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【発明の名称】 地絡監視装置および地絡監視方法
【発明者】 【氏名】奥井 祐介

【氏名】世良 浩一

【氏名】田中 満

【要約】 【課題】少ない現場対応要員で監視が可能であり、人工地絡試験中に発生する実地絡事故を迅速かつ的確に検出して、該当する遮断機の手動トリップに繋げることのできる地絡監視装置および地絡監視方法を提供すること。

【構成】地絡試験のための模擬地絡信号を取り込み表示する警報入力・表示手段17と、配電系統に接続されたGPTの出力信号を取り込み、該出力信号が所定値以上になると動作する地絡過電圧検出手段13と、一または二以上のフィーダーの地絡方向継電器の動作状態を取り込み該動作状態を表示するフィーダーDG動作状態入力手段15と、地絡過電圧検出手段13によって地絡過電圧の検出があり、かつ、いずれかのフィーダーの地絡方向継電器が動作したときに実地絡検出表示をする実地絡検出手段16と、を備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地絡試験のための模擬地絡信号を取り込み表示する警報入力・表示手段と、
配電系統に接続されたGPTの出力信号を取り込み、該出力信号が所定値以上になると動作する地絡過電圧検出手段と、
一または二以上のフィーダーの地絡方向継電器の動作状態を取り込み、該動作状態を表示するフィーダーDG動作状態入力手段と、
前記地絡過電圧検出手段によって地絡過電圧の検出があり、かつ、いずれかのフィーダーの地絡方向継電器が動作したときに実地絡検出表示をする実地絡検出手段と、
を備えたことを特徴とする地絡監視装置。
【請求項2】
前記地絡過電圧検出手段の前記所定値を設定するための整定値設定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地絡監視装置。
【請求項3】
警報入力・表示手段は、種別ごとに警報信号を取り込んで表示することを特徴とする請求項1または2に記載の地絡監視装置。
【請求項4】
前記警報信号に対する警報停止および表示復帰信号を出力する手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の地絡監視装置。
【請求項5】
前記警報信号の入出力用の電源と、前記地絡監視装置の動作用電源は異なる電圧であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の地絡監視装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一に記載の地絡監視装置を用いて人工地絡試験中に発生する実地絡の発生を監視する方法であって、
地絡監視装置の警報手段から人工地絡試験中に地絡事故発生の警報鳴動があった場合は、実地絡検出手段によって出力される実地絡検出表示の有無によって実地絡発生を確認すると共に実地絡検出表示があった場合は、次にフィーダーDG動作状態入力手段の表示によって各配電線の地絡方向継電器の動作状態を確認し、いずれかの地絡方向継電器が動作している場合は、人工地絡試験を中断して該当フィーダーを手断することを特徴とする地絡監視方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は配電系統人工地絡試験中に発生する実際の地絡事故を検出して、迅速な事故復旧処置を可能にする地絡監視装置および地絡監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地絡を高精度で迅速に検出する技術が提案されている。たとえば、特許文献1には、保護範囲外の地絡に影響されないで、微地絡を含む地絡電流を精度高く演算する手法が提案されている。特許文献2には、高圧電源系統に設置した全地絡継電器および全地絡方向継電器において地絡検出時に出力される動作信号の状態から、迅速に地絡発生とその区域特定をして運転員に報知する高圧電源系統の地絡監視装置が記載されている。また、特許文献3には、人工地絡試験によって測定した数値を用いて少ない係数で精度の高い地絡監視を実施する技術が提案されている。
【0003】
ところで、人工地絡試験中に実際の地絡事故(以下、実地絡事故という。)が発生した場合は、これまでGPT3次に電圧計または地絡過電圧継電器を接続して、異常電圧が発生しているか否かを監視したり、または継電器動作時に、試験(人工接地)による地絡電圧発生か否かを作業員に確認したり、配電盤表示などを含めて総合的に試験による地絡なのか実地絡なのかを判断していた。
【0004】
しかしながら、測定を自動で実施する新型の人工地絡試験装置が導入されると、試験作業員であっても、その新型人工地絡試験装置が動作したことによる地絡なのか否かを迅速に判断するのは困難になってきている。このため配電系統の実地絡故障発生時に迅速な遮断ができず、顧客への影響、配電系統、変電所設備の故障が懸念されている。
【0005】
また、試験時は配電盤警報表示が多発するが、試験場所は警報表示から離れていることが多く、警報の確認・停止のための現場対応要員の増加に繋がっている。
【特許文献1】特開平11−271384号公報
【特許文献2】特開平11−202018号公報
【特許文献3】特開平9−257858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、少ない現場対応要員で監視が可能であり、人工地絡試験中に発生する実地絡事故を迅速かつ的確に検出して、該当する遮断機の手動トリップに繋げることのできる地絡監視装置および地絡監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係わる地絡監視装置は、地絡試験のための模擬地絡信号を取り込み表示する警報入力・表示手段と、配電系統に接続されたGPTの出力信号を取り込み、該出力信号が所定値以上になると動作する地絡過電圧検出手段と、一または二以上のフィーダーの地絡方向継電器の動作状態を取り込み該動作状態を表示するフィーダーDG動作状態入力手段と、地絡過電圧検出手段によって地絡過電圧の検出があり、かつ、いずれかのフィーダーの地絡方向継電器が動作したときに実地絡検出表示をする実地絡検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明では、地絡監視装置にGPTの出力信号として、たとえばGPT3次の電圧信号を取り込み、この電圧信号を予め設定された所定値と比較して、所定値以上になった場合は、地絡過電圧検出信号を出力する。そして、この地絡過電圧検出信号が出力され、かつ、いずれかのフィーダーの地絡方向継電器が動作したときに実際に地絡事故が発生したことを知らせるための実地絡検出表示をする。これによって、人工地絡試験中の実地絡事故を検出して遮断器の手断操作等の処置に繋がることができる。
【0009】
本発明に係わる地絡監視装置は、さらに、地絡過電圧検出手段の所定値を設定するための整定値設定手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明では、GPTの出力信号が通常の負荷変動によって変化するため、過電圧検知のスレッシュホールドを設定可能にする。
【0011】
また、本発明に係わる地絡監視装置は、さらに、警報入力・表示手段は、種別ごとに警報信号を取り込んで表示することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、この地絡監視装置に警報信号に対する警報停止および表示復帰信号を出力する手段を備えるようにすると良い。これによって、地絡監視装置から警報信号に対する対処が可能となり、現場対応要員の削減を図ることができる。
【0013】
また、警報信号の入出力用の電源と、地絡監視装置の動作用電源は異なる電圧にすると良い。単に電源系統を変えるのみで無く、電源電圧を変えることによって、電源の回りこみによる誤遮断等の誤動作を防止することができる。
【0014】
本発明に係わる地絡監視方法は、上記の地絡監視装置を用いて人工地絡試験中に発生する実地絡の発生を監視する方法であって、地絡監視装置の警報手段から人工地絡試験中に地絡事故発生の警報鳴動があった場合は、実地絡検出手段によって出力される実地絡検出表示の有無によって実地絡発生を確認すると共に実地絡検出表示があった場合は、次にフィーダーDG動作状態入力手段の表示によって各配電線の地絡方向継電器の動作状態を確認し、いずれかの地絡方向継電器が動作している場合は、人工地絡試験を中断して該当フィーダーを手断することを特徴とする。
【0015】
本発明では、地絡監視装置の表示に従って所定の手順で確認、操作を行うことによって、人工地絡試験中の実地絡事故を的確に把握することができ、事故発生時には迅速に該当する遮断器を手断することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地絡監視装置に情報を集約させることによって少ない現場対応要員で監視が可能となり、また人工地絡試験中に発生する実地絡事故の迅速かつ的確な検出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態による地絡監視装置の機能ブロック図である。
【0018】
この図で、地絡監視装置1は、本装置を動作させるための電源部11、電源の入/切状態を表示する電源表示手段12、配電系統に接続されたGPTの出力信号を取り込み、この出力信号が所定値以上になると動作する地絡過電圧検出手段13、地絡過電圧検出手段13の動作する閾値を設定する整定値設定手段14、フィーダーの地絡方向継電器の動作状態を取り込み、この動作状態を表示するフィーダーDG動作状態入力手段15、取り込んだ種々の信号をもとに実地絡の発生の有無を判定する実地絡検出手段16、地絡試験のための模擬地絡信号を取り込んで表示する警報入力・表示手段17、地絡を検出したときに警報信号を出力する警報手段18、配電盤の警報を停止するための信号を出力する配電盤警報停止手段19から構成されている。
【0019】
図2は、上記の各手段に対応する回路の一例を記載している。この図において、地絡過電圧検出手段13は、ボルテージセンサー21からの電線をGPT3次PTT下側プラグ下に接続し、入力した電圧と整定値設定手段14で設定した整定値とを比較し、整定値以上の電圧V0を検出するとボルテージセンサー21の接点22がクローズし、OVGリレー23が動作する。これによってBZ(ブザー)24から警報が出力される。
【0020】
一方、配電盤からフィーダーDG動作状態入力手段15にフィーダーDG動作状態信号(地絡方向継電器の動作信号)が入力されると、フィーダーごとに対応するLED8〜13のいずれかが点灯する。また、実地絡検出手段16では、OVGリレー23の接点がクローズすることによってLED2が点灯する。また、OVGリレー23の接点がクローズし、かつ、いずれかのフィーダーの地絡方向継電器の動作信号が入力されることによって、実地絡の検出表示であるLED3が点灯するようになっている。
【0021】
また、警報入力・表示手段17には、人工地絡試験装置からの模擬地絡信号(OVG表示)が入力される。また、配電盤警報パルスとして電気所故障表示盤ベル警報パルス(BLB)、電気所故障表示盤ブザー警報パルスBZB、電気所故障表示盤チャイム警報パルスCHBが入力される。
【0022】
配電盤警報停止手段19では、ボタンの押下によって故障表示盤等の故障警報を出力している装置への警報停止、表示復帰信号が出力されるようになっている。図3に地絡監視装置1の外観を示す。押しボタンスイッチ、LED、計器、端子等を装置上部に配置している。
【0023】
次に、この地絡監視装置1を用いて地絡を監視する手順について、図4を用いて説明する。地絡監視装置1の警報手段18から警報鳴動があると、まず、配電盤のOVG表示の有無(LED4の点灯状態)を確認する(S101)。そして、OVG表示が無い場合であって、配電盤BL警報発生、配電盤CH警報発生表示があれば、すなわち、LED5〜7のいずれかが点灯しておれば(S102)、電気所故障発生として人工地絡試験を中断して故障点探索をする(S103)。
【0024】
ステップS101で配電盤のOVG表示が有れば、次に「地絡発生」表示(LED2)の有無を確認する(S104)。そして、「地絡発生」表示が無ければ(S104で「NO」)、「配電盤BZ警報発生」表示(LED6)の有無を調べ(S105)、BZ警報発生表示があれば(S105で「YES」)、人工地絡試験による警報として(S106)、「配電盤警報停止」、「配電盤表示復帰」のボタンを押下して警報・表示の復帰処置を行う(S107)。ステップS105で、「NO」の場合は、ステップS102以降の手順を実行する。
【0025】
一方、ステップS104で「YES」の場合は、フィーダーDG動作状態として、各配電線の地絡方向継電器の動作状態を調べる(S108)。いずれかの地絡方向継電器が動作している場合、すなわち、LED8〜13のいずれかが点灯している場合は(S108で「YES」)、「実地絡故障」表示(LED3)が点灯し(S111)、このとき人工地絡試験を中断して、スイッチギアにて該当配電線を手断する(S112)。一方、ステップS108で「NO」の場合は、配電系統「微地絡」として(S109)、人工地絡試験を中断して、スイッチギアにて地絡方向継電器の動作状態に基いて配電線を順次手断する。
【0026】
以上、本実施の形態によれば、地絡監視装置にGPT3次PTTの電気信号とフィーダーDG動作状態信号を取り込んで実地絡監視をすると共に、配電盤の警報表示を取り込み、この表示信号と実地絡監視状態によって、人工地絡試験による地絡発生か、実地絡による地絡発生かを切り分けて対策処置を実施するので、少ない現場対応要員で監視が可能となり、また人工地絡試験中に発生する実地絡事故の迅速かつ的確な検出が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電力系統における地絡事故の監視に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態による地絡監視装置の機能ブロック図である。
【図2】図1の地絡監視装置の展開接続図である。
【図3】図1の地絡監視装置のスイッチ、LED、計器等の配置図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による地絡監視方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 地絡監視装置
11 電源部
12 電源表示手段
13 地絡過電圧検出手段
14 整定値設定手段
15 フィーダーDG動作状態入力手段
16 実地絡検出手段
17 警報入力・表示手段
18 警報手段
19 配電盤警報停止手段
21 ボルテージセンサー
22 ボルテージセンサー接点
23 OVGリレー
24 BZ(ブザー)
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司


【公開番号】 特開2008−8645(P2008−8645A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176444(P2006−176444)