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【発明の名称】 物体識別装置および物体識別方法
【発明者】 【氏名】沖 孝彦

【要約】 【課題】物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度に基づいて物体を検出して識別する物体識別装置において、環境変化や経時劣化により受信素子の感度特性が変化した場合でも精度高く物体識別を行うことが可能な物体識別装置を提供する。

【構成】物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度を検出する複数の受信素子130と、受信素子130の出力信号に基づき放射強度画像を生成する放射強度画像生成部150と、放射強度画像に基づき検出した物体の位置と形状および放射強度とに基づき物体の識別を行う物体識別部200と、受信素子130に対し電波領域において電磁波を放射する放射部160と、受信素子130の出力信号が所定値以下である場合に放射部160から電磁波を放射し、受信素子130の出力信号に基づき受信素子130の感度特性が均一であるように出力信号の補正を行う出力補正部140とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度を検出する複数の受信素子を備えた放射強度検出部と、
前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の各出力信号に基づいて前記放射強度の分布を表す放射強度画像を生成する放射強度画像生成部と、
前記放射強度画像生成部が生成する前記放射強度画像に基づいて前記物体の位置と前記物体の形状とを検出し、前記物体から放射される前記電磁波の前記放射強度と前記物体の前記位置と前記物体の前記形状とに基づいて前記物体の識別を行う物体識別部と、
前記放射強度検出部に対し前記電波領域において電磁波を放射する放射部と、
前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の前記出力信号が所定値以下である場合に、前記放射部から前記電磁波を放射し、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の前記出力信号に基づいて前記複数の受信素子の感度特性が均一であるように該複数の受信素子の各出力信号の補正を行う出力補正部と、
を備えたことを特徴とする物体識別装置。
【請求項2】
前記出力補正部は、前記放射部から複数の強度の電磁波を放射し、各強度において前記複数の受信素子の各出力信号の値が等しくなるように前記出力信号の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の物体識別装置。
【請求項3】
前記出力補正部は、前記複数の受信素子に所定の強度の前記電磁波を均一に放射した場合の前記複数の受信素子の各出力信号と、前記放射部から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信素子の各出力信号とに基づいて、前記放射部から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信素子の各出力信号の値が等しくなるように前記出力信号の補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の物体識別装置。
【請求項4】
前記放射部が、所定の周波数帯域の電磁波を吸収する電波吸収体と、該電波吸収体の温度を計測する温度計測部と、該温度計測部が計測した前記電波吸収体の前記温度に基づいて前記電波吸収体の温度を調整する温度調整部とを備え、前記電波吸収体が前記温度調整部で調整した温度に基づいて前記所定の周波数帯域外の前記電波領域において前記電磁波を放射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の物体識別装置。
【請求項5】
物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度を複数の受信箇所で検出するステップと、
前記複数の受信箇所の各出力に基づいて前記放射強度の分布を表す放射強度画像を生成するステップと、
前記放射強度画像に基づいて前記物体の位置と前記物体の形状とを検出し、前記物体から放射される前記電磁波の前記放射強度と前記物体の前記位置と前記物体の前記形状とに基づいて前記物体の識別を行うステップと、
前記複数の受信箇所に対し前記電波領域において電磁波を放射するステップと、
前記複数の受信箇所の前記出力が所定値以下である場合に前記電磁波を放射し、前記複数の受信箇所の前記出力に基づいて前記複数の受信箇所における感度特性が均一であるように該複数の受信箇所の各出力の補正を行うステップと、
を備えたことを特徴とする物体識別方法。
【請求項6】
複数の強度の電磁波を放射し、各強度において前記複数の受信箇所の各出力の値が等しくなるように前記出力の補正を行うことを特徴とする請求項5に記載の物体識別方法。
【請求項7】
前記出力補正部は、前記複数の受信箇所に所定の強度の前記電磁波を均一に放射した場合の前記複数の受信箇所の各出力と、所定の位置から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信箇所の各出力とに基づいて、前記所定の位置から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信箇所の各出力の値が等しくなるように前記出力の補正を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の物体識別方法。
【請求項8】
所定の周波数帯域の電磁波を吸収する電波吸収体の温度を調整し、該電波吸収体から前記所定の周波数帯域外の前記電波領域において前記電磁波を放射することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の物体識別方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、物体識別装置および物体識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の周囲に存在する車両や歩行者等を検出して運転者に警報を与えたり、それらの回避制御を行うために、自動車の周囲の物体を検出して識別する物体識別装置の開発がなされている。車両に搭載される物体識別装置としては、物体に対して送信した電磁波の反射量を測定して物体を検出するレーダ装置や、物体からの遠赤外線の放射強度を測定して物体を検出する遠赤外線カメラなどを用いるものがあり、車両を検出する場合はレーダ装置が用いられ、歩行者を検出する場合は遠赤外線カメラが用いられることが多い。
【0003】
レーダ装置は、電磁波を送信し、所定値以上の強度の反射信号を検出することで物体の存在を検出するとともに、電磁波の送受信の時間差に基づいて物体までの距離を検出する。遠赤外線カメラは、物体から放射される遠赤外線の放射強度を検出することで、例えば人の体温に近い物体を歩行者として検出する。
【0004】
ところで、これらの物体識別装置においては、装置の温度変化によって装置が備える受信素子の出力にオフセットが生じたり、経時劣化等により受信素子の受信感度が変化する場合がある。このような場合、各受信素子からの出力信号にばらつきが生じ、各受信素子からの出力信号により生成される受信画像が雑音の多いものとなり、精度の高い物体検出を行うことが難しくなるといった問題点がある。このため、較正信号を用いて受信素子の出力のオフセットを調整する手法が提案されている(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−336099
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような物体識別装置では、受信素子の出力のオフセットの調整はできるものの、受信素子の感度特性自体の変化に対する調整はできないため、経時劣化等により受信素子の感度特性が変化した場合に、物体からの電磁波の放射強度に基づいて精度の高い物体検出を行うことが難しい、という問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度を検出する複数の受信素子を備えた放射強度検出部と、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の各出力信号に基づいて前記放射強度の分布を表す放射強度画像を生成する放射強度画像生成部と、前記放射強度画像生成部が生成する前記放射強度画像に基づいて前記物体の位置と前記物体の形状とを検出し、前記物体から放射される前記電磁波の前記放射強度と前記物体の前記位置と前記物体の前記形状とに基づいて前記物体の識別を行う物体識別部と、前記放射強度検出部に対し前記電波領域において電磁波を放射する放射部と、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の前記出力信号が所定値以下である場合に、前記放射部から前記電磁波を放射し、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の前記出力信号に基づいて前記複数の受信素子の感度特性が均一であるように該複数の受信素子の各出力信号の補正を行う出力補正部と、
を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度に基づいて物体を検出して識別する物体識別装置において、電磁波の放射強度を検出する複数の受信素子の感度特性が均一であるように各受信素子の出力信号を補正することで、環境変化や経時劣化により受信素子の感度特性に変化が生じた場合でも精度高く物体識別を行うことが可能な物体識別装置を提案する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る物体識別装置10のブロック図である。図1に示すように、物体識別装置10は、電波イメージング部100と物体識別部200とを備えている。
【0010】
電波イメージング部100は、前方に存在する物体からの電磁波の放射を検出し、電波領域での放射強度画像を生成する部分である。
【0011】
図2に、電波イメージング部100のブロック図を示す。電波イメージング部100は、観測対象となる電磁波の電波領域を透過させる誘電体レンズ部110と、電磁波の電波領域での放射を検出する受信素子130をマトリックス状に配置した放射強度検出部120と、放射強度検出部120からの出力信号の補正を行う出力補正部140と、出力補正部140で補正された放射強度信号をマトリックス状に並べた放射強度画像を生成する放射強度画像生成部150と、放射強度検出部120に向けて受信素子130の出力信号の補正を行うための補正信号を放射する放射部160とから構成されている。
【0012】
物体識別部200は、電波イメージング部100が出力する放射強度画像から、物体の位置と形状を検出し、放射強度と合わせて物体の識別を行う部分である。
【0013】
図2は電波イメージング部100の動作イメージを説明する図である。前方にある物体から放射された電磁波が誘電体レンズ110で集められ、放射強度検出部120の複数の受信素子130で受信される。受信素子130は、図3に示すように、アンテナ部131と、検波部132と、増幅部133とから構成されている。受信素子130は検出する電磁波の波長に整合されたものとなっており、物体から放射される電磁波の中から所望の波長成分のみに応じた出力信号を出力するものである。受信素子130をマトリックス状に配置し、各受信素子から出力される出力信号を組み合わせることで、図4に示すような電磁波の放射強度画像を生成することができる。
【0014】
物体識別部200は、電波イメージング部100から出力される電磁波の放射強度画像から、放射強度ごとに空間領域を分割して、物体の位置、形状を検出し、検出した物体の位置および形状と放射強度とに基づいて、前方に存在する物体の識別を行い、識別結果を車両制御装置300に出力する。
【0015】
車両制御装置300は、受け取った物体の識別結果に応じて、例えば障害物回避等の制御を行うが、本発明とは別の内容となるため、説明は省略する。
【0016】
次に、物体からの電磁波の放射について述べる。
【0017】
一般に、ある温度の物体の表面からは、その温度に応じて定まった放射エネルギー(電磁波)を放射している。ここで、物体の放射率をε、ある温度の黒体から放射されるエネルギーをE0とすると、ある温度の物体から放射されるエネルギーEは、(数式1)で表される。
【0018】
E = ε × E0 (数式1)
黒体から放射されるエネルギーについては、プランクの放射則で算出できるが、物体の放射率は、物体の種類、表面状態および測定条件(温度、角度、波長)によって変化することが知られており、その物体が放射エネルギーを吸収する割合に等しい。物体の反射率と吸収(放射)率と透過率との間には次の関係が成立する。
【0019】
「反射率」+「吸収(放射)率」+「透過率」=1 (数式2)
このような物体から放射される電磁波の放射強度を検出する放射強度検出装置として、遠赤外線カメラや電波イメージング装置がある。特に車両用としては、雨や雪等の視界の悪い状況でも対応可能なように、電波領域の放射強度を検出する電波イメージング装置の検討がなされている。
【0020】
このような放射強度検出装置は、物体から放射される電磁波を検出する受動式であるため、電磁波を放射して物体の表面での電磁波の反射を検出するレーダ装置などに比べて物体の表面の性質や状態による影響が少なく、物体の位置、形状、放射強度から物体を識別することが可能である。受信素子の数を多くすれば、物体の形状をより高精細に検出することができ、物体の識別精度を向上することができるとともに、物体の識別可能な距離範囲を拡大することも可能である。
【0021】
ところで、多くの受信素子を使用して物体からの電磁波の放射強度を検出する場合、受信素子の温度が変化すると受信素子の出力信号にオフセットが発生しやすくなり、得られる放射強度画像は図5に示すような雑音を含んだものとなって、物体の識別が難しくなる。
【0022】
そのため、このような受動式の放射強度検出装置では、装置内の温度を測定して出力信号のオフセットを補正する方法や、装置内に温度変化の影響を排して所定の電圧を発生するチョッパー部を配置し、チョッパー部の温度を基準として出力信号の補正を行う方法が提案されている。
【0023】
しかしながら、このような方法では、受信素子の感度特性が変化せずに出力信号のオフセットのみが発生した場合には出力信号の補正が可能であるが、環境変化や経時劣化などによって感度特性自体が変化した場合には出力信号の補正を行うことができない。このため、精度の高い放射強度画像を得ることがでず、精度高く物体識別を行うことができない。
【0024】
本発明は、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度に基づいて物体を検出して識別する物体識別装置において、電磁波の放射強度を検出する複数の受信素子の感度特性が均一であるように各受信素子の出力信号を補正することで、環境変化や経時劣化により受信素子の感度特性に変化が生じた場合でも精度高く物体識別を行うことが可能な物体識別装置を提案する。
【0025】
図6に、受信素子130の前方に位置する物体からの電磁波の放射強度と、受信素子130の出力信号(出力値)との関係を表すグラフ例を示す。この例では、受信素子130は受信素子1〜受信素子3の3つあるものとし、電磁波の放射強度と受信素子130の出力値との関係を表す受信感度特性線は1次式で表される直線であるものとする。
【0026】
以下、各受信素子130ごとに異なる感度特性が均一であるように、各受信素子130の感度特性の補正を各受信素子130の出力値の補正の形で補正する方法について説明を行う。
【0027】
受信素子1、受信素子2、受信素子3のそれぞれの受信感度特性線を式で表すと、次のようになる。
【0028】
受信素子1の受信感度特性線は、
V1=α1×A+β1 (数式3)
受信素子2の受信感度特性線は、
V2=α2×A+β2 (数式4)
受信素子1の受信感度特性線は、
V3=α3×A+β3 (数式5)
ここで、V1、V2、V3は受信素子1、受信素子2、受信素子3のそれぞれの出力値、Aは受信素子1、受信素子2、受信素子3に放射される補正信号の放射強度、α1、α2、α3は受信素子1、受信素子2、受信素子3のそれぞれの受信感度特性線の傾き、β1、β2、β3は受信素子1、受信素子2、受信素子3のそれぞれの受信感度特性線とグラフの縦軸との交点の値である。
【0029】
ここで、受信素子1、受信素子2、受信素子3の感度特性が一致しているとすると、放射部160からの補正信号がない状態で、受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値が一致する。すなわち、放射強度A=0の場合に、V1=V2=V3が成立する。
【0030】
この条件を数式で表すと、
β1=β2=β3 (数式6)
実際には、受信感度特性線自体を変えることはできない(β1、β2、β3自体を変えることはできない)ため、出力値が等しくなるような条件の数式に変更する。
【0031】
(β1+Δβ1)=(β2+Δβ2)=(β3+Δβ3) (数式7)
ここで、Δβ1、Δβ2、Δβ3を受信感度特性線のオフセットと呼ぶ。
【0032】
受信感度特性線が直線である場合、まず放射部160から放射する補正信号の放射強度をA1とし、受信素子1、受信素子2、受信素子3の各出力値V1、V2、V3を計測する。次に、放射部160から放射する補正信号の放射強度をA1とは異なるA2とし、受信素子1、受信素子2、受信素子3の各出力値V1´、V2´、V3´を計測する(図6参照)。このとき、各受信感度特性線は次式のように表される。
【0033】
受信素子1の受信感度特性線は、
V1=α1×A1+β1 (数式8)
V1´=α1×A2+β1 (数式9)
受信素子2の受信感度特性線は、
V2=α2×A1+β2 (数式10)
V2´=α2×A2+β2 (数式11)
受信素子3の受信感度特性線は、
V3=α3×A1+β3 (数式12)
V3´=α3×A2+β3 (数式13)
以上の関係から、受信素子1、受信素子2、受信素子3の受信感度特性線の傾きα1、α2、α3が次式により求められる。
【0034】
受信素子1の受信感度特性線の傾きα1は、
α1=(V1’ −V1)/(A2−A1) (数式14)
受信素子2の受信感度特性線の傾きα2は、
α2=(V2’ −V2)/(A2−A1) (数式15)
受信素子3の受信感度特性線の傾きα3は、
α3=(V3’ −V3)/(A2−A1) (数式16)
このようにして算出した受信素子1、受信素子2、受信素子3の受信感度特性線の傾きα1、α2、α3が一致するように受信素子1、受信素子2、受信素子3の各受信感度特性線の傾きを補正することで、受信素子1、受信素子2、受信素子3の感度特性を均一にすることができる。この条件を数式で表すと、
α1=α2=α3 (数式17)
実際には、受信感度特性線自体を変えることはできない(α1、α2、α3自体を変えることはできない)ため、出力値が等しくなるような条件の数式に変更する。
【0035】
(k1×α1)=(k2×α2)=(k3×α3) (数式18)
ここで、k1、k2、k3を受信感度特性線の傾きの補正係数と呼ぶ。
【0036】
以上の処理により、受信素子1、受信素子2、受信素子3の感度特性が均一となるように補正を行った後の受信感度特性線は、次式で表される。
【0037】
受信素子1の受信感度特性線は、
VC1=(k1×α1)×A+(β1+Δβ1) (数式19)
受信素子2の受信感度特性線は、
VC2=(k2×α2)×A+(β2+Δβ2) (数式20)
受信素子3の受信感度特性線は、
VC3=(k3×α3)×A+(β3+Δβ3) (数式21)
ここで、VC1、VC2、VC3は感度特性補正後の受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値を表す。
【0038】
実際には、受信素子1、受信素子2、受信素子3の感度特性自体を補正することはできないため、以下のように受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値の補正を行う。
【0039】
感度特性補正前の受信素子1、受信素子2、受信素子3の受信感度特性線は、(数式3)、(数式4)、(数式5)で表される。一方、感度特性補正後の受信素子1、受信素子2、受信素子3の受信感度特性線は、(数式19)、(数式20)、(数式21)で表される。これらの数式から、次式が導かれる。
【0040】
VC1=k1×V1+(1−k1)×β1+Δβ1 (数式22)
VC2=k2×V2+(1−k2)×β2+Δβ2 (数式23)
VC3=k3×V3+(1−k3)×β3+Δβ3 (数式24)
ここで、k1〜k3、β1〜β3、Δβ1〜Δβ3はそれぞれ(数式18)、(数式7)を条件として設定することができるため、受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値V1、V2、V3をそれぞれ(数式22)、(数式23)、(数式24)に代入することにより、感度特性補正後の受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値を得ることができる。
【0041】
なお、以上説明した受信素子130の出力値の補正は、出力補正部140で実施される。
【0042】
以上の処理により、受信素子1、受信素子2、受信素子3の感度特性が均一であるように設定ができ、放射強度画像生成部150からの出力画像を、ばらつきの少ない放射強度画像とすることができる。
【0043】
なお、受信素子130の受信感度特性線が二次式以上である場合は、放射部160で放射する電磁波を三角波や正弦波のような連続した振幅変動を有するものとし、連続した振幅変動に伴う受信素子の出力値の変動から放射強度と出力値との関係を表す数式を算出して用いることで、前述した一次式の場合と同様に受信素子130の感度特性の補正を出力値の補正として行うことができる。
【0044】
図7に本実施形態における受信素子130の感度特性補正動作のフローチャートを示す。受信素子130の感度特性補正動作は、出力補正部140に外部からトリガ信号が与えられた際に行われるものとする。このトリガ信号としては、例えばイグニッションスイッチ(図示省略)のオン信号などを用いることができる。
【0045】
ステップS100では、前方にある物体からの電磁波の放射強度を電波イメージング部100で検出し、放射強度画像生成部150により放射強度画像を生成する。この後に、フローはステップS110に移行する。
【0046】
ステップS110では、ステップS100で得られた放射強度画像のすべての領域における放射強度が、放射部160から出力される補正信号の放射強度より十分低い値であるかどうかの判定が行われる。この判定により、周囲の物体による放射強度の影響が極力少ない状態にある場合にのみ、受信素子130の感度特性の補正が行われる。放射強度画像のすべての領域における放射強度が、放射部160から出力される補正信号の放射強度より十分低い値であると判定された場合は、フローはステップS120へ移行する。一方、放射強度画像のある領域における放射強度が、放射部160から出力される補正信号の放射強度より高い場合は、受信素子130の感度特性の補正が難しいため、フローはステップS180へ移行する。
【0047】
ステップS120では、放射部160から放射強度検出部120に向けて補正信号を放射し、放射強度検出部120の各受信素子130から出力される出力値に基づいて放射強度画像生成部150により放射強度画像が生成される。なお、このステップでは、出力補正部140による受信素子130の出力値の補正は行われない。この後に、フローはステップS130に移行する。
【0048】
ステップS130では、補正信号の放射強度とそれに対応する各受信素子の出力値から各受信素子の受信感度特性線のオフセットと傾きの補正係数を算出する。この後に、フローはステップS140に移行する。
【0049】
ステップS140では、放射部160から放射強度検出部120に向けて再度補正信号を放射し、ステップS130で算出された各受信素子130毎のオフセットと傾きの補正係数とを用いて各受信素子130の感度特性の補正を行った状態での放射強度画像を取得する。なお、前述したように、各受信素子130の感度特性の補正は、各受信素子130の出力値の補正という形で行われる。この後に、フローはステップS150に移行する。
【0050】
ステップS150では、ステップS140で得られた各受信素子130の感度特性の補正後の放射強度画像から、受信素子130間の感度特性のばらつきが十分に小さいかどうかの判定を行い、ばらつきが十分に小さい(所定値以下)と判定された場合には、フローはステップS160に移行する。一方、ばらつきが大きい(所定値を越える)と判定された場合には、フローはステップS170に移行する。
【0051】
ステップS160では、今回の補正が効果のあるものとして、以降の受信素子130の出力値の補正に用いるために算出されたオフセットと傾きの補正係数を保存し、放射部160の動作を停止して、ステップS180で通常動作に戻る。
【0052】
ステップS170では、今回の補正が満足な結果を得られるものではないものとして、オフセットと傾きの補正係数を補正前の設定に戻し、放射部160の動作を停止して、ステップS180で通常動作に戻る。
【実施例1】
【0053】
本実施例では、前述した実施形態において、放射部160の設置位置による補正信号の強度分布のばらつきの補正を行う実施例であり、基本構成および動作は前述した実施形態と同様である。
【0054】
放射部160の設置位置は、放射部160からの補正信号を放射強度検出部120のすべての受信素子130で均一に受信できるような位置が好ましいが、設置位置によっては図8に示すように受信素子130に対する強度分布が不均一になる場合がある。その場合には、物体からの放射強度が所定値以下である状態において、放射部160から補正信号を放射した場合の各受信素子130の出力値と、補正信号と同じ強度の電磁波を各受信素子130に入力した場合の出力値とを用いて、受信素子130の感度補正を行うようにする。
【0055】
図9に、放射部160から出力された補正信号が受信素子130に不均一に入力される場合の、受信素子130の感度特性の補正動作のフローチャートを示す。
【0056】
ステップS100からステップS120までは、図7のフローチャートと同一のため、説明を省略する。
【0057】
ステップS200では、放射部160から所定の放射強度(以降、放射強度A1とする)の補正信号を放射した場合の各受信素子130の出力値と、放射強度A1の信号を各受信素子130に入力した場合の出力値とに基づいて、放射強度補正係数を算出する。
【0058】
放射部160から出力される補正信号は、放射部160から遠い位置にある受信素子130ほど弱い値で検出される。したがって、放射部160から出力される放射強度A1の補正信号は、すべての受信素子130に対し放射強度A1で入力されるのではなく、放射部160から遠い位置にある受信素子130ほど放射強度A1より弱い値が入力されることになる。したがって、放射部160から放射強度A1の補正信号を放射した場合に、各受信素子130が実際に出力する出力値をあらかじめ調べておき、各受信素子130に放射強度A1の信号を入力した場合の出力値との比(放射強度補正係数)を算出して記憶しておく。そして、各受信素子130の感度特性の補正を行う際に、放射部160の補正信号の放射強度を用いるのではなく、補正信号の放射強度にこの放射強度補正係数を掛けた値を用いる。この操作により、各受信素子130の感度特性の補正を正しく行うことができる。この後に、フローはステップS210に移行する。
【0059】
ステップS210では、ステップS200で算出した放射強度補正係数と、補正信号の放射強度とそれに対応する各受信素子130の出力値とから、前述した実施形態と同様に各受信素子130の受信感度特性線のオフセットと傾きの補正係数を算出する。この後に、フローはステップS140に移行する。
【0060】
以下、数式を用いて説明を行う。
【0061】
放射部160から放射強度A1の補正信号を放射した場合、受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値V1R、V2R、V3Rは、次式で表される。
【0062】
V1R=α1×(r1×A1)+β1 (数式25)
V2R=α2×(r2×A1)+β2 (数式26)
V3R=α3×(r3×A1)+β3 (数式27)
ここで、(r1×A1)、(r2×A1)、(r3×A1)は、受信素子1、受信素子2、受信素子3に実際に入力される放射強度を表し、r1、r2、r3を放射強度補正係数と呼ぶ。
【0063】
一方、受信素子1、受信素子2、受信素子3に放射強度A1の補正信号を入力した場合の各出力値は、次式で表される。
【0064】
V1=α1×A1+β1 (数式28)
V2=α2×A1+β2 (数式29)
V3=α3×A1+β3 (数式30)
(数式25)〜(数式27)より、次式が導かれる。
【0065】
r1=(V1R−β1)/(V1−β1) (数式31)
r2=(V2R−β2)/(V2−β2) (数式32)
r3=(V3R−β3)/(V3−β3) (数式33)
V1R〜V3R、V1〜V3、β1〜β3は実測可能であるので、(数式28)〜(数式30)により、放射強度補正係数r1、r2、r3が算出できる。
【0066】
この放射強度補正係数r1、r2、r3と、(数式25)、(数式26)、(数式27)を用いて、前述した実施形態と同様に受信素子1、受信素子2、受信素子3の感度特性の補正を、受信素子1、受信素子2、受信素子3の出力値の補正という形で行うことができる。
【0067】
以降のステップは前述した実施形態と同一のため、説明は省略する。
【実施例2】
【0068】
第1の実施形態では、電波イメージング部100の中に放射部160を備える形態であったが、本実施例では、電磁波を出力する放射部160の代わりに、熱を発生する熱放射部170を用いるものである。
【0069】
図10に、実施例2の電波イメージング部100のブロック図を示す。
【0070】
図10に示すように、電波イメージング部100内に、表面が電波吸収体171で覆われた熱放射部170を配置する。この電波吸収体171は、物体識別装置10で観測する電波領域においての電波吸収体を用いる。熱放射部170内部には、電波吸収体171の温度を計測する温度計測部172(熱電対など)と、電波吸収体171の温度を調整する温度調整部173(例えば、抵抗器とペルチェ素子を併用したもの)とを備えており、電波吸収体171の温度を変えた際の各受信素子130の出力値に基づいて、前述した実施形態と同様に各受信素子130の感度特性の補正を行うことができる。
【0071】
熱放射部170として電波吸収体171を用いる理由は、電波吸収体171は特定の周波数帯域で反射率、透過率の少ない物質であるため、(数式2)からわかるように放射率がほぼ「1」の物体として扱え、物体の温度変化に対して放射強度がリニアに変化するという特徴があるためである。
【0072】
図11に、本実施例における受信素子130の感度特性補正動作のフローチャートを示す。
【0073】
ステップS300では、前方に位置する物体からの電磁波の放射強度を電波イメージング部100で検出し、放射強度画像生成部150により放射強度画像を生成する。この後に、フローはステップS310に移行する。
【0074】
ステップS310では、ステップS300で得られた放射強度画像のすべての領域における放射強度が、熱放射部170から出力される補正信号の放射強度より十分低い値であるかどうかの判定が行われる。この判定により、周囲の物体による放射強度の影響が極力少ない状態にある場合にのみ、受信素子130の感度特性の補正が行われる。放射強度画像のすべての領域における放射強度が、熱放射部170から出力される補正信号の放射強度より十分低い値であると判定された場合は、フローはステップS320へ移行する。一方、放射強度画像のある領域における放射強度が、熱放射部170から出力される補正信号の放射強度より高い場合は、受信素子130の感度特性の補正が難しいため、フローはステップS380へ移行する。
【0075】
ステップS320では、熱放射部170から放射強度検出部120に向けて補正信号を放射し、放射強度検出部120の各受信素子130から出力される出力値から放射強度画像を取得する。ここで、温度調整部173により熱放射部170を所定の温度に調整することで、温度に対応する放射強度の補正信号が熱放射部170から放射される。このとき、受信素子130の受信感度特性線が一次式である場合は、熱放射部170から放射される補正信号の放射強度として、少なくとも2つの値を設定する。すなわち、熱放射部170を少なくとも2つの温度状態とする。この後に、フローはステップS330に移行する。
【0076】
ステップS330では、熱放射部170の温度値とそれに対応する各受信素子130の出力値から各受信素子130の受信感度特性線のオフセットと傾きの補正係数を算出する。この後に、フローはステップS340に移行する。
【0077】
ステップS340では、熱放射部170から放射強度検出部120に向けて再度補正信号を放射し、ステップS330で算出された各受信素子130毎のオフセットと傾きの補正係数を用いて各受信素子130の感度特性の補正を行った状態での放射強度画像を取得する。なお、前述したように、各受信素子130の感度特性の補正は、各受信素子130の出力値の補正という形で行われる。この後に、フローはステップS350に移行する。
【0078】
ステップS350では、ステップS340で得られた各受信素子130の感度特性の補正後の放射強度画像から受信素子130間の感度特性のばらつきが十分に小さいかどうかの判定を行い、ばらつきが十分に小さい(所定値以下)と判定された場合には、フローはステップS360に移行する。一方、ばらつきが大きい(所定値を越える)と判定された場合には、フローはステップS370に移行する。
【0079】
ステップS360では、今回の補正が効果のあるものとして、以降の受信素子130の出力値の補正に用いるために算出されたオフセットと傾きの補正係数を保存し、熱放射部170の温度が物体識別装置10の温度と等しくなるように温度調整を行って、ステップS380で通常動作に戻る。
【0080】
ステップS370では、今回の補正が満足な結果を得られるものではないものとして、オフセットと傾きの補正係数を直前の設定に戻し、熱放射部170の温度が物体識別装置10の温度と等しくなるように温度調整を行って、ステップS380で通常動作に戻る。
【実施例3】
【0081】
図10に示すように、特定部分に熱放射部170を配置する場合には、実施例1の図8と同様に熱分布が不均一となる場合があるが、この場合も実施例1と同様に、あらかじめ熱分布が不均一な場合と均一な場合における各受信素子130の出力値の比を記憶し、出力値の補正を行うことで、各受信素子130の感度特性の補正を正しく行うことが可能となる。
【0082】
熱放射部170の設置位置は、熱放射部170からの補正信号を、放射強度検出部120のすべての受信素子130で均一に受信できるような位置が好ましいが、設置位置によっては図8に示すように受信素子130に対する強度分布が不均一になる場合がある。その場合には、物体からの放射強度が所定値以下である状態において、熱放射部170から補正信号を放射した場合の各受信素子130の出力値と、補正信号と同じ強度の電磁波を各受信素子130に入力した場合の出力値とを用いて、受信素子130の感度補正を行うようにする。
【0083】
図12に、熱放射部170から出力された補正信号が受信素子130に不均一に入力される場合の、受信素子130の感度特性の補正動作のフローチャートを示す。
【0084】
ステップS300からステップS320までは、図11のフローチャートと同一のため、説明を省略する。
【0085】
ステップS400では、熱放射部170から所定の放射強度(以降、放射強度A1とする)の補正信号を放射した場合の各受信素子130の出力値と、放射強度A1の信号を各受信素子130に入力した場合の出力値とに基づいて、放射強度補正係数を算出する。
【0086】
熱放射部170から出力される補正信号は、熱放射部170から遠い位置にある受信素子130ほど弱い値で検出される。したがって、熱放射部170から出力される放射強度A1の補正信号は、すべての受信素子130に対し放射強度A1で入力されるのではなく、熱放射部170から遠い位置にある受信素子130ほど放射強度A1より弱い値が入力されることになる。したがって、熱放射部170から放射強度A1の補正信号を放射した場合に、各受信素子130が実際に出力する出力値をあらかじめ調べておき、各受信素子130に放射強度A1の信号を入力した場合の出力値との比(放射強度補正係数)を算出して記憶しておく。そして、各受信素子130の感度特性の補正を行う際に、熱放射部170の補正信号の放射強度を用いるのではなく、補正信号の放射強度にこの放射強度補正係数を掛けた値を用いる。この操作により、各受信素子130の感度特性の補正を正しく行うことができる。この後に、フローはステップS410に移行する。
ステップS410では、ステップS400で算出した放射強度補正係数と、補正信号の放射強度とそれに対応する各受信素子130の出力値とから、前述した実施形態と同様に各受信素子130の受信感度特性線のオフセットと傾きの補正係数を算出する。この後に、フローはステップS340に移行する。
【0087】
放射強度補正係数の算出方法、および以降のステップは、前述した実施例2と同一のため、説明は省略する。
【0088】
以上説明した本発明の実施形態の物体識別装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
請求項1の発明は、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度を検出する複数の受信素子を備えた放射強度検出部と、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の各出力信号に基づいて前記放射強度の分布を表す放射強度画像を生成する放射強度画像生成部と、前記放射強度画像生成部が生成する前記放射強度画像に基づいて前記物体の位置と前記物体の形状とを検出し、前記物体から放射される前記電磁波の前記放射強度と前記物体の前記位置と前記物体の前記形状とに基づいて前記物体の識別を行う物体識別部と、前記放射強度検出部に対し前記電波領域において電磁波を放射する放射部と、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の前記出力信号が所定値以下である場合に、前記放射部から前記電磁波を放射し、前記放射強度検出部の前記複数の受信素子の前記出力信号に基づいて前記複数の受信素子の感度特性が均一であるように該複数の受信素子の各出力信号の補正を行う出力補正部とを備えたことを特徴としている。
【0089】
この装置によれば、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度に基づいて物体を検出して識別する物体識別装置において、電磁波の放射強度を検出する複数の受信素子の感度特性が均一であるように各受信素子の出力信号を補正することで、環境変化や経時劣化により受信素子の感度特性に変化が生じた場合でも精度高く物体識別を行うことができる。
【0090】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の物体識別装置において、前記出力補正部は、前記放射部から複数の強度の電磁波を放射し、各強度において前記複数の受信素子の各出力信号の値が等しくなるように前記出力信号の補正を行うことを特徴としている。
【0091】
この装置によれば、放射部から複数の強度の電磁波を放射することにより、受信素子の感度特性が一次式で表されない場合でも、複数の受信素子の感度特性が均一であるように各受信素子の出力信号を補正することができる。
【0092】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の物体識別装置において、前記出力補正部は、前記複数の受信素子に所定の強度の前記電磁波を均一に放射した場合の前記複数の受信素子の各出力信号と、前記放射部から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信素子の各出力信号とに基づいて、前記放射部から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信素子の各出力信号の値が等しくなるように前記出力信号の補正を行うことを特徴としている。
【0093】
この装置によれば、補正時に放射される電磁波が受信素子に均一に放射されない場合でも、複数の受信素子の感度特性が均一であるように各受信素子の出力信号を補正することができる。
【0094】
さらに、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物体識別装置において、前記放射部が、所定の周波数帯域の電磁波を吸収する電波吸収体と、該電波吸収体の温度を計測する温度計測部と、該温度計測部が計測した前記電波吸収体の前記温度に基づいて前記電波吸収体の温度を調整する温度調整部とを備え、前記電波吸収体が前記温度調整部で調整した温度に基づいて前記所定の周波数帯域外の前記電波領域において前記電磁波を放射することを特徴としている。
【0095】
この装置によれば、温度調整により電磁波を放射する放射部を用いることにより、電磁波を直接放射する複雑な装置を放射部として用いることなく、簡単に受信素子の感度特性の補正を行うことができる。
【0096】
また、以上説明した本発明の実施形態の物体識別方法によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
請求項5の発明は、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度を複数の受信箇所で検出するステップと、前記複数の受信箇所の各出力に基づいて前記放射強度の分布を表す放射強度画像を生成するステップと、前記放射強度画像に基づいて前記物体の位置と前記物体の形状とを検出し、前記物体から放射される前記電磁波の前記放射強度と前記物体の前記位置と前記物体の前記形状とに基づいて前記物体の識別を行うステップと、前記複数の受信箇所に対し前記電波領域において電磁波を放射するステップと、前記複数の受信箇所の前記出力が所定値以下である場合に前記電磁波を放射し、前記複数の受信箇所の前記出力に基づいて前記複数の受信箇所における感度特性が均一であるように該複数の受信箇所の各出力の補正を行うステップとを備えたことを特徴としている。
【0097】
この方法によれば、物体から放射される電磁波の電波領域での放射強度に基づいて物体を検出して識別する物体識別方法において、電磁波の放射強度を検出する複数の受信箇所の感度特性が均一であるように各受信箇所の出力を補正することで、環境変化や経時劣化により受信箇所の感度特性に変化が生じた場合でも精度高く物体識別を行うことができる。
【0098】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の物体識別方法において、複数の強度の電磁波を放射し、各強度において前記複数の受信箇所の各出力の値が等しくなるように前記出力の補正を行うことを特徴としている。
【0099】
この方法によれば、複数の強度の電磁波を放射することにより、受信箇所の感度特性が一次式で表されない場合でも、複数の受信箇所の感度特性が均一であるように各受信箇所の出力を補正することができる。
【0100】
また、請求項7の発明は、請求項5または6に記載の物体識別方法において、前記出力補正部は、前記複数の受信箇所に所定の強度の前記電磁波を均一に放射した場合の前記複数の受信箇所の各出力と、所定の位置から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信箇所の各出力とに基づいて、前記所定の位置から前記所定の強度の前記電磁波を放射した場合の前記複数の受信箇所の各出力の値が等しくなるように前記出力の補正を行うことを特徴としている。
【0101】
この方法によれば、補正時に放射される電磁波が受信箇所に均一に放射されない場合でも、複数の受信箇所の感度特性が均一であるように各受信箇所の出力を補正することができる。
【0102】
さらに、請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の物体識別方法において、所定の周波数帯域の電磁波を吸収する電波吸収体の温度を調整し、該電波吸収体から前記所定の周波数帯域外の前記電波領域において前記電磁波を放射することを特徴としている。
【0103】
この方法によれば、温度調整により電磁波を放射することにより、電磁波を直接扱うことなく、簡単に受信箇所の感度特性の補正を行うことができる。
【0104】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
【0105】
例えば、受信素子130の数は本実施形態の示した数に限定されるものではなく、任意の数を設定することができる。
【0106】
なお、より遠距離までの物体観測を行う場合、電波イメージング部100が検出する電磁波の周波数帯域は、大気の伝搬減衰の影響が少ない30〜40GHz帯もしくは90〜100GHz帯に設定するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態における物体識別装置のブロック図である。
【図2】電波イメージング部における放射部の動作説明図である。
【図3】受信素子のブロック図である。
【図4】受信素子間の感度特性のばらつきが無い場合における放射強度画像例である。
【図5】受信素子間の感度特性のばらつきがある場合における放射強度画像例である。
【図6】受信素子の受信感度特性線を示す図である。
【図7】本発明の実施形態における動作のフローチャートである。
【図8】放射部の配置場所により受信素子毎に不均一な放射強度が観測される場合の放射強度画像例である。
【図9】本発明の実施例1における動作のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例2における物体識別装置のブロック図である。
【図11】本発明の実施例2における動作のフローチャートである。
【図12】本発明の実施例3における動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0108】
10 物体識別装置
100 電波イメージング部
110 誘電体レンズ
120 放射強度検出部
130 受信素子
131 アンテナ部
132 検波部
133 増幅部
140 出力補正部
150 放射強度画像生成部
160 放射部
170 熱放射部
171 電波吸収体
172 温度計測部
173 温度調整部
200 物体識別部
300 車両制御装置
500 物体

【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−2949(P2008−2949A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172523(P2006−172523)