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【発明の名称】 ロックアウト装置の動作監視装置、断路器、ロックアウト装置の動作管理方法
【発明者】 【氏名】野々上 満洋

【氏名】三宅 啓司

【氏名】倉本 学

【要約】 【課題】断路器を停電させることなく、ロックアウト装置における異常の有無を精度良く監視できる装置を提供する。

【構成】断路器のロックアウト装置の動作監視装置1は、ロックアウトコイル310に通電されてから前記ロックアウト装置が動作完了するまでの動作時間と、この動作時間内に前記ロックアウト装置に通電される動作電流の時間変化とを測定する測定手段11と、測定した動作時間及び動作電流の時間変化を、正常に起動している場合の動作時間及び動作電流の時間変化と比較して異常の有無を判定する判定手段10とを備える
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電路の入状態と切状態とを切り替えるブレードと、入又は切の操作指令に応じて駆動される操作装置と、前記操作装置の回転駆動を前記ブレードに伝達する回転軸と、を有する断路器に設けられ、
前記回転軸に取付けられたロックピン用の切欠又は穴の設けられた円盤と、前記切欠又は穴に入り込んだ状態と、前記切欠又は穴の外に出た状態との間を移動可能なロックアウトレバーと、ロックアウトレバーを駆動するロックアウトコイルとを備え、常時は、前記ロックアウトレバーが前記切欠又は穴と係合することにより回転をロックし、前記指令信号が入力され、ロックアウトコイルが通電されると、ロックアウトレバーが回転することにより前記ロックを解除するロックアウト装置の動作監視装置であって、
前記ロックアウトコイルに通電されてから前記ロックアウト装置が動作完了するまでの動作時間と、前記動作時間内に前記ロックアウト装置に通電される動作電流の時間変化とを測定する測定手段と、
前記測定した動作時間及び動作電流の時間変化を、正常に起動している場合の基準動作時間及び基準動作電流の時間変化と比較して異常の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする断路器の動作監視装置。
【請求項2】
前記測定手段は、
ロックアウト装置に接続された電線より前記ロックアウトコイルに流れる電流を検知する直流クランプメータと、
前記ロックアウト装置の動作の完了を検知する動作検知手段と、
前記直流クランプメータがロックアウト装置に通電したことを検知してから、前記動作検知手段がロックアウト装置の動作完了を検知するまでの時間を測定し、前記動作時間としてメモリに記憶する手段と、
前記直流クランプメータがロックアウト装置に電流が流れたことを検知してから、前記動作検知手段がロックアウト装置の動作の完了を検知するまで、前記直流クランプメータにより検知された電流の時間変化をメモリに記憶する手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の断路器の動作監視装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記測定した動作時間と前記基準動作時間とを比較する動作時間比較手段と、
前記測定した動作電流の最大値の前記基準動作電流の最大値とを比較する最大値比較手段と、
前記測定した動作電流の時間変化と、前記基準動作電流の時間変化とを比較する波形比較手段と、
前記動作時間比較手段による比較結果と、前記最大値比較手段による比較結果と、前記波形比較手段による比較結果とに基づき前記ロックアウト装置の異常の有無及び異常の箇所を判定する手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の断路器の動作管理装置。
【請求項4】
請求項1から3何れかに記載の断路器の動作監視装置が組み込まれたことを特徴とする断路器。
【請求項5】
送電路の入状態と切状態とを切り替えるブレードと、入又は切の操作指令に応じて駆動される操作装置と、前記操作装置の回転駆動を前記ブレードに伝達する回転軸と、を有する断路器に設けられ、
前記回転軸に取付けられたロックピン用の切欠又は穴の設けられた円盤と、前記切欠又は穴に入り込んだ状態と、前記切欠又は穴の外に出た状態との間を移動可能なロックアウトレバーと、ロックアウトレバーを駆動するロックアウトコイルとを備え、常時は、前記ロックアウトレバーが前記切欠又は穴と係合することにより回転をロックし、前記指令信号が入力され、ロックアウトコイルが通電されると、ロックアウトレバーが回転することにより前記ロックを解除するロックアウト装置の動作監視方法であって、
前記ロックアウトコイルに通電されてから前記ロックアウト装置が動作完了するまでの動作時間と、前記動作時間内に前記ロックアウト装置に通電される動作電流の時間変化とを測定し、
前記測定した動作時間及び動作電流の時間変化を、正常に起動している場合の基準動作時間及び基準動作電流の時間変化と比較して異常の有無を判定することを特徴とする断路器の動作監視方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電力開閉器の一つである断路器に設けられたロックアウト装置の動作を監視するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発変電所の発変電機器には、遮断器、断路器、変圧器など、様々なものがある。かかる発変電機器の保守点検を行うにあたっては、各機器の動作状態を把握することが必要であり、そのため、従来、機器の巡視点検が行われている。しかしながら、運転中の機器の動作状態を巡視点検のみで精度良く把握することは必ずしも容易ではない。特に、電力開閉器である遮断器や断路器は、グリス固着などによって各部の動作時間が徐々に増加して最終的に故障に至るのであるが、巡視点検では、各部の動作時間を正確に判定することができないため、開閉器の不具合を初期段階で発見することは難しい。
このような断路器の異常の有無を検査する装置として、例えば特許文献1には、断路器を制御する制御電源及び操作電源からの電流を検出し、この制御電流波形と、操作電流波形との時間差に基づき、異常の有無を検査する装置が記載されている。
【特許文献1】特開平11−273510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、断路器には、主回路ブレードが入り又は切の状態を機械的に保持させるために、操作装置内部に送電路に接続される複数組の接触板を開閉させることにより、機械的に電流を遮断するロックアウト装置を備えているものがある。ロックアウト装置はリンク機構部の固渋、グリスの固化、ひっかかりなど様々な不具合を生じやすく、断路器における障害は、このロックアウト装置における異常が原因である場合が多い。
【0004】
特許文献1に記載の装置は、異常箇所の特定を行う機能は備えていないため、断路器全体の障害の有無は検出することができるが、それがロックアウト装置における異常が原因であるかどうかを検知することができない。
【0005】
また、ロックアウト装置の異常の有無を検査する方法として、ロックピンを動作させる機構をばねばかり又は人の手により、ロックアウト装置を動作させる際の抵抗の大きさを測定する方法が用いられることがあるが、この方法では測定誤差が大きく、一定の評価をすることができないという問題がある。また、この方法では、断路器を停電しなければ検査を行うことができないという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、断路器を停電して実施する点検時のみではなく、通常の断路器操作時にも精度良くロックアウト装置の異常の有無を監視できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の断路器の動作監視装置は、送電路の入状態と切状態とを切り替えるブレードと、入又は切の操作指令に応じて駆動される操作装置と、前記操作装置の回転駆動を前記ブレードに伝達する回転軸と、を有する断路器に設けられ、前記回転軸に取付けられたロックピン用の切欠又は穴の設けられた円盤と、前記切欠又は穴に入り込んだ状態と、前記切欠又は穴の外に出た状態との間を移動可能なロックアウトレバーと、ロックアウトレバーを駆動するロックアウトコイルとを備え、常時は、前記ロックアウトレバーが前記切欠又は穴と係合することにより回転をロックし、前記指令信号が入力され、ロックアウトコイルが通電されると、ロックアウトレバーが回転することにより前記ロックを解除するロックアウト装置の動作監視装置であって、前記ロックアウトコイルに通電されてから前記ロックアウト装置が動作完了するまでの動作時間と、前記動作時間内に前記ロックアウト装置に通電される動作電流の時間変化とを測定する測定手段と、前記測定した動作時間及び動作電流の時間変化を、正常に起動している場合の基準動作時間及び基準動作電流の時間変化と比較して異常の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記測定手段は、ロックアウト装置に接続された電線より前記ロックアウトコイルに流れる電流を検知する直流クランプメータと、前記ロックアウト装置の動作の完了を検知する動作検知手段と、前記直流クランプメータがロックアウト装置に通電したことを検知してから、前記動作検知手段がロックアウト装置の動作完了を検知するまでの時間を測定し、前記動作時間としてメモリに記憶する手段と、前記直流クランプメータがロックアウト装置に電流が流れたことを検知してから、前記動作検知手段がロックアウト装置の動作の完了を検知するまで、前記直流クランプメータにより検知された電流の時間変化をメモリに記憶する手段と、を備えてもよい。
【0009】
また、前記判定手段は、前記測定した動作時間と前記基準動作時間とを比較する動作時間比較手段と、前記測定した動作電流の最大値の前記基準動作電流の最大値とを比較する最大値比較手段と、前記測定した動作電流の時間変化と、前記基準動作電流の時間変化とを比較する波形比較手段と、前記動作時間比較手段による比較結果と、前記最大値比較手段による比較結果と、前記波形比較手段による比較結果とに基づき前記ロックアウト装置の異常の有無及び異常の箇所を判定する手段とを備えてもよい。
また、本発明は、上記の断路器の動作監視装置が組み込まれた断路器を含む。
【0010】
また、本発明の断路器の動作監視方法は、送電路の入状態と切状態とを切り替えるブレードと、入又は切の操作指令に応じて駆動される操作装置と、前記操作装置の回転駆動を前記ブレードに伝達する回転軸と、を有する断路器に設けられ、前記回転軸に取付けられたロックピン用の切欠又は穴の設けられた円盤と、前記切欠又は穴に入り込んだ状態と、前記切欠又は穴の外に出た状態との間を移動可能なロックアウトレバーと、ロックアウトレバーを駆動するロックアウトコイルとを備え、常時は、前記ロックアウトレバーが前記切欠又は穴と係合することにより回転をロックし、前記指令信号が入力され、ロックアウトコイルが通電されると、ロックアウトレバーが回転することにより前記ロックを解除するロックアウト装置の動作監視方法であって、前記ロックアウトコイルに通電されてから前記ロックアウト装置が動作完了するまでの動作時間と、前記動作時間内に前記ロックアウト装置に通電される動作電流の時間変化とを測定し、前記測定した動作時間及び動作電流の時間変化を、正常に起動している場合の基準動作時間及び基準動作電流の時間変化と比較して異常の有無を判定することを特徴とする。
【0011】
上記の断路器の動作監視装置によれば、ロックアウト装置の動作の影響を受けるロックアウト装置を流れる電流及びロックアウト装置の動作時間に基づき異常の有無を判定するため、ロックアウト装置内の異常の有無及びその箇所を判定することができる。また、断路器動作時のロックアウト装置に流れる動作電流に基づき測定を行うため、断路器を停電させる必要がなくとも、異常の有無を監視することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、断路器のロックアウト装置における異常の有無及びその箇所を判定することができる。また、断路器を停電させる必要がなくとも、異常の有無を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の断路器の動作監視装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態の動作監視装置による監視の対象となる断路器のロックアウト装置について説明する。図1は、監視の対象となるロックアウト装置を備えた断路器を示す斜視図である。同図に示すように、断路器100は、送電路に接続される複数組(図では3組)の固定接触部110a,110bと、これら固定接触部110a,110bの間を開閉するブレード120と、固定接触部110a,110bを絶縁する碍子130と、操作装置140の内部に設けられた操作モータや空気操作機構などの動力装置(図1には示さず)の回転を一のブレード120に伝達するための操作ロッド150と、当該一のブレード120の回転を他のブレード120に伝達するための連動ロッド160とを備えて構成されており、上記動力装置の回転駆動によってブレード120を回転することにより、固定接触部110a,110b間をブレード120で開閉するものである。
【0014】
操作装置には、その回転をロックするためのロックアウト装置が設けられている。図2は、このロックアウト装置300の構成の一例を示す平面図である。同図に示すように、ロックアウト装置300は、操作機構の回転軸302に取付けられた円盤304と、円盤304に設けられた切欠306に入り込んだ状態と切欠306の外に出た状態との間で回動可能なロックアウトレバー308と、ロックアウトレバー308を駆動するロックアウトコイル310とを備えている。ロックアウトコイル310が通電されない状態では、ロックアウトレバー308が切欠306と係合することにより操作機構の回転がロックされ、ロックアウトコイル310が通電されると、ロックアウトレバー308が回動してロック状態が解除される。
【0015】
図3は、断路器100の回路図である。先ず、この回路図に基づいて、例えば入操作を行う場合の断路器100の動作を説明する。なお、図3には、断路器100が切状態(図1の固定接触部110a、110b間が切り離された状態)である場合を示している。
不図示の遠隔制御装置において入操作が行われることにより遠隔制御線CL000に入信号が供給され、あるいは、制御盤にて制御スイッチが入操作されると、入操作スイッチ12が閉じることにより断路器100の入操作端子14に入の操作指令が入力される。なお,説明を簡素にするため,一部のリレー(62関係リレー)の動作については説明を省略している。
【0016】
断路器100の切状態では、接点16,17はメーク中であるため、上記のように入の操作指令が入力されると、その信号によりロックアウト装置300のロックアウトコイル310に通電され、ロックアウトレバー308が作動することで、操作機構のロック状態が解除され,動力装置(図3に符号28で示す)が動作可能となる。また、切状態では、接点20がメーク中であり、また、ロックアウトレバー308が作動すると、これに連動してLO接点22がメークすることにより88C24に通電され88C24が作動する。88C24が作動すると、これに連動して88C接点26がメークすることにより動力装置28が入方向に動作を開始し、ブレード120(図1)が切状態から入状態に向けて回転する。ブレード120が入状態に向けて回転を開始すると、パレットスイッチ群34が切→入の向きに動作を始め,パレットスイッチ70がオンからオフに切り替わり,続いてTaリミットスイッチ32がオンからオフに切り替わる。その後、ブレード120の回転動作が進み、入状態に近くになるとCaリミットスイッチ30がオフからオンに切り替わり,その後にパレットスイッチ68がオフからオンに切り替わり入り動作が完了となる。
【0017】
また、断路器100が入状態になると、接点16,17がブレークすることにより、動力装置28が停止すると共にロックアウトコイル310への通電が停止して操作機構がロックされ,動力装置28がロック状態となる。また、入状態になると、パレットスイッチ68がメークしていることからランプ71が点灯する。
【0018】
この入状態で、遠隔制御線OP000に切信号が供給され、あるいは、制御装置にて切操作が行われると、切操作スイッチ40が閉じることにより断路器100の切操作端子42に切の操作指令が入力される。断路器100の入状態では、接点16,17がブレークし、操作機構リミットスイッチ36,37がメークしているので、切の操作指令が入力されると、その信号によりロックアウトコイル310に通電されてロックアウトレバー308が作動することにより、操作機構のロックが解除され,動力装置28のロック状態が解除される。また、ロックアウトレバー308が作動すると、これに連動してLO接点44がメークすることにより88T46が作動する。88T46が作動すると、これに連動して88T接点48がメークすることにより動力装置28が切方向に動作を開始し、ブレード120が入状態から切状態に向けて回転する。ブレード120が切状態に向けて回転を開始すると、パレット群34が入→切の向きに動作を始め,パレットスイッチ68がオンからオフに切り替わり,続いてCaリミットスイッチ30がオンからオフに切り替わる。その後、ブレード120の回転動作が進み,切状態近くになるとTaリミットスイッチ32がオフからオンに切り替わり,その後,パレットスイッチ70がオフからオンに切り替わり,切り動作が完了となる。
【0019】
断路器100が切状態になると、接点36,37がブレークすることで動力装置28が停止すると共に、ロックアウトコイル310が停止して操作機構がロックされ,動力装置28がロック状態となる。また、切状態では、パレットスイッチ70がメークしていることからランプ69が点灯する。
【0020】
ここで、ロックアウト装置300は、ロックアウトコイル310が励磁され、動作電流はL/R(L:コイルのインダクタンス、R:コイルの直流抵抗)の時定数を持って上昇してゆき、一定の電流値を超えると、ロックアウトレバー308に接続されたプランジャが動き始めることにより動作する。プランジャが動作を開始すると、コイルの磁束と鎖交するように動くことにより電流と逆向きの誘起電圧が発生する。このため、ロックアウト装置310を流れる動作電流は図4に示すようになだらかに上昇した後、プランジャの動作による逆向きの誘起電圧の影響で減少し、プランジャが動作を完了して停止すると再び時定数を持って上昇し、一定値に収束する。
【0021】
この誘起電圧はプランジャの速度に比例して大きくなることから、グリスの固化などによりプランジャの動作が悪くなると、プランジャの移動速度が低下するため、逆向きの誘起電圧が小さくなり,電流の上昇が早くなるものの電流ボトム点が高く,プランジャの移動時間が長くなることから電流収束が遅くなる。また、ロックアウト装置300の機構において引掛りなどがあると、引掛りによりプランジャの動作速度が低下するため、動作電流の上昇カーブが変化する。
【0022】
そこで、ロックアウト装置300の動作時間及びロックアウト装置の電流の時間変化(すなわち、電流波形)を測定し、予め測定した正常起動時のロックアウト装置300の動作時間及び電流波形と比較することにより、ロックアウト装置300における異常の有無を判定することができる。さらに、上記説明したように、ロックアウトコイルのプランジャの動作は、異常箇所と異常の原因の影響を受けるため、基準となる電流波形に対する電流波形との差異に基づき、異常箇所及び原因の推定を行うことができる。
【0023】
図5は、本実施形態のロックアウト装置300の動作を監視する動作監視装置1の構成を示す図である。同図に示すように、動作監視装置1は、ロックアウト装置300の動作時間及びロックアウト装置300より出力される動作電流の波形(以下、動作電流波形という)を測定する測定部11と、測定部11により測定された動作時間及び動作電流波形を、基準となる正常起動時の動作時間(以下、基準動作時間という)及び電流の波形(以下、基準動作電流波形という)と比較して、異常の有無を判定する判定部10とを備える。
【0024】
測定部11は、CPU2と、メモリ3と、直流クランプメータ5と、動作検知装置4と、記録部9とを備える。直流クランプメータ5は、ロックアウト装置300本体(図面では、LO)の+側又は−側の接続しやすい電線に取り付けられ、ロックアウト装置300に流れる電流を検知し、その電流に応じた動作電流信号をCPU2に送信する。CPU2は、動作電流信号に基づき、電流値をメモリ3に記録する。
【0025】
また、動作検知装置4は、89C、89Tの+側の電線に接続され、電圧を測定することができる。89C、89Tは、ロックアウト装置300が動作完了すると(すなわち、ロックアウトレバーの動作が完了すると)、動作を開始するため、動作検知装置4は、この89C、89Tの+側の電圧を検出することにより、ロックアウト装置300の動作の完了を検知することができる。動作検知装置4は、ロックアウト装置300の動作の完了を検知すると、CPU2に動作完了検知信号を送信する。
【0026】
また、測定部11には適宜な外部I/Fを備え、この外部I/Fを介して判定部10と接続されており、測定部11が測定した動作時間及び動作電流の波形を判定部10に送信することができる。
判定部10はCPU6と、メモリ7と、記録部8とを備える。記録部8には、予め、判定の基準となる正常起動時の基準動作電流波形及び基準動作時間が記録されている。この基準動作電流波形及び基準動作時間は、正常起動時に後述する動作時間及び動作電流波形の測定時と同様の方法で測定したものである。
なお、本実施形態では、89C,89Tの電圧により、ロックアウト装置300の動作の完了を検知する構成としたが、これに限らず、ロックアウト装置300の動作完了を検知できればよい。
なお、本実施形態では、判定部10と、測定部11とを別の装置として記載しているが、これらを一体化してもよい。その場合、CPU2,6やメモリ3,7を共有化できる。また、判定部10と、測定部11を断路器100と一体化して、自己診断機能付き断路器としてもよい。
【0027】
まず、測定部11における動作時間及び動作電流の波形の測定方法を説明する。
なお、以下の説明において、COはロックアウト装置300の動作時間カウンタの、カウンタタイマを示す。
図6は、測定部11による動作時間及び動作電流波形を測定する処理を示すフローチャートである。
まず、ステップ500において、直流クランプメータ5より入力される動作電流信号に基づき、ロックアウト装置300に動作電流が流れるか否かを検出する。
ロックアウト装置300の動作電流が検出された場合には(ステップ500においてYES)、ステップ502においてカウンタタイマ(CO)及び動作電流のメモリを初期化する。
【0028】
以下、ステップ504〜512を繰り返すことにより電流値の時間変化を記録する。
まず、ステップ504において、直流クランプメータにより測定された電流値をメモリ3に記録する。
次に、ステップ506において、動作検知装置4により89Tが動作したことを検知すると、ステップ514において、カウンタタイマ(CO)を動作時間として記録部9に記録し、さらに、メモリ3に記録された電流値を動作電流として記録部9に記録する。
また、ステップ508において、動作検知装置4により89Cが動作したことを検知すると、ステップ516において、カウンタタイマ(CO)を動作時間として記録部9に記録し、さらに、メモリ3に記録された電流値を動作電流として記録部9に記録する。
【0029】
ステップ506及びステップ508において、動作検知装置4により89T及び89Cの動作が検出されない場合には、ステップ510において、カウンタタイマ(CO)に単位時間を加える。
なお、断路器の動作不良やサージなどによる誤作動のため、計測が終了しない場合が考えられる。このため、ステップ512において、カウンタタイマ(CO)が10S以上となった場合には、断路器の動作不能などの誤作動として、ステップ518において、その旨を記録部9に記録する。
【0030】
そして、ステップ520において、記録部9に記録された動作時間及び電流値を読み出し、判定部10に送信する。上記のように、記録部9には単位時間おきの電流値が時系列的に記録されているため、これに基づき動作電流波形を再現することができる。
【0031】
以下、上記測定したロックアウト装置300の動作時間及び動作電流波形に基づき、ロックアウト装置300の異常の有無を判定する処理を説明する。
まず、記録部8より、基準となるロックアウト装置の正常起動時の動作時間及び動作電流波形である基準動作時間及び基準動作電流波形を取得する。
次に、前記測定部11より送信されたロックアウト装置の動作時間及び動作電流波形と、基準動作時間及び基準動作電流波形とを比較して、異常の有無及び異常の箇所を判定する。
【0032】
図7は、ロックアウト装置300の動作時間及び動作電流波形に基づき、異常の有無を判定するべく判定部10のCPU6が実行する処理のフローチャートである。
まず、ステップ500において、ロックアウト装置300の動作時間を、基準動作時間と比較する。
ステップ600において動作時間が、基準動作時間よりも長いと判定された場合には(すなわちステップ600で増加)、ステップ610において、動作電流と、基準動作電流との電流の最大値を比較する。
【0033】
ステップ610において、動作電流の最大値が基準動作電流の最大値より減少していると判定された場合の波形の一例を図8(A)に示す。このように、電流波形の最大値が基準電流波形の最大値より減少している場合には、ステップ612において、例えば、LaリミットスイッチやLbリミットスイッチなどを含む制御回路における接触不良の可能性があると判定する。
ステップ610において、動作電流及び基準動作電流の最大値が略等しい場合には、ステップ620において、動作電流波形及び基準動作電流の波形を比較する。
【0034】
ステップ620において動作電流の波形を基準動作電流の波形と比較した場合に、図8(B)に示すように動作電流の上昇が、基準動作電流の上昇に比べて早い場合には、ステップ622において、グリスの固化による回転シャフトの動作抵抗が大きくなっている可能性があると判定する。
また、ステップ620において動作電流波形を基準動作電流波形と比較した場合に、図8(C)に示すように動作電流波形が途中で急変するような場合には、ステップ624において、リンク機構などに引掛りがある可能性があると判定する。
また、ステップ620において動作電流波形を基準動作電流波形と比較した場合に、波形の差異がほとんどないような場合には、ロックアウト装置の補助接点の接触不良の可能性があると判定する。
【0035】
また、ステップ610において、動作電流の最大値が、基準動作電流の最大値よりも小さい場合には、ステップ612において、リミットスイッチなどの制御回路における接触不良の可能性があると判定する。さらに、この場合、その他の異常の可能性もあるため、上記ステップ620において、動作電流及び基準動作電流の波形を比較して、その他の異常の有無を判定する。
【0036】
また、上記ステップ600において、動作時間が、基準動作時間と略等しい場合には、ステップ630において、動作電流及び基準動作電流の波形を比較する。
ステップ630において、動作電流波形が、基準動作電流波形に差異がある場合には、ステップ632においてリンク機構などに引掛りが発生する前兆の可能性があると判定する。また、ステップ630において、動作電流の波形が、基準動作電流の波形と略等しい場合には、ステップ634において、異常なしと判定する。
【0037】
また、上記ステップ600において、動作時間が基準動作時間に比べて減少している場合には、ステップ640において整流器の運転状態を判別する。その結果、整流器が均等充電中である場合には、ステップ644において、測定条件が異なるため整流器を浮動充電に切り替えて再測定を行うべき旨の判定を行う。また、ステップ640において、整流器が浮動充電中の場合には、ステップ642において、ロックアウト装置300の、ロックアウトレバー308と切欠306とが完全に係合していない可能性があると判定する。
以上のようにして判定した結果を、例えば画面表示するなど適宜な手段により表示する。
【0038】
上記説明したように、本実施形態のロックアウト装置300の動作監視装置1によれば、ロックアウト装置300における異常の有無を監視することができ、さらに、その異常の部位を特定することができる。さらに、通常動作時の動作時間及び動作電流に基づいて異常の有無を監視することができるので、断路器を停電することなく、異常を監視することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明が適用されるロックアウト装置を備えた断路器の概略構成を示す斜視図である。
【図2】断路器が備えるロックアウト装置の平面図である。
【図3】断路器の回路図である。
【図4】正常起動時のロックアウト装置の電流の時間変化を示す図である。
【図5】断路器の動作監視装置の構成を示す図である。
【図6】測定部により動作時間及び動作電流波形を測定する処理を示すフローチャートである。
【図7】判定部により動作時間及び動作電流波形に基づき判定の処理を示すフローチャートである。
【図8】ロックアウト装置の電流の時間変化を示す図であり、(A)は制御回路不良のある場合、(B)はグリス固化のある場合、(C)は引掛りのある場合、(D)は引掛りの前兆がある場合を示す。
【符号の説明】
【0040】
1 断路器動作監視装置 2 CPU
3 メモリ 4 動作検知装置
5 直流クランプメータ 7 メモリ
8 記録部 9 記録部
10 判定部 11 測定部
12 入操作スイッチ 14 入操作端子
16,17,20 接点 22,44 LO接点
24 入操作コイル 28 動作装置
30 Caリミットスイッチ 32 Taリミットスイッチ
34 パレットスイッチ群 36,37 操作機構リミットスイッチ
46 切操作コイル 69 ランプ(切表示)
68 パレットスイッチ89a接点 71 ランプ(入表示)
70 パレットスイッチ89b接点 120 ブレード
300 ロックアウト装置 310 ロックアウトコイル
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人


【公開番号】 特開2008−3039(P2008−3039A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175232(P2006−175232)