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【発明の名称】 光走査装置
【発明者】 【氏名】鈴木 誉久

【氏名】山田 真人

【要約】 【課題】構成の簡素化と装置の小型化を図りながら、ビームを二次元方向に円滑に走査できる光走査装置を提供する。

【構成】レンズホルダ100は、一対のワイヤー500a、500bによって支持フレーム700に吊り下げられている。レンズホルダ100の両側面と下面には、それぞれ、磁石200a〜200dが装着され、各磁石に対向するようにして、コイル300a〜300dが配置されている。各コイルの印加する駆動電流の大きさと方向を変化させることにより、磁石200a〜200dに生じる駆動力が変化し、これにより、レンズホルダ100が、上下左右方向にチルトされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光を前方領域に投影する投影レンズと、
前記投影レンズを駆動するレンズアクチュエータを備え、
前記レンズアクチュエータは、前記投影レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダを前記投影レンズに対する前記レーザ光の入射光軸に対して上下左右方向に傾斜可能に支持するホルダ支持部と、該ホルダ支持部を前記上下左右方向に駆動するための駆動力を付与する駆動部を具備する、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記駆動部は、磁石とコイルからなる磁気回路によって構成されている、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記磁石とコイルのうち、前記レンズホルダ側に、磁石が装着されている、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項において、
前記ホルダ支持部は、前記レンズホルダの連結部に第1の方向から連結された弾性支持部材を有し、
前記駆動部は、前記連結部よりも前記弾性支持部材から離れ、且つ、前記投影レンズの中心軸に対して前記第1の方向に垂直な第2の方向にそれぞれ離間した2つの作用点に独立した駆動力を付与する、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記弾性支持部材は、同一特性の一対のワイヤーによって構成され、これらワイヤーは、前記投影レンズの中心軸に対して前記第2の方向に同一距離だけ離間し、且つ、前記投影レンズの中心軸に対して前記第1の方向に同一距離にある位置において前記レンズホルダに連結され、
前記駆動部は、前記投影レンズの中心軸に対して前記第2の方向に同一距離だけ離間した2つの作用点に独立した駆動力を付与する、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記2つの作用点は、前記連結部と、前記第1の方向において前記連結部から離れる方の前記レンズホルダーの端縁との間に設定されている、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項6において、前記駆動部は、さらに、前記端縁に、前記投影レンズの中心軸と同一方向の駆動力を付与する、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
請求項4または5において、
前記2つの作用点は、前記第1の方向において前記連結部から離れる方の前記レンズホルダーの端縁位置に設定されている、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項4ないし7の何れか一項において、
前記第1の方向は、前記上下左右方向のうち、上から下に向かう方向であり、
前記レンズホルダは、前記弾性支持部材によって、支持シャーシに吊り下げられている、
ことを特徴とする光走査装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置に関し、特に、障害物検出装置や距離測定装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両走行時の安全性を確保するために、障害物検出装置や距離測定装置が家庭用乗用車等に搭載されつつある。これらの装置は、レーザ光を目標領域に照射し、その反射光の有無と、反射光を受光するまでの時間をもとに、その目標領域における障害物の有無と、そこまでの距離を検出するものである。
【0003】
これらの装置には、レーザ光を前方領域内において走査させるための装置(光走査装置)が配備されている。その構成例として、たとえば、以下の特許文献1、2に示すものが知られている。
【0004】
これら文献に記載された光走査装置は、何れも、ビーム投影用レンズをその中心軸に垂直な方向に変位させてレーザ光の進行方向を変化させるものであるため、ビーム投影用レンズを変位させるためのストロークを、前記中心軸に垂直な方向に確保する必要がある。また、レンズの変位に伴ってレーザ光の入射位置がレンズの中心軸からずれるため、レーザ光の入射位置を適正にカバーするために、大きな有効径のレンズを用いる必要がある。
【0005】
このように、これら文献に記載の光走査装置では、変位ストロークの確保とレンズ径の大型化によって、装置がレンズ中心軸に垂直な方向において大型化するとの問題が生じる。
【0006】
これら文献に記載されたものの他に、以下の特許文献3、4に記載の光走査装置が提案されている。これら文献に記載の光走査装置では、回転軸によって軸支された円板上に、ビーム投影用レンズと半導体レーザが配される。ここで、ビーム投影用レンズは、円板上の回転軸からずれた位置に配置される。そして、円板が磁気駆動機構によって回転駆動されることにより、ビーム投影用レンズが円弧状の軌道に沿って変位される。これにより、レーザ光が水平方向に走査される。
【0007】
しかし、この構成例においても、ビーム投影用レンズが円弧状の軌道に沿って変位されるため、上記特許文献1、2の場合と同様、レンズの変位ストロークを確保する必要がある。また、この構成例では、別途円板が必要となり、これを磁気駆動機構にて駆動する構成であるため、装置の構成が複雑化するとの問題が生じる。さらに、この構成例では、回転軸に平行な方向にビームを走査させることができず、この方向にビームを走査させるためには、別途構成の追加が必要となり、さらに構成が複雑化するとの問題がある。
【特許文献1】特開平10−123252号公報
【特許文献2】特開平11−83988号公報
【特許文献3】特開平11−352434号公報
【特許文献4】特開平2000−206444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、構成の簡素化と装置の小型化を図りながら、ビームを二次元方向に円滑に走査できる光走査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、光走査装置において、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を前方領域に投影する投影レンズと、前記投影レンズを駆動するレンズアクチュエータを備え、前記レンズアクチュエータは、前記投影レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダを前記投影レンズに対する前記レーザ光の入射光軸に対して上下左右方向に傾斜可能に支持するホルダ支持部と、該ホルダ支持部を前記上下左右方向に駆動するための駆動力を付与する駆動部を具備することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記駆動部は、磁石とコイルからなる磁気回路によって構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光走査装置において、前記磁石とコイルのうち、前記レンズホルダ側に、磁石が装着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3の何れか一項に記載の光走査装置において、前記ホルダ支持部は、前記レンズホルダの連結部に第1の方向から連結された弾性支持部材を有し、前記駆動部は、前記連結部よりも前記弾性支持部材から離れ、且つ、前記投影レンズの中心軸に対して前記第1の方向に垂直な第2の方向にそれぞれ離間した2つの作用点に独立した駆動力を付与することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4に記載の光走査装置において、前記弾性支持部材は、同一特性の一対のワイヤーによって構成され、これらワイヤーは、前記投影レンズの中心軸に対して前記第2の方向に同一距離だけ離間し、且つ、前記投影レンズの中心軸に対して前記第1の方向に同一距離にある位置において前記レンズホルダに連結され、前記駆動部は、前記投影レンズの中心軸に対して前記第2の方向に同一距離だけ離間した2つの作用点に独立した駆動力を付与することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4または5において、前記2つの作用点は、前記連結部と、前記第1の方向において前記連結部から離れる方の前記レンズホルダーの端縁との間に設定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の光走査装置において、前記駆動部は、さらに、前記端縁に、前記投影レンズの中心軸と同一方向の駆動力を付与することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項4または5に記載の光走査装置において、前記2つの作用点は、前記第1の方向において前記連結部から離れる方の前記レンズホルダーの端縁位置に設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項4ないし7の何れか一項に記載の光走査装置において、前記第1の方向は、前記上下左右方向のうち、上から下に向かう方向であり、前記レンズホルダは、前記弾性支持部材によって、支持シャーシに吊り下げられていることを特徴とする。
【0018】
なお、以下の実施形態のうち、図3および図6の構成例は、請求項7の発明の一実施形態である。また、図7の構成例は、請求項6の発明の一実施形態である。また、図8の構成例は、請求項8の発明の一実施形態である。
【0019】
ただし、以下の実施形態は、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、投影レンズを傾斜(チルト)させることによりレーザ光の進行方向を変化させるものであるから、当該レンズの中心軸に垂直な方向にレンズ変位のためのストロークを確保する必要はない。また、投影レンズを傾斜(チルト)させても、レーザ光は、当該レンズのほぼ中心位置に入射されるため、大きな有効径を有するレンズを投影レンズとして用いる必要もない。したがって、本発明によれば、投影レンズの中心軸に垂直な方向において、装置形状の小型化を図ることができる。
【0021】
また、本発明によれば、投影レンズを傾斜(チルト)させるようアクチュエータを構成するものであるため、以下の実施形態を参照して分かるとおり、アクチュエータの構成を簡素なものにすることができる。また、レンズホルダは上下左右方向に変位可能に支持されているため、駆動部によってレンズホルダを上下左右方向に傾斜(チルト)させることにより、レーザ光を二次元方向に走査させることができる。
【0022】
このように、本発明によれば、構成の簡素化と装置の小型化を図りながら、ビームを二次元方向に円滑に走査できる光走査装置を提供することができる。
【0023】
なお、レンズホルダを上下左右方向に変位させるためには、少なくとも、上記請求項4に記載のように、レンズホルダの連結部に第1の方向から弾性支持部材を連結し、さらに、この連結部よりも弾性支持部材から離れ、且つ、ビーム投影用レンズの中心軸に対して第1の方向に垂直な第2の方向にそれぞれ離間した2つの作用点に独立した駆動力を付与するようにすれば足りる。こうすると、2つの作用点に付与する駆動力の大きさと方向を適宜設定することにより、レンズホルダを、上、下、左、右および右上、右下、左上、左下の各方向に傾斜させることができる。
【0024】
特に、請求項6の発明によれば、駆動力が付与される2つの作用点が、レンズホルダの連結部と、第1の方向において連結部から離れる方のレンズホルダーの端縁との間に設定されているため、駆動力が、第1の方向に比べてこれに垂直な第2の方向に作用し易い。このため、請求項6の発明によれば、第2の方向における走査精度を高める場合に優れた効果を発揮する。なお、この点は、以下の実施形態のうち、図7の構成例に関する説明によって明確に理解されよう。
【0025】
また、請求項8の発明によれば、駆動力が付与される2つの作用点が、第1の方向において連結部から離れる方のレンズホルダーの端縁位置に設定されているため、駆動力が、第2の方向に比べて第1の方向に作用し易い。このため、請求項8の発明によれば、第1の方向における走査精度を高める場合に優れた効果を発揮する。なお、この点は、以下の実施形態のうち、図8の構成例に関する説明によって明確に理解されよう。
【0026】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0028】
図1に、光走査装置の基本構成を示す。図示の如く、光走査装置10は、制御回路11と、アクチュエータ駆動回路12と、レーザ駆動回路13と、半導体レーザ14と、レンズアクチュエータ15と、照射窓16を備えている。
【0029】
制御回路11は、アクチュエータ駆動回路12とレーザ駆動回路13に制御信号を出力する。アクチュエータ駆動回路12は、制御回路11からの制御信号に応じてレンズアクチュエータ15を駆動する。レーザ駆動回路13は、制御回路11からの制御信号に応じて半導体レーザ14を駆動する。半導体レーザ14は、レーザ駆動回路13からの駆動信号に応じてレーザ光を出力する。レンズアクチュエータ15は、アクチュエータ駆動回路12からの駆動信号に応じて、ビーム投影用レンズを変位させる。照射窓16は、ビーム投影用レンズを介して入射されたレーザ光を透過して外部に導く。
【0030】
図2に、レンズアクチュエータ15の構成を示す。
【0031】
図において、100は、ビーム投影用レンズ400を保持するレンズホルダである。レンズホルダ100は、一定の厚みを有する板形状に形成されている。レンズホルダ100には、両側面にそれぞれ切欠き102が形成され、さらに、下面に2つの切欠き103が形成されている。両側面の切欠き102には、それぞれ、磁石200a、200bが装着される。また、下面の2つの切欠き103にも、それぞれ、磁石200c、200dが装着される。これら磁石200a〜200dは、切欠き102、103に嵌め込まれる面と反対側の面が同極性となっている。なお、これら磁石200a〜200dに対向するようにして、コイル300a〜300dが配置される。
【0032】
レンズホルダ100の中央には、貫通孔104が形成されており、この貫通孔104にビーム投影用レンズ400が嵌め込まれる。また、レンズホルダ100の上面には、厚み方向の中間位置に2つの孔101が形成されており、これら孔に、ワイヤー500a、500bの一端が挿入固着される。ワイヤー500a、500bの他端は、ワイヤー固定部材600a、600bを介して、支持フレーム700に固着される。すなわち、ワイヤー500a、500bの他端をワイヤー固定部材600a、600bに固着した後、これらワイヤー固定部材600a、600bを、支持フレーム700に形成された2つの孔701に嵌入固着する。これにより、レンズホルダ100がワイヤーを介して支持フレーム700に吊り下げられる。
【0033】
図3は、図2に示す各構成部材をアセンブルしたときの状態を示す図である。
【0034】
図示の如く、ワイヤー固定部材600a、600bは、断面H状の筒部601と、この筒部601の下側の中空部分に注入された緩衝材602からなっている。筒部601の中心部には孔が形成されており、この孔にワイヤー500a、500bの一端が挿入される。なお、ワイヤー500a、500bの端部は、筒部601の中心部に接着されている。
【0035】
コイル300a〜300dは、方形状に巻回されており、それぞれ、その一面が、磁石200a〜200dの一面に平行に対向するようにして、支持フレーム(図示せず)に装着されている。なお、これらコイル300a〜300dは、同一極性の電流が印加されたときに、対向する磁石200a〜200dに同じ方向の駆動力が発生するよう、巻き方向が調整されている。
【0036】
これらコイル300a〜300dに駆動電流を印加すると、これにより磁石200a〜200dに生じる駆動力によって、レンズホルダ100がビーム投影用レンズ400とともに、上下左右に揺動(チルト)する。磁石200a、200bとコイル300a、300bは、ビーム投影用レンズ400を左右方向にチルトさせるための磁気駆動部であり、磁石200c、200dとコイル300c、300dは、ビーム投影用レンズ400を上下方向にチルトさせるための磁気駆動部である。
【0037】
なお、図2および図3の構成例では、レンズホルダ100の下面に2組の磁石200c、200dとコイル300c、300dを配しているが、これらを一組としても良い。この場合、磁石は、レンズホルダ100の下面中央部に装着され、それに対向するようにしてコイルが配置される。
【0038】
図4は、磁石200a〜200dとワイヤー500a、500bの位置関係を示す図である。
【0039】
図示の如く、磁石200c、200dは、レンズホルダ100の中心から等しい距離L1の位置に配置されている。また、ワイヤー500a、500bの連結位置は、レンズホルダ100の中心から等しい距離L2の位置とされている。なお、磁石200a、200bもまた、レンズホルダ100の中心から等しい距離L2の位置に配置されている。さらに、磁石200a、200bは、ワイヤー500a、500bの連結位置から等しい距離L3の位置に配置されている。また、磁石200c、200dは、ワイヤー500a、500bの連結位置から等しい距離L4の位置に配置されている。
【0040】
なお、本実施の形態では、磁石200a、200bは、同一サイズで且つ同一磁力のものとされ、また、磁石200c、200dは、同一サイズで且つ同一磁力のものとされる。また、ワイヤー500a、500bは、同一サイズで且つ同一の弾性特性を有するものとされる。
【0041】
図5に、図3の構成例において、コイル300a〜300dに駆動電流を印加したときのビーム投影用レンズ400のチルト方向を示す。
【0042】
なお、同図では、便宜上、コイル300a〜300dを、それぞれコイルA、B、C、Dとして示している。また、同図下段に示す駆動特性は、コイル300a〜300dに同じ大きさの駆動電流を印加すると、これに対向する磁石に同じ大きさの駆動力が発生することを前提とするものである。
【0043】
なお、図中、I0は、ビーム投影用レンズ400を中立位置に位置づけるための駆動電流である。また、同図下段に付記された“中”、“上”、…は、その上部に示された極性と大きさの駆動電流が各コイルに印加されたときの、ビーム投影用レンズ400のチルト方向を示している。
【0044】
同図上段には、図3のレンズアクチュエータを背面側(レーザ光入射側)から見たときの状態が示されている。以下では、レーザ光の進行方向を前方として説明を行う。また、ビーム投影用レンズ400のチルト方向は、当該レンズのレーザ光出射側の面が、中立位置から、同図上段に示す何れの方向を向いたかによるものとする。
【0045】
同図下段を参照して、コイルA、Bに印加する駆動電流をI0とし、コイルC、Dに印加する駆動電流をI0からプラス方向に変化させると、レンズホルダ100の下部が前方に変位し、ビーム投影用レンズ400が上方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から上方向に変化する。
【0046】
次に、コイルA、Bに印加する駆動電流をI0とし、コイルC、Dに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に変化させると、レンズホルダ100の下部が後方に変位し、ビーム投影用レンズ400が下方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から下方向に変化する。
【0047】
コイルC、Dに印加する駆動電流をI0とし、コイルAに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の左部と右部がそれぞれ前方と後方に同じ量だけ変位し、ビーム投影用レンズ400が右方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から右方向に変化する。
【0048】
コイルC、Dに印加する駆動電流をI0とし、コイルAに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の左部と右部がそれぞれ後方と前方に同じ量だけ変位し、ビーム投影用レンズ400が左方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から左方向に変化する。
【0049】
コイルC、Dに印加する駆動電流をI0からプラス方向に変化させた状態で、コイルAに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の下部が前方に変位し、同時に、レンズホルダ100の左部と右部がそれぞれ前方と後方に同じ量だけ変位し、ビーム投影用レンズ400が右上方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から右上方向に変化する。
【0050】
コイルC、Dに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に変化させた状態で、コイルAに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の下部が後方に変位し、同時に、レンズホルダ100の左部と右部がそれぞれ前方と後方に同じ量だけ変位し、ビーム投影用レンズ400が右下方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から右下方向に変化する。
【0051】
コイルC、Dに印加する駆動電流をI0からプラス方向に変化させた状態で、コイルAに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の下部が前方に変位し、同時に、レンズホルダ100の左部と右部がそれぞれ後方と前方に同じ量だけ変位し、ビーム投影用レンズ400が左上方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から左上方向に変化する。
【0052】
コイルC、Dに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に変化させた状態で、コイルAに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の下部が後方に変位し、同時に、レンズホルダ100の左部と右部がそれぞれ後方と前方に同じ量だけ変位し、ビーム投影用レンズ400が左下方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から左下方向に変化する。
【0053】
本実施の形態によれば、ビーム投影用レンズ400をチルトさせることによりレーザ光の進行方向を変化させるものであるから、当該レンズの中心軸に垂直な方向にレンズ変位のためのストロークを確保する必要がなく、また、ビーム投影用レンズ400をチルトさせても、レーザ光は、当該レンズのほぼ中心位置に入射されるため、大きな有効径を有するビーム投影用レンズ400を用いる必要もない。さらに、本実施の形態によれば、図3に示すようなシンプルな構成のレンズアクチュエータにて、レーザ光を上下左右の二次元方向に走査することができる。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、構成の簡素化と装置の小型化を図りながら、ビームを二次元方向に円滑に走査できる光走査装置を提供することができる。
【0055】
図6に、レンズアクチュエータの変更例を示す。
【0056】
ここでは、磁石200a〜200dが2つに分割されており、分割された各磁石に2つの辺部分がそれぞれ対向するようにして、コイル300a〜300dが配置されている。この場合、分割された各磁石に対向するそれぞれの辺部分には、互いに逆向きとなるように駆動電流が流れるため、分割された各磁石は、一方の辺部分に対向する磁石面の極性と、一方の辺部分に対向する磁石面の極性が、互いに逆極性となるように配置される必要がある。
【0057】
本構成例を使用した場合の駆動特性は、図5に示したものと同様である。各コイルに印加する駆動電流の極性と大きさを適宜切り替えることにより、図5に示す如く、ビーム投影用レンズ400が、上、下、左、右および右上、右下、左上、左下の方向にチルトされ、これにより、レーザ光の進行方向が、センター方向からレンズのチルト方向に変化する。
【0058】
図7に、レンズアクチュエータの他の変更例を示す。
【0059】
この構成例では、図3の構成例に比べ、レンズホルダ100の下面側に配された磁石200c、200dとコイル300c、300dが省略されている。この構成例では、コイル200a、200bに印加する駆動電流を調整することにより、ビーム投影用レンズ400が、上、下、左、右および右上、右下、左上、左下の方向にチルトされる。
【0060】
図8に、レンズアクチュエータのさらに他の変更例を示す。
【0061】
この構成例では、図3の構成例に比べ、レンズホルダ100の側面に配された磁石200a、200bとコイル300a、300bが省略されている。この構成例では、コイル200c、200dに印加する駆動電流を調整することにより、ビーム投影用レンズ400が、上、下、左、右および右上、右下、左上、左下の方向にチルトされる。
【0062】
図9に、図7および図8の構成例において、コイル300a、300bまたはコイル300c、300dに駆動電流を印加したときのビーム投影用レンズ400のチルト特性を示す。
【0063】
なお、同図では、便宜上、コイル300aと300cをコイルAとし、コイル300bと300dをBとしている。また、同図下段に示す駆動特性は、各コイルに同じ大きさの駆動電流を印加すると、これに対向する磁石に同じ大きさの駆動力が発生することを前提とするものである。
【0064】
なお、図中、I0は、ビーム投影用レンズ400を中立位置に位置づけるための駆動電流である。また、同図下段に付記された“中”、“上”、…は、その上部に示された極性と大きさの駆動電流が各コイルに印加されたときの、ビーム投影用レンズ400のチルト方向を示している。
【0065】
同図上段には、図7、図8のレンズアクチュエータを背面側(レーザ光入射側)から見たときの状態が示されている。以下では、レーザ光の進行方向を前方として説明を行う。また、ビーム投影用レンズ400のチルト方向は、当該レンズのレーザ光出射側の面が、中立位置から、同図上段に示す何れの方向を向いたかによるものとする。
【0066】
同図下段を参照して、コイルA、Bに印加する駆動電流をI0から一定の大きさだけプラス方向に変化させると、レンズホルダ100の左半分と右半分に、互いに等しい駆動力が前方に付与される。このとき、レンズホルダ100は、その上面がワイヤー500a、500bに連結されているため、この駆動力によって、下部が上部よりも前方に大きく変位し、その結果、ビーム投影用レンズ400が上方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から上方向に変化する。
【0067】
これとは逆に、コイルA、Bに印加する駆動電流をI0から一定の大きさだけマイナス方向に変化させると、レンズホルダ100の下部が上部よりも後方に大きく変位し、その結果、ビーム投影用レンズ400が下方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から下方向に変化する。
【0068】
コイルAに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の左半分と右半分がそれぞれ等しい駆動力が前方と後方に付与される。この駆動力によって、レンズホルダ100の左半分と右半分は、それぞれ同じ量だけ前方と後方に変位し、ビーム投影用レンズ400が右方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から右方向に変化する。
【0069】
コイルAに印加する駆動電流をI0からマイナス方向に一定値Icだけ変化させ、且つ、コイルBに印加する駆動電流をI0からプラス方向に一定値Icだけ変化させると、レンズホルダ100の左半分と右半分がそれぞれ等しい駆動力が後方と前方に付与される。この駆動力によって、レンズホルダ100の左半分と右半分は、それぞれ同じ量だけ後方と前方に変位し、ビーム投影用レンズ400が左方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から左方向に変化する。
【0070】
コイルA、Bに印加する駆動電流を、同図の“右”のレンズチルト方向を与える駆動電流値から、それぞれ一定値だけプラス方向に変化させると、“右”のレンズチルト方向を与える駆動力に、“上”のレンズチルト方向を与える駆動力成分が加算されるため、ビーム投影用レンズ400は右上方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から右上方向に変化する。
【0071】
コイルA、Bに印加する駆動電流を、同図の“右”のレンズチルト方向を与える駆動電流値から、それぞれ一定値だけマイナス方向に変化させると、“右”のレンズチルト方向を与える駆動力に、“下”のレンズチルト方向を与える駆動力成分が加算されるため、ビーム投影用レンズ400は右下方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から右下方向に変化する。
【0072】
同様に、コイルA、Bに印加する駆動電流を、同図の“左”のレンズチルト方向を与える駆動電流値から、それぞれ一定値だけプラス方向に変化させると、“左”のレンズチルト方向を与える駆動力に、“上”のレンズチルト方向を与える駆動力成分が加算されるため、ビーム投影用レンズ400は左上方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から左上方向に変化する。
【0073】
また、コイルA、Bに印加する駆動電流を、同図の“左”のレンズチルト方向を与える駆動電流値から、それぞれ一定値だけマイナス方向に変化させると、“左”のレンズチルト方向を与える駆動力に、“下”のレンズチルト方向を与える駆動力成分が加算されるため、ビーム投影用レンズ400は左下方向にチルトする。これにより、ビーム投影用レンズ400を透過した後のレーザ光の進行方向は、センター方向から左下方向に変化する。
【0074】
図7および図8の構成例においても、上記図3の場合と同様の効果を奏することができる。加えて、図7および図8の構成例によれば、上記図3の場合に比べ、磁石とコイルの組を2組省略することができるため、更なる構成の簡素化を図ることができる。
【0075】
なお、図7および図8の構成例のうち、図7の構成例は、左右側面に磁石とコイルの組が配されているため、左右方向の走査精度を高める場合に優れた効果を発揮し、図8の構成例は、下面に磁石とコイルの組が配されているため、上下方向の走査精度を高める場合に優れた効果を発揮する。
【0076】
最後に、図10に、本実施の形態によるレンズアクチュエータと従来例によるレンズアクチュエータのビーム走査特性を示す。同図(a)は、ビーム投影用レンズをチルトさせた場合(本実施の形態)のビーム走査特性(レンズチルト角度−ビーム出射角度)であり、同図(b)は、ビーム投影用レンズをその中心軸に垂直な方向に変位させた場合(従来例)のビーム走査特性(レンズシフト量−ビーム出射角度)である。なお、同図のビーム走査特性は、以下の仕様の対物レンズを用いた場合のものである。
【0077】
・開口数(NA): 0.30
・有効焦点距離 : 6.16mm
・中心厚 : 3.48mm
・有効径 : 3.70mm
【0078】
同図から分かるとおり、本実施の形態によれば、小さなチルト角度によって大きなビーム出射角度(センター方向とビーム進行方向の間の角度)を得ることができる。したがって、本実施の形態によれば、小型且つ簡素な構成のレンズアクチュエータにて、円滑に、ビーム走査動作を行うことができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
【0080】
たとえば、上記実施の形態では、レンズホルダ100側に磁石を装着するようにしたが、これに代えて、レンズホルダ100側にコイルを配し、支持フレーム側に磁石を配置するようにすることもできる。ただし、この場合には、コイルに駆動電流を供給するための工夫が必要となる。駆動電流の供給手段としてワイヤー500a、500bを用いることができるが、上記のように、ワイヤーが2本の場合には、ワイヤーのみにて全てのコイルに駆動電流を供給することはできない。この場合には、ワイヤーの他に、給電線等を用いてコイルに駆動電流を供給する必要がある。
【0081】
また、上記実施の形態では、一対のワイヤー500a、500bによってレンズホルダ100を支持するようにしたが、レンズホルダ100の支持形態はこれに限定されるものではなく、たとえば、図11に示す、一つの弾性板500cによってレンズホルダ100上面の中央位置を支持するようにしても良い。
【0082】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態に係る光走査装置の構成を示す図
【図2】実施の形態に係るレンズアクチュエータの構成を示す図
【図3】実施の形態に係るレンズアクチュエータの構成を示す図
【図4】実施の形態に係るレンズアクチュエータの構成を示す図
【図5】実施の形態に係るレンズアクチュエータの駆動動作を説明する図
【図6】実施の形態に係るレンズアクチュエータの変更例を示す図
【図7】実施の形態に係るレンズアクチュエータの他の変更例を示す図
【図8】実施の形態に係るレンズアクチュエータの他の変更例を示す図
【図9】レンズアクチュエータの変更例の駆動動作を説明する図
【図10】実施の形態と従来例のビーム走査特性を比較して示す図
【図11】実施の形態に係るレンズアクチュエータの他の変更例を示す図
【符号の説明】
【0084】
14 … 半導体レーザ
15 … レンズアクチュエータ
100 … レンズホルダ
200a〜200d … 磁石
300a〜300d … コイル
400 … ビーム投影用レンズ
500a、500b … ワイヤー
700 … 支持フレーム
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅


【公開番号】 特開2008−2871(P2008−2871A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170972(P2006−170972)