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【発明の名称】 プローブカード
【発明者】 【氏名】山内 学

【氏名】上田 守

【氏名】田代 晃史

【要約】 【課題】本発明は、半導体ウェハ上に高密度に集積されたチップの電気的特性の検査に使用するプローブカードにおいて、従来のプローブカードの構造を大きく変えることなく簡易な改変で以って、温度調節下(例えば、高温又は低温状態下)でも的確に半導体ウェハの検査を行えるプローブカードを提供する。

【構成】基板と、一つの検査領域に降ろされる複数のプローブを支持する支持ユニットが単数、又は前記支持ユニットが複数の検査領域を対象にして複数組、備えられ、かつ、前記基板の表面に平行な方向に前記支持ユニットが前記基板に対して相対的に摺動自在となるように前記支持ユニットを保持したことを特徴とし、また、前記支持ユニットと前記基板との間に挟持する易摺動性樹脂板を、かつ、前記支持ユニットが易摺動性樹脂ワッシャを介して前記補強板と上下方向に結合する結合具を配設することを特徴とするプローブカード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、一つの検査領域に降ろされる複数のプローブを支持する支持ユニットが単数、又は前記支持ユニットが複数の検査領域を対象にして複数組、備えられ、かつ、前記基板の表面に平行な方向に前記支持ユニットが前記基板に対して相対的に摺動自在となるように前記支持ユニットを保持したことを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
開口が開設された基板と、前記基板の表面側に前記開口を覆うように設けられた補強板と、一つの検査領域に降ろされる複数のプローブを支持する支持ユニットが単数、又は前記支持ユニットが複数の検査領域を対象にして複数組、備えられ、かつ、前記補強板の表面に平行な方向に前記支持ユニットが前記補強板に対して相対的に摺動自在となるように前記支持ユニットを保持したことを特徴とするのプローブカード。
【請求項3】
前記複数組の支持ユニットが結合部材によって所定間隔で結合されて一体化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプローブカード。
【請求項4】
前記支持ユニットが易摺動性部材を介して前記基板又は前記補強板に保持されていることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のプローブカード。
【請求項5】
前記易摺動性部材が、易摺動性樹脂板と易摺動性ワッシャーとで構成されていることを特徴とする請求項4に記載のプローブカード。
【請求項6】
前記易摺動性樹脂板と前記易摺動性ワッシャーが弗素樹脂製であることを特徴とする請求項5に記載のプローブカード。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ上に高密度に集積されたチップの電気的特性の検査に使用されるプローブカードの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ上にあるチップデバイスの電気的特性の検査に使用されるプローブカードは、図4に示すように、プローブ3を支持するプローブ支持ユニット4を補強板7に固着して吊下げる構造を採っている。そして通常プローブ支持ユニット4はセラミック材の支持板4−2とプローブ3を支持するエポキシ樹脂の樹脂固定部4−1とからなり、補強板7にはステンレス鋼等の金属板が用いられている。この両者を固着するためにエポキシ樹脂13を用いている。また、補強板は熱伝導の良い金属製で、プローブカードが大きい程面積が大きいから、プローブ支持ユニットよりも熱膨張などの熱影響を受け易く、熱変位が大きい。これによりプローブを支持している支持ユニットは補強板に固着しているから、支持ユニットが補強板の熱膨張や熱収縮の影響を直接受け、プローブの針先の位置移動をもたらす。すなわち、高温における半導体ウエハテスト時には、プローブの針先は針元に対して伸びる方向に移動し(針跡が内寄り)、低温時には逆に針先は縮む方向に移動する(針跡が外寄り)傾向にある。この傾向が大きいと、針跡がLSIチップの電極パッドから食み出すことになる。また、この傾向が小さくても、チップが大規模になり電極パッドが小さいと、針跡が同じく電極パッドから食み出すことになる。
【0003】
この針跡の位置移動による半導体ウエハ検査の悪影響を防止するための先行技術が開示されている(文献1)。この技術は、ウェハの高温検査を行うに先立って、プローブカードを高温状態にして全プローブの針跡を転写シートに転写することにより、全プローブの位置座標データ及び針跡の位置座標データを画像処理及び演算処理により得て、次いで、このデータに基づきプローブカードに対して被検査ウェハを正確にアラインメントを行うことで、全プローブを対応する電極パッドに対して正確に接触させて信頼性の高い検査が行えるというものである。
【特許文献1】特開2005−79253号公報(〔0034〕、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の検査方法及び検査装置は、半導体ウェハの検査に先立って温度調節下(例えば、高温状態下)でプローブカード毎の全プローブについて、その針跡の挙動を把握しておかなねばならない作業を要し、その煩雑さと、その作業のために針跡の画像、演算処理に要する処理装置の設備費と処理ソフト等の費用が多く嵩むという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、これらの問題を解決するために成したものであって、半導体ウェハ上に高密度に集積されたチップの電気的特性の検査に使用するプローブカードにおいて、基板に対する熱変形又は熱変位の影響を少なくした、特にプローブカード自体が大きい場合には、機械的な強度を維持するために、補強板を取り付けているので、補強板による熱変形又は熱変位に対する解決が重要であり、従来のプローブカードの構造を大きく変えることなく簡易な改変で以って、温度調節下(例えば、高温又は低温状態下)でも的確に半導体ウェハの検査を行えるプローブカードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、請求項1のプローブカードの発明は、基板と、一つの検査領域に降ろされる複数のプローブを支持する支持ユニットが単数、又は前記支持ユニットが複数の検査領域を対象にして複数組、備えられ、かつ、前記基板の表面に平行な方向に前記支持ユニットが前記基板に対して相対的に摺動自在となるように前記支持ユニットを保持したことを特徴とする。また、請求項2のプローブカードの発明は、開口が開設された基板と、前記基板の表面側に前記開口を覆うように設けられた補強板と、一つの検査領域に降ろされる複数のプローブを支持する支持ユニットが単数、又は前記支持ユニットが複数の検査領域を対象にして複数組、備えられ、かつ、前記補強板の表面に平行な方向に前記支持ユニットが前記補強板に対して相対的に摺動自在となるように前記支持ユニットを保持したことを特徴とする。
【0007】
この構成を採用することにより、半導体ウェハを温度調節下(例えば、高温又は低温状態下)で検査を行う場合に、プローブカードの基板又は補強板に対する熱変形又は熱変位の影響があり、特に金属製の補強板は熱膨張係数が大きく、温度による熱変位が大きいが、この悪影響を解消するために、前記支持ユニットが前記基板又は前記補強板に対して相対的に摺動自在となるように保持しているので、前記基板又は前記補強板の熱変形又は熱変位の影響が、プローブ中間部を支持する支持ユニットの位置変動をもたらさない。よって、本発明は、支持ユニット単体の熱膨張・熱収縮に限定される構造であるから、カンチレバー型に代表されるプローブの針元及び中間の支持ユニットの位置変動を極めて少なくできるので、自由端である針先の位置移動をほとんど無くす事が可能となる。
【0008】
また、前記の支持ユニットは一つの検査領域に対応しているが、複数の検査領域を有するプローブカードにおいて複数の支持ユニットが構成されているが、各支持ユニットが基板又は補強板に対しても、前述のように相対的に摺動自在となるように各支持ユニットを保持した構造を採っている。したがって、本発明のプローブカードは、高温又は低温状態において支持ユニットが基板又は補助板の動きに拘束されず、独立しているから、プローブ先の位置の精度を維持できる。また、半導体ウェハの検査を行う際に室温時の針先の位置データも高温又は低温状態において活用できる。
【0009】
また、請求項3のプローブカードの発明は、請求項1又は2に記載のプローブカードにおいて、前記複数組の支持ユニットが結合部材によって所定間隔で結合されて一体化されていることを特徴とする。
【0010】
複数チップの電極に同時に接触するように複数の検査領域が設定されているプローブカードの場合には、熱膨張又は熱収縮に応じて検査領域間の間隔が変化することになる。そのため、それぞれの検査領域ごとに熱変形又は熱変位に対応した制御が要求されるのと同時に検査領域間の熱変形又は熱変位に対応することが求められる。本発明では、複数の検査領域間を結合して一体とし、基板又は補強板とは独立して摺動できるように構成することにより、複雑な制御をすることなく単純な設計条件を設定するだけで対応できるようにしたものである。すなわち、半導体ウェハの熱膨張率、検査時の温度分布条件、検査を実施する際の半導体ウェハとプローブカードの距離などの条件から設定される熱膨張率に基づいて、支持ユニット及び結合部材の材質を設定して対応できる。これにより、複数の検査領域を有するプローブカードにおいて複数組の支持ユニットが構成されていても、各支持ユニットが前記基板又は補強板に対して摺動自在に保持されていると共に、複数組の支持ユニットを相互に所定間隔で結合して一体化することにより、各支持ユニットの相対的位置の変動を無くすことができ、複数の検査領域を同時に検査する場合において、プローブ針先の位置精度を正しく確保することができる。
【0011】
また、請求項4のプローブカードの発明は、請求項1又は2又は3に記載のプローブカードにおいて、前記支持ユニットが易摺動性部材を介して前記基板又は前記補強板に保持されていることを特徴とする。また、請求項5のプローブカードの発明は、前記易摺動性部材が、易摺動性樹脂板と易摺動性ワッシャーとで構成されていることを特徴とする。また、請求項5のプローブカードの発明は、前記易摺動性樹脂板と前記易摺動性ワッシャーが弗素樹脂製であることを特徴とする。
【0012】
これらの構成を採用することにより、前記支持ユニットが基板又は補強板に対して相対的に摺動自在にすることができる。また、易摺動性樹脂板を支持ユニットと基板又は補助板との間に挟持していると共に、支持ユニットを基板又は補強板に対して摺動方向と直角に結合する結合具(例えば、ねじ又は把持具)に易摺動性ワッシャーを介在させているので、支持ユニットは基板又は補助板の熱変形又は熱変位に拘束されない。また、易摺動性樹脂板としては、低摩擦係数を有し、耐熱性、電気絶縁性に優れる弗素樹脂が用いられる。なお、支持ユニットは支持板と、該支持板とプローブとを固着する固定樹脂部とからなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による請求項1から6までの構成のプローブカードによれば、簡易な構造であって、温度条件に拘わらず針跡の精度を維持できるから、従来のプローブカードの構造を大きく変える必要が無く、温度調節下、例えば、、高温又は低温状態への移行時においても、或いは試験経過等による温度変化に対しても、支持ユニットが補助板の動きに拘束されないから、プローブ先の位置の精度を維持できるので、半導体ウェハの検査を的確に行うことができる。また、半導体ウェハの検査を行う際に室温時の針先の位置データも活用できる。また、集積度の高いチップの検査に必要なプローブとして、針の外径・間隔の小さいプローブを有する構造にも十分適用できる。また、検査開始に伴うプローブカードのウォミングアップを必要としない簡便さがある。また、本発明は、一つの検査領域のみならず、複数の検査領域を有するプローブカードに適用することができるので、温度調節下で半導体ウェハの検査に使用する場合に十分効果を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。図1は、本発明の実施の形態であるプローブカードであって、aは模式的平面図、bは模式的断面図、cはbのA部拡大図である。図2は、aは図1における別の実施形態の断面図、bはaのA部拡大図である。図3は、本発明の別の実施形態であるプローブカードであって、複数の検査領域を有するもので、aはプローブカードの模式的断面図、bは別のプローブカードの模式的断面図、cはa、bにおける結合部材の模式的平面図である。
【0015】
図1を用いて、本発明の実施の形態であるプローブカード1について説明すると、プローブカード1は主として複数のカンチレバー型プローブ3(以下プローブと称す)と、前記プローブ3の針元と電気的接触を行う基板6と、前記プローブ3の中間部を支持する支持ユニット4と、前記支持ユニット4と前記基板6との間で挟持される易摺動性樹脂板5とから構成される。また、前記支持ユニット4はプローブ3群の針先を正確に位置決めするための支持板4−2と、前記支持板4−2と前記プローブ3群の中間部とを固着する樹脂固定部4−1と、から構成される。この構成により、プローブ3は針元を基板6上に固着し、かつ、中間部を支持ユニット4に固着している。よって、プローブ3は、基板6と支持板4−2の両面で固定されているので、自由端である針先の位置も固定されることになる。
【0016】
また、前記支持板4−2は、環状形状を有する平面板で形成される。環状形としては、円形、長円形、長方形(正方形を含む)のいずれかを呈する。また、支持板4−2は、耐熱性、強度、熱膨張率の小さい点でセラミック材を用いるのが最適で、温度変化に対して形状変化が極めて少なく、かつ、高強度である点から、支持板4−2に固着した樹脂固定部4−1の位置精度を向上させ、ひいてはプローブ3の針先の位置精度を正しく確保できる。前記樹脂固定部4−1は、通常高温用エポキシ樹脂を用いてプローブ3群と支持板4−2を一体に固着して形成する。
【0017】
また、前記基板6は、支持板4−2を取り巻いて配置する合成樹脂製のプリント板であって、プローブ3群の針元と電気的検査処理装置(図示しない)との導通を図るものである。プローブ3の針先の位置精度を高めるためには、基板6と支持ユニット4を形成する支持板4−2とは一体に結合していることが望ましい。
【0018】
また、補強板7(鎖線で図示)は、基板6の平面度を維持するための背面を補強するために用いてもよく、この場合、強度が高い金属製を用い、耐熱性、耐候性、耐汚染性及び被加工性の点からステンレス鋼を用いることが望ましい。
【0019】
また、前記支持板4−2は易摺動性樹脂板5を介して基板6に複数の鍋ねじ8により上下方向に螺着する。これにより、プローブカード1の支持板4−2は基板6から複数の鍋ねじ8により螺着して吊下げられる構造をとる。図1cに示すように、鍋ねじ8が支持板4−2を基板6に螺着する場合、支持板4−2を貫通する鍋ねじの穴は、ねじ径より大きめに穿孔され、かつ、鍋ねじの頭は、支持板4−2の面に易摺動性ワッシャーである弗素樹脂ワッシャ10と金属ワッシャ9を介して固着する。したがって、基板6がプローブ3に沿う平面的な変位を生じても、支持板4−2に対して基板6が独立して自由に摺動するので、支持板4−2はその位置を保持できる。なお、支持板4−2は、上下方向に対しては鍋ねじ8により基板6に保持されている。すなわち、基板6に熱変形又は熱変位が生じても、支持板4−2はプローブ3群の軸方向に対してその変形又は変位の影響を受けない。また、弗素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマ、エチレンーテトラフルオロエチレンコポリマ等を用いることができるが、最適なものはポリテトラフルオロエチレンである。
【0020】
本発明のプローブカード1の作用について説明すると、半導体ウェハの高温状態(85〜150℃)でのホットバーンテスト或いは低温状態(−20〜−40℃)でのコールドテストにおいて、室温時に比べてプローブカード1に温度変化をもたらした際に、合成樹脂製の基板6がセラミック製の支持板4−2に比べて温度変化による熱変形又は熱変位が大きくても、この熱変形又は熱変位に対して、基板6と支持板4−2との間に弗素樹脂に代表される易摺動性樹脂板5が介在しているので、板面に平行な方向には相互に滑りやすくなっており、支持板4−2は基板6の変形又は変位に拘束されず、現位置の状態を維持し、位置ずれが生じない。
【0021】
よって、本発明のプローブカード1に温度変化が加わって生じた基板6の熱変形又は熱変位に対して、支持板4−2は相対的に摺動自在になっているから、支持板4−2はその位置変動が生じない。よって、樹脂固定部4−1も位置が変動せず、プローブ3の中間部の支持位置も変動しない。したがって、プローブ3群の針先の位置変動が極めて少ないから、検査時のオーバードライブによる針先の針跡が半導体チップの電極パッドから外れることはなく、正常な半導体チップの電気的特性の検査を行うことができる。
【0022】
図2を用いて、本発明の別の実施の形態であるプローブカード1について、図1と異なる点を主体に説明すると、プローブカード1は主として複数のカンチレバー型プローブ3(以下プローブと称す)と、前記プローブ3の針元で電気的接触を行う基板6と、前記プローブ3の中間部を支持する支持ユニット4と、前記支持ユニット4を平面的に補強し、かつ、基板6の開口部12を覆う形で基板6を補強する補強板7と、前記支持ユニット4と前記補強板7との間で挟持される易摺動性樹脂板5とから構成される。また、前記支持ユニット4はプローブ3群の針先を正確に位置決めするための支持板4−2と、前記支持板4−2と前記プローブ3群の中間部とを固着する樹脂固定部4−1と、から構成される。この構成により、プローブ3は針元を基板6上に固着し、かつ、中間部を支持ユニット4に固着している。よってプローブ3は、基板6と支持板4−2の両面で固定されているので、自由端である針先の位置も固定されることになる。
【0023】
また、前記支持板4−2は、環状形状を有する平面板で形成され、かつ、中央部にプローブ3群から突出した針先が臨む検査領域2を含む開口部12を形成する。環状形としては、円形、長円形、長方形(正方形を含む)のいずれかを呈する。また、支持板4−2は、耐熱性があり、強度が強く、熱膨張率の小さい点でセラミック材を用いるのが最適で、温度変化に対して形状変化が極めて少なく、かつ、高強度である点で、支持板4−2に固着した樹脂固定部4−1の位置精度を向上させる。前記樹脂固定部4−1は、通常高温用エポキシ樹脂を用いてプローブ3群と支持板4−2を一体に固着して形成する。
【0024】
また、前記補強板7は、支持板4−2の平面度を維持するための背面を補強する板であり、強度が高い金属製が用いられ、耐熱性、耐候性、耐汚染性及び被加工性の点からステンレス鋼を用いることが望ましい。
【0025】
また、前記支持板4−2は易摺動性樹脂板5を介して補強板7に複数の鍋ねじ8により上下方向に螺着する。これにより、プローブカード1の支持板4−2は補強板7から複数の鍋ねじ8により螺着して吊下げられる構造をとる。図2bに示すように、鍋ねじ8が支持板4−2を補強板7に螺着する場合、支持板4−2を貫通する鍋ねじの穴は、ねじ径より大きめに穿孔され、かつ、鍋ねじの頭は、支持板4−2の面に弗素樹脂ワッシャ10と金属ワッシャ9を介して固着する。したがって、補強板7がプローブ3に沿う平面的な変位を生じても、支持板4−2はそれに拘束されず、独立して自由に摺動することで、その位置を保持する。しかし補強板7は、上下方向に対しては鍋ねじ8により支持板4−2に支持されている。すなわち、補強板7に熱変形又は熱変位が生じても、支持板4−2はプローブ3群の軸方向に対してその変形又は変位の影響を受けない。
【0026】
本発明のプローブカード1の作用について説明すると、半導体ウェハの高温状態(85〜150℃)でのホットバーンテスト或いは低温状態(−20〜−40℃)でのコールドテストにおいて、室温時に比べてプローブカード1に温度変化をもたらした際に、補強板7は金属製(特にステンレス鋼)であるので、セラミック製の支持板4−2に比べ、温度変化による熱変形又は熱変位が大きい。この熱変位に対して、補強板7は支持板4−2との間に弗素樹脂に代表される易摺動性樹脂板5が介在しているので、板面に平行な方向には相互に滑りやすくなっており、支持板4−2は補強板7の変位に拘束されず、現位置の状態を維持し、位置ずれが生じない。
【0027】
よって、本発明のプローブカード1に温度変化が加わって生じた補強板7の熱変位に対して、支持板4−2は相対的に独立しているから、支持板4−2は勿論、支持板4−2と結合した樹脂固定部4−1もその位置変動が生じない。したがって、プローブ3の中間部を支持する支持ユニット4の位置変動がなく、プローブ3群の針先の位置変動を極めて少なくでき、検査時のオーバードライブによる針先の針跡が半導体チップの電極パッドから外れることはなく、正常な半導体チップの電気的特性の検査を行うことができる。
【0028】
また、図3は、本発明の別の実施形態であるプローブカード1であって、検査対象のウェハに対向して配置される検査領域を複数有するものである。複数チップの電極に同時に接触するように複数の検査領域が設定されているプローブカードの場合には、熱膨張又は熱収縮に応じて検査領域間の間隔が変化することになる。そのため、それぞれの検査領域ごとに熱変形又は熱変位に対応した制御が要求されるのと同時に検査領域間の熱変形又は熱変位に対応することが求められる。本発明では、複数の検査領域間を結合して一体とし、基板又は補強板とは独立して摺動できるように構成することにより、複雑な制御をすることなく単純な設計条件を設定するだけで対応できるようにしたものである。すなわち、半導体ウェハの熱膨張率、検査時の温度分布条件、検査を実施する際の半導体ウェハとプローブカードの距離などの条件から設定される熱膨張率に基づいて、支持ユニット及び結合部材の材質を設定して対応できる。なお、本実施例では、正方形の四隅に検査領域を設定したものを示しているが、更に多くの検査領域を備える場合など、配置を変えることも任意である。
【0029】
図3cは、四つの検査領域2を正方形の角に配置したプローブカード1の模式的平面図を示している。各プローブエリアは、被測定チップの電極(図示しない)に接触して電気的測定を行う複数のプローブ3群が中央の検査領域2の周縁部から被測定電極に対して求心的に配設されていて、該プローブ3群は針元部を基板6で支持されると共に、中間部を支持ユニット4である支持板4−2に固着する樹脂固定部4−1で支持される構造を有する。また、結合部材11は、本実施例の場合、全体が十字状の結合部を有する四方に延びた形状又は斜め対角方向に延びた形状で、各端部に開口部を有する検査領域2を形成し、セラミック材で一体的に成型される。すなわち、結合部材11は支持板4−2と耐熱性があり、強度が強く、熱膨張率の小さいセラミック材で一体的に成形されるから各検査領域2間の相対的な位置変動を極めて少なくできる。
【0030】
図3aに示すように、複数の検査領域2を有するプローブカード1の模式的断面図であって、支持ユニット4を構成する支持板4−2が基板6に易摺動性樹脂板である弗素樹脂板5を介して基板6に複数の鍋ねじ8により上下方向に螺着する。また、各検査領域2の支持板4−2は結合部材11と一体的に成形されて結合されている。これにより各検査領域2間の相対的な位置変動を極めて少なくできる。また、図3bは、複数の検査領域2を有する別のプローブカード1の模式的断面図であって、支持板4−2の背面に支持板4−2の平面形状を維持するために、支持板4−2と類似の形状を有する補強板7が上下方向に鍋ねじ8で結合される。また、補強板7の水平方向の熱変位に対しては、それに拘束されないよう支持板4−2と補強板7との間に易摺動性樹脂板である弗素樹脂5が挟持されている。また、各検査領域2の支持板4−2は結合部材11と一体的に成形されて結合されている。これにより各検査領域2間の相対的な位置変動を極めて少なくできる。この各検査領域2のプローブ3群における温度調節下の熱変形又は熱変位に対する作用は、前述したとおりであって、各プローブエリアにおいて基板6又は補強板7の熱変形又は熱変位の影響を最小限にすることができる。よって、本発明の構成は複数の検査領域2を有するプローブカード1にも十分適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
半導体ウェハにおいて、高集積化ICチップの電気的特性の検査に使用するプローブカードに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態であるプローブカードであって、aは模式的平面図、bは模式的断面図、cはbのA部拡大図である。
【図2】aは図1における別の実施形態の断面図、bはaのA部拡大図である。
【図3】本発明の別の実施形態であるプローブカードであって、複数の検査領域を有するもので、aはプローブカードの模式的断面図、bは別のプローブカードの模式的断面図、cはa、bにおける結合部材の模式的平面図である。
【図4】従来のプローブカードにおけるプローブ支持ユニットであって、aは模式的断面図、bはaのA部拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
1:プローブカード 2:検査領域 3:プローブ 4:支持ユニット 4−1:樹脂固定部 4−2:支持板 5:弗素樹脂板 6:基板 7:補強板 8:鍋ねじ 9:金属ワッシャ 10:弗素樹脂ワッシャ 11:結合部材 12: 開口部 13:高温用エポキシ樹脂
【出願人】 【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞


【公開番号】 特開2008−3023(P2008−3023A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174889(P2006−174889)