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【発明の名称】 方位角検出装置
【発明者】 【氏名】加藤 健太郎

【氏名】佐々木 潤

【氏名】村上 泰

【要約】 【課題】方位角検出において方位角に含まれる誤差をなくす。

【構成】信号検出部において信号到来方位角検出時のパラメータである周波数と位相差を検出し、周波数と位相差と信号到来方位とが登録されている位相差テーブルと信号検出部の出力である周波数と位相差を照合し、信号到来方位を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信データを第1のビームと第2のビームとに変換するスプリットビーム生成部と、
前記第1のビームと前記第2のビームとから位相差を検出する位相差検出部と、
前記第1のビームと前記第2のビームとの和ビームから周波数を検出する周波数検出部と、
前記位相差検出部が検出した位相差と、前記周波数検出部が検出した周波数とをキーに、位相差テーブルを参照して、方位角を送出する方位検出部と、
からなる方位角検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の方位角検出装置であって、
前記位相差テーブルは、予め計算された周波数と位相差と信号到来方位とから構成されていることを特徴とする方位角検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、受信信号の方位角を検出する方位角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソーナーにおける信号到来方位角検出は、特許文献1に示されるように、2本の平行な待ち受けビーム(スプリットビーム)による受信信号を使用する。方位角は、スプリットビーム相関後の複素信号から位相差を求め、この位相差と周波数、音速およびビーム間距離から求められる。
【0003】
背景技術の方位角検出装置を図6に示す。図6において、位相差検出部101は、複素信号の実数部Reと虚数部Imより位相差φを求める。方位角検出部104は、位相差φを方位角θに変換する。
【0004】
【数1】


【0005】
【数2】


この方位角検出装置は、スプリットビーム受信信号より、式1にて位相差検出部で受信信号の位相差φを求める。この位相差φ、信号周波数f、音速c、ビーム間距離dより受信信号の到来方位角θを、式2により求めている。
【0006】
検出される方位角に含まれる誤差を補正するため、方位角検出計算に使用するパラメータである信号周波数と音速に付いては、ドップラー効果による周波数変移および環境温度変化による音速変化が考慮されているが、ビーム間距離に付いてはビームを生成するエレメント間隔などに起因する誤差を含んでいるにもかかわらず、固定値dを使用しているため、方位角に誤差が生じる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−347538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6の方位角検出装置では、方位角検出時の計算パラメータであるビーム間距離を固定値としているため、出力である方位角にビーム間距離に起因する誤差を含んでいた。このため、ビームのカバーする範囲を限定することなどで誤差を許容できる値に低減していた。
【0009】
しかしながら、上記の方位角検出装置では広範囲を同時にカバーするソーナーを設計する場合に、ビーム本数を増加させる必要がある。ビーム本数を増加すると、それに比例して処理負荷が増大するため、方位角検出に逆三角関数を用いる方位角検出装置では、ハードウェア規模の増大を招く。このため、ハードウェア規模を増大させずにリアルタイムで信号方位検出を実施するためには、広いカバー範囲のビームを生成し、検出方位角に含まれる誤差を低減する必要がある。
【0010】
本発明は上記課題の解決手段として考案されたものであり、信号到来方位検出において、検出方位角に含まれる誤差をなくすことができる方位角検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題は、受信データを第1のビームと第2のビームとに変換するスプリットビーム生成部と、第1のビームと第2のビームとから位相差を検出する位相差検出部と、第1のビームと第2のビームとの和ビームから周波数を検出する周波数検出部と、位相差検出部が検出した位相差と、周波数検出部が検出した周波数とをキーに、位相差テーブルを参照して、方位角を送出する方位検出部と、からなる方位角検出装置により、解決できる。
【0012】
位相差テーブルの生成は、信号到来方位と周波数を、必要とする精度でビーム間距離を固定としたシミュレーションに入力し、位相差を導出することで実施される。信号到来方位および周波数の計算分解能を細かくすることで、方位角誤差を減少させる。
【0013】
上記構成からなる本発明の方位角検出装置によれば、周波数と位相差の異なる受信信号の到来方位は理論的に決まる。したがって、信号検出部で検出した周波数と位相差に基づき位相差テーブルを使用して方位角検出を行えば、方位角に誤差を含まない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方位角検出装置は、パッシブソーナーの信号到来方位検出において、検出方位角に含まれる誤差をほぼなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態に付いて、実施例を用い図面を参照して説明する。ここで、図1は方位角検出装置のブロック図である。図2は方位角検出装置の動作を示すフローチャートである。図3は位相差テーブルを説明する図である。図4は逆三角関数演算による検出信号到来方位と検出方位角に含まれる誤差との関係を説明する図である。図5は位相差テーブルによる検出信号到来方位と方位誤差の関係を説明する図である。
【0016】
図1において、方位角検出装置10は、スプリットビーム生成部7、信号検出部3、方位検出部とから構成されている。スプリットビーム生成部7は、受信データの整相処理と帯域制限を行い、左ビームと右ビームとを出力する。信号検出部3の位相差検出部1は、左ビームと右ビームとから位相差φを生成し、方位検出部6の方位角検出部4に送信する。信号検出部3の周波数検出部2は、左ビームと右ビームの和ビームをフーリエ変換して、最大ピークの周波数を方位核検出部4に送信する。
【0017】
方位角検出部4は、位相差検出部1から受信した位相差φ、周波数検出部2から受信した信号周波数fとをキーに位相差テーブル5を参照し、信号到来方位を求めて、方位角データとして、出力する。
【0018】
ここで、位相差テーブル5は、事前にビーム間距離dを使用し、任意の到来方位信号に対しての方位角計算を行い、そのときの周波数と位相差と信号到来方位とが一対となったテーブルである。信号検出部3で検出した周波数と位相差とを用いて、位相差テーブルの登録値と照合し、最も近い登録値(周波数、位相差)から信号到来方位を選択する。
【0019】
図2において、方位角検出装置は、まず、受信データから左右1本ずつのスプリットビームデータを生成する(S101)。方位角検出装置は、左右ビームのベクトル和を取りフルビームを生成する(S102)。信号検出部に、フーリエ変換を実施し、背景レベルに対し突出したレベルの周波数を検出する(S103)。信号検出部は、さらにその周波数における左右ビームの位相差を計算する(S104)。方位角検出部は、信号検出部が検出した周波数と位相差を用いて、位相差テーブルを参照し、該当する方位角を出力する(S105)。
【0020】
図3において、位相差テーブルは、周波数ごとに位相差φと信号到来方向θの関係を演算で求めたテーブルである。具体的には、周波数51ごとに位相差52に対応する信号到来方位53を記載している。
【0021】
図4および図5を用いて、上述した実施例の効果を説明する。図4および図5は、特定の周波数における信号到来方位と方位誤差との関係を示している。図4の演算により信号到来方向を求めた場合、信号到来方向15度から45度の間で−1度ないし+3度の誤差を有している。一方、図5の位相差テーブルによって信号到来方向を求めた場合、信号到来方向15度から45度の間で±20分以内の誤差である。これは、無視可能な誤差である。なお、左ビームと右ビームは、上ビームと下ビームであっても良い。
【0022】
上述したように、本実施例に拠れば、信号到来方向の誤差をほぼなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】方位角検出装置のブロック図である。
【図2】方位角検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】位相差テーブルを説明する図である。
【図4】逆三角関数演算による検出信号到来方位と検出方位角に含まれる誤差との関係を説明する図である。
【図5】位相差テーブルによる検出信号到来方位と方位誤差の関係を説明する図である。
【図6】背景技術の方位角検出装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1…位相差検出部、2…周波数検出部、3…信号検出部、4…方位角検出部、5…位相差テーブル、6…方位角検出部、7…スプリットビーム生成部、10…方位角検出装置。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人


【公開番号】 特開2008−8643(P2008−8643A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176422(P2006−176422)