トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 物体検出装置、衝突予測装置、及び車両制御装置
【発明者】 【氏名】川崎 智哉

【要約】 【課題】障害物の横方向の変位(方位)に関する信頼度を算定することが可能な物体検出装置、及びこれを利用した衝突予測装置並びに車両制御装置を提供すること。

【構成】周辺物体を検出する物体検出装置であって、周辺物体までの距離及び方位を検出する第1の検出手段10と、周辺物体までの距離及び方位を検出する第2の検出手段20と、第1の検出手段10及び第2の検出手段20の検出結果に基づいて、周辺物体の方位に関する信頼度を算定する、信頼度算定手段と、を備え、周辺物体までの距離及び方位と共に、周辺物体の方位に関する信頼度を出力することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺物体を検出する物体検出装置であって、
前記周辺物体までの距離及び方位を検出する第1の検出手段と、
前記周辺物体までの距離及び方位を検出する第2の検出手段と、
該第1の検出手段及び第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記周辺物体の方位に関する信頼度を算定する、信頼度算定手段と、を備え、
前記周辺物体までの距離及び方位と共に、前記周辺物体の方位に関する信頼度を出力することを特徴とする、物体検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物体検出装置であって、
前記信頼度算定手段は、
前記第1の検出手段及び第2の検出手段により夫々検出された前記周辺物体の方位に関する、検出手段ごとの信頼度を夫々算定する、検出手段別信頼度算定手段と、
該検出手段別信頼度算定手段により算定された検出手段ごとの信頼度、及び、前記第1の検出手段及び第2の検出手段により検出された前記周辺物体の方位に基づいて、前記周辺物体の方位に関する信頼度を算定する最終信頼度算定手段と、を備える手段である、
物体検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の物体検出装置であって、
前記検出手段別信頼度算定手段は、各検出手段が過去に検出した前記周辺物体までの距離及び方位を記憶する記憶手段を備え、各検出手段により検出された前記周辺物体の方位の時間変化に基づいて、検出手段ごとの信頼度を夫々算定する手段である、
物体検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の物体検出装置であって、
前記検出手段別信頼度算定手段は、外部環境に基づいて検出手段ごとの信頼度を夫々算定する手段である、
物体検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の物体検出装置であって、
前記第1の検出手段及び第2の検出手段は、夫々、レーダー装置、又はカメラ装置であり、
前記外部環境は、反射波の強度、又は天候を含む、
物体検出装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の物体検出装置であって、
前記最終信頼度算定手段は、前記第1の検出手段及び第2の検出手段により夫々検出された前記周辺物体の方位の合致程度に基づいて、前記周辺物体の方位に関する信頼度を算定する手段である、
物体検出装置。
【請求項7】
前記周辺物体の方位を、該物体検出装置から見た前記周辺物体の横方向の変位に置換して構成される、請求項1ないし6のいずれかに記載の物体検出装置。
【請求項8】
周辺物体との衝突予測を行なう衝突予測装置であって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の物体検出装置を備え、
該物体検出装置が出力する、前記周辺物体までの距離、方位、及び前記周辺物体の方位に関する信頼度、に基づいて前記周辺物体との衝突を予測することを特徴とする、
衝突予測装置。
【請求項9】
請求項8に記載の衝突予測装置であって、
前記物体検出装置が出力する前記周辺物体の方位に関する信頼度が低下するのに応じて、前記周辺物体との衝突可能性を低く予測することを特徴とする、衝突予測装置。
【請求項10】
車両に搭載され、車間距離制御を行う車両制御装置であって、
請求項1ないし7のいずれかに記載の物体検出装置を備え、
該物体検出装置が出力する、前記周辺物体までの距離、方位、及び前記周辺物体の方位に関する信頼度、に基づいて認識された先行車両との車間距離制御を行なうことを特徴とする、車両制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の車両制御装置であって、
前記物体検出装置が出力する前記周辺物体の方位に関する信頼度が低下するのに応じて、先行車両との車間距離制御を行なうために出力される補助制動力及び/又は補助駆動力の出力ゲインを緩やかにすることを特徴とする、車両制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置、及びこれを利用した衝突予測装置並びに車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像センサーとミリ波センサーを用いて障害物を検出し、自車両と障害物との衝突予測を行なう衝突予測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、画像センサーとミリ波センサーのセンサー出力の変化を比較して、両センサーが検出した物体の同一性を判断している。また、ミリ波センサーにより障害物までの距離を検出すると共に、画像センサーにより障害物の横方向の変位(方位)を検出して、障害物の位置を算出している。なお、こうした種類の異なるセンサーを用いて検出精度を向上させるものは、センサフュージョンと称される。
【特許文献1】特開2004−301567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、ミリ波センサー等のレーダー装置においては、障害物までの距離は比較的正確に検出することが可能であるのに対し、障害物の横方向の変位(方位)を常に正確に検出するのは比較的困難である。さらに、反射物が障害物の周辺に多く存在する場合等、外部環境によっても検出の信頼度が低下する場合がある。
【0004】
また、カメラ等の画像センサーにおいても、天候や時間帯等の外部環境によっては、正確に障害物を判別するのが困難な場合がある。
【0005】
従って、この種の衝突予測装置においては、障害物の位置、特に横方向の変位(方位)について、外部環境等によって変化する信頼度を算定する必要が生じる。なぜなら、こうした衝突予測装置を用いて実現される車載用のプリクラッシュセーフティシステム等の装置においては、誤検出による不必要な作動を抑制することが重要な課題となっており、検出した障害物の位置がどれほど確からしいかを検知することによって、より正確な制御を行なうことが可能となるからである。
【0006】
しかしながら、上記従来の装置においては、障害物の横方向の変位(方位)に関する信頼度についての考慮がなされていない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、障害物の横方向の変位(方位)に関する信頼度を算定することが可能な物体検出装置、及びこれを利用した衝突予測装置並びに車両制御装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、周辺物体を検出する物体検出装置であって、周辺物体までの距離及び方位を検出する第1の検出手段と、周辺物体までの距離及び方位を検出する第2の検出手段と、第1の検出手段及び第2の検出手段の検出結果に基づいて、周辺物体の方位に関する信頼度を算定する、信頼度算定手段と、を備え、周辺物体までの距離及び方位と共に、周辺物体の方位に関する信頼度を出力するものである。
【0009】
この本発明の第1の態様によれば、第1の検出手段及び第2の検出手段の検出結果に基づいて周辺物体の方位に関する信頼度を算定する信頼度算定手段を備えるから、周辺物体の方位に関する信頼度を算定し、出力することができる。
【0010】
また、この本発明の第1の態様において、信頼度算定手段は、好ましくは、第1の検出手段及び第2の検出手段により夫々検出された周辺物体の方位に関する検出手段ごとの信頼度を夫々算定する検出手段別信頼度算定手段と、検出手段別信頼度算定手段により算定された検出手段毎の信頼度、及び、第1の検出手段及び第2の検出手段により検出された周辺物体の方位に基づいて、周辺物体の方位に関する信頼度を算定する最終信頼度算定手段とを備える手段である。この場合、検出手段別信頼度算定手段は、各検出手段が過去に検出した周辺物体までの距離及び方位を記憶する記憶手段を備え、各検出手段により検出された周辺物体の方位の時間変化に基づいて検出手段ごとの信頼度を夫々算定する手段であってもよいし、外部環境に基づいて検出手段ごとの信頼度を夫々算定する手段であってもよい。ここで、外部環境は、第1の検出手段及び第2の検出手段が、夫々、レーダー装置、又はカメラ装置である場合、例えば、反射波の強度、又は天候を含む、
また、この本発明の第1の態様において、最終信頼度算定手段は、好ましくは、第1の検出手段及び第2の検出手段により夫々検出された周辺物体の方位の合致程度に基づいて、前記周辺物体の方位に関する信頼度を算定する手段である。
【0011】
また、この本発明の第1の態様において、周辺物体の方位を、該物体検出装置から見た前記周辺物体の横方向の変位に置換して構成されるものとしてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様は、周辺物体との衝突予測を行なう衝突予測装置であって、本発明の第1の態様の物体検出装置を備え、物体検出装置が出力する、周辺物体までの距離、方位、及び周辺物体の方位に関する信頼度、に基づいて周辺物体との衝突を予測することを特徴とするものである。
【0013】
この本発明の第2の態様は、好ましくは、物体検出装置が出力する周辺物体の方位に関する信頼度が低下するのに応じて、周辺物体との衝突可能性を低く予測することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第3の態様は、車両に搭載され、車間距離制御を行う車両制御装置であって、本発明の第1の態様の物体検出装置を備え、物体検出装置が出力する、周辺物体までの距離、方位、及び周辺物体の方位に関する信頼度、に基づいて認識された先行車両との車間距離制御を行なうことを特徴とするものである。
【0015】
この本発明の第3の態様は、好ましくは、物体検出装置が出力する周辺物体の方位に関する信頼度が低下するのに応じて、先行車両との車間距離制御を行なうために出力される補助制動力及び/又は補助駆動力の出力ゲインを緩やかにすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、障害物の横方向の変位(方位)に関する信頼度を算定することが可能な物体検出装置、及びこれを利用した衝突予測装置並びに車両制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0018】
以下、図1〜4を用いて、本発明に係る物体検出装置を利用した、車載用の衝突予測装置の一実施例について説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る衝突予測装置1の全体構成の一例を示す図である。図示する如く、衝突予測装置1は、主要な構成として、レーダー装置10と、カメラセンサー20と、衝突予測用電子制御ユニット(以下、衝突予測用ECUと称する)30と、を備える。なお、以下の説明における車両内の機器間の通信は、CAN(Controller Area Network)等の適切なシリアル通信プロトコルを用いて行なわれる。
【0019】
レーダー装置10は、例えば、フロントグリル裏に配設された、ミリ波レーダー装置である。レーダー装置10は、ミリ波の反射波が帰ってくるまでの時間、反射波の角度、及び周波数変化を利用して、物体の距離、方位、及び相対速度を検出する。さらに、レーダー装置10は、後述する如く、レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdを算定し、物体の距離、方位、及び相対速度と共に、通信により衝突予測用ECU30に送信する。なお、レーダー装置10には、演算用のCPUやROMやRAM等の記憶手段が内蔵されている。
【0020】
図2に、距離、方位、及び相対速度の位置関係を示す。図示する如く、「方位」とは、例えば、自車両の進行方向を角度0として、時計回りを基準に測定された角度と定義できる。また、「横方向の変位」とは、物体の距離、及び方位の関数として求められる。従って、物体の距離が十分に確からしい値であれば、「方位」と「横方向の変位」は1対1の関係にある。本実施例では、「方位」に関する信頼度を算定するものとして説明するが、これに距離を加味して求められる「横方向の変位」に関する信頼度を算定するものとしても、装置としては等価である。
【0021】
カメラセンサー20は、例えば、カメラ22A、22Bと、画像処理装置24と、を備える。
【0022】
カメラ22A、22Bは、例えば、ウインドシールド上部の左右端に夫々配設されたCMOSカメラであり、夫々の光軸が、車両前方の斜め下方に向けられると共に、車両の略前方数十[m]の地点で交差するように設定されている。このように複数のカメラを用いて物体を撮像することにより、物体との距離をより正確に検出することができる。
【0023】
画像処理装置24は、例えば、CPUを中心とするコンピューターであり、ROMやRAM等の記憶手段を備える。画像処理装置24は、カメラ22A、22Bが撮像した画像を通信により入力し、これを処理することにより物体の距離、及び方位を検出する。さらに、画像処理装置24は、後述する如く、カメラセンサー20における物体の方位に関する信頼度Rscmを算定し、物体の距離、及び方位と共に、通信により衝突予測用ECU30に送信する。
【0024】
衝突予測用ECU30は、例えば、CPUを中心とするコンピューターであり、ROMやRAM等の記憶手段を備える。衝突予測用ECU30は、主要な機能ブロックとして、信頼度算定部32と、衝突予測部34と、を備える。
【0025】
信頼度算定部32は、レーダー装置10から送信された物体の距離、方位、相対速度、及び信頼度Rfrdと、カメラセンサー20から送信された物体の距離、方位、及び信頼度Rscmと、に基づいて物体の距離、方位、及び相対速度を特定し、さらに、物体の方位に関する最終的な信頼度Rfsnを算定する。
【0026】
衝突予測部34は、信頼度算定部32から入力した情報に基づいて、衝突が不可避であるか否かの判断を行なう。衝突が不可避であると判断した場合には、シートベルトECUに指示信号を送信し、衝突前に運転席・助手席のシートベルトを巻き取るようにシートベルトの弛みをとるモーターを駆動して乗員の初期拘束性能を高めたり、ブレーキECUに指示信号を送信し、ブレーキペダルの踏み込みと同時に素早くブレーキアシストを作動させて衝突速度を低減したりする。また、エアバッグを衝突前に作動させたり、衝突に備えたエンジンやトランスミッションの制御(燃料カットによるエンジンブレーキ等)を行なったりしてもよい。
【0027】
ここで、本実施例における、レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrd、カメラセンサー20における物体の方位に関する信頼度Rscm、物体の方位に関する最終的な信頼度Rfsnの算定手法の概要について説明する。
【0028】
レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdは、(1)前回に検出した方位との差分が所定範囲以内にあるか(物体の検出は繰り返し行なわれている)、(2)外部環境が、信頼性が低くなる所定条件を満たすか、を中心に算出される。詳しくは、後述する。
【0029】
カメラセンサー20における物体の方位に関する信頼度Rfrdも同様に、上記(1)、(2)を中心に算出される。
【0030】
物体の方位に関する最終的な信頼度Rfsnは、レーダー装置10により検出された物体の方位と、カメラセンサー20により検出された物体の方位の、合致程度に基づいて仮信頼度Rtmpを算出し、上記の如く算出された信頼度Rfrdと、信頼度Rfrdと、仮信頼度Rtmpの最小値をとることにより算定される。ここで、「合致程度に基づいて」とは、例えば、カメラセンサー20により検出された物体の方位の範囲(物体は一点ではないため、画像上でその物体を表すと考えられる方位の範囲が存在する)に、レーダー装置10により検出された物体の方位が収まっていれば、仮信頼度Rtmpを最も高く算出し、カメラセンサー20により検出された物体の方位の範囲からレーダー装置10により検出された物体の方位が外れるに従って、仮信頼度Rtmpを低く算出することを意味する。
【0031】
以下、衝突予測装置1が距離、方位、相対速度、及び方位に関する最終的な信頼度Rfsnを算定する動作について説明する。図3は、衝突予測装置1が実行する特徴的な処理の流れを示すブロック図である。この処理は、レーダー装置10、カメラセンサー20、及び信頼度算定部32の協働により実行される。
【0032】
最初に、レーダー装置10側の処理について説明する。レーダー装置10では、例えば、所定時間毎に物体の距離、方位、及び相対速度を検出する。そして、レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdを算定する。この算定は、例えば、図4に例示するフローチャートに従って行なわれる。なお、本フローチャートは、カメラセンサー20側の処理においても用いられる。
【0033】
まず、前回に検出した方位との差分を計算し(S100)、この差分が第1の所定範囲以内にあるか否かを判定する(S110)。第1の所定範囲以内にある場合は、第1の値(例えば、80[%]等に設定される。なお、このように100分率を用いて連続する数値を設定するものに限られず、例えばレベル1〜4等のように有限のレベル数のいずれかを選択するものとしてもよい)を、レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdとして算定する(S120)。
【0034】
前回に検出した方位との差分が第1の所定範囲以内にない場合は、外部環境が、信頼度の低下を招きうる所定条件を満たすか否かを判定する(S130)。この所定条件は、レーダー装置10とカメラセンサー20によって異なるものである。レーダー装置10の場合、例えば、(1)受信波が、物体の距離に基づいて定められる基準値を下回る、すなわち、受信波が弱い、(2)当該物体の周囲の所定領域内に、より大きい反射物が存在する、(3)当該物体の周囲の所定領域内に、一定以上の大きさの反射物が所定個数以上存在する、のいずれかを満たすとき、外部環境が、信頼度の低下を招きうる所定条件を満たすと判定する。
【0035】
外部環境が、信頼度の低下を招きうる所定条件を満たすと判定されると、さらに、前回に検出した方位との差分が第2の所定範囲以内にあるか否かを判定する(S140)。この第2の所定範囲は、S110において用いた第1の所定範囲よりも広い範囲である。
【0036】
S130とS140の双方で肯定的な判定を得た場合は、第2の値(例えば、40[%]等)を、レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdとして算定する(S150)。このように、外部環境が比較的良好でない場合は、前回に検出した方位との差分が比較的大きいものとなる可能性が十分にあると判断して、これを許容する一方、信頼度としては、より低い値を算定するのである。
【0037】
S130とS140のいずれかで否定的な判定を得た場合は、第3の値(例えば、0[%]等)を、レーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdとして算定する(S160)。このように、外部環境が比較的良好であるにも拘らず、前回に検出した方位との差分が比較的大きい場合には、誤検出等の確率が高いと判断して、信頼度としてはさらに低い値を算定するのである。なお、本実施例では、信頼度0[%]が出力されると、当該物体を検出しなかったものとみなされる。
【0038】
こうしてレーダー装置10における物体の方位に関する信頼度Rfrdを算定すると、これを、物体の距離、方位、及び相対速度と共に、衝突予測用ECU30の信頼度算定部32に送信する。
【0039】
次に、カメラセンサー20側の処理について説明する。カメラセンサー20では、例えば、所定時間毎に物体の距離、及び方位を検出する。そして、カメラセンサー20における物体の方位に関する信頼度Rscmを算定する。
【0040】
この算定も、レーダー装置10と同様に、図4に例示するフローチャートに従って行なわれる。レーダー装置10における処理との差異点は、S130において用いられる所定条件のみであるため、その他の処理についての説明は省略する。
【0041】
カメラセンサー20の場合、例えば、(1)雨天又は降雪時、(2)夜間、のいずれかを満たすとき、外部環境が、信頼度の低下を招きうる所定条件を満たすと判定する。ここで、天候についての情報は、例えばナビゲーション装置から入力されてもよいし、ワイパーの作動状態等から得ることもできる。時間帯の判定は、車載のタイマーを用いればよい。
【0042】
こうしてカメラセンサー20における物体の方位に関する信頼度Rscmを算定すると、これを、物体の距離、方位、及び相対速度と共に、衝突予測用ECU30の信頼度算定部32に送信する。
【0043】
なお、カメラセンサー20において物体の相対速度を検出せず、また、衝突予測用ECU30に送信しないのは、単に相対速度の検出においてはレーダー装置10の方が性能において優位であることに基づく。
【0044】
また、レーダー装置10やカメラセンサー20からの情報送信は、同じタイミングで同期して行われることが望ましい。このため、例えば、衝突予測用ECU30からリクエスト信号を送信し、これに対する応答信号としてレーダー装置10やカメラセンサー20からの情報が送信されるものとしてもよい。別の手法として、レーダー装置10やカメラセンサー20からは特有の周期で随時情報が送信されており、衝突予測用ECU30において、所定周期毎に直近で入力された情報を採用するものとしてもよい。
【0045】
以下、図3の機能ブロックに戻って説明する。レーダー装置10、及びカメラセンサー20から情報を受信すると、信頼度算定部32は、仮信頼度Rtmpを算定する。仮信頼度Rtmpは、例えば、前述した如く、カメラセンサー20により検出された物体の方位の範囲に、レーダー装置10により検出された物体の方位が収まっていれば、80[%]等の値が算定され、カメラセンサー20により検出された物体の方位の範囲からレーダー装置10により検出された物体の方位が1度外れる毎に、0コンマ数[%]〜数[%]ずつ減少させて算定される。
【0046】
そして、最終的な信頼度Rfsnを、Rfrd、Rscm、Rtmpの最小値をとることにより算定する。こうすることにより、単にレーダー装置10又はカメラセンサー20おける物体の方位に関する信頼度を用いる場合に比して、より精度の高い信頼度を出力することができる。なお、レーダー装置10とカメラセンサー20の出力する距離及び方位が異なる場合は、より高い信頼度を送信した方の情報を採用する等の手法により、情報を取捨すればよい。
【0047】
最終的な信頼度Rfsnを算定すると、これを物体の距離、方位、及び相対速度と共に、衝突予測部34に出力する。衝突予測部34では、予めROM等に記憶された衝突予測用マップを用いて衝突が不可避であるか否かを判定する。この判定に際して、物体の方位に関する最終的な信頼度Rfsnが用いられる。
【0048】
具体的には、信頼度Rfsnが比較的高い値のときには、衝突が不可避であることの判定基準(閾値)を比較的緩やかにし、より積極的に衝突が不可避であることを判定する。この判定基準は、信頼度Rfsnに相反して連続的に変化する関数値であってもよいし、段階的に変化する値であってもよい。こうすることにより、前述した衝突に備えた制御をより積極的に行なうことができ、安全運転に寄与することができる。一方、信頼度Rfsnが低い値のときには、衝突が不可避であることの判定基準(閾値)を比較的厳しくし、衝突が不可避と判定されにくくする。これは、信頼度Rfsnが低い値のときには誤検出が発生しやすく、誤検出の度に衝突に備えた制御を行なうと、運転者に煩わしさを感じさせると共に、装置に負担をかけることとなるからである。
【0049】
また、この衝突予測部34による衝突予測は、衝突不可避か否かを択一的に判定するものに限られず、例えば衝突可能性をパーセント表示で算定するものとしてもよい。この場合、例えば車両のシートベルトやブレーキ、エアバッグ毎に異なる作動のための閾値を設けて、時間差で作動を行なうことが可能となる。
【0050】
なお、以上例示した80[%]、40[%]、0[%]といった数値は、これ自体に格別の意味が存在する性格のものではなく、如何様にも変更可能であることはいうまでもない。
【0051】
このように、本発明の一実施例に係る衝突予測装置1では、レーダー装置10や、カメラセンサー20が検出する物体の方位に関する信頼度Rfrd、Rscmを夫々算定するから、これらのセンサー装置において、外部環境に応じて検出の信頼度が変化することを反映させることができる。また、信頼度Rfrd、Rscmに基づいて最終的な信頼度Rfsnを算定するから、単に信頼度RfrdやRscmを用いる場合に比して、より精度の高い信頼度を出力することができる。そして、この最終的な信頼度Rfsnを用いて衝突予測を行なうから、より精度の高い衝突予測を行なって安全運転に寄与すると共に、誤作動を抑制することができる。
【0052】
なお、衝突予測装置1のうち、レーダー装置10、カメラセンサー20、及び信頼度算定部32が、特許請求の範囲における物体検出装置を構成する。
【実施例2】
【0053】
以下、図5を用いて、本発明に係る物体検出装置を利用した、車両制御装置の一実施例について説明する。図5は、本発明の第2実施例に係る車両制御装置2の全体構成の一例を示す図である。図示する如く、車両制御装置2、主要な構成として、レーダー装置10と、カメラセンサー20と、クルーズコントロール用電子制御ユニット(以下、クルーズコントロール用ECUと称する)40と、を備える。
【0054】
レーダー装置10、及びカメラセンサー20については、第1実施例に係る衝突予測装置1と同様の構成及び機能を有するため、説明を省略する。
【0055】
クルーズコントロール用ECU40は、例えば、CPUを中心とするコンピューターであり、ROMやRAM等の記憶手段を備える。クルーズコントロール用ECU40は、主要な機能ブロックとして、信頼度算定部42と、クルーズコントロール部44と、を備える。
【0056】
信頼度算定部42については、第1実施例に係る信頼度算定部32と同様の機能を有する。すなわち、レーダー装置10やカメラセンサー20との協働により最終的な信頼度Rfsnを算定し、これを物体(先行車両)の距離、方位、及び相対速度と共に、クルーズコントロール部44に出力する。
【0057】
クルーズコントロール部44は、ブレーキECUやエンジンECUへの指示により、先行車両が存在するときには先行車両に対して設定車間距離が維持されるように、運転者のブレーキ操作やアクセル操作とは独立した制動力や駆動力(以下、補助制駆動力と称する)を出力して、自車両の車速を制御する車間距離制御を実行すると共に、自車両の車速を設定車速に維持する定速走行制御を実行する。この車間距離制御や定速走行制御の基本的な制御手法については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【0058】
本実施例では、クルーズコントロール部44は、先行車両の距離、方位、及び相対速度に加え、方位に関する信頼度Rfsnを加味して車間距離制御を行なう。具体的には、信頼度Rfsnが比較的低いときには、基本的な車間距離制御において計算された補助制駆動力よりも出力ゲインが低くなるように補助制駆動力を再計算し、ブレーキECUやエンジンECUに指示信号を送信する。すなわち、誤検出の可能性が高いときには、補助制駆動力の出力をより緩やかなものにするのである。これにより、誤検出の度に補助制駆動力が出力され、運転者に煩わしさを感じさせたり、装置に負担をかけたりすることを、抑制することができる。
【0059】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0060】
例えば、ミリ波レーダー装置及びカメラセンサーを用いて物体を検出することを例示したが、これに限られず、如何なる検出装置を組み合わせてもよい。例えば、レーザーレーダー装置を用いてもよい。この場合、信頼度の低下を招きうる外部環境に関する所定条件は、例えば、(1)雨天又は降雪時、(2)路面上等にリフレクターが所定個数以上存在する、のいずれかを満たすこととすればよい。
【0061】
また、3種類以上のセンサー装置を組み合わせて物体を検出する装置にも、適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、少なくとも物体を検出する装置に利用できる。車両に搭載された場合、搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例に係る衝突予測装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】距離、方位、及び相対速度の位置関係を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る衝突予測装置1が実行する特徴的な処理の流れを示すブロック図である。
【図4】レーダー装置10やカメラセンサー20が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る車両制御装置2の全体構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 衝突予測装置
2 車両制御装置
10 レーダー装置
20 カメラセンサー
22A、22B カメラ
24 画像処理装置
30 衝突予測用電子制御ユニット
32、42 信頼度算定部
34 衝突予測部
40 クルーズコントロール用電子制御ユニット
44 クルーズコントロール部

【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦


【公開番号】 特開2008−8679(P2008−8679A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177119(P2006−177119)