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【発明の名称】 マルチレンジ加速度センサー
【発明者】 【氏名】風間 敦

【氏名】岡田 亮二

【氏名】斎藤 正勝

【氏名】杉本 正和

【要約】 【課題】測定レンジの大きく異なる複数の3軸加速度センサーを小さい面積に低コスト

【構成】枠部と、対を成す梁部2対を介して枠部に保持される錘部と、梁部に設け
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部と、対を成す梁部2対を介して枠部に保持される錘部と、梁部に設けられた半導体
ピエゾ抵抗素子と、それらを接続する配線を有し、梁部が形成された面内の2軸と、前記
面に略垂直な軸の3軸の加速度を検出可能な3軸加速度センサー素子を、2つ以上同一チ
ップに形成したマルチレンジセンサーチップを有するマルチレンジ3軸加速度センサーで
あって、マルチレンジセンサーチップの複数の3軸加速度センサー素子は、第一から第n
の3軸加速度センサー素子まで順に単位加速度当たりの出力電圧が小さくなることを特徴
とするマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項2】
マルチレンジセンサーチップの第一から第nの3軸加速度センサー素子は、第一の3軸
加速度センサー素子を構成する枠部の少なくとも1つ以上の枠辺の中に、第二から第nの
3軸加速度センサー素子が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチレン
ジ3軸加速度センサー。
【請求項3】
全ての3軸加速度センサー素子の梁部の厚みが同じであることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項4】
全ての3軸加速度センサー素子の錘部の厚みが同じであることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項5】
全ての3軸加速度センサー素子の錘部および枠部の厚みが同じであることを特徴とする
請求項1または2に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項6】
第一から第nの3軸加速度センサー素子まで順に、錘部の質量が小さくなることを特徴
とする請求項1または2に記載のマルチレンジ加速度センサー。
【請求項7】
第一から第nの3軸加速度センサー素子まで順に、梁部の長さが短くなることを特徴と
する請求項1または2に記載のマルチレンジ加速度センサー。
【請求項8】
第一から第nの3軸加速度センサー素子まで順に、梁部の幅が広くなることを特徴とす
る請求項1または2に記載のマルチレンジ加速度センサー。
【請求項9】
第一から第nの3軸加速度センサー素子まで順に、対を成す梁部の枠部と接続する端部
間の距離が小さくなることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチレンジ加速度セ
ンサー。
【請求項10】
第二から第nのうち少なくとも1つの3軸加速度センサー素子が、枠部と、対を成す梁
部で枠部に保持される錘部と、梁部に設けられた半導体ピエゾ抵抗素子と、それらを接続
する配線を有し、梁部が形成される面内の第一の軸と、前記面に略垂直な第二の軸の加速
度を検出可能な2軸加速度センサー素子2個を、第一の軸同士が互いに直交するように配
置してなる3軸加速度センサー素子により構成されていることを特徴とする請求項1また
は2に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項11】
全ての2軸加速度センサー素子と3軸加速度センサー素子の梁部の厚みが同じであるこ
とを特徴とする請求項10に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項12】
全ての2軸加速度センサー素子と3軸加速度センサー素子の錘部の厚みが同じであるこ
とを特徴とする請求項10に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【請求項13】
全ての2軸加速度センサー素子と3軸加速度センサー素子の錘部および枠部の厚みが同
じであることを特徴とする請求項10に記載のマルチレンジ3軸加速度センサー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末機器や玩具、自動車、航空機等に用いられる加速度検出用の半導体
加速度センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加速度センサーは、自動車のエアーバッグ作動用に多く用いられ、自動車が衝突した衝
撃を加速度としてとらえていた。自動車ではX軸とY軸の加速度を測定するため、1軸も
しくは2軸機能で充分であった。また、測定する加速度が非常に大きいため、加速度を検
知する加速度センサー素子も頑丈に製作されている。最近は、携帯端末機器やロボット等
にも加速度センサーが使用されることが多くなって来ている。3次元空間の動きを検出す
るためX,Y,Z軸の加速度が測定できる3軸加速度センサーが要求されてきている。こ
れらの用途では、数Gから数十Gの小さな加速度の検出が要求されるだけでなく、高分解
能であることが求められる。
【0003】
ピエゾ抵抗素子型3軸加速度センサーに関して出願人は広範囲に多数出願している。特
許文献1から特許文献6で、錘部の形状や梁部の形状、ピエゾ抵抗素子の配置、ピエゾ抵
抗素子の接続方法、梁部と枠部の接合部の形状等を明らかにしている。図11に3軸加速
度センサーの分解斜視図、図12a)に図11のh−h’方向の断面図、図12b)にセ
ンサーチップの平面図を示す。3軸加速度センサー20は、ケース1にセンサーチップ2
と規制板3が樹脂などの接着剤16で所定の間隔で固着されている。センサーチップ2の
チップ端子4はワイヤー5でケース端子6に接続され、センサーの信号は外部端子7から
取り出す。ケース1にはケース蓋8を例えばAuSuはんだ等の接着剤17で固着し密封
されている。センサーチップ2には、3軸加速度センサー素子9が形成されている。3軸
加速度センサー素子9は、方形の枠部10と錘部11と対を成す梁部12で構成され、錘
部11が2対の梁部12で枠部10の中央に保持されている。梁部12にはピエゾ抵抗素
子が形成されている。一対の梁にはX軸ピエゾ13とZ軸ピエゾ15が、他の一対の梁に
はY軸ピエゾ14が形成されている。図12a)の錘部11の下面とケース1の内底面と
の間隔g4と、錘部11の上面と規制板3の間隔g3は、衝撃の様な過度な加速度がセン
サーに加わったとき、錘部11の動き量を規制して梁部12の破損を防ぐものである。本
願のピエゾ抵抗素子型3軸加速度センサーの基本的な構造はこれら特許文献と同じである
ので、特に断りのない限り詳細説明は省略する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−172745号 公報
【特許文献2】特開2003−279592号 公報
【特許文献3】特開2004−184373号 公報
【特許文献4】特開2006−098323号 公報
【特許文献5】特開2006−098321号 公報
【特許文献6】WO2005/062060 A1
【0005】
携帯型小型機器の落下状態検知や振って操ると言う様なユーザーインターフェースなど
の用途では数Gレベルであるが、衝撃検知の様な用途では数百から数千Gの値となる。例
えば、磁気ディスクを内蔵する携帯機器においては、落下時の衝撃で磁気ディスクが破壊
しないように、落下を検知した時点でヘッドを待避させ、衝撃時の破壊を防止するという
用途がある。それに加え、製品の損傷時の修理に際しては、製品がどのような衝撃を受け
たかという来歴を知りたいという要求がある。落下検知と組合せて衝撃加速度の来歴を効
率的に記録する手法についても出願人は特許文献7で明らかにしている。このように、一
つの製品で、数Gレベルの落下検知と、数百から数千Gレベルの衝撃検知を行いたいとい
う要求がある。その場合、数Gと数百から数千Gの加速度を高い精度で得るには、1つの
加速度センサーでは難しい。これは、数百から数千Gの加速度を測定する加速度センサー
で、数Gの加速度を検出する場合、検出の分解能(精度)が得られないためである。
【0006】
【特許文献7】特開2005−241503号公報
【0007】
数百から数千Gの大きな値の加速度と数G程度の小さな値の加速度を同じ分解能で検知
するには、数百から数千Gを測定する加速度センサーと数Gを測定する加速度センサーを
別個に準備する必要があった。図13は、数G、数十G、数百Gの測定レンジを持つ加速
度センサー21、22、23各1個を回路基板24に実装して、高分解能で数Gから数百
Gの加速度を測定できる加速度センサー装置25である。加速度センサーを3個使用して
いるため、少なくとも加速度センサー装置の価格は、加速度センサーの数倍になることは
容易に理解できる。また、小型化も難しいことも容易に理解できる。
【0008】
複数の加速度センサーを用いた加速度センサー装置25では、加速度センサー間の検出
軸方向の合わせが非常に難しい。回路基板に半田で加速度センサーを接続するときに、加
速度センサー間で加速度センサー素子の検出軸の角度ずれを略ゼロとするとすることは難
しい。加速度センサーの外形の一部を基準に組み立てたとしても、その外形基準と加速度
センサー素子の軸が一致していなければ軸ずれは発生してしまう。加速度センサー間で検
出軸の角度ずれがあると、例えば数Gの加速度センサーの測定値と数十Gの加速度センサ
ーの測定値が、同じ軸方向の加速度として測定できないことが起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
小型化と低価格化を実現し、検出軸の角度ずれをなくすことが出来るマルチレンジ加速
度センサーが、特許文献8に開示されている。図14にその構造を示す。マルチレンジ加
速度センサー30は、枠31内に2つ以上のセンサー素子を設けた構造で、センサー素子
は梁32の一方の端を枠31に、他方は錘33に接続されている。梁32は枠31との接
続点を支点として錘33が力点となった片持梁の構造となっている。錘33の動きを、錘
33と所定の間隔をあけて配された電極34との間の静電容量変化により測定し、加速度
を検出するものである。センサー素子は梁の長さや錘の質量を変えることで、測定する加
速度の範囲を決めている。
【0010】
【特許文献8】特開平8−136574号 公報
【0011】
特許文献8の加速度センサーは、ワンチップに測定範囲の異なるセンサー素子を形成し
ているので、センサー素子間で軸のずれをなくすことができる。軸ずれはフォトリソ用の
フォトマスクとフォトリソ時の誤差で発生するが、殆んど無視して良いレベルであり軸ず
れはなしと考えて良い。しかし、特許文献8は1軸のセンサー素子であるため、3軸の加
速度を測定するには、3個のセンサー素子を各90度異なった位置に配置する必要がある
。X,Y,Z軸を正確に出して3個のセンサー素子を配置するのが非常に難しいことは理
解できる。また、3個のセンサー素子を組み合わせる必要があるので、小型化が難しいこ
とも容易に理解できる。この特許文献8のマルチレンジ1軸加速度センサ−を用いて、マ
ルチレンジ3軸加速度センサーを得るのは、実質的に図13で示した従来の加速度センサ
ー装置と、加速度センサーの数や価格、大きさ的に大差がないものである。
【0012】
特許文献8の加速度センサー構造では、センサー素子間で干渉する恐れがあり、その対
策も必要となる。枠31の1つの辺に複数の梁32が形成されているため、一方のセンサ
ー素子の動きが、他方のセンサー素子の測定に影響を与えてしまいやすい。また、梁32
の幅方向に加速度が加わったときに他のセンサー素子と錘33がぶつからないようにする
必要があり、センサー素子間を開ける等の配慮も必要となる。
【0013】
本発明の目的は、ワンチップに測定範囲の異なるセンサー素子を形成し、測定範囲の異
なるセンサー素子間で各軸のずれがない、高精度で小型なマルチレンジ3軸加速度センサ
ーを安価に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、枠部と、対を成す梁部2対を介して枠
部に保持される錘部と、梁部に設けられた半導体ピエゾ抵抗素子と、それらを接続する配
線を有し、梁部が形成された面内の2軸と、前記面に略垂直な軸の3軸の加速度を検出可
能な3軸加速度センサー素子を、少なくとも2つ以上同一チップに形成したマルチレンジ
センサーチップを有するマルチレンジ3軸加速度センサーであって、マルチレンジセンサ
ーチップの複数の3軸加速度センサー素子は、第一から第nの3軸加速度センサー素子ま
で順に単位加速度当たりの出力電圧が小さくなることが好ましい。
【0015】
前記3軸加速度センサー素子は、加速度が錘部に作用することで梁部が変形し、梁部に
形成した半導体ピエゾ抵抗素子に応力が発生して電気抵抗が変化し、それを電位差(出力
電圧)に変換して出力する仕組みである。第一から第nの3軸加速度センサー素子は、単
位加速度に対する出力電圧が順に小さくなるように形成されている。
【0016】
例えば測定レンジ±3Gの第1の3軸加速度センサー素子は、加速度1Gあたりの出力
電圧を1Vに、測定レンジ300Gの第nの3軸加速度センサー素子は、加速度1Gあた
りの出力電圧を0.01Vにすることで、各3軸加速度センサー素子の測定レンジに対応
する出力電圧のフルレンジを±3Vに合わせることができ、それぞれ±3Vを同じ分解能
で検出すれば、異なる加速度レンジのそれぞれで高精度な検出が可能になる。
【0017】
各加速度センサー素子の単位加速度あたり出力は、測定レンジにおいて出力電圧が直線
性を保つ領域になるように設定される。測定レンジの広いセンサー素子に対して、単位加
速度あたりの出力電圧を高く設定しすぎると、測定レンジ内で梁部の変形が非線形の領域
に達してしまい、出力電圧の直線性が保たれない恐れがある。
【0018】
前記第一から第nの3軸加速度センサー素子は、同一チップ内に形成する。そのため、
それぞれの素子の形成に個別の工程を必要とせず、フォトマスクに各素子の形状を描画し
ておき、フォトリソやエッチングの工程を用いて一括形成することで、低コストに製造で
きる。
【0019】
また、第一から第nの3軸加速度センサー素子は、同一のチップ面に形成されるため、
チップ面に垂直な方向の検出軸(Z軸)を高精度に一致させることが容易に可能である。
さらに、チップ面に平行な2つの検出軸(X、Y軸)についても、フォトリソのマスク精
度に従って、高精度に一致させることが容易に可能である。
【0020】
マルチレンジセンサーチップの上下に規制板を配置することにより、測定レンジを超え
る加速度が発生した場合に、錘部が規制板に当たることでそれ以上の変位を規制し、梁部
の破壊を防ぐことができ、信頼性の高いマルチレンジ加速度センサーを実現できる。
【0021】
上下の規制板は、マルチレンジセンサーチップと熱膨張率が近い材料が望ましく、例え
ばガラス、シリコン、セラミック、FeNi合金などの材質を用いることができる。3軸
加速度センサー素子との間にギャップを形成するように、接着剤や金属接合などを用いて
接着される。
【0022】
また、上の規制板は、検出回路として用いるICチップを用いてもよい。また、マルチ
レンジ加速度センサーをケース内に設置して上部に蓋をしたパッケージに納める場合、ケ
ースの内底を下の規制板の代わりとしてもよい。
【0023】
各3軸加速度センサー素子の錘部と、規制板との間隔は、同じにすることにより、規制
板が平坦でよく製造のし易さの点で望ましい。その際は、全ての3軸加速度センサー素子
について、上記間隔が、測定レンジ内において錘部が規制板に衝突せず、かつ錘部が規制
板に衝突する前に梁部が破損しないような間隔となるようにする。また、上記を満たす間
隔が得られない、あるいはより信頼性を重視する場合には、測定レンジが大きいほど、錘
部と規制板の間隔が狭くなるように規制板を配置する。その際は、例えば規制板に深さの
異なるキャビティ部を形成することで実現できる。また、測定レンジが大きい第nから逆
順にいくつかの3軸加速度センサー素子については、発生が想定される加速度に対して梁
が破損する恐れがない場合に、その上下に規制板が配置されていなくてもよい。
【0024】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、マルチレンジセンサーチップの第一か
ら第nの3軸加速度センサー素子は、第一の3軸加速度センサー素子を構成する枠部の少
なくとも1つ以上の枠辺の中に、第二から第nの3軸加速度センサー素子が形成されてい
ることが好ましい。
【0025】
3軸加速度センサー素子は、略正方形の領域に形成され、周辺4辺に配置された4つの
枠辺がセンサー素子の枠部を構成する。第二から第nの3軸加速度センサー素子を第一の
3軸加速度センサー素子の枠辺の中に形成することにより、各3軸加速度センサー素子が
枠部を共有し、小さな面積の中に複数のレンジの3軸加速度センサー素子を配置すること
ができる。また、各3軸加速度センサー素子はそれぞれの枠部により分離されており、各
々の振動が他の3軸加速度センサー素子に影響を与えることがなく、また錘部が他の加速
度センサー素子の錘部に干渉することがない。
【0026】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、全ての3軸加速度センサー素子の梁部
の厚みが同じであることが好ましい。
【0027】
本願の3軸加速度センサー素子においては、梁部の厚みが変化すると、単位加速度に対
する出力電圧が敏感に変化するため、梁部の厚みを精度よく形成することが望ましい。そ
こで薄いシリコン層と厚いシリコン層をシリコン酸化膜層を介して積層したSOI(Si
licon on Insulator)基板を用いて加工することが望ましい。エッチ
ングによりシリコン層を加工して、薄いシリコン層に梁部を、薄いシリコン層から厚いシ
リコン層にかけて錘部を形成する。本願のマルチレンジ3軸加速度センサーでは、全ての
3軸加速度センサー素子の梁部の厚さを同じにすることで、薄いシリコン層に厚さの異な
る梁を形成する必要がないので、薄いシリコン層の厚みをそのまま利用して、全ての3軸
加速度センサー素子の梁部形成を一度のエッチングで一括しで行うことができ、製造の工
数が少なく低コストにできる。
【0028】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、全ての3軸加速度センサー素子の錘部
の厚みが同じであることが好ましい。
【0029】
梁部と同様に錘部も全ての3軸加速度センサー素子で厚みが同じにすることにより、厚
いシリコン層の厚みをそのまま利用して、全ての3軸加速度センサー素子の錘部を一度の
エッチングで一括して形成できることから、製造の工数が少なく低コストにできる。
【0030】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、全ての3軸加速度センサー素子の錘部
および枠部の厚みが同じであることが好ましい。
【0031】
錘部と枠部の厚みも同じにすることで、厚いシリコン層の厚みをそのまま利用して錘
部と枠部を一度のエッチングで一括して形成することができ、製造の工数が少なく低コス
トにできる。
【0032】
また、枠部と錘部の下面の位置が同一面内に揃うことから、枠部の少なくとも3箇所に
おいて、同じ高さのスペーサを介してマルチレンジ加速度センサーチップと下の規制板を
配置することで、錘下面と規制板の間隔を全ての3軸加速度センサー素子で同一にするこ
とが容易に可能である。
【0033】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、第一から第nの3軸加速度センサー素
子まで順に、錘部の質量が小さくなることが好ましい。
【0034】
錘部の質量を小さくすることにより、単位加速度に対して錘部に作用する力が小さくな
るので、単位加速度あたりの出力電圧を小さくできる。本願発明のマルチレンジ3軸加速
度センサーにおいては、前述のように錘部の厚さを同じにすることが望ましいので、チッ
プ面内における寸法を小さくすることで錘部の質量を小さくするのが望ましい。
【0035】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、第一から第nの3軸加速度センサー素
子まで順に、梁部の長さが短くなることが好ましい。
【0036】
梁部の長さを短くすることで、梁部の曲げ剛性が大きくなるので、単位加速度に対して
梁部に発生する応力が小さくなり、単位加速度に対する出力電圧を小さくできる。
【0037】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、第一から第nの3軸加速度センサー素
子まで順に、梁部の幅が広くなることが好ましい。
【0038】
梁部の幅を広く短くすることで、梁部の曲げ剛性が大きくなるので、単位加速度に対し
て梁部に発生する応力が小さくなり、単位加速度に対する出力電圧を小さくできる。本願
発明のマルチレンジ3軸加速度センサーにおいては、同一チップに一括で形成するため梁
部の厚さを同じにすることが望ましいので、上記のように、梁部の長さを短く、あるいは
幅を広くして、梁部の曲げ剛性を高くすることが望ましい。
【0039】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、第一から第nの3軸加速度センサー素
子まで順に、対を成す梁部の枠部と接続する端部間の距離が小さくなることが好ましい。
【0040】
対をなす梁部の枠部と接続する端部間の距離とは、すなわち枠部の内部領域の寸法であ
り、3軸加速度センサー素子のチップ面内に占める寸法と言い換えられる。その寸法が小
さいほど、錘部の寸法が小さく、また梁部の長さが短くなるため、錘部に作用する力が小
さくなり、また梁部の曲げ剛性が高くなり、単位加速度あたりの出力電圧を小さくできる

【0041】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、第二から第nのうち少なくとも1つ以
上の3軸加速度センサー素子が、枠部と、対を成す梁部で枠部に保持される錘部と、梁部
に設けられた半導体ピエゾ抵抗素子と、それらを接続する配線を有し、梁部が形成される
面内の第一の軸と、前記面におおよそ垂直な第二の軸の加速度を検出可能な2軸加速度セ
ンサー素子2個を、第一の軸同士が互いに直交するように配置することが好ましい。
【0042】
2軸加速度センサー素子は対を成す梁部が1対であるところが3軸加速度センサー素子
と異なる。梁部に形成した半導体ピエゾ抵抗素子により、梁部の長手方向である第一の軸
(X軸)と、チップ面に垂直な第二の軸(Z軸)の加速度を検出可能である。この2軸加
速度センサー素子2つを第一の軸が直交するように配置することで、2つの素子それぞれ
の第一の軸方向である2軸(X,Y軸)と、Z軸の3軸を検出することができる。Z軸の
検出は、2つの素子のどちらか一方で行ってもよいし、両方の素子を用いてもよい。一方
で、3軸加速度センサー素子は、直交した2対の梁部を有し、それぞれの梁部の長手方向
である2つの軸(X、Y軸)と、チップ面に垂直な軸(Z軸)の加速度を検出可能である
。Z軸の検出は、2つの梁対のどちらか一方で行ってもよいし、両方用いてもよい。
【0043】
2軸加速度センサー素子は、梁部が1対であるため、梁部が2対ある3軸加速度センサ
ー素子よりも梁部の合計の曲げ剛性が小さく、単位加速度あたりの出力電圧を同じにする
ための錘部の寸法を小さくできる。梁部も一方向にしか伸びていないため、よってより小
さい枠部内に収めることができる。2素子の合計では、3軸加速度センサー素子よりも面
積が大きいが、第二以降の加速度センサー素子を2軸素子2つとし、最も寸法の大きい第
一の3軸加速度センサーの周囲に配置することで、マルチレンジ加速度センサー素子全体
の寸法を小さくすることができる。すなわち、第一の3軸加速度センサー素子は1素子で
3軸とし、第二以降の3軸加速度センサー素子は、1素子で3軸とするか、2軸加速度セ
ンサー素子を2つとするかを選択可能である。
【0044】
2つの2軸加速度センサー素子のそれぞれの梁部は、他の3軸加速度センサー素子の2
つの梁部と平行に配置することで、異なるレンジの加速度検出を軸ずれなく行うことがで
きる。
【0045】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、全ての2軸加速度センサー素子と3軸
加速度センサー素子の梁部の厚みが同じであることが好ましい。
【0046】
2軸加速度センサー素子を用いた前記の構成においても、全ての3軸加速度センサー素
子と2軸加速度センサー素子の梁部の厚さを同じにすることで、薄いシリコン層に厚さの
異なる梁を形成する必要がないので、薄いシリコン層の厚みをそのまま利用して、全ての
素子の梁部形成を一度のエッチングで一括しで行うことができ、製造の工数が少なく低コ
ストにできる。
【0047】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、全ての2軸加速度センサー素子と3軸
加速度センサー素子の錘部の厚みが同じであることが好ましい。
【0048】
梁部と同様に錘部も全ての3軸加速度センサー素子と2軸加速度センサー素子で厚みを
同じにすることにより、厚いシリコン層の厚みをそのまま利用して、全ての素子の錘部を
一度のエッチングで一括して形成できることから、製造の工数が少なく低コストにできる

【0049】
本願発明のマルチレンジ3軸加速度センサーは、全ての2軸加速度センサー素子と3軸
加速度センサー素子の錘部および枠部の厚みが同じであることが好ましい。
【0050】
錘部と枠部の厚みも同じにすることで、厚いシリコン層の厚みをそのまま利用して錘部
と枠部を一度のエッチングで一括して形成することができ、製造の工数が少なく低コスト
にできる。
【0051】
また、枠部と錘部の下面の位置が同一面内に揃うことから、枠部の少なくとも3箇所に
おいて、同じ高さのスペーサを介してマルチレンジ加速度センサーチップと下の規制板を
配置することで、錘下面と規制板の間隔を全ての3軸加速度センサー素子および2軸加速
度センサー素子で同一にすることが容易に可能である。
【発明の効果】
【0052】
本願発明のマルチレンジ加速度センサーによれば、複数の3軸加速度センサー素子を同
一チップに一括形成できることから、素子ごとに個別の加工工程を必要とせず、枠部も共
有化できて、複数レンジの3軸加速度検出可能なマルチレンジ加速度センサーを小型かつ
安価に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下本発明を図面を参照しながら実施例に基づいて詳細に説明する。説明を判り易くす
るため、同一の部品、部位には同じ符号を用いている。
【実施例1】
【0054】
本発明の第一実施例のマルチレンジ加速度センサーについて、図1から図3を用いて以
下説明する。図1は、第一実施例のマルチレンジ加速度センサーの展開図、図2はマルチ
レンジセンサーチップの拡大図である。図3は図1のh−h’断面図である。図1におい
て、マルチレンジ加速度センサー40は、センサー素子が形成されたマルチレンジセンサ
ーチップ41と、検出回路が形成され、センサー素子の動きを規制する役割も持つIC規
制板42を、アルミナ製のケース1内に設置し、アルミナ製のケース蓋8で封止した構成
とした。マルチレンジセンサーチップ41のチップ端子4と、IC規制板のIC端子43
の間、およびケース1の外部端子7と接続しているケース端子6と、IC端子43との間
を、ワイヤー5で接続することで、センサーの検出信号が外部端子7から取り出される。
【0055】
図3に示すように、マルチレンジセンサーチップ41はケース1の内底に、第一接着剤
16を用いて固着した。第一接着剤16はプラスチック球が混練されており、センサー素
子の錘部とケース3内底の間に一定の間隔が形成される。IC規制板42も同様にプラス
チック球が混練された第一接着材16によりマルチレンジセンサーチップ41上に接着し
、センサー素子の錘部とIC規制板42の間も一定の間隔が形成されるようにした。ケー
ス蓋8をケース1に第二接着剤17で固着して密封し、マルチレンジ3軸加速度センサー
40を形成した。
【0056】
図2を用いてマルチレンジセンサーチップ41の構造を説明する。マルチレンジセンサ
ーチップ41には、第一3軸加速度センサー素子44と第二3軸加速度センサー素子45
が形成されている。第一3軸加速度センサー素子44は、第一素子枠部46内に、第一素
子錘部47が、それぞれ2本の梁から成る第一素子第一梁部48および第一素子第二梁部
49によって支持されている。マルチレンジセンサーチップ41の平面方向にX軸および
Y軸、垂直方向にZ軸を設定したとき、X軸に沿って形成した第一素子第一梁部48上に
X軸方向加速度検出用のピエゾ抵抗素子であるX軸ピエゾ13を、Y軸に沿って形成した
第一素子第二梁部49上にY軸方向加速度検出用のY軸ピエゾ14を形成した。Z軸加速
度検出用のZ軸ピエゾ15はどちらの梁部上でもよいが、ここでは第一素子第一梁部48
上に形成した。ピエゾ抵抗素子は各軸ごとに4本形成し、図示していない配線により接続
してブリッジ回路を構成した。加速度により錘部に力がかかって変位し、梁部が変形する
ことでピエゾ抵抗素子の電気抵抗が変化し、4本のピエゾ抵抗素子の抵抗変化量差による
電位差をブリッジ回路で取り出すことで、加速度を検出できる。
【0057】
同様に第二3軸加速度センサー素子45は、第二素子枠部50内に、第二素子錘部51
が、それぞれ2本の梁から成る第二素子第一梁部52および第二素子第二梁部53によっ
て支持されている。X軸に沿った第二素子第一梁部52上にX軸ピエゾおよびZ軸ピエゾ
を、Y軸に沿った第二素子第二梁部53上にY軸ピエゾを形成した。
【0058】
第二3軸加速度センサー素子45は、第一3軸加速度センサー素子44と比べて、単位
加速度あたりの出力電圧が小さくなるようにした。すなわち出力電圧のフルスケールに対
して、第二3軸加速度センサー素子45の方が測定レンジが広くなるようにした。例えば
、第一3軸加速度センサー素子44の測定レンジを±数Gとして落下検出に用い、第二3
軸加速度センサー素子45の測定レンジを±数百Gとして衝撃検知に用いることができる
。またマルチレンジセンサーチップ上には、チップ端子4が複数形成されている。
【0059】
加速度センサー素子の製造方法と寸法関係を簡単に説明する。約400μm厚のシリコ
ン板に数μmのシリコン酸化層と6μmのシリコン層を有するSOI(Silicon
on Insulator)ウエハーを使用した。フォトレジストでパターニングを行い
シリコン層にボロンを1〜3x1018原子/cm打ち込みピエゾ抵抗を形成し、ピエ
ゾ抵抗に接続する配線を、金属スパッタ−とドライエッチング装置を用いて形成した。シ
リコン層とシリコン板をフォトリソとドライエッチング装置を用いて加工し、シリコン層
に形成される梁部、およびシリコン層からシリコン板に渡って形成される錘部の形状を作
成した。シリコン酸化層はシリコンのドライエッチングの際にエッチングストッパーとし
て機能する。1枚のウエハーに多数のチップを作製し、ドライエッチングあるいはダイシ
ングにより単体チップに分離した。
【0060】
本実施例のマルチレンジ加速度センサーにおいては、第一3軸加速度センサー素子44
および第二3軸加速度センサー素子45を、一つのマルチレンジセンサーチップ41に一
括して形成可能である。シリコンドライエッチングのマスクに両者の形状を作りこみ、同
時に加工して形成することで、プロセスの追加なく測定レンジの異なる2つのセンサー素
子を形成でき、製造コストを低くできる。また、第一3軸加速度センサー素子44の枠部
46を構成する4つの枠辺のうちの一つに、第二3軸加速度センサー素子45を形成する
ため、2つのセンサー素子の枠部を共通化して小さい面積に収めることができ、マルチレ
ンジ加速度センサーを小型化できる。また、2つのセンサー素子の梁部の方向をマスクパ
ターンにより合わせられるので、2つのセンサー素子の加速度検出軸を高精度に一致させ
ることが可能である。
【0061】
第一実施例のマルチレンジセンサーチップ41の概略寸法を示す。第一3軸加速度セン
サー素子44は、梁部の1本の梁の長さを400μm、幅を40μmとし、錘部は外形寸
法を900×900μmとした。錘部と梁部を小さい面積に収めるため、錘部を、梁部の
接続部分がえぐれた形状とした。それにより錘部は図2に示したようなクローバー形にな
る。第二3軸加速度センサー素子45は、梁の長さを120μm、幅を100μmとし、
錘部の外形寸法を200×200μmとした。第二3軸加速度センサー素子については、
錘をクローバー形状にすることによる面積低減効果が小さいので、錘は四角形とした。梁
の厚さは、2つのセンサー素子ともに、SOIウエハーのシリコン層の厚さとなり6μm
、錘の厚さも2つのセンサー素子ともに、SOIウエハーの全体の厚さとなり、シリコン
酸化膜層が1μmであるので407μmとなった。
【0062】
このとき、入力電圧3Vのときの加速度1Gに対する出力電圧は、第一3軸加速度セン
サー素子44ではX、Y、Z軸ともに約2.0mV、第二3軸加速度センサー素子45で
はX、Y軸が約0.015mV、Z軸が約0.01mVであった。出力電圧を比較すると
、差の大きいZ軸で比較して、第一3軸加速度センサー素子44の方が約200倍大きく
なった。アンプ回路により同じ増幅率で増幅して、フルスケールの出力電圧も同じにした
場合、第一3軸加速度センサー素子44の測定レンジは、第二3軸加速度センサー素子4
5の1/200になる。例えば増幅率を150倍、フルスケール出力電圧を±900mV
とすると、測定レンジは第一3軸加速度センサー素子44が±3G、第二3軸加速度セン
サー素子45が±600Gとなる。以上のようなマルチレンジ加速度センサーにより、1
G以下の小さい加速度から、数百Gの大きな加速度まで、さまざまな強度の加速度を測定
したところ、±3Gの範囲は第一3軸加速度センサー素子44を、±600Gの範囲は第
二3軸加速度センサー素子45を用い、それぞれ直線性よく測定することができた。
【0063】
上記寸法例のように、第二3軸加速度センサー素子45の方が、第一3軸加速度センサ
ー素子44よりも単位加速度あたりの出力電圧を小さくするためには、梁の長さを短く、
梁の幅を広くして、梁の曲げ剛性を高くすることが望ましい。また、錘の外形寸法を小さ
くし、錘の重量を軽くすることが望ましい。それにより、錘部と梁部が配置される領域は
、第二3軸加速度センサー素子45の方が小さくなることが望ましい。すなわち枠部内部
の空間領域が小さくなる、すなわち梁部の2本の梁の、枠部との接続点を結ぶ距離が小さ
くなることが望ましい。
【0064】
また、上記寸法のセンサー素子としたときの共振周波数は、第一3軸加速度センサー素
子44で約1.5kHz、第二3軸加速度センサー素子45で約25kHzとなった。衝
撃加速度の検出の場合、センサーが搭載された機器の衝突の衝撃により、加速度センサー
の共振周波数付近の振動が加速度センサーに与えられると、共振周波数での振動が減衰さ
れずに残留して、検出波形に不具合を生じる恐れがある。そのため、衝撃検知では、共振
周波数を高くする必要がある。高加速度レンジを測定する第二3軸加速度センサー素子4
5は、梁の曲げ剛性を高く、錘の重量を軽くするため、センサー素子の共振周波数も高く
なることから、衝撃検出に用いやすいという特徴が得られた。
【0065】
低加速度レンジを測定する第一3軸加速度センサー素子44は、測定レンジを大きく超
える加速度が与えられると、梁に過大な応力がかかり、梁が破損する恐れがある。そのた
め、センサー素子の錘部の上下に、ある間隔を与えて規制板を配置した。本実施例では、
錘部の上方には検出回路を形成したICチップであるIC規制板42を配置し、錘部の下
方はケース1の内底を規制板として用いた。IC規制板42およびケース1とは別に独立
した規制板を設置するよりもセンサー全体の厚さを薄くできる。規制板と錘部との間隔は
、測定レンジ内で錘部が規制板に衝突することがなく、かつ梁が破損するほど梁が変形す
る前に錘部が規制板に衝突するような間隔とする。本実施例では15μmとした。間隔を
精度良く形成するため、第一接着剤16に外径がほぼ一定なプラスチック球を混練してお
き、プラスチック球をスペーサとして間隔を規制できるようにした。測定レンジが大きい
第二3軸加速度センサー素子45は、想定される最大の加速度がかかっても梁が破壊に至
らない場合があり、そのときは第二3軸加速度センサー素子45の上下には規制板がなく
てもよい。すなわちIC規制板42は第一3軸加速度センサー素子44上方をカバーし、
第二3軸加速度センサー素子45上方はカバーしない領域に配置しても良い。
【実施例2】
【0066】
本発明の第二実施例のマルチレンジ3軸加速度センサーについて以下説明する。図4は
第二実施例のマルチレンジセンサーチップ41の構造を示す。第一実施例における第二3
軸加速度センサー素子45を、2つの2軸加速度センサー素子から構成した点が異なる。
マルチレンジセンサーチップ41は、第一実施例と同様に、第一素子枠部46内に、第一
素子錘部47を、それぞれ2本の梁から成る第一素子第一梁部48および第一素子第二梁
部49によって支持した構造の、第一3軸加速度センサー素子44を有する。一方、第二
3軸加速度センサー素子45は、第二素子第一枠部56内に、第二素子第一錘部57を、
2本の梁から成る第二素子第一梁部58によって支持した構造の第一2軸加速度センサー
素子54と、第二素子第二枠部59内に、第二素子第二錘部60を、2本の梁から成る第
二素子第二梁部61によって支持した構造の第二2軸加速度センサー素子55から構成し
た。
【0067】
2軸加速度センサー素子は対を成す梁部が1対であるところが3軸加速度センサー素子
と異なる。梁部に形成した半導体ピエゾ抵抗素子により、梁部の長手方向である第一の軸
(X軸)と、チップ面に垂直な第二の軸(Z軸)の加速度を検出可能である。この2軸加
速度センサー素子2つを第一の軸が直交するように配置することで、2つの素子それぞれ
の第一の軸方向である2軸(X軸およびY軸)と、Z軸の3軸を検出することができる。
Z軸の検出は、2つの素子のどちらか一方で行ってもよいし、両方の素子を用いてもよい
。本実施例では、第一2軸加速度センサー素子54の第二素子第一梁部58をX軸に沿っ
て配置し、X軸ピエゾおよびZ軸ピエゾを形成した。そして、第二2軸加速度センサー素
子55の第二素子第二梁部61をY軸に沿って配置し、Y軸ピエゾを形成した。
【0068】
2軸加速度センサー素子は、梁部が1対であるため、梁部が2対ある3軸加速度センサ
ー素子よりも梁部の合計の曲げ剛性が小さく、単位加速度あたりの出力電圧を同じにする
ための錘部の寸法を小さくできる。梁部も一方向にしか伸びていないため、より小さい枠
部内に収めることができる。2素子の合計では、3軸加速度センサー素子よりも面積が大
きいが、第二以降の加速度センサー素子を2軸素子2つとし、最も寸法の大きい第一の3
軸加速度センサーの枠辺内に配置することで、マルチレンジ加速度センサー素子全体の寸
法を小さくすることができる。すなわち、第一の3軸加速度センサー素子は1素子で3軸
とし、第二以降の3軸加速度センサー素子は、1素子で3軸とするか、2軸加速度センサ
ー素子を2つとするかを選択可能である。
【0069】
第二実施例のマルチレンジセンサーチップの概略寸法を示す。第一3軸加速度センサー
素子44は第一実施例と同様とした。第一2軸加速度センサー素子54および第二2軸加
速度センサー素子55は同一寸法とし、梁の長さを120μm、幅を100μmとし、錘
部の外形寸法を150×150μmとした。このとき、入力電圧3Vのときの加速度1G
に対する出力電圧は、第一3軸加速度センサー素子ではX、Y、Zともに約2.0mV、
第一および第二2軸加速度センサー素子ではX、Y、Zともに約0.01mVとなった。
第一および第二2軸加速度センサー素子は、第一実施例の第一3軸加速度センサー素子の
錘形状より小面積の錘形状で、単位加速度に対する出力電圧を同等にすることができた。
上記寸法の第一および第二の2軸加速度センサー素子を、図4に示すように、第一3軸加
速度センサー素子の枠部の一つの枠辺内に配置することで、第一実施例よりもマルチレン
ジセンサーチップ全体のサイズを小さくすることができた。
【実施例3】
【0070】
第三実施例は、図5に示すように、第二実施例と同様の第一および第二2軸加速度セン
サー素子54および55を用い、第一3軸加速度センサー素子44の枠部の枠辺のうちの
2つに、それぞれ配置した構造とした。梁部がX方向に配置する第一2軸加速度センサー
素子54は、第一3軸加速度センサー44のX軸に平行な枠辺内に、梁部がY方向に配置
する第二2軸加速度センサー素子55は、第一3軸加速度センサー素子54のY軸に平行
な枠辺内に配置した。第一および第二2軸加速度センサー素子は、素子全体の寸法が、梁
部の長手方向に長くなることから、マルチレンジセンサーチップ41全体の平面縦横寸法
に対して、長い方の寸法をなるべく短くするためには本構成が望ましい。すなわち、マル
チレンジセンサーチップを略正方形に構成する場合は、本実施例で最小の面積に配置でき
る。
【実施例4】
【0071】
第四実施例は、加速度検出のレンジをさらに追加して、3つの異なるレンジで3軸加速
度が検出できるマルチレンジ加速度センサーとした。マルチレンジセンサーチップの概略
構造を図6に示す。第一実施例と同様の第一3軸加速度センサー素子44の枠部の枠辺内
に、第二3軸加速度センサー素子45および第三3軸加速度センサー素子62を配置した
。第一から第三にかけて、単位加速度に対する出力電圧が小さくなるようにした。そうし
て、第一から第三の順に、加速度測定レンジが大きくなるようにする。例えば、第一を±
3G、第二を±30G、第三を±600Gというようにする。第一から第三まで順に単位
加速度に対する出力電圧が小さくなるようにするため、第一から第三まで順に錘部の寸法
が小さくなるようにし、また梁部の長さが短く、幅が広くなるようにした。
【実施例5】
【0072】
第二および第三3軸加速度センサー素子45および63は、2つの2軸加速度センサー
素子から構成されてもよい。例えば、第五実施例は、図7に示すように、第三3軸加速度
センサー素子62を、X、Z軸加速度を検出する第一2軸加速度センサー素子54と、Y
軸加速度を検出する第二2軸加速度センサー素子55からなる構成とした。第一2軸加速
度センサー素子54を第二3軸加速度センサー素子45と一緒に、第一3軸加速度センサ
ー素子の枠部のX軸に沿った枠辺内に、第二2軸加速度センサー素子55をY軸に沿った
別の枠辺内に配置した。
【実施例6】
【0073】
また図8に示す第六実施例では、第二3軸加速度センサー素子45を、X、Z軸加速度
を検出する第一2軸加速度センサー素子54と、Y軸加速度を検出する第二2軸加速度セ
ンサー素子55からなる構成とし、同様に第三3軸加速度センサー素子62を、X、Z軸
加速度を検出する第三2軸加速度センサー素子63と、Y軸加速度を検出する第四2軸加
速度センサー素子64からなる構成とした。第一および第三2軸加速度センサー素子54
および63を、第一3軸加速度センサー素子44の枠部のX軸に沿った枠辺内に、第二お
よび第四2軸加速度センサー素子45および64を、第一3軸加速度センサー素子44の
枠部のY軸に沿った枠辺内に配置した。
【0074】
第二から第六実施例のマルチレンジ加速度センサーにおいても、1G以下から数百Gま
でさまざまな強度の加速度に対し、加速度強度に適した3軸加速度センサー素子を用いて
、その測定レンジ内において直線性よく測定することができた。
【実施例7】
【0075】
本発明のマルチレンジ加速度センサーの全体構成は、第一実施例に示した構成に限るも
のではない。マルチレンジセンサーチップ41にウエハーレベルパッケージングを適用し
た場合の第七実施例について、図9および図10の断面図を用いて説明する。図9に示す
ように、マルチレンジセンサーチップ41の上下に第一キャップ70および第二キャップ
71を接合した。第一キャップ70および第二キャップ71は中央にキャビティを72有
し、周辺部でマルチレンジセンサーチップ41と接合されている。接合部はマルチレンジ
センサーチップ41のセンサー素子形成領域の外側に配置し、よってセンサー素子は第一
キャップ70および第二キャップ71で囲まれた気密パッケージ内に保護され、湿度や異
物などの影響でセンサー素子の特性が変動しないようにした。
【0076】
また、センサー素子の錘部と第一キャップ70および第二キャップ71の間に適切な間
隔を有し、過大な加速度がかかったときに錘部の変位を規制して梁部が破損するのを防ぐ
規制板の役割をする。マルチレンジセンサーチップ41の表面にはチップ保護膜73を形
成し、気密パッケージの外部に配置されるチップ端子6と、ピエゾ抵抗素子とをつなぐ配
線74は、チップ保護膜73の下から気密パッケージ外部に引き出されるようにした。第
一キャップ70および第二キャップ71はシリコンウエハーを用い、シリコンの異方性エ
ッチングまたはドライエッチングでキャビティを加工した。マルチレンジセンサーチップ
41と第一キャップ70および第二キャップ71の接合はウエハーレベルで行い、接合後
に個々のセンサーチップパッケージ75に個片化した。接合方法はAu/Snのはんだ接
合を用いた。その他にも、各種金属のはんだ接合および共晶接合、表面活性化接合、陽極
接合、低融点ガラス接合などを用いることができる。個片化の際には、チップ電極を露出
する必要があるため、第一キャップには、チップ電極の上方領域にもキャビティを形成し
ておき、第一キャップ70のみを第一ダイシング部76で切断することで、チップ電極6
を露出した。その後、マルチレンジセンサーチップ41と第二キャップ71を第二ダイシ
ング部77で切断して個片化した。
【0077】
センサー素子が気密パッケージ内に保護されているので、センサー全体のパッケージに
は一般的に利用されている安価なプラスチックパッケージを適用できる。金属リードフレ
ームと樹脂封止を用いた構成例を図10に示した。金属リードフレーム85のチップ支持
板78上に樹脂製の第一接着剤79によりICチップ80を、ICチップ80上に樹脂製
の第二接着剤81によりセンサーチップパッケージ75を接着した。そして、センサーチ
ップパッケージ75のチップ端子6と、ICチップ80のIC端子82、およびIC端子
82と金属リードフレーム85の外部端子83との間をAu製のワイヤー5により接続し
た後、エポキシ製の封止樹脂84により封止した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第一実施例のマルチレンジ加速度センサーの全体構造を示す斜視図である。
【図2】第一実施例のマルチレンジセンサーチップの構造を示す斜視図である。
【図3】図1のh−h’断面図である。
【図4】第二実施例のマルチレンジセンサーチップの構造を示す斜視図である。
【図5】第三実施例のマルチレンジセンサーチップの構造を示す斜視図である。
【図6】第四実施例のマルチレンジセンサーチップの構造を示す斜視図である。
【図7】第五実施例のマルチレンジセンサーチップの構造を示す斜視図である。
【図8】第六実施例のマルチレンジセンサーチップの構造を示す斜視図である。
【図9】第七実施例のセンサーチップパッケージの構造を示す断面図である。
【図10】第七実施例のマルチレンジ加速度センサーの全体構造を示す断面図である。
【図11】従来の3軸加速度センサーの全体構造を示す斜視図である。
【図12】図11のh−h’断面図およびセンサーチップの平面図である。
【図13】従来のマルチレンジ加速度センサーの構造を示す斜視図である。
【図14】従来のマルチレンジ加速度センサーの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ケース、2 センサーチップ、
3 規制板、4 チップ端子、
5 ワイヤー、6 ケース端子、
7 外部端子、8 ケース蓋、
9 3軸加速度センサー素子、10 枠部、
11 錘部、12 梁部、
13 X軸ピエゾ、14 Y軸ピエゾ、
15 Z軸ピエゾ、16 第一接着剤、
17 第二接着剤、20 3軸加速度センサー、
21 数G用加速度センサー、22 数10G用加速度センサー、
23 数百G用加速度センサー、24 回路基板、
25 加速度センサー装置、31 枠、
32 梁、33 錘、
34 電極、40 マルチレンジ加速度センサー、
41 マルチレンジセンサーチップ、42 IC規制板、
43 IC端子、44 第一3軸加速度センサー素子、
45 第二3軸加速度センサー素子、46 第一素子枠部、
47 第一素子錘部、48 第一素子第一梁部、
49 第一素子第二梁部、50 第二素子枠部、
51 第二素子錘部、52 第二素子第一梁部、
53 第二素子第二梁部、54 第一2軸加速度センサー素子、
55 第二2軸加速度センサー素子、56 第二素子第一枠部、
57 第二素子第一錘部、58 第二素子第一梁部、
59 第二素子第二枠部、60 第二素子第二錘部、
61 第二素子第二梁部、62 第三3軸加速度センサー素子、
63 第三2軸加速度センサー素子、64 第四2軸加速度センサー素子、
70 第一キャップ、71 第二キャップ、
72 キャビティ、73 チップ保護膜、
74 配線、75 センサーチップパッケージ、
76 第一ダイシング部、77 第二ダイシング部、
78 チップ支持板、79 第一接着剤、
80 ICチップ、81 第二接着剤、
82 IC端子、83 外部端子、
84 封止樹脂、85 金属リードフレーム。
【出願人】 【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−39664(P2008−39664A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216533(P2006−216533)