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【発明の名称】 自律走行装置およびプログラム
【発明者】 【氏名】江口 修

【氏名】中谷 直史

【氏名】山浦 泉

【氏名】甲田 哲也

【氏名】黒山 和宏

【要約】 【課題】自律走行装置の装置本体が壁に沿って移動する際でも障害物が検知できるとともに検知遅れがないようにした自律走行装置を提供することを目的とする。

【構成】制御手段5は、送信手段4により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段6が設定する基準電圧を変更するようにしたものである。これによって、制御手段5は、送信手段4により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段6が設定する基準電圧を装置本体1の動作モード(壁沿い動作モード時とそれ以外の動作モード)に応じて設定を変更するので、装置本体1が壁に沿って移動する際でも壁際の障害物が検知できるとともに検知遅れがないものとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する送信側超音波センサおよび受信側超音波センサと、送信側超音波センサを駆動する送信手段と、受信側超音波センサの受信信号を増幅する増幅手段と、基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、基準電圧設定手段の設定した基準電圧と増幅手段とを比較する比較手段と、送信手段によって超音波の送信後の経過時間を計時する計時手段と、比較手段と計時手段の出力により装置本体と障害物との距離を認識する距離判定手段と、距離判定手段の出力を受けて送信手段と基準電圧設定手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更するようにした自律走行装置。
【請求項2】
送信手段により超音波を送信後、基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更する期間を設定可能な設定入力手段を設けた請求項1に記載の自律走行装置。
【請求項3】
装置本体の横方向の障害物との距離を測定する複数の測距手段を備え、制御手段は、測距手段による測定値により装置本体の横方向の障害物と平行になるように装置本体を回転させて位置調整した後、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に設定する請求項1または2に記載の自律走行装置。
【請求項4】
制御手段は装置本体の特定の動作モード時のみ、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に変更する請求項1〜3のいずれか1項に記載の自律走行装置。
【請求項5】
制御手段は送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に変更した際、所定の範囲内に基準電圧がない場合、変更を中止し予め設定された基準電圧とする請求項4に記載の自律走行装置。
【請求項6】
制御手段は送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に変更する際、設定された期間とは別の特定期間内における比較手段の出力により断線および故障を判定する請求項1〜5のいずれか1項に記載の自律走行装置。
【請求項7】
装置本体の左右に設けた受信側超音波センサと、左右の受信側超音波センサそれぞれの受信信号を増幅する複数の増幅手段と、左右の受信側超音波センサの基準電圧を設定する複数の基準電圧設定手段とを備え、制御手段は、送信手段により超音波を送信後、装置本体の片方に配置され予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を設定終了後、装置本体の他方側における基準電圧設定手段の基準電圧を同等の値に設定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の自律走行装置。
【請求項8】
装置本体の回転角度を検知する回転角検知手段を備え、一方の基準電圧設定手段の基準電圧を設定終了後、制御手段は回転角検知手段の出力により装置本体を180度反転させ、他方側の基準電圧設定手段の基準電圧を設定する請求項7に記載の自律走行装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の自律走行装置における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物を検知しその回避を行いながら走行する自律走行装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自律走行装置は、超音波を送受信する送信側超音波センサおよび受信側超音波センサを用いて障害物を検知することが多く行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−30173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、自律走行装置の装置本体が壁に沿って移動する際、超音波センサは動作中に壁の一部を検知してしまうため、超音波センサの検知範囲を狭めるなどの対策を必要とし、その結果、壁に突起などの障害物がある場合、これを検知することができない、または検知が遅れるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するのもので、自律走行装置の装置本体が壁に沿って移動する際でも障害物が検知できるとともに検知遅れがないようにした自律走行装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の自律走行装置およびプログラムは、超音波を送受信する送信側超音波センサおよび受信側超音波センサと、送信側超音波センサを駆動する送信手段と、受信側超音波センサの受信信号を増幅する増幅手段と、基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、基準電圧設定手段の設定した基準電圧と増幅手段とを比較する比較手段と、送信手段によって超音波の送信後の経過時間を計時する計時手段と、比較手段と計時手段の出力により装置本体と障害物との距離を認識する距離判定手段と、距離判定手段の出力を受けて送信手段と基準電圧設定手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更するようにしたものである。
【0006】
これによって、制御手段は、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を装置本体の動作モード(壁沿い動作モード時とそれ以外の動作モード)に応じて設定を変更するので、装置本体が壁に沿って移動する際でも壁際の障害物が検知できるとともに検知遅れがないものとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自律走行装置およびプログラムは、装置本体が壁に沿って移動する際でも壁際の障害物が検知できるとともに検知遅れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、超音波を送受信する送信側超音波センサおよび受信側超音波センサと、送信側超音波センサを駆動する送信手段と、受信側超音波センサの受信信号を増幅する増幅手段と、基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、基準電圧設定手段の設定した基準電圧と増幅手段とを比較する比較手段と、送信手段によって超音波の送信後の経過時間を計時する計時手段と、比較手段と計時手段の出力により装置本体と障害物との距離を認識する距離判定手段と、距離判定手段の出力を受けて送信手段と基準電圧設定手段とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更するようにした自律走行装置とするものである。これによって、制御手段は、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更するので、装置本体が壁に沿って移動する際でも壁際の障害物が検知できるとともに検知遅れがないものとなる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、送信手段により超音波を送信後、基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更する期間を設定可能な設定入力手段を設けたことにより、装置本体が壁に沿って移動する際、前方を監視する超音波センサで壁の一部を検知するのを防ぐ期間を設定でき、実際の環境に合わせた変更が可能になり、壁の突起などを検知することができ、または検知遅れを精度良く防ぐことができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、装置本体の横方向の障害物との距離を測定する複数の測距手段を備え、制御手段は、測距手段による測定値により装置本体の横方向の障害物と平行になるように装置本体を回転させて位置調整した後、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に設定することにより、装置本体を位置調整することで、実際の壁に沿って移動する状態と同じ状態にして、このときの前方を監視する超音波センサで壁の一部を検知する状態に応じて、制御手段が送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更できるので、装置本体が壁に沿って移動する際、前方を監視する超音波センサで壁の一部の検知を防ぎ、壁の突起などを検知することができ、または検知遅れを精度良く防ぐことができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、制御手段は装置本体の特定の動作モード時のみ、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に変更することにより、装置本体が壁に沿って移動する動作モードのみ、制御手段が送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を変更するので、装置本体が壁に沿って移動する時のみ、壁の突起などを検知することができ、または検知遅れを精度良く防ぐことができる。さらに装置本体が壁の存在しない場所を走行中では、送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧を変更しないので、通常の超音波センサの検知能力で障害物を検知することができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第4の発明において、制御手段は送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に変更した際、所定の範囲内に基準電圧がない場合、変更を中止し予め設定された基準電圧とすることにより、超音波センサや比較手段などの異常状態、または特殊な壁の状態により、誤った基準電圧の設定になり装置本体が正常に動作できない状態になること防ぐことができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、制御手段は送信手段により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を自動的に変更する際、設定された期間とは別の特定期間内における比較手段の出力により断線および故障を判定することにより、送信側および受信側超音波センサの配線の断線、およびセンサ、各手段の故障を判定することができる。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、装置本体の左右に設けた受信側超音波センサと、左右の受信側超音波センサそれぞれの受信信号を増幅する複数の増幅手段と、左右の受信側超音波センサの基準電圧を設定する複数の基準電圧設定手段とを備え、制御手段は、送信手段により超音波を送信後、装置本体の片方に配置され予め設定された期間の基準電圧設定手段が設定する基準電圧を設定終了後、装置本体の他方側における基準電圧設定手段の基準電圧を同等の値に設定することにより、複数ある基準電圧設定手段の基準電圧の設定を片方の設定終了後に、もう片方を自動的に同等の値で設定するので、複数の基準電圧設定手段における基準電圧の設定が迅速に行え、かつ、装置本体が壁に沿って移動する際、前方を監視する超音波センサで壁の一部の検知を防ぎ、壁の突起などを検知することができ、または検知遅れを精度良く防ぐことができる。
【0015】
第8の発明は、第7の発明において、装置本体の回転角度を検知する回転角検知手段を備え、一方の基準電圧設定手段の基準電圧を設定終了後、制御手段は回転角検知手段の出力により装置本体を180度反転させ、他方側の基準電圧設定手段の基準電圧を設定することにより、片方の設定終了後に、装置本体の向きを反転させ、もう片方の基準電圧設定手段の基準電圧設定が正確に行え、かつ、装置本体が壁に沿って移動する際、前方を監視する超音波センサで壁の一部の検知を防ぎ、壁の突起などを検知することができ、または検知遅れを精度良く防ぐことができる。
【0016】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、第1〜第8のいずれか1つの発明における自律走行装置の機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとすることにより、マイコンなどを用いて自律走行装置の少なくとも一部を容易に実現することができ、超音波センサの変更または経年変化などの特性の変化や動作を実現するための設定条件や定数の変更が柔軟に対応できる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布が簡単にできる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自律走行装置を示すものである。
【0019】
図に示すように、自律走行装置の装置本体1は、次の各手段2〜15を有している。
【0020】
すなわち、超音波を送信する送信側超音波センサ2と、障害物で反射した超音波の反射波を受信する受信側超音波センサ3と、送信側超音波センサ2を駆動する送信手段4と、受信側超音波センサ3の受信信号の増幅を行う増幅手段8と、基準電圧を設定する基準電圧設定手段6と、増幅手段8と基準電圧設定手段6の基準電圧とを比較する比較手段7と、送信手段4により送信側超音波センサ2から超音波を送信した後の時間経過を計時する計時手段9と、比較手段7と計時手段9の出力より障害物までの距離を算出する距離判定手段11と、駆動輪12を駆動し装置本体1を走行させる駆動手段10と、従輪13と、装置本体1の横方向の障害物との距離を測定する複数の測距手段14と、ジャイロセンサなどで構成される装置本体1の回転角度を検知する回転角検知手段15とを有している。なお、制御手段5は距離判定手段11の出力を受け、前記送信手段4、基準電圧設定手段6、駆動手段10を制御するものである。
【0021】
また、基準電圧設定手段6は、実際には電子ボリューム(またはデジタル・ポテンショメータ、さらには抵抗ラダー)と抵抗による分圧で基準電圧を発生する。電子ボリュームなどを用いることにより基準電圧を制御手段5により任意に変更できる。
【0022】
図2(a)は、超音波を送受信する送信側および受信側超音波センサ2、3と、測距手段14との関係構成を示している。受信側超音波センサ2は装置本体1の前面左右に配置した複数の受信側超音波センサ2a、2bよりなり、障害物で反射した超音波の反射波を受信する受信側超音波センサ3は装置本体1の前面中央と左右に配置した複数の受信側超音波センサ3a、3b、3cよりなる。受信側超音波センサ3a、3b、3cの検知範囲をそれぞれ検知角θl、θc、θrで示す。また、測距手段14は装置本体1の一方の側面に配置した超音波センサまたは赤外線センサなどの測距手段14a、14bよりなる。
【0023】
ここで、図2(b)により、装置本体1がその右側に存在する壁に沿って移動する場合について説明する。
【0024】
この場合、右の受信側超音波センサ3cが検知範囲θrの範囲内にある壁の一部(検知場所A)を検知してしまう。そしてこの検知場所Aは検知範囲θr内に存在する壁であるので、装置本体1が壁と一定距離(距離d)を保ち進むと、装置本体1の進行に応じて検知場所Aも移動する。さらにこの検知場所Aは壁の装置本体1と、ほぼ一定の距離(距離e)にある部分となる。つまり、このように壁に沿って移動する場合、制御手段5は常に距離eに物が存在すると認識しながら移動することとなる。このように、壁に沿って動作中に壁の一部を検知してしまうため、前方を監視する超音波センサの検知範囲を狭めたり、検知距離が距離eより短くなるまで回避または停止の動作を行わせないとしたりする対策が必要となる。この場合、図2(b)の障害物Bのように装置本体1の受信側超音波センサ3cの検知範囲θr内に有っても、その検知は障害物Bが距離eより近くなるまで検知できず、検知した時にはその回避のための距離が短く、回避動作が困難で衝突することもある。つまり、壁に沿って動作中に壁の一部を検知してしまうため、前方を監視する超音波センサの検知範囲を狭めるなどの対策を必要とし、その結果、背景技術で説明したことと同様、壁から突起した障害物Bなどを検知できない、または検知が遅れるというとが生じる。
【0025】
そこで、本実施の形態では、制御手段5は、送信手段4により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段6が設定する基準電圧を装置本体1の動作モード(壁沿い動作モード時とそれ以外の動作モード)に応じて設定を変更することで、装置本体1が壁に沿って移動する際でも壁際の障害物Bが検知できるとともに検知遅れがないようにしている。
【0026】
次に、本実施の形態における自律走行装置について、図3に基づき、その動作、作用を説明する。
【0027】
装置本体1を起動後、最初に、入力手段(図示せず)により装置本体1に入力された動作モードの判断を行う。この自律走行装置は装置本体1の右あるいは左側面方向に検知された壁に沿って移動する壁沿いモードと、前方に障害物を所定距離以内(例えば10cm)に検知するまで直進し、検知後に180度ターン動作を行って往復運動を行う内部移動モードの2つの動作モードで動作する。さらに、自律走行装置は装置本体1の壁沿い動作時の超音波センサの検知感度に影響する基準電圧設定手段6の基準電圧の設定を行うモードも持つ。入力手段により基準電圧の設定モードを選択されると(Step1)、制御手段5は装置本体1の右側に壁が存在するか否かを測距手段14により検知し(Step2)、存在しなければ前進する(Step3)。装置本体1前方に障害物を検知すると(Step4)、制御手段5は装置本体1の前進を停止し左90度回転を行う。なお、ここまでの動作では基準電圧設定手段6の基準電圧はデフォルトの設定であり、受信側超音波センサ3の検知感度は最適では無いが必要最小限度の設定である。
【0028】
Step2に戻り、装置本体1の前方にあった障害物(壁)は装置本体1の右側で検知されるので、測距手段14a、14bで距離を測定し前後の距離差を判定し前側が遠ければ(Step6)、壁と平行になるように装置本体1を右回転し(Step9)、再度、前後の距離を判断する(Step6)。同様に後ろ側が遠ければ(Step7)、壁と平行になるように装置本体1を左回転し(Step9)、再度、前後の距離を判断する(Step6)。このような動作を数回繰り返すことで、最終的に前後の距離測定値が同じになり装置本体1は右側に存在する壁と平行になる。壁と平行になると制御手段5は基準電圧設定手段6の基準電圧の設定動作を行う。
【0029】
次に、基準電圧設定手段6の基準電圧の設定動作を、図4、図5を用いて説明する。
【0030】
基準電圧設定手段6の基準電圧の設定動作では、図4に示すように、まず基準電圧を最小に設定して(Step11)超音波を送信する(Step12)。その後、予め設定された第1の所定時間(例えば200μsの直接波が存在する送信後の短い期間)を経過するまで待ち(Step13)、基準比較手段(図示せず)により受信波が基準電圧を超えたかどうか判定する(Step14)。受信波が基準電圧を超えていなければ、センサの断線、および故障と判定し、この旨を報知する異常報知動作へ移行する(Step16)。なお、本実施の形態では、異常報知動作の詳細は無関係であるので、説明は省略する。基準電圧を超えていれば第2の所定時間(例えば800μs)を経過するまで待ち(Step15)、基準比較手段により受信波が基準電圧を超えたかどうか判定する(Step17)。基準電圧を超えていれば基準電圧を増加させ(Step18)、再度、第3の所定時間(Step13、17とは異なる時間、例えば9.8ms)が経過するまで待ち(Step19)、超音波を送信する(Step12)。
【0031】
つまり、超音波を送信後、200μs、800μs経過した時点で、基準電圧と受信波の大小比較を行い、これを9.8ms毎に繰り返す。この一連の動作を基準比較手段により受信波が基準電圧を超えなくなるまで繰り返す。そして基準比較手段により受信波が基準電圧を超えなくなると、その時の基準電圧が予め設定された所定の電圧範囲内か判定し(Step20)、所定の電圧範囲外であれば予め設定された基準電圧値を記憶し(Step22)、逆に所定の電圧範囲内であれば、その基準電圧を記憶する(Step21)。そして、この記憶した基準電圧を基に超音波を送信以降の基準電圧の変更内容を決定する(Step23)。
【0032】
図5を用いてこの動作を詳しく説明する。なお、図において受信波形に山が2つ有るのは送信後、最初の低い方が直接波で、2つ目が壁の一部で反射した反射波である。
【0033】
図5の基準電圧に示すように、図4のStep11で設定した最小の基準電圧が図5のTh0であり、ここからStep18により最初に基準電圧を上げた時の基準電圧がTh01である。
【0034】
この基準電圧が受信波を越えない限り、基準電圧は図4のStep12〜Step19までの動作により毎回増加していき、図5の基準電圧Thn−1まで増加される。
【0035】
そして、基準電圧Thnに設定後、図4のStep14の動作で基準比較手段により受信波(壁の一部で反射した反射波)が基準電圧を超えたかどうか判定すると、図5にように判定しなくなる(基準電圧がTh0からThn−1までは反転する)。
【0036】
この基準比較手段の出力が反転しなくなった時の基準電圧Thnを基準電圧設定手段6は記憶する。そして、このピーク電圧と図5に示す予め設定された期間の検知時間(Tst)により通常動作時の基準電圧を以下のように決定する。
【0037】
まず、超音波を送信後、基準電圧設定時間Tstまでは基準電圧をピーク電圧Thnとし、基準電圧設定時間Tst以降は経過時間に応じて一定の減衰となるように基準電圧を設定する(例えば基準電圧V、ピーク電圧Vp、時間tとするとV=Vp・exp(−t/0.5)+所定電圧Vofst)。このように設定された基準電圧は図5の基準電圧Aに示すように時間とともに減衰するものとなる。そして基準電圧設定手段6は装置本体1の右側に壁が存在しない状況で用いるための基準電圧も、基準電圧Aの設定動作の結果を基に別途基準電圧を決定する。これは制御手段5により超音波を送信後、直接波を検知しないように定められた所定の電圧(例えば図5の電圧ThD)と基準電圧Aを比較し、基準電圧Aが高い期間は電圧ThDに設定し、基準電圧Aが電圧ThDより低い期間は基準電圧Aと同じ電圧設定とする(この基準電圧を基準電圧Bとする)。このように決定した基準電圧を制御手段5が装置本体1の動作モードを判断し、壁沿い動作モードでは基準電圧設定手段6に基準電圧Aを設定させ、壁の一部の検知による影響を防ぎ、壁沿い動作モード以外の内部移動モードでは基準電圧Bを設定させ、障害物の検知能力を高める。
【0038】
基準電圧Aの設定動作を終了後、制御手段5は回転角検知手段15を検知角に基づき装置本体1を180度反転させる。これにより装置本体1は壁に平行のままで、左側の受信側超音波センサ3aで壁を検知することになる。この状態で上記の基準電圧設定手段6による基準電圧設定動作を再度実行することで、左側の受信側超音波センサ3aの基準電圧を設定することができる。
【0039】
以上のように、左右の受信側超音波センサ3a、3cの基準電圧設定手段6の基準電圧設定動作が終了すると、制御手段5はその旨を報知手段(図示せず)などにより報知し、使用者からの入力手段による新たな動作モードの入力を待つ。そして、図6の動作フローのStep31で最初に壁沿いモードか否かの動作モードの判定を行い、入力手段により入力設定された動作モードが壁沿いモードであれば基準電圧設定手段6により基準電圧Aを基準電圧に設定し(Step32)、壁沿い動作処理を実行する(Step33)。また、動作モードの判定で内部移動モードであれば(Step34)、基準電圧設定手段6により基準電圧Bを基準電圧に設定し(Step35)、内部移動動作処理を実行する(Step36)。動作モードの判定で壁沿いモード、内部移動モード以外のモードでは他のモード判定へ進む。他のモードについての説明は省略する。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段5が送信手段2により超音波を送信後、予め設定された期間の基準電圧設定手段6が設定する基準電圧を装置本体1の動作モード(壁沿い動作モード時とそれ以外の動作モード)に応じて設定を変更するので、障害物の検知に障害となる壁の一部を検知せず、それにより壁際の突起や障害物の検知遅れによる衝突を防ぐことができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、制御手段5が回転角検知手段15の検知角に基づき装置本体1を180度反転させて、装置本体1右側の受信側超音波センサ3c用の基準電圧を設定後に、装置本体1左側の受信側超音波センサ3a用の基準電圧を設定するとしたが、これに限定されるものではなく回転角検知手段15を用いずに右側の受信側超音波センサ3c用の基準電圧と同じ値を装置本体1左側の受信側超音波センサ3a用の基準電圧に設定するか、もしくは装置本体1が180度反転するように駆動輪12をそれぞれ逆方向に両駆動輪12の幅より求まる距離だけ回転させて、装置本体1右側の受信側超音波センサ3c用の基準電圧を設定後に、装置本体1左側の受信側超音波センサ3a用の基準電圧を設定するようにしても、設定動作自体に何ら影響なく同じ効果を期待できるものである。
【0042】
(実施の形態2)
図7〜図9は、本発明の実施の形態2における自律走行装置を示したものである。自律走行装置の全体構成は実施の形態1と同じであるのでその説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、本実施の形態における自律走行装置は、基準電圧設定手段6が設定する基準電圧を変更する期間を設定可能な設定入力手段16が設けたものである。設定入力手段16は、基準電圧設定手段6が設定する基準電圧を変更する期間を段階的(例えば、長、中、短の3段階)に設定するものである。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0044】
図8に示すように、本実施の形態における自律走行装置は、起動後、最初に、設定入力手段16により設定された基準電圧の変更期間の判断を行う(Step41、Step42)。設定入力手段16により設定された内容が変更期間長であれば、図9に示すように、基準電圧を変更する期間を標準より長い基準電圧設定期間Tst2に設定する(Step43)。その結果、基準電圧設定手段6が設定する基準電圧は図9の基準電圧A2となる。そして、設定入力手段16により設定された内容が変更期間中であれば、図9に示すように、基準電圧を変更する期間を標準の基準電圧設定期間Tstに設定する(Step44)。従って基準電圧設定手段6が設定する基準電圧は、図9の基準電圧Aとなる。同様に設定入力手段16により設定された内容が変更期間短であれば、基準電圧を変更する期間を標準より短い基準電圧設定期間に設定され(Step45)、基準電圧設定手段6が設定する基準電圧は基準電圧Aより早く時間とともに減衰するものとなる。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、設定入力手段16により基準電圧設定手段6が基準電圧を変更する期間を設定できるので、送信および受信側超音波センサの特性のバラツキおよび特性変化や壁の表面状態の差による壁の検知状態の違いを調整することができ、より確実に壁の一部を検知することによる壁際の突起や障害物の検知遅れで障害物に衝突することを防ぐことができる。
【0046】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における自走式掃除機のプログラムについて説明する。
【0047】
本実施の形態では、実施の形態1、2における自走式掃除機における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとした。すなわち、コンピュータを各手段の全てもしくは一部として機能させるためのプログラムとする構成として、コンピュータを全てもしくは一部として機能させるものである。
【0048】
なお、各手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したり、インターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることで、新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0049】
以上のように、本実施の形態においては、汎用コンピュータやサーバーを用いて本発明の自走式掃除機の全てもしくは一部を容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる自律走行装置およびプログラムは、装置本体が壁に沿って移動する際でも壁際の障害物が検知できるとともに検知遅れがないので、監視用、掃除用その他各種のロボットとして適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1における自律走行装置の構成を示すブロック図
【図2】(a)同自律走行装置の送受信側超音波センサと測距手段の関係を示した説明図(b)同自律走行装置の動作説明図
【図3】同自律走行装置の基準電圧設定モードにおける装置本体動作のフロチャート
【図4】同自律走行装置の基準電圧設定動作のフロチャート
【図5】同自律走行装置の基準電圧決定動作のフロチャート
【図6】同自律走行装置の動作モード判定のフロチャート
【図7】本発明の実施の形態2における自律走行装置の構成を示すブロック図
【図8】同自律走行装置の装置本体動作のフロチャート
【図9】同自律走行装置の基準電圧の説明図
【符号の説明】
【0052】
1 装置本体
2 送信側超音波センサ
3 受信側超音波センサ
4 送信手段
5 制御手段
6 基準電圧設定手段
7 比較手段
8 増幅手段
9 計時手段
10 駆動手段
11 距離判定手段
14 測距手段
15 回転角検知手段
16 設定入力手段
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−3021(P2008−3021A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174813(P2006−174813)