態4では、無線周波信号源3が、無線周波信号SRを間欠的に、擬似ランダムパターン繰返し周期Tpで繰返して放射する場合を想定する。各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも、擬似ランダムパターン繰返し周期Tpの中で、それぞれ間欠的に繰返して受信され、それぞれ無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCを構成する。無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCは、擬似ランダムパターン繰返し周期Tpの中で、それぞれ繰返し受信される複数の無線周波受信信号SRa、SRb、SRcを含み、これらの無線周波受信信号SRa、SRb、SRcは、それぞれ過渡応答部分SRPa、SRPb、SRPcを含む。
【0065】
図17は、これらの無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCの中の2つの無線周波受信信号列SRA、SRBを例示する。図17(a)に示す無線周波受信信号列SRAは、擬似ランダムパターン繰返し周期Tpを有する擬似ランダムパターンPTを含み、この擬似ランダムパターンPTは、間欠的に繰返し受信される複数の無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7を含む。図17(b)に示す無線周波受信信号列SRBは、擬似ランダムパターン繰返し周期Tpを有する擬似ランダムパターンPTを含み、この擬似ランダムパターンPTは、間欠的に繰返し受信される複数の無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7を含む。擬似ランダムパターン繰返し周期Tpの中で、各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、STa7の各到来時刻間隔をTa1、Ta2、・・・、Ta7とし、また各無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7の各到来時刻間隔をTb1、Tb2、・・・、Tb7とする。同じ無線周波信号源3から放射された無線周波信号列SRA、SRBでは、到来時刻間隔Tb1、Tb2、・・・、TB7は、それぞれ到来時刻間隔Ta1、Ta2、・・・、Ta7と同じとなる。また、無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7は、各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7からそれぞれ到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTab7だけ遅れて、順次繰返して受信される。他の無線周波受信信号列SRCも、同じ擬似ランダムパターン繰返し周期Tpを有する擬似ランダムパターンPTを含み、この擬似ランダムパターンPTは、複数の無線周波受信信号SRc1、SRc2、・・・SRc7を含むものとする。同じ無線周波信号源3からの無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCついては、無線周波受信信号SRc1、SRc2、・・・、SRc7の到来時刻間隔Tc1、Tc2、・・・、TC7は、到来時刻間隔Ta1、Ta2、・・・、Ta7およびTb1、Tb2、・・・、Tb7と同じになる。
【0066】
信号抜出手段40は、各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7、SRb1、SRb2、・・・、SRb7、およびSRc1、SRc2、・・・、SRc7の所定の過渡応答部分、例えば図3(a)または図4(a)の立上り部分11aに含まれる過渡応答部分SRPを抜き出す。勿論、図3(a)、図3(b)の立下り部分11b、12a、図4(a)の立下り部分11b、図4(b)の立下り部分12a、または立上り部分12bに含まれる過渡応答部分SRPを抜き出すこともできる。各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7、SRb1、SRb2、・・・、SRb7、およびSRc1、SRc2、・・・、SRc7の過渡応答部分をSRPa1、SRPa2、・・・、SRPa7、SRPb1、SRPb2、・・・SRPb7、SRPc1、SRPc2、・・・、SRPc7とする。
【0067】
過渡応答部分到来時間差算出手段50Dの擬似ランダムパターン判定手段57は、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれに含まれる擬似ランダムパターンPTを判定する。この擬似ランダムパターン判定手段57の動作を、例えば、無線周波受信信号列SRA、SRBについて擬似ランダムパターンPTを判定する場合を例にして説明する。無線周波受信信号列SRAについて、擬似ランダムパターンPTを判定するとき、擬似ランダムパターン判定手段57は、無線周波受信信号SRAに含まれる無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・SRa7の到来時刻間隔Ta1、Ta2、・・・、Ta7を用いて、その繰返パターンが擬似ランダムパターンPTであることを判定する。無線周波受信信号列SRBについて、擬似ランダムパターンPTを判定するとき、擬似ランダムパターン判定手段57は、無線周波受信信号SRBに含まれる無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・SRb7の到来時刻間隔Tb1、Tb2、・・・、Tb7を用いて、その繰返パターンが擬似ランダムパターンPTであることを判定する。到来時刻間隔Ta1、Ta2、・・・、Ta7およびTb1、TB2、・・・、Tb7は、情報付与手段20a、20b、20cにより、各無線周波受信信号に付与された到来時刻情報に基づき算出される。
【0068】
具体的には、擬似ランダムパターン判定手段57は、次の第1、第2、第3ステップ、により、擬似ランダムパターンPTを判定する。
第1ステップ:無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれについて、擬似ランダムパターンPTに対応する無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7、SRb1、SRb2、・・・、SRb7、およびSRc1、SRc2、・・・、SRc7の到来時刻間隔Ta1、Ta2、・・・、Ta7、Tb1、Tb2、・・・、Tb7、およびTc1、Tc2、・・・、Tc7を含む到来時刻間隔列を保存する。
第2ステップ:各無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれについて、この保存した到来時刻間隔列と同じ到来時刻間隔列が再現するまで、保存した到来時刻間隔列の後方に向かって検索する。
第3ステップ:保存した到来時刻間隔列が再現した場合、その複数の無線周波受信信号は擬似ランダムパターンPTであると判断し、その擬似ランダムパターンPTの開始から終了までの時間を一回の擬似ランダムパターン繰り返し周期Tpと判定する。保存した到来時刻間隔列が再現しなかった場合、この複数の無線周波受信信号は擬似ランダムパターンPTではないと判定する。
【0069】
擬似ランダムパターン抜出手段58は、擬似ランダムパターンPTと判定された複数の無線周波受信信号を抜き出す。
【0070】
到来時間差群算出手段56は、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCからそれぞれ抜出された3つの擬似ランダムパターンPTの中で、順次2つの擬似ランダムパターンPTを選択し、それら2つの擬似ランダムパターンPTに含まれる複数の各無線周波受信信号の過渡応答部分を順次組合せ、それぞれの組合せに対して、実施の形態1の時間差算出手段51と同様に相互相関処理を行ない、順次到来時間差を算出し、これらの各到来時間差を含む到来時間差群を出力する。
【0071】
例えば、無線周波受信信号列SRA、SRBの間で到来時間差DTabを算出する場合には、無線周波受信信号列SRAから抜出した擬似ランダムパターンPTと、無線周波受信信号列SRBから抜出した擬似ランダムパターンPTとについて、無線周波受信信号SRa1、SRb1の過渡応答部分SRPa1、SRPb1の組合せ、無線周波受信信号SRa2、SRb2の過渡応答部分SRPa2、SRPb2の組合せ、・・・、無線周波受信信号SRa7、SRb7の過渡応答部分SRPa7、SRPb7の組合せのそれぞれに対し、相互相関処理を行ない、順次到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTab7を算出する。他の無線周波受信信号列SRB、SRCの間で到来時間差DTbcを算出する動作、および無線周波受信信号列SRC、SRAの間で到来時間差DTcaを算出する動作も、同様である。
【0072】
位置標定手段70Dの同一時刻性判定手段73は、到来時間差群算出手段56から出力される到来時間差群の中から不正な到来時間差を除去し、残りの到来時間差を含む到来時間差群を出力する。この同一時刻性判定手段73では、到来時間差を算出した2つの擬似ランダムパターンに含まれる複数の各到来時刻間隔がそれぞれ比較され、同一でない到来時刻間隔に対応した到来時間差が不正と判断され、除去される。
【0073】
例えば、無線周波受信信号列SRA、SRBの間で算出された到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTab7については、無線周波受信信号列SRAから抜出した擬似ランダムパターンPTに含まれる無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRa7の過渡応答部分SRPa1、SRPa2、・・・、SRPa7の各到来時刻間隔Ta1、Ta2、・・・、Ta7と、無線周波受信信号列SRBから抜出した擬似ランダムパターンPTに含まれる無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRb7の過渡応答部分SRPb1、SRPb2、・・・、SRPb7の到来時刻間隔Tb1、Tb2、・・・、Tb7とが順次比較される。各無線周波受信信号が、同じ無線周波信号源3から放射された無線周波信号SRに対応している場合には、比較される各到来時刻間隔は、互いに同一となるが、そうでない場合には、比較される各到来時刻間隔は、同一とならず、この同一でない到来時刻間隔に対応する到来時間差が不正と判定され、到来時間差列から除去される。
【0074】
到来時間差群の中から、このような不正な到来時間差が除去されることにより、位置決定手段71では、繰返される擬似ランダムパターンPTのうち、同一の無線周波信号源3からの送信時刻の同一性に対する曖昧さを解消または低減することが可能である。
【0075】
実施の形態4では、位置決定手段71は、不正な到来時間差を削除された残りの到来時間差に基づき、距離範囲DRを算出し、無線周波信号源3の存在する標定区域5を決定する。同一時刻性判定手段73から出力される複数の到来時間差は、所定時間内で平均化されて平均値とされるか、またはそれらの中間値が選択され、この平均値または中間値に基づき、距離範囲DRが算出され、標定区域5が算出される。
【0076】
以上のように、実施の形態4によれば、無線周波受信信号の過渡応答部分が繰返され、その繰返しが擬似ランダムパターンである場合に、擬似ランダムパターンに含まれる複数の無線周波受信信号の各過渡応答部分の組合せに対する相互相関処理から到来時間差群を求めることにより、到来時間差の測定を精密に行なうことができる。そのため、従来の立上りが急峻ではない無線周波信号の包絡線の立上り部分に対する閾値を用いて求めた無線周波信号到来時刻を利用する時間差方探を用いた位置標定装置と比較して、位置標定の精度を向上させることが出来る。また、到来時間差群中の不正な到来時間差を除去することで、同一送信時刻の過渡応答部分であるのか否かの曖昧さを解消または低減できる。
【0077】
実施の形態4における過渡応答部分到来時間差群算出手段50Dおよび位置標定手段70Cは、実施の形態2にも適用することができる。この場合、図11に示す時間差算出手段51が、図16に示す過渡応答部分到来時間差群算出手段50Dに置き換えられ、また図11に示す位置標定手段70Aが、図16に示す位置標定手段70Dに置き換えられる。
【0078】
実施の形態5.
図18は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態5を示すブロック図である。
【0079】
この実施の形態5の無線周波信号源の位置標定装置100Eでは、実施の形態1における到来時間差測定手段30Aが、到来時間差測定手段30Eに置き換えられる。この到来時間差測定手段30Eは、信号抜出手段40Eと過渡応答部分到来時間差算出手段50Aを有する。信号抜出手段40Eは、パルス過渡応答選択手段41を有する。過渡応答部分到来時間差算出手段50Aは、実施の形態1と同様に時間差算出手段51を有する。その他は実施の形態1と同じである。
【0080】
この実施の形態5では、無線周波信号SRが無線周波搬送波をパルス信号で振幅変調した信号とされ、具体的には、例えば図3(a)、図4(a)に示すパルスレーダ信号SR1とされ、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも、そのパルスレーダ信号SR1の受信信号となる。パルス過渡応答選択手段41は、パルスレーダ信号SR1の立上り部分11aと立下り部分11bの両方から過渡応答部分SRPを抜き出す。パルスレーダ信号SR1の立上り部分11aから抜き出された過渡応答部分を立上り過渡応答部分SRPA、その立下り部分11bから抜き出された過渡応答部分を立下り過渡応答部分SRPBとし、無線周波信号SRa、SRb、SRcの立上り過渡応答部分をそれぞれSRPAa、SRPAb、SRPAcとし、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの立下り過渡応答部分をそれぞれSRPBa、SRPBb、SRPBcとする。
【0081】
この実施の形態5では、過渡応答部分到来時間差算出手段50Aの時間差算出手段51は、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcの立上り過渡応答部分SPRAa、SRPAb、SRPAcから順次選択した2つの立上り過渡応答部分に対して相互相関処理を行ない、第1の到来時間差の算出を行なう。また、立下り過渡応答部分SRPBa、SRPBb、SRPBcから順次選択した2つの立下り過渡応答部分に対して相互相関処理を行ない、第2の到来時間差を算出する。この時間差算出手段51Eでは、立上り過渡応答部分SRPAa、SRPAb、SRPAcを用いて算出した第1の到来時間差と、立下り過渡応答部分SRPBa、SRPBb、SRPBcを用いて算出した第2の到来時間差とが、例えば平均化処理され、過渡応答部分時間差DTab、DTbc、DTcaが算出される。
【0082】
以上のように、実施の形態5によれば、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcが無線周波搬送波をパルス信号で振幅変調した信号である場合に、無線周波受信信号SRa、SRb、SRcのパルス立上り部分及びパルス立下り部分から抜出した過渡応答部分に対する相互相関処理から、到来時間差を求めることにより、到来時間差の測定をより精密に行なうことができる。そのため、従来の立上りが急峻ではないパルスの包絡線の立上り部分に対する閾値を用いて求めた無線周波信号到来時刻を利用する時間差方探を用いた位置標定装置と比較して、位置標定の精度を向上させることができる。
【0083】
実施の形態5によるパルス過渡応答選択手段41は、実施の形態2、3、4の各信号抜出手段40にも、適用することもできる。
【0084】
実施の形態6.
図19は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態6を示すブロック図である。
【0085】
この実施の形態6による無線周波信号源の位置標定装置100Fでは、実施の形態1における到来時間差測定手段30Aが、到来時間差測定手段30Fに置き換えられ、また実施の形態1における位置標定手段70Aが、位置標定手段70Dに置き換えられる。その他は、実施の形態1と同じに構成される。
【0086】
実施の形態6の到来時間差測定手段30Fは、信号抜出手段40Eと、過渡応答部分到来時間差算出手段50Fを有する。信号抜出手段40Eは、図18に示す信号抜出手段41Eと同じに構成される。過渡応答部分時間差算出手段50Fは、パルス繰返しパターン判定手段61と、パルス繰返しパターン抜出手段62と、到来時間差群算出手段56を有する。到来時間差群算出手段56は、図16に示す実施の形態4の到来時間差群算出手段56と同様に構成される。位置標定手段70Dは、図16に示す実施の形態4の位置標定手段70Dと同様に、同一時刻性判定手段73と、位置決定手段71を有する。
【0087】
この実施の形態6では、無線周波信号SR、および各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcのそれぞれが、パルスとして扱われる。このパルスは、具体的には、図3(a)または図4(a)に示すパルスレーダ信号CR1であるが、その立上り部分11aと立下り部分11bを含むパルスと想定される。また無線周波信号源3が、無線周波信号SRを間欠的に繰返して放射し、各無線周波受信信号SRa、SRb、SRcも間欠的に繰返して受信され、それぞれ無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCを構成する。加えて、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号を含み、この複数の無線周波受信信号が、PRIジッター、PRIスタガ、および擬似ランダムPRIを含むものと想定される。
【0088】
パルス繰返しパターンPRについて、無線周波受信信号列SRA、SRBを例示して説明する。無線周波受信信号列SRCに含まれるパルス繰返しパターンPRも同様である。図20は、パルス繰返しパターンPRがPRIジッターである場合に、このPRIジッターを構成するパルス繰返しパターンPRを含む無線周波受信信号列SRA、SRBを例示する。図20(a)は無線周波受信信号列SRAを示し、図20(b)は無線周波受信信号列SRBを示す。PRIジッターは、パルス繰返し時間間隔が単調に減少または増加しているパルス列を意味する。図20(a)では、無線周波受信信号列SRAが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRanを含み、これらの無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・SRanの各パルス繰返し到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRIC、・・・が単調に減少している。なお、各無線周波受信信号は、便宜上、立上り部分11aと立下り部分11bを含む単純なパルスとして図示されている。図20(b)でも、無線周波受信信号列SRBが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、Sbnを含み、これらの無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・SRbnの各パルス繰返し到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRIC、・・・が単調に減少している。
【0089】
図21は、パルス繰返しパターンPRがPRIスタガである場合に、このPRIスタガを構成するパルス繰返しパターンPRを含む無線周波受信信号列SRA、SRBを例示する。図21(a)は無線周波受信信号列SRAを示し、図21(b)は無線周波受信信号列SRBを示す。PRIスタガは、パルス繰返し到来時刻間隔が、パルス繰返しパターンPRの中で、2以上の複数のグループに分類できるパルス列を意味する。図21(a)では、無線周波受信信号列SRAが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRanを含み、これらの無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・SRanの各パルス繰返し到来時刻間隔が、例えば、3つのパルス繰返し到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRICに分類される。図21(b)でも、無線周波受信信号列SRBが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、Sbnを含み、これらの無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・SRbnの各パルス繰返し到来時刻間隔が、例えば、3つのパルス繰返し到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRICに分類される。
【0090】
図22は、パルス繰返しパターンPRが擬似ランダムPRIである場合に、この擬似ランダムPRIを構成するパルス繰返しパターンPRを含む無線周波受信信号列SRA、SRBを例示する。図22(a)は無線周波受信信号列SRAを示し、図22(b)は無線周波受信信号列SRBを示す。擬似ランダムPRIは、パルス繰返し到来時刻間隔が、パルス繰返しパターンPRの中で、特に規則性のない変化をしているパルス列を意味する。図22(a)では、無線周波受信信号列SRAが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRanを含み、これらの無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・SRanの各パルス繰返し到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRIC、・・・がパルス繰返しパターンPRの中で、ランダムな所定の変化をしている。図22(b)でも、無線周波受信信号列SRBが、パルス繰返しパターンPRを含み、このパルス繰返しパターンPRが、複数の無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、Sbnを含み、これらの無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・SRbnの各パルス繰返し到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRICが、パルス繰返しパターンPRの中で、無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRanと同じパルス繰返し到来時刻間隔で変化している。
【0091】
この実施の形態6の無線周波信号源の位置標定装置100Fにおける過渡応答部分到来時間差測定手段50Fは、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれに含まれるパルス繰返しパターンPRについて、その複数の無線周波受信信号がPRIジッター、PRIスタガ、および擬似ランダムPRIであるかどうかを判定し、PRIジッター、PRIスタガ、および擬似ランダムPRIである場合に、到来時間差群の測定を行ない、位置標定手段70Dが、この到来時間差群から各無線周波受信信号の送信時刻の同一性の確認と、無線周波信号源3の存在する標定区域5の決定を行なう。
【0092】
信号抜出手段40Eの動作は、実施の形態5で説明したものと同様であり、各無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCに含まれる各無線周波受信信号の立上り部分11aと立下り部分11bの両方から過渡応答部分SRPを抜き出す。
【0093】
パルス繰返しパターン判定手段61、パルス繰返しパターン抜出手段62、および到来時間差群算出手段56を備えたことにより、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCが、無線周波搬送波をパルス信号で振幅変調した信号で、かつパルス繰返しパターンPRが,PRIジッター、PRIスタガおよび擬似ランダムPRIである場合に、そのパルス繰返しパターンPRを判定して抜出し、各パルス繰返しパターンPRの中で、到来時間差群を算出することにより、単独のパルスに対する位置標定よりも高精度な位置標定が実現できる。
【0094】
パルス繰返しパターン判定手段51Fは、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれに含まれる各無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRan、SRb1、SRb2、・・・、SRbn、SRc1、SRc2、・・・、SRcnについて、それらの到来時刻間隔列PRIA、PRIB、PRIC、・・・を測定し、この到来時刻間隔列から、パルス繰返しパターンPRが,PRIジッター、PRIスタガ、および擬似ランダムPRIであることを判定する。具体的には、以下の第1〜第5ステップで判定を行なう。到来時刻間隔列PRIA、PRIB、PRIC、・・・は、情報付与手段20a、20b、20cにより、各無線周波受信信号に付与された到来時刻情報に基づき算出される。
【0095】
第1ステップ:各無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれについて、複数の無線周波受信信号の到来時刻間隔列PRIA、PRIB、PRIC、・・・を、パルス繰返しパターンPRに相当する期間分保存する。
第2ステップ:各無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCのそれぞれについて、保存した到来時刻間隔列と同じ到来時刻間隔列が再現するまで、保存した到来時刻間隔列の後方に向かって検索する。
第3ステップ:保存した到来時刻間隔列と同じ到来時刻間隔列が再現した場合、このパルス信号はパルス繰返しパターンPRであると判断し、その再現したパルス繰返しパターンPRの開始から終了までを一回のパルス繰り返し周期と判定する。保存した到来時刻間隔列が再現しなかった場合、その複数の無線周波受信信号はパルス繰返しパターンではないと判定する。
第4ステップ:パルス繰返しパターンの中で、到来時刻間隔が単調に減少または増加している場合、このパルス繰返しパターンをPRIジッターと判断する。パルス繰返しパターンの中で、到来時刻間隔が単調に減少あるいは増加していない場合、このパルス繰返しパターンはPRIスタガまたは擬似ランダムPRIと判断する。
第5ステップ:パルス繰返しパターンがPRIジッターまたは擬似ランダムPRIの場合、連続するパルス繰返し時間間隔PRIA、PRIB、PRICの変化が、複数のグループに分類できる場合には、PRIジッターと判断する。パルス繰返しパターンが周波数ジッターまたは擬似ランダムパターンの場合、各パルス信号の周波数が一定の場合は、擬似ランダムPRIと判断する。
【0096】
パルス繰返しパターン抜出手段62は、パルス繰返しパターンPRをその繰返し毎に抜出す。具体的には、パルス繰返しパターン判定手段61においてパルス繰返しパターンPRと判断された部分を1回の繰返しパターンPRとし、その区間の各パルス信号をパルス繰返しパターンPRとして抜き出す。
【0097】
到来時間差群算出手段56は、無線周波受信信号列SRA、SRB、SRCからそれぞれ抜出されたパルス繰返しパターンPRの中で、順次2つのパルス繰返しパターンPRを選択し、それら2つのパルス繰返しパターンPRに含まれる複数の各無線周波受信信号の立上り過渡応答部分を順次組合せ、それぞれの組合せに対して、実施の形態1の時間差算出手段51と同様に相互相関処理を行ない、第1の到来時間差を算出し、また、それら2つのパルス繰返しパターンPRに含まれる複数の各無線周波受信信号の立下り過渡応答部分を順次組合せ、それぞれの組合せに対して、実施の形態1の時間差算出手段51と同様に相互相関処理を行ない、第2に到来時間差を算出し、これらの各第1、第2の到来時間差を含む到来時間差群を出力する。
【0098】
例えば、無線周波受信信号列SRA、SRBの間で到来時間差DTabを算出する場合には、無線周波受信信号列SRAから抜出したパルス繰返しパターンPRと、無線周波受信信号列SRBから抜出したパルス繰返しパターンPRとについて、無線周波受信信号SRa1、SRb1の立上り過渡応答部分SRPAa1、SRPAb1の組合せ、無線周波受信信号SRa2、SRb2の立上り過渡応答部分SRPAa2、SRPAb2の組合せ、・・・、無線周波受信信号SRan、SRbnの立上り過渡応答部分SRPAan、SRPAbnの組合せのそれぞれに対し、相互相関処理を行ない、順次第1の到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTabnを算出する。また、無線周波受信信号SRa1、SRb1の立下り過渡応答部分SRPBa1、SRPBb1の組合せ、無線周波受信信号SRa2、SRb2の立下り過渡応答部分SRPBa2、SRPBb2の組合せ、・・・、無線周波受信信号SRan、SRbnの立下り過渡応答部分SRPBan、SRPBbnの組合せのそれぞれに対し、相互相関処理を行ない、順次第2の到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTabnを算出する。他の無線周波受信信号列SRB、SRCの間で到来時間差DTbcを算出する動作、および無線周波受信信号列SRC、SRAの間で到来時間差DTcaを算出する動作も、同様である。
【0099】
位置標定手段70Dの同一時刻性判定手段73は、到来時間差群算出手段56から出力される到来時間差群の中から不正な到来時間差を除去し、残りの到来時間差を含む到来時間差群を出力する。この同一時刻性判定手段73では、到来時間差を算出した2つのパルス繰返しパターンPRに含まれる複数の各到来時刻間隔がそれぞれ比較され、同一でない到来時刻間隔に対応した到来時間差が不正と判断され、除去される。
【0100】
例えば、無線周波受信信号列SRA、SRBの間で算出された第1、第2の到来時間差DTab1、DTab2、・・・、DTabnについては、無線周波受信信号列SRAから抜出したパルス繰返しパターンPRに含まれる無線周波受信信号SRa1、SRa2、・・・、SRanの立上り過渡応答部分SRPAa1、SRPAa2、・・・、SRPAanと立下り過渡応答部分SRPBa1、SRPBa2、・・・、SRPBanの各到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRIC、・・・と、無線周波受信信号列SRBから抜出したパルス繰返しパターンPRに含まれる無線周波受信信号SRb1、SRb2、・・・、SRbnの立上り過渡応答部分SRPBb1、SRPBb2、・・・、SRPBbnと立下り過渡応答部分SRPBb1、SRPBb2、・・・、SRPBnの到来時刻間隔PRIA、PRIB、PRIC、・・・とが順次比較される。各無線周波受信信号が、同じ無線周波信号源3から放射された無線周波信号SRに対応ている場合には、比較される各到来時刻間隔は、互いに同一となるが、そうでない場合には、比較される各到来時刻間隔は、同一とならず、この同一でない到来時刻間隔に対応する到来時間差が不正と判定され、到来時間差列から除去される。
【0101】
到来時間差群の中から、このような不正な到来時間差が除去されることにより、位置決定手段71では、繰返されるパルス繰返しパターンPRのうち、同一の無線周波信号源3からの送信時刻の同一性に対する曖昧さを解消または低減することが可能である。
【0102】
実施の形態6では、位置決定手段71は、不正な到来時間差を削除された残りの到来時間差に基づき、距離範囲DRを算出し、無線周波信号源3の存在する標定区域5を決定する。同一時刻性判定手段73から出力される複数の到来時間差は、所定時間内で平均化されて平均値とされるか、またはそれらの中間値が選択され、この平均値または中間値に基づき、距離範囲DRが算出され、標定区域5が算出される。
【0103】
以上のように、実施の形態6によれば、無線周波受信信号の過渡応答部分が間欠的に繰返され、その繰返しがパルス繰返しパターンである場合に、パルス繰返しパターンに含まれる複数の無線周波受信信号の各過渡応答部分の組合せに対する相互相関処理から到来時間差群を求めることにより、到来時間差の測定を精密に行なうことができる。そのため、従来の立上りが急峻ではない無線周波信号の包絡線の立上り部分に対する閾値を用いて求めた無線周波信号到来時刻を利用する時間差方探を用いた位置標定装置と比較して、位置標定の精度を向上させることが出来る。また、到来時間差群中の不正な到来時間差を除去することで、同一送信時刻の過渡応答部分であるのか否かの曖昧さを解消または低減できる。
【0104】
実施の形態6における信号抜出手段40Eと過渡応答部分到来時間差群算出手段50Fおよび位置標定手段70Dは、実施の形態2にも適用することができる。この場合、図11に示す信号抜出手段40が信号抜出手段40Eに置き換えられ、図11に示す時間差算出手段51が、図19に示す過渡応答部分到来時間差群算出手段50Fに置き換えられ、また図11に示す位置標定手段70Aが、図19に示す位置標定手段70Dに置き換えられる。
【0105】
実施の形態7.
図23は、この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態7を示すブロック図である。
【0106】
実施の形態7の無線周波信号源の位置標定装置100Gは、実施の形態1の位置標定手段70Aに、距離判定手段80Gを組み合わせたものである。その他は、実施の形態1と同じに構成される。
【0107】
この実施の形態7において、距離判定手段80Gは、無線周波信号源3の標定区域5、すなわち各受信局1A、1B、1Cと無線周波信号源3との距離範囲DRa、DRb、DRcを、各受信局1A、1B、1Cのそれぞれにおける見通し距離と比較し、各受信局1A、1B、1Cと標定区域5との距離範囲DRa、DRb、DRcが、各受信局1A、1B、1Cの見通し距離以上である距離範囲を除去する。この距離判定手段80Gにより、位置決定手段51による標定区域5の曖昧さを解消又は低減することができる。
【0108】
原理的には、位置決定手段80Gが決定した無線周波信号源3の距離範囲DRa、DRb、DRcが、各受信局1A、1B、1Cの電波水平線以遠だった場合、その無線周波信号源3が放射した電波は実際には各受信局1A、1B、1Cには到達しない。このような位置決定出力は、無線周波受信信号の到来時間差の測定に用いた無線周波受信信号が、同一無線周波信号源3から同一時刻に放射されたものではない場合に得られる不正な値であり、距離判定手段80Gはこのような不正な位置決定出力を除去する。なお、この距離判定手段80Gは、実施の形態1に限らず、他の実施の形態2〜7にも同様にして、組み合わせることができる。
【0109】
なお、この発明は上記実施の形態1から7に限定されるものではなく、この発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらをこの発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
この発明による無線周波信号源の位置標定装置は、例えば多数の無線機器が無線周波信号を放射する環境に設置され、特定の無線周波信号を放射する無線周波信号源の位置を標定する用途に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態1を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1で使用される無線周波信号および無線周波受信信号を例示する波形図である。
【図4】実施の形態1で使用される無線周波信号および無線周波受信信号を例示する波形図である。
【図5】実施の形態1の信号抜出手段の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1の時間差算出手段の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における過渡応答部分を例示する波形図である。
【図8】実施の形態1の時間差算出手段による相互相関特性を例示する特性図である。
【図9】実施の形態1の位置決定手段の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1による標定区域を従来の標定区域と対比して示す説明図である。
【図11】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態2を示すブロック図である。
【図12】実施の形態2の位相抽出手段による位相抽出動作を示す説明図である。
【図13】実施の形態2による振幅変化と位相変化を例示する特性図である。
【図14】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態3を示すブロック図である。
【図15】実施の形態3における無線周波受信信号列を例示する波形図である。
【図16】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態4を示すブロック図である。
【図17】実施の形態4における無線周波受信信号列を例示する波形図である。
【図18】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態5を示すブロック図である。
【図19】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態6を示すブロック図である。
【図20】実施の形態6における無線周波受信信号列を例示する波形図である。
【図21】実施の形態6における無線周波受信信号列を例示する波形図である。
【図22】実施の形態6における無線周波受信信号列を例示する波形図である。
【図23】この発明による無線周波信号源の位置標定装置の実施の形態7を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0112】
100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G:無線周波信号源の位置標定装置、10a、10b、10c:A/D変換器、20a、20b、20c:情報付与手段、30A、30B、30C、30D、30E、30F:到来時間差測定手段、40、40E:信号抜出手段、50A、50B、50C、50D、50F:過渡応答部分到来時間差算出手段、70A、70C、70D:位置標定手段、80G:距離判定手段。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄

【識別番号】100093562
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 俊英

【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生

【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾


【公開番号】 特開2008−8748(P2008−8748A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179400(P2006−179400)